JP2534682B2 - 直線移動用キヤリツジの製造方法 - Google Patents

直線移動用キヤリツジの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、直線移動用キャリッジの製造方法に関す
るものである。
〔従来の技術〕
従来、この種の平行送り機構、例えば光学式ディスク
装置のキャリッジの摺動部材には大別してつぎの種類の
ものがある。すなわち、 (1)第1図に例示するように、主軸1、補助軸2及び
キャリッジ3の摺動部4に潤滑油もしくはグリースを塗
布した型式のもの。
(2)第2図に例示するように、キャリッジの摺動部材
4にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素
樹脂を含むポリアセタール樹脂のような自己潤滑性を有
する潤滑を用いた型式のもの。
(3)前記(2)の型式に於けるポリアセタール樹脂等
の自己潤滑性樹脂の代わりに含油樹脂を用いた型式のも
の。
(4)前記(3)の型式に於ける含油樹脂の代わりに含
油焼結結合金を用いた型式のものがある。
しかし、型式(1)に於いては、定期的に給脂が必要
であり、また油脂類による他箇所の汚染、あるいは樹脂
製キャリッジの場合においては油脂類により樹脂に亀裂
が入る等の不具合が生じる。
型式(2)に於いては、通常ポリアセタール樹脂をベ
ースとした複合材料が用いられているが、要求される寸
法精度が得られず、また、環境(温度)変化に対して摩
擦係数が変動するため、摺動抵抗が変動し、要求される
水準にまで到達することができず、使用場所が限定され
る。
型式(3)においては、含油樹脂中の潤滑油は通常樹
脂内部にカプセル状に保持されており、潤滑に寄与する
ものは極表層部の油であって、樹脂内部の潤滑油は直接
潤滑に寄与しないので、表層部の極少量の潤滑油不足に
よる潤滑不良が起こり、摺動抵抗が大きくなり、ひいて
はロックに至ることとなる。
型式(4)においては、環境(温度)変化(たとえば
−20〜+80℃程度)によって焼結合金内部に含浸してい
る潤滑油の粘度が変化し、その結果、摺動抵抗が変化
し、また、高温下の長時間運転に際しては、潤滑油の粘
度が小さくなり、焼結合金から漏洩した油が周囲を汚染
する。
〔発明が解決しようとする課題〕
以上、述べたように、従来の技術においては、加工が
容易で部品点数が少なく、且つメンテナンスフリーであ
り、また、摺動抵抗が小さく、しかも環境の変化に対し
て摺動抵抗が変動しない直線移動用キャリッジが容易に
得られないという問題があった。
〔問題点を解決するための手段〕 上記の問題を解決するために、この発明は、キャリッ
ジの摺動面及び相手軸の表面の少なくとも片方に、−CX
F2X−O−(は1〜4の整数)を主要構造単位とし、
イソシアネート基、エポキシ基、又はアミノ基から選ば
れる官能基を少なくとも1つ有する、平均分子量が1000
〜50,000のフルオロポリエーテル重合体を塗布、吹付け
又は浸漬し、次いで乾燥して、薄膜を形成させることを
特徴とする摺動性薄膜を有する直線移動用キャリッジの
製造方法を採用したものであり、以下にその詳細を述べ
る。
この発明における−CXF2X−O−という一般式(
1〜4の整数)で示される単位を主要構造単位としたフ
ルオロポリエーテル重合体は、平均分子量が1000〜5000
0の重合体である。このようなフルオロポリエーテル重
合体は軸受材料に対して親和性の高い官能基として、イ
ソシアネート基、エポキシ基、又はアミノ基を含有して
いるものがよく、その他、カルボキシル基、水酸基、メ
ルカプト基、スルフォン基、エステル基等を含有してい
るものを用いることもでき、具体的にはつぎに示すよう
なものを例として挙げることができる。すなわち、 OCN−C6H3(CH3)−NHCOCF2C2F4OCF2OnCF2CO
