JP2539037B2 - 改質アルカリ処理ゼラチンおよびその製造方法 - Google Patents

改質アルカリ処理ゼラチンおよびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、改質アルカリ処理ゼラチンおよびその製
造方法に関し、詳しくは、写真材料や医療材料等の各種
用途に利用されているアルカリ処理ゼラチンの性質を改
良した改質アルカリ処理ゼラチンと、そのような改質ア
ルカリ処理ゼラチンを製造する方法に関するものであ
る。
〔従来の技術〕
写真フィルムの材料や湿布剤の材料等、写真、医療、
食品、その他の産業分野で広く利用されるゼラチンに
は、製造方法の違いによって、酸処理ゼラチンとアルカ
リ処理ゼラチンがある。酸処理ゼラチンは、脱灰した骨
原料(オセイン)や皮原料等を塩酸や硫酸等の酸に浸漬
して可溶化させる処理を行って製造されたものであり、
アルカリ処理ゼラチンは同じ処理を石灰乳や水酸化ナト
リウム等で行って製造されたものである。酸処理ゼラチ
ンとアルカリ処理ゼラチンは、上記のような製造方法の
違いに基づいて、ゼラチンの等イオン点、分子の大きさ
や分布、ゼラチン以外の組成分等が違っており、その特
性も大きく違っているため、用途や目的に応じてアルカ
リ処理ゼラチンと酸処理ゼラチンとが使い分けられてい
る。
一般に、アルカリ処理ゼラチンは、酸処理ゼラチンに
比べて不純物が少ないために、高純度なゼラチンや品質
性能の安定性を要求される用途には、アルカリ処理ゼラ
チンが利用されている。例えば、写真フィルム等の感光
材料のバインダーとして、ハロゲン化銀乳剤層、フィル
ター層、中間層、ハレーション防止層、バッキング層、
フィルムベース層、バライタ層等に使用されるゼラチン
は、写真的に活性な不純物が少ない、いわゆるイナート
なアルカリ処理ゼラチンが使用されることが多い。もっ
とも、写真材料として、酸処理ゼラチンを使用すること
も提案されており、例えば、写真材料の表面に酸処理ゼ
ラチン層を形成しておくと、表面の耐接着性能を高めた
り、乳剤層に細かいしわが発生するレチキュレーション
を抑止できることが知られているが(特開昭56−156827
号公報、特公昭56−23139号公報、特公昭56−23142号公
報等)、この場合も、前記した不純物が多いという酸処
理ゼラチンの欠点は残っている。
ゼラチンを利用するには、前記のような方法で製造さ
れたものを、そのまま使用するほか、硬化剤や、増粘
剤、架橋剤等の各種添加剤を加え、これらの薬剤とゼラ
チンとを反応させて、有用な性能を発揮させるようにす
る場合が多い。
例えば、写真分野では、フィルム等に塗布されたゼラ
チン層の耐水性や耐熱性、耐傷性等を改善するために、
ホルムアルデヒドやグルタルアルデヒド等からなる硬化
剤が使用される。このアルデヒド類は、ゼラチンのアミ
ノ基と反応してゼラチン分子を架橋し、前記のような特
性を向上させることができるのである。写真用ゼラチン
の硬化剤あるいは硬化性を良くするための具体的な手段
は、特公昭56−48861号公報、特公昭59−52417号公報、
特開昭61−128240号公報等に開示されている。なお、硬
化剤等の添加剤は、酸処理ゼラチンおよびアルカリ処理
ゼラチンの何れに対しても使用されている。
また、医療分野においても、湿布剤に用いられてるゼ
ラチンに、耐熱性等の向上を目的としてアルデヒド類に
よる架橋処理が行われている。
他方、ゼラチンに対して各種の化学修飾法を適用する
ことによって、いわゆるゼラチン誘導体もしくは改質ゼ
ラチンが製造できることは知られている。例えば、ゼラ
チンのカルボキシル基を活性化させて、この活性化され
たカルボキシル基をアミド化させる方法があり、例え
ば、文献「にかわとゼラチン」第206頁〜第207頁(日本
にかわ・ゼラチン工業組合、昭和62年1月31日発行)等
に開示されている。しかし、このアミド化されたゼラチ
ンは、ゲル形成能およびコラーゲン構造再生能が低下す
るとされ、具体的なゼラチン製品への実用化は困難であ
った。
〔発明が解決しようとする課題〕
前記した硬化剤等の添加剤をゼラチンに加えて所望の
