JP2528358B2 - 形状回復特性に優れた鉄基形状記憶合金の製造方法 - Google Patents

形状回復特性に優れた鉄基形状記憶合金の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 「発明の目的」 本発明は形状回復特性に優れた鉄基形状記憶合金の製
造方法に係り、優れた形状記憶特性を示すと共に優れた
耐食性および耐高温酸化性を示す鉄基形状記憶合金の製
造方法を提供しようとするものである。
(産業上の利用分野) εマルテンサイトを利用することにより形状記憶特性
を示す鉄基形状記憶合金の耐食性および耐高温酸化性と
共に形状回復歪量を向上させる技術。
(従来の技術) 形状記憶合金はマルテンサイトを利用して塑性変形す
るもので、マルテンサイトから母相への逆変態により形
状回復するものとして従来から知られている。即ちこの
ような形状回復効果を示す合金は、例えば1984年産業図
書社発行「形状記憶合金」などに非鉄系のものを主体と
して報告され、Ni−Ti系やCu系のものは既に実用化さ
れ、管継手、衣料、医療材料、アクチエータ等に対する
応用が行われている。
一方、近時において、特開昭59−83744、特公昭61−5
4859、特開昭61−20176には、より安価な鉄基合金によ
るものが発表され、非鉄系のものにおけるコスト面での
制約を解消し、適用分野の拡大が企図されている。
又、特開昭62−112720においては、εマルテンサイト
を利用した形状記憶合金の回復量を向上させる方法とし
て、合金製品の製造過程で20%以下の加工と400℃以上
の加熱を1回以上与えることが発表されている。即ちFe
−Mn−Si系形状記憶合金を加工することによって母相オ
ーステナイト相(γ)を加工し、次いで加熱して加工で
生じたεマルテンサイトを消去しγ単相となし、更にこ
のγの加工硬化の一部を取除くことにより次回の加工の
際におけるγのすべり変形に対する抵抗力を上昇させる
ものである。
なお本出願においては、最近特願昭63−83494の出願
をなし、安価な形状記憶合金であると共に耐食性および
耐高温酸性の如きにおいても優れた技術が出願(未公
開)されている。
(発明が解決しようとする課題) 前記した特開昭59−83744などによるものはコスト的
には有利であるとしても、耐食性や耐高温酸化性などが
充分でない。
又特開昭62−112720によるものは20%以上のMnを含有
したFe−Mn−Si合金を素材としているので、加工によっ
てεマルテンサイトを生成する以外はγの歪となり、20
%を超える加工によって内部割れを生じ、形状回復特性
を向上させるために行う加工量に限界があり、得られる
回復歪は4%が限度である。
本出願人の先願によるものは上記した特開昭59−8374
4などによるものの耐食性および耐高温酸化性を改善
し、それらの特性を向上しており、又該出願の明細書に
示されたような方法で得られた合金に対しその実施で示
される引張り歪を与えたものは70%の形状記憶効果が得
られるが、この場合の回復歪量は引張り歪に関して2.8
〜4.0%であり、また曲げ歪の場合も2.8〜4.0%であ
る。
即ち従来のものは何れにしても回復歪量がせいぜい4.
