JP2528714C - - Google Patents

Info

Publication number
JP2528714C
JP2528714C JP2528714C JP 2528714 C JP2528714 C JP 2528714C JP 2528714 C JP2528714 C JP 2528714C
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat storage
temperature
storage material
paraffins
heat
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
Other languages
English (en)
Publication date

Links

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は蓄熱材に関し、更に詳しくはパラフィン類を主成分として用いた蓄熱
材に関する。 [従来の技術] 従来蓄熱材はその原理から物質の顕熱を利用するもの、物質の相変化潜熱を利
用するもの、物質の化学反応熱を利用するもの等がある。現在実用的な面より物
質の相変化潜熱を利用する蓄熱材が注目を集めており、蓄熱式空調機器、蓄熱式
建材、各種保温器具や装置等に利用されつつある。 この相変化潜熱を利用する蓄熱材の一つとしてパラフィン等の有機物質を用い
た所謂有機蓄熱材がある。この有機蓄熱材は使用中に過冷却、相分離等の難点が
少なく、長期寿命に優れているので従来から注目されている。 元来、潜熱型蓄熱材は無機系、有機系を含め固体から液体への相変化時に蓄熱
し、液体から固体への相変化時に放熱する。このためのこれ等潜熱型蓄熱材を利
用するためには液化時に流動して漏れないように形態を保つような配慮が要求さ
れる。このため密閉容器や袋に収納する方法では、充分なる強度を有する容器等
を使用すればコストが高く実用的ではなく、また簡易的なものにすれば容易に破
損して液が漏れたり溢れたりする恐れがあり長期間使用する点では問題が生じる
。 従って容器に収納する手段に代わって(イ)多孔質物質内に収納する、(ロ)
マ イクロカプセル化する等の方法が提案され、またこれ等を組合わせた方法が使用
されつつある。更にはまた(ハ)ポリオレフィン、通常は架橋ポリオレフィンに
収納させてカプセル中に閉じ込める方法も提案されている。 しかしながら上記各方法によってもパラフィン等の滲み出しが完全に防止出来
ずに大きな問題となっており、その他製造上の工程が複雑でコスト高となったり
、単位体積当たりの蓄熱材の含有量が減少する等の問題が生じる。更に上記(ロ
)のマイクロカプセル化する方法ではカプセル間に空間が生じ、この空間の存在
により単位体積当たりの蓄熱性能が低下する。 またその他の従来方法として結晶性ポリエチレン等の結晶状ポリオレフィンに
練り込む方法も知られているが、取扱い上の難点がある。たとえば硬くて取扱い
が困難であったり、通常の取扱い中に破損したりする。更に高温でパラフィン等
が相分離して滲み出す難点も生じ、これを防止するためには容器を強固なものと
する必要があり実用的ではない。 一般に蓄熱材は、限られた空間に設置されることが多く、特に蓄熱材の好まし
い用途である蓄熱式床暖房装置の場合等ではその設置空間は極めて限定され、単
位体積当たりの蓄熱量が少しでも大きいことが強く要望されている。 [発明が解決しようとする課題] 本発明が解決しようとする課題は、従来の有機蓄熱材の上記難点を解消するこ
とであり、更に詳しくは使用温度域で30kcal/kg以上、好ましくは35kcal/kg
以上の高レベルの潜熱を有する有機質材料であって、用いたパラフィン類の最高
結晶転移温度(Tmax、後記するように多くの場合、融点に該当する。)以上に
おいても溶融、滴下、相分離、液体のブリードがなく、しかもTmax以下(パラ
フィン類は、固体状を呈する。)でも脆くなく、シート状に成形しても割れるこ
とがなく適度な柔軟性を有する蓄熱材を開発することである。 [問題を解決するための手段] この課題は、パラフィン類に1分子中に樹脂成分とゴム成分とを有してなる熱
可塑性エラストマーを配合した(以下、単に熱可塑性エラストマーという場合も
ある。)組成物を蓄熱材として使用することにより解決される。特に本発明に於
いて使用される熱可塑性エラストマーは、1分子中に樹脂成分とゴム成分とを有
してなり 、パラフィン類の少なくともTmax以下ではゴム弾性を示すものを使用する。従
ってTmax以下の温度ではゴム弾性を有するが故に、パラフィン類をうまく包み
込んだ状態で熱可塑性エラストマーで担持出来ると共に取扱いが容易であり、割
れ難くなり、シート状もしくは板状への成形が容易である。またこのエラストマ
ーは、その配合量を5〜30重量部(パラフィン類100重量部に対して)程度