NH−(CH3)C6H3−NCO、 HOOC−CF2O(C2F4OCF2OnCF2COOH、 CH3OOC−CF2OC2F4OCF2OnCF2COOCH3、 HOCH2−CF2OC2F4OCF2OnCF2−CH2OH、 HO(CH22NHCO−CF2OC2F4OCF2OnCF2CONH(C
H22OH、 H2N(CH22NHCOCF2O(C2F4OCF2OnCF2CONH(CH
22NH2などである。
このようなフルオロポリエーテル重合体は単独で用い
てもよいが、そのときはエポキシ基またはイソシアネー
ト基を含有したものが好ましく、エポキシ基を用いると
きはアミン類、酸無水物等を加えてエポキシ基同士を反
応させるとよい。またイソシアネート基を単独で用いる
場合はスズ化合物などイソシアネート三量化触媒を加え
るとよい。
また、上記フルオロポリエーテル重合体を2種類以上
併用してもよいが、その際にはエポキシ基含有のものと
アミノ基、カルボキシル基、水酸基、メルカプト基など
の少なくとも1種類の基を有するものとを組み合わせる
か、またはカルボキシル基を含有するものとアミノ基、
水酸基の少なくとも1種類の基を含むものとを組み合わ
せるか、さらにはイソシアネート基含有のものと水酸
基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基などの少
なくとも1種類の基を含むものとを組み合わせるかし
て、組み合わせた基を互に反応させて重合体をより高分
子量化し、耐摩耗性の優れた膜が得られるような配慮を
することが望ましい。
またこれら官能基を有するフルオロポリエーテル重合
体に対して、それぞれの官能基と化学反応を起こす官能
基を有する有機化合物を加えて高分子量化させてもよ
い。このような組み合わせは、イソシアネート基含有フ
ルオロポリエーテル重合体にエチレングリコールやジア
ミノジフェニルメタンなどを加える組み合わせや、水酸
基含有フルオロポリエーテル重合体にイソシアネート化
合物などを加える組み合わせなどが例示できる。
以上述べたフルオロポリエーテル重合体はそれ自体で
軸受の材料表面に対してかなりの親和性を示すものであ
るが、相手材の種類のよっては必ずしも充分な被着強度
を示すとは限らないので、このようなときには、被膜と
相手材との間に両者に対して親和性のある薄膜(プライ
マーと呼ぶ)を介在させることが好ましく、そのプライ
マーの一つの例としてポリメチルメタクリレートを枝成
分とし、メチルメタクリレート単位またはヒドロキシル
エチルメタクリレート単位を幹成分とするグラフト重合
体を挙げることができる。
上記フルオロポリエーテル重合体を塗布する方法は、
通常の塗布方法でよく特に限定されるものではないが、
例えばフルオロポリエーテル重合体を適当な溶媒に溶解
させて塗布(吹付け、浸漬なども含む)し、その後、溶
媒を蒸発させればよく、薄膜形成後に加熱して造膜成分
の高分子量化を図ることも可能である。
この発明のキャリッジ及び相手軸表面に被覆する薄膜
はキャリッジ及び相手軸の寸法精度をくずさないよう
に、8μm以下、好ましくは4μm以下にすることが望
ましい。
また、キャリッジ及び相手軸の材質が、金属、樹脂、
セラミックス等でも可能で、材質は限定されない。
〔実施例〕
実施例および比較例を用いた原材料はつぎのとおりで
ある。なお、原材料名もしくは構造式を簡略化するため
に各原材料に付した番号(〜)を使用することと
し、配合割合は重量%とする。
パーフルオロポリエーテル重合体(イソシアネート
基含有) OCN−C6H3(CH3)−NHCOCF2C2F4OCF2OnCF2CO
NH−(CH3)C6H3−NCO (平均分子量約2000)、 同(水酸基含有) HCOH2−CF2OC2F4OCF2OnCF2−CH2OH (平均分子量約2000)、 エチレングリコール ジブチルスズジラウレート 〔実施例1〜3〕 第1表に示した原材料を3%の濃度になるよう表中に
溶媒で希釈して塗布用液を調整し、キャリッジ(ガラス
繊維30%入りポリカーボネート樹脂製)の摺動部に塗布
した。塗布後70℃、1時間乾燥し、120℃で3時間加熱
