JP2539581B2 - 高炉出銑口閉塞材 - Google Patents
高炉出銑口閉塞材Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高炉出銑口閉塞材に関
するものである。
するものである。
【0002】
【従来の技術】最近の高炉の大型化、高圧化に伴い、出
銑口閉塞材の使用条件も苛酷なものとなっており、高炉
における出銑口閉塞材に要求される特性は種々あるが、
特に重要な特性として下記3点が挙げられる: マッドガンによる出銑口への充填が容易に行える施工
時の押出性を有し、かつ出銑口開孔時の開孔性が良いこ
と; 充填後の閉塞材が短時間で焼結し、使用時の溶銑及び
スラグの摩耗損傷に耐え得ること; 使用時の溶銑及びスラグによる化学的侵食に耐え、出
銑口径の拡大がなく、安定した出銑が長時間できる耐食
性を有すること。
銑口閉塞材の使用条件も苛酷なものとなっており、高炉
における出銑口閉塞材に要求される特性は種々あるが、
特に重要な特性として下記3点が挙げられる: マッドガンによる出銑口への充填が容易に行える施工
時の押出性を有し、かつ出銑口開孔時の開孔性が良いこ
と; 充填後の閉塞材が短時間で焼結し、使用時の溶銑及び
スラグの摩耗損傷に耐え得ること; 使用時の溶銑及びスラグによる化学的侵食に耐え、出
銑口径の拡大がなく、安定した出銑が長時間できる耐食
性を有すること。
【0003】これらの特性を改良した閉塞材について
は、種々開示されている。例えば、特開昭51−119015号
公報には、アルミナ45部、炭化珪素30部、窒化珪素
20部、黒鉛5部を特定の製油系重質油で混練してな
り、強度の保持と高耐食性を有する不定形耐火物が記載
されている。また、特開昭54−21410号公報には、コー
クス40%以下、炭化珪素5〜40%、ロー石10〜5
0%、珪素合金2〜10%をフェノール樹脂10〜35
%で混練して作業性、焼結性を損なうことなく耐食性を
向上させた閉塞材が記載されている。更に、特開昭60−
208406号公報には、アルミナ20部、炭化珪素30部、
コークス20部、粘土10部からなる耐火骨材を、特定
のバインダーで混練してなる熱間強度や耐食性に優れた
閉塞材が記載されている。また、特開平2−285014号公
報には、アルミナ原料を主体に、炭化珪素20部、コー
クス10部、44μm以下の窒化珪素15〜30部、カ
オリン粘土5〜15部をタール19部で混練した耐食
性、強度を改善した閉塞材が記載されている。更に、特
開平3−205377号公報には、ボーキサイト35〜45
%、炭化珪素15〜25%、窒化珪素鉄10%、カオリ
ン10%に開孔性付与材10〜30%を添加して、耐食
性、耐性摩耗の向上を図りながら開孔性に優れた閉塞材
等が記載されている。
は、種々開示されている。例えば、特開昭51−119015号
公報には、アルミナ45部、炭化珪素30部、窒化珪素
20部、黒鉛5部を特定の製油系重質油で混練してな
り、強度の保持と高耐食性を有する不定形耐火物が記載
されている。また、特開昭54−21410号公報には、コー
クス40%以下、炭化珪素5〜40%、ロー石10〜5
0%、珪素合金2〜10%をフェノール樹脂10〜35
%で混練して作業性、焼結性を損なうことなく耐食性を
向上させた閉塞材が記載されている。更に、特開昭60−
208406号公報には、アルミナ20部、炭化珪素30部、
コークス20部、粘土10部からなる耐火骨材を、特定
のバインダーで混練してなる熱間強度や耐食性に優れた
閉塞材が記載されている。また、特開平2−285014号公
報には、アルミナ原料を主体に、炭化珪素20部、コー
クス10部、44μm以下の窒化珪素15〜30部、カ
オリン粘土5〜15部をタール19部で混練した耐食
