JP2536139Y2 - コンパクトディスク入りジャケット収納用書籍 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、コンパクトディスク
（以下、ＣＤと略称する）が内蔵されたジャケットを収
納できるコンパクトディスク入りジャケット収納用書籍
に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、ＣＤの普及により書籍にも対応で
きるようなＣＤ入りジャケットを収納した電子ブックと
呼ばれる書籍が広く知られている。このような電子ブッ
クと呼ばれるジャケット収納用書籍は、開閉可能なプラ
スチックケース（射出成型品）の内側の一方の面に、真
空成形された凹部を有するトレイが嵌め込まれており、
このトレイの凹部にＣＤを内蔵したジャケットを収納で
きる構造となっている。また、上記ケースの内側の他方
の面には、ＣＤの内容に関連した記事を掲載したブック
レットをおさめることができる係止用部材が設けられて
いる。

【０００３】しかしながら、このようなＣＤ入りジャケ
ット収納用書籍は、全体がプラスチックのケースで構成
されたプラスチック成形品であり、成形に使用される樹
脂の素材によっても異なるが、例えばケースがポリスチ
レン樹脂で成形されたものでは、その樹脂量が約９７ｇ
を要するのに対し、トレイだけの樹脂量は、その素材に
よっても異なるが、約６〜１３ｇという少量であるた
め、上記のようなケースを用いた場合、多大な樹脂量を
要するので、省エネが叫ばれている現在では樹脂の削減
にはつながらず、特に当業者において要求されている環
境問題に対応できないという不利がある。また、全体が
厚手のプラスチックケースで覆われているため通常の書
籍に比べて重く、取り扱いが悪いという欠点がある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】このような不利を解決
するために、最近、プラスチックケースに代えて板紙を
二つ折りにして、その内側の一方の面に真空成形された
トレイを貼着したＣＤ入りジャケット収納用書籍が開発
されている。しかし、このような書籍は、プラスチック
ケースに比べ強度が弱く、トレイが貼着された四周の耳
の部分が輸送中に曲ったり、折れたりするという欠点が
ある。また、トレイが貼着された四周の耳端からトレイ
側面までの長さは通常３ｍｍ程度であるが、トレイの全
側面が内側へ傾斜しているものでは、板紙を二つ折りに
したときに、その折り畳まれた表表紙の四周の端部から
トレイ側面までの長さが約６ｍｍとなり、板紙を二つ折
りにした状態では表表紙の四周部分が折れ曲りやすいと
いう欠点がある。さらに、板紙を二つ折りにしたときの
背幅の部分が斜めに倒れて安定しないという問題があっ
た。

【０００５】したがって、本考案は上記従来の問題点を
解決するもので、トレイおよび板紙に強度を与え、輸送
中の板紙の折れ曲がりを解消し、背側部分の倒れを防止
できるＣＤ入りジャケット収納用書籍で、しかも近年の
環境問題にも貢献できる利用価値のきわめて高いＣＤ入
りジャケット収納用書籍を提供することを課題とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案者らは、上記課題
を解決するために種々検討を重ねた結果、ＣＤ入りジャ
ケット収納用書籍を構成するプラスチックケースに代え
て、板紙およびトレイからなるＣＤ入りジャケット収納
用書籍とし、さらに、板紙およびトレイに独特な形状を
施すことにより、上記課題を解決できる実用的に極めて
望ましいＣＤ入りジャケット収納用書籍を見出した。

【０００７】すなわち、本考案は、板紙を二つ折りにし
て、その内側の一方の面にはＣＤを内蔵したジャケット
を嵌め込む凹部を有する真空成形プラスチック製トレイ
が貼着され、内側の他方の面にはそのディスクの内容に
関連した説明書ないし解説書を掲載したブックレットを
収納するポケットが設けられた電子ブックであって、前
記トレイには、垂直もしくはほぼ垂直に立ち上がり形成
された全側面にその立ち上がり全幅にわたって外側へ突
出したリブが適当な間隔をおいて複数個形成され、その
トレイの四周に形成された耳を前記板紙の内側の一方の
面に貼着したＣＤ入りジャケット収納用書籍を要旨とす
るものである。

【０００８】以下、本考案のＣＤ入りジャケット収納用
書籍について詳細に説明する。本考案に用いられるＣＤ
入りジャケット収納用書籍は、二つ折りの板紙、その板
紙の一方の内側に取りつけられるプラスチック製トレ
イ、他方の内側に設けられたポケットにおさめられるブ
ックレットから構成されるもので、前記トレイに特異な
形状を施したことに技術的な特徴がある。

