JP2543456Y2 - 足踏み式パーキングブレーキの自動解除装置 - Google Patents

足踏み式パーキングブレーキの自動解除装置

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JP2543456Y2
JP2543456Y2 JP1830691U JP1830691U JP2543456Y2 JP 2543456 Y2 JP2543456 Y2 JP 2543456Y2 JP 1830691 U JP1830691 U JP 1830691U JP 1830691 U JP1830691 U JP 1830691U JP 2543456 Y2 JP2543456 Y2 JP 2543456Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は足踏み式パーキングブレ
ーキ操作装置に係り、特に、そのパーキングブレーキの
作動状態を電動モータを駆動源として自動的に解除する
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一軸まわりの回動可能にブラケットに配
設された操作ペダルが原位置から足踏み操作されること
によりパーキングブレーキを作動させるとともに、ポー
ルとラチェットとの噛合いによりその操作ペダルの原位
置へ向かう方向の回動を阻止してパーキングブレーキの
作動状態を維持する形式の足踏み式パーキングブレーキ
操作装置が、例えばオートマチックトランスミッション
による自動車に採用されている。このようなパーキング
ブレーキ操作装置においては、前記ポールとラチェット
との噛合いを解除してパーキングブレーキの作動状態を
解除するための解除装置が設けられており、そのような
解除装置の一種に、電動モータを駆動源としてポールを
ラチェットとの噛合いが解放される方向に回動させるよ
うに構成され、例えば自動車が予め定められた一定の運
転状態とされた時にはパーキングブレーキの作動状態を
自動的に解除する自動解除装置がある。具体的な例とし
ては、図9に示すように、ラチェット22′を備えた操
作ペダル16′、およびそのラチェット22′に噛み合
うポール24′が配置されるとともに、電動モータ5
2′の出力軸に固定されたウォームギヤ56′により減
速して回転させられるウォームホイール46′が配設さ
れ、そのウォームホイール46′に固定されて矢印の方
向に一体的に回転する解除カム88が、ラチェット2
2′と噛み合っているポール24′を図における右まわ
りに回動させることにより、操作ペダル16′の図にお
ける右まわり方向の回動を許容してパーキングブレーキ
の作動状態を解除するようになっている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら、図9に
示された解除カム88によりポール24′を回動させる
ためには、ウォームホイール46′の回転トルクとして
大きな駆動力が必要とされていた。詳しくは、図10に
示すように、ポール24′をラチェット22′との噛合
いが解放する方向へ回動させるために、解除カム88か
らポール24′に加えられるモーメントMは、解除カム
88がポール24′に力を及ぼす作用点においてウォー
ムホイール46′から加えられる力F′に基づいて力の
釣り合い条件から定まるポール24′を押す力P′と、
ポール24′の回動中心から力F′の作用点までの距離
R′との積で表される。力F′の大きさは、ウォームホ
イール46′の回転トルクT′を解除カム88の回動中
心から力F′の作用点までの距離e′で除した値であ
り、一定の回転トルクT′に対し距離e′に反比例す
る。したがって、この距離e′を小さくすればF′を大
きくすることができるが、距離e′は、ポール24′の
噛合いを解放させるために必要な回動角度θに対応して
予め定められた大きさ以上の寸法が必要とされることか
ら、小さくするにも限界がある。このため、ポール2
4′およびラチェット22′の噛合いを解放させるのに
必要なモーメントMを確保するためには、比較的大きな
ウォームホイール46′の回転トルクT′が、言い換え
れば、比較的大きな出力の電動モータ52′が必要とさ
