JP2540962B2 - スペクトル拡散無線通信装置 - Google Patents
スペクトル拡散無線通信装置Info
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、大幅な改良を実現したスペクトル拡散無線
通信装置に関する。
通信装置に関する。
スペクトル拡散{Spread Spectrum:以下“SS"とも記
載する}無線通信に用いられるスペクトル拡散変調(SS
変調)方式とは、情報信号{1次変調されたものが多
い}を広帯域の雑音状の拡散符号信号{以下単に「拡散
符号」とも記す}により変調して、非常に広い帯域に拡
散する方式である。かかるスペクトル拡散無線通信は、
秘話性が非常に高く、外部干渉や雑音,故意の妨害に強
く、従来システムと共存できると共にアドレスコードで
の管理ができ、また電力密度が低いので微弱な電力で送
信でき、しかも疑似雑音符号を変えることにより同一周
波数帯域内に多重することができる等々、多くの特長を
有する。これらの特長が再認識されて、現在では単に通
信技術分野にとどまらず各分野での応用が進んでおり、
民生機器への展開も始まりつつある。
載する}無線通信に用いられるスペクトル拡散変調(SS
変調)方式とは、情報信号{1次変調されたものが多
い}を広帯域の雑音状の拡散符号信号{以下単に「拡散
符号」とも記す}により変調して、非常に広い帯域に拡
散する方式である。かかるスペクトル拡散無線通信は、
秘話性が非常に高く、外部干渉や雑音,故意の妨害に強
く、従来システムと共存できると共にアドレスコードで
の管理ができ、また電力密度が低いので微弱な電力で送
信でき、しかも疑似雑音符号を変えることにより同一周
波数帯域内に多重することができる等々、多くの特長を
有する。これらの特長が再認識されて、現在では単に通
信技術分野にとどまらず各分野での応用が進んでおり、
民生機器への展開も始まりつつある。
スペクトル拡散無線通信装置{以下単に「通信装置」
とも記載する}の基本原理について、第8図及び第9図
を参照しながら説明する。第8図は通信装置の基本構成
図、第9図(A)〜(F)は各構成箇所におけるスペク
トル波形図である。第8図において、拡散符号発生回路
44及び46は同一パルス数(周波数)のクロックパルスSc
(t)を基にM系列の拡散符号を生成し、夫々拡散変調
回路43及び逆拡散回路45に供給している。拡散符号とし
ては、通常は疑似雑音符号(特にM系列符号)がよく用
いられるので「疑似雑音符号又はPN(Pseudo Noise)符
号」と呼ばれることもある。
とも記載する}の基本原理について、第8図及び第9図
を参照しながら説明する。第8図は通信装置の基本構成
図、第9図(A)〜(F)は各構成箇所におけるスペク
トル波形図である。第8図において、拡散符号発生回路
44及び46は同一パルス数(周波数)のクロックパルスSc
(t)を基にM系列の拡散符号を生成し、夫々拡散変調
回路43及び逆拡散回路45に供給している。拡散符号とし
ては、通常は疑似雑音符号(特にM系列符号)がよく用
いられるので「疑似雑音符号又はPN(Pseudo Noise)符
号」と呼ばれることもある。
送信(変調)側であるA局の1次変調回路42において
は、まず、情報信号を搬送波(キャリア)にて1次変調
する(第9図(A)の信号F1)。この1次変調波F1は拡
散符号発生回路44からの拡散符号{Fss;同図(B)参
照}により拡散変調回路43にて2次変調されて{場合に
よっては更に増幅された後}、アンテナA1より送信(F
1S)される。1次変調としては周波数変調(FM)やPS
K)Phase Shift Keying)変調等が行なわれる。なお、
拡散符号(PN符号)は極力ランダム雑音状で且つ一定の
周期を有する{受信機側で符号を取り出すため}必要が
ある。
は、まず、情報信号を搬送波(キャリア)にて1次変調
する(第9図(A)の信号F1)。この1次変調波F1は拡
散符号発生回路44からの拡散符号{Fss;同図(B)参
照}により拡散変調回路43にて2次変調されて{場合に
よっては更に増幅された後}、アンテナA1より送信(F
1S)される。1次変調としては周波数変調(FM)やPS
K)Phase Shift Keying)変調等が行なわれる。なお、
拡散符号(PN符号)は極力ランダム雑音状で且つ一定の
周期を有する{受信機側で符号を取り出すため}必要が
ある。
次に、受信(復調)側の構成,機能等について説明す
る。受信側であるB局では、アンテナA2から所定のフィ
ルタと高周波増幅器により得られた信号F1Sを、逆拡散
回路45において拡散符号発生回路46からの拡散符号によ
り逆拡散する。この拡散符号発生回路46はA局の拡散符
号発生回路44と同期が取られている。
る。受信側であるB局では、アンテナA2から所定のフィ
ルタと高周波増幅器により得られた信号F1Sを、逆拡散
回路45において拡散符号発生回路46からの拡散符号によ
り逆拡散する。この拡散符号発生回路46はA局の拡散符
号発生回路44と同期が取られている。
ところで、アンテナA2に入来する電波はF1Sだけとは
限らず、第9図(C)に示すように、他のSS局からの電
波(F2S,F3S,…)や、一般局41からの電波(Fn)が存在
する。そこで、逆拡散回路45で逆拡散を施すことによ
り、同図(D)図示の如き所望の電波F1Sを同図(A)
のようなスペクトルに戻し、フィルタ(狭帯域波器)
47にてF1S以外の成分の大部分を除去し(同図(E)参
照)、更に復調回路48にて元の情報信号に復調して出力
するわけである。
限らず、第9図(C)に示すように、他のSS局からの電
波(F2S,F3S,…)や、一般局41からの電波(Fn)が存在
する。そこで、逆拡散回路45で逆拡散を施すことによ
り、同図(D)図示の如き所望の電波F1Sを同図(A)
のようなスペクトルに戻し、フィルタ(狭帯域波器)
47にてF1S以外の成分の大部分を除去し(同図(E)参
照)、更に復調回路48にて元の情報信号に復調して出力
するわけである。
なお、同図(E)にも見られるように、フィルタ47
{一般的に低域波器LPF又は帯域波器}の出力信号
中にはF1Sの他に、一般局41からの干渉波Fnと他局のSS
波の一部が残っている。これらの和である残留電力と所
望信号の電力の比をDN比(信号電力干渉電力比)と呼ん
でおり、このDN比を大きく取るためには拡散帯域ができ
