JP2545838Y2 - 床面艶出機に於けるパッド用サスペンション装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、走行しながらモータで
パッドを高速回転して、床面の艶出しを行うことができ
る床面艶出機の技術分野で利用されるものであって、具
体的には、床面艶出し用のパッドにクッション性を与え
るパッドのサスペンション装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】パッドをモータで高速回転して床面の艶
出しを行う床面艶出機では、艶出機の走行を停止させた
状態でパッドの回転を続けると、床面がパッドの回転に
よる摩擦を受けて加熱し、床面に塗ったワックスを剥が
したり、ワックス面に削り傷を付けたりするため、特願
昭６２−２９０３６３号（特開平１−１３１６４０号）
の出願に見られるように、艶出機の走行が停止されると
自動的にパッドを上昇させて床面より離し、スイッチを
切った後の惰性回転による加熱、及び、傷付けの問題を
解消していた。

【０００３】しかし、上記従来の床面艶出機は、艶出機
の走行が停止した時だけパッドを上昇させるだけで、運
転時には常にパッドを床面に接地する位置に降下させ、
その位置を維持しながら高速回転させているため、例え
ば、床面に凹凸とか段差と云った否平面部がある場合
に、パッドが高速回転中にこれ等否平面部に当ると、パ
ッドに対して押し上げる力と衝撃が加わって、パッド自
身や、パッドを支える軸受け及びアーム等を損傷してし
まう問題が発生していた。

【０００４】そこで本出願人は、先の実願平２−４０５
０１４号の出願によって、高速回転中にパッドに衝撃が
加わった場合にその衝撃を緩和するように、パッドを上
下動するための駆動系と、この駆動系からの作動を受け
てパッドとパッド回転用のモータを上下動するための作
動系との中間に、クッション用の圧縮スプリングを介在
したパッド用クッション装置を提案した。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
パッド用クッション装置の場合は、床面からパッド面に
荷重が掛った場合に、パッドとモータの重量がそのまま
反力として作用するため、特に、機体が大型でパッドが
大きい場合にはモータも大きくなって全体の重量が増加
する関係で、微小な動きに対して敏感に追従することが
できず、衝撃に対して充分なクッション作用が発揮でき
なくなる場合があって、その結果、床面への損傷とかパ
ッドの損傷と云ったトラブルが発生する問題があった。

【０００６】従って本考案の技術的課題は、床面の多少
の凹凸に対してもパッドに優れた追従性を発揮させて、
床面への損傷とかパッドの損傷と云ったトラブルが発生
しないようにすることである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の技術的課題を解決
するために本考案で講じた手段は以下の如くである。機
体内部に取付けた作動レバーによって上下作動される昇
降台にパッド用モータと、このモータによって高速回転
して床面の艶出しを行うパッドを取付け、また、昇降用
モータによって回転されるスクリュー軸に、スクリュー
軸の回転に従って上下動するスライダを取付けて、この
スライダと上記の作動レバーを連繋することによって、
昇降用モータの回転によってパッドを床面に対し上下動
させるように構成した床面艶出機に於いて、

【０００８】上記のスクリュー軸を作動レバーよりも高
く立設してスライダを作動レバーよりも高い位置で上下
動するように構成すると共に、このスライダに上下の長
さを調節自在に構成した蝶番ボルトを取付けて、この蝶
番ボルトに取付けた引張りスプリングの下端部に上述の
作動レバーの回動端側を吊下げて昇降台を支持するこ
と。

【０００９】作動レバーの回動端側に架設したリフト軸
に、断面略コ字形状に形成した取付金具の両脚部を取付
けて、この取付金具にスライダに取付けた蝶番ボルトの
下端側を上下摺動自在に挿通して、取付金具の底面と蝶
番ボルトの下端部に取付けた押えカラーの間と、取付金
具の上面とスライダの底面との間に、サスペンション用
の圧縮スプリングとダンパ用の圧縮スプリングを夫々蝶
番ボルトに巻装させて介在すること。