れていた。
【0004】本考案は以上の事情を背景として為された
ものであり、その目的とするところは、足踏み式パーキ
ングブレーキの自動解除装置における電動モータの駆動
力負荷を軽減させることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
め、本考案の要旨とするところは、一軸まわりの回動可
能にブラケットに配設された操作ペダルが原位置から足
踏み操作されることによりパーキングブレーキを作動さ
せるとともに、ポールとラチェットとの噛合いによりそ
の操作ペダルの原位置へ向かう方向の回動を阻止してパ
ーキングブレーキの作動状態を維持する形式の足踏み式
パーキングブレーキ操作装置において、パーキングブレ
ーキの作動状態を自動的に解除するために、電動モータ
を駆動源として前記ポールを前記ラチェットとの噛合い
が解放される方向に回動させる自動解除装置であって、
(a)前記ブラケットに回転可能に配設されるととも
に、前記電動モータによりウォームギヤを介して予め定
められた初期位置から1回転ずつ回転させられるウォー
ムホイールと、(b)そのウォームホイールの回転中心
から所定の半径位置にある一点において相対回動可能に
連結されて、ウォームホイールの回転に伴って略一直線
方向へ往復移動させられるとともに、そのウォームホイ
ールが前記初期位置に位置させられたときに上記往復移
動の一方の移動端に位置させられるロッド部材と、
(c)前記ポールと係合可能に前記ロッド部材に設けら
れ、そのロッド部材が前記一方の移動端から他方の移動
端まで移動させられる際に上記ポールを回動させて前記
ラチェットとの噛合いを解放する係合部とを有すること
にある。
【0006】
【作用および考案の効果】上記足踏み式パーキングブレ
ーキの自動解除装置においては、ロッド部材が、ウォー
ムホイールの回転中心から所定の半径位置にある一点に
おいて相対回動可能に連結されてそのウォームホイール
の回転に伴って往復移動させられるとともに、ポールと
係合可能な係合部を備えており、ウォームホイールが電
動モータの駆動力によりその初期位置から半回転180
度回転させられると、ロッドが上記往復移動における一
方の移動端から他方の移動端まで移動させられ、上記係
合部がポールを回動させてラチェットとの噛合いを解放
する。このとき、上記所定の半径位置に連結されたロッ
ド部材はその半径寸法の2倍の距離を移動させられるた
め、ラチェットとの噛合いを解放させるために必要なポ
ールの回動角度に対応する移動必要寸法を基準として考
えると、その移動必要寸法の半分に上記半径寸法を設定
すればよいことになる。このため、解除カムより構成さ
れた従来の装置の場合に比較して略2倍の大きさの力を
ポールに作用させることができ、言い換えれば、電動モ
ータの駆動力負荷が略半分に軽減させられる。これによ
り、ポールを回動させるのに必要な駆動源として従来の
略半分の出力の電動モータを用いることが可能となると
ともに装置を軽量且つコンパクトに構成することができ
るようになる。
【0007】また、ロッド部材を介して間接的にポール
を回動させるように構成されているため、ロッド部材の
長さ寸法を適宜変更することにより、ウォームホイール
や電動モータの配設位置を任意に変更でき、ウォームホ
イールと一体的に回転させられる解除カム等の部材が直
接ポールを回動させる場合に比較して、各部品の設置に
際しての自由度が向上させられる。
【0008】
【実施例】以下、本考案の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。
【0009】図2は、本考案の一実施例である自動解除
装置を備えた足踏み式パーキングブレーキ操作装置10
の構成を示す図であり、この足踏み式パーキングブレー
キ操作装置10は、ブラケット12を介してオートマチ
ックトランスミッションによる自動車の運転席下部に取
り付けられている。ブラケット12およびそのブラケッ
ト12と共に装置の外枠を構成するブラケット13の間
には一軸としてのシャフト14が固定され、そのシャフ
ト14には、下端部に図示しないペダルパッドを備えた