【０００９】本考案のＣＤ入りジャケット収納用書籍を
構成するトレイは、薄肉でプラスチック製のものが用い
られるが、特に環境問題の上から、家庭で容易に紙と同
様に燃やすことができる珪酸マグネシウム（タルク）と
ポリプロピレンなどのオレフィン樹脂混合品からなる易
処理樹脂で成形されたものが好ましく採用され、通常、
真空成形によって成形される。

【００１０】このトレイには、ＣＤを内蔵したジャケッ
トを嵌め込むための凹部が設けられ、トレイの外周の全
側面は垂直もしくははぼ垂直に立ち上がっており、外側
へ突出した複数個のリブが設けられている。このリブ
は、立ち上がり幅全体にわたり、適当な間隔をおいてト
レイの四側面に、すなわち、小口側、背側、天面側、底
面側にそれぞれ設けられている。このリブの数は、電子
ブックの用途や大きさによって異なるが、通常、小口
側、背側にそれぞれ一つ、天面側、底面側にそれぞれ二
つづつ設けられる。また、このリブの形状は、主に半円
形状の突起で形成されているが、特にこの形状には限定
されない。

【００１１】上記のようなリブを設けることにより、板
紙を閉じた時の背幅部分の斜め倒れを背側のリブによっ
て防止でき、また、板紙の四周の折れや曲がりも防止で
きトレイ自体の強度を高めることができる。

【００１２】本考案のＣＤ入りジャケット収納用書籍を
構成するトレイの外周の全側面には、トレイの補強のた
め上記リブとは反対方向に半円形状のへこみを必要に応
じて設けることもできる。このへこみは、上記リブと同
様にトレイの側面に複数個設けられる。

【００１３】また、上記のトレイには、二つ折りにした
板紙の内側の一方の面に貼着される耳がトレイの四周に
形成されている。この耳は、２．５〜３．５ｍｍ程度の
幅を有し、この幅が３．５ｍｍより長いと貼着される板
紙の隅の部分の強度が弱く、折れ曲がったり、割れたり
するので好ましくなく、２．５ｍｍより短いと貼着され
る板紙との接着が弱くなり好ましくない。

【００１４】さらに、上記のトレイの外周の全側面は、
垂直もしくはほぼ垂直に立ち上がり形成されている。こ
の側面が斜めに傾斜しているトレイでは、板紙を折り畳
んだときに表表紙の四周の端部からトレイ側面までの長
さが、トレイの貼着された四周の耳端からトレイ側面ま
での長さよりはるかに長くなりすぎるため、板紙を二つ
折りにした状態では表表紙の四周部分が折れ曲りやすく
なる。このため、トレイの外周の全側面は、板紙面に対
して８５°〜９０°の角度が望ましい。

【００１５】本考案のＣＤ入りジャケット収納用書籍を
構成する二つ折りにした板紙には、その四隅部分にアー
ルが形成され、電子ブックの輸送中の折れや破損、ある
いは手や指の傷つきを防止している。

【００１６】また、上記板紙の内側の他方の面には、Ｃ
Ｄの内容に関連した説明書や解説書を掲載したブックレ
ットをおさめるポケットが設けられている。

【００１７】本考案に用いられるＣＤ入りジャケット収
納用書籍は、従来から使用されていたプラスチックケー
スに代えて板紙を用いたものであるが、この板紙は、通
常用いられているものであればどのような材質のもので
もよいが、特に環境問題に適した再生紙を用いることが
できる。

【００１８】

【作用】上記のような構成であるから、トレイの全側面
にリブを設けることにより、トレイや板紙に強度を与え
ることができるとともに、背側の部分の斜め倒れを防止
している。また、板紙に貼着されるトレイの耳を所定の
長さして、板紙の四隅にアールを設けることにより、Ｃ
Ｄ入りジャケット収納用書籍の輸送中の折れや破損、あ
るいは手や指の傷つきを防止している。トレイの外周の
全側面が垂直もしくはほぼ垂直に立ち上がり形成されて
いるので、板紙を二つに折り畳んだときに、表表紙の四
周部分の折れ曲りを防止している。さらに、従来のプラ
スチックケースに代えて板紙および薄肉トレイを用いる
ことにより、軽くて持ち運びが便利で、しかも環境問題
にも適合できる。

