JP2528571B2 - 異種金属部材の溶接工法 - Google Patents

異種金属部材の溶接工法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、異種金属部材の溶接
工法に関し、より詳しくは、電線の端子などに用いられ
る、高融点金属部材と低融点金属部材とを抵抗溶接法に
より溶接する冗長信頼性をもつ溶接工法に関する。
【0002】
【従来の技術】抵抗溶接法は、鉄板同士をスポット溶接
するなどのときに、広くかつ、容易に一般に用いられる
方法である。そして、電気導電体である融点の低い銅材
などの電線の端子同士の場合は、固有抵抗が低く普通の
方法では難しいため、電極に、モリブデン又はタングス
テンなどの高抵抗材質の金属部材を使用するとか、他部
材を接合部に介在させるなどの工夫をして溶接する方法
が提案されている(特開平1−132077号、特開昭
49−33844号、特開昭60−221183号公報
参照)。
【0003】又、この発明の命題となる、融点が異なる
2種類の金属部材を構造上使用せざるを得ない電線の端
子であって、これら両部材の端子を抵抗溶接法によって
溶接する場合は、前述の従来提案の方法では信頼性に欠
けるので、その場合は、図5に示すように、クラッド材
を使用する方法が考えられる。即ち、その方法は高融点
金属端子51をクラッド材端子52の高融点部53で挾
みつけ、低融点部54に電極55を加圧的に押圧して溶
接を行なうもので、このクラッド材は、高融点部53が
連結部56の部分に回りこむように母材である低融点部
54を被覆している構造となっている。そして、この場
合の溶接電流供給は、交流方式の場合は図6の溶接波形
図に示すように、通電電流値Iを2〜30KA、交番通
電時間tを8〜10msec、使用サイクル数を2〜1
00サイクルとし、コンデンサ方式の場合は、図7の溶
接波形図に示すように、印加電圧値VW を100〜40
0V、印加時間tを5〜50msecとするものであ
る。上記の方式の通電により、2点での溶接を可能と
し、信頼性のある電気的接続を得られるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、融点が
異なる2種類の金属部材の端子を抵抗溶接法にて溶接す
る場合、従来のように、クラッド材を使用する事は、ど
うしても高価となり、普通の銅系材料のような安価低廉
な電気部品を供給できないという問題点があった。
【0005】そこで、この発明は、異種金属部材を高価
なクラッド材を使用することなく、抵抗溶接法にて溶接
でき、しかも高信頼性の電気的接続の得られる冗長信頼
性をもつ溶接工法を提供し、もって前記問題点を解決す
ることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、前記目的を
達成するため、棒状又は板状に形成した高融点金属部材
の両側に、少なくとも一部分が連結され、かつ、対向す
る一対の棒状又は板状に形成した低融点金属部材が2個
所以上の位置で点状に接触するように、高抵抗材質の電
極にて加圧的に挾みこみ、該電極に予熱用小電流を所定
時間流した後に、溶接用電流を短時間流して前記両部材
を溶接してなるものである。
【0007】
【作用】予熱用小電流により、高抵抗材質の電極、低融
点金属部材及び高融点金属部材が夫々加熱される。この
うち、低融点金属部材が加熱により抵抗を増加されるこ
とが特に重要である。又、これらの加熱は、電極及び両
部材間の加圧接触性を向上させる。この状態で溶接用の
電流が流されると、低融点金属部材は加熱により抵抗が
増加しているため溶接に関与しない連結部側への通電電
流が小さくなり、反対に、溶接側への通電電流が大きく
なる。これにより、低融点金属部材及び高融点金属部材
の溶接位置に電流がより多く流れ、その抵抗発熱により
両部材は溶接される。この場合、溶接に関与しない無駄
な電流が少いので溶接電流が従来より少くでき、従っ
て、他部分での溶断又はスプラッシュ過多を生じない。
更に、両部材は2点以上、たとえば、高融点金属部材の
両側で低融点金属部材と溶接されるので、たとえ1点の
接続が不良となっても、他の冗長又は余分ともいえる1
点の接続で電気を流す役目を負うので、電気的接続の高
信頼性が確保される。しかも高価なクラッド材を使用せ
ずに安価な銅系材料たとえば黄銅を使用でき、又高信頼
性のある半田付の実施をも可能とする。
【0008】
【実施例】以下、この発明の一実施例を図1〜図4によ
り説明する。
【0009】まず、具体的構成を図1及び図2により説
明する。
【0010】図1において、1はモリブデン、タングス
テン等の金属又は合金で、電気抵抗値の高い、高抵抗材
質からなる一対の棒状の電極である。2は、鉄−ニッケ
ル(Fe−Ni)合金で、42アロイ等の高融点金属部
材からなり、円棒の棒状に形成した端子(以下棒状端子
と称す)である。3は銅系材料(例えば黄銅)で、低融
点金属部材からなり、ほぼ対称的に突部にて対向した一
対の湾曲板状に形成した端子(以下板状端子と称す)で
あり、溶接位置4の所で分離し、連結部5の所で連結さ
れているものである。
【0011】高融点金属部材の棒状端子2と低融点金属
部材の板状端子3とは、2個所の溶接位置4で点状に接
するように、電極1,1が板状端子3,3の背面にあて
がわれ、板状端子3を棒状端子2に押しつけ加圧するよ
うになっており、又その状態で後述の溶接電流が供給さ
れるようになっている。
【0012】図2は、前述の棒状端子2と板状端子3の
使用状態を示すA/Bセンサユニットアッセンブリの要
部概略図である。棒状端子2はセンサユニット6の半導
