JP2543912Y2 - 塗工装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は紙などのシート状の製品
にサイズ液、顔料などの塗液を連続して塗布したり、同
じ塗液を連続して重ね塗りするための塗工装置に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、紙などのシートにサイズ液や顔料
などの塗液を塗布する場合、上向きに塗液の塗布を行う
ブレードコータ及びロールコータの如き上向きアプリケ
ータが一般的であり、その中でも図４に示すようなブレ
ードコータが一般に多く用いられている。

【０００３】従来、図３、図４に示す如くシート２に塗
液３の二度塗りを連続して行う場合、まず第１の塗工部
１ａにおいて、ガイドロール４からバッキングロール５
の下側外周面に沿わせて矢印方向に導くようにしている
シート２における前記バッキングロール５の下側位置
に、図示するようなファウンテン式或いは図示しないロ
ール式の上向きアプリケータ６の塗布装置７ａによりシ
ート２の下面に塗液３を塗布し、続いて塗布装置７ａの
下流側に備えたブレード７ｂにより、シート２に塗布さ
れた塗液３が一定の厚さになるように余剰分３ａを掻き
落とし、続いて乾燥機８によって塗布された塗液３を乾
燥させた後、第２の塗工部１ｂにおいて、他のバッキン
グロール５’に掛けたシート２に、上述したと同様に上
向きアプリケータ６を介して前記塗液３の塗布面上に塗
液９を塗布するようにして二度塗りを行なっている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら上述した
上向きアプリケータ６においては、シート２をバッキン
グロール５の下面に掛けるように導きその後上方に立ち
上げるようにして、前記下部に塗布装置７ａを、又立ち
上げ部にブレード７ｂを設ける必要があるため、その構
成上の理由によって一方の塗工部１ａと他方の塗工部１
ｂとの間にガイドロール４を設けることなく連続した二
度塗りを行なうことができないという問題がある。

【０００５】従って二度塗りを行なう際、第１の塗工部
１ａにて塗布した塗液３の塗布面が、第２の塗工部１ｂ
によって塗液９が塗布される前に、ガイドロール４にど
うしても接触してしまうので、この問題を解決するため
に一度目の塗液３の塗布が終了した後、乾燥させる必要
があり、そのために乾燥機８を必要として装置が複雑に
なると共に、シート２を複数のガイドロール４に掛け巡
らす必要があるために更に構造が複雑になるという問題
がある。

【０００６】又上述した如く装置が複雑化することによ
って、二度塗りを行なう第１の塗工部１ａと第２の塗工
部１ｂとの間の間隔が必然的に広くなってしまい、シー
ト２の移動方向に装置が長大化してしまうという問題が
ある。

【０００７】本考案は斯かる実情に鑑みなしたもので、
シートへの塗液の連続した二度塗りを、簡略且つコンパ
クトな装置で実施することができる塗工装置を提供する
ことを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本考案は、第１のバッキ
ングロールに巻き掛けられているシートに第１のバッキ
ングロール上端部近傍で上方から塗液をシート上面にカ
ーテン状に流下させ塗布するカーテン式アプリケータ
と、前記第１のバッキングロールに近接して配置された
第２のバッキングロール下端に前記第１のバッキングロ
ール下端から直線的に送給されて巻き掛けられているシ
ート下面に上向きに塗液の塗布を行う上向きアプリケー
タを備えたものである。

【０００９】

【作用】本考案によれば、カーテン式アプリケータは、
第１のバッキングロールに巻き掛けられているシートに
第１のバッキングロール上端部近傍で上方から塗液をシ
ート上面にカーテン状に流下させ塗布し、且つ上向きア
プリケータは、前記第１のバッキングロールに近接して
配置された第２のバッキングロール下端に前記第１のバ
ッキングロール下端から直線的に送給されて巻き掛けら
れているシート下面に上向きに塗液の塗布を行うので、
第１のバッキングロールに接触するシート面と第２のバ
ッキングロールに接触するシート面は同一面となり、こ
のため、第１のバッキングロールと第２のバッキングロ
ールとの間にシートの進行方向を曲折させるためのガイ
ドローラを設ける必要がなく、又、シートの塗液塗布面
にガイドローラが接触することがないため、塗布面を乾
燥させる乾燥機を設ける必要がなく、従って、両アプリ
ケータを接近させて配置することが可能となり、装置の
小型化、簡略化をなし得る。

【００１０】

【実施例】以下、図面に基づいて本考案の実施例を説明
する。

【００１１】図１は本考案の一実施例であり、図中１０
はシートであり、該シート１０は、一方のバッキングロ
ール（第１のバッキングロール）５及び該一方のバッキ
ングロール５の近傍位置に略平行に配置された他方のバ
ッキングロール（第２のバッキングロール）５’に同一
の面（非塗布面１０’）が接するように掛けられて移動
するようになっている。

【００１２】前記一方のバッキングロール５の上方位置
には、バッキングロール５の外周面に沿って移動するシ
ート１０にサイズ液や顔料などの塗液３を塗布するカー
テン式アプリケータ１１が備えられている。

