JP2545710Y2 - 建設用雨避盤体 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、土木，建築の作業現場
の構築物や資材等に雨や雪が当らないように、それらに
仮設の覆いを掛けて中で仕事ができるようにするのに使
用する建設用雨避盤体に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の建設用雨避装置は、前後
においてそれぞれ、数個の梯子型建枠を適当間隔に立設
し、それらを筋交い等により連結して前後の支保工を形
成し、その前後の支保工上にわたしてビームを適当間隔
に並架し、該ビーム上に足場板を並架し、その足場板上
にシートまたは波板を張設して構成している。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】上記従来の建設用雨避
装置においては、

【０００４】（１） ビームをとび職の作業者が手で掛
けるのに、そのとび職の人手が不足している。

【０００５】（２） ビーム掛けが高いところでの手作
業であるので、危険が伴う。

【０００６】（３） ビームと足場板を固定する金具が
無くてそれらを番線等で締結しているために、その足場
板の固定が不安定である。

【０００７】（４） シートや波板を張設するから、そ
の上に作業者が足を落したりすると危険である。

【０００８】（５） 雨避体のシートや波板上に積雪し
た場合、その除雪には一番危険な仕事を人間がしなけれ
ばならない。

【０００９】（６） シートや波板は、一回で使い捨て
になつてしまつて不経済である。

【００１０】（７） 雨避体に任意に開口を形成するこ
とができないために、材料の出し入れをクレーンで行う
ことが不可能である。

【００１１】（８） 風が強い場合に、シートや波板が
吹上げられて飛ばされるおそれがあり、危険を伴う点で
ある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本考案は、建設に使用す
る両側の支保工間の横桟上にわたして簡易に並架し安定
して雨漏れしない上に、移動が可能で作業性が良くて安
全性があり、且つ、反復使用し得て経済性を向上した建
設用雨避盤体を提供することを目的とする。

【００１３】すなわち、Ｉ形鋼より成る前後方向の両側
主杆（１），（２）を適当間隔に並列し、両側主杆
（１），（２）の下方内側フランジ（イ），（イ）上に
多数の横桟（３）を適当間隔で掛けわたしてそれらを固
着し、多数の横桟（３）上にわたして安全性を有する波
形板（４）を、その溝（５）を前後方向になして張設
し、両側主杆（１），（２）中の一側主杆（１）上に雨
誘導片（６）を立設し、他側主杆（２）上には隣接する
建設用雨避盤体の一側の雨誘導片（６）上に重合する雨
誘導覆い片（７）を設けて雨避盤（８）を形成し、該雨
避盤（８）の両側主杆（１），（２）の前後には、前後
方向のローラ軸（９）により支持する横ローラ（１０）
と上下方向のローラ軸（１１）により支持する縦ローラ
（１２）を設けたローラ体（１３）のブラケツト（１
４）をそれぞれ着脱可能に取付けて建設用雨避盤体
（ａ）を構成し、両側の支保工間の横桟上にわたして簡
易に並架し安定して雨漏れしない上に、移動が可能で作
業性が良くて安全性があり、且つ、反復使用し得て経済
性を向上する目的を、Ｉ形鋼より成る両側主杆の間に多
数の横桟を並列固定し、その多数の横桟上にわたして安
全性を有する波形板を張設し、上記両側主杆上に雨誘導
片と雨誘導覆い片を設けて成る雨避盤の両側前後に、横
ローラと縦ローラを設けたローラ体を取付けて建設用雨
避盤体を構成することにより実現した。

【００１４】

【実施例】図面は、本考案の一実施例を示し、その構成
を図面について説明すれば、（ａ）は建設用雨避盤体を
示し、（８）はその雨避盤、（１），（２）は雨避盤
（８）のＩ形鋼より成る前後方向の両側主杆で、該両側
主杆（１），（２）の下方内側フランジ（イ），（イ）
上に角パイプより成る多数の横桟（３）を適当間隔で掛
けわたしてそれらを溶接し、多数の横桟（３）上にわた
して金属、または補強材を入れた硬化合成樹脂の安全性
を有する波形板（４）を、その溝（５）を前後方向にな
して張設する。（６）は一側主杆（１）の外側部上に外
側上方への斜め方向に突出させて立設した雨誘導片、
（７）は他側主杆（２）上に外側へ突出させて固着した
７字形の雨誘導覆い片、（１５）は両側主杆（１），
（２）の内側の中間前後にそれぞれ固定した吊具で、両
側主杆（１），（２）の上方内側フランジ（ロ）の側縁
に当ててその両側主杆（１），（２）より上方へ突出さ
せる。（ハ）は両側主杆（１），（２）の下方外側フラ
ンジである。

