JP2533640B2 - 複合パイプ - Google Patents

複合パイプ

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JP2533640B2 JP1076160A JP7616089A JP2533640B2 JP 2533640 B2 JP2533640 B2 JP 2533640B2 JP 1076160 A JP1076160 A JP 1076160A JP 7616089 A JP7616089 A JP 7616089A JP 2533640 B2 JP2533640 B2 JP 2533640B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、樹脂層が複数層積層された複合パイプに関
する。
(従来の技術) 合成樹脂製パイプは、軽量であり、錆びない等、金属
製パイプと比較して優れた特性を有しており、従来より
広く用いられている。しかし、合成樹脂製パイプは、耐
水性及び耐衝撃製において金属製パイプに劣っている。
これらの問題を解決する手段として、繊維強化熱硬化
製樹脂製パイプ(特開昭62−244621号公報)及び繊維強
化熱可塑性樹脂製パイプ(特開昭61−220824号公報、特
開昭62−244622号公報)が提案され、また熱可塑性樹脂
製パイプの外周に繊維強化熱硬化製樹脂層を設けたパイ
プ(特開昭59−47590号公報、特開昭60−162632号公
報、特公昭62−773号公報)が提案されている。
さらに、塩素化ポリ塩化ビニル樹脂組成物にて内管を
形成し、その外側に耐衝撃強化材を配合せるポリ塩化ビ
ニル樹脂組成物にて外管を形成した耐熱性パイプ(実開
昭60−108876号公報)が提案されている。
(発明が解決しようとする課題) しかし、繊維強化熱硬化性樹脂製パイプ及び繊維強化
熱熱可塑性樹脂製パイプは、強度及び耐衝撃性において
優れているが、強化繊維と樹脂との間、あるいは強化繊
維間に微細な間隙が形成され易く、強化繊維を含まない
合成樹脂製パイプに比べ水密性に劣っている。
また、熱可塑性樹脂製パイプの外周に繊維強化熱硬化
性樹脂層を設けたパイプは、水密性に優れてはいるが、
熱可塑性樹脂パイプと繊維強化熱硬化性樹脂層との接着
性が悪く、衝撃を受けた時に両層の界面で剥離し易いと
いう欠点があった。
さらに、塩素化ポリ塩化ビニル樹脂組成物にて内管を
形成し、その外側に樹脂系の耐衝撃強化材を配合せるポ
リ塩化ビニル樹脂組成物にて外管を形成した耐熱性パイ
プは、水密性に優れ耐熱性及び耐衝撃性も或る程度改善
されるが、用途によってはまだ充分に満足のいくもので
はない。
本発明は上記欠点を解決したものであり、水密性に優
れ、かつ耐衝撃性及び耐熱性に優れた複合パイプを提供
することを目的とする。
(課題を解決するための手段) 本発明の複合パイプは、強化繊維を含まない熱可塑性
樹脂パイプの外周に、連続したガラス長繊維で強化され
た熱可塑性樹脂の強化層が融着されてなり、そのことに
より上記目的が達成される。
内層の熱可塑性樹脂パイプは、強化繊維を含まない熱
可塑性樹脂で形成されているので、水密性に優れてい
る。外層の強化層は、連続したガラス長繊維で強化され
た熱可塑性樹脂で形成されているので、耐衝撃性及び耐
熱性に優れている。また、内層と外層は熱可塑性樹脂で
形成されていてその樹脂の融着により一体化されている
ので、衝撃等を受けたとしても両層の界面で剥離し難
い。
さらに、外周の強化層は耐衝撃性及び耐熱性に優れて
いるので、内層の熱可塑性樹脂パイプには、耐衝撃性及
び耐熱性はあまり必要とされず、内層の熱可塑性樹脂パ
イプの選択範囲が広くなるという利点がある。
以下に本発明を詳細に説明する。
第1図に示すように、本発明の複合パイプAは、熱可
塑性樹脂パイプ20の外周に強化層21を融着一体化させて
形成されている。
内層の熱可塑性樹脂パイプ20は、連続したガラス長繊
維1を含まない熱可塑性樹脂で形成されている。この熱
可塑性樹脂としては、パイプ状に成形可能な樹脂であれ
ば特に制限なく使用でき、例えば、ポリ塩化ビニル、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリフェニ
レンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン等が用
いられる。また、これらの熱可塑性樹脂の混合物も使用
し得る。さらに、安定剤、潤滑剤、加工助剤、可塑剤、
染料、顔料のような添加剤が熱可塑性樹脂に添加されて
いてもよい。熱可塑性樹脂パイプ20は、通常、押出成形
により成形することができる。
外層の強化層21は、連続したガラス長繊維で補強され
た熱可塑性樹脂で形成されている。熱可塑性樹脂は、上
記熱可塑性樹脂パイプ20に融着可能な樹脂が選定され、
熱可塑性樹脂パイプ20に用いた樹脂があげられる。強化
層21の樹脂は熱可塑性樹脂パイプ20と同一種類の樹脂で
あっても異なってもよいが、同一種類の樹脂を用いるの
が、熱可塑性樹脂パイプ20と強化層21間の融着強度を高
めるこのができるので好ましい。また、内層の熱可塑性
樹脂パイプ20の熱可塑性樹脂に比べて融着温度、融着粘
度あるいは重合度の低い樹脂を選定するのが、融着工程
において熱可塑性樹脂パイプ20の変形が起こり難く、高
い融着強度が得られるので好ましい。
連続したガラス長繊維1とは、モノフィラメント状、
或いは多数のモノフィラメントを収束したストランド状
又はロービング状のガラス繊維を意味する。このような
連続したガラス長繊維を用いると、ガラス繊維のモノフ
ィラメント間に熱可塑性樹脂が含浸されやすくなり、樹
脂に優れた耐衝性と耐熱性とが付与される。
本発明の複合パイプAは種々の方法によって製造され
てよく、例えば、第2図に示すように押出成形によって
得られた熱可塑性樹脂パイプ20の外周に、上記連続した
ガラス長繊維に熱可塑性樹脂を付着または含浸した紐状
あるいはテープ状のプリプレグ10を、プリプレグ10及び
パイプ20表面を熱風等を用いた加熱装置30で加熱溶融さ
せながら、熱可塑性樹脂パイプ20を矢印方向に回転する
ことによりパイプ20表面にプリプレグ10を巻き付けて得
られる。プリプレグ10をパイプ20外周に巻き付ける際に
は、パイプ20がその巻き付け力で変形しないようにパイ
プ20の内側に、内面を接する金属製心材を挿入した状態
で行ってもよい。
上記プリプレグ10を巻回するロール10aの軸方向は、
熱可塑性樹脂パイプ20の軸方向に対して傾斜させて配置
し、熱可塑性樹脂パイプ20の軸方向に対して所定角度で
プリプレグ10を巻回するのがよく、またプリプレグ10が
パイプ20外周で互いに交差するように、複数のプリプレ
グ10を巻回してもよく、このようにすれば耐衝撃性及び
耐熱性に優れた複合パイプAが得られる。
強化層21は連続したガラス長繊維1がモノフィラメン
ト状態で分散し、モノフィラメント間に熱可塑性樹脂が
充分含浸しているのが好ましい。このような強化層21を
得る方法としては、例えば、第3図に示す方法があげら
れる。すなわち、粉末状の熱可塑性樹脂2がエアー4に
より流動化している流動床3中をロービング状の連続し
たガラス長繊維1を通過させて、連続したガラス長繊維
1を構成するモノフィラメント間に粉末体の熱可塑性樹
脂2を付着させ、その後、加熱ロール5により加圧下、
樹脂を溶解させて連続したガラス長繊維1と一体化する
ことによりプリプレグ10を得、得られたプリプレグ10を
上記したように熱可塑性樹脂パイプ0上に、プリプレグ
10及びパイプ20表面を熱風加熱装置30で加熱溶融させ両
者を融着させながら巻き付けることにより得られる。
強化層21における連続したガラス長繊維1と熱可塑性
樹脂2の比率は複合パイプAの要求物性や使用する樹
脂、連続したガラス長繊維等によって適宜決定される
が、連続したガラス長繊維量として5〜80容量%の範囲
とするのが好ましい。5容量%を下回ると補強効果が低
下し、また80容量%を超えると強化層21と熱可塑性樹脂
パイプ20との融着性が低下する。熱可塑性樹脂パイプ20
及び強化層21の厚さは適宜決定されるが、0,5〜20mmが
通常選択される。
(実施例) 次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