性、強度を改善した閉塞材が記載されている。更に、特
開平3−205377号公報には、ボーキサイト35〜45
%、炭化珪素15〜25%、窒化珪素鉄10%、カオリ
ン10%に開孔性付与材10〜30%を添加して、耐食
性、耐性摩耗の向上を図りながら開孔性に優れた閉塞材
等が記載されている。
【0004】即ち、従来の閉塞材は、アルミナや高珪酸
質原料を主体に、炭化珪素、コークス等のカーボン、粘
土、珪素合金や窒化珪素系添加物等を加えたものを、コ
ールタール、フェノール樹脂等をバインダーとして混練
してなるものが一般的である。
質原料を主体に、炭化珪素、コークス等のカーボン、粘
土、珪素合金や窒化珪素系添加物等を加えたものを、コ
ールタール、フェノール樹脂等をバインダーとして混練
してなるものが一般的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、最近の
高炉の大型化、操業条件の苛酷化により閉塞材への負荷
は極めて高くなっている。一方、経済性の面での原単位
低減、作業環境面での省力化等より出銑時間の延長、即
ち耐食性の向上が望まれている。これに対し、前記のよ
うな従来系の出銑口閉塞材では、耐用性が充分ではな
く、出銑時間の延長について充分満足できるものではな
かった。
高炉の大型化、操業条件の苛酷化により閉塞材への負荷
は極めて高くなっている。一方、経済性の面での原単位
低減、作業環境面での省力化等より出銑時間の延長、即
ち耐食性の向上が望まれている。これに対し、前記のよ
うな従来系の出銑口閉塞材では、耐用性が充分ではな
く、出銑時間の延長について充分満足できるものではな
かった。
【0006】炭化珪素原料は、溶銑やスラグに対する耐
食性が高く、耐摩耗性に優れる素材であるが、出銑口閉
塞材の原料として多量に使用すると、焼結性を低下さ
せ、熱間での強度低下が生じるので問題であった。ま
た、炭化珪素原料の粒子は、表面に大きな凹凸を持つの
で、多量に使用すると閉塞材の施工時の押出充填性を低
下させる問題があった。
食性が高く、耐摩耗性に優れる素材であるが、出銑口閉
塞材の原料として多量に使用すると、焼結性を低下さ
せ、熱間での強度低下が生じるので問題であった。ま
た、炭化珪素原料の粒子は、表面に大きな凹凸を持つの
で、多量に使用すると閉塞材の施工時の押出充填性を低
下させる問題があった。
【0007】従って、本発明の目的は、焼結性を損なう
ことなく、多量の炭化珪素原料を使用することにより、
耐食性及び耐摩耗性に優れた出銑時間を大幅に延長する
ことが可能な高耐用性の高炉出銑口閉塞材を提供するこ
とにある。
ことなく、多量の炭化珪素原料を使用することにより、
耐食性及び耐摩耗性に優れた出銑時間を大幅に延長する
ことが可能な高耐用性の高炉出銑口閉塞材を提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成するために、本質的に溶銑及びスラグに対する耐食性
が高く、かつ耐摩耗性に優れる炭化珪素原料の出銑口閉
塞材中の存在比率及び化学組成について、検討を重ねた
結果なされたものである。
成するために、本質的に溶銑及びスラグに対する耐食性
が高く、かつ耐摩耗性に優れる炭化珪素原料の出銑口閉
塞材中の存在比率及び化学組成について、検討を重ねた
結果なされたものである。
【0009】
【0010】即ち、本発明に係る高炉出銑口閉塞材は、
残留金属シリコンを0.3〜4重量%含有する炭化珪素
原料35〜85重量%、炭素原料2〜16重量%、可塑
性粘土粉末5〜20重量%及びその他の耐火材料50重
量%以下とを含有してなる粉体部100重量部に対し
て、炭素を含有する結合剤を外掛で10〜25重量部混
練してなることを特徴とする。
残留金属シリコンを0.3〜4重量%含有する炭化珪素
