JP2546307B2 - 多層回路基板の製造方法 - Google Patents

多層回路基板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、樹脂製支持体上に導電体ペースト,抵抗体
ペースト,誘電体ペースト等にて所望の回路を多層に形
成した多層回路基板の製造方法に関する。
従来の技術 従来、回路の集積度を向上させるために多層回路基板
が種々開発されており、学献社発行の「エレクトロニク
・セラミクス[ELECTRONIC CERAMICS]」の1985年5月
号(第16巻、第75号)の第61頁〜第71頁に掲載された
「セラミック多層基板」と題された論文には、種々のセ
ラミック多層基板が紹介されている。この論文では、セ
ラミック多層基板はその製造方法に基づき、生のセラミ
ックシート即ちセラミックグリーンシートを用いる「湿
式法」によって得られる多層基板と、焼成済みのセラミ
ック板を用いる「乾式法」によって得られる多層基板と
に大きく分類され、さらに、「湿式法」によって得られ
る多層基板を、「グリーンシート多層基板」と「印刷多
層基板」とに細分類している。
「グリーンシート多層基板」は、複数のセラミックグ
リーンシートの各々に、所望に応じて、誘電体又は絶縁
体ペースト,抵抗体ペースト及び/又は導電体ペースト
を厚膜印刷したものを用意してから、これらグリーンシ
ートを重ね合わせ、加圧した後、同時に焼成することに
よって得られる。この様な多層基板にあっては、コンデ
ンサ,抵抗器,インダクタ等の回路エレメントを構成す
ることができる。
次に、「印刷多層基板」は、まず、所望に応じて、抵
抗体ペースト及び/又は導電体ペーストを厚膜印刷した
グリーンシートをまず用意し、その上に誘電体又は絶縁
体ペーストを印刷し、乾燥した後、再び、所望に応じ
て、誘電体又は絶縁体ペースト,抵抗体ペースト及び/
又は導電体ペーストを印刷し、これを繰り返すことによ
って、多層化することを特徴とする方法によって得られ
るものである。
次に、「乾式法」は、焼成済みのセラミック板を用い
ることが特徴であり、この上に、所望に応じて、抵抗体
ペースト及び/又は導電体ペーストを厚膜印刷により形
成し、乾燥し、そして、焼成するステップと、次いで、
絶縁層を同様の方法により形成するステップとを繰り返
すものである。
発明が解決しようとする問題点 しかしながら、上述した従来技術には、次の問題点が
含まれている。
まず、「グリーンシート多層基板」及び「印刷多層基
板」を含む「湿式法」によって得られるセラミック多層
基板においては、焼成段階において、グリーンシート,
誘電体又は絶縁体ペースト,抵抗体ペースト及び/又は
導電体ペーストに収縮及び変形が生じるため、基板内に
おいて形成されるコンデンサエレメント,抵抗エレメン
ト,インダクタエレメントの静電容量値,抵抗値,イン
ダクタンス値等の特性を設計どおりに得ることが困難で
ある。特に、「グリーンシート多層基板」にあっては、
焼成前において、加圧する工程を含むため、この加圧工
程においても上述した様な変形が生じ得る。また、これ
ら多層基板を得るための「湿式法」は、誘電体又は絶縁
体ペースト,抵抗体ペースト及び/又は導電体ペースト
と共にセラミックグリーンシートを同時に焼成するステ
ップを含んでいる。
従って、使用される抵抗体ペースト及び/又は導電体
ペーストも焼成時の高温及び雰囲気にさらされることに
なる。その結果、例えば、抵抗体ペーストに関しては、
セラミックの焼成に耐え得るものを用いなければならな
いため、抵抗エレメントを構成する抵抗体の比抵抗値を
幅広く選択することが困難である。しかも、焼成後に抵
抗値や容量値を調整することは不可能である。
他方、「乾式法」においては、上述した「印刷多層基
板」を得るための方法と類似した印刷工程を含んでいる
ので、以上で述べた「印刷多層基板」特有の問題点と実
質的に同様の問題点を有している。
発明の構成 そこで、第1の発明は、 (a)耐熱性フィルム上にペーストを塗布,焼付けて所
望の回路を形成する工程と、 (b)前記耐熱性フィルム上に形成された回路を絶縁材
にて被覆する工程と、 (c)前記絶縁材上にペーストを塗布,焼付けて所望の
回路を形成する工程と、 (d)以上の工程を経て得られた多層回路を有する耐熱
性フィルムを成形型内に封止し、該成形型内に溶融樹脂
を充填し硬化させて支持体とした後、耐熱性フィルムを
剥離する工程と、 からなることを特徴とする。
この場合、耐熱性フィルム上には導電体ペースト,抵
抗体ペースト,誘電体ペースト等が所望の回路を構成す
る様に塗布され、一層ごとに焼付けが行なわれ、かつ、
絶縁材層を介して多層化されることとなる。