ゼラチン製品を製造する場合、従来のアルカリ処理ゼラ
チンは、添加剤との反応性が低く、硬化時間等の反応時
間が非常に長くかかったり、添加剤の目的とする性能改
善等の作用が充分に果たせないという欠点があった。
これは、アルカリ処理ゼラチンの場合、製造処理過程
においてアルカリ処理中に脱アミド化されてしまい、添
加剤との反応に寄与するアミノ基の量が少なくなってし
まうために、添加剤との反応性が良くないのである。一
方、酸処理ゼラチンの場合は、その製造過程でアミド化
されることはないので、添加剤との反応に寄与するアミ
ノ基の数は、元来のコラーゲンのものとほぼ等しい程度
に数多く残存しており、添加剤との反応性の点では、酸
処理ゼラチンのほうが優れているのであるが、前記した
ように、酸処理ゼラチンは不純物が多い等の欠点を有す
るため、アルカリ処理ゼラチンでなければならない用途
が多く、アルカリ処理ゼラチンと添加物との反応性を高
めることが要望されていた。
従来は、添加剤として使用する化合物の種類や配合等
を改良することによって、アルカリ処理ゼラチンとの反
応性を高めようとしており、前記した各公報の先行技術
も、そのような添加剤の改良に関するものである。しか
し、添加剤をいくら改良しても、アルカリ処理ゼラチン
自体の反応性が悪いので、反応性の向上には限度があっ
た。
そこで、この発明の課題は、アルカリ処理ゼラチンを
改良することによって、硬化剤等の添加剤との反応性を
高め、酸処理ゼラチンにはないアルカリ処理ゼラチンの
特徴を活かしながら、添加剤による各種の品質性能向上
を果たすことのできる改質アルカリ処理ゼラチンを提供
するとともに、そのような改質アルカリ処理ゼラチンを
製造する方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記課題を解決する、この発明のうち、請求項1記載
の改質アルカリ処理ゼラチンは、アルカリ処理ゼラチン
がアミド化されてなり、等イオン点がpH7〜10.5である
ようにしている。
この発明で用いるアルカリ処理ゼラチン自体は、従来
の通常の製造処理方法によって製造されたアルカリ処理
ゼラチンと同じものであり、その原料および具体的な処
理手段は、特に限定されるものではない。この段階での
アルカリ処理ゼラチンの等イオン点は、pH約5程度であ
る。
アルカリ処理ゼラチンをアミド化する手段は、アルカ
リ処理ゼラチンに対して、ゼラチンのカルボキシル基を
アミド化させることのできる化合物、いわゆる求核試薬
を反応させる。このとき、後に請求項2に関して説明す
るように、ゼラチンのカルボキシル基を活性化させるよ
うな化合物を活性化試薬として添加しておく場合もあ
る。求核試薬としては、カルボキシル基をアミド化させ
るためのアミノ基を供給できる化合物であればよく、具
体的には塩化アンモニウム、エチレンジアミン、グリシ
ンアミド等が挙げられる。
このようにしてアミド化された改質アルカリ処理ゼラ
チンの等イオン点が、pH7〜10.5の範囲になるようにす
る。等イオン点がpH7よりも低いと、添加剤との反応性
等が充分に改善されず、ゼラチン製品としての諸性能が
良くない。また、pH10.5よりも高くなっても却って目的
とする作用効果が得られなくなる。等イオン点のpHを調
整するには、前記求核試薬の種類や使用量、あるいは、
前記したカルボキシル基を活性化する化合物の種類や使
用量、さらには、アミド化反応の反応時間や処理条件等
を適当に設定すればよい。
上記のようにして、製造された改質アルカリ処理ゼラ
チンは、硬化剤、増粘剤、架橋剤等、各種の添加剤を添
加することによって、目的とする用途に用いることがで
きる。添加剤としては、改質アルカリ処理ゼラチンのア
ミノ基と反応して目的とする作用効果を発揮させ得るも
のであれば、任意の添加剤が使用できる。例えば、硬化
剤の具体例として、ホルムアルデヒドやグルタルアルデ
ヒド等のアルデヒド類が挙げられるが、これら以外の各
種添加剤も使用できる。
改質アルカリ処理ゼラチンの用途は、写真フィルム等
の写真分野、湿布剤やパップ剤等の医療分野、酵素や微
生物の固定用担体等のバイオ技術分野、その他、特殊な