で充分なる性能を発揮するため、本発明の蓄熱材はパラフィン類の配合量が多く
蓄熱量も大きい。更に上記エラストマーは、Tmaxより高温度においてもゴム弾
性を持続するために、本発明の蓄熱材は溶融したり滴下することもなく、またパ
ラフィン類の相分離もなくブリードを生じることもない。従って従来の蓄熱材の
難点を解消することが出来る。 [発明の作用並びに構成] 本発明の蓄熱材は、原則的にはパラフィン類と1分子中に樹脂成分とゴム成分
とを有してなる熱可塑性エラストマーとを主成分として成り、更に好ましくはパ
ラフィン類100重量部と該エラストマー5〜30重量部とを主成分として成る
ものであって、30kcal/kg以上、好ましくは35kcal/kg以上の高レベルの潜熱
を有するものである。 本発明に於いて使用されるパラフィン類としては、JIS K 7121(プラスチック
の転移温度測定方法)に従って測定したTmaxが使用温度、即ち室温〜100℃
好ましくは室温〜80℃前後の温度域にある有機化合物が使用される。但しこの
際の室温とは、本発明の蓄熱材がその稼動中に遭遇する最低温度を意味する。 パラフィン類の好ましい具体例としては、各種パラフィン、ロウ、ワックスを
はじめ、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸やポリエチレングリコール等の
アルコール類を例示することが出来、これ等1種が単独で、または2種以上の混
合物として使用される。 上記した使用温度において、パラフィン類のあるものは唯1つの結晶転移温度
を有し(この場合はその温度がTmaxとなる。)、またあるものは2以上の多数
の結晶転移温度を有する。2種以上のパラフィン類の混合物も2以上の多数の結
晶転移温度を有する場合が多い。それらの場合においては、最高の結晶転移温度
がTmaxに該当する。本発明で使用するパラフィン類は、必ずしも明確な融点(
全体が固体から 液体に相変化する温度)を示すものに限定しないが、多くのパラフィン類につい
ては、一般にTmaxが融点に該当する。使用温度において、2以上の多数の結晶
転移温度を有するパラフィン類の場合、それら全ての結晶転移温度を蓄熱に利用
することが出来る。 本発明に於いて使用される熱可塑性エラストマーとしては、ゴム並びにプラス
チックの分野で「熱可塑性エラストマー」として知られている、あるいは知られ
得るもののうち、少なくとも前記した室温以上で且つ使用したパラフィン類のT
max+10℃の温度域では、好ましくは少なくとも室温以上で且つTmax+20℃
の温度域では、ゴム弾性を有するものが使用される。勿論、Tmax+20℃より
高温度でもゴム弾性を持続するものも使用出来る。 具体的にはスチレン系、オレフィン系、ウレタン系、エステル系等の各種の従
来公知の熱可塑性エラストマーのなかから上記条件に適合したものが適宜に選択
して使用される。好ましい具体例としては、スチレン系ブロック共重合体エラス
トマー及びオレフィン系エラストマーである。この際のスチレン系ブロック共重
合体エラストマーとしては、たとえばA−B−A(但しAはポリスチレン、Bは
ポリブタジエン、ボリイソプレン、またはこれ等に水素を付加したエチレン・ブ
チレン等を示し、Aが樹脂成分、Bがゴム成分に相当する。)を例示出来る。ま
たオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、エチレン−プロピレン共重合体
やエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体にエチレンまたはプロピレンがグ
ラフト重合されたもの等を例示することが出来る。 本発明に於いてはパラフィン類100重量部に対し、熱可塑性エラストマーを
5〜30重量部配合する。この際5重量部に達しない場合には形態を保つのに不
充分であって、このためパラフィン類のTmax以上に於いては溶融、滴下、液体
のブリードが生じ易く、一方、Tmax以下では脆く割れやすくなる。また30重
量部を超えると単位体積当たりの蓄熱量が低下することになり好ましくない。 本発明に於いては、更にこの種成分に必要に応じ添加される公知の各種の添加
剤を配合することができる。たとえば、老化防止剤、酸化防止剤、着色剤、顔料
、帯電防止剤の他、用途に応じて防黴剤、難燃剤、防単剤を、更には伝熱性向上
のために金属粉、金属繊維、金属酸化物、カーボン、カーボンファイバー等を使
用するこ とが出来る。 本発明の蓄熱材は、その形状としてはシート状をはじめ粒訣、ペレット状等各
種の形状に出来るが、上記で説明した通り特にシート状、もしくは板状が好まし
い。 本発明蓄熱材の成形方法としては、特に限定さないが好ましい方法を例示する
と以下の通りである。即ち2本ロール、押出機、2軸混練押出機、攪拌式混合機
等の通常の混合・攪拌機を使用してまずパラフィン類と熱可塑性エラストマーを
主成分とした組成物を調製する。攪拌機を使用する場合には溶融状態にあるパラ
