JP2536641B2 - 鉱石の流動層式還元炉およびこれを使用した溶融還元法 - Google Patents

鉱石の流動層式還元炉およびこれを使用した溶融還元法

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JP2536641B2 JP1313258A JP31325889A JP2536641B2 JP 2536641 B2 JP2536641 B2 JP 2536641B2 JP 1313258 A JP1313258 A JP 1313258A JP 31325889 A JP31325889 A JP 31325889A JP 2536641 B2 JP2536641 B2 JP 2536641B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、鉄鉱石等の流動層式還元炉、およびこれを
予備還元炉として使用する溶融還元法に関する。なお、
以下の説明では鉱石として鉄鉱石を例にとって述べる。
〔従来の技術〕
高炉法に代わる銑鉄製造技術として、鉄浴式の溶融還
元法が注目を浴びている。
この溶融還元法ではエネルギー効率を高めるため、溶
融還元炉から発生した還元性ガスを利用した鉱石の予備
還元が行なわれる。このための予備還元炉としては、原
鉱石の粉鉱をそのまま使えることや熱交換および反応が
速いことなどの理由から流動層形式の還元炉が用いられ
ることが多い。
第5図は、従来の流動層式還元炉の代表的な構造例を
示すもので、炉本体は分散板(29)によって上部の反応
塔(27)と下部の風箱(28)とに仕切られ、反応塔(2
7)内に装入管(33)より鉄鉱石が装入される。そし
て、ガス導入管(30)から風箱(28)内に導入された還
元ガスは、前記分散板(29)を通って反応塔(27)内に
流入する。この還元ガスは反応塔(27)内で流動層(3
1)を形成して鉱石を還元し、還元された鉱石は排出口
(32)から炉外に排出される。前記分散板(29)は反応
塔(27)に導入する還元ガスを整流するためのもので、
全面に多数の通孔を有している。この通孔は鉱石等の焼
結や溶着により詰りを生じないようにするためストレー
ト状に開設されている。また、還元ガス中に含まれるダ
ストにより通孔の詰りを防止するため、ガス導入管(3
0)の途中にはサイクロン(図示せず)が設けられてい
る。
なお、還元炉によっては、このような詰りを生じ易い
分散板を設けず、風箱と反応塔との境界部の径を小さく
しただけの構造としたものもある。
前記風箱(28)はその性質上、ガス導入口および反応
塔への連絡部を除いて密閉構造となっている。従来、鉄
鉱石還元用以外の流動層炉では、例えば特公昭61−6102
9号にみられるように傾斜面状とした風箱底部の最下部
に被処理粒体の取出口を設けた構造のものもあるが、こ
のような取出口も、運転中は蓋によって閉塞され、炉の
運転を停止したときだけ開放され、風箱に落下した粉粒
体などを回収できるようになっている。このように従来
の風箱は、運転中は還元ガスの導入を除いて外部とは完
全に遮断されるような構造となっている。
〔発明が解決しようとする課題〕
鉄鉱石の流動層式還元炉においては、還元ガスの導入
を停止した場合はもちろんのこと、ガスを導入している
間でも、ガス流量が少ない場合には鉄鉱石が反応塔から
風箱内に落下する。このような鉱石の落下は、鉄鉱石等
の焼結・溶着性を考慮して、上述のように分散板の通孔
をストレート状にしたり、或いは分散板を設けない構造
とすることに起因している。このような鉄鉱石の落下
は、導入する還元ガス流量が少なくなるほどその量が多
くなる。
そして、このように風箱内に落下した鉄鉱石は風箱内
に導入される高温(1100〜1200℃)の還元ガスにさらさ
