JP2542551Y2 - フィルタ容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ライン内に組み込ま
れ、液体中の夾雑物を除去するためのカートリッジフィ
ルタを内蔵するフィルタ容器の形態に関する。

【０００２】

【従来の技術】ライン内に組み込まれ、液体中の夾雑物
を除去するための濾過装置として本考案者等は、特願平
２−４１５２５２号において、耐圧構造を有する鞘部
と、前記鞘部に内接して収納されカートリッジフィルタ
を内蔵するユニット容器とからなる二重構造フィルタ容
器を提案した。

【０００３】この二重構造フィルタ容器は、鞘部がライ
ンの配管に直結し得る台座とキャップ部分とから構成さ
れ、ユニット容器を前記台座に取り付けることにより両
者は一体化する構造であり、前記ユニット容器は所定の
カートリッジフィルタを内蔵すると共に、前記台座に設
けられた液導入管及び液排出管にそれぞれ嵌合し得る液
導入口と液排出口とを有し、前記液導入口と液排出口と
にはそれぞれ閉止弁が具備されて成り、前記ユニット容
器を前記台座に嵌合してセットすることにより流路が開
放され、前記ユニット容器を前記台座から取り外すと同
時に流路が閉鎖されるようになっている。

【０００４】更に、本考案者等は、特願平３−３４７８
０４号において、上記二重構造フィルタ容器に好適なユ
ニット容器を提案した。このユニット容器は、内蔵され
る各個のカートリッジフィルタの上端部を各々独立にカ
バーし、このカートリッジフィルタの内孔端部に嵌合す
る円筒状のカートリッジストッパとその外側でカートリ
ッジフィルタの端面をシールするリング状シールエッジ
とを有する上部エンドキャップと、同一平面状に各個の
カートリッジフィルタの位置と所要本数に対応してこの
カートリッジフィルタの内孔端部に嵌合する円筒状のカ
ートリッジストッパとその外側でカートリッジフィルタ
の端面をシールするリング状シールエッジとを有する一
枚の底部エンドキャップとを構成部品として具備し、前
記カートリッジフィルタを、カートリッジフィルタの本
数に相当する上部エンドキャップと、一枚の平面状の共
通の底部エンドキャップとで上下から挟持することによ
ってユニット容器内に固定せしめるようにしたものであ
る。

【０００５】しかしながら、上記に提案されたユニット
容器は、所期の目的を十分に達成するものではあるが、
その構成部材の配置及びその構造から、ユニット容器内
の液の流れは複雑であり、乱流及び滞留の起こり易いも
のとなっている。特に濾過後の液にこのような現象が発
生した場合には、濾過液中の微粒子が凝集したり、樹脂
分がゲル化することにより、濾過精度そのものに重大な
影響を与える原因となるといった問題点がある。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】本考案は、上述の事情
に鑑みてなされたものであり、本考案の目的は、耐圧構
造を有する鞘部と、カートリッジフィルタを内蔵し前記
鞘部に内接して収納されるユニット容器とからなる二重
構造フィルタ容器において、前記ユニット容器内におけ
る濾過後の液の乱流及び滞留の発生を防止したユニット
容器の形態を提供するにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本考案のフィルタ容器
は、耐圧構造を有する鞘部と、前記鞘部に内接して収納
されたユニット容器とからなる二重構造フィルタ容器に
おいて、前記ユニット容器が、上部エンドキャップ及び
下部エンドキャップによってその両端部がカバーされた
カートリッジフィルタを収納する円筒形胴部と、閉止弁
をそれぞれに具備した液導入口及び液排出口を配設し且
つ濾過前後の液を遮断する隔壁を具備した基部とからな
るものであって、更に前記基部の底面内側には前記液排
出口から放射状に延びる複数のリブを配設したことを特
徴とするものである。

【０００８】上記ユニット容器は、硬くて脆い素材より
もある程度可撓性のある素材が好ましく、使い捨てにさ
れるため、例えばポリオレフィン系樹脂等の成形品が用
いられる。従って、ユニット容器自身は耐圧構造のもの
ではなく、それを補うために鞘部によって保護されてい
る。