サンドペーパーの硬膜用やマイクロカプセル等の各種工
業分野や食品分野等、従来からアルカリ処理ゼラチンが
使用されていた用途において、その品質性能を向上させ
るために使用するのは勿論のこと、従来、アルカリ処理
ゼラチンを使用することができず酸処理ゼラチンが使用
されていた用途において、酸処理ゼラチンの代わりに、
この発明にかかる改質アルカリ処理ゼラチンを用いるこ
とも可能である。
請求項2記載の改質アルカリ処理ゼラチンの製造方法
は、アルカリ処理ゼラチンをアミド化することによって
改質されたアルカリ処理ゼラチンを製造する方法であっ
て、下記一般式で表わされるカルボジイミド試薬あるい
はその塩類のうち、少なくとも1種からなる化合物を、
アルカリ処理ゼラチンに対し5〜20重量%加えて、ゼラ
チンの側鎖のカルボキシル基を活性化させるとともに、
この活性化されたカルボキシル基を求核試薬によってア
ミド化させて、等イオン点をpH7〜10.5に調整すること
を特徴とする改質アルカリ処理ゼラチンの製造方法であ
る。
一般式 R−N=C=N−R′ R:エチル基、シクロヘキシル基、 ベンジル基。
R′:ジメチルアミノプロピル基、 シクロヘキシル基、 モルホリノエチル基。
この製造方法で使用するアルカリ処理ゼラチンは、前
記請求項1記載の発明と同様に、通常のアルカリ処理ゼ
ラチンが用いられる。
ゼラチンのカルボキシル基を活性化させる化合物、す
なわち活性化試薬としては、上記一般式で表わされるも
のの中から任意に使用できる。具体的には、1−エチル
−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(ED
C)が好ましいが、そのほかにも、1−シクロヘキシル
−3(2−モルホリニル−4−エチル)カルボジイミド
・p−トルエンスルホン酸塩(CMC)、N,N′−ジシクロ
ヘキシルカルボジイミド(DCC)等ご挙げられる。上記
のような、活性化試薬の使用量は、ゼラチンに対して5
〜20重量%の範囲で添加される。使用量が5重量%未満
では、ゼラチンのカルボキシル基のアミド化が充分に行
えず、20重量%を超えてもアミド化はそれ以上進まない
とともに、却って、得られた改質アルカリ処理ゼラチン
と添加剤等との反応性が低下する等の問題が生じる。
求核試薬としては、請求項1記載の発明に関して前述
した化合物、塩化アンモニウム、エチレンジアミン、グ
リシンアミド等が使用できる。求核試薬の使用量は、少
なくとも、ゼラチンに含まれアミド化させるカルボキシ
ル基の量に対応するだけのアミノ基を供給できなければ
ならない。求核試薬が多いほどカルボキシル基のアミド
化は起こり易いが、得られた改質アルカリ処理ゼラチン
に残存する求核試薬が悪影響を与えないようにすること
や経済性等を考慮して、求核試薬の使用量を適当な範囲
に設定すればよい。求核試薬をゼラチンと反応させるの
は水溶液の状態で行うので、求核試薬としては水溶性の
化合物を使用するのが好ましい。求核試薬の水溶液の濃
度は、用いる試薬によって適正濃度は異なるが、0.5〜
6モル程度のものが、ゼラチンとの反応性等の点で好ま
しい。
ゼラチンの濃度は、前記求核試薬の水溶液に対して、
0.1〜10重量%程度になるようにして実施するのが好ま
しい。アミド化を行う反応温度は、30〜70℃程度が好ま
しい。反応pHは、3.0〜6.5程度が好ましい。反応時間
は、1〜12時間程度で充分であるが、それ以上長くても
構わない。
〔作用〕
請求項1記載の発明によれば、そのままでは添加剤と
の反応性が低いアルカリ処理ゼラチンを、アミド化し、
等イオン点をpH7〜10.5の範囲に調整することによっ
て、形成されたアミノ基と添加剤とが極めて良好に反応
することになり、添加剤の目的とする、ゼラチンに対す
る各種特性の改善効果が向上し、各種の性能に優れたゼ
ラチン製品を製造することが可能になる。
従来使用されている通常の添加剤は、ゼラチンのアミ
ノ基と反応することによって、各種の有用な作用効果を
発揮できるようになっている。したがって、ゼラチンと
しては、反応に関与するアミノ基の量が多いほど、添加
剤との反応性が良くなる。ところが、通常のアルカリ処