【００１５】（１３）はローラ体を示し、（１４）はロ
ーラ体（１３）の上片が長いコ字形ブラケツトで、その
上片の一側縁上に立上り片（１６）を、他側部上には嵌
合溝（１７）を形成する内側への折曲片（１８）をそれ
ぞれ設けて該折曲片（１８）の上片の前後のねじ孔に固
定ボルト（１９）をそれぞれ螺通し、コ字形ブラケツト
（１４）の上片先端部の下方に横ローラ（１０）を前後
方向のローラ軸（９）により支持して基部内に縦ローラ
（１２）を上下方向のローラ軸（１１）により支持す
る。

【００１６】そして、雨避盤（８）の両側主杆（１），
（２）の前後においてそれぞれ、図１および図２に示す
ようにローラ体（１３）を同方向へ向け該ローラ体（１
３）のブラケツト（１４）の嵌合溝（１７）を主杆
（１）または（２）の下方外側フランジ（ハ）に遊嵌し
て前後の固定ボルト（１９）を下方外側フランジ（ハ）
に締付け、両側主杆（１），（２）の前後にローラ体
（１３）を着脱可能に固定して雨避盤体（ａ）を構成す
る。

【００１７】（ｂ），（ｃ）は交互に高低になして前後
方向に適当間隔で立設する両側の高低の建設用支保工、
（ｄ）は支保工（ｂ），（ｃ）間、および前後両端の両
側支保工（ｂ）の間に立設する周囲支保工で、支保工
（ｂ），（ｃ），（ｄ）は梯子型建枠（２０）を組立て
て形成し、その梯子型建枠（２０）を筋交い（２１）等
によつて連結する。

【００１８】（２２）は前後両端の両側支保工（ｂ）の
上端間にそれぞれ架設したＩ形鋼の端部横桟、（２３）
は中間の両側支保工（ｂ）および（ｃ）上にそれぞれ取
付けた支持杆、（２４）は断面Ｖ字形のビームで、その
両上端にそれぞれ板状の中間横桟（２５）を設けて両側
支保工（ｂ）および両側支保工（ｃ）の支持杆（２３）
上の間にそれぞれ架設する。（２６）はビーム（２４）
内に設けた雨樋で、一側へ傾斜させて下端部に落下筒
（２７）を連設する。

【００１９】（２８）は吊ワイヤ、（２９）は吊ワイヤ
（２８）の先端に取付けたフツク、図１０および図１１
における（３０）は止具のクランプである。

【００２０】その雨避盤体（ａ）の使用法を説明する。
両側において、図４に示すように支保工（ｂ），（ｃ）
を交互になし適当間隔で立設すると共に、その支保工
（ｂ），（ｃ）の間および前後両端の両側支保工（ｂ）
の間に周囲支保工（ｄ）を立設し、その支保工（ｂ），
（ｃ），（ｄ）を筋交い（２１）等により連結して周囲
枠体を組立てる。

【００２１】前後両端の両側支保工（ｂ）の上端間には
横桟（２２）を、中間部の両側支保工（ｂ）および両側
支保工（ｃ）の上端の支持杆（２３）上の間には雨樋
（２６）付ビーム（２４）をそれぞれ架設する。

【００２２】次いで、順次、図２に示すように雨避盤体
（ａ）の吊具（１５）に吊ワイヤ（２８）のフツク（２
９）を引掛けて雨避盤体（ａ）をクレーンにより吊上
げ、図６に示すように雨避盤体（ａ）のローラ体（１
３）の横ローラ（１０）側を下側になして雨避盤体
（ａ）の前後の両側ローラ体（１３）の横ローラ（１
０）を隣接する横桟（２２），（２５）上、または横桟
（２５），（２５）上に載せ、縦ローラ（１２）をその
横桟（２２）または横桟（２５）の端縁に当てて雨避盤
体（ａ）を載置し、その後、雨避盤体（ａ）をその横ロ
ーラ（１０）および縦ローラ（１２）の転動により側方
へ移動させ、該雨避盤体（ａ）の雨誘導覆い片（７）を
隣接する雨避盤体（ａ）の雨誘導片（６）の上方にかぶ
せて雨避体を構成する。

【００２３】而して、雨避盤体（ａ）および雨樋（２
６）の傾斜により、雨避体上の雨水や雪解け水は、その
各雨避盤体（ａ）の波形板（４）の溝（５）内を流下し
て雨樋（２６）内に落入し、該雨樋（２６）内を一側へ
流下して落下筒（２７）より外方へ排出される。