【０００９】本考案にかかるリブは液排出口から放射状
に形成されたものであれば、その個数及び形態は特に限
定されるものではなく、カートリッジフィルタの個数及
び基部の形状に応じ適宜設定すればよい。本考案にかか
るリブは、基部の底面の強度を向上せしめるが、底部エ
ンドキャップに当接する高さとすれば、構造上更にしっ
かりとし、耐圧強度が一層向上するため好適である。上
記リブは、ユニット容器の基部を成形加工する際に、同
時に形成するのが好適である。

【００１０】

【作用】本考案のフィルタ容器は、ユニット容器基部の
濾過液が通過する部分に、液排出口から放射状に延びる
複数のリブを形成しており、このリブが濾過液の流れを
整えるため、濾過液の流れが円滑になり、液の乱流及び
滞留等を防止する効果を奏するものである。また、この
リブは当然ながら、リブが一般的に有する補強効果も奏
するため、基部の強度は向上することになる。

【００１１】

【実施例】以下、図面に基づき本考案を具体的に説明す
る。

【００１２】図７は二重構造フィルタ容器の一例を示す
組み立て説明図、図８は組み立てられた二重構造フィル
タ容器の縦断面図（フィルタ数７本の場合）を示す。常
設の耐圧構造を有する金属製鞘部は、台座１とキャップ
部分２とに分割されており、両者はフランジ３を介して
カップリング手段で締結一体化される。台座１には液導
入管４と液排出管５とが設けられ、これらの管の外部側
は図示されていないラインの配管に直結されている。液
導入管４及び液排出管５の先端部には、液が通過し得る
切り欠き溝が形成されている。

【００１３】ユニット容器６はカートリッジフィルタ７
を内蔵し、底部には液導入口８及び液排出口９を有し、
液導入口８及び液排出口９にはそれぞれの口を内側から
塞ぐようにバネ２７及び２８で付勢された閉止弁１０及
び１１が具備されている。組み立てる場合は、液導入口
８には液導入管４を、液排出口９には液排出管５をそれ
ぞれ嵌合することによりユニット容器６を台座１に装着
した後、キャップ部分２をユニット容器６の上から被せ
て台座１に結合すればよい。このとき、閉止弁１０，１
１はそれぞれ液導入管４及び液排出管５により押し上げ
られて液の流路が開かれる。

【００１４】図１は本考案のユニット容器の一実施例を
示す縦断面図（フィルタ数７本の場合）で、図２は図１
のＸ−Ｘ´断面図である。ユニット容器６は、プラスチ
ックの成形品で作られ、上部にあってカートリッジフィ
ルタ７を収納する胴部１３と、下部にあって液導入口８
から流入する濾過前の液（以下、「原液」と言う）と液
排出口９から流出する濾過後の液（以下、「濾液」と言
う）とを隔壁１４で区画・分配する基部１５とから構成
されている。

【００１５】図３は、ユニット容器の基部の平面図、図
４は図３のＹ−Ｙ´断面図、図５は該基部の斜視図、図
６は該基部の底面図である。図９はカートリッジフィル
タ７本を収納する下部エンドキャップ１６の底面を示す
斜視図である。下部エンドキャップ１６は、嵌合ピン１
９と、閉止弁１０の一端を支持するリング状ガイド２６
とを具備している。基部１５と下部エンドキャップ１６
とは、位置決め用の嵌合ピン１９がガイド穴２０と嵌合
することにより案内され、隔壁１４の上縁と帯状の嵌着
部１２とが嵌着することで所定位置に固定される。

【００１６】ユニット容器６に内蔵されるカートリッジ
フィルタ７は、その下端を円筒状のカートリッジストッ
パ２２を有する下部エンドキャップ１６により位置決め
され、その上端を各個のカートリッジフィルタ７に取り
付けられた上部エンドキャップ１７によりクッション材
１８を介して胴部１３の上面に支えられると共に、カー
トリッジフィルタ７の両端面は下部エンドキャップ１６
及び上部エンドキャップ１７によってそれぞれ遮蔽され
ている。