0%であり、その利用上必ずしも好ましいものでない。
例えばパイプ材などの管継手に用いるような場合におい
て接続すべき両パイプの径差や公差に制限があり、回復
のための加熱その他の処理においても制約があって不充
分な場合が多く、具体的利用面が限定される。
「発明の構成」 (課題を解決するための手段) 本発明は上記したような従来のものの問題点を解決す
るように検討を重ねて創案されたものであって、εマル
テンサイトを利用する鉄基形状記憶合金において、Mnを
14.8%以下とすると共に特定の冷間加工と焼鈍を組み合
わせることにより回復歪量を4%以上とし、又加工限界
を向上せしめて好ましい鉄基形状記憶合金を得ることに
成功した。即ち本発明によるものは以下の如くである。
(1)Cr:5.0〜20.0wt%、Si:2.0〜8.0wt%、 を含有すると共に、 Mn:0.1〜14.8wt%、Ni:0.1〜20.0wt%、 Co:0.1〜30.0wt%、Cu:0.1〜3.0wt%、 N :0.001〜0.4wt%、 の何れか1種または2種以上を、 A当量=0.5Mn(wt%)+1.0Ni(wt%)+0.4Co(wt
%)+0.06Cu(wt%)+0.002N(wt%) F当量=1.0Cr(wt%)+1.2Si(wt%) より計算されるA当量とF当量が A当量≧0.67F当量−3 を満足するよう含有し残部がFeおよび不可避的不純物か
らなる耐食性および耐高温酸化性に優れた鉄基形状記憶
合金を製造するに当り、相当塑性ひずみで降伏点以上30
%以下の冷間加工を行なった後、200〜1000℃にて焼鈍
を行なうプロセスを1回以上行なって所定の形状とする
ことを特徴とする形状回復特性に優れた鉄基形状記憶合
金の製造方法。
(2)断面減少率30%以下の冷間加工を行なった後、20
0〜1000℃にて焼鈍を行なうプロセスを1回以上繰返し
て行い所定の薄板もしくは線材とする前項に記載の形状
回復特性に優れた鉄基形状記憶合金の製造方法。
(作用) 本発明に係る鉄基合金の化学成分限定理由について、
wt%(以下単に%という)で述べると以下の如くであ
る。
Cr. Crはオーステナイトの積層欠陥エネルギーを低下さ
せ、かつ耐食性および耐高温酸化性を向上させ、更には
オーステナイトの強度を高める作用があり、これらの作
用を適切に得るには5%以上が必要である。またこのCr
はフエライト生成元素であるため、その含有量が増加す
ると後述するようなオーステナイト生成元素の含有量も
増加させる必要があり、Crの含有量が20%を越えるとこ
のオーステナイト生成元素の多量含有とσ相生成による
特性の著しい劣化を惹起するので5〜20%の範囲内とし
た。
Si. Siはオーステナイトの積層欠陥エネルギーを低下さ
せ、又オーステナイトの降伏強度を高めるため本発明に
おいて重要な作用をなす。即ちこれらの作用によりεマ
ルテンサイトを利用し優れた形状記憶性能をもつ合金と
なるもので、このためには2.0%以上を含有することが
必要である。一方このSi含有量が8.0%を超えると延性
の著しい低下を来し、熱間および冷間加工性を甚だしく
阻害する。従ってSi含有量を2.0〜8.0%に限定する。
又この発明においては、上記のようなCr、Siに加え、
オーステナイト生成元素であるMn、Ni、Co、Cu、Nの少
くとも1つを含有させ、形状回復を行なうための塑性加
工歪を付加する所定の温度において、歪付加前のミクロ
組織をオーステナイト主体またはオーステナイトを主体
としてεマルテンサイトを一部含むものとすることが必
要であって、これらの元素は以下の如くである。
Mn. Mnは強力なオーステナイト生成元素であり、所定のミ
クロ組織を得るため有効な元素であって、この作用を得
るには単独またはNi、Co、Cu、Nの何れか1種以上と複
合して0.1%以上含有させることが必要である。しかし
このMnが14.8%を越えると耐食性および耐高温酸化性を
劣化させσ相の生成を容易にすると共にα′マルテンサ
イトの生成を抑えて加工性を低下するので14.8%以下と
した。
Ni. Niも強力なオーステナイト生成元素であり、Mnと同様
に所定のミクロ組織を得るために有効な元素であって、
単独またはMn、Co、Cu、Nの何れか1種以上と複合して
0.1%以上含有させることが必要であり、一方このNi含
有量が20.0%を越えるとεマルテンサイトの変態点(M
s)を著しく低温域へ移行させ、εマルテンサイトが歪
付加時に生成困難となることから20.0%を上限とする。
Co. Coはオーステナイト生成元素であり、所定のミクロ組
織を得るため有効であって、単独またはMn、Ni、Cu、N
と複合して0.1%以上含有させる。また上記Ni、Cu、N