原料35〜85重量%、炭素原料2〜16重量%、可塑
性粘土粉末5〜20重量%及びその他の耐火材料50重
量%以下とを含有してなる粉体部100重量部に対し
て、炭素を含有する結合剤を外掛で10〜25重量部混
練してなることを特徴とする。
【0011】
【作用】本発明は、特定量の残留金属シリコンを含有す
る炭化珪素原料を用いることにより、高温下で、他の炭
素原料及び結合剤に含まれる炭素と、炭化珪素中の残留
金属シリコンとの反応による炭化珪素粒子間の有効な反
応焼結による自己結合性が得られることが判明し、これ
を利用するものである。
る炭化珪素原料を用いることにより、高温下で、他の炭
素原料及び結合剤に含まれる炭素と、炭化珪素中の残留
金属シリコンとの反応による炭化珪素粒子間の有効な反
応焼結による自己結合性が得られることが判明し、これ
を利用するものである。
【0012】以下、本発明について詳細に説明する。従
来から、出銑口閉塞材の微粉マトリックス部に、金属シ
リコンを焼結材として添加する手法は実施されていた。
この場合にも、炭素原料や炭素を含有する有機結合剤が
用いられており、高温下ではこれらの反応による焼結が
生じていたものと思われる。しかしながら、この反応は
耐火材料の粒子同士を直接結合させるものではなく、マ
トリックス部における焼結性を促進しているに過ぎない
ものであった。従来のように、アルミナ−シリカ系耐火
材料を主体とし、焼結性に劣る炭化珪素の含有量が少な
い出銑口閉塞材の場合には、アルミナ−シリカ系耐火材
料自体の焼結性が充分高く、これのマトリックス部を付
加的に焼結させることで、出銑口閉塞材全体の焼結性を
調整していたものである。
来から、出銑口閉塞材の微粉マトリックス部に、金属シ
リコンを焼結材として添加する手法は実施されていた。
この場合にも、炭素原料や炭素を含有する有機結合剤が
用いられており、高温下ではこれらの反応による焼結が
生じていたものと思われる。しかしながら、この反応は
耐火材料の粒子同士を直接結合させるものではなく、マ
トリックス部における焼結性を促進しているに過ぎない
ものであった。従来のように、アルミナ−シリカ系耐火
材料を主体とし、焼結性に劣る炭化珪素の含有量が少な
い出銑口閉塞材の場合には、アルミナ−シリカ系耐火材
料自体の焼結性が充分高く、これのマトリックス部を付
加的に焼結させることで、出銑口閉塞材全体の焼結性を
調整していたものである。
【0013】従来は、炭化珪素原料を多量に用いた出銑
口閉塞材は、ほとんど実用されておらず、実用材料とし
ては、炭化珪素の使用量は30%以下が一般的であっ
た。即ち、炭化珪素自体の焼結性が低いため、高温下で
の強度が低下し、素材自体の耐食性、耐摩耗性を充分発
揮できるような閉塞材の組織体が得られなかったためで
ある。微粉部に金属シリコンを添加しても、マトリック
ス部の焼結強度を向上させることは可能であるが、多量
に含有されている炭化珪素粒子の結合強度を向上するこ
とができず、炭化珪素素材の長所を活かした閉塞材がで
きなかった。
口閉塞材は、ほとんど実用されておらず、実用材料とし
ては、炭化珪素の使用量は30%以下が一般的であっ
た。即ち、炭化珪素自体の焼結性が低いため、高温下で
の強度が低下し、素材自体の耐食性、耐摩耗性を充分発
揮できるような閉塞材の組織体が得られなかったためで
ある。微粉部に金属シリコンを添加しても、マトリック
ス部の焼結強度を向上させることは可能であるが、多量
に含有されている炭化珪素粒子の結合強度を向上するこ
とができず、炭化珪素素材の長所を活かした閉塞材がで
きなかった。
【0014】炭化珪素原料は、珪石とコークスを主体原
料として添加物を加え、高温で反応させて製造される
が、シリカの還元分解過程で生成されるシリコンが、炭
化珪素の生成過程で未反応の金属シリコンとして残る場