れるため、すぐに風箱の底部に溶着してしまう。一般に
鉄鉱石の還元炉は、長時間にわたる連続運転がなされ、
このため、仮に上述した特公昭61−61029号のごとき取
出口を風箱底部に設けたとしても、風箱内に落下した鉄
鉱石は還元炉の運転を停止するまでに大量に溶着・推積
し、その除去が困難になる。また、このようにして堆積
する鉄鉱石の量が増えると、還元炉の運転の継続に支障
をきたすおそれもある。
このような問題に対し、風箱への鉱石の落下はガス流
量が規定量以上の場合は発生しないことから、風箱に常
に規定量以上の流量のガスを供給するという方法が考え
られるが、溶融還元設備においてその発生ガスを還元ガ
スとして用いる場合、本来の安定的な操業条件に制約を
加えない限り、そのような規定量以上の発生ガスを常に
連続的に供給することは、生産量の調整が容易であると
いう溶融還元本来の利点を犠牲にすることにつながる。
また、発生ガスに別のガスを加えてガス流量を確保する
方法も考えられるが、この方法では設備、運転コストの
増大を余儀なくされる。
また、分散板を使用する流動層式還元炉において、ガ
ス導入管に設ける必要があるサイクロンは、その設置ス
ペースやガス導入管の配管等の面から、設備全体のレイ
アウトに制約に与えるものとなっている。
本発明はこのような従来の問題に鑑みなされたもの
で、反応塔から風箱内に落下した鉱石等を風箱底部に溶
着させることなく炉外に適切に排出することができる構
造の流動層式還元炉の提供をその第1の目的とする。
またこれに加え、ガス導入管にサイクロンを設ける必
要がない流動層式還元炉の提供をその第2の目的とす
る。
さらに本発明は、上記のような流動層式還元炉を予備
還元炉として用い、溶融還元操業を最小限のコストで弾
力的に行うことができる方法の提供をその第3の目的と
する。
〔課題を解決するための手段〕
このような目的を達成するため本発明に係る流動層式
還元炉は、鉱石が装入される反応塔と、該反応塔に還元
ガスを供給するため反応塔の下方に設けられる風箱と、
還元された鉱石を反応塔から排出するための排出管とを
備えた流動層式還元炉において、風箱の底部を、還元ガ
ス中のダストを含む鉱石の安息角以上の傾斜角を有する
傾斜面に構成するとともに、該風箱底部の最下部に、反
応塔から風箱内に落下した鉱石および還元ガス中のダス
トを炉の運転中連続的に排出することができる排出手段
を接続し、該排出手段を、風箱の底部の最下部に接続さ
れ、その下部が複数の排出支管に分岐した排出管と、前
記排出支管の分岐部に設けられる分配弁と、前記各排出
支管の途中に設けられるホッパと、該各ホッパの入側及
び出側の排出支管に設けられる開閉弁とから構成したこ
とをその特徴とする。
また、このような構造の流動層式還元炉において、風
箱の上部を、下端が開放し且つ上端が反応塔に連通した
内筒と、該内筒を外囲する外筒とから構成し、前記外筒
には、還元ガスを外筒の中心から偏向した方向に導入す
べきガス導入口を設けるとともに、その下部に傾斜面を
もつ逆円錐状の底部を連設したことを他の特徴とする。
さらに、本発明に係る溶融還元法は、上記流動層式還
元炉を用い、前記風箱の底部から排出手段により排出さ
れる鉱石およびダストを、反応塔の排出口から排出され
る予備還元鉱石とともに溶融還元炉内に装入するように
したことをその特徴とする。
〔作用〕
本発明の流動層式還元炉によれば、反応塔から風箱内
に落下した鉱石や還元ガスに随伴して風箱内に導入され
たダストは、傾斜面に沿って風箱底部の最下部に達し、
風箱底部に溶着することなく排出手段によって炉外に連
続的に排出される。この排出手段では、分配弁の操作と
各排出支管のホッパの入側及び出側に設けられた開閉弁
の開閉操作とにより、複数のホッパのうちいずれかのホ
ッパに風箱内からの鉱石等(ダストを含む)を排出する
とともに、このようにして風箱からの鉱石等を受け入れ
るホッパを順次切換えつつ、鉱石受け入れ済みのホッパ
からの鉱石の払い出しを行う。このような排出手段によ
る風箱底部からの鉱石の排出において、各排出支管では
ホッパの入側、出側のいずれかの開閉弁を閉の状態にす
るため、風箱内の圧力が損なわれることがなく、このた
め風箱からの鉱石の連続的な排出が可能となる。
また、風箱の上部を内筒と外筒とから構成し、ガス導
入口を、還元ガスを外筒の中心から偏向した方向に導入
するように構成した還元炉では、風箱自体がサイクロン
の機能を果すため、還元ガスの導入管にサイクロンを設
けることなく還元ガス中のダストを捕集することができ
る。すなわち、還元ガスはガス導入口から外筒の中心か
ら偏向した方向に導入され、外筒と内筒との間で旋回流
となった後、内筒の下端から上方の反応塔内へ流入する
が、この際、ガス中のダストはガスの旋回による遠心力
によって分離され、風箱下部の逆円錐状の底部(傾斜
面)に沿って落下する。そして、このダストは上述した
ように反応塔から落下した鉄鉱石とともに、炉外に排出
される。
また、以上のような流動層式還元炉を使用する本発明
の溶融還元法によれば、風箱内に鉄鉱石が溶着するおそ
れがないため、還元ガスの流量を何ら配慮することなく
溶融還元炉発生ガスを用いた予備還元を行うことができ
る。すなわち、本来の安定的な操業に制約を加えて溶融
還元炉の発生ガス量を増大させたり、或いは発生ガスに
別のガスを加えて還元ガス量を確保する必要が全くな
い。また、反応塔から風箱内に落下した鉄鉱石も溶融還
元炉に装入されるため、原料歩留も確保することができ
る。なお、反応塔から風箱内に落下する鉄鉱石も、流動
層に相当時間滞留しているものと考えられ、したがって
十分に予備還元された鉄鉱石として溶融還元炉に装入す
ることができる。
〔実施例〕
第1図は本発明の流動層式還元炉の一実施例を示すも
ので、(1)は反応塔、(2)は分散板(3)を介して
反応塔下部に設けられる風箱、(4)はこの風箱内に還
元ガスを導入するためのガス導入管、(5)は反応塔内
に鉱石を装入するための装入管、(6)は予備還元され
た鉄鉱石を塔外に排出するための排出管である。
前記風箱(2)の底部はコーン状の傾斜面(7)に構
成されている。この傾斜面(7)はガス中のダストを含
む鉄鉱石の安息角以上の傾斜角(本実施例では45゜)を
有している。
このように傾斜状に構成された風箱底部の最下部に
は、反応塔(1)から分散板(3)を通じて風箱内に落
下する鉄鉱石を、炉の運転中連続的に排出できるように
した排出手段(8)が接続されている。
この排出手段(8)は、前記底部の最下部に接続さ
れ、その下部が二股に分岐した排出管(9)と、分岐し
た各排出支管(90)(91)の途中に設けられるホッパ
(10)(11)と、前記排出支管の分岐部に設けられる分
配弁(12)と、各ホッパの入側および出側に設けられる
開閉弁(13a)(13b)、(14a)(14b)とからなってい
る。
前記分配弁(12)は、鉄鉱石を排出支管(90)(91)
に任意に振り分けて排出できるようにしたもので、例え
ば、クラムシェルバルブのように弁体を揺動させて切り
換えることにより二股部の一方を閉じ他方を開くことが
できる粉粒体分配弁が用いられる。なお、この分配弁
(12)にはガス圧力を遮断する機能は必ずしも必要でな
いが、排出管(9)を流下する鉱石を二股の排出支管の
一方へ完全に振り分けることができる機能を備えている
ことが必要である。これは、仮に分配弁(12)による鉱
石の振り分けが不完全で、ホッパ上流の開閉弁が閉じて
いる側の排出支管に鉱石が流れ込んだ場合、鉱石が開閉
弁の上に堆積してその高さが風箱(2)に近づき、この
結果鉱石が高温の還元ガスにさらされて溶着するおそれ
があるからである。
また、風箱(2)の底部は、漏斗状の傾斜面に限ら
ず、逆角錐状または平板状の傾斜面にしてもよい。そし
ていずれの場合でも、底部の傾斜角度が、ダストを含む
鉄鉱石(予備還元鉄)の安息角に近いか、またはそれを
やや下まわるときには、バイブレータを用いて底部に振
動を与えるのが有効である。
以上のような流動層式還元炉では、粉粒状の鉄鉱石が
装入管(5)から反応塔(1)内に装入され、一方、ガ
ス導入管(4)からは還元ガスが風箱(2)内に導入さ
れ、この還元ガスは分散板(3)を通って反応塔(1)
に流入する。塔内の鉄鉱石はこの還元ガスによって流動
化し、流動層(15)を形成する。この流動層(15)にお
いて鉄鉱石は還元ガスと均一に接触し、予備還元された
鉄鉱石として排出管(6)から排出される。
反応塔(1)内から分散板(3)を通して風箱内に落
下した鉄鉱石および還元ガス中に含まれるダスト(サイ
クロンで捕集されなかったダスト)は風箱(2)の傾斜
面(7)に沿って落下し、排出手段(8)により炉外に
連続的に排出される。
この排出手段(8)では、分配弁(12)の操作と開閉
弁(13a)(13b)、(14a)(14b)の開閉操作とによ
り、ホッパ(10)(11)のうち、いずれか一方のホッパ
に風箱(2)から鉄鉱石が供給され、他方のホッパから
は鉄鉱石の払い出しを行うようにするものであり、これ
により風箱の機能を害することなく鉱石の連続的な排出
が可能となる。
すなわち、例えば図示するように分配弁(12)により
排出支管(90)を開、排出支管(91)を閉とし、且つ各
ホッパの開閉弁のうち、開閉弁(13a)(14b)を開、開
閉弁(14a)(13b)を閉とした状態では、風箱(2)内
の鉱石は排出支管(90)を経てホッパ(10)に流入し、
これに貯えられる。この間、ホッパ(11)からは鉱石の
払い出しが行われる。
このホッパ(11)からの払い出し後、分配弁(12)を
切換えて排出支管(90)を閉、排出支管(91)を開とす
るとともに、開閉弁(13a)(14b)を閉、開閉弁(14
a)(13b)を開に切換え、ホッパ(10)から鉱石の払い
出しを行うとともに、ホッパ(11)に風箱(2)からの
鉱石を流入させる。なお、以上のような開閉弁の切換え
は、分配弁(12)の切換えと連動して行う必要がある。
このようにして鉱石を受けるホッパと鉱石払い出しを
行うホッパを順次切換えつつ、鉱石の受け入れと払い出
しが連続的に行われるが、この間、各排出支管ではいず
れかの開閉弁が閉の状態にあるため、風箱内の気圧が損
われることがなく、連続的な鉱石の排出が可能となる。
このように風箱(2)内に落下する鉄鉱石は、底部が
傾斜面(7)であるため、そのまま排出管(9)に流れ
込み、排出手段(8)を構成するいずれか一方のホッパ
に連続的に排出されるものであり、このような鉱石の排
出は速やかに行われるため、鉱石が風箱の底部等に溶着
するおそれはほとんどない。また、排出支管(90)、
(91)はそのいずれかの開閉弁が閉じた状態にあるた
め、ホッパ内には高温の還元ガスは流れず、鉱石がホッ
パ内で溶着するおそれも全くない。
第2図および第3図は、風箱に還元ガス中のダストを
分離・捕集するサイクロン的に機能を付加した実施例を
示すものである。
風箱(2)は、その上部が内筒(16)および外筒(1
7)から構成されている。
前記内筒(16)はその下端が開放し、上端が分散板
(3)を介して反応塔(1)と連通している。
前記外筒(17)には、還元ガスを外筒の中心から偏向
した方向に導入できるような向きのガス導入口(18)が
形成されている。このガス導入口(18)の向きは、外筒
内で効果的な旋回流を形成する上で、なるべく外筒接線
方向に近いほうが好ましい。
前記外筒(17)の下部には傾斜面(7)をもつ逆円錐
状の底部が連設されている。そして、その最下部に第1
図と同様の排出手段(図示せず)が接続されている。
このような構造の流動層式還元炉によれば、ガス導入
管(4)から風箱(2)内に導入される還元ガスは内筒
(16)と外筒(17)内で旋回流となり、この際ガス中の
ダストが旋回の遠心力により分離して下方に落下し、反
応塔(1)から落下する鉱石とともに傾斜面(7)を経
て排出手段により炉外に排出される。
一方、ダストが除去された還元ガスは、内筒(16)の
下端から内筒内を上昇して反応塔(1)に流入する。な
お、この還元ガスは旋回流となった後、内筒下端まで下
降し、その後上昇して反応塔方向に流れるため、圧力や
流速が均一化された状態で反応塔(1)内に流入するこ
とになる。
このように本実施例の還元炉では、風箱がサイクロン
の機能をも兼ね備えたものであるため、従来ガス導入管
に設けられているようなサイクロンが不要となる。
なお、以上述べた各実施例において、排出手段(8)
を構成する排出支管およびホッパの数は必ずしも2組に
限定されるものでないことは言うまでもない。
第4図は第1図に示す流動層式還元炉を予備還元炉と
して用いた溶融還元設備の一例を示すものである。
図において、(A)は溶融還元炉、(B)は第1図に
示す還元炉により構成される予備還元炉、(23)、(2
4)はサイクロンである。
予備還元炉(B)から鉱石を排出するための排出管
(6)は、鉱石の排出を円滑に行わせるための排出手段
(25)を有している。すなわち、排出管(6)はその下
流側で二股に分岐し、各排出支管(60)(61)の途中に
はホッパ(19)、(20)が設けられている。そして、各
ホッパ(19)、(20)の入側および出側には開閉弁(21
a)(21b)、(22a)(22b)がそれぞれ設けられてい
る。
以上のような設備では、溶融還元炉(A)の発生ガス
は、サイクロン(23)で除塵された後、予備還元炉
(B)に導入され、ここで炉内に装入された粉粒状の鉄
鉱石を流動化して流動層(15)を形成し、鉄鉱石を予熱
および予備還元する。
このようにして予備還元炉(B)で処理された鉄鉱石
は排出管(6)から排出され、溶融還元炉(A)に送ら
れる。このような予備還元鉱石の送給は、開閉弁(21
a)(21b)、(22a)(22b)の開閉操作により前記ホッ
パ(19)、(20)のうち、いずれか一方のホッパに排出
管(6)から鉱石を供給する間に、他方のホッパから鉱
石の払い出しを行うことにより、反応塔(1)内の気圧
を損うことなく連続的且つ円滑に行われる。例えば、図
示するように各ホッパの開閉弁のうち開閉弁(21a)(2
2b)を開、開閉弁(22a)(21b)を閉とした状態では、
鉄鉱石は排出支管(60)を経てホッパ(19)に流入し、
これに貯えられる。この間ホッパ(20)からは鉱石の払
い出しが行われる。そして、この鉱石の払い出し後、開
閉弁(21a)(22b)を閉、開閉弁(22a)(21b)を開に
切換え、ホッパ(19)から鉱石の払い出しを行うととも
に、ホッパ(20)に反応塔(1)からの鉱石を流入させ
る。このようにして鉱石を受けるホッパと鉱石払い出し
を行うホッパを順次切換えつつ鉱石の払い出しが連続的
に行われるが、この間、各排出支管ではいずれかの開閉
弁が閉の状態にあるため、反応塔(1)内の気圧が損わ
れることがない。また、鉱石受け入れ側のホッパ内の気
圧は反応塔(1)内の気圧と等しく、また鉱石払い出し
側のホッパ内の気圧は溶融還元炉(A)内の気圧と等し
いため、鉱石の給排が円滑に行われる。
予備還元炉の風箱(2)内に落下した鉱石および還元
ガス中のダスト(サイクロンで捕集されたダスト)は、
第1図の実施例で述べたように排出手段(8)により炉
外に連続的に排出され、前記ホッパ(19)(20)から払
い出される鉱石とともに溶融還元炉(A)に装入され
る。
反応塔(1)から排出されるガスは、その排ガス管
(26)に設けられるサイクロン(24)で除塵された後、
ガス処理設備(図示せず)に送られる。サイクロン(2
3)およびサイクロン(24)で捕集されたダストは、図
示しない移送手段(例えば気体移送手段)で溶融還元炉
(A)に装入される。
なお、前記排出手段(25)も、排出手段(8)と同様
ホッパを1台とし、その入側および出側にガス圧を遮断
したまま鉱石を連続的に払い出すことができるロータリ
ーバルブ等を設けるようにすることができる。
以上のような溶融還元操業においては、還元ガス(発
生ガス)の流量が少なく反応塔(1)から風箱内に鉱石
が落下しても、鉱石が風箱内で溶着するおそれがないた
め、還元ガスの流量について何ら配慮することなく、溶
融還元炉の発生ガスをそのまま予備還元炉に導入するこ
とができる。
第4図に示すような設備において、ガス流量を変化さ
せ、鉱石が反応塔(1)から風箱内(2)に落下する度
合いを調べる試験を行った。これによれば、ガス流量
を、鉱石の風箱内への落下をほぼ完全に防止し得る最低
ガス流量からその半分まで減らすと、反応塔(1)内の
鉱石の約5〜6%程度が風箱内に落下することが判っ
た。このような落下鉱石量は、これが風箱(2)から排
出されなければ、その溶着および堆積により予備還元炉
の操業に重大な支障を及ぼすことは明らかである。これ
に対し、本試験においては風箱(2)内に落下した鉱石
は風箱内で溶着することなく速やかにホッパ(10)また
は(11)に排出することができた。なお、このようにし
て排出された鉱石の予備還元率は、排出管(6)を通っ
てホッパ(19)、(20)に排出された鉱石と同等であっ
た。
このように本発明では発生ガスの流量が少なくても、
風箱内に落下する鉱石の溶着という問題を適切に回避で
きる。したがって、操業中発生量に変動がある溶融還元
炉発生ガスについて、銑鉄の生産量等に関連した本来の
操業条件以外の面からその流量を調整するというような
必要が全くなく、溶融還元炉の操業の自由度が何ら損わ
れることがない。
また、第2図および第3図に示すような流動層式還元
炉を第4図に示すような溶融還元設備に適用した場合に
は、上述した利点に加え、還元ガス除塵用のサイクロン
(23)が不要になり、これによって溶融還元炉(A)か
ら予備還元炉(B)までのガスの経路、ひいては予備還
元炉(B)の設備場所を含む設備全体のレイアウトを、
比較的自由に定めることができる。
なお、以上述べた本発明の流動層式還元炉は、分散板
を備えない形式の還元炉についても適用することがで
き、また銑鉄を得る溶融還元法に限らず、合金鉄(フェ
ロアロイ)を得るための溶融還元法にも適用することが
できる。さらに、本発明の流動層式還元炉は、粉粒状の
鉄鉱石またはこれをペレットにしたものなどを原料とす
る直接製鉄法における還元炉(主炉)としても使用する
ことができる。また、製鉄用の還元炉でない他の流動層
炉としての使用も可能であり、粉粒体が溶着や焼結を生
じ易い性質のものである場合には特に有用である。
〔発明の効果〕
以上述べた本発明によれば、反応塔から風箱内に落下
した鉱石や還元ガス中のダストが炉の運転中速かに炉外
に排出されるため、これら鉱石等の風箱内での溶着とこ
れに起因した操業上のトラブルを適切に防止することが
できる。
また、風箱にサイクロンとしての機能が付加された流
動層式還元炉によれば、上述した効果に加え、還元ガス
の導入管にサイクロンを設ける必要なく、このため設備
的負担を軽減することができるとともに、サイクロン装
置に伴う設備全体のレイアウト上の制約もなくなるとい
う利点がある。
さらに、本発明の溶融還元法によれば、溶融還元炉の
発生ガス量に関係なく予備還元炉の風箱に落下する鉱石
等の溶着を防止できるため、溶融還元本来の安定的な操
業条件に制約を加えて発生ガス量を増大させるような必
要が全くなく、溶融還元炉の操業条件を生産量等の面か
ら自由且つ弾力的に設定することができる。さらに、発
生ガスに別のガスを加える必要もなく、また原料歩留を
低下させることもないため、設備コストおよび運転コス
トを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の流動層式還元炉の一実施例を示す縦断
面図である。第2図および第3図は本発明の流動層式還
元炉の他の実施例を示すもので、第2図は縦断面図、第
3図は第2図中III−III線に沿う断面図である。第4図
は本発明の溶融還元法の実施に供される設備の一例を示
す説明図である。第5図は従来の流動層式還元炉を示す
縦断面図である。 図において、(1)は反応塔、(2)は風箱、(3)は
分散板、(4)はガス導入管、(7)は傾斜面、(8)
は排出手段、(16)は内筒、(17)は外筒、(18)はガ
ス導入口である。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉱石が装入される反応塔と、該反応塔に還
    元ガスを供給するため反応塔の下方に設けられる風箱
    と、還元された鉱石を反応塔から排出するための排出管
    とを備えた流動層式還元炉において、風箱の底部を、還
    元ガス中のダストを含む鉱石の安息角以上の傾斜角を有
    する傾斜面に構成するとともに、該風箱底部の最下部
    に、反応塔から風箱内に落下した鉱石および還元ガス中
    のダストを炉の運転中連続的に排出することができる排
    出手段を接続し、該排出手段を、風箱底部の最下部に接
    続され、その下部が複数の排出支管に分岐した排出管
    と、前記排出支管の分岐部に設けられる分配弁と、前記
    各排出支管の途中に設けられるホッパと、該各ホッパの
    入側及び出側の排出支管に設けられる開閉弁とから構成
    したことを特徴とする鉱石の流動層式還元炉。
  2. 【請求項2】風箱の上部を、下端が開放し且つ上端が反
    応塔に連通した内筒と、該内筒を外囲する外筒とから構
    成し、前記外筒には、還元ガスを外筒の中心から偏向し
    た方向に導入すべきガス導入口を設けるとともに、その
    下部に傾斜面をもつ底部を連設してなる請求項1に記載
    の鉱石の流動層式還元炉。
  3. 【請求項3】鉱石を、溶融還元炉の発生ガスが還元ガス
    として導入された予備還元炉で予備還元した後、溶融還
    元炉に装入して溶融還元する溶融還元法において、予備
    還元炉として請求項1に記載の流動層式還元炉を用い、
    風箱の底部から排出手段により排出される鉱石およびダ
    ストと反応塔の排出口から排出される予備還元鉱石が、
    溶融還元炉内に装入されることを特徴とする溶融還元
    法。
  4. 【請求項4】鉱石を、溶融還元炉の発生ガスが還元ガス
    として導入された予備還元炉で予備還元した後、溶融還
    元炉に装入して溶融還元する溶融還元法において、予備
    還元炉として請求項2に記載の流動層式還元炉を用い、
    風箱の底部から排出手段により排出される鉱石およびダ
    ストと反応塔の排出口から排出される予備還元鉱石が、
    溶融還元炉内に装入されることを特徴とする溶融還元
    法。
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