JP2538734B2 - 避雷碍子における避雷素子の収容構造 - Google Patents

避雷碍子における避雷素子の収容構造

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JP2538734B2 JP4005869A JP586992A JP2538734B2 JP 2538734 B2 JP2538734 B2 JP 2538734B2 JP 4005869 A JP4005869 A JP 4005869A JP 586992 A JP586992 A JP 586992A JP 2538734 B2 JP2538734 B2 JP 2538734B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、雷サージ電流を大地
に放電して、地絡事故による停電を防止するようにした
避雷碍子における避雷素子の収容構造に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、懸垂型避雷碍子における避雷素子
の収容構造として、本願出願人は先に次のような構造の
ものを提案している(特願平3−63350号)。すな
わち、磁器製の収容筒体内にアルミナ製の筒状体が嵌挿
配置され、この筒状体の外周と前記収容筒体の内周との
間の隙間に綿状の無機繊維が充填されて構成されてい
る。そして、避雷素子が破壊したとき、その破壊による
エネルギーを筒状体と無機繊維とによって吸収するよう
になっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、この収容構
造では、前記筒状体の外周と前記収容筒体の内周との間
の狭い隙間に無機繊維を充填しなければならず、その操
作は面倒で非常に時間を要する。そのため、避雷素子を
収容筒体内に収容完了するまでに相当の時間を要する。
また、無機繊維は充填時にショット(ガラス様の粉体)
が飛散し、このショットは内部コロナ放電が発生する原
因になるという問題点があった。加えて、筒状体を構成
するアルミナは比重が大きいため、避雷碍子全体が重く
なるという問題点があった。
【0004】この発明は上記従来の問題点に着目してな
されたものであって、その目的は、避雷素子を収容する
筒状体が避雷素子破壊時のエネルギーを確実に吸収でき
るとともに、避雷素子を収容筒体内に収容する作業を容
易に、しかも迅速に進めることができ、かつ無機繊維の
ショットの飛散が抑制され、その上避雷碍子の重量が軽
減された避雷碍子における避雷素子の収容構造を提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明では磁器製の収容筒体内に電圧−電流特性
が非直線性の避雷素子を収容した避雷碍子において、前
記収容筒体内に、外周面がセラミックの被覆材で被覆さ
れた無機繊維からなる筒状体が、前記避雷素子を包囲す
るように配置されている避雷碍子における避雷素子の収
容構造をその要旨としている。
【0006】
【作用】無機繊維からなる筒状体の外周面がセラミック
の被覆材で被覆される。そして、この筒状体が磁器製の
収容筒体内に速やかに収容されるとともに、収容体内に
は避雷素子が収容される。
【0007】
【実施例】以下に本発明を具体化した一実施例について
図1,2に従って説明する。図1に示すように、避雷碍
子1の碍子本体2は磁器により一体形成され、有底円筒
状の頭部3と、その頭部3の外周に形成された笠部4
と、その笠部4の下面に同心状に形成された複数のひだ
部5とを備えている。キャップ金具6は碍子本体2の頭
部3にセメント7を介して嵌着固定され、その頂部には
嵌合凹部8が形成されている。ピン金具9はセメント1
0により碍子本体2の頭部3内に固定され、その下端に
は嵌合部11が形成されている。そして、このピン金具
9の嵌合部11を他の避雷碍子1のキャップ金具6上の
嵌合凹部8に係合することによって、複数の避雷碍子1
を縦方向へ直列に連結している。
【0008】複数の収容筒体12は前記碍子本体2の笠
部4に一体に形成されている。上下一対の磁器製の蓋体
19,20は前記収容筒体12の上下両端の開口部に嵌
合され、それらの接合面が低融点の無機接合材で形成さ
れた接合部21により互いに接着固定されている。この
無機接合材としては、例えば融点550℃以下の酸化鉛
−ほう酸系硝子が使用される。
【0009】耐候性に優れた無機被覆材よりなるシール
22は、前記収容筒体12の上下両端部と蓋体19,2
0との接合面の外端露出部を被覆するように、それらの
接合面の外端縁にそれぞれ接着形成されている。この実
施例においては無機被覆材として、例えば融点700℃
以上のセラミック(例えば硼ケイ酸塩、ガラス系)が使
用されている。
【0010】複数の避雷素子15は収容筒体12内に収
容配置され、電圧−電流特性が非直線性の酸化亜鉛を主
材とする抵抗体で形成されている。一対の中間電極1
6,17は避雷素子15の中間部に配設され、この中間
電極16,17間には避雷素子15を上下両端側に向か
って付勢するためのバネ18が介装されている。
【0011】銅等の金属材料よりなる上下一対の導通用
電極23,24は前記上下両蓋体19,20に貫通して
設けられ、それらの内端部は避雷素子15に電気的に接
続されている。上部リード線25は上部導通用電極23
とキャップ金具6との間に取り付けられ、この上部リー
ド線25及び上部導通用電極23を介して、避雷素子1
5とキャップ金具6とが電気的に接続されている。下部
リード線26は下部導通用電極24とピン金具9との間
に取り付けられ、この下部リード線26及び下部導通用
電極24を介して、避雷素子15とピン金具9とが電気
的に接続されている。
【0012】さらに、図2に示すように、前記導通用電
極23,24は蓋体19,20に例えば銀蝋27付けに
より封止され、導通用電極23,24の外周面に嵌合固
定した銅等の金属材料からなるフランジ金具28の外周
縁と蓋体19,20の上面とは同じく銀蝋29付けによ
り封止されている。導通用電極23,24の中心部に形
成した貫通孔も同一電極材料による溶接部30で封止さ
れている。
【0013】前記収容筒体12の内部には筒状体として
の保護筒13がセラミック被覆層14を介して配置さ
れ、避雷素子15を若干の間隙をおいて包囲し、保護し
ている。なお、保護筒13の両端は上部蓋体19、下部
蓋体20の内面に形成した各環状溝19a,20aに嵌
合されて位置決めされている。保護筒13はアルミナ繊
維、シリカ・アルミナ繊維等の無機繊維から常法により
所定の筒形状に形成され、強靱性と弾力性を有してい
る。この無機繊維は吸湿しやすいので、加熱乾燥して使
用される。
【0014】また、セラミック被覆層14としては、例
えばポリボロジフェニルシロキサンにチタン化合物を添
加し縮重合させたポリマーに、シリカ、アルミナ等の充
填剤やシリコン系、チタン系の分散剤を配合したもの
(宇部興産株式会社製の商品名チラノコート)が使用さ
れる。その他、金属酸化物系ポリマーと無機フィラーと
の混合物等が使用される。これらの材料としては、耐熱
性、絶縁性、防湿性等の性能が優れているものがよい。
【0015】このセラミック被覆層14の厚さは、10
〜30μmの範囲が好適である。この厚さが薄すぎると
無機繊維で形成されている保護筒13からのショットの
発生を防止したり、水分を遮断したりする機能が低下
し、厚すぎるとそれらの機能がそれ以上向上せず、かえ
ってコストの上昇を招く。そして、このセラミック被覆
層14は、保護筒13の外周面に予めコーティングによ
り被覆形成された状態で収容筒体12内に収容される。
【0016】次に、前記のように構成された避雷素子1
5の収容構造について作用を説明する。まず、前述した
無機繊維によって形成された保護筒13の外周面に、セ
ラミック製の被覆材がコーティングされ、所定厚さのセ
ラミック被覆層14が形成される。この保護筒13が収
容筒体12内に嵌挿されるとともに、この保護筒13内
に避雷素子15が収容される。このとき、保護筒13は
予めセラミック被覆層14が形成された状態で収容筒体
12内に嵌挿されるため、従来のように保護筒13と収
容筒体12との間の狭い空間に無機繊維を充填する必要
がない。従って、保護筒13を収容筒体12内に収容す
る作業が容易になるとともに、短時間のうちにこの作業
を完了することができる。
【0017】そして、収容筒体12の上下両端面と蓋体
19,20の内面との接合面に低融点の無機接合材を介
装する。この状態で収容筒体12及び蓋体19,20全
体を無機接合材の融点温度まで加熱すると、無機接合材
が溶融して収容筒体12の両端部と蓋体19,20との
接合面が互いに接着固定されて接合部21が形成され
る。このとき、収容筒体12内の避雷素子15は無機接
合材の融点を越えるような高温にさらされないため、そ
の初期性能が低下するおそれはない。
【0018】その後、収容筒体12の両端部と蓋体1
9,20との接合部21の外端縁付近をプラズマ、ビー
ムあるいはアーク等の溶射法により、無機被覆材を接合
部21の外端縁上に溶射する。そして、この無機被覆材
の溶射部をその融点まで局部的に加熱すると、無機被覆
材が溶融されてシール22が形成される。これにより、
接合面に介装された耐候性のやや低い接合部21の外端
露出部が、耐候性の高いシール22にて被覆保護され、
蓋体19,20と収容筒体12との接合部の耐候性を増
強することができる。このようにして、避雷素子15が
収容筒体12内に完全に収容される。
【0019】前述した無機繊維によって所定厚さに形成
された保護筒13は優れた強靱性と弾力性を有している
ので、避雷素子15が破壊した場合、その形状を保持し
つつ、破壊によるエネルギーを十分に吸収し、保護筒1
3としての機能を発揮する。また、この保護筒13の外
表面にはセラミック被覆層14が被覆形成されているこ
とから、無機繊維のショットの発生が防止される。即
ち、セラミック被覆層14の表面からの無機繊維の毛羽
立ちが防止される。そのため、無機繊維のショットに基
づく内部コロナ放電の発生が抑制される。また、このセ
ラミック被覆層14により保護筒13に対して外部から
の水分が遮断されるため、保護筒13の乾燥状態を良好
に保持することができる。
【0020】さらに、保護筒13を構成する無機繊維
は、従来の保護筒を構成するアルミナより比重が小さい
ので、避雷碍子1全体の重量が相当軽減される。加え
て、セラミック被覆層14が形成された保護筒13を収
容筒体12内へ収容する操作が容易であり、無機繊維に
よる保護筒13の成形も容易で、無機繊維も安価である
ことから、避雷碍子1の製造コストが低減される。
【0021】なお、この実施例においては、上部蓋体1
9の上面に雨水等が降り注いでも、その水が収容筒体1
2と上部蓋体19との接合面の外端縁に溜まることはな
く、収容筒体12の外周面に沿って流れ落ち、接合面の
外端縁に水が溜まることによって絶縁不良を招くおそれ
がない。
【0022】上述のようにこの実施例では、避雷素子1
5を収容する保護筒13が避雷素子15破壊時のエネル
ギーを確実に吸収でき、保護筒13としての機能を果た
すことができる。また、避雷素子15を収容筒体12内
に収容する作業を容易かつ迅速に行うことができる。そ
の上、無機繊維のショットの飛散が防止され、コロナ放
電の発生が抑制される。加えて、避雷碍子1の重量が軽
減されるとともに、製造コストが低減される。
【0023】なお、この発明は前記実施例の構成に限定
されるものではなく、例えば、保護筒13を形成する無
機繊維の種類やセラミック被覆層14を形成するセラミ
ックの種類を変えたり、収容筒体12の上下両端面と蓋
体19,20との接合面の外端縁が収容筒体12の上下
に位置するようにしたり等、この発明の趣旨から逸脱し
ない範囲で、各部の構成を任意に変更して具体化しても
よい。
【0024】
【発明の効果】以上詳述したようにこの発明によれば、
避雷素子を収容する筒状体が避雷素子破壊時のエネルギ
ーを確実に吸収できるとともに、避雷素子を収容筒体内
に収容する作業を容易に、しかも迅速に完了でき、かつ
無機繊維のショットの飛散が抑制され、その上避雷碍子
の重量が軽減されるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を具体化した一実施例を示す避雷碍子
の全体を部分的に破断して示す正面図である。
【図2】避雷碍子の要部断面図である。
【符号の説明】
1…避雷碍子、12…収容筒体、13…筒状体としての
保護筒、14…セラミック被覆層、15…避雷素子。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁器製の収容筒体内に電圧−電流特性が
    非直線性の避雷素子を収容した避雷碍子において、 前記収容筒体内に、外周面がセラミックの被覆材で被覆
    された無機繊維からなる筒状体が、前記避雷素子を包囲
    するように配置されていることを特徴とする避雷碍子に
    おける避雷素子の収容構造。
JP4005869A 1992-01-16 1992-01-16 避雷碍子における避雷素子の収容構造 Expired - Lifetime JP2538734B2 (ja)

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