はそれが含有させられると変態点(Ms)を低下させるの
に対し、Coは変態点Msを殆んど低下させないから変態点
Msを所定の温度内に調節し、ひずみ付加時にεマルテン
サイトを生成させるために極めて有効な元素であるが、
このCoが30%を越えるとその効果が飽和するので、これ
を上限とした。
Cu. Cuもオーステナイト生成元素であって、微量含有させ
ることにより耐食性が向上するので有効であり、単独ま
たはMnなどと複合して0.1%以上含有させることが必要
である。しかしこのCuにはオーステナイトの積層欠陥エ
ネルギーを高める作用があるため、3.0%を越えるとε
マルテンサイトの生成を阻害することとなり、これを上
限とする。
N. Nもオーステナイト生成元素であって微量含有により
耐食性およびオーステナイトの降伏比が高まるので有効
であり、単独またはMnなどと複合して0.001%以上を含
有させる。しかしこのNが0.4%を越えるとCr、Siの窒
化物生成を容易にし形状記憶効果を阻害する場合がある
ので0.4%以下に限定した。また、これらのオーステナ
イト生成元素の含有量を、上記の限定に加えて次のオー
ステナイト生成力の指標であるA当量とフェライト生成
力の指標であるF当量に関する下記条件式に満足させる
ことにより、本発明の化学成分範囲において形状回復を
行わせるための塑性歪を付加する所定の温度で合金のミ
クロ組織をオーステナイト主体またはオーステナイトを
主体としてεマルテンサイトを一部含むものとすること
が必要である。
A当量=0.5Mn(wt%)+1.0Ni(wt%)+0.4Co(wt
%)+0.06Cu(wt%)+0.002N(wt%) F当量=1.0Cr(wt%)+1.2Si(wt%) より計算されるA当量とF当量が A当量≧0.67F当量−3 即ちこれらの条件式を満足しない場合は、他の限定条
件範囲をすべて満足する場合においても前記ミクロ組織
を得ることができず、本発明のような優れた形状記憶特
性を発現することはできない。
次に本発明における形状回復歪を向上させる製造条件
は以下の如くである。
冷間加工. 冷間加工は母相の強化に作用し、本発明合金の場合に
はこの加工によってεマルテンサイトの他にα′マルテ
ンサイトが生成すると共に、γ(オーステナイト)が加
工硬化する。然してオーステナイトを加工するためには
加工量を多くすることが望ましいが、30%を超えると内
部割れを生じ、焼鈍を加えても機械的特性が極端に劣化
するのでこれを上限とする。
なおこの加工方法としては冷間圧延の外に冷間引抜
き、管材などの両端部に反対方向の回転力を加えて引張
りと捩りを与え塑性変形させる引張り捩り法、スウェー
ジング、ピルガーミル、ローラダイスなどによって行う
ことができ、その相当塑性歪pを下式によって求める
ことができる。
但し、εl、εr、εtは、それぞれ長さ、半径およ
び肉厚方向の主ひずみ。
εrθ、εθl、εrlは、各方向での剪断歪
み。
又薄板圧延においては、断面減少率によって、線材の
引き抜き加工については断面減少率によってこの相当歪
み量を換算でき、この冷間加工の下降は降伏点であっ
て、一般的に0.2%程度であり、上限は30%である。
焼鈍. 焼鈍は、上記加工によって生じたεマルテンサイトと
α′マルテンサイトを部分的逆変態させ、オーステナイ
トの加工硬化を部分的に取り除くことに作用し、このこ
とは形状回復に寄与するεマルテンサイト量を増加させ
る。
この焼鈍温度が200℃未満では上記のような作用が不
充分であり、形状回復歪みを向上させることができず、
また1000℃を越える温度の焼鈍においては冷間加工で生
じたα′マルテンサイトはもとより、オーステナイトの
加工硬化が殆んどなくなってしまう。なお700〜900℃の
焼鈍においてはσ相を折出し形状回復特性を劣化させる
場合があるが、若干のσ相析出があっても本発明の目的
を略適切に達成することができる。
又加工と焼鈍を繰返して行うことにより上記したよう
な結果を更に向上することができる。添附図面第1図に
は後述する第1表のNo.2合金を用い冷間圧延率を種々に
変化し焼鈍温度を650℃として実施した1回冷延焼鈍の
場合と、3回冷延焼鈍の場合とを併せて示すが、2%以
上の冷延をなし焼鈍する工程を1回行っただけでも形状
回復特性を4%以上となし得ることは明かで、3回冷延
焼鈍の場合には断面減少率が非常に小さい場合において
も4%以上の形状回復特性を得ることができる。又1回
冷延焼鈍の形状回復歪は最高が5.5%程度であるのに対
し、3回冷延焼鈍の場合においては6%近い高い結果を
得ることができる。
なお本発明によるものは形状回復歪を得る方向と、加