る限り広い方が有利であり、一般的に情報信号の周波数
帯域の100〜1000倍程度にとっている。
{一般的に低域波器LPF又は帯域波器}の出力信号
中にはF1Sの他に、一般局41からの干渉波Fnと他局のSS
波の一部が残っている。これらの和である残留電力と所
望信号の電力の比をDN比(信号電力干渉電力比)と呼ん
でおり、このDN比を大きく取るためには拡散帯域ができ
る限り広い方が有利であり、一般的に情報信号の周波数
帯域の100〜1000倍程度にとっている。
以上、スペクトル拡散無線通信の基本的な原理につい
て説明したが、次にスペクトル拡散無線通信を行なう場
合の1,2次各変調,復調における具体的な動作について
理論的に説明する。スペクトル拡散無線通信におけるス
ペクトル拡散信号S(t){第8図のF1S}は、情報デ
ータをd(t)[+1,−1],拡散符号FSSをP(t)
[+1,−1],搬送波をcosωctとすると、次式で表わ
される。
て説明したが、次にスペクトル拡散無線通信を行なう場
合の1,2次各変調,復調における具体的な動作について
理論的に説明する。スペクトル拡散無線通信におけるス
ペクトル拡散信号S(t){第8図のF1S}は、情報デ
ータをd(t)[+1,−1],拡散符号FSSをP(t)
[+1,−1],搬送波をcosωctとすると、次式で表わ
される。
S(t)=d(t)P(t)cosωct ……………(1) (但し、ωc=2πc) このスペクトル拡散信号S(t)は、受信(復調)に
おいて、入来したスペクトル拡散信号より拡散符号用ク
ロック信号を生成し、更に送信時のスペクトル拡散信号
における拡散符号と同期した拡散符号P(t){実際に
は若干の遅延の伴った である}を得て、入来したスペクトル拡散信号S(t)
との乗算{相関又は逆拡散とも言う}を行ない、d
(t)cosωctなる2相PSK信号に変換される。更に、再
生した搬送波cosωct{実際には との乗算による同期検波を行ない、 を得て、搬送波成分2ωctをフィルタで除去することに
より情報データd(t)を復調している。
おいて、入来したスペクトル拡散信号より拡散符号用ク
ロック信号を生成し、更に送信時のスペクトル拡散信号
における拡散符号と同期した拡散符号P(t){実際に
は若干の遅延の伴った である}を得て、入来したスペクトル拡散信号S(t)
との乗算{相関又は逆拡散とも言う}を行ない、d
(t)cosωctなる2相PSK信号に変換される。更に、再
生した搬送波cosωct{実際には との乗算による同期検波を行ない、 を得て、搬送波成分2ωctをフィルタで除去することに
より情報データd(t)を復調している。
ここで、2相PSK信号d(t)cosωctの帯域幅(スペ
クトルのメインローブ)をBDとし、拡散符号P(t)に
より拡散されたスペクトル拡散信号の帯域幅(スペクト
ルのメインローブ)をBPとすれば、スペクトル拡散無線
通信におけるプロセスゲインGPは、 GP=BP/BD ………………(2) で表わされる。プロセスゲインGPは、通常の設計値では
数百〜数千の値であり、この値に従って妨害信号,雑音
等の抑圧が行なわれるため、情報データd(t)に対し
てスペクトル拡散信号の周波数帯域が広いほど耐妨害
性,耐雑音性等における改善効果が高まる。即ち、耐妨
害性能,耐雑音性能はプロセスゲインGPでほぼ一義的に
定まる。
クトルのメインローブ)をBDとし、拡散符号P(t)に
より拡散されたスペクトル拡散信号の帯域幅(スペクト
ルのメインローブ)をBPとすれば、スペクトル拡散無線
通信におけるプロセスゲインGPは、 GP=BP/BD ………………(2) で表わされる。プロセスゲインGPは、通常の設計値では
数百〜数千の値であり、この値に従って妨害信号,雑音
等の抑圧が行なわれるため、情報データd(t)に対し
てスペクトル拡散信号の周波数帯域が広いほど耐妨害
性,耐雑音性等における改善効果が高まる。即ち、耐妨
害性能,耐雑音性能はプロセスゲインGPでほぼ一義的に
定まる。
かかる従来よりのスペクトル拡散無線通信装置では
「逆拡散」が最も重要であり、これを行なうに必要な拡
散符号の生成が容易ではなく、現在では、AFC制御ルー
プ,遅延ロックループ及び乗算器による逆拡散法や、マ
ッチドフィルタを用いた同期ルールと乗算器による逆拡
散法が一般的に用いられている。これらの構成による逆
拡散は、いずれも回路構成が複雑で、調整面やコスト面
での問題点もあり、民生機器への展開に当ってはこれら
の諸問題を解決する必要がある。
「逆拡散」が最も重要であり、これを行なうに必要な拡
散符号の生成が容易ではなく、現在では、AFC制御ルー
プ,遅延ロックループ及び乗算器による逆拡散法や、マ
ッチドフィルタを用いた同期ルールと乗算器による逆拡
散法が一般的に用いられている。これらの構成による逆
拡散は、いずれも回路構成が複雑で、調整面やコスト面
での問題点もあり、民生機器への展開に当ってはこれら
の諸問題を解決する必要がある。
一方、他の従来技術として、例えばRobert C.Dixon著
「スペクトラム拡散通信方式」(日本技術経済センター
発行)p.123〜124には、FM信号を直接拡散したスペクト
ル拡散信号の復調は、2乗することにより拡散復調でき
ることが述べられている。この従来方法は比較的に簡単
な構成で実現できるものの、復調時までに入来した雑音
や所望のSS信号成分は2乗演算されるだけで、雑音や他
のSS信号の抑圧効果は低いので、未だ実用化には至って
いない。
「スペクトラム拡散通信方式」(日本技術経済センター
発行)p.123〜124には、FM信号を直接拡散したスペクト
ル拡散信号の復調は、2乗することにより拡散復調でき
ることが述べられている。この従来方法は比較的に簡単
な構成で実現できるものの、復調時までに入来した雑音
や所望のSS信号成分は2乗演算されるだけで、雑音や他
のSS信号の抑圧効果は低いので、未だ実用化には至って
いない。
本発明のスペクトル拡散無線通信装置は、送信部側に
は、音声等の被変調信号を搬送波で変調してFM変調信号
を出力するFM変調手段と、FM変調信号を拡散符号発生回
路からの拡散符号で拡散変調してスペクトル拡散信号を
出力するスペクトル拡散手段と、得られたスペクトル拡
散信号にアップコンバージョンを施して出力する,マル
チチャンネルアクセス機能を持った周波数変換部とを備