理ゼラチンは、前記したように、製造処理過程で脱アミ
ド化されてしまうため、添加剤との反応に寄与するアミ
ノ基の量が少なく、そのために、添加剤との反応速度や
反応量が小さいものと考えられる。そこで、この発明に
おいては、アルカリ処理ゼラチンの製造処理中に消失し
たアミノ基を、カルボキシル基のアミド化によって再び
導入することによって、添加剤との反応に関与するアミ
ノ基の量を増大させることができたものと考えられる。
また、ゼラチンは、等イオン点において膨潤性の極小
値を示す等、等イオン点の違いによって、種々の特性が
変化するが、この発明では、上記のようなアルカリ処理
ゼラチンのアミド化によるアミノ基の量の増大に加え
て、等イオン点を一定の範囲に設定することによって、
各種添加剤によるゼラチンの特性改善効果がより高めら
れたものと考えられる。
請求項2記載の発明によれば、アルカリ処理ゼラチン
をアミド化する方法として、アルカリ処理ゼラチンに対
し5〜20重量%の、前記特定の活性化試薬を用いてゼラ
チンのカルボキシル基を活性化させることによって、カ
ルボキシル基のアミド化が極めて良好に行われる。つま
り、この良好に活性化されたカルボキシル基は、求核試
薬によって容易にアミド化されるので、アミド化の効率
が非常に高く、その結果、改質アルカリ処理ゼラチンに
含まれるアミノ基の量が増大するのである。アミノ基の
量が多くなることによって、添加剤との反応性が高ま
り、添加剤による改質アルカリ処理ゼラチンの特性改善
効果が向上する。
さらに、活性化試薬の添加量その他の処理条件の調整
により、得られる改質アルカリ処理ゼラチンの等イオン
点がpH7〜10.5になるように設定することで、前記した
ように各種添加剤によるゼラチンの特性改善効果がより
高められる。
〔実 施 例〕
−改質アルカリ処理ゼラチンの製造− 下記第1表に示すように、この発明にかかる製造方
法、および、従来の製造方法を用いて、それぞれの材料
および処理工程で、改質アルカリ処理ゼラチンを製造し
た。表中、比較例1は、文献「皮革化学,Vo128,No.1,p
p.33〜42(1982)」に開示された公知の製造方法にした
がって改質アルカリ処理ゼラチンを製造したものであ
る。
この発明にかかる実施例1は比較例1に比べて、少量
の活性化試薬で比較的短時間の処理を行っており、得ら
れた改質アルカリ処理ゼラチンの等イオン点は、比較例
1よりも低くなっている。
下記第2表は、前記実施例1の製造条件のうち、活性
化試薬であるEDCの添加量のみを変えることによって、
等イオン点の異なる改質アルカリ処理ゼラチンを得な実
施例2および3を示している。
−改質アルカリ処理ゼラチンの性能− 上記のようにして得られたゼラチンを、硬化剤である
ホルムアルデヒドと反応させてフィルムを製造した。
フィルム作製条件は、ゼラチン10%溶液をpH6.0に合
わせ、50℃でホルムアルデヒドをゼラチン100g当たり1
1.8ミリモル添加したものをアクリル板上に塗布し、乾
燥硬化させてフィルムを得た。
このようにして製造されたフィルムに対して、ゼラチ
ンとホルムアルデヒドとの反応性に関係のある諸性質を
測定した。
まず、タンパク質溶出試験として、pH6.0,27℃の水に
対して、フィルムから溶出してくるタンパク質の量を測
定した。その結果を、第1図にグラフで示している。グ
ラフ中、○記号は、ゼラチンフィルムを作製した直後に
測定したもの、●記号は、同じゼラチンフィルムを18℃
で4週間保存した後に測定したものである。
この試験では、溶出タンパク質量が少ない程、ゼラチ
ンの架橋反応が進行して不溶化していることになり、ゼ
ラチンとホルムアルデヒドとの反応が良好に行われてゼ
ラチンの硬化度が高いと言える。グラフをみれば、等イ
オン点がpH7〜10.5の範囲で、その範囲外に比べて明ら
かに溶出タンパク質量が少ないことから、この発明にか
かる改質アルカリ処理ゼラチンが、添加剤との反応性に
おいて非常に優れていることが実証できた。溶出タンパ
ク質量は、前記等イオン点のpH値の範囲内で極小値を示
しており、pH値が低すぎても高すぎても添加剤との反応
性が低下することが判る。また、ゼラチンフィルム作製