【００２４】作業途中において材料をクレーンで出し入
れする場合には、雨避体の開口が必要な箇所までの一側
または他側の雨避盤体（ａ）を図５に矢印で示すように
順次外側へ押せば、その雨避盤体（ａ）の横ローラ（１
０）および縦ローラ（１２）が横桟（２２），（２５）
または横桟（２５），（２５）に沿つて転動し、雨避盤
体（ａ）が外側へ移動して雨避体の所要箇所に開口が形
成されるから、その開口より材料の出し入れを行う。

【００２５】材料の出し入れ作業が終つた後は、上記の
移動した雨避盤体（ａ）を順次上記と反対に内側へ押す
と、その雨避盤体（ａ）が上記と反対に移動し復帰して
元の雨避体になる。

【００２６】一方、ローラ体（１３）の固定ボルト（１
９）の締付けをゆるめると、ローラ体（１３）のブラケ
ツト（１４）の主杆（１）または（２）への固定が解か
れるから、その後ローラ体（１３）を両側主杆（１），
（２）より抜出して取外すことができる。

【００２７】従つて、ローラ体（１３）の必要が無い場
合には、図１０および図１１に示すようにローラ体（１
３）を取外し、順次雨避盤（８）の両側主杆（１），
（２）の前後端部を直接、上記と同様に隣接する横桟
（２２），（２５）上または横桟（２５），（２５）上
に載置してその両側主杆（１），（２）の下方外側フラ
ンジ（ハ）と横桟（２２）または横桟（２５）の重合部
をクランプ（３０）により締付け固定すると、多数の雨
避盤（８）によつて雨避体が形成される。

【００２８】この場合も、作業途中において材料をクレ
ーンで出し入れする場合には、雨避体の開口が必要な箇
所の雨避盤（８）を横桟（２２）または横桟（２５）に
固定するクランプ（３０）を取外し、その雨避盤（８）
の吊具（１５）に図２に示すように吊ワイヤ（２８）の
フツク（２９）を引掛けクレーンにより上記雨避盤
（８）を吊上げて取外せば、雨避体の所要箇所に開口を
形成できる。

【００２９】材料の出し入れ作業が終つた後は、取外し
た雨避盤（８）をクレーンにより吊上げ元の位置に戻し
てその雨避盤（８）の両側主杆（１），（２）と横桟
（２２）または横桟（２５）の重合部をクランプ（３
０）により締付け固定すると、雨避体が形成される。

【００３０】雨避盤体（ａ）をトラツクの荷台に積込ん
だり、資材置場に収納する等の場合には、雨避盤体
（ａ）のローラ体（１３）を取外し、図２に示すように
順次、雨避盤（８）の吊具（１５）に吊ワイヤ（２８）
のフツク（２９）を引掛けクレーンにより雨避盤（８）
を吊上げて雨避盤（８）の両側主杆（１），（２）を下
方に位置する雨避盤（８）の両側主杆（１），（２）上
に載置してゆけば、上方に位置する雨避盤（８）の両側
主杆（１），（２）の下方内側フランジ（イ），（イ）
が下方に位置する雨避盤（８）の両側前後の吊具（１
５）に係止し横滑りを防止されて積上げた雨避盤（８）
が荷崩れすることは無い。

【００３１】なお、上記クランプ（３０）の止具に代え
て他の構成の止具を使用してもよい。

【００３２】

【考案の効果】本考案の建設用雨避盤体は、下記のよう
な利点がある。

【００３３】（１） 雨避盤体の両側主杆の前後には、
横ローラと縦ローラを設けたローラ体をそれぞれ着脱可
能に取付ける。従つて、

【００３４】（イ） 雨避盤体の前後のローラ体の横ロ
ーラを隣接する横桟上に載置することにより、そのロー
ラ体の縦ローラが横桟の端縁に接合して雨避盤体は取付
けられるから、雨避盤体の着脱を容易迅速に行うことが
でき、取扱い易くて作業性が良い。

【００３５】（ロ） 雨避盤体は、両側前後のローラ体
の縦ローラが横桟に接合して支持されるから、雨避盤体
を傾斜させて載置してもその取付けは確実堅固である。

【００３６】（ハ） 雨避盤体は、そのローラ体の横ロ
ーラと縦ローラが横桟に沿つて移動するから、多数の雨
避盤体を容易円滑に移動し適確に並設して雨避体を構成
することができる。