【００１０】

【作用】上記の手段は以下の如く作用する。 上記（１）の要素は、パッドとパッド用モータを取
付けた昇降台が引張りスプリングに吊下げられた状態で
支持されるため、床面へのパッドの接触圧を軽くして、
床面からの衝撃を受けても軽くなった接触圧に相当する
荷重のみが反力として作用するだけであるから、パッド
とモータが大型で昇降台の全体が重い場合でも、微小な
床面の凹凸に対しても充分な追従性を発揮して、床面と
パッドの損傷を防止でき、合せて、蝶番ボルトの調節に
よって床面に対するパッドの接触圧を自在に調整できる
ため、パッド圧を床面の材質とか汚れ具合等に対応した
状態に調節することを可能にする。

【００１１】 上記（２）の要素は、サスペンション
用の圧縮スプリングとダンパ用の圧縮スプリングの弾発
作用により、パッドに優れた追従性を発揮させてパッド
と床面の損傷を防止できる一方、パッドの振動を押えて
跳ね反り等の反作用を最小限に押えて、優れた艶出し作
用を発揮することを可能にする。以上の如くであるか
ら、上記の手段によって上述した技術的課題を解決し
て、前記従来の技術の問題点を解消することができる。

【００１２】

【実施例】以下に、上述した本考案に係る床面艶出機に
於けるパッド用サスペンション装置の好適な実施例を添
付した図面と共に詳細に説明する。図１は本考案に係る
パッドのサスペンション装置を実施した床面艶出機の構
成を示した一部断面側面図であって、図２と図３は夫々
本考案の要部を示した側面図と正面図を示し、これ等の
図面（特に図１）に於いて、１は床面艶出機の車体で、
２はその駆動車輪、３は前車輪、４は前端側を取付板１
ｃ上に固定した軸受板１１にボルト４ｂを用いて上下回
動自在に取付けた作動レバーで、この作動レバー４は図
３の如く左右の取付台１ｃ，１ｃ上に夫々左右相対向し
て並設されている。

【００１３】５は左右の各作動レバー４，４の中間部分
に夫々ボルト４ａを用いて左右回動自在に取付け取付板
で、左右の取付板５，５の下端部に昇降台６が取付けら
れ、この昇降台６の上面に取付けたモータ台７の上にパ
ッド回転用のモータ８が取付けられ、昇降台６の中央を
貫いて昇降台６の底面側に突出した上記モータ８の回転
軸８ａにパッド９が取付けられている。また、１０はパ
ッド９の周囲を囲むように昇降台６の周面に取付けたゴ
ム製のスカートを示す。更に、図１に於いて６ａと６ｂ
は排気用のホースとダクトであって、ダクト６ｂの先端
がブロアー（図示せず）に接続されている。また、各図
に於いて１ｄは上記作動レバー４，４のストッパであ
る。

【００１４】更に、１３は上記左右の取付台１ｃ，１ｃ
の側面に取付けた各軸承板１２と、上記の各取付板５の
下側部との間に夫々取付ネジ１３ａと１３ｂを用いて架
設したリンクを示し、また、１ｂは取付台１ｃを取付け
た固定台で、１ａはこの固定台１ｂを取付けた車体１の
シャーシである。

【００１５】次に、２０は上記のシャーシ１ａ上に立設
した取付枠で、２１はこの取付枠２０の下側内部に取付
けた昇降用モータを示す。２３は取付枠２０の上側内部
に回転自在に取付けたスクリュー軸で、このスクリュー
軸２３は前述した作動レバー４，４の後部上側に設けら
れている。２２は上記の昇降用モータ２１の回転軸とス
クリュー軸２３を連結するカップリングで、従って、ス
クリュー軸２３は昇降用モータ２１によって連動回転さ
れる仕組に成っている。