合がある。市販品は、通常SiC含有量で純度が区分さ
れており、SiC含有量の高いものほど高純度品とされ
ている。一般的には大きな意味で、高純度の炭化珪素原
料ほど残留金属シリコン量が少なく、逆に低純度品ほど
残留金属シリコン量が多い傾向はある。しかしながら、
残留金属シリコン量は、必ずしも炭化珪素原料のSiC
含有量と明瞭に相関するものではなく、SiC純度が9
8〜99%程度でも、残留金属シリコン量は、0.05
%程度のものから0.6%程度のものまである。一方、
SiC純度が87〜89%程度でも、残留金属シリコン
量が0.2%程度で、不純物として炭素や鉄を多く含む
ものがある。出銑口閉塞材には、これらの市販品の中
で、耐食性、耐摩耗性を重視するときには、SiC含有
量の高い高純度品が、コストを重視するときには、Si
C含有量の比較的低い低価格のものが選択して使用され
ており、残留金属シリコン量については関心が払われて
おらず、閉塞材の特性との関連性については検討されて
いなかった。
料として添加物を加え、高温で反応させて製造される
が、シリカの還元分解過程で生成されるシリコンが、炭
化珪素の生成過程で未反応の金属シリコンとして残る場
合がある。市販品は、通常SiC含有量で純度が区分さ
れており、SiC含有量の高いものほど高純度品とされ
ている。一般的には大きな意味で、高純度の炭化珪素原
料ほど残留金属シリコン量が少なく、逆に低純度品ほど
残留金属シリコン量が多い傾向はある。しかしながら、
残留金属シリコン量は、必ずしも炭化珪素原料のSiC
含有量と明瞭に相関するものではなく、SiC純度が9
8〜99%程度でも、残留金属シリコン量は、0.05
%程度のものから0.6%程度のものまである。一方、
SiC純度が87〜89%程度でも、残留金属シリコン
量が0.2%程度で、不純物として炭素や鉄を多く含む
ものがある。出銑口閉塞材には、これらの市販品の中
で、耐食性、耐摩耗性を重視するときには、SiC含有
量の高い高純度品が、コストを重視するときには、Si
C含有量の比較的低い低価格のものが選択して使用され
ており、残留金属シリコン量については関心が払われて
おらず、閉塞材の特性との関連性については検討されて
いなかった。
【0015】本発明者等は、各種の炭化珪素原料につい
て、特に高温加熱による焼結強度特性に関して種々調査
した結果、残留金属シリコンを0.3〜4%含有する炭
化珪素原料35〜85重量%、炭素原料2〜16重量
%、可塑性粘土粉末5〜20重量%、及び適宜その他の
耐火材料を50重量%以下含有してなる粉体部100重
量部に対して、炭素を含有する結合剤を外掛で10〜2
5重量部混練してなる高炉出銑口閉塞材を完成するに至
った。
て、特に高温加熱による焼結強度特性に関して種々調査
した結果、残留金属シリコンを0.3〜4%含有する炭
化珪素原料35〜85重量%、炭素原料2〜16重量
%、可塑性粘土粉末5〜20重量%、及び適宜その他の
耐火材料を50重量%以下含有してなる粉体部100重
量部に対して、炭素を含有する結合剤を外掛で10〜2
5重量部混練してなる高炉出銑口閉塞材を完成するに至
った。
【0016】本発明に使用する炭化珪素原料は、残留金
属シリコンを0.3〜4%含有するものでなければなら
ない。本発明では、残留シリコン量の多い、即ち比較的
純度の低い炭化珪素原料を多量に使用することにより、
高い耐食性をもち、かつ高温下での粒子間の反応焼結に
よる自己結合性が良好で強度が高く、このため耐摩耗性
にも優れるので、総合的な耐用性が格段に向上し、長時
間出銑が可能な高炉出銑口閉塞材を提供するものであ
る。
属シリコンを0.3〜4%含有するものでなければなら
ない。本発明では、残留シリコン量の多い、即ち比較的
純度の低い炭化珪素原料を多量に使用することにより、