直後と一定期間保存後の測定値を比べると、保存後には
溶出タンパク質量が大きく低下しており、保存によって
ゼラチンの硬化がより進行するものと考えられる。
第1図の結果と、前記第1表および第2表を比べ、第
1図に示された改質アルカリ処理ゼラチンの等イオン点
の好ましい範囲を、活性化試薬であるEDCの添加量に当
てはめれば、アルカリ処理ゼラチンに対するEDCの添加
量が5〜20重量%の範囲のものが、ゼラチンとホルムア
ルデヒドとの反応性が良く、得られたフィルムの硬化性
能が優れていることが判る。
さらに、ゼラチンフィルムの性能を示す別の試験とし
て、膨潤性試験を行った。膨潤性試験は、まず、フィル
ムを5×5cmに裁断して、その初期重量M0を測定してお
く。このフィルムを、15mlの水に18℃で20時間浸した
後、水を吸って膨潤したフィルムの重量Mを測定し、試
験前後の重量の増加率M/M0を膨潤比として算出した。
第2図は膨潤性試験の結果を示しており、前記タンパ
ク質溶出試験と同様に、改質アルカリ処理ゼラチンの等
イオン点が、pH7〜10.5の範囲で膨潤比が小さくなって
いることが判る。ゼラチンとホルムアルデヒドとの反応
が良好に行われている程、フィルムの硬化度が高く、膨
潤し難くなると言えるので、この試験の結果からも、こ
の発明によって、ゼラチンとホルムアルデヒドとの反応
性を高め、ゼラチン製品にとって重要な耐膨潤性を向上
させ得ることが実証できた。
〔発明の効果〕
以上に述べた、この発明のうち、請求項1記載の改質
アルカリ処理ゼラチンは、アルカリ処理ゼラチンをアミ
ド化し、その等イオン点をpH7〜10.5の範囲にすること
によって、従来のアルカリ処理ゼラチンよりも添加剤と
の反応性を高めることができ、添加剤を加えて製造され
るゼラチン製品の諸性能を格段に向上させることができ
る。添加剤との反応性が高まることから、使用する添加
剤の量が少なくてもよくなる。また、前記したゼラチン
製品の性能向上を、添加剤を改良することなく、従来と
同様の添加剤を用いる方法で実現できるので、ゼラチン
製品の製造は容易であり、経済性の点でも優れている。
また、このゼラチンは、等イオン点がアルカリ側にある
ことによって、中性pH付近でゼラチン分子の持つ電荷が
正になるので、ポリカチオン性タンパク質としての新た
な用途に利用できる。
特に、従来のアルカリ処理ゼラチンでは劣っていた硬
化度や耐膨潤性等の性能を大幅に向上できることによっ
て、これらの性能を酸処理ゼラチンと同等もしくはそれ
以上に高めることが可能になる。したがって、この発明
にかかる改質アルカリ処理ゼラチンは、従来アルカリ処
理ゼラチンが使用されていた用途における諸性能の向上
だけでなく、今までは酸処理ゼラチンしか使用できなか
った用途にもアルカリ処理ゼラチンを使用できるように
なる。しかも、不純物が少ない等、酸処理ゼラチンに比
べてアルカリ処理ゼラチンが優れていた点については、
この発明にかかる改質アルカリ処理ゼラチンも当然備え
ているので、従来の酸処理ゼラチンでは得られないよう
な性能を発揮させることもでき、ゼラチン製品全体の性
能向上や用途の拡大を図ることができる。
具体的には、下記のような用途において顕著な効果を
発揮できる。
まず、写真用ゼラチン材料に使用すれば、硬化剤との
反応が極めて良好で、ゼラチン層の硬化度を向上して耐
水性や耐熱性、耐傷性、耐接着性等、写真材料として必
要な諸性能を改善することができる。特に、耐膨潤性が
優れているので、写真フィルムを現像処理した後の乾燥
時間を短縮して簡素化することができる。また、硬化剤
の添加量を少なくできるので、硬化剤による写真特性へ
の影響を低減することもできる。しかも、従来使用され
ていた酸処理ゼラチンの欠点である、不純物による写真
性能の低下は、この発明のようなアルカリ処理ゼラチン
では全く問題にならない。
医療分野において、湿布剤やパップ剤に用いれば、ア
ルデヒド類等からなる硬化剤もしくは増粘剤との反応性
が高いため、迅速に増粘されたり増粘剤の使用量を減ら
すことができ、製造能率の向上および製造コストの低減
を図ることができる。
バイオ技術分野において、酵素または微生物菌体を、
