JP2530225B2 - Si単結晶引上用ルツボの製造方法 - Google Patents

Si単結晶引上用ルツボの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (イ)産業上の利用分野 本発明は、Si単結晶引上用ルツボの製造方法に関し、
高純度合成石英ガラス粉末からのSi単結晶引上用ルツボ
の製造方法に関する。
(ロ)従来の技術 従来、Si単結晶引上げ用石英ガラスルツボは、天然に
産出する結晶質石英粉末を溶融して製造されているが、
高純度の結晶質石英が天然産では取得し難いこともあっ
て、合成石英ガラス粉を用いてSi単結晶引上げ用石英ガ
ラスルツボが製造されている。
このような合成石英ガラス粉を使用するSi単結晶引上
げ用石英ガラスルツボの製造法としては、粉末二酸化珪
素の成形体を予備焼成して一次成形体を作り、この予備
焼成による一次成形体を更に加熱して製造する方法が、
例えば、特公昭47−5272号公報,特公昭47−5273号公
報,特公昭47−5274号公報により提唱されている。しか
し、これらの一次成形体を形成後、加熱焼成するのは手
間が掛かり、コストが高いものである。
また、ゾルゲル法により得られる高純度シリカゲルを
乾燥後600〜1000℃の範囲の温度において加熱焼成し
て、高純度合成石英ガラス粉を製造し、この高純度合成
石英ガラス粉からSi単結晶引上げ用石英ガラスルツボを
製造する製造方法が、例えば、特開昭62−176928号公
報、特公昭61−5657号公報、特開昭61−14144号公報等
により提案されている。しかし、高純度乾燥ゲルを600
〜1000℃の範囲で加熱保持して効率的に脱水するには、
常圧下では、長時間加熱を必要とし、製造コストが大幅
に高くなり問題である。といって、減圧容器中で加熱す
るには、減圧設備を要し、コストが高い割には処理能力
が小さくて問題である。
このように製造された高純度合成石英ガラス粉を用い
て製造されたSi単結晶引上用ルツボは、チョクラルスキ
ー法によるSi単結晶引き上げ時に、異常に泡が発生して
危険であり問題とされていた。
そこで、かかるSi単結晶引上時の加熱によるルツボの
発泡を避けるために、例えば、高純度の四塩化ケイ素を
加水分解して得た粒状シリカを、脱塩酸後、100〜1000
℃の範囲内の温度で加熱乾燥させ、次いで、高温におい
て磨砕し篩分けて40〜1000μmの粒子を得、この粒子を
引き続いて1400℃の温度までゆっくり加熱して、天然石
英の嵩密度にできるだけ近付くようにする方法が、特開
昭62−21708号公報において提案されている。
しかし、粒子状合成高純度二酸化珪素の嵩密度を、天
然石英の嵩密度の1.4g/cm3以上に加熱するのは多くの時
間を要し、また大変な作業であって、問題とされてい
る。
(ハ)問題点を解決するための手段 本発明者らは、石英ガラス粉末の嵩密度を増加させる
ための加熱を特定の条件で行えば、石英ガラス粉末の嵩
密度が1.1〜1.3g/cm3範囲内となったところで停止した
後、溶融して石英ガラス製品にしても、Si単結晶引上時
に真空中で加熱しても、内部の泡が異常に発泡しないこ
とを発見して、本発明に到達したものである。
本発明は、Si単結晶引上時に発泡しない合成石英ガラ
スルツボを極めて短時間で製造できるSi単結晶引上用ル
ツボの製造方法を提供することを目的としている。
即ち、本発明は、ゾル−ゲル法により合成されたシリ
カゲルを乾燥及び焼成して得られた高純度合成石英ガラ
ス粉末を使用してSi単結晶引上げ用ルツボを製造するSi
単結晶引上げ用ルツボの製造方法において、結合水が5
乃至20%の乾燥ゲル粉末を、石英ガラス製容器内で攪拌
しながら、乾燥された雰囲気又は減圧された雰囲気中
で、1100乃至1200℃の温度範囲内の焼成温度で焼成し、
次いで、乾燥された雰囲気又は減圧された雰囲気中で、
1150乃至1300℃の温度範囲内で前の焼成温度よりも50℃
以上高い焼成温度で焼成して、嵩密度が1.2乃至1.3g/cm
3で、1480℃の温度及び10-2トールの圧力条件下で4時
間熱処理したときに、泡膨れを生ない石英ガラス粉末を
製造し、この製造された石英ガラス粉末を回転軸を中心
に回転可能の型中に充填し、回転アーク熔融法によりル
ツボを成形することを特徴とするSi単結晶引上げ用ルツ
ボの製造方法にある。
本発明においては、高純度合成石英ガラス粉末は、最
終段において、1150乃至1300℃の温度範囲内の焼成温度
で焼成される。この最終段の焼成温度は、前段の1100乃