え、受信部側には、アンテナより受信されたスペクトル
拡散信号にダウンコンバージョンを施す,マルチチャン
ネルアクセス機能を持った周波数変換部と、周波数変換
されたスペクトル拡散信号を,このスペクトル拡散信号
に同調している櫛型フィルタに供給することにより,上
記周波数変換されたスペクトル拡散信号の周波数スペク
トルのみを検出する検出手段と、この検出手段により得
られた検出スペクトル拡散信号を2乗動作により逆拡散
する乗算手段と、この乗算手段にて得られた逆拡散出力
信号のみを通過させる帯域波手段と、この帯域波手
段の出力信号をFM復調する復調手段とを備え、更に、所
望の拡散スペクトル周波数帯域が塞がっているか否かを
確認して処理するキャリアセンス機能と、周波数帯域が
塞がっている場合にはマルチチャンネルアクセス動作に
より使用周波数帯域を変更して送信及び受信を行なうマ
ルチチャンネルアクセス機能とを兼ね備えた制御部を設
けて構成することにより、上記諸問題点を解決した。
は、音声等の被変調信号を搬送波で変調してFM変調信号
を出力するFM変調手段と、FM変調信号を拡散符号発生回
路からの拡散符号で拡散変調してスペクトル拡散信号を
出力するスペクトル拡散手段と、得られたスペクトル拡
散信号にアップコンバージョンを施して出力する,マル
チチャンネルアクセス機能を持った周波数変換部とを備
え、受信部側には、アンテナより受信されたスペクトル
拡散信号にダウンコンバージョンを施す,マルチチャン
ネルアクセス機能を持った周波数変換部と、周波数変換
されたスペクトル拡散信号を,このスペクトル拡散信号
に同調している櫛型フィルタに供給することにより,上
記周波数変換されたスペクトル拡散信号の周波数スペク
トルのみを検出する検出手段と、この検出手段により得
られた検出スペクトル拡散信号を2乗動作により逆拡散
する乗算手段と、この乗算手段にて得られた逆拡散出力
信号のみを通過させる帯域波手段と、この帯域波手
段の出力信号をFM復調する復調手段とを備え、更に、所
望の拡散スペクトル周波数帯域が塞がっているか否かを
確認して処理するキャリアセンス機能と、周波数帯域が
塞がっている場合にはマルチチャンネルアクセス動作に
より使用周波数帯域を変更して送信及び受信を行なうマ
ルチチャンネルアクセス機能とを兼ね備えた制御部を設
けて構成することにより、上記諸問題点を解決した。
本発明のスペクトル拡散無線通信装置は、MCA(マル
チチャンネルアクセス)を働かせるためのキャリアセン
スに新しい考え方を導入することにより、本格的なSS通
信方式とMCA方式とを結合させて、簡易でしかも遠近問
題の生じない無線通信装置を提供するものである。以
下、本発明装置の一実施例を上げて、図面を参照しなが
ら説明する。
チチャンネルアクセス)を働かせるためのキャリアセン
スに新しい考え方を導入することにより、本格的なSS通
信方式とMCA方式とを結合させて、簡易でしかも遠近問
題の生じない無線通信装置を提供するものである。以
下、本発明装置の一実施例を上げて、図面を参照しなが
ら説明する。
第1図は、本発明のスペクトル拡散無線通信装置のブ
ロック構成図であり、1台の通信装置内に変調部(送信
側)と復調部(受信側)の両方を備えている。また、第
2図では本発明の通信装置(1a,1b)を2台使用し、両
者間で実際に通信を行なっている所を示す原理図であ
る。これらの図において、第8図に示した従来例と同一
構成個所には同一符号を付してその詳細な説明を省略す
る。
ロック構成図であり、1台の通信装置内に変調部(送信
側)と復調部(受信側)の両方を備えている。また、第
2図では本発明の通信装置(1a,1b)を2台使用し、両
者間で実際に通信を行なっている所を示す原理図であ
る。これらの図において、第8図に示した従来例と同一
構成個所には同一符号を付してその詳細な説明を省略す
る。
本発明の通信装置1は、送信部(変調部)と受信部
(復調部),及び制御部等両者に共通な部分の3つに大
別できる。第1図の構成例では、マイクロホン{以下単
に「マイク」と記す}M,マイクアンプ17,FM変調回路42,
帯域波器(BPF)11,12及び乗算器2,3が送信部特有の
構成であり、BPF13,14;乗算器5,6;コムフィルタ(櫛型
フィルタ)9,FM復調回路48,アンプ18,及びスピーカSが
受信部特有の構成である。従って、その他の構成要素は
両方に共通に働くものであり、これには拡散符号発生回
路44,LPF37,乗算器5,検出回路32,CPU(中央演算処理
部)33,周波数シンセサイザ34,DUP(デュープレクサ)3
1,及びアンテナA等がある。本発明の通信装置1は、こ
れらの構成要素を第1図の如く接続して構成されてい
る。そのうち、マイクM,スピーカS,及びアンテナA等は
第2図に示すように外付けされており、マイクMとスピ
ーカSとは送,受信時で切替えて使用される。
(復調部),及び制御部等両者に共通な部分の3つに大
別できる。第1図の構成例では、マイクロホン{以下単
に「マイク」と記す}M,マイクアンプ17,FM変調回路42,
帯域波器(BPF)11,12及び乗算器2,3が送信部特有の
構成であり、BPF13,14;乗算器5,6;コムフィルタ(櫛型
フィルタ)9,FM復調回路48,アンプ18,及びスピーカSが
受信部特有の構成である。従って、その他の構成要素は
両方に共通に働くものであり、これには拡散符号発生回
路44,LPF37,乗算器5,検出回路32,CPU(中央演算処理
部)33,周波数シンセサイザ34,DUP(デュープレクサ)3
1,及びアンテナA等がある。本発明の通信装置1は、こ
れらの構成要素を第1図の如く接続して構成されてい
る。そのうち、マイクM,スピーカS,及びアンテナA等は
第2図に示すように外付けされており、マイクMとスピ
ーカSとは送,受信時で切替えて使用される。
第3図はコムフィルタ9の最も基本的な構成例を示す
ブロック図で、遅延回路19と加算器23とで構成される。
遅延回路19は入力進信号C(t)に対して遅延時間T
(“τ”とも記す)を付与し、加算器23は遅延回路19の
出力Cd(t)と入力信号C(t)とを加算,合成して出
力している。かかる構成により、コムフィルタ9の特性
は第4図(A)に示すような櫛歯状の出力特性となる。
この図における隣接通過帯域の中心角周波数をω1,ω2
とすると、その間隔は{(2n−1)T0}-1となる。ここ
で、T0は拡散符号発生回路44に供給されるクロック信号