工によって導入する歪の方向を一致させることによって
も形状回復特性の向上をより高く得ることができ、上記
したような成分組成と製造条件の組合わせにより本合金
の組織をオーステナイト相として形状記憶特性を得てい
る。
本発明によるものは耐食性に優れており、例えば20
℃、10%FeCl3・6H2O+1/20NHCl水溶液中に24時間浸漬
(JIS G 0578準拠)の結果は何れも1g/m2/hr以下で
あってSUS304と同等ないしそれ以上の耐孔食性を示し、
SUS430やSUS420JIの如きに比すれば格段に優れている。
耐応力腐食割れ性や耐全面腐食性などの試験結果におい
ても良好であって耐食性に卓越している。
(実施例) 本発明によるものの具体的実施例について説明する
と、以下の如くである。
実施例1. 次の第1表に、この発明による範囲内の合金成分によ
るものを用い、本発明による加工および焼鈍を実施した
No.1〜No.10と、同一成分組成の素材を用い加工焼鈍を
実施しないNo.1〜No.20の比較例とを併せて示す。
即ち第1表における素材は、熱間圧延後、冷間圧延ま
たは温間圧延を行い、厚さが0.4mmの薄板となし、1050
℃で1時間の溶体化処理を行った後、JIS5号試験片とし
たものであり、加工は引張りによって行い、標点間距離
(=50mm)が6%の歪となるように変形した後、600℃
×1時間の焼鈍工程を3回繰返した。
また形状回復特性は、上記処理を行った薄板を所定温
度で曲率半径3mm以下の曲げ変形(最大歪6.7%以上)を
行い、200℃以上に焼鈍した場合の曲率半径の変化で評
価し、評価基準は形状回復した歪量が5.5%以上のもの
を◎、4.0〜5.5%のものを○、4.0%以下を×で表示し
た。
調製した供試体の各々に、1年間の大気暴露試験を行
ない、発錆状況を目視にて評価し、「耐食性」として第
1表に併せて示した。
評価基準は、発錆が認められないものを◎、発錆が多
少認められるものを○、発錆が著しく認められるものを
×として表示した。
調製した供試体の各々を大気雰囲気で600℃に加熱
し、表面の酸化状況を目視して、耐高温酸化性を評価
し、「耐酸化性」として第1表に併せて示した。
評価基準は、酸化が認められないものを◎、酸化が多
少認められるものを○、酸化が著しく認められるものを
×とした。
即ち本発明によるものは何れのものも形状回復特性が
5.5%以上の優れた結果を示しているのに対し、比較例
においては4.0%未満であって、本発明により形状回復
特性の優れた合金が得られる。
実施例2. 前記した第1表におけるNo.1の合金に対し加工量、焼
鈍温度および繰返し回数を種々に変化し、本発明法に従
ったもの(No.1〜4)と、そうでない比較法によるもの
(No.5〜8)について形状回復特性を上記同様に測定し
評価した結果は次の第2表の如くである。
即ち本発明に従ったものは何れも4.0%以上の良好な
形状回復特性を有するのに対し比較法によるものは4.0
%未満であって、成分組成が本発明範囲内であっても加
工、焼鈍が本発明の範囲を外れるならば形状回復特性が
不充分であって従来技術レベルに止まることが明かであ
る。
実施例3. 前記した第1表のNo.2合金に対し、本発明方法に従っ
た冷間圧延と焼鈍を実施したものと、その範囲外とした
比較法によるものを実施した結果を要約して示したのが
第3表である。
用いた素材は熱間圧延後、適宜に冷間圧延または温間
圧延を行い、2mm以下の薄板とし、1050℃で1時間の溶
体化処理を行ったものであり、加工方法は冷間圧延を行
った後、所定の温度で20分間焼鈍する工程を1回以上行
い、0.4〜0.6mmの板厚の薄板としたもので、斯うして得
られた薄板より幅10mmで長さ60mmの試験片を採取し、歪
量65%以上になる曲げ半径で変形し、200℃以上に焼鈍
した場合の曲率半径変化から形状回復特性を上記同様に
評価した。
即ちこの場合においても本発明方法によるものは良好
な形状回復特性を有するものであるのに対し、冷間加工
または焼鈍温度の何れか一方または双方がその範囲外で
ある比較法によるものは従来技術レベルに止まるもので
あることが確認された。
実施例4. 第2〜4図に示すような手法により管材を冷間引抜き
して冷間加工をなし、焼鈍した。即ち、第3図に示すよ
うな径17mmφでテーパ角27°のダイス1に対して第2図
に示すような18mmφで厚さ3mmの引抜素材2を挿入し、
芯金を用いることなしに17mmφで厚さ3mmに引抜き加工
した。なおこのような加工は第2、3図に示すように芯
金を用いない場合は外径を減少せしめることとなるが、
芯金を用いる場合においてはこのような縮径のみなら
ず、拡径させる場合、あるいは肉厚を変更させる加工も