操作ペダル16がシャフト14まわりの回動可能に配設
されている。操作ペダル16は図示しないリターンスプ
リングにより図2において右まわりに回動する方向へ付
勢されており、常にはストッパクッション18により原
位置に位置決めされている。上記操作ペダル16は、ブ
レーキケーブル20を介して自動車の車輪に設けられた
パーキングブレーキと連結されており、原位置から図に
おける左まわりに踏込み操作されることにより、ブレー
キケーブル20を引き締めてそのパーキングブレーキを
作動させる。図1は、図2における装置内部を詳しく示
す図である。図において、操作ペダルの上端部にはシャ
フト14を中心とする円弧に沿ってラチェット22が設
けられており、そのラチェット22にはポール24が噛
み合わされるようになっている。ポール24は、シャフ
ト14と平行にブラケット12,13に固設されたピン
26の軸心まわりの回動可能に配設されており、そのピ
ン26まわりに配設された捩りコイルスプリング28に
より常にはラチェット22と噛み合う方向、すなわち図
1における左まわり方向に付勢されている。これらラチ
ェット22とポール24との噛合いにより、操作ペダル
16の踏込み位置から原位置へ向かって右まわりに回動
することが阻止され、前記パーキングブレーキの作動状
態が維持される。なお、操作ペダル16の左回り方向の
回動は、上記ポール24が捩りコイルスプリング28の
付勢力に抗してラチェット22を乗り越えることによっ
て許容される。
【0010】図2に戻って、ポール24の近傍には、そ
のポール24と当接可能な当接部29を備えたレリーズ
レバー30が配設されている。レリーズレバー30は、
前記ピン26と平行に前記ブラケット12およびブラケ
ット13に固設されたピン32の軸心まわりの回動可能
に設けられており、そのピン32まわりに配設された捩
りコイルスプリング34によって常にはピン32の左ま
わりに回動する方向へ付勢されている。レリーズレバー
30は、運転席に設けられた図示しないレリーズノブに
レリーズケーブル36を介して連結されており、そのレ
リーズノブが引張り操作されることによりピン32の右
まわりに回動させられ、上記当接部29がポール24の
レバー部38と係合させられるようになっている。これ
ら当接部29とレバー部38との係合により、ポール2
4はピン26の右まわりに回動させられて前記ラチェッ
ト22との噛合いが解放され、操作ペダル16が原位置
に向かって回動することが許容されるとともに、その操
作ペダル16は前記リターンスプリングおよびブレーキ
ケーブル20の張力によって原位置まで戻され、パーキ
ングブレーキの作動状態が解除される。
【0011】前記したようにポール24は捩りコイルス
プリング28により左まわり方向に付勢されているが、
前記レバー部38が長尺状のロッド40に設けられた係
合部42と当接させられることにより、それ以上の左ま
わりの回動が阻止されている。ロッド40の下端は、ブ
ラケット12に固設されたピン44まわりの回転可能に
配設されたウォームホイール46と一体的に回転する偏
心リンク48の一端、すなわちウォームホイール46の
回転中心から所定の半径位置にある一点において相対回
動可能に連結されている。ここで所定の半径とは、ポー
ル24のラチェット22との噛合いを解放させるために
必要なポール24の回動角度などから予め定められたロ
ッド40の移動必要量に対応する。一方、ロッド40の
上端には、ブラケット12との間に張設された引張コイ
ルスプリング50が掛け止められている。上記ウォーム
ホイール46は、ブラケット12に固設された電動モー
タ52の出力軸54に固定されて回転させられるウォー
ムギヤ56に噛み合わされており、減速されることによ
り増幅された駆動トルクにて、図1に示されている状態
を初期位置として1回転ずつ回転させられるようになっ
ている。
【0012】このため、上記ロッド40は、ウォームホ
イール46の回転に伴い、偏心リンク48を介して上下
方向に往復移動させられる。また、ロッド40は、図1
に示すように、ウォームホイール46が上記初期位置に
位置させられたときに往復移動の一方の移動端である上
方の移動端に位置させられており、その上方の移動端か