また、第2の発明は、 (a)耐熱性フィルム上にペーストを塗布,焼付けて所
望の回路を形成する工程と、 (b)前記耐熱性フィルム上に形成された回路を絶縁材
にて被覆する工程と、 (c)前記絶縁材上にペーストを塗布,焼付けて所望の
回路を形成する工程と、 (d)以上の工程を経て得られた多層回路を有する耐熱
性フィルムを成形型内に封止し、該成形型内に溶融樹脂
を充填し、この支持体を略半硬化状態とした後耐熱性フ
ィルムを剥離する工程と、 (e)前記略半硬化状態の樹脂を積み重ねて該樹脂を完
全に硬化一体化させて支持体とする工程と、 からなることを特徴とする。
この場合、前記第1の発明によって得られた回路基板
を、熱硬化性樹脂を支持体として中間に介在させ、積み
重ねた多層回路基板が得られることとなる。
さらに、第3の発明は、 (a)耐熱性フィルム上にペーストを塗布,焼付けて所
望の回路を形成する工程と、 (b)前記耐熱性フィルム上に形成された回路を絶縁材
にて被覆する工程と、 (c)前記絶縁材上にペーストを塗布,焼付けて所望の
回路を形成する工程と、 (d)以上の工程を経て得られた多層回路を有する一対
の耐熱性フィルムを互いに回路部を内側に対向させた状
態で成形型内に封止し、該成形型内に溶融樹脂を充填し
硬化させて支持体とした後、耐熱性フィルムを剥離する
工程と、 からなることを特徴とする。
この場合、前記第1の発明によって得られた2枚の回
路基板で熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂の支持体を挾着
した多層回路基板が得られることとなる。
実施例 以下、本発明に係る多層回路基板の製造方法につき添
付図面を参照して説明する。
第1図は各製造工程での中間製品を示す。1は耐熱性
フィルムで、例えば、ポリイミド系樹脂を押出し成形に
て50μmの均等な厚みに成形したポリイミドフィルムで
ある。このフィルム1は280℃程度の高温に耐え、しか
も線膨張係数が低くて寸法変化がほとんどないフィルム
である。
この耐熱性フィルム1上には、(a)に示す如く、抵
抗体ペーストをスクリーン印刷法により均等な厚みに印
刷した後、電気炉で焼付け、抵抗体2a,2bとする。
次に、(b)に示す如く、導電体ペーストをスクリー
ン印刷法により均等な厚みに印刷した後、電気炉で焼付
け、電極3a〜3dとする。
なお、前記(a)又は(b)の工程の終了後抵抗体2
a,2bの抵抗値等の電気的特性がチェックされ、必要であ
れば調整が行なわれる。
続いて、(c)に示す如く、絶縁体ペーストを同様に
塗布,焼付けし、抵抗体2a,2b及び電極3a〜3dを被覆す
る絶縁層5を形成する。このとき、絶縁層5にはホール
6a,6bが形成される。
次に、(d)に示す如く、導電体ペーストをスクリー
ン印刷法により均等な厚みに印刷した後、焼付けし、電
極7a,7bとする。さらに、同様に、抵抗体ペーストを塗
布,焼付し、抵抗体8とする。なお、電極7a,7bは絶縁
層5のホール6a,6bを通じて下層の電極3b,3cに導電す
る。また、抵抗体8の形成工程の終了後、抵抗体8の電
気的特性がチェックされ、必要であれば調整が行なわれ
る。
以上で2層の回路が構成することとなるが、前記
(c),(d)の工程を繰り返すことにより、より多層
の回路とすることが可能である。
次に、以上の工程を経て得られらた多層回路を有する
耐熱性フィルム1を成形型内に封止し、該成形型内には
溶融樹脂を充填する。充填樹脂はその後硬化され、
(e)に示す如く支持体10とされる。支持体10には予め
電極7bに達するホール11が形成されており、このホール
11を通じて電極7bに外部配線との導通が図られる。その
後、耐熱性フィルム1が剥離され、多層回路基板として
完成する。
なお、この多層回路基板の一部の回路をコンデンサと
して機能させるために容量を取る場合には、剥離する際
に耐熱性フィルム1の一部(例えば、電極3cに接触する
部分)を残しておき、残されたフィルム1を誘電体とし
て利用することもできる。
一方、樹脂支持体10として、ジアリルフタレート樹
脂,フェノール樹脂,エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を
用いれば、前記(e)の工程で得られた基板をさらに多
層に積み重ねることもできる。即ち、成形型内に充填し
た熱硬化性樹脂が60〜70%の半硬化の状態で成形型から
取り出して耐熱性フィルム1を剥離し、半硬化状態の樹
脂を積み重ねて完全に硬化させて支持体10とする。これ
にて、第2図に示す様に、支持体10を介して多層に積み
重ねられた樹脂多層基板が得られる。このとき電極7bと