高い耐食性をもち、かつ高温下での粒子間の反応焼結に
よる自己結合性が良好で強度が高く、このため耐摩耗性
にも優れるので、総合的な耐用性が格段に向上し、長時
間出銑が可能な高炉出銑口閉塞材を提供するものであ
る。
【0017】上述のような残留金属シリコン量を有する
炭化珪素粒子を用いた閉塞材は、高温下での反応焼結性
に優れ、高い強度が得られる。即ち、適度な残留シリコ
ンを炭化珪素粒子中に含有すると、高温に加熱された状
態で、同時に配合される炭素材料及び炭素を含有する結
合剤に起因する微細炭素物質と反応し、炭化珪素粒子同
士の自己結合組織を作ることができるためである。従来
のように、微粉マトリックス部においてシリコンの添加
により焼結性を付加するのではなく、炭化珪素原料粒子
自体が金属シリコンを保有しているので、類似の焼結反
応でも、全く異なった炭化珪素粒子間の直接的な自己結
合組織が得られるのである。
炭化珪素粒子を用いた閉塞材は、高温下での反応焼結性
に優れ、高い強度が得られる。即ち、適度な残留シリコ
ンを炭化珪素粒子中に含有すると、高温に加熱された状
態で、同時に配合される炭素材料及び炭素を含有する結
合剤に起因する微細炭素物質と反応し、炭化珪素粒子同
士の自己結合組織を作ることができるためである。従来
のように、微粉マトリックス部においてシリコンの添加
により焼結性を付加するのではなく、炭化珪素原料粒子
自体が金属シリコンを保有しているので、類似の焼結反
応でも、全く異なった炭化珪素粒子間の直接的な自己結
合組織が得られるのである。
【0018】残留金属シリコン量が0.3%未満の炭化
珪素原料の場合、本発明の最も重要な目的である反応焼
結による自己結合性が充分ではないので好ましくない。
一方、残留金属シリコン量が4%を越える炭化珪素原料
では他の不純物も付随的に増加し、また、炭化珪素の結
晶度が低下し、炭化珪素としての本来の高い耐食性が得
られず好ましくない。
珪素原料の場合、本発明の最も重要な目的である反応焼
結による自己結合性が充分ではないので好ましくない。
一方、残留金属シリコン量が4%を越える炭化珪素原料
では他の不純物も付随的に増加し、また、炭化珪素の結
晶度が低下し、炭化珪素としての本来の高い耐食性が得
られず好ましくない。
【0019】このような、残留金属シリコンを含有する
炭化珪素原料の使用量は、35〜85重量%、更に好ま
しくは40〜80重量%が良い。35重量%未満では、
初期の目的である高い耐食性と耐摩耗性を得るために炭
化珪素量が充分ではなく、従来の閉塞材と何ら変わりが
ない。また、40重量%以上となると非常に明確に耐食
性の向上が認められる。一方、85重量%を越えると、
炭化珪素の硬度が高いため、出銑口閉塞材の重要な必要
特性である開孔性が低下し、また、炭化珪素原料粒子の
表面が粗いため施工時の押出性が低下し、炭化珪素以外
の耐火原料や炭素原料、及び結合剤による施工性の調整
が困難になる場合がある。なお、80重量%以下であれ
ば、開孔性はほとんど問題とならない。
炭化珪素原料の使用量は、35〜85重量%、更に好ま
しくは40〜80重量%が良い。35重量%未満では、
初期の目的である高い耐食性と耐摩耗性を得るために炭
化珪素量が充分ではなく、従来の閉塞材と何ら変わりが
ない。また、40重量%以上となると非常に明確に耐食
性の向上が認められる。一方、85重量%を越えると、
炭化珪素の硬度が高いため、出銑口閉塞材の重要な必要
特性である開孔性が低下し、また、炭化珪素原料粒子の
表面が粗いため施工時の押出性が低下し、炭化珪素以外
の耐火原料や炭素原料、及び結合剤による施工性の調整
が困難になる場合がある。なお、80重量%以下であれ
ば、開孔性はほとんど問題とならない。
【0020】その他の耐火原料としては、例えばアルミ