ら下方の移動端まで移動する際に、上記係合部42を介
してレバー部38を引き下げ、これによりポール24を
右まわりに回動させてラチェット22との噛合いを解放
させるようになっている。本実施例においては、上記ロ
ッド40、ウォームホイール46、ウォームギヤ56、
および電動モータ52によって自動解除装置が構成され
ている。
【0013】図1におけるロッド40等の右側面図であ
る図3から判るように、ロッド40は係合部42の下方
に予め定められた大きさの空間58を形成しており、そ
の空間内にレバー部38が挿通させられた状態で位置さ
せられている。これは、操作ペダル16が踏み込まれて
ポール24がラチェット22を乗り越える際に、そのポ
ール24の往復回動を妨げることがないようにするため
である。なお、図示は省略するが、ポール24がラチェ
ット22と噛み合った状態においては、捩りコイルスプ
リング28に付勢されたそのポール24の回動位置がラ
チェット22によって規定されるため、レバー部38は
係合部42から離間させられた状態となる。また、ウォ
ームホイール46とポール24との配設位置の関係によ
り、ロッド40の長さ寸法を適宜変更して構成すること
が可能である。
【0014】電動モータ52は、図4に示す制御ブロッ
ク図から判るように、コントローラ60からモータ駆動
制御装置62に供給される駆動信号DDに従って作動さ
せられる。コントローラ60はマイクロコンピュータ6
4を備えて構成されており、そのマイクロコンピュータ
64には、運転席に設けられたイグニッションスイッチ
66、パーキングブレーキ自動解除スイッチ68がON
操作されることによりそれぞれ信号SS1,SS2が供
給されるとともに、前記操作ペダル16が予め定められ
た一定量以上踏込み操作されたことを検出するセンサ7
0、シフトレバー位置を検出するセンサ72、アクセル
ペダルが予め定められた一定量以上踏込み操作されたこ
とを検出するセンサ74、および前記偏心リンク48の
回転角を検出するセンサ76からそれぞれ信号SS3〜
SS6が供給されるようになっている。
【0015】上記センサ70はパーキングブレーキが作
動状態であるか否かを検出するためのもので、前記予め
定められた一定量は、例えばパーキングブレーキを作動
させるのに必要な張力をブレーキケーブル20に生じさ
せる踏込み量よりも少ない踏込み操作量に設定される。
また、センサ74は自動車を発進させるのに必要なトル
クが車輪に伝達されているか否かを検出するためのもの
で、前記予め定められた一定量は、例えば坂路等で自動
車を発進させる際にパーキングブレーキを解除しても自
動車が後退しない程度のトルクが車輪に伝達される踏込
み操作量に設定される。なお、これらのセンサ70,7
2,74,76としては、、近接スイッチやリミットス
イッチ、ロータリーエンコーダなど、検出対象に応じて
種々の検出器が採用される。また、センサ70の代わり
にブレーキケーブル20の張力を検出するセンサを用い
たり、センサ74の代わりにエンジン回転速度や車輪の
伝達トルク等を検出するセンサを用いたりすることも可
能である。
【0016】マイクロコンピュータ64は、CPU,R
AM,ROMを備えて構成されており、RAMの一時記
憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラム
に従って、例えば図5に示されているように信号処理を
行い、前記駆動信号DDを出力する。また、パーキング
ブレーキ自動解除スイッチ68、センサ70から信号S
S2,SS3が供給されることにより、表示信号DH
1,DH2を出力し、運転席に設けられた自動解除表示
器78、パーキングブレーキ作動表示器80をそれぞれ
点灯させる。
【0017】上記図5においては、先ず、ステップS1
が実行されることにより、イグニッションスイッチ66
がON操作されたか否か、すなわち信号SS1が供給さ
れているか否かが判断され、信号SS1が供給されると
ステップS2以下が実行される。ステップS2〜ステッ
プS5においては、パーキングブレーキ自動解除スイッ
チ68がON操作されたか否か、操作ペダル16が一定
量以上踏込み操作されたか否か、シフトレバーがパーキ
