JP2540590Y2 - サンドパックドレーン用砂袋 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】本考案は、軟弱な地盤中の浮
遊水を、袋詰め砂柱を排水路として地表面に排水し、軟
弱土層の圧密を促進させ強度を増進する、いわゆるサン
ドパックドレーン工法に使用する砂袋に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種サンドパックドレーン工法
に使用する砂袋は、ポリエチレンモノフィラメントで代
表される高分子合成繊維を用い、これを平織でメッシュ
状に織成した筒状の網袋であり、ドレーン構造体である
砂袋の内部に充填した砂柱の形状を保持する機能を有す
るものである。そして、この砂袋内には、吸水性，透水
性，フィルター機能をそれぞれ発揮するように、所定の
粒度分布になる砂質のものを中詰砂とし使用することに
なっている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】上記のように、従来の
この種の砂袋には、ドレーン構造体である砂柱の形状を
保持する機能を具備していればよいものであるため、砂
柱に吸水性，透水性，フィルター機能を発揮させるため
には、この砂袋内に詰める中詰砂の砂質に依存すること
になる。

【０００４】然るに、近年軟弱地盤層の深さや改良用地
の質の変化に伴って、より良質な砂が要求されているに
もかかわらず、その入手が益々困難になっている。ま
た、中詰砂は、透水性，フィルター機能などを考慮し
て、所定の粒度分布になるよう調整した適切な砂質のも
のを選択しているが、それでも次第に目詰りが生じ、透
水性，フィルター機能が劣化するといった諸問題点もあ
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案は、上記のような
従来の問題点を解決するために成されたもので、ドレー
ン構造体である砂柱の保形材として機能する砂袋に、吸
水性，透水性，フィルター機能を付与することにより、
排水効果を向上せしめたものを提供することを目的とし
たものであり、その要旨は、全体を合成樹脂製の経糸と
緯糸との織成により細長い筒状の網袋を形成するとゝも
に、該網袋の前記経糸の所望本数毎に吸水性，透水性を
有する前記経糸より大径の繊維収束体を長手方向に沿っ
て織り込んだ構成からなることを特徴とするサンドパッ
クドレーン用砂袋にある。

【０００６】

【考案の実施の形態】以下、本考案を図１乃至図３に示
す実施例により詳細に説明するに、図において、１は直
径が５０ｃｍ、長さが１０ｍの円筒形状の砂袋で、ポリ
エチンモノフィラメントからなる６００デニールの経糸
２Ａと、３８０デニールの緯糸２Ｂとにより、２２本×
１６本（１インチ当たり）の平織で織成されたものであ
る。

【０００７】３は前記径糸２Ａ，２Ａ間に織り込まれた
吸水性，透水性を有する繊維収束体で、図２に示すよう
に、径糸２４本毎にこの繊維収束体３が経糸２Ａの方
向、すなわち、砂袋１の長手方向に沿って織り込まれて
おり、全体として、砂袋１の側壁の下端部から上端部に
わたる全長にわたって形成されている。なお、本実施例
において、この繊維収束体３としてはセルロース製の糸
を使用し、前記経糸２Ａとの太さの比は、約３０対１と
なるように構成されている。

【０００８】前記繊維収束体３は、ＪＩＳＬ−１０９６
に準拠し、透水指数〔パイレック法による吸水性（ｍ
ｍ）を吸水量（試料長３０ｃｍ×浸水２ｃｍ×１０分）
測定とし、繊維収束体の単位重量当たりに密度換算した
もの〕が０．５以上であり、且つ動的吸水力を評価する
ラローズ法（ヘッド差３０ｍｍ、荷重０．５ｋｇ）に準
ずる評価値を吸水指数（単位重量当たり密度換算したも
の）とし、０．４以上のものを対象としているが、本実
施例では、透水指数が１．３２、動的吸水力である吸水
指数が１．５５のものを使用している。

【０００９】なお、前記実施例において、この繊維収束
体３は砂袋１の織成時において、経糸２Ａに打ち込む緯
糸２Ｂとの絡みにより一体に構成されているが、従来の
方法で織成された砂袋１の側壁の内周面又は外周面に、
砂袋１とは別体に形成した繊維収束体３を、所定間隔を
おいて長手方向に、縫着或いは部分溶着等により固着し
てもよいことは勿論である。

【００１０】而して、軟弱地盤Ｇに打設した図示しない
ケーシング内に砂袋１を投入し、この砂袋１の中にホッ
パーから吸水性，透水性，フィルター機能を有するよう
に粒径を調整した砂（中詰砂）５Ａを入れる。そして、
前記ケーシングを軟弱地盤Ｇから引き抜いた後、中詰砂
５Ａが充填された砂袋１、すなわちドレーン構造体であ
る砂袋１と砂柱５の上方開口部に、排水溝となる排水用
敷砂６及び盛土７を夫々設置する。

【００１１】これにより、軟弱地盤Ｇ内における前記砂
柱５の周辺の浮遊水Ｗは、初期の段階において、砂袋１
の網目を通って内部の中詰砂５Ａに吸水され、吸水され
たこの浮遊水Ｗは中詰砂５Ａの透水効果により砂柱５内
を上昇する。これと同時に、繊維収束体３の吸水性によ
りその周辺の浮遊水Ｗが吸水され、この浮遊水Ｗもま
た、繊維収束体３の透水性（毛細管現象）により繊維収
束体３内を上昇し、上端部から排水用敷砂６を通って所
定箇所に排水される。

【００１２】そして、軟弱地盤Ｇ内の浮遊水Ｗがある程
度排出され、耐押潰性が進むと、図３に示すように、繊
維収束体３の周辺にフィルターケーキ８が生成してく
る。これにより、浮遊水Ｗはこのフィルターケーキ８を
経てブリージグ水となるので、目詰まりを生じることな
く繊維収束体３に吸水され、上昇して排水される。

【００１３】

【考案の効果】本考案に係るサンドパックドレーン用砂
袋は、上記のように、全体を合成樹脂製の経糸と緯糸と
の織成により細長い筒状の網袋を形成するとゝもに、該
網袋の前記経糸の所望本数毎に吸水性，透水性を有する
前記経糸より大径の繊維収束体を長手方向に沿って織り
込んだ構成であるから、中詰砂と、この中詰砂を包む
砂袋の繊維収束体の両者がドレーン構造体となり、排水
量が増大するので、工期の短縮を図ることができる。
耐押潰性が進むと、繊維収束体の周辺にフィルターケー
キが生成されるので、浮遊水はこのフィルターケーキを
経てブリージグ水となる。従って、目詰まりすることが
なく、砂袋の吸水，透水機能を長期にわたって保持する
ことができるとゝもに、ドレーン機能がスムーズとなる
ので、長尺なサンドパックドレーンへの適用が可能とな
る。透水性やフィルター機能などを考慮して、従来は
中詰砂に調整した粒度のものを使用していたが、粒径に
バラツキのある砂を使用することもでき、従来と比較し
て砂の粒度範囲を大幅に広げることができる、といった
諸効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る砂袋の使用状態を示す説明図であ
る。

【図２】図１のＡ部分の部分拡大斜視図である。

【図３】作用説明部分断面図である。

【符号の説明】

１ 砂袋 ２Ａ 経糸 ２Ｂ 緯糸 ３ 繊維収束体 ５ 砂柱 ５Ａ 中詰砂 ６ 排水用敷砂 ７ 盛土 ８ フィルターケーキ Ｇ 軟弱地盤 Ｗ 浮遊水

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 全体を合成樹脂製の経糸と緯糸との織成
   により細長い筒状の網袋を形成するとゝもに、該網袋の
   前記経糸の所望本数毎に吸水性，透水性を有する前記経
   糸より大径の繊維収束体を長手方向に沿って織り込んだ
   構成からなることを特徴とするサンドパックドレーン用
   砂袋。