【００１９】

【実施例】つぎに、本考案の実施例を添付図面に基づい
てさらに詳細に説明する。図１は、本考案のＣＤ入りジ
ャケット収納用書籍を構成を示す説明図である。図に示
すように、本考案のＣＤ入りジャケット収納用書籍１
は、二つ折りの板紙２、その板紙の一方の内側に貼着さ
れるプラスチック製トレイ３、他方の内側に設けられた
ポケット４におさめられるブックレット５から構成され
るものである。

【００２０】このトレイ３には、ＣＤを内蔵したジャケ
ット６を嵌め込むための凹部７が設けられている。この
凹部７は、ジャケットを嵌め込むことができればよく、
溝の深さや形状は問わない。また、このトレイ外周の全
側面は、垂直もしくはほぼ垂直に立ち上がっており、外
側へ突出したリブ８が複数個設けられている。

【００２１】このリブ８は、立ち上がり幅全体にわた
り、間隔をおいて四側面に形成される。すなわち、小口
側および背側にそれぞれ二つ、天面側および底面側にそ
れぞれ一つ設けられている。また、トレイ外周の全側面
には、上記リブ８とは反対方向にへこみ９が設けられて
いる。このへこみ９は、リブ８と同様に側面に複数個形
成されている。

【００２２】本考案のトレイには、板紙の内側の一方の
面に貼着された耳１０がトレイの四周に形成されてい
る。また、板紙の四隅部分には、電子ブック輸送中の折
れや破損あるいは手や指の傷つきを防止するためにアー
ル１１を形成している。

【００２３】板紙の内側の他方の面には、ＣＤの内容に
関連した説明書などを掲載したブックレット５をおさめ
るポケット４が設けられており、そのポケット４にブッ
クレット５を矢印の方向に挿入して収納される。

【００２４】

【考案の効果】本考案のＣＤ入りジャケット収納用書籍
によれば、上記の構成であるから、輸送中の板紙の四周
部分の折れ曲がりや破損をなくし、また、板紙を二つに
折り畳んだときの表表紙の四周部分の折れ曲がりを解消
し、背側の部分の斜め倒れを防止できるとともに、板紙
や薄肉トレイに強度を与えることができる。また、プラ
スチックケースに代えて板紙および薄肉トレーを用いる
ことにより、例えば、従来約９７ｇを要していた樹脂量
を、ポリプロピレンを用いたときには１２ｇに、あるい
は珪酸マグネシウムとポリプロピレンの混合品を用いた
ときには６ｇに樹脂量を削減でき、実質的に８７．６％
〜９３．８％の樹脂を削減でき、しかも板紙を古紙など
の再生紙を５０％使用できるのでより省エネに役立つ。
また、燃焼するときポリスチレン樹脂では、発熱量を１
２，０００Ｋｃａｌ／Ｋｇを要するが、ポリプロピレン
と珪酸マグネシウムとの混合品では、６，０００Ｋｃａ
ｌ／Ｋｇという通常の半分の発熱量ですむ。以上を総合
して本考案は環境問題にも貢献できる利用価値のきわめ
て高いＣＤ入りジャケット収納用書籍を提供することが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本考案のＣＤ入りジャケット収納用書
籍の構成を示す説明図である。

【符号の説明】

１ ＣＤ入りジャケット収納用書籍 ２ 板紙 ３ トレイ ４ ポケット ５ ブックレット ６ ジャケット ７ 凹部 ８ リブ ９ へこみ １０ 耳 １１ アール

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 板紙を二つ折りにして、その内側の一方
   の面にはコンパクトディスクを内蔵したジャケットを嵌
   め込む凹部を有する真空成形プラスチック製トレイが貼
   着され、内側の他方の面にはそのディスクの内容に関連
   した説明書ないし解説書を掲載したブックレットを収納
   するポケットが設けられたコンパクトディスク入りジャ
   ケット収納用書籍であって、前記トレイには、垂直もし
   くはほぼ垂直に立ち上がり形成された全側面にその立ち
   上がり全幅にわたって外側へ突出したリブが適当な間隔
   をおいて複数個形成され、そのトレイの四周に形成され
   た耳を前記板紙の内側の一方の面に貼着したことを特徴
   とするコンパクトディスク入りジャケット収納用書籍。
2. 【請求項２】 請求項１の板紙の四隅にアールを設けた
   ことを特徴とする請求項１に記載のコンパクトディスク
   入りジャケット収納用書籍。