JP2527968B2 - ブタジエン系重合体ゴム組成物 - Google Patents

ブタジエン系重合体ゴム組成物

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JP2527968B2
JP2527968B2 JP62156653A JP15665387A JP2527968B2 JP 2527968 B2 JP2527968 B2 JP 2527968B2 JP 62156653 A JP62156653 A JP 62156653A JP 15665387 A JP15665387 A JP 15665387A JP 2527968 B2 JP2527968 B2 JP 2527968B2
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裕一 北川
春夫 山田
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旭化成工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、低温における性能が改良された、タイヤト
レッド用途に好適なブタジエン系重合体ゴム組成物に関
し、詳しくは、雪上および氷上における制動性能が優れ
ると共に、タイヤに必要な諸性能、強度、動的特性、耐
摩耗性、耐久性等に優れた加硫ゴムを提供するブタジエ
ン系重合体ゴム組成物に関するものである。
〔従来の技術〕
従来より寒冷地におけるタイヤの氷上・雪上における
運動性能を確保するために、トレッドにスパイクを打ち
込んだスパイクタイヤや、特殊な配合物をトレッドに用
いたスノータイヤが使用されている。
このうち、スパイクタイヤについては、道路を損傷し
て粉塵公害を発生したり、損傷した道路の補修に多大の
費用を要するという社会問題が顕在化している。
このため、スパイクなしで、氷結路面を安全に走行で
きるタイヤの開発が要望されている。このようなタイヤ
を得る方法のひとつとして、氷結した路面での摩擦抵抗
の大きなトレッド用ゴム材料の開発がある。
ところで、従来から氷結した路面での摩擦抵抗を大き
くするには、低温でも軟いゴム材料をトレッド用ゴムと
して用いることが重要であるとされている。一般に摩擦
する物体同士の接触する面積が大きいほど、摩擦抵抗は
大きくなる。従って、ゴム材料を軟くすると、ゴム材料
が路面の上を滑る際に、路面の微小な凹凸により良く追
従して変形することができるため、路面との実効接触面
積が大きくなり、摩擦抵抗が大きくなることになる。特
に氷結路面では、実効接触面積の効果は大きい。
このような観点に基づいて、寒冷地向けの冬期用タイ
ヤである、いわゆるスノータイヤのトレッドには、原料
ゴム(エラストマー)成分として低温でも硬くなりにく
い天然ゴムやポリブタジエンコンムが用いられてきた。
また軟化剤としては、アロマ系の伸展油が広く用いら
れているが、更に氷結した路面での摩擦抵抗を高める目
的でアロマ系炭素成分の比較的少い伸展油が用いられて
いる場合もある。この様な考え方で、特開昭60−149643
号公報、特開昭60−179432号公報、特開昭61−16937号
公報などの試みがなされている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、これらの方法では、低温で軟くするに
は、強度、動的特性、耐摩耗性などの点から限度があ
り、これらの点についてポリマー及び軟化剤の改善が待
たれていた。
(問題点を解決するための手段) 以下のような状況下にあって、本発明者らは前記の問
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の分岐構造
を有するブタジエン系重合体に、特定のゴム用伸展油を
比較的多量に加えたゴム組成物を用いることにより、画
期的な特性の改善がなされ、寒冷地における氷結路面で
優れた制動性能を有し、強度、動的特性、耐摩耗性、高
温条件下での耐久性等のバランスに優れた加硫ゴムを提
供できることを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は、 a).次の一般式であらわされ、ゲル・パーミエーショ
ン・クロマトグラフ(以下GPCという)によって測定さ
れる重量平均分子量50,000〜1,000,000、示差走査熱量
計(以下DSCという)によって測定されるガラス転移温
度が−50℃〜−100℃であるブタジエン系重合体に、 (式中、D1はブタジエン系重合体を示し、R1は炭素数1
〜20の活性水素を持たない有機基、又はケイ素化合物を
示し、mは0又は1〜4の整数であり、nは0又は1〜
4の整数であるが、n=0の場合にmは1以上であり、
m=0の場合にnは2以上であり、m+n≦4であ
る。) b).粘度比重恒数が0.85以下、クルツ分析法によるア
ロマ炭素含有量が10%以下、蒸発量が0.3%以下である
ゴム用伸展油を、ゴム成分100重量部あたり20〜100重量
部配合してなるタイヤ用に好適なブタジエン系重合体ゴ
ム組成物を提供するものである。
以下、本発明に関して更に詳しく説明する。
本発明のブタジエン系重合体ゴム組成物に用いられる
ブタジエン系重合体は、前述の如く、次の一般式であら
わされる。
上式において、D1はブタジエン系重合体を示し、この
ブタジエン系重合体を構成する単量体としては、ブタジ
エンが用いられ、必要に応じてブタジエンと共重合可能
な他の共役ジエンやビニル置換芳香族化合物とが用いら
れる。
この様な共役ジエンとしては例えばイソプレン、2,3
ジメチル−1,3−ブタジエン、ピペリレン、3−ブチル