【００１３】該カーテン式アプリケータ１１は図２に示
す如く、バッキングロール５の外周面に沿って移動する
シート１０の上方に、該シート１０の上面に自然落下
（又は噴出）により塗液３を塗布し得る給液ヘッド１２
を配設している。該給液ヘッド１２は、フレームなど
（図示せず）に固設された上部支持部材１３から下垂す
ると共にシート１０幅方向に該シート１０幅と略同じ長
さで延び且つシート１０進行方向で前部と後部とに分れ
内部に塗液３を供給するヘッダー１４を形成し得るよう
にした前部ヘッド部１５及び後部ヘッド部１６と前部ヘ
ッド部１５の下部にボルトなどのスリット部調整機構１
７を介して取り付けられ、後部ヘッド部１６との間でシ
ート１０幅方向に該シート１０幅と略同じ長さで延び前
記ヘッダー１４と連通するスリット１８を形成するリッ
プ１９とを備えている。

【００１４】更に、他方のバッキングロール５’の下側
位置には、前記シート１０の塗液３が塗布された塗布面
に対して塗液９を上向きに塗布する塗布装置７ａと該塗
布装置７ａのシート１０の移動方向下流側に配設されて
前記塗布面に塗布された塗液９が一定の厚さとなるよう
余剰分の塗液９を掻き落とすようにしたブレード７ｂと
からなる図４と同様の上向きアプリケータ２０が備えら
れている。

【００１５】尚、図中４はシート１０をバッキングロー
ル５へと案内するガイドローラ、２１はカーテン膜を示
している。

【００１６】ガイドロール４に案内されて、一方のバッ
キングロール５の外周面に沿って移動するシート１０の
上面に、バッキングロール５の上方からカーテン式アプ
リケータ１１による塗液３の塗布を行なう。即ち、カー
テン式アプリケータ１１の給液ヘッド１２のヘッダー１
４から、スリット１８を介して塗液３を自然落下（又は
噴出）させることにより、カーテン膜２１を形成させな
がら塗布を行なう。

【００１７】このとき、塗液３をシート１０の幅方向に
均一に塗布することが非常に重要であり、そのために従
来と同様に予めスリット１８間隔をスリット部調整機構
１７により正確に調整しておき、その後一定量の塗液３
を供給した状態においてカーテン膜２１の幅方向の塗液
３の単位幅当りの流量を計測し、その計測値に基づいて
前記スリット部調整機構１７によりスリット１８の間隔
を微調整し全幅均一な流量となるようにしている。

【００１８】塗液３を塗布されたシート１０の塗布面に
は、他方のバッキングロール５’の下側位置配設された
上向きアプリケータ２０によって上向きに顔料などの塗
液９が塗布され、続いて上向きアプリケータ２０の下流
側に配設したブレード７によって余分な塗液９が掻き落
とされてシート１０の塗液３の塗布面上に一定厚さの塗
液９の層が形成される。

【００１９】従って上記したように下向きに塗液３の塗
布を行なうカーテン式アプリケータ１１と、上向きに塗
液９の塗布を行なう上向きアプリケータ２０とを前後に
組合わせて備えるようにしたことにより、両アプリケー
タ１１，２０を接近させて配置することが可能となり、
しかも両アプリケータ１１，２０間に図３に示すような
シート２を掛け巡らすガイドロール４や乾燥機８を設置
する必要が無いことにより、構造の小型化、簡略化を図
ることができる。

【００２０】尚、本考案の塗工装置は、上述の実施例に
のみ限定されるものではなく、塗液は下塗りを行なうサ
イズ液と顔料との組合わせ、或いは同一液の二度塗りな
ど、任意に実施できること、カーテン式アプリケータ及
び上向きアプリケータは実施例中のものに限定されるも
のではないこと、その他、本考案の要旨を逸脱しない範
囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。

【００２１】

【考案の効果】以上説明したように本考案の塗工装置に
よれば、シートは第１のバッキングロール下端から第２
のバッキングロール下端へ直線的に送給されているた
め、第１のバッキングロールに接触するシート面と第２
のバッキングロールに接触するシート面は同一面とな
り、このため、第１のバッキングロールと第２のバッキ
ングロールとの間にシートの進行方向を曲折させるため
のガイドローラを設ける必要がなく、又、シートの塗液
塗布面にガイドローラが接触することがないため、塗布
面を乾燥させる乾燥機を設ける必要がなく、従って、両
アプリケータを接近させて配置することが可能となり、
装置の小型化、簡略化をなし得るという優れた効果を奏
し得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の側面図である。

【図２】図１のＩＩ部拡大断面図である。

【図３】従来のシートへの塗液の塗布を行なう塗工装置
の側面図である。

【図４】図３のＩＶ部拡大側面図である。

【符号の説明】

３ 塗液 ５ 一方のバッキングロール（第１のバッキングロ
ール） ５’ 他方のバッキングロール（第２のバッキングロ
ール） ９ 塗液 １０ シート １０’ 非塗布面 １１ カーテン式アプリケータ ２０ 上向きアプリケータ

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 第１のバッキングロールに巻き掛けられ
   ているシートに第１のバッキングロール上端部近傍で上
   方から塗液をシート上面にカーテン状に流下させ塗布す
   るカーテン式アプリケータと、前記第１のバッキングロ
   ールに近接して配置された第２のバッキングロール下端
   に前記第１のバッキングロール下端から直線的に送給さ
   れて巻き掛けられているシート下面に上向きに塗液の塗
   布を行う上向きアプリケータを備えたことを特徴とする
   塗工装置。