一層上の電極3dとはホール11に導電性ピン12を挿入する
ことにより導通される。
また、第3図に示す様に、支持体10をサンドイッチ状
に挟み込んだ多層回路基板とすることもできる。即ち、
前記第1図(d)の工程で得られた多層回路を有する一
対の耐熱性フィルム1,1を互いに回路部を内側に対向さ
せ、かつ、前記ホール11に相当する部分に導電性ピン12
をインサートした状態で成形型内に封止し、該成形型内
に熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を充填し硬化させ、支
持体10とする。熱硬化性樹脂としては既に前記したもの
が用いられ、熱可塑性樹脂としてはポリフェニレンサル
ファイド等が用いられる。支持体10の硬化後成形型から
取り出して耐熱性フィルム1,1を剥離する。これにて、
第3図に示す如く、回路部分が表裏面に露出した多層基
板が得られ、電極7b,7b間がピン12を介して内部で導通
されることとなる。
なお、本発明に係る多層回路基板の製造方法は前記各
実施例に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で
種々に変更することができる。
特に、耐熱性フィルム1はポリイミドフィルム以外
に、耐熱性に優れ、線膨張係数の小さい表面の平滑なフ
ィルムであれば種々の材料を使用可能である。
また、耐熱性フィルム1上には剥離し易い様に化学的
処理や離型剤を含浸させておいても良く、あるいは支持
体10への転写時に回路体と支持体との密着性を高めるた
め、回路体をシランカップリング剤等にて前処理しても
良い。
発明の効果 以上の説明で明らかな様に、本発明によれば、耐熱性
フィルム上に適宜ペーストを塗布,焼付けた所望回路を
1層ごとに形成していく様にしたため、1層ごとに回路
の抵抗値,容量値等の電気的特性をチェックし、必要で
あれば特性の調整をも行なうことができ、しかも、焼成
時の相互反応が解消されることにより、設計どおりの良
好な特性の高密度多層回路基板とすることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)〜(e)は本発明に係る多層回路基板の製
造方法の一実施例での各中間工程を示す断面図、第2図
は本発明にて得られた最終製品の一例を示す断面図、第
3図は本発明にて得られた最終製品の他の例を示す断面
図である。 1……耐熱性フィルム、2a,2b,8……抵抗体、3a〜3d,7
a,7b……電極、5……絶縁層、10……樹脂支持体、12…
…導電性ピン。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】耐熱性フィルム上にペーストを塗布,焼付
    けて所望の回路を形成する工程と、 前記耐熱性フィルム上に形成された回路を絶縁材にて被
    覆する工程と、 前記絶縁材上にペーストを塗布,焼付けて所望の回路を
    形成する工程と、 以上の工程を経て得られた多層回路を有する耐熱性フィ
    ルムを成形型内に封止し、該成形型内に溶融樹脂を充填
    し硬化させて支持体とした後、耐熱性フィルムを剥離す
    る工程と、 からなることを特徴とする多層回路基板の製造方法。
  2. 【請求項2】耐熱性フィルム上にペーストを塗布,焼付
    けて所望の回路を形成する工程と、 前記耐熱性フィルム上に形成された回路を絶縁材にて被
    覆する工程と、 前記絶縁材上にペーストを塗布,焼付けて所望の回路を
    形成する工程と、 以上の工程を経て得られた多層回路を有する耐熱性フィ
    ルムを成形型内に封止し、該成形型内に熱硬化性樹脂を
    充填し、この樹脂を略半硬化状態とした後耐熱性フィル
    ムを剥離する工程と、 前記略半硬化状態の樹脂を積み重ねて該樹脂を完全に硬
    化一体化させて支持体とする工程と、 からなることを特徴とする多層回路基板の製造方法。
  3. 【請求項3】耐熱性フィルム上にペーストを塗布,焼付
    けて所望の回路を形成する工程と、 前記耐熱性フィルム上に形成された回路を絶縁材にて被
    覆する工程と、 前記絶縁材上にペーストを塗布,焼付けて所望の回路を
    形成する工程と、 以上の工程を経て得られた多層回路を有する一対の耐熱
    性フィルムを互いに回路部を内側に対向させた状態で成
    形型内に封止し、該成形型内に溶融樹脂を充填し硬化さ
    せて支持体とした後、耐熱性フィルムを剥離する工程
    と、 からなることを特徴とする多層回路基板の製造方法。
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