フィン類に熱可塑性エラストマー及び他の成分を加えて攪拌する。この際、熱可
塑性エラストマーはペレット状や粒状としておいてから加えると作業性が向上す
る。添加温度は熱可塑性エラストマーの熱可塑化域であることが好ましく、通常
100〜200℃である。 混合され溶融状となった上記組成物は、そのままで、あるいは若干冷却して成
形される。成形は型に流し込み所望のシート状、板状としても良く、また本発明
蓄熱材はパラフィン類のTmax以下になると固形化するのでブロック状にした後
、切断してシート状や板状としても良い。またフィルム、布、繊維等の上に付着
、あるいは塗布、あるいは含浸させてシート状、板状としても良い。更にまたポ
リエチレン等の袋にパック詰めにして冷却過程でシート、板状とすることも出来
、一方押出機を用いればシート状、板状に押出成型することが出来、更に該押出
機により棒状、パイプ状にも成型出来る。棒、パイプを細断すれば粒状、ペレッ
ト状ともなる。 本発明蓄熱材はその使用に際しては、原則的には従来のこの種蓄熱材の使用態
様がすべて採用出来るが、特にシート状の本発明蓄熱材を防護フィルム、たとえ
ばポリエチレン、ポリプロピレン、ボリエステル等のフィルムで被覆し、この上
から更にアルミニウムの如き金属箔を用いて均熱化層を設けるのが好ましい。ま
た前記フィルムとアルミニウム等の金属箔をはり合わせたラミネートフィルムで
被覆しても良い。 [実施例] 以下に実施例を示して本発明を詳しく説明する。 実施例1〜5、比較例1〜3 第1表に示す組成(割合は全て重量部)について、まずパラフィン、マイクロ
ク リスタリンワックス、ステアリン酸等のパラフィン類を容器中で130℃〜18
0℃に昇温、溶融しておき、他の熱可塑性エラストマー、エチレン−プロピレン
−ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)、ポリエチレン等を加え、約60〜12
0分間攪拌混合した。これを型に流し込んで空冷させ、130mm×110mm×2
mm厚の板状の実施例1〜5、比較例1〜3の蓄熱材を得た。 これらの蓄熱材につき、第1表に示す特性を以下の方法で測定した。 最大蓄熱温度:本発明蓄熱材は、使用したパラフィン類の示す結晶転移温度特
性が反映した蓄熱特性を示す。最大蓄熱温度とは、最も大きな蓄熱あるいは吸熱
を示す温度であって、多くの場合パラフィン類のTmaxまたは融点において、あ
るいはその近傍温度で現れる。この温度を JIS K 7121 に準じてDSC装置で測定
した。 蓄熱量:JIS K 7122 に準じてDSC装置により融解熱(kJ/kg)を測定し、kcal/
kgに換算して表示した。 柔軟性:蓄熱材を10mm巾の短冊状に切り取り、両端を把持して90度に曲げ
、破損するかどうかを調べて破損のないものを良とした。 形状保持性:実用上想定される最高温度域までオーブン中で加熱した状態(最
大蓄熱温度以上で蓄熱した状態)を目視観察し、形状的に見て略原形を保ってい
るものを良とした。不良は溶融したものである。 滲み出し:形状保持性が良であった蓄熱材についてポリエチレンフィルム袋中
に封入し、所定温度に24時間放置してパラフィン類が分離しているかどうかを
目視観察した。ほとんど異常のないものを良とした。不良は明らかに分離が認め
られるものである。 測定結果を第1表に示すが、本発明の実施例1〜5の蓄熱材はいずれも35kc
al/kg以上の蓄熱量を有し、実用的に必要な他の特性も満足するものであった。
一方比較例は蓄熱量が不足であるか又は他の特性が不充分であった。 実施例6 実施例1の組成物を上記と同じ方法で混合し、同じ操作で800mm×250
mm×20mm厚の板状蓄熱材とした。これを0.1mm厚のポリエチレンシー
ト袋中に封入し、さらにポリエチレン/アルミニウム/ポリエステル(30μm
/25μm/25μm)の三層アルミラミネートシートでヒートシートにより封
入して蓄 熱ボードを作製した。 この蓄熱ボード2枚の間に100V、67Wの発熱線ヒートを挿入した構造の
サンドイッチ体を作製し、該サンドイッチ体を床材とその下に設けた断熱材層と
の間に設置して蓄熱式床暖房ユニットを構成した。該蓄熱式床暖房ユニット中の
上記発熱線ヒータに、8時間通電−その後16時間は電源切断、の工程を1サイ
クル(24時間)とする通電サイクルを課して床面温度を連続測定した結果、2
8℃に昇温した後は26−28℃で24時間経過後も安定していた。 [発明の効果] 本発明の蓄熱材は、30kcal/kg以上、好ましくは35kcal/kg以上の高レベル
の潜熱を有し、しかも使用したパラフィン類のTmaxまたは融点以上においても
溶融、滴下、相分離、液体のブリード等がなく、しかも融点以下でも脆くなく、
シート状に成形しても割れることがなく適度な柔軟性を有する。以上により本発
明の蓄熱材は、深夜電力を利用する蓄熱式床暖房に好適であり、床暖房用以外に
も同様な用途に使用し得る。 【第1表】