ナ、シャモット、ロー石等のアルミナ−シリカ系耐火材
料の他、ジルコン、ジルコニア、各種スピネル、酸化ク
ロム、酸化チタン、マグネシア等の酸化物、窒化珪素、
窒化珪素鉄等の窒化物、炭化クロム、炭化チタン等の炭
化物等を適宜使用することができる。なお、これらの耐
火原料の合計量は50重量%以下である。また、その他
の耐火原料として残留金属シリコン量が上記範囲外にあ
る炭化珪素原料の使用を妨げるものではない。
ナ、シャモット、ロー石等のアルミナ−シリカ系耐火材
料の他、ジルコン、ジルコニア、各種スピネル、酸化ク
ロム、酸化チタン、マグネシア等の酸化物、窒化珪素、
窒化珪素鉄等の窒化物、炭化クロム、炭化チタン等の炭
化物等を適宜使用することができる。なお、これらの耐
火原料の合計量は50重量%以下である。また、その他
の耐火原料として残留金属シリコン量が上記範囲外にあ
る炭化珪素原料の使用を妨げるものではない。
【0021】なお、本発明の閉塞材においては、施工時
の押出性を改善するために、可塑性のある粘土粉末を使
用する必要がある。粘土粉末の使用量は、概ね5〜20
重量%の範囲内である。5重量%未満では、特に本発明
のように炭化珪素原料使用量が多いと、満足できる押出
充填性が得られないことが多い。一方、20重量%を越
えて使用すると、出銑口閉塞材の耐食性が低下する傾向
にあり、炭化珪素を多量に使用しても耐食性を改善する
効果は少なくなる。粘土は粉末状にされたものが好まし
い。概ね0.5mm以下の粉末状で使用することによ
り、耐火材料粉体部中に良好に分散させることが可能
で、炭化珪素原料粒子表面の滑りを改善し、押出充填性
を向上する効果が大きい。
の押出性を改善するために、可塑性のある粘土粉末を使
用する必要がある。粘土粉末の使用量は、概ね5〜20
重量%の範囲内である。5重量%未満では、特に本発明
のように炭化珪素原料使用量が多いと、満足できる押出
充填性が得られないことが多い。一方、20重量%を越
えて使用すると、出銑口閉塞材の耐食性が低下する傾向
にあり、炭化珪素を多量に使用しても耐食性を改善する
効果は少なくなる。粘土は粉末状にされたものが好まし
い。概ね0.5mm以下の粉末状で使用することによ
り、耐火材料粉体部中に良好に分散させることが可能
で、炭化珪素原料粒子表面の滑りを改善し、押出充填性
を向上する効果が大きい。
【0022】炭素原料としては、黒鉛、コークス、石炭
粉、カーボンブラック、各種ピッチ粉末、各種樹脂の粉
末等が使用される。中でも、人造黒鉛やコークスの粉末
及びカーボンブラックが高温下での反応性の面で好まし
い。これらの炭素原料の使用量は、炭化珪素原料に含ま
れる残留金属シリコンの量及び炭化珪素原料使用量によ
って、また、結合剤に起因する炭素量との合量を考慮
し、最適な反応焼結が生じるように調整されるべきであ
るが、2〜16重量%が最適である。2重量%未満で
は、炭素の絶対量が不足傾向であり、16重量%を越え
て使用しても反応焼結に対する効果が少ない。
粉、カーボンブラック、各種ピッチ粉末、各種樹脂の粉
末等が使用される。中でも、人造黒鉛やコークスの粉末
及びカーボンブラックが高温下での反応性の面で好まし
い。これらの炭素原料の使用量は、炭化珪素原料に含ま
れる残留金属シリコンの量及び炭化珪素原料使用量によ
って、また、結合剤に起因する炭素量との合量を考慮
し、最適な反応焼結が生じるように調整されるべきであ
るが、2〜16重量%が最適である。2重量%未満で
は、炭素の絶対量が不足傾向であり、16重量%を越え
て使用しても反応焼結に対する効果が少ない。
【0023】その他の添加剤として、アルミニウム、シ
リコン、フェロシリコン、マグネシウム等の金属粉や合
金粉、酸化抑制のための硼素化合物、及びシリカ、アル
ミナ等の超微粉を少量添加することも可能である。これ