【００１６】２４は上記スクリュー軸２３に取付けたス
ライダで、２５は取付枠２０の上側内部にスクリュー軸
２３と平行に縦設したスライダ用ガイド軸であって、上
記のスライダ２４は昇降用モータ２１によるスクリュー
軸２３の正逆回転に従って、上記作動レバー４，４の後
部上側に於いて降下したり上昇したりするように構成さ
れている。

【００１７】また、２６は上記のスライダ２４に縦型に
取付けた蝶番ボルトであって、この蝶番ボルト２６は上
端部に螺合したダブルナット２７を操作することによっ
て、上下の長さを自由に調節できる仕組に成っている。
更に、２８はこの蝶番ボルト２６の下端取付部２６ａ
と、上述した作動レバー４，４の回動端間に架設したリ
フト軸４ｃとの間に張設した引張りスプリングであっ
て、従って、図１乃至図３で示した実施例では、モータ
８とパッド９を支持した作動レバー４，４が引張りスプ
リング２８に吊下げられた状態で支持されていて、昇降
用モータ２１の正転によってスクリュー軸２３が正回転
してスライダ２４を上方に移動すると、引張りスプリン
グ２８が作動レバー４，４を上方に回動してモータ８と
パッド９を引上げ、パッド９の面を床面から離し、反対
に昇降用モータ２１を逆転してスクリュー軸を逆回転す
れば、スライダ２４が下方に移動して引上げていたモー
タ８とパッド９を降下させ、パッド９の面を床面に接地
するように構成されている。

【００１８】図４は本考案の他の実施例を示したもので
あって、図中、２９は断面略コ字状に形成した取付金具
であって、この取付金具２９は図示のように両方の脚部
に前述したリフト軸４ｃを挿通した状態で上向きに取付
けられ、且つ、前述した蝶番ボルト２６の下端側がこの
取付金具２９の天板部を貫いて両脚部間に上下摺動自在
に挿通されている。また、３０Ａは上述したスライダ２
４の底面と取付金具２９の上面との間に介在せしめたダ
ンパ用の圧縮スプリングで、３０Ｂは取付金具２９の内
側面と上記蝶番ボルト２６の下端部に取付けた押えカラ
ー２６ｂとの間に介在したサスペンション用の圧縮スプ
リングであって、いずれの圧縮スプリング３０Ａ，３０
Ｂも蝶番ボルト２６の周面に巻装した状態で取付けら
れ、サスペンション用の圧縮スプリング３０Ｂはリフト
軸４ｃを引上げてモータ８とパッド９を支持するサスペ
ンション効果を発揮し、また、ダンパ用の圧縮スプリン
グ３０Ａはパッド９に対する衝撃を緩和するクッション
効果を発揮するように構成されている。

【００１９】本考案は以上述べた如き構成であるから、
床面を磨く時には、図１の如くパッド９を床面上に降下
してモータ８でこのパッド９を高速回転して磨く。ま
た、床面艶出機１を他の場所に移動したり、パッド９を
修理したり交換したりする場合には、昇降用モータ２１
を正転してスクリュー軸２３を正回転すれば、スライダ
２４及び蝶番ボルト２６が上方に移動するため、図１乃
至図３に示した実施例の場合は引張りスプリング２８が
リフト軸４ｃを上方に引上げる一方、図４に示した実施
例の場合も同様に蝶番ボルト２６の上昇に従ってサスペ
ンション用の圧縮スプリング３０Ｂがリフト軸４ｃを押
上げるため、作動レバー４，４が上方に引上げ回動され
てパッド９をモータ８と一緒に上昇させて床面から離す
ことができる。