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】パラフィン類及び1分子中に樹脂成分とゴム成分とを有してなる
    熱可塑性エラストマーを主成分として成ることを特徴とする蓄熱材。 【請求項2】パラフィン類100重量部に対し、1分子中に樹脂成分とゴム成
    分とを有してなる熱可塑性エラストマーが5〜30重量部である第1請求項に記
    載の蓄熱材。 【請求項3】形状がシート状もしくは板状である第1請求項または第2請求項
    に記載の蓄熱材。

Family

ID=

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2528714B2 (ja) 蓄熱材
CA2177450C (en) Thermoplastic, moldable, non-exuding phase change materials
AU729444B2 (en) Microwavable thermal energy storage material
US9676941B2 (en) Rubber composition based on a silicone elastomer and on a PCM, process for the preparation thereof, flexible element and thermal control/regulating system incorporating same
KR0146370B1 (ko) 축열재
JP2893363B2 (ja) 蓄熱材
JP2528728B2 (ja) 蓄熱材
JP2019116570A (ja) 蓄熱性樹脂組成物、その製造方法及び成形体
JP2852532B2 (ja) 蓄熱材
JP6829685B2 (ja) 蓄熱材組成物、蓄熱用成形体、蓄熱用建材、蓄熱用建材ボード、および蓄熱用塗り壁材
JP2528714C (ja)
JP2826768B2 (ja) 蓄熱材
JP3169422B2 (ja) 蓄熱材
JP2852530B2 (ja) 蓄熱材
EP0481564B1 (en) Oily matter containing heat storage material and manufacturing method thereof
JPH0366787A (ja) 蓄熱材
JPH0472382A (ja) 蓄熱材
JPH0472379A (ja) 蓄熱材
JPH06192647A (ja) 蓄熱体
JPH05252850A (ja) 保温水槽
JPH08143860A (ja) 蓄熱体の製造方法
JPH05256549A (ja) 保冷庫及び保冷車
JP2779990B2 (ja) 蓄熱成分及び蓄熱材
Ruokangas Rubber-phase change material composites for heat storage applications
JPH0841450A (ja) 蓄熱体