【００３７】（ニ） 必要なときに、雨避盤体を簡易に
側方へ移動して雨避体に開口を形成することができる。

【００３８】（ホ） 雨避盤体のローラ体を取外せば雨
避盤体の厚さが薄くなるから、運搬，収納等に便利であ
る。

【００３９】（ヘ） ローラ体が必要で無い場合には、
雨避盤体のローラ体を取外して雨避盤により雨避体を構
成することもできる。

【００４０】（２） 雨避盤体の雨避盤の両側主杆をＩ
形鋼により作製してその両側主杆の間に多数の横桟を架
設するから、雨避盤体は堅牢である。

【００４１】（３） 多数の横桟上に安全性を有する波
形板を、その溝を前後方向になして張設するから、

【００４２】（イ） 作業者が雨避盤体上に上つても安
全である。

【００４３】（ロ） 雨避盤体を前後方向に傾斜させて
取付け、雨や雪解け水の排出が良い。

【００４４】（４） 雨避盤体の雨避盤の一側主杆上に
雨誘導片を、他側主杆上に雨誘導覆い片をそれぞれ設け
るから、隣接する雨避盤体の雨誘導片と雨誘導覆い片を
重合させて雨避盤体を並架すると、雨、雪等の漏りが無
い。

【００４５】（５） 雨避盤体の使用する個数を変更す
ると、大小任意の作業現場の雨避体に兼用で使用できて
作業上有益である。

【００４６】（６） 雨避盤体を反復使用できて経済的
である。

【００４７】（７） 雨避盤体を既存の組足場にも使用
することができて汎用性が大である。

【００４８】（８） 構造が簡単で、容易安価に製作で
きる。

【００４９】（９） 雨避盤体の吊具をその雨避盤の両
側主杆の内側前後に上方へ突出させて設けると、雨避盤
体のローラ体を取外してその雨避盤を積重ねるとき、雨
避盤の両側主杆が下方に位置する雨避盤の両側前後の吊
具に係止して横滑りを防止され、荷崩れしなくて運搬、
収納および安全上有益である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係る建設用雨避盤体の側面
図である。

【図２】同上拡大正面図である。

【図３】同上平面図で、中間部を切欠して示す。

【図４】同上建設用雨避盤体を使用して建設用雨避体を
構成した状態の一部の側面図である。

【図５】同上要部の拡大正断面図である。

【図６】同上要部の拡大側断面図で、中間部を切欠して
示す。

【図７】その雨避盤体のローラ体取付部の拡大側面図で
ある。

【図８】同上分解斜面図である。

【図９】同上雨避盤体支持部の拡大正面図で、中間部を
切欠して示す。

【図１０】同上雨避盤体のローラ体を取外して雨避盤に
より建設用雨避体を構成した状態の要部の側面図で、中
間部を切欠して示す。

【図１１】同上雨避盤固定部の拡大正面図である。

【符号の説明】

ａ 建設用雨避盤体 ｂ 高支保工 ｃ 低支保工 ｄ 周囲支保工 １ 一側主杆 ２ 他側主杆 ３ 横桟 ４ 安全性を有する波形板 ５ 溝 ６ 雨誘導片 ７ 雨誘導覆い片 ８ 雨避盤 ９ ローラ軸 １０ 横ローラ １１ ローラ軸 １２ 縦ローラ １３ ローラ体 １４ ブラケツト １５ 吊具 １６ 立上り片 １７ 嵌合溝 １８ 折曲片 １９ 固定ボルト ２０ 梯子型建枠 ２１ 筋交い ２２ 端部横桟 ２３ 支持杆 ２４ ビーム ２５ 中間横桟 ２６ 雨樋 ２７ 落下筒 ２８ 吊ワイヤ ２９ フツク ３０ クランプ イ 下方内側フランジ ロ 上方内側フランジ ハ 下方外側フランジ

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 Ｉ形鋼より成る前後方向の両側主杆を適
   当間隔に並列し、該両側主杆の下方内側フランジ上に多
   数の横桟を適当間隔で掛けわたしてそれらを固着し、上
   記多数の横桟上にわたして安全性を有する波形板を、そ
   の溝を前後方向になして張設し、上記両側主杆中の一側
   主杆上に雨誘導片を立設し、他側主杆上には隣接する建
   設用雨避盤体の一側の上記雨誘導片上に重合する雨誘導
   覆い片を設けて雨避盤を形成し、該雨避盤の両側主杆の
   前後には、前後方向のローラ軸により支持する横ローラ
   と上下方向のローラ軸により支持する縦ローラを設けた
   ローラ体のブラケツトをそれぞれ着脱可能に取付けてな
   る建設用雨避盤体。
2. 【請求項２】 両側主杆の内側の前後に、その主杆の上
   方内側フランジの側縁より上方へ突出する吊具を設けて
   なる請求項１記載の建設用雨避盤体。