SC(t)の1ビット(1チップ)時間長、nは拡散符号
発生回路44においてM系列符号を用い、そのM系列符号
発生回路にシフトレジスタを用いた場合のシフトレジス
タの段数である。従って、1/T0は拡散符号のクロックレ
ートを示す。また第4図(B)は、1次変調信号の中心
周波数(搬送波)を0(=ω0/2π)とした場合の、
コムフィルタ9の出力信号スペクトルである。
ブロック図で、遅延回路19と加算器23とで構成される。
遅延回路19は入力進信号C(t)に対して遅延時間T
(“τ”とも記す)を付与し、加算器23は遅延回路19の
出力Cd(t)と入力信号C(t)とを加算,合成して出
力している。かかる構成により、コムフィルタ9の特性
は第4図(A)に示すような櫛歯状の出力特性となる。
この図における隣接通過帯域の中心角周波数をω1,ω2
とすると、その間隔は{(2n−1)T0}-1となる。ここ
で、T0は拡散符号発生回路44に供給されるクロック信号
SC(t)の1ビット(1チップ)時間長、nは拡散符号
発生回路44においてM系列符号を用い、そのM系列符号
発生回路にシフトレジスタを用いた場合のシフトレジス
タの段数である。従って、1/T0は拡散符号のクロックレ
ートを示す。また第4図(B)は、1次変調信号の中心
周波数(搬送波)を0(=ω0/2π)とした場合の、
コムフィルタ9の出力信号スペクトルである。
また、かかるコムフィルタ9の歪特性W(s)は第5
図に示すようになる。この図は遅延時間τを4μsとし
た場合の特性で、横軸(周波数)は対数目盛である。か
かる諸特性を有するコムフィルタ9は、不要な雑音や他
の信号成分を十分に低減することができる。以下、本発
明の通信装置1の具体的な使用方法や動作について、第
1図乃至第6,7図(スペクトル図)を併せ参照し乍ら説
明する。
図に示すようになる。この図は遅延時間τを4μsとし
た場合の特性で、横軸(周波数)は対数目盛である。か
かる諸特性を有するコムフィルタ9は、不要な雑音や他
の信号成分を十分に低減することができる。以下、本発
明の通信装置1の具体的な使用方法や動作について、第
1図乃至第6,7図(スペクトル図)を併せ参照し乍ら説
明する。
まず、送信を行なう場合、図示しない切換えスイッチ
にて送信装置1を送信モードに切換えた後、マイクMに
向って喋る。するとその音声aはマイクアンプ17で増幅
された後、FM変調回路42で1次変調される。人間の音声
は高調波成分まで含めても高々数KHzであるか{第6図
(A)参照}、これによりはるかに高い周波数a(
b)を有するキャリアでFM変調することにより、同図
(B)に示すようなスペクトルの信号b(FM1,FM2)と
なる。かかるFM変調出力信号bはBPF(帯域波器)11
で不要な周波数帯域成分を除去された後、乗算器2に供
給され、ここでPNG(拡散符号発生回路)44からの拡散
符号を乗算されることにより拡散され、同図(D)に示
ようなスペクトルを拡散信号(SS信号)c(そのメイン
ローブを破線SS1で示す)となる。なお、同図(C)
は、同図(D)におけるFMキャリア周波数aの横軸方
向の位置を合せるために、同図(B)の変調信号FM1を
右側にシフトしたものである。なお、LPF37は拡散符号
信号P(t)のサイドローブを除去してメインローブの
みを乗算器2,4に供給するための低域波器である。
にて送信装置1を送信モードに切換えた後、マイクMに
向って喋る。するとその音声aはマイクアンプ17で増幅
された後、FM変調回路42で1次変調される。人間の音声
は高調波成分まで含めても高々数KHzであるか{第6図
(A)参照}、これによりはるかに高い周波数a(
b)を有するキャリアでFM変調することにより、同図
(B)に示すようなスペクトルの信号b(FM1,FM2)と
なる。かかるFM変調出力信号bはBPF(帯域波器)11
で不要な周波数帯域成分を除去された後、乗算器2に供
給され、ここでPNG(拡散符号発生回路)44からの拡散
符号を乗算されることにより拡散され、同図(D)に示
ようなスペクトルを拡散信号(SS信号)c(そのメイン
ローブを破線SS1で示す)となる。なお、同図(C)
は、同図(D)におけるFMキャリア周波数aの横軸方
向の位置を合せるために、同図(B)の変調信号FM1を
右側にシフトしたものである。なお、LPF37は拡散符号
信号P(t)のサイドローブを除去してメインローブの
みを乗算器2,4に供給するための低域波器である。
上記拡散信号cは、次段の乗算器3,BPF12,及びDUP31
を介してアンテナAより送信されるわけであるが、その
際必要ならば、乗算器3にてSS変調周波数を切換えるも
ので、乗算器3はアップコンバージョンミキサとして働
いている。アップコンバージョンなる機能とは、使用し
たい拡散スペクトル周波数帯域が塞がっていないかどう
かを検出回路32で調べ(キャリアセンス機能)、所望周
波数帯域(例えば第7図(A)のスペクトルS1)が塞が
っていることが検出された場合には、空いている周波数
帯域が見つかるまでCPU33から制御信号により周波数シ
ンセサイザ34の発振周波数をより高い(又はより低い)
チャンネルの方へ{最大で同図(A)のスペクトルSnま
でn段階}切換えて、乗算器3及び後述する乗算器6に
供給する動作,機能である。即ち、検出回路32,CPU33,
周波数シンセサイザ34,及び乗算器3(6)によって、
マルチチャンネルアクセス動作を行なう制御部が構成さ
れているのであり、これにより使用周波数帯域を変更し
て送信(及び受信)を行なうことが可能となっている。
なお、第7図(B)は同図(A)におけるスペクトルを
拡大して示す波形図であり、同図(A)の(ホ)及び
(ヘ)に相当する箇所が、夫々第7図(B)のスペクト
ルa1及びn1である。
を介してアンテナAより送信されるわけであるが、その
際必要ならば、乗算器3にてSS変調周波数を切換えるも
ので、乗算器3はアップコンバージョンミキサとして働
いている。アップコンバージョンなる機能とは、使用し
たい拡散スペクトル周波数帯域が塞がっていないかどう
かを検出回路32で調べ(キャリアセンス機能)、所望周
波数帯域(例えば第7図(A)のスペクトルS1)が塞が
っていることが検出された場合には、空いている周波数
帯域が見つかるまでCPU33から制御信号により周波数シ
ンセサイザ34の発振周波数をより高い(又はより低い)