体封止に使われる密封式のガラスハーメチックシール用
のガラスと同等の熱膨張係数の金属部材を使用すること
により、ユニット6の耐熱機能を保証するものであり、
このため、前述した鉄−ニッケル合金の高融点金属部材
が好適材料として多用されるものである。センサユニッ
ト6の検出信号は、棒状端子2により取出されるが、こ
の棒状端子2は高融点金属部材であるため、基板7内で
の配線接続用半田付け特性に劣る関係上、半田付け信頼
性のある銅系、即ち、低融点金属部材からなる板状端子
3を棒状端子2に溶接してこれを仲介として電気信号を
取出す役目をさせる。このため、板状端子3は反対側に
基板7に挿入するための突出部9を有する長板部材8に
形成され、適宜、基板その他の部品等と半田付けされ前
述の役目をするようになっている。
【0013】次に溶接電流の供給方式について説明す
る。
【0014】(a) 交流方式の場合、この場合は、図3に
示すように、横軸に時間、縦軸に交番電流値をとったと
き、予熱時間Tの間は、電流値IPを0.1〜5.0K
Aの低い値とし、そして、この予熱サイクル数を5〜2
00サイクル(これで時間Tが定まる)とするものであ
る。この予熱時間Tの終了後の溶接区間は、溶接電流値
W1をより大きな値である2〜30KAとし、交番通電
時間tW1を8〜10msecとし、使用サイクル数を2
サイクル程度の短時間とするものである。
【0015】b)コンデンサ方式の場合、この場合は、図
4に示すように、予熱時間Tの区間は、電流値IP 及び
予熱サイクル数は(a) の交流方式と同じ範囲とし、溶接
区間は、印加電圧値VW2を100〜400Vとし、通電
時間tW2を5〜50msecの範囲とするものである。
【0016】次に、前記実施例の作用を説明する。図1
の状態において電極1に図3又は図4のどちからの方式
で通電をしたとする。すると、電流は溶接位置4側にお
いて電流IA として流れると共に、連結部5側において
も電流IB として流れる。そして、予熱区間は、所定時
間(5〜200サイクル)の間は小さい電流値で、電極
1、板状端子3及び棒状端子2へと流れ、高抵抗材質の
電極1を、より多く加熱すると共に、両端子3及び2を
も加熱し、これら部材の接触性をも向上させる。このと
き、板状端子3は連結部5を含めて電流路が長く、その
加熱により全体としての抵抗値が増加する。
【0017】この抵抗値が充分増加した予熱区間終了後
に、溶接用電流が流れて、両端子2と3は抵抗発熱大と
なり、溶接が完了する。この場合、低融点金属部材であ
る板状端子3は高抵抗となっているため、連結部5への
溶接に関与しない、無駄な電流IB が少なくて済み、そ
れだけ、溶接側電流IA を多くすることができる。この
ため、溶接電流の絶対値としては、従来のものより小さ
なもので良いものとなり、これにより、低融点金属部材
の連結部5などでの溶断又はスプラッシュ過多の発生と
いう欠点を防止でき、高融点金属部材と低融点金属部材
との適切な抵抗溶接を可能とする。
【0018】而して、前記実施例において、両端子2と
3との溶接位置4が2個所であるため、たとえ、1個所
が不良となっても、冗長又は余分ともいえる他の1個所
で電気的、かつ機械的接続が保持され、接続について高
度の信頼性が確保される。これにより、高価なクラッド
材を使用することなく、Fe−Ni合金端子に黄銅等の
安価な端子を溶接することができ、Fe−Ni合金との
高信頼性接続と基板等との高信頼性半田付接続の両方の
接続を一挙に可能となすことができ、冗長信頼性をもつ
溶接工法を提供できるものである。
【0019】なお、前記実施例では、高融点金属部材を
棒状端子とし、低融点金属部材を板状端子として説明し
たが、この発明は、これらに限定されるものではない。
また、溶接位置についても、2個所に限定されず、それ
以上でもよいものである。
【0020】
【発明の効果】以上に説明したように、この発明によれ
ば、高価なクラッド材を使用することなく、高融点金属
部材と安価な低融点金属部材との溶接を可能とする、冗
長信頼性をもった溶接工法を提供することができ、高信
頼性のある抵抗溶接による接続と、同じく高信頼性のあ
る半田付による接続を共に実施することができるという
効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す端子間の抵抗溶接状
態を示す正面図である。
【図2】図1の端子の使用状態を示すA/Bセンサアッ
センブリの要部斜視図である。
【図3】この発明に用いる電流供給方式のうち交流方式
の溶接波形図である。
【図4】同じくコンデンサ方式の溶接波形図である。
【図5】従来のクラッド材使用の場合の端子間の抵抗溶
接状態を示す正面図である。
【図6】従来の交流方式の溶接波形図である。
【図7】従来のコンデンサ方式の溶接波形図である。
【符号の説明】
1 電極 2 高融点金属部材(棒状端子) 3 低融点金属部材(板状端子) 4 溶接位置 5 連結部 6 ユニット 7 基板 8 長板部材 9 突出部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 棒状又は板状に形成した高融点金属部材
    の両側に、少なくとも一部分が連結され、かつ、対向す
    る一対の棒状又は板状に形成した低融点金属部材が2個
    所以上の位置で点状に接触するように、高抵抗材質の電
    極にて加圧的に挾みこみ、該電極に予熱用小電流を所定
    時間流した後に、溶接用電流を短時間流して前記両部材
    を溶接してなる異種金属部材の溶接工法。
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