した。その後キャリッジを直線移動試験材に組み込み、
摺動抵抗(摩擦係数)測定試験及び耐久試験を行なっ
た。ここで、摺動抵抗測定試験方法及び耐久試験方法は
つぎのとおりである。
摺動抵抗測定試験方法: 供試キャリッジ3の摺動部4(φ5×23.5)をスタン
ド6に固定した相手軸1(SUS303、表面粗度0.2S、φ5
×54.5)に組み込んだ試験部と、ロードセル7を介して
キャリッジを往復運動させるクランク機構部8とで構成
される往復型摩擦摩耗試験機(第3図)を用い、周速10
0mm/sec、面圧1.7kg f/cm2、振幅10mmの条件にてキャリ
ッジを駆動させた時の経過時間とロードセルより摺動抵
抗(摩擦係数)の変化を調べる。
耐久試験: 前記の往復型摩擦摩耗試験機を用い、摺動抵抗測定試
験と同条件による連続耐久試験を行ない、耐久時間を調
べる。
各試料の測定結果を第4図に示した。
比較例1: キャリッジの摺動部及び相手軸にタービン油(出光社
製ダフニースーパータービンオイル56)を塗布したもの
を作製し、摺動抵抗及び耐久試験を行ない、得られた結
果を第4図に併記した。
比較例2、3: ポリアセタール樹脂を基材樹脂とし、これに自己潤滑
性樹脂としてポリテトラフルオロエチレンを10重量%に
なるよう配合した樹脂組成物(比較例2)及び鉱物油を
10重量%になるよう配合した樹脂(ポリアセタール)組
成物(比較例3)を、キャリッジの摺動部に接着した
後、相手軸との摺動面を仕上げたものを作製し、摺動抵
抗及び耐久試験を行ない、得られた結果を第4図に併記
した。
比較例4: 銅糸の含油焼結合金(外径7mm、内径5mm、長さ23.5)
をキャリッジに圧入したものを作製し、摺動抵抗及び耐
久試験を行ない、得られた結果を第4図に併記した。
以上、第4図から明らかなように、比較例1では初期
の摺動抵抗が他に比べ優れていたが、40時間ほどで油膜
切れが発生し、摺動抵抗が大きくなった。比較例3、4
についても200時間以内に摺動抵抗が大きくなった。ま
た、比較例2は安定した摺動抵抗を示したが、実施例の
いずれのものよりも劣っていた。
〔効果〕
以上述べたように、この発明の摺動部材を用いた直線
移動用キャリッジは、摺動抵抗が小さく、且つ、長時間
安定した摺動特性が得られる。また、この発明のフルオ
ロポリエーテル重合体は、平均分子量が103〜5×104
少ないため非常に理想的に薄膜(例えば8μm以下)を
形成することができる。このため、キャリッジの寸法を
被膜の膜厚を考慮して予め寸法調整をしておく必要はな
く、キャリッジ及び相手軸を高精度に仕上げ加工してお
き、その後、上述の重合体を被覆すれば精度のよい薄膜
を後工程なしに形成することができる。
【図面の簡単な説明】 第1図、第2図は光学式ディスク装置のキャリッジ部の
型式を例示するための概略図、第3図は往復型摩擦摩耗
試験機の概略図、第4図は摺動抵抗の経時変化を示す図
である。 1……主軸、2……補助軸、3……キャリッジ、 4……摺動部材、5……レンズ、6……スタンド、 7……ロードセル、8……クランク機構。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1又は2以上の軸に沿ってキャリッジを往
    復動するようにした直線移動用キャリッジの製造方法に
    おいて、キャリッジの摺動面及び相手軸の表面の少なく
    とも片方に、−CXF2X−O−(は1〜4の整数)を主
    要構造単位とし、イソシアネート基、エポキシ基、又は
    アミノ基から選ばれる官能基を少なくとも1つ有する、
    平均分子量が1000〜50,000のフルオロポリエーテル重合
    体を塗布、吹付け又は浸漬し、次いで乾燥して、薄膜を
    形成させることを特徴とする摺動性薄膜を有する直線移
    動用キャリッジの製造方法。
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