チャンネルの方へ{最大で同図(A)のスペクトルSnま
でn段階}切換えて、乗算器3及び後述する乗算器6に
供給する動作,機能である。即ち、検出回路32,CPU33,
周波数シンセサイザ34,及び乗算器3(6)によって、
マルチチャンネルアクセス動作を行なう制御部が構成さ
れているのであり、これにより使用周波数帯域を変更し
て送信(及び受信)を行なうことが可能となっている。
なお、第7図(B)は同図(A)におけるスペクトルを
拡大して示す波形図であり、同図(A)の(ホ)及び
(ヘ)に相当する箇所が、夫々第7図(B)のスペクト
ルa1及びn1である。
次に、受信の仕方(受信部側の動作)について説明す
る。通信装置1を受信モードに切換ると、アンテナAに
よりキャッチされた相手局からの電波がDUP31及びBPF13
を介して乗算器6に供給される。BPF13はSS信号のメイ
ンローブ以外の不要な周波数成分を除去する働きをす
る。また、乗算器6は上記乗算器3と相補的な働きをす
るダウン(アップ)コンバージョンミキサであり、これ
により、送信時に乗算器3にて拡散変調周波数が切換え
られていても、スペクトル拡散信号に同調しているコム
フィルタ9には前記したコムフィルタ特性に相応しい同
一周波数帯域のSS信号が必ず供給されるので、効率のよ
い復調が行なわれるようになる。
る。通信装置1を受信モードに切換ると、アンテナAに
よりキャッチされた相手局からの電波がDUP31及びBPF13
を介して乗算器6に供給される。BPF13はSS信号のメイ
ンローブ以外の不要な周波数成分を除去する働きをす
る。また、乗算器6は上記乗算器3と相補的な働きをす
るダウン(アップ)コンバージョンミキサであり、これ
により、送信時に乗算器3にて拡散変調周波数が切換え
られていても、スペクトル拡散信号に同調しているコム
フィルタ9には前記したコムフィルタ特性に相応しい同
一周波数帯域のSS信号が必ず供給されるので、効率のよ
い復調が行なわれるようになる。
コムフィルタ9は、復調時に2乗器(乗算器)を用い
た逆拡散手段の前段において、拡散スペクトル(SS信
号)成分のみを検出するフィルタである。このコムフィ
ルタ9を通過した拡散信号cは、次段の乗算器5にて2
乗検波されることにより逆拡散され、BPF14にて逆拡散
出力信号以外の不要な周波数成分を除去された後、FM復
調回路48にて復調された本来の音声信号aに戻り、アン
プ18にて適切な音量に調整されてスピーカSから音声出
力されるわけである。
た逆拡散手段の前段において、拡散スペクトル(SS信
号)成分のみを検出するフィルタである。このコムフィ
ルタ9を通過した拡散信号cは、次段の乗算器5にて2
乗検波されることにより逆拡散され、BPF14にて逆拡散
出力信号以外の不要な周波数成分を除去された後、FM復
調回路48にて復調された本来の音声信号aに戻り、アン
プ18にて適切な音量に調整されてスピーカSから音声出
力されるわけである。
なお、前記制御部におけるキャリアセンス機能を生ぜ
しめる手段としては、通話動作開始前のコムフィルタ出
力と拡散符号発生回路44からの拡散符号とを乗算器4で
乗算して狭帯域ノイズ信号に変換し、その信号レベルを
検出回路32で判定する構成すると良い{第1図のライン
(ィ)}。或いは、通話動作開始前のFM復調出力に生じ
る復調ノイズレベルを判定して行なうよう構成しても良
い{同図のライン(ロ)}。
しめる手段としては、通話動作開始前のコムフィルタ出
力と拡散符号発生回路44からの拡散符号とを乗算器4で
乗算して狭帯域ノイズ信号に変換し、その信号レベルを
検出回路32で判定する構成すると良い{第1図のライン
(ィ)}。或いは、通話動作開始前のFM復調出力に生じ
る復調ノイズレベルを判定して行なうよう構成しても良
い{同図のライン(ロ)}。
かかる通信装置1においては、復調部における逆拡散
動作が最も重要な動作の1つであり、以下、コムフィル
タ9及び乗算器5の動作を中心に、詳細に説明する。
動作が最も重要な動作の1つであり、以下、コムフィル
タ9及び乗算器5の動作を中心に、詳細に説明する。
前記FM変調回路42に供給される、音声信号a等の被変
調信号をsinptとし、FM変調回路42の搬送波をω(=2
πa)とすると、FM変調信号はcos(ωt+
(t)}で表される。なお、(t)は次式で表わされ
る変調信号である。
調信号をsinptとし、FM変調回路42の搬送波をω(=2
πa)とすると、FM変調信号はcos(ωt+
(t)}で表される。なお、(t)は次式で表わされ
る変調信号である。
(t)=Δsinpt/m ……………………(3) 但し、Δ:周波数偏移,m:変調周波数更に、拡散
符号発生回路44からの拡散符号P(t)により乗算器2
において拡散(2次変調)されて出来るSS信号及びアン
テナAによりキャッチされたSS信号C(t)は、 C(t)=P(t)cos{ωt+(t)} …………
(4) で表わされる。ここで、SS信号のレベル(振幅)をA1と
すると、SS信号C(t)は、 C(t)=A1・P(t)cos{ωt+(t)} ………
…(5) と表される。また、コムフィルタ9を構成する遅延回路
19を通過したFM遅延信号Cd(t)は、その振幅をA2とす
ると、 Cd(t) =A2・P(t)cos{ωt+(t−T)−ωT} ……
(6) となる。従って、加算器23の出力である加算FM信号C
(t)+Cd(t),即ちコムフィルタ9の出力C1(t)
は、振動変動成分をEnv(t)とし、位相成分をφ
(t)とすると、 C1(t)=C(t)+Cd(t) =P(t)Env(t)cos{ωt+(t)+φ(t)}
……(7) となる。ここで、FM信号C(t)とFM遅延信号Cd(t)
の強さの比(振幅比)をKとすると、振幅変動成分(以
下「振幅成分」とも記す)Env(t)は、 となり、位相成分φ(t)は、−π/2〜π/2の範囲で となる。
符号発生回路44からの拡散符号P(t)により乗算器2
において拡散(2次変調)されて出来るSS信号及びアン
テナAによりキャッチされたSS信号C(t)は、 C(t)=P(t)cos{ωt+(t)} …………
(4) で表わされる。ここで、SS信号のレベル(振幅)をA1と
すると、SS信号C(t)は、 C(t)=A1・P(t)cos{ωt+(t)} ………
…(5) と表される。また、コムフィルタ9を構成する遅延回路