至1200℃の温度範囲内の焼成温度よりも高い温度であ
り、このような温度に最終段の焼成温度を設定して焼成
することにより、得られる高純度合成石英ガラス粉末の
嵩密度を、1.1〜1.3g/cm3、好ましくは1.2g/cm3とし
て、Si単結晶引上用ルツボ製造時における発泡等による
ルツボ内表面のうねりの問題を解決でき、しかも、Si単
結晶引上時に、ルツボ内部の泡が異常に発泡しないSi単
結晶引上用ルツボを製造することができる。
本発明において、加熱される乾燥シリカゲルは、金属
アルコキシドまたは無機けい酸塩を原料とし、公知のゾ
ル−ゲル法で製造した非晶質シリカゲルを使用する。
この公知のゾル−ゲル法は、例えばテトラエチルオル
ソシリケートのような金属アルフキシドとエチルアルコ
ールとの混合液又は水ガラスのような無機けい酸塩の水
溶液を、加温下で寒天状にゾル化したのち、これを低温
で加熱してアルコール、水を追い出して乾燥シリカゲル
とすることができる。
本発明の方法は、このように公知のゾル−ゲル法で得
た乾燥シリカゲルを原料とするが、乾燥シリカゲルは結
合水を含有するために発泡し易いものであるので、焼成
時の発泡を極力避けるために、乾燥シリカゲルの結合水
は、5乃至20%とするのが好ましい。
本発明において、乾燥シリカゲルは、焼成が均一に行
われるように、粉状のものが使用される。本発明におい
て使用される乾燥シリカゲル粉は、粒度は、500μm以
下であるのが好ましく、特に、150μm以下の粒度のも
のが40重量%以上、即ち、500乃至150μmの粒度範囲の
ものが60重量%以下であるのが好ましい。乾燥シリカゲ
ル粉体の粒子径は、加熱処理中に収縮するので、加熱後
に500μm以下の範囲になるように、粒度範囲よりやや
大きめのものを選択することができるが、最初から500
μm以下の粒度のものを選択すると、発泡が避けられ更
に脱水効率も良く好ましい。乾燥シリカゲル粉体の粒度
が、500μm以上では脱水が不充分だし、10μm以下の
粒度では加熱中に静電気が発生して乾燥シリカゲル粉
が、団子状になって好ましくない。
本発明において、このような乾燥シリカゲル粉末は、
1100乃至1200℃の温度範囲、好ましくは、1200℃の温度
で所定の時間、例えば少なくとも1step好ましくは2〜3
stepに亙って加熱処理される。このように加熱焼成処理
されたシリカガラス粉末は、次いで約1150乃至1300℃の
温度範囲内の焼成温度で、その嵩密度を1.2〜1.3g/cm3
になるまで加熱焼成されて、高純度の合成石英ガラス粉
末とされる。
加熱処理中の雰囲気については、特に限定はしない
が、乾燥された雰囲気が好ましく、N2,O2等のガス雰囲
気が好ましい。また、減圧状態については、石英ガラス
の容器中で行えば、不純物の混入が防止でき非常に好ま
しい。特に好ましいのは石英ガラス容器内で攪拌しなが
ら熱処理するのが好ましい。
本発明の方法により得られた合成石英ガラス粉末は、
1.1〜1.3g/cm3、好ましくは1.2g/cm3の嵩密度を有す
る。得られる合成石英ガラス粉末の嵩密度が、1.3g/cm3
超える場合は、高温で長時間の加熱処理を必要として経
済的ではない。合成石英ガラス粉末の嵩密度が、1.1g/c
m3未満の場合は、石英ガラス溶融中に発泡が多くなり、
良質の製品が得られない。
(ニ)作用 本発明は、乾燥シリカゲル粉末を1100乃至1200℃の温
度範囲内の焼成温度で焼成し、次いで、1150乃至1300℃
の温度範囲内で前段の焼成温度より高い焼成温度で焼成
して、嵩密度が1.2乃至1.3g/cm3の合成石英ガラス粉末
をSi単結晶引上用の原料とするので、天然石英と同様
に、例えば回転アーク溶融法等により、Si単結晶引上用
ルツボを製造することができる。また、製造された石英
ルツボはSi単結晶の引上に使用して、発泡等のトラブル
を生じることなく、Si単結晶を引上ることができる。
(ホ)実施例 本発明の実施の態様について、以下実施例を参照して
説明するが、本発明は、これらの説明及び例示によっ
て、何等限定を受けるものではない。
例.1 テトラエチルオルソシリケート[Si(OC2H5]と
1%酢酸水溶液を混合し、加水分解および縮重合して得
たシリカゲル10Kgをプラスチックビーカーに注入し、恒
温槽にて60℃の条件で100時間放置し、乾燥シリカゲル
の凝集体を得た。これをロールクラッシャーで粉砕し、
フルイ分けし、50〜500μmの乾燥シリカゲル粉末を5Kg
を得た。
次いで、この粉末を石英ガラス製容器の中に充填し