〔熱可塑性樹脂パイプの成形〕
ポリ塩化ビニル(平均重合度800) ……100 重量部 ブチル錫マレェート系安定剤 ……3 重量部 ポリエチレンワックス ……0.5重量部 アリルアルコール ……1 重量部 顔料 ……1 重量部 以上の配合物より押出成形により、外径50mm、肉厚4mm
の熱可塑性樹脂パイプを得た。
〔プリプレグの作成〕
ポリ塩化ビニル(平均重合度400) ……100 重量部 ブチル錫マレェート系安定剤 ……3 重量部 ポリエチレンワックス ……0.5重量部 ステアリルアルコール ……1 重量部 以上の配合物をスーパーミキサーで混合して粉体状混
合物を得、この混合物で第3図に示す流動床3を形成
し、この流動床3中を、直径13μmのモノフィラメント
が多数収束されてなるロービング状ガラス繊維1を通過
させ、モノフィラメント間に上記粉体状混合物を付着さ
せた後、約200℃の加熱ロールで加圧しつつ樹脂を溶融
させ、幅約50mm、厚み0.5mm、ガラス繊維量約25重量%
プリプレグテープを得た。
次に、上記で得られた熱可塑性樹脂パイプ表面及びプ
リプレグテープを約300℃の熱風加熱装置で加熱溶融さ
せながら、プリプレグテープをパイプの軸方向に対して
約+75゜傾斜させてパイプ外周に連続的に巻き付けて強
化層を設けた。続いて、上記強化層の上に、前回とは逆
方向からパイプの軸方向に対して、約−75゜傾斜させて
上記強化層の巻回方向と交差するようにプリプレグテー
プを、強化層表面とプリプレグテープを溶融させながら
連続的に巻き付けた。続いて、さらに同様の方法で+75
゜傾斜させて別のプリプレグテープを強化層上に巻き付
け、さらに−75゜傾斜させて別のプリグレテープを強化
層上に巻き付け、合計4層の強化層を熱可塑性樹脂パイ
プ周囲に設けて複合パイプを得た。
得られた複合パイプは、強化繊維を含まない熱可塑性
樹脂パイプの外周に連続したガラス長繊維が互いに交差
するように巻き付けられた強化層(厚み約2mm)が融着
されたものであった。
この複合パイプを長さ20cmに切断して試料とし、パイ
プ試料上に直径50mmの円筒形の鉄製錘(重量9Kg)を高
さ500cmから落下させた。パイプ試料は破壊しなかっ
た。また衝撃部を切断し、断面を目視観察したところ、
内層の熱可塑性樹脂パイプと外層の強化層との界面は接
合した状態であり、剥離は認められなかった。
比較例 実施例と同様にして肉厚2mmの強化繊維を含まない熱
可塑性樹脂パイプを得た。
硬化剤としてメチルエチルケトンパーオキサイドを1
重量部、保進剤として6%ナフテン酸コバルト0.1重量
部を配合した不飽和ポリエステル樹脂(日本ユピカ製、
ユピカ#5136)を含浸したガラス繊維ロービング(直径
13μmのモノフィラメントが多数収束されてなるロービ
ング状ガラス繊維)を、実施例と同様に上記パイプの軸
方向に対して+75゜、−75゜の傾斜角度で交互に4層巻
き付けて厚さ2mmの熱硬化性樹脂層を設けた後、30℃雰
囲気中に5時間放置し、不飽和ポリエステル樹脂を得
た。
得られた複合パイプを20cmに切断したパイプ試料に対
して、実施例と同じ落錘試験を行った。試料は破壊しな
かったが、衝撃部の切断面を目視観察したところ、内層
パイプと強化層とが剥離していた。
(発明の効果) 本発明の複合パイプは、軽量であり、錆びることがな
く、しかも水密性と耐衝撃性及び耐熱性に優れたパイプ
として、種々の用途に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の複合パイプの一実施例の断面図、第2
図及び第3図はその複合パイプの製造方法の一例を示す
説明図である。 1……連続したガラス長繊維、10……プリプレグ、20…
…熱可塑性樹脂パイプ、21……強化層、A……複合パイ
プ。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】強化繊維を含まない熱可塑性樹脂パイプの
    外周に、連続したガラス長繊維で強化された熱可塑性樹
    脂の強化層が融着されてなる複合パイプ。
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