19を通過したFM遅延信号Cd(t)は、その振幅をA2とす
ると、 Cd(t) =A2・P(t)cos{ωt+(t−T)−ωT} ……
(6) となる。従って、加算器23の出力である加算FM信号C
(t)+Cd(t),即ちコムフィルタ9の出力C1(t)
は、振動変動成分をEnv(t)とし、位相成分をφ
(t)とすると、 C1(t)=C(t)+Cd(t) =P(t)Env(t)cos{ωt+(t)+φ(t)}
……(7) となる。ここで、FM信号C(t)とFM遅延信号Cd(t)
の強さの比(振幅比)をKとすると、振幅変動成分(以
下「振幅成分」とも記す)Env(t)は、 となり、位相成分φ(t)は、−π/2〜π/2の範囲で となる。
次に、以上の式で表わされるコムフィルタ9の出力C1
(t)を乗算器5に供給して逆拡散すると、 P2(t)=1なので、乗算器5の出力C2(t)は、 となる。この(10)式から明らかなように、搬送波の周
波数や変調指数m(Δ/m),及び位相変動分が
2倍となるが、FMの基本的な性質は変らない。そこで、
中心周波数2ωの狭帯域波器(BPF)14を通すことに
より、FM信号以外の不要な成分を除去し、次段のFM復調
回路48にて復調させる。コムフィルタ9での逆拡散によ
り生じたFM信号中の振幅成分Env2(t)は、FM復調回路
48に内臓されているリミッタにより除去されるので、FM
復調出力e(t)は、Env2(t)を除いた成分を微分す
ることにより得られ、次式のようになる。
(t)を乗算器5に供給して逆拡散すると、 P2(t)=1なので、乗算器5の出力C2(t)は、 となる。この(10)式から明らかなように、搬送波の周
波数や変調指数m(Δ/m),及び位相変動分が
2倍となるが、FMの基本的な性質は変らない。そこで、
中心周波数2ωの狭帯域波器(BPF)14を通すことに
より、FM信号以外の不要な成分を除去し、次段のFM復調
回路48にて復調させる。コムフィルタ9での逆拡散によ
り生じたFM信号中の振幅成分Env2(t)は、FM復調回路
48に内臓されているリミッタにより除去されるので、FM
復調出力e(t)は、Env2(t)を除いた成分を微分す
ることにより得られ、次式のようになる。
(但し、′(t)−Δsinpt/m) 即ちFM復調出力e(t)は無歪の情報成分′(t)に
歪成分Dis(t)が付加された形として、次式 e(t)=′(t)−Dis(t) …………………(12) で表現できる。即ち、歪成分Dis(t)は、 である。
歪成分Dis(t)が付加された形として、次式 e(t)=′(t)−Dis(t) …………………(12) で表現できる。即ち、歪成分Dis(t)は、 である。
以上の計算結果を基に、FM復調出力により歪成分の性
質を調べてみると、次のようなことが判る。
質を調べてみると、次のようなことが判る。
歪成分は、K<1では′(t)に付加される歪とな
り、K>1では′(t−T)に付加される歪となり、
K=1に近づくにつれて大きくなる。
り、K>1では′(t−T)に付加される歪となり、
K=1に近づくにつれて大きくなる。
歪成分は変調信号(t)に比例する。即ち、
(t)は変調周波数mと変調指数m(Δ/m)
を代表している。これにより、変調周波数mが高けれ
ば歪成分は大、m×mが大で歪が複雑化する。
(t)は変調周波数mと変調指数m(Δ/m)
を代表している。これにより、変調周波数mが高けれ
ば歪成分は大、m×mが大で歪が複雑化する。
歪成分は′(t)と′(t−T)との差に比例
し、遅延時間Tにほぼ比例する。
し、遅延時間Tにほぼ比例する。
ここで、K=1,即ちFM信号C(t)とFM遅延信号Cd
(t)の振幅A1,A2が等しい場合には、 となり、歪成分は無くなる。これは、無歪復調出力′
(t)と無歪遅延復調出力′(t−T)の差の成分
で、そのレベルは第5図で変調周波数m=3.4KHzのと
き約−29dBとして残るが、この値は最大値のOdBに比べ
て小さいので無視でき、結果的にはe(t)≒′
(t)となり、無歪となる。{但し、これは計算上のこ
とで、実際にはレベル差が若干生じるため歪がほぼ最大
となる。} このように、SS化FM信号のコムフィルタ伝送は、基本
的にはFM放送受信時に生じるマルチパス歪と同種の歪が
生じるため、従来はSS通信の復調部には使用できないと
いう考えが一般的であり、実際に使用例も見かけなかっ
た。そこで、本発明方式では、以下のように、いくつか
の条件を設定することにより、上記欠点を回避してシス
テムを成立させている。
(t)の振幅A1,A2が等しい場合には、 となり、歪成分は無くなる。これは、無歪復調出力′
(t)と無歪遅延復調出力′(t−T)の差の成分
で、そのレベルは第5図で変調周波数m=3.4KHzのと
き約−29dBとして残るが、この値は最大値のOdBに比べ
て小さいので無視でき、結果的にはe(t)≒′
(t)となり、無歪となる。{但し、これは計算上のこ
とで、実際にはレベル差が若干生じるため歪がほぼ最大
となる。} このように、SS化FM信号のコムフィルタ伝送は、基本
的にはFM放送受信時に生じるマルチパス歪と同種の歪が
生じるため、従来はSS通信の復調部には使用できないと
いう考えが一般的であり、実際に使用例も見かけなかっ
た。そこで、本発明方式では、以下のように、いくつか
の条件を設定することにより、上記欠点を回避してシス
テムを成立させている。
歪成分の性質より、歪成分を小さく抑える条件とし
て、変調信号(t)に対して遅延時間Tをできるだけ
小さくする。
て、変調信号(t)に対して遅延時間Tをできるだけ
小さくする。
FM信号の主要パワースペクトルをコムフィルタの通過
帯域内に存在させる。即ち、変調指数mが小さく、遅
延回路の遅延時間Tによる周波数(1/T)に比べて変調
周波数mが十分低ければ、第5図からも明白なよう
に、{′(t)−′(t−T)}成分は非常に小さ
くなる。
帯域内に存在させる。即ち、変調指数mが小さく、遅
延回路の遅延時間Tによる周波数(1/T)に比べて変調
周波数mが十分低ければ、第5図からも明白なよう
に、{′(t)−′(t−T)}成分は非常に小さ
くなる。
SS波のスペクトル間隔d(第3図(B)参照)を200K
Hzとすると、遅延時間Tは5μsとなる。最高変調周波
数m maxを3.4KHzとすると、歪の影響は第5図(A)
から判るように、最大歪を0dBとすると約−29dBの値と
なる。{伝達関数W(s)と同じで、逆相(180゜移