【００１７】図９から明らかなように、下部エンドキャ
ップ１６には７本のカートリッジフィルタ内孔に通じる
７個の孔が開けられており、嵌着部１２はこれらの孔を
内側に包含してループ状に形成されている。かくして図
１のように下部エンドキャップ１６は隔壁１４と共に濾
液を原液から区画分離して、液排出口９へ導く役割もす
る。また、下部エンドキャップ１６の外周部に複数箇所
の切り欠きを有するのは、液の通りをより円滑にするた
めであり、液導入口８から流入する原液は隔壁１４の外
側の区画から下部エンドキャップ１６の外周部を通って
胴部１３内のカートリッジフィルタ外面へ導かれる。

【００１８】図３〜５より明らかなように、基部１５の
底面内側には、液排出口９を中心に放射状に外側へ延び
るリブ２１が形成されている。本実施例においては、リ
ブ２１は隔壁１４まで延びるものと途中までしか延びて
いないものとが交互に配設されている。各リブ２１は下
部エンドキャップ１６に当接し、下部エンドキャップ１
６を支持している。更に、図６より明らかなように、基
部１５の底面外側には、中心から放射状に外側へ延びる
補強用リブ２４と液排出口９と同心円上に形成された補
強用リブ２４´とが形成されている。

【００１９】

【考案の効果】以上述べた通り、本考案のフィルタ容器
によれば、ユニット容器基部にリブを配設したため、ユ
ニット容器基部内における濾過後の液の乱流及び滞留が
未然に防止される。このため、濾過液中の微粒子が凝集
したり、樹脂分がゲル化することがなく、高精度の濾過
を維持することができる。また、基部の強度を向上せし
めるという副次的効果も奏するものである。

【００２０】更に、使い捨て部分のユニット容器は部品
から簡単に組み立てができ、実使用においては本来の目
的である作業の簡素化、クリーン化が達成できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のユニット容器の一実施例を示す縦断面
図である。

【図２】図１のＸ−Ｘ´断面図である。

【図３】ユニット容器の基部の平面図である。

【図４】図３のＹ−Ｙ´断面図である。

【図５】ユニット容器の基部の斜視図である。

【図６】ユニット容器の基部の底面図である。

【図７】二重構造フィルタ容器の組み立て説明図であ
る。

【図８】組み立てられた二重構造フィルタ容器の縦断面
図である。

【図９】下部エンドキャップの底面を示す斜視図であ
る。

【符号の説明】

１ 台座 ２ キャップ部分 ３ フランジ ４ 液導入管 ５ 液排出管 ６ ユニット容器 ７ カートリッジフィルタ ８ 液導入口 ９ 液排出口 １０，１１ 閉止弁 １２ 嵌着部 １３ 胴部 １４ 隔壁 １５ 基部 １６ 下部エンドキャップ １７ 上部エンドキャップ １８ クッション材 １９ 嵌合ピン ２０ ガイド穴 ２１ リブ ２２，２３ カートリッジストッパ ２４，２４´ 補強用リブ ２５ 把手 ２６ リング状ガイド ２７，２８ バネ ２９，３０ Ｏリング

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 耐圧構造を有する鞘部と、前記鞘部に内
   接して収納されたユニット容器とからなる二重構造フィ
   ルタ容器において、前記ユニット容器が、上部エンドキ
   ャップ及び下部エンドキャップによってその両端部がカ
   バーされたカートリッジフィルタを収納する円筒形胴部
   と、閉止弁をそれぞれに具備した液導入口及び液排出口
   を配設し且つ濾過前後の液を遮断する隔壁を具備した基
   部とからなるものであって、更に前記基部の底面内側に
   は前記液排出口から放射状に延びる複数のリブを配設し
   たことを特徴とするフィルタ容器。