同様に実施することができ、そうした冷間加工と焼鈍を
行うことにより形状回復特性を適切に得ることができ
る。
又上記のような冷間加工に際しては鉱油系潤滑剤ある
いは焼付を防止するためにCl系の極圧添加剤を含む鉱油
系潤滑剤を用いることができるが、本発明者等は好まし
い潤滑剤として第4図に示すように被加工材2に対し蓚
酸塩被膜(FeC2O4)3aとステアリン酸ソーダ(C17H35CO
ONa)3bの反応を利用した金属石けん〔Fe(C17H35CO
O)2〕4を用いた。即ちこの場合の反応式は以下の如く
である。
FeC2O4+2C17H35COONa→Fe(C17H35COO)2+Na2C2O2 この場合の断面積減少率Rは6.9%であり、加工後600
℃で焼鈍したところ、その半径方向のひずみで評価した
形状回復特性は5.5%であって、本発明によらないもの
(加工焼鈍なし)の3.5%を大幅に改善することができ
た。
実施例5. 管の両端を把持して引張り力と捩り力を同時に加える
引張り捩り法による冷間加工と焼鈍を行った。即ち実施
例4におけると同じ鋼管に引張りと捩りを加えて塑性変
形させるもので、この場合の相当塑性ひずみpは前記
したpの式で求められ、p=10%とする引張り捩り
法の冷間加工を行った後、60℃で焼鈍したものはその半
径方向のひずみで評価される形状回復特性が5.2%であ
って、本発明によらないものの3.5%を大きく改善し得
ることは実施例4と同じである。
なおこの引張り捩り法による場合は、半径方向歪みを
6%以上与え、200℃以上で焼鈍することにより上記に
準じた形状回復特性を得ることができる。
「発明の効果」 以上説明したような本発明によるときは優れた耐食性
および耐高温酸化性を有すると共に形状回復特性におい
てこの種鉄基合金材として従来求め得ない卓越した性能
をもった製品を低廉に提供することができ、その適用範
囲を一層拡大し、又好ましい利用を得しめるものであっ
て、工業的にその効果の大きい発明である。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の技術的内容を示すものであって、第1図
は圧延率と形状回復特性との関係を1回冷延焼鈍と繰返
し冷延焼鈍した場合の1例を併せて示した図表、第2図
と第3図は実施例4における冷間加工についての各断面
的説明図、第4図はその潤滑剤についての説明図であ
る。 然してこれらの図面において、1はダイス、2は引抜素
材、3aは蓚酸塩被膜、3bはステアリン酸ソーダ、4は金
属石けんを示すものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中内 一郎 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 大北 智良 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 三原 豊 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日本鋼管株式会社内

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Cr:5.0〜20.0wt%、Si:2.0〜8.0wt%、 を含有すると共に、 Mn:0.1〜14.8wt%、Ni:0.1〜20.0wt%、 Co:0.1〜30.0wt%、Cu:0.1〜3.0wt%、 N :0.001〜0.4wt%、 の何れか1種または2種以上を、 A当量=0.5Mn(wt%)+1.0Ni(wt%)+0.4Co(wt
    %)+0.06Cu(wt%)+0.002N(wt%) F当量=1.0Cr(wt%)+1.2Si(wt%) より計算されるA当量とF当量が A当量≧0.67F当量−3 を満足するよう含有し残部がFeおよび不可避的不純物か
    らなる耐食性および耐高温酸化性に優れた鉄基形状記憶
    合金を製造するに当り、相当塑性ひずみで降伏点以上30
    %以下の冷間加工を行なった後、200〜1000℃にて焼鈍
    を行なうプロセスを1回以上行なって所定の形状とする
    ことを特徴とする形状回復特性に優れた鉄基形状記憶合
    金の製造方法。
  2. 【請求項2】断面減少率30%以下の冷間加工を行なった
    後、200〜1000℃にて焼鈍を行なうプロセスを1回以上
    繰返して行い所定の薄板もしくは線材とする前項に記載
    の形状回復特性に優れた鉄基形状記憶合金の製造方法。
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