た。この乾燥シリカゲル粉末が入れられた石英ガラス製
容器は、10/minでN2ガスを導入しながら、1rpmの回転
速度で回転させて、1200℃に加熱されている電気炉内へ
挿入し、その温度下で前記粉末を5時間加熱した。この
加熱工程において、シリカガラス粉末が石英ガラス製容
器内壁に付着する現象が生じたので、この付着したシリ
カガラス粉末を、適宜石英ガラス製ムク棒で掻き落とし
て加熱を続けた。最後に、電気炉の温度を1250℃に昇温
し、粉末を5時間加熱した。加熱後、石英ガラス製容器
の端部より合成石英ガラス粉末を取り出した。なお、12
50℃の加熱時にも、シリカガラス製容器内壁面に石英ガ
ラス粉末の付着が認められたので、適宜掻き落として加
熱処理を行った。
比較例1 1250℃の加熱処理だけを行わず、その他は実施例と同
様に処理して合成石英ガラス粉末を得た。
比較例2 実施例1と同様にして得た50〜500μmの乾燥シリカ
ゲル粉末5Kgを石英ガラス容器の中に充填し、この乾燥
シリカゲル粉末を入れた石英ガラス容器に10/minでN2
ガスを導入し、1r.p.m.の回転速度で回転させて、1000
℃に加熱されている電気炉に挿入された。前記シリカゲ
ル粉末は1000℃で5時間加熱された後、電気炉の温度を
1050℃に昇温し、5時間加熱保持された。ついで石英ガ
ラス容器を電気炉から取り出し室温迄放冷し、ついで石
英ガラス容器中の焼成水分を取り出して4kgの粉末を得
た。
以上で得られた合成石英ガラス粉末の嵩密度を測定し
た。
嵩密度 実施例 1 1.2 g/cm3 比較例 1 1.1 g/cm3 〃 2 1.05g/cm3 次に、以上で得られた合成石英ガラス粉末の夫々につ
いて、回転成型アーク溶融法により溶融し、Si単結晶引
上用石英ガラスルツボを得た。ここで得られた石英ガラ
スルツボについて外観を観察した。
外観 実施例 1 良好 比較例 1 内表面にうねりが観察された 〃 2 良好 以上で得られたSi単結晶引上用石英ガラスルツボを14
80℃で10-2torrの雰囲気下で4時間加熱して、内部の泡
の膨張状態を観察した。
外観 実施例 1 泡膨れ無し 比較例 1 わずかな泡膨れあり 〃 2 異常に発泡 以上の実施例において、嵩密度の値は、筒井理化学器
械(株)のABD粉体特性測定器を使用して測定されたも
のである。
(ヘ)発明の効果 本発明は乾燥シリカゲル粉体を、1100乃至1200℃の温
度範囲内の焼成温度で焼成し、続いて1150乃至1300℃の
温度範囲内で、前段の焼成温度より高い焼成温度で合成
石英ガラス粉末の、嵩密度が1.2〜1.3g/cm3になるまで
加熱焼成してSi単結晶引上用ルツボ製造用の高純度石英
ガラス粉末を製造し、これを原料としてSi単結晶引上用
ルツボを製造するので、従来のSi単結晶引上用の高純度
石英ガラスの製造方法に比して、単時間で、したがつ
て、経済的に、Si単結晶引上時に、発泡や泡膨れの起こ
らないSi単結晶引上用ルツボを製造することができる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ゾル−ゲル法により合成されたシリカゲル
    を乾燥及び焼成して得られた高純度合成石英ガラス粉末
    を使用してSi単結晶引上げ用ルツボを製造するSi単結晶
    引上げ用ルツボの製造方法において、結合水が5乃至20
    %の乾燥ゲル粉末を、石英ガラス製容器内で攪拌しなが
    ら、乾燥された雰囲気又は減圧された雰囲気中で、1100
    乃至1200℃の温度範囲内の焼成温度で焼成し、次いで、
    乾燥された雰囲気又は減圧された雰囲気中で、1150乃至
    1300℃の温度範囲内で前の焼成温度よりも50℃以上高い
    焼成温度で焼成して、嵩密度が1.2乃至1.3g/cm3で、148
    0℃の温度及び10-2トールの圧力条件下で4時間熱処理
    したときに、泡膨れを生じない石英ガラス粉末を製造
    し、この製造された石英ガラス粉末を回転軸を中心に回
    転可能の型中に充填し、回転アーク熔融法によりルツボ
    を成形することを特徴とするSi単結晶引上げ用ルツボの
    製造方法。
  2. 【請求項2】乾燥ゲル粉末の粒度分布が、500μm乃至1
    50μmの粉末が60重量%以下であることを特徴とする請
    求項1に記載のSi単結晶引上げ用ルツボの製造方法。
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