ング「P」およびニュートラル「N」以外、すなわち前
進または後進位置であるドライブ「D」,ロー「1」,
セカンド「2」,リバース「R」等に位置させられてい
るか否か、アクセルペダルが一定量以上踏込み操作され
たか否かが、それぞれ前記信号SS2,SS3,SS
4,SS5に基づいて順次判断され、それらの条件を全
て満たしている場合には次のステップS6が実行される
が、何れか1つでも満足していない場合にはそれらの実
行が繰り返される。ステップS6においては、前記駆動
信号DDがモータ駆動制御装置62に出力され、電動モ
ータ52が作動させられることによりロッド40が前記
上方の移動端と下方の移動端との間を往復移動させられ
る。そして、次のステップS7においては、前記センサ
76から供給される信号SS6に基づいて上記偏心リン
ク48が1回転したか否かが判断され、ロッド40が1
往復して上方の移動端に戻されると続くステップS8に
おいて前記駆動信号DDの出力が停止される。
【0018】前記ステップS6〜ステップS8によりロ
ッド40が1往復させられる過程では、ロッド40が図
6に示すようにその往復移動における下方の移動端に達
するまでの間に、前述したようにポール24とラチェッ
ト22との噛合いが解放され、操作ペダル16がリター
ンスプリング等により原位置まで戻されてパーキングブ
レーキの作動状態が自動的に解除されるようになってい
る。なお、図6においては、操作ペダル16がこれから
原位置へ向かって回動しようする状態が示されている。
【0019】このときのロッド40およびポール24の
動きを具体的に説明すると、図7に示すように、ロッド
40の係合部42がポール24のレバー部38に係合し
てそのポール24を右まわりに回動させようとするモー
メントMは、ロッド40により係合点において下向きに
作用させられる力に基づいて力の釣り合い条件から定ま
るレバー部38を回動軌跡の接線方向に押す力Pと、ピ
ン26の軸心からその力Pの作用点までの距離Rとの積
で表される。上記力Pの元となる偏心リンク48の連結
点における接線方向の力Fの大きさは、偏心リンク48
の回転中心からロッド40との連結点までの距離をeと
すると、そのeでウォームホイール46の回転トルクT
を除した値となる。すなわち力Fは距離eに略反比例す
るわけであるが、本実施例においては、この距離eが、
ポール24とラチェット22との噛合いを解放させるの
に必要なポール24の回動角度θおよび上記寸法Rから
定まる移動必要量の略半分、すなわち前記した図10の
距離e′に比較して略半分の寸法で済む。このため、上
記回転トルクTに対して大きな力Fを得ることができ、
ポール24に比較的大きなモーメントMを作用させ得る
ことから、比較的出力の小さいコンパクトな電動モータ
52が用いられている。
【0020】なお、図7における力Pの大きさは、ロッ
ド40が上方の移動端および下方の移動端付近に位置し
ているときに最大となって力Fに比べて極めて大きくな
り、それら移動端の中間位置においては力Fと略等しく
なる。図8に示すグラフの実線部分は、ウォームホイー
ル46、すなわち偏心リンク48の0度から180度ま
での回転角に対する力Pの変化特性を示したものであ
る。また、図中破線で示す部分は、前記図10の解除カ
ム88における力P′の変化を、等しい回転トルク
(T′=T)の場合とし、且つ解除カム88が図10に
おける一点鎖線の位置にある状態を180度の位置に合
わせて示したものである。
【0021】次に、上記のように構成された足踏み式パ
ーキングブレーキ操作装置10の作動を説明する。
【0022】原位置に保持されている操作ペダル16が
踏込み操作されると、ブレーキケーブル20が引き締め
られてパーキングブレーキが作動させられる。そして、
ポール24とラチェット22との噛合いによって上記操
作ペダル16が踏込み位置に保持されることにより、上
記パーキングブレーキの作動状態が維持される。このと
き、センサ70からマイクロコンピュータ64に信号S
S3が供給されることにより表示信号DH2が出力さ
れ、運転席のパーキングブレーキ作動表示器80が点灯
させられる。
【0023】一方、かかるパーキングブレーキの作動状
態を解除する際には、前記ポール24とラチェット22
との噛合いを解放すればよいが、この噛合いを解放する
ためには本実施例では2種類の方法を選択することがで
きる。すなわち、一つはレリーズノブを引っ張ってレリ
ーズレバー30を回動させることにより、ポール24と
ラチェット22との噛合いを手動で機械的に解除する方
法であり、もう一つはパーキングブレーキ自動解除スイ
ッチ68をON操作することにより、自動車の運転状態
と関連してポール24とラチェット22との噛合いが自
動的に解除されるようにしておく方法である。なお、パ
ーキングブレーキ自動解除スイッチ68がON操作され
ると表示信号DH1が出力され、運転席の自動解除表示
器78が点灯させられる。
【0024】ここで、上記パーキングブレーキ自動解除
スイッチ68をON操作してパーキングブレーキを自動
解除する場合には、運転者がシフトレバーを「D」,
「1」,「2」,「R」等の前進または後退位置に操作
するとともに、アクセルペダルを踏み込んで自動車を発
進させる際、電動モータ52が作動させられることによ
りポール24とラチェット22との噛合いを解除してパ
ーキングブレーキを自動解除するようになっているた
め、運転者の意に反してパーキングブレーキが解除され
るおそれはない。また、アクセルペダルの踏込み操作に
よって自動車を発進させるのに必要なトルクが車輪に伝
達されていることを条件としてパーキングブレーキは解
除されるため、坂路発進等においてもパーキングブレー
キの自動解除によって自動車が後退することはなく、安
全に発進させることができる。
【0025】以上、詳しく説明したように、本実施例の
パーキングブレーキ操作装置10においては、ロッド4
0がウォームホイール46の回転に伴って上方の移動端
から下方の移動端へ移動させられ、係合部42が力Fを
作用させてレバー部38を引き下げ、ラチェット22と
の噛合いが解放される方向にポール24を回動させる
が、ロッド40が連結されている偏心リンク48上の一
点の回転半径eは、ポール24とラチェット22との噛
合いを解放させるために必要なそのポール24の回動角
度θに対応する移動必要量の略半分の寸法とされている
ため、図9に示すような解除カム88から構成された従
来の装置に比ベ、ウォームホイール46の回転トルクT
に対して略2倍の力Fを得ることができ、電動モータ5
2の駆動力負荷が半分に軽減される。これにより、電動
モータ52の出力が小さくても、ラチェット22と噛み
合っているポール24をスムーズに解放させることがで
きるとともに、自動解除装置を軽量且つコンパクトに構
成できるのである。
【0026】また、ロッド40を介して間接的にポール
24を回動させるように構成されているため、ロッド4
0の長さ寸法を適宜変更することにより、ウォームホイ
ール46や電動モータ52の配設位置を任意に変更で
き、図9に示すようなウォームホイール46′と一体的
に回転させられる解除カム88が直接ポール24′を回
動させる場合に比較して、各部品の設置に際しての自由
度が向上させられる。
【0027】以上、本考案の一実施例を図面に基づいて
詳細に説明したが、本考案は他の態様で実施することも
できる。
【0028】たとえば、前述の実施例においては、ロッ
ド40が有する空間58内にポール24のレバー部38
が挿通させられた状態で係合部42が係合させられてい
たが、これに替えて、レバー部38にピン26と平行に
係合ピンを設けるとともに、ロッド40にポール24の
ラチェット22を乗り越える際の往復回動に伴う上記係
合ピンの往復移動を許容する長穴を形成し、その長穴内
に上記係合ピンを挿通させた状態でそれらが係合させら
れるように構成してもよい。
【0029】また、前述の実施例におけるロッド40
は、引張コイルスプリング50により図1における上端
部が支持されていたが、ロッド40の往復移動および揺
動を許容するようにロッド40およびブラケット12に
設けられた一対の係合ピンとガイド溝などにより、ロッ
ド40の上端部が支持されるように構成することも可能
である。
【0030】また、前述の実施例においては、ウォーム
ホイール46が回動初期位置に位置させられた時にロッ
ド40が上方の移動端に位置させられていたが、これと
は逆に、ロッドが下方の移動端に位置させられるように
構成することも可能である。この場合には、ロッドに押
し上げられることにより回動させられるリンク等を介し
てポール24が解放方向に回動させられるようにすれば
よい。
【0031】また、前述の実施例におけるコントローラ
60においては、自動解除の条件としてステップS1〜
ステップS5が設けられ、マイクロコンピュータ64に
よりそれらが判断されていたが、自動解除の条件が追加
或いは削除されたり、アンド回路等を有して判断機能を
備えたハードロジック回路がマイクロコンピュータ64
に替えて用いられたりしても差し支えない。
【0032】また、前述の実施例においては、手動操作
によりレリーズレバー30が回動させられることによっ
てもポール24とラチェット22との噛合いを解放して
パーキングブレーキを解除することが可能とされていた
が、かかる手動解除機構は必ずしも必要なく、自動解除
装置だけが設けられていても差し支えない。
【0033】その他一々例示はしないが、本考案は当業
者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実
施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例である足踏み式パーキングブ
レーキの自動解除装置の要部構成を説明する図でる。
【図2】図1の自動解除装置を備えた足踏み式パーキン
グブレーキ操作装置の要部構成を説明する図である。
【図3】図1の装置の右側面図である。
【図4】図1の装置における制御ブロック図である。
【図5】図1の装置の作動を説明するフローチャートで
ある。
【図6】図1の装置の作動途中における図1に相当する
図である。
【図7】図1の装置におけるロッド部材の作動を詳しく
説明する図である。
【図8】図7のロッド部材の作動特性を示すグラフであ
る。
【図9】従来の自動解除装置の要部構成を示す図であ
る。
【図10】図8の装置の作動を説明する図である。
【符号の説明】
10:足踏み式パーキングブレーキ操作装置 12,13:ブラケット 16:操作ペダル 22:ラチェット 24:ポール 40:ロッド(ロッド部材) 42:係合部 46:ウォームホイール 52:電動モータ 56:ウォームギヤ

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一軸まわりの回動可能にブラケットに配
    設された操作ペダルが原位置から足踏み操作されること
    によりパーキングブレーキを作動させるとともに、ポー
    ルとラチェットとの噛合いにより該操作ペダルの該原位
    置へ向かう方向の回動を阻止してパーキングブレーキの
    作動状態を維持する形式の足踏み式パーキングブレーキ
    操作装置において、該パーキングブレーキの作動状態を
    自動的に解除するために、電動モータを駆動源として前
    記ポールを前記ラチェットとの噛合いが解放される方向
    に回動させる自動解除装置であって、前記ブラケットに
    回転可能に配設されるとともに、前記電動モータにより
    ウォームギヤを介して予め定められた初期位置から1回
    転ずつ回転させられるウォームホイールと、該ウォーム
    ホイールの回転中心から所定の半径位置にある一点にお
    いて相対回動可能に連結されて、該ウォームホイールの
    回転に伴って略一直線方向へ往復移動させられるととも
    に、該ウォームホイールが前記初期位置に位置させられ
    たときに該往復移動の一方の移動端に位置させられるロ
    ッド部材と、前記ポールと係合可能に前記ロッド部材に
    設けられ、該ロッド部材が前記一方の移動端から他方の
    移動端まで移動させられる際に該ポールを回動させて前
    記ラチェットとの噛合いを解放する係合部とを有するこ
    とを特徴とする足踏み式パーキングブレーキの自動解除
    装置。
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