【００２０】また、上昇させたパッド９を図１に示した
運転時の状態に降下させるには、上記の昇降用モータ２
１を逆転してスクリュー軸２３を逆回転してスライダ２
４を降下すればよい。更に、運転中に高速回転するパッ
ド９が床面の凹凸等に当って上に押上げる方向へ衝撃が
加わった場合には、パッド９の全体は引張りスプリング
２８又はサスペンション用圧縮スプリング３０Ｂによっ
て吊下げられた状態で支持されているため、パッド９へ
の衝撃力が吸収されてパッド９が保護され、加えて、ダ
ンパ用の圧縮スプリング３０Ａは更にこの衝撃を緩和す
るため、パッド９の破損を防止することを可能にする。

【００２１】更に本考案では、蝶番ボルト２６の長さを
ダブルナット２７によって調節自在にして、引張りスプ
リング２８及びサスペンション用圧縮スプリング３０Ｂ
の弾性力を加減自在に構成しているため、この調節によ
ってパッド９の床面への接触圧力を調整することを可能
にする。

【００２２】

【考案の効果】以上述べた次第で、本考案に係る床面艶
出機に於けるパッド用サスペンション装置によれば、パ
ッドとパッド用モータの荷重をスプリングで支持して床
面へのパッドの接触圧を軽くし、床面から衝撃を受けて
も接触圧に相当する荷重のみが反力として返って来るよ
うに構成したから、パッドへの衝撃力が吸収されて微小
な床面の凹凸に対しても優れた追従性が発揮されるた
め、衝撃によるパッド及び床面の損傷を防止できると共
に、蝶番ボルトの調節によってパッドの床面への接触圧
を調整できるため、床材の違いとか床面の汚れ具合等に
合せてパッドの接触圧を調整して、優れた艶出し効果を
発揮できるものであって、その実用的価値は極めて高
い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るサスペンション装置を備えた床面
艶出機の一例を示した一部断面側面図である。

【図２】本考案の要部の構成を示した側面図である。

【図３】本考案の要部の構成を示した図２のＸ−Ｘ線に
沿った断面図である。

【図４】本考案の他の実施例の要部を示した構成図であ
る。

【符号の説明】

１ 床面艶出機の車体 ４ 作動レバー ４ｃ リフト軸 ６ 昇降台 ８ パッド用モータ ９ パッド ２１ 昇降用モータ ２３ スクリュー軸 ２４ スライダ ２６ 蝶番ボルト ２６ｂ 押えカラー ２８ 引張りスプリング ２９ 取付金具 ３０Ａ ダンパ用圧縮スプリング ３０Ａ サスペンション用圧縮スプリング

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 機体内部に取付けた作動レバーによって
   上下作動される昇降台にパッド用モータと、このモータ
   によって高速回転して床面の艶出しを行うパッドを取付
   け、また、昇降用モータによって回転されるスクリュー
   軸に、スクリュー軸の回転に従って上下動するスライダ
   を取付けて、このスライダと上記の作動レバーを連繋す
   ることによって、昇降用モータの回転によってパッドを
   床面に対し上下動させるように構成した床面艶出機に於
   いて、上記のスクリュー軸を作動レバーよりも高く立設
   してスライダを作動レバーよりも高い位置で上下動する
   ように構成すると共に、このスライダに上下の長さを調
   節自在に構成した蝶番ボルトを取付けて、この蝶番ボル
   トに取付けた引張りスプリングの下端部に上述の作動レ
   バーの回動端側を吊下げて昇降台を支持したことを特徴
   とする床面艶出機に於けるパッド用サスペンション装
   置。
2. 【請求項２】 作動レバーの回動端側に架設したリフト
   軸に、断面略コ字形状に形成した取付金具の両脚部を取
   付けて、この取付金具にスライダに取付けた蝶番ボルト
   の下端側を上下摺動自在に挿通して、取付金具の底面と
   蝶番ボルトの下端部に取付けた押えカラーの間と、取付
   金具の上面とスライダの底面との間に、サスペンション
   用の圧縮スプリングとダンパ用の圧縮スプリングを夫々
   蝶番ボルトに巻装させて介在せしめたことを特徴とする
   請求項１記載の床面艶出機に於けるパッド用サスペンシ
   ョン装置。