らの成分の配合割合は0〜5重量%程度である。
リコン、フェロシリコン、マグネシウム等の金属粉や合
金粉、酸化抑制のための硼素化合物、及びシリカ、アル
ミナ等の超微粉を少量添加することも可能である。これ
らの成分の配合割合は0〜5重量%程度である。
【0024】上記成分よりなる粉体部と混練される炭素
を含有する結合剤としては、石油、石炭系タールまたは
ノボラック型フェノール樹脂等が使用される。これらの
炭素を含有する結合剤は、常温では粘度の高い粘稠体で
あるが、加熱により軟化し比較的低粘度の液体となるの
で、炭化珪素原料粒子表面によく濡れることができ、密
着が可能である。このため結合剤中の炭素と、炭化珪素
原料中の残留金属シリコンとが容易に反応することがで
きる。炭素含有結合剤の使用量は、出銑口閉塞材の施工
性、即ち押出性を左右するので、炭化珪素原料の使用量
や粘土の使用量によって調整が必要である。通常、粉体
部100重量部に対して外掛で10〜25重量部が良
い。10重量部未満では良好な押出性を得ることが難し
い。25重量部を越えて使用すると、結合剤に含有され
る揮発分量が増大し、加熱後の充填度が低下する。
を含有する結合剤としては、石油、石炭系タールまたは
ノボラック型フェノール樹脂等が使用される。これらの
炭素を含有する結合剤は、常温では粘度の高い粘稠体で
あるが、加熱により軟化し比較的低粘度の液体となるの
で、炭化珪素原料粒子表面によく濡れることができ、密
着が可能である。このため結合剤中の炭素と、炭化珪素
原料中の残留金属シリコンとが容易に反応することがで
きる。炭素含有結合剤の使用量は、出銑口閉塞材の施工
性、即ち押出性を左右するので、炭化珪素原料の使用量
や粘土の使用量によって調整が必要である。通常、粉体
部100重量部に対して外掛で10〜25重量部が良
い。10重量部未満では良好な押出性を得ることが難し
い。25重量部を越えて使用すると、結合剤に含有され
る揮発分量が増大し、加熱後の充填度が低下する。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明する。
明する。
【0026】
【表1】
【0027】なお、特性の中で溶損指数は、回転ドラム
侵食試験で高炉スラグを用い、1500〜1550℃で
4時間試験後の平均侵食量を測定し、比較例1を100
とした比較値で示す。
侵食試験で高炉スラグを用い、1500〜1550℃で
4時間試験後の平均侵食量を測定し、比較例1を100
とした比較値で示す。
【0028】表1の結果から明らかなように、本発明品
はいずれも、炭化珪素原料使用量が少ない比較品1及び
2と比べて、熱間曲げ強度が高く、溶損が少なく耐食性
に優れており、耐摩耗性にも格段に優れることが判る。
また、比較品3には残留金属シリコン含有量が少ない高
純度の炭化珪素を使用し、本発明品5には残留金属シリ
コンを多く含有する炭化珪素を使用したものであるが、
両者を比較すると、本発明品5は、比較品3に比べて、
熱間曲げ強度が大幅に向上しており、耐摩耗性はおよそ
2倍に向上しており、更に、溶損がおよそ1/2であ
り、耐食性もおよそ2倍に向上している。
はいずれも、炭化珪素原料使用量が少ない比較品1及び
2と比べて、熱間曲げ強度が高く、溶損が少なく耐食性
に優れており、耐摩耗性にも格段に優れることが判る。
また、比較品3には残留金属シリコン含有量が少ない高
純度の炭化珪素を使用し、本発明品5には残留金属シリ
コンを多く含有する炭化珪素を使用したものであるが、
両者を比較すると、本発明品5は、比較品3に比べて、
熱間曲げ強度が大幅に向上しており、耐摩耗性はおよそ
2倍に向上しており、更に、溶損がおよそ1/2であ
り、耐食性もおよそ2倍に向上している。
【0029】本発明品1及び3と比較品2について、A