相)周波数で最大,同相周波数で0となる。} 第5図(A)の例において、遅延時間Tが2倍の10μ
sになれば、最大値の個所が50KHzとなり、3.4KHzの箇
所では歪は約−23dBとなる。
Hzとすると、遅延時間Tは5μsとなる。最高変調周波
数m maxを3.4KHzとすると、歪の影響は第5図(A)
から判るように、最大歪を0dBとすると約−29dBの値と
なる。{伝達関数W(s)と同じで、逆相(180゜移
相)周波数で最大,同相周波数で0となる。} 第5図(A)の例において、遅延時間Tが2倍の10μ
sになれば、最大値の個所が50KHzとなり、3.4KHzの箇
所では歪は約−23dBとなる。
最後に、コムフィルタ(9)の他の構成例について、
第10図及び第11図を参照し乍ら説明する。第10図示の回
路は巡回型フィルタを2段に縦続接続したものであり、
各段において同一働きを行なう構成要素には同一番号を
付している。20は遅延回路19に比して3倍の遅延時間3T
を付与する遅延回路、21及び22は夫々K1,K2(0≦K1,K2
≦1)なる係数を乗ずる係数付加器、23乃至25は加算器
である。遅延回路19にて設定する遅延時間Tの具体例と
して、T=4μsとした場合の通過特性を第11図に示
す。この場合−60dBがノイズレベルである。この図にお
いて“リニア”とは、縦軸を対数目盛[dB]ではなく、
等間隔目盛で表わした場合の特性曲線である。この特性
図から明らかなように、コムフィルタを構成する係数付
加器21,22の係数値K1,K2の値を変化させると、コムフィ
ルタの通過特性は若干変化するが、いずれにせよ、1/T
(=250KHz)(及びその整数倍)に中心周波数を有する
急峻な狭帯域波特性となる。このフィルタの伝達関数
H(ω)は次式で表わされる。
第10図及び第11図を参照し乍ら説明する。第10図示の回
路は巡回型フィルタを2段に縦続接続したものであり、
各段において同一働きを行なう構成要素には同一番号を
付している。20は遅延回路19に比して3倍の遅延時間3T
を付与する遅延回路、21及び22は夫々K1,K2(0≦K1,K2
≦1)なる係数を乗ずる係数付加器、23乃至25は加算器
である。遅延回路19にて設定する遅延時間Tの具体例と
して、T=4μsとした場合の通過特性を第11図に示
す。この場合−60dBがノイズレベルである。この図にお
いて“リニア”とは、縦軸を対数目盛[dB]ではなく、
等間隔目盛で表わした場合の特性曲線である。この特性
図から明らかなように、コムフィルタを構成する係数付
加器21,22の係数値K1,K2の値を変化させると、コムフィ
ルタの通過特性は若干変化するが、いずれにせよ、1/T
(=250KHz)(及びその整数倍)に中心周波数を有する
急峻な狭帯域波特性となる。このフィルタの伝達関数
H(ω)は次式で表わされる。
H(ω)={(1+cosωT+K2cos3ωT)2 +(sinωT+K2sin3T)2}/{(1−K1cosωT −K1K2cos3ωT)2+(K1sinωT+K1K2sin3ωT2} …
(15) 以上のような構成を有する本発明のSS無線通信装置に
おける身近かな具体的応用例としては、微弱電波を用い
た無線機器、即ちワイヤレスマイクロホンやトランシー
バ,移動式無線電話機(コードレス電話機)等があげら
れる。
(15) 以上のような構成を有する本発明のSS無線通信装置に
おける身近かな具体的応用例としては、微弱電波を用い
た無線機器、即ちワイヤレスマイクロホンやトランシー
バ,移動式無線電話機(コードレス電話機)等があげら
れる。
本発明のスペクトル拡散無線通信装置は以上のように
構成したので、次のような優れた特徴を有している。
構成したので、次のような優れた特徴を有している。
(1)従来装置においては、復調部にも逆拡散用の拡散
符号発生回路を備えており、クロック再生回路,拡散符
号発生回路,同期引込み回路及び同期保持回路等が必要
不可欠であったので、回路構成が非常に複雑であった
が、これらが不要となったので回路構成をかなり簡素化
でき、コストの大幅な低減が図れ、これにより民生機器
への展開が非常に容易になった。
符号発生回路を備えており、クロック再生回路,拡散符
号発生回路,同期引込み回路及び同期保持回路等が必要
不可欠であったので、回路構成が非常に複雑であった
が、これらが不要となったので回路構成をかなり簡素化
でき、コストの大幅な低減が図れ、これにより民生機器
への展開が非常に容易になった。
(2)同期引込み回路及び同期保持回路等の高度な技術
が要求される複数の回路が不要となったことにより、従
来装置における同期引込み時間がかかるという欠点や、
同期が外れる等の問題から解放され、スペクトル拡散無
線通信装置の動作の安定化に寄与できる。
が要求される複数の回路が不要となったことにより、従
来装置における同期引込み時間がかかるという欠点や、
同期が外れる等の問題から解放され、スペクトル拡散無
線通信装置の動作の安定化に寄与できる。
(3)スペクトル拡散信号の周波数スペクトル間隔を、
少なくともFM変調信号周波数帯域幅より広く設定するこ
とにより、SS化FM信号のコムフィルタ伝送を可能とし、
SS信号以外の不要な成分を十分抑圧でき、併せて2乗に
よる逆拡散を可能にしているため、復調(受信部)側の
構成を大幅に簡素化できる。
少なくともFM変調信号周波数帯域幅より広く設定するこ
とにより、SS化FM信号のコムフィルタ伝送を可能とし、
SS信号以外の不要な成分を十分抑圧でき、併せて2乗に
よる逆拡散を可能にしているため、復調(受信部)側の
構成を大幅に簡素化できる。
(4)櫛型フィルタを構成する遅延回路の遅延時間の逆
数に比べて、FM変調信号の変調周波数を十分低く設定
し、且つその変調指数を小さく設定することにより、発
生する歪を実用に差支えない程度に十分低いレベルに抑
圧し得、瞬時動作を安定に行なうことができ、確実な復
調動作を実現できる。
数に比べて、FM変調信号の変調周波数を十分低く設定
し、且つその変調指数を小さく設定することにより、発
生する歪を実用に差支えない程度に十分低いレベルに抑
圧し得、瞬時動作を安定に行なうことができ、確実な復
調動作を実現できる。
(5)MCAを働かせるためのキャリアセンスに新奇な構
成を採用したので、本格的なSS通信方式とMCA方式とを
結合させて、簡易でしかも遠近問題の生じ難い無線通信
装置を提供できた。
成を採用したので、本格的なSS通信方式とMCA方式とを
結合させて、簡易でしかも遠近問題の生じ難い無線通信
装置を提供できた。
第1図は本発明のスペクトル拡散無線通信装置の一実施
例のブロック構成図、第2図は本発明装置を2台用いて
通信を行なう様子を示す原理図、第3図及び第10図は本
発明装置の復調部を構成するコムフィルタの具体的ブロ
ック図、第4図(A),(B)及び第11図は夫々第3図
及び第10図示のコムフィルタの通過特性図、第5図は第
3図示のコムフィルタの歪−周波数特性図、第6図
(A)〜(D)及び第7図(A),(B)は本発明装置
の動作説明用周波数スペクトル図、第8図は従来のスペ
クトル拡散無線通信装置の基本原理を示すブロック図、
第9図は第8図の装置の各構成部分の動作説明用スペク
トル波形図である。 1……スペクトル拡散無線通信装置、2〜6……乗算
器、9……コムフィルタ、11〜14……BPF、17,18……ア
ンプ、19,20……遅延回路、21,22……係数付加器、23〜
25……加算器、31……DUP、32……検出回路、33……CP
U、34……周波数シンセサイザ、37……LPF、42……FM変
調回路、44……拡散符号発生回路、48……FM復調回路、
A……アンテナ、M……マイクロホン、S……スピー
カ、In1,In2……入力端子、Out1……出力端子。
例のブロック構成図、第2図は本発明装置を2台用いて
通信を行なう様子を示す原理図、第3図及び第10図は本
発明装置の復調部を構成するコムフィルタの具体的ブロ
ック図、第4図(A),(B)及び第11図は夫々第3図
及び第10図示のコムフィルタの通過特性図、第5図は第
3図示のコムフィルタの歪−周波数特性図、第6図
(A)〜(D)及び第7図(A),(B)は本発明装置
の動作説明用周波数スペクトル図、第8図は従来のスペ
クトル拡散無線通信装置の基本原理を示すブロック図、
第9図は第8図の装置の各構成部分の動作説明用スペク
トル波形図である。 1……スペクトル拡散無線通信装置、2〜6……乗算
器、9……コムフィルタ、11〜14……BPF、17,18……ア
ンプ、19,20……遅延回路、21,22……係数付加器、23〜
25……加算器、31……DUP、32……検出回路、33……CP
U、34……周波数シンセサイザ、37……LPF、42……FM変
調回路、44……拡散符号発生回路、48……FM復調回路、
A……アンテナ、M……マイクロホン、S……スピー
カ、In1,In2……入力端子、Out1……出力端子。
Claims (3)
- 【請求項1】送信部側には、音声等の被変調信号を搬送
波で変調してFM変調信号を出力するFM変調手段と、該FM
変調信号を拡散符号発生回路からの拡散符号で拡散変調
してスペクトル拡散信号を出力するスペクトル拡散手段
と、該スペクトル拡散信号にアップコンバージョンを施
して出力する,マルチチャンネルアクセス機能を持った
周波数変換部とを備え、 受信部側には、アンテナより受信されたスペクトル拡散
信号にダウンコンバージョンを施す,マルチチャンネル
アクセス機能を持った周波数変換部と、該周波数変換さ
れたスペクトル拡散信号を,該スペクトル拡散信号に同
調している櫛型フィルタに供給することにより,上記周
波数変換されたスペクトル拡散信号の周波数スペクトル
のみを検出する検出手段と、該検出手段により得られた
検出スペクトル拡散信号を2乗動作により逆拡散する乗
算手段と、該乗算手段にて得られた逆拡散出力信号のみ
を通過させる帯域波手段と、該帯域波手段の出力信
号をFM復調する復調手段とを備え、 更に、所望の拡散スペクトル周波数帯域が塞がっている
か否かを確認して処理するキャリアセンス機能と、周波
数帯域が塞がっている場合にはマルチチャンネルアクセ
ス動作により使用周波数帯域を変更して送信及び受信を
行なうマルチチャンネルアクセス機能とを兼ね備えた制
御部を設けて通信するよう構成したことを特徴とするス
ペクトル拡散無線通信装置。 - 【請求項2】上記制御部におけるキャリアセンス機能を
生ぜしめる手段として、通話動作開始前の櫛型フィルタ
出力と,拡散符号発生回路からの拡散符号とを乗算して
狭帯域ノイズ信号に変換し、その信号レベルを判定して
行なうよう構成した、特許請求の範囲第1項記載のスペ
クトル拡散無線通信装置。 - 【請求項3】上記制御部におけるキャリアセンス機能を
生ぜしめる手段として、通話動作開始前のFM復調出力に
生じる復調ノイズレベルを判定して行なうよう構成し
た、特許請求の範囲第1項記載のスペクトル拡散無線通
信装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33372589A JP2540962B2 (ja) | 1989-12-20 | 1989-12-20 | スペクトル拡散無線通信装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33372589A JP2540962B2 (ja) | 1989-12-20 | 1989-12-20 | スペクトル拡散無線通信装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03191630A JPH03191630A (ja) | 1991-08-21 |
JP2540962B2 true JP2540962B2 (ja) | 1996-10-09 |
Family
ID=18269262
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33372589A Expired - Lifetime JP2540962B2 (ja) | 1989-12-20 | 1989-12-20 | スペクトル拡散無線通信装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2540962B2 (ja) |
-
1989
- 1989-12-20 JP JP33372589A patent/JP2540962B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03191630A (ja) | 1991-08-21 |
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