粒状のゼラチンの周囲にアルデヒド等を用いて固定化す
る方法に用いれば、ゼラチンの周囲に存在するアミノ基
が多いので、その反応性が高まり、前記酵素等をより効
率良く固定化することができる。
食品分野では、等イオン点がコラーゲン並みかそれ以
上になるので、従来のアルカリ処理ゼラチンでは使用で
きなかった食品材料と組み合わせて使用することが可能
になる。
請求項2記載の改質アルカリ処理ゼラチンの製造方法
によれば、アルカリ処理ゼラチンに対し、前記した特定
の化合物からなる活性化試薬および求核試薬を用いて、
カルボキシル基をアミド化させるので、カルボキシル基
のアミド化が良好に行われるようになり、得られた改質
アルカリ処理ゼラチンの添加剤に対する反応性が非常に
高まり、しかも、得られる改質アルカリ処理ゼラチンの
等イオン点がpH7〜10.5になるように設定するので、前
記請求項1記載の発明に関して述べたような、ゼラチン
製品の諸性能を格段に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明にかかる実施例および比較例のゼラチ
ンに対してタンパク質溶出試験を行った結果を示すグラ
フ図、第2図は膨潤試験を行った結果を示すグラフ図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大▲塚▼ 龍郎 兵庫県尼崎市大庄北4―3―1―509 (72)発明者 林 力丸 京都府宇治市南陵町5―1―24 (56)参考文献 「にかわとゼラチン−産業史と科学技 術」(昭62−1−31)日本にかわゼラチ ン工業組合発行、P273−275、P206− 208 「皮革化学」Vol.30、No.1 P.3−15”コラーゲン及びゼラチンの 化学修飾" 「皮革化学」Vol.28、No.1 P.33−42”化学修飾に伴うゼラチンの 物性変化" 「The Science and Technology of Gela tin](1977)Academic P ress,P77,P86

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルカリ処理ゼラチンがアミド化されてな
    り、等イオン点がpH7〜10.5である、添加剤との反応性
    が改質された改質アルカリ処理ゼラチン。
  2. 【請求項2】アルカリ処理ゼラチンをアミド化すること
    によって改質されたアルカリ処理ゼラチンを製造する方
    法であって、下記一般式で表されるカルボジイミド試薬
    あるいはその塩類のうち、少なくとも1種の化合物から
    なる活性化試薬を、アルカリ処理ゼラチンに対し5〜20
    重量%加えて、ゼラチンの側鎖のカルボキシル基を活性
    化させるとともに、この活性化されたカルボキシル基を
    求核試薬によってアミド化させて、等イオン点をpH7〜1
    0.5にすることを特徴とする改質アルカリ処理ゼラチン
    の製造方法。 一般式 R−N=C=N−R′ R:エチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基。 R′:ジメチルアミノプロピル基、シクロヘキシル基、 モノホリノエチル基。
JP1128241A 1989-05-22 1989-05-22 改質アルカリ処理ゼラチンおよびその製造方法 Expired - Lifetime JP2539037B2 (ja)

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「TheScienceandTechnologyofGelatin](1977)AcademicPress,P77,P86
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「皮革化学」Vol.28、No.1P.33−42"化学修飾に伴うゼラチンの物性変化"
「皮革化学」Vol.30、No.1P.3−15"コラーゲン及びゼラチンの化学修飾"

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