製鉄所の高炉出銑口で比較実炉試験を実施した。出銑時
間を測定した結果は以下の通りであった: 出銑時間(分) 本発明品1 320 本発明品3 375 比較品2 165 本発明品1及び3は、 耐食性、耐摩耗性に優れるので、
出銑中の損傷が少なく、比較品2に比べおよそ2倍の出
銑時間が可能となった。
製鉄所の高炉出銑口で比較実炉試験を実施した。出銑時
間を測定した結果は以下の通りであった: 出銑時間(分) 本発明品1 320 本発明品3 375 比較品2 165 本発明品1及び3は、 耐食性、耐摩耗性に優れるので、
出銑中の損傷が少なく、比較品2に比べおよそ2倍の出
銑時間が可能となった。
【0030】
【発明の効果】上述のように、本発明によれば、焼結性
を損なうことなく、多量の炭化珪素原料を使用すること
により、耐食性及び耐摩耗性に優れた出銑時間を大幅に
延長することが可能な高耐用性の高炉出銑口閉塞材を提
供することができる。
を損なうことなく、多量の炭化珪素原料を使用すること
により、耐食性及び耐摩耗性に優れた出銑時間を大幅に
延長することが可能な高耐用性の高炉出銑口閉塞材を提
供することができる。
Claims (1)
- 【請求項1】 残留金属シリコンを0.3〜4重量%含
有する炭化珪素原料35〜85重量%、炭素原料2〜1
6重量%、可塑性粘土粉末5〜20重量%及びその他の
耐火材料50重量%以下とを含有してなる粉体部100
重量部に対して、炭素を含有する結合剤を外掛で10〜
25重量部混練してなることを特徴とする高炉出銑口閉
塞材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5176635A JP2539581B2 (ja) | 1993-07-16 | 1993-07-16 | 高炉出銑口閉塞材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5176635A JP2539581B2 (ja) | 1993-07-16 | 1993-07-16 | 高炉出銑口閉塞材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0733539A JPH0733539A (ja) | 1995-02-03 |
JP2539581B2 true JP2539581B2 (ja) | 1996-10-02 |
Family
ID=16017033
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5176635A Expired - Fee Related JP2539581B2 (ja) | 1993-07-16 | 1993-07-16 | 高炉出銑口閉塞材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2539581B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4669346B2 (ja) * | 2005-08-11 | 2011-04-13 | 黒崎播磨株式会社 | 高炉出銑孔充填用マッド材 |
CN102515800B (zh) * | 2011-12-20 | 2013-06-05 | 叶乐 | 一种微孔石墨碳化硅砖 |
-
1993
- 1993-07-16 JP JP5176635A patent/JP2539581B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0733539A (ja) | 1995-02-03 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |