JP2542846Y2 - 多段伸縮アーム式掘削機の駆動装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は掘削機に関するものであ
り、特に、多連のシーブに巻回した吊り上げワイヤを送
り出し或いは巻き上げてアームを伸縮させる、多段伸縮
アーム式掘削機の駆動装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の多段伸縮アーム式掘削機の駆動装
置を図３及び図４に示す。アーム１は外筒２と中間筒３
及び内筒４とを組み合わせて構成され、外筒２の上部に
多連の固定シーブ５，５…を固設して昇降用伸縮シリン
ダ６を取り付け、該昇降用伸縮シリンダ６の先端に多連
の移動シーブ７，７…を設ける。そして、外筒２へ吊り
上げワイヤ８の一端８ａを固着し、該吊り上げワイヤ８
を前記多連の移動シーブ７，７…と固定シーブ５，５…
間に、片側のシーブから順次巻回していき、外筒２の上
部に固設したトップシーブ９を介して吊り上げワイヤ８
の他端８ｂを内筒４の上部へ固着する。

【０００３】而して、前記昇降用伸縮シリンダ６の伸縮
により多連の固定シーブ５，５…と移動シーブ７，７…
との距離が変化し、吊り上げワイヤ８の他端８ｂが上下
移動する。この上下の移動量は昇降用伸縮シリンダ６の
シリンダストロークの数倍となり、例えば４連シーブの
場合にはシリンダストロークの８倍の移動量でアーム１
が伸縮する。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】従来の多段伸縮アーム
式掘削機の駆動装置は、前述したように昇降用伸縮シリ
ンダ６のシリンダストロークの数倍の伸縮量を得ること
ができるが、吊り上げワイヤ８が万一破断したときは、
中間筒３及び内筒４の制御が失われて落下する。然ると
きは、作業の安全上極めて危険であり、吊り上げワイヤ
８が破断した後の修復にも非常に時間がかかり、作業工
程に多大な悪影響を及ぼすことになる。

【０００５】そこで、吊り上げワイヤが万一破断するこ
とがあっても、アームの落下を防止して安全性を確保す
るために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、
本考案はこの課題を解決することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案は上記目的を達成
するために提案されたものであり、外筒と中間筒と内筒
とを組み合わせ、外筒に多連の固定シーブを固設して昇
降用伸縮シリンダの先端に多連の移動シーブを設け、吊
り上げワイヤの一端を外筒に固着し、該吊り上げワイヤ
を前記固定シーブ並びに移動シーブ間に巻回し、該吊り
上げワイヤを外筒の上部に設けたトップシーブを介して
その他端の動きにより伸縮動作する多段伸縮アーム式掘
削機に於いて、複数の外部吊り上げワイヤの一端を夫々
外筒へ固着し、外部吊り上げワイヤを前記多連の固定シ
ーブ並びに移動シーブ間に巻回するとともに、外筒に設
けた複数のトップシーブを介して外部吊り上げワイヤの
他端を中間筒の上部に固着し、更に、複数の内部吊り上
げワイヤの一端を外筒の下部に固着し、中間筒の上部に
設けた複数の中間筒押さえシーブを介して内部吊り上げ
ワイヤの他端を内筒の上部に固着したことを特徴とする
多段伸縮アーム式掘削機の駆動装置を提供するものであ
る。

【０００７】

【作用】昇降用伸縮シリンダが収縮すると、多連の固定
シーブ並びに移動シーブ間に巻回した複数の外部吊り上
げワイヤが、シリンダストロークの数倍の長さだけ送り
出される。外部吊り上げワイヤの他端は中間筒の上部に
固着してあるので、外部吊り上げワイヤが送り出された
分だけ中間筒が下降する。このとき、内筒は複数の内部
吊り上げワイヤにより中間筒に同調する機構で支持され
ているため、外筒に対して中間筒の移動量の数倍だけ内
筒が下降する。

【０００８】一方、昇降用伸縮シリンダが伸張すると、
多連の固定シーブ並びに移動シーブ間に巻回した複数の
外部吊り上げワイヤが、シリンダストロークの数倍の長
さだけ巻き上げられ、前述とは逆の作用で、内筒はシリ
ンダストロークより多大な移動量で上昇する。

【０００９】

【実施例】以下、本考案の一実施例を図１及び図２に従
って詳述する。尚、説明の都合上、従来と同一構成部分
についても同時に説明する。図１及び図２は多段伸縮ア
ーム式掘削機の駆動装置を示し、アーム１１は外筒１２
と中間筒１３及び内筒１４とを組み合わせて構成してあ
り、外筒１２の上部に多連の固定シーブ１５，１５…を
固設して昇降用伸縮シリンダ１６を取り付け、該昇降用
伸縮シリンダ１６の先端に多連の移動シーブ１７，１７
…を設ける。

【００１０】そして、外筒１２へ複数の外部吊り上げワ
イヤ１８，１８の夫々の一端１８ａ，１８ａを固着し、
外部吊り上げワイヤ１８，１８を前記多連の移動シーブ
１７，１７…と固定シーブ１５，１５…との間を２回ず
つ巻回し、外筒１２の上部に固設したトップシーブ１
９，１９を介して、外部吊り上げワイヤ１８，１８の夫
々の他端１８ｂ，１８ｂを中間筒１３の上部の対向した
位置へ固着する。

【００１１】次に、内筒１４を吊り上げるために、中間
筒１３の上部に一対の中間筒押さえシーブ２０，２０を
対峙して設け、複数の内部吊り上げワイヤ２１，２１の
夫々の一端２１ａ，２１ａを外筒１２の下部の対向した
位置へ固着し、前記中間筒押さえシーブ２０，２０を介
して内部吊り上げワイヤ２１，２１の夫々の他端２１
ｂ，２１ｂを内筒１４の上部の対向した位置へ固着す
る。

【００１２】一方、前記多連の移動シーブ１７，１７…
には押し付けワイヤ２２側の押し付け２連移動シーブ２
３を連結してあり、外筒１２の下部に押し付け２連固定
シーブ２４を固設する。そして、外筒１２に押し付けワ
イヤ２２の一端２２ａを固着し、該押し付けワイヤ２２
を押し付け２連移動シーブ２３と押し付け２連固定シー
ブ２４間に、片側のシーブから順次巻回していく。更
に、中間筒１３の下部一側に設けた中間筒支持シーブ２
５、並びに内筒１４の上部に枢着した内筒押さえシーブ
２６を介して、押し付けワイヤ２２の他端２２ｂを中間
筒１３の下部他側へ固着する。

【００１３】而して、本考案の多段伸縮アーム式掘削機
の昇降用伸縮シリンダ１６を収縮した場合は、多連の固
定シーブ１５，１５…並びに移動シーブ１７，１７…の
間隔が縮まり、本実施例では４連のシーブを使用し、夫
々のシーブ間を２回ずつ巻回してあるので、複数の外部
吊り上げワイヤ１８，１８が夫々シリンダストロークの
４倍の長さだけ送り出される。従って、中間筒１３が昇
降用伸縮シリンダ１６のシリンダストロークの４倍の移
動量で下降する。

【００１４】このとき、中間筒押さえシーブ２０，２０
を介して複数の内部吊り上げワイヤ２１，２１の一端２
１ａ，２１ａを外筒１２の下端に固着し、且つ、内部吊
り上げワイヤ２１，２１の他端２１ｂ，２１ｂを内筒１
４の上端に固着してあるため、外筒１２に対して内筒１
４は中間筒１３の２倍の移動量で下降する。即ち、内筒
１４は昇降用伸縮シリンダ１６のシリンダストロークの
８倍の移動量で下降する。

【００１５】昇降用伸縮シリンダ１６の収縮によって押
し付け側の２連移動シーブ２３と２連固定シーブ２４と
の間隔が広がり、押し付けワイヤ２２が巻き取られる。
この押し付けワイヤ２２の巻き取りにより、中間筒支持
シーブ２５の位置で中間筒１３が上方へ押し付けられる
が、前記外部吊り上げワイヤ１８及び内部吊り上げワイ
ヤ２１の送り出し量と、押し付けワイヤ２２の巻き取り
量とが同調して行われるため、中間筒１３及び内筒１４
は上下にがたを生じることなく安定して下降し、任意の
位置に停止することができる。

【００１６】一方、昇降用伸縮シリンダ１６を伸長した
場合は、多連の固定シーブ１５，１５…並びに移動シー
ブ１７，１７…の間隔が広がり、複数の外部吊り上げワ
イヤ１８，１８がシリンダストロークの４倍の長さだけ
巻き取られる。従って、前述とは逆に、中間筒１３及び
内筒１４が上昇し、内筒１４は昇降用伸縮シリンダ１６
のシリンダストロークの８倍の移動量で上昇する。

【００１７】然るときは、昇降用伸縮シリンダ１６の伸
長によって押し付け側の２連移動シーブ２３と２連固定
シーブ２４との間隔が縮まり、前述とは逆に、中間筒１
３及び内筒１４の上昇に伴って押し付けワイヤ２２が送
り出され、中間筒１３及び内筒１４に上下のがたが生じ
るのを防止する。而して、外部吊り上げワイヤ１８で中
間筒１３を吊り上げることにより内部吊り上げワイヤ２
１を作動させ、間接的に内筒１４を移動させるため、吊
り上げワイヤの送り出し量が従来型の半分でよい。又、
複数の外部吊り上げワイヤ１８，１８並びに内部吊り上
げワイヤ２１，２１を使用しているため、万一駆動装置
の何れかのワイヤが切断した場合であっても、他のワイ
ヤが中間筒１３及び内筒１４を支持し、中間筒１３及び
内筒１４が落下する虞はない。

【００１８】尚、この考案は、この考案の精神を逸脱し
ない限り種々の改変を為すことができ、そして、この考
案が該改変されたものに及ぶことは当然である。

【００１９】

【考案の効果】本考案は上記一実施例に詳述したよう
に、吊り上げワイヤで直接内筒を吊り上げず、中間筒を
吊り上げることにより間接的に内筒を吊り上げるため、
吊り上げワイヤの送り出し量が従来型の半分となり、構
成の簡素化に寄与できる。又、外部吊り上げワイヤ及び
内部吊り上げワイヤとも複数本のワイヤを使用すること
が可能となる。従って、万一何れかのワイヤが切断した
場合であってもアームが落下することを防止でき、安全
性の確保にも寄与する等、正に諸種の実用的価値ある考
案である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示した多段伸縮アーム式掘
削機の駆動装置の正面図。

【図２】図１の縦断側面図。

【図３】従来型の多段伸縮アーム式掘削機の駆動装置の
正面図。

【図４】図３の縦断側面図。

【符号の説明】

１１ アーム １２ 外筒 １３ 中間筒 １４ 内筒 １５ 固定シーブ １６ 昇降用伸縮シリンダ １７ 移動シーブ １８ 外部吊り上げワイヤ １８ａ 一端 １８ｂ 他端 １９ トップシーブ ２０ 中間筒押さえシーブ ２１ 内部吊り上げワイヤ ２１ａ 一端 ２１ｂ 他端

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 外筒と中間筒と内筒とを組み合わせ、外
   筒に多連の固定シーブを固設して昇降用伸縮シリンダの
   先端に多連の移動シーブを設け、吊り上げワイヤの一端
   を外筒に固着し、該吊り上げワイヤを前記固定シーブ並
   びに移動シーブ間に巻回し、該吊り上げワイヤを外筒の
   上部に設けたトップシーブを介してその他端の動きによ
   り伸縮動作する多段伸縮アーム式掘削機に於いて、複数
   の外部吊り上げワイヤの一端を夫々外筒へ固着し、外部
   吊り上げワイヤを前記多連の固定シーブ並びに移動シー
   ブ間に巻回するとともに、外筒に設けた複数のトップシ
   ーブを介して外部吊り上げワイヤの他端を中間筒の上部
   に固着し、更に、複数の内部吊り上げワイヤの一端を外
   筒の下部に固着し、中間筒の上部に設けた複数の中間筒
   押さえシーブを介して内部吊り上げワイヤの他端を内筒
   の上部に固着したことを特徴とする多段伸縮アーム式掘
   削機の駆動装置。