−1,3−オクタジエン、フェニル−1,3−ブタジエン等が
あり、これらのうち特にイソプレンの使用が好ましい。
ビニル置換芳香族化合物としては、例えばスチレン、
p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−tert−
ブチルスチレン、ビニルナフタレン、2−エチル−4−
ベンジルスチレン等があり、これらも単独で使用しても
よく、又は2種以上を併用してもよい。これらのうち、
特に、スチレン、p−メチルスチレンの使用が好まし
い。
これらのビニル置換芳香族化合物をブタジエン又はブ
タジエンと他の共役ジエンとの組合せで共重合したブタ
ジエン系重合体の場合は、ビニル置換芳香族化合物がラ
ンダムに共重合されているものであることが必要であ
る。ビニル置換芳香族化合物のブロツクがあると氷結路
面での制動性能や動的特性などが低下する。
前記一般式において、R1は炭素数1〜20の活性水素を
持たない有機基、又はケイ素化合物であって、炭酸数1
〜20の活性水素を持たない有機基としては、アルキル、
アルキレン、シクロアルキル、アリール、アリーレン基
などの炭素数1〜20の炭化水素基と、その他に分子中に
−0H,−SH,−NH等の活性水素を持たない炭素数1〜20の
有機基である。この場合、1分子中に2個以上のアミノ
基を含有する場合は、アミノ基の間隔が炭素数にして12
個以内であることが好ましい。
−R1−の具体的例として、CH3−, CH3CH2−,CH3(CH2)2−, CH3(CH2)3−,CH3(CH2)5−, CH3(CH2)9−,(CH3)2CH−, CH2=CH−,CH2=CH−CH2−, −CH2−,−CH2−CH2−,CH2 3CH2 5,CH2 6 などがあげられる。又、ケイ素化合物としては、アルキ
ル置換ケイ素、アルコキシ置換ケイ素、アリール置換ケ
イ素などを含み、具体的には、 などをあげることができる。
上記の構造のうち好適には、シクロヘキシル環又はフ
ェニル、ナフチル等の芳香環を含んだ構造であり、具体
的には、 などがあげられる。
また、前記一般式において、mは0又は1〜4の整
数、nは0又は1〜4の整数であり、かつn=0の場合
にはmは1以上、m=0の場合はnは2以上であり、m
+n≦4である。本発明の優れた性能が得られない。好
ましくはm+nが1〜3であり、更に好ましくはm+n
が2である。
本発明に用いられるブタジエン系重合体は、GPCによ
って測定される重量平均分子量が50,000〜1,000,000で
あり、好ましくは100,000〜1,000,000である。この重量
平均分子量が50,000未満では、強度、動的特性、耐摩耗
性等が劣るので好ましくなく、逆に分子量が大きくなり
過ぎると加工しにくくなるので好ましくない。
なお、本発明における分子量の測定は、GPC(島津製
作所、LC−5A、カラム104、105、106各1本、溶媒:テ
トラヒドロフラン、検出器:示差屈折計)を使用し、標
準ポリスチレンのピークの分子量のGPCカウント数との
関係から予め求めた検量線を用いて行った。
本発明で用いられるブタジエン系重合体は、DSCによ
って測定されるガラス転移温度が−50℃〜−100℃であ
り、好ましくは−65℃〜−100℃である。このガラス転
移温度が−50℃を越えると氷結路面での制動性能が低下
して好ましくない。逆にガラス転移温度が低すぎると濡
れた路面での制動性能が低下して好ましくない。
なお、本発明におけるDSCによるガラス転移温度の測
定は、セイコー電子工業製示差走査熱量計、DSC200型を
使用し、昇温速度10℃/minで行なった。
本発明に用いられるブタジエン系重合体は好ましくは
ポリブタジエン又はランダム−ブタジエン−スチレン共
重合体である。ランダム−ブタジエン−スチレン共重合
体としては、スチレンのブロック率が10重量%以下のも
のである。
スチレンのブロック率の測定は、次の方法によった。
共重合体2重量部を四塩化炭素100重量部に溶かし、タ
ーシャリーブチルハイドロバーオキサイドを5重量部加
え、さらにオスミウムテトラオキサイドを0.01重量部添
加し、80℃で15分間加熱し、分解させた。かくして得ら
れた溶液に、多量のメタノールを加えて生成した沈殿は
ブロックスチレンである。この沈殿をろ別、真空乾燥さ
せて秤量し、ブロックスチレン量を結合スチレン量に対
する重量%として算出した。
ランダム−ブタジエン−スチレン共重合体として更に
好ましくは、特開昭57−100112号公報に示されている完
全ランダム−ブタジエン−スチレン共重合体である。特
に結合スチレン含有量30重量%以下、単離スチレンが全
結合スチレンの50重量%以上、長鎖ブロックスチレンが
全結合スチレンの5重量%以下である完全ランダム−ブ
タジエン−スチレン共重合体が特に好ましい。
本発明に用いられるブタジエン系重合体において、ブ
タジエン単位のミクロ構造はビニル結合が60%以下が好
ましい。更に好ましくは45%以下である。ブタジエン単
位のミクロ構造が高すぎると氷結路面での制動性能や耐
摩耗性が低下して好ましくない。
本発明に用いられるブタジエン系重合体は、前記一般
式のブタジエン系重合体と前記一般式中のD1に相当する
ブタジエン系重合体との10対90〜99対1の重量比である
混合物であってもよい。その場合、本発明のジエン系重
合体が10重量%未満では、本発明の優れた性能が得られ
ない。
好ましくは30重量%以上である。
本発明に用いられるジエン系重合体は、例えばリチウ
ム−炭素結合を有するブタジエン系重合体、すなわち、
活性ブタジエン系重合体を、ジグリシジルアミノ基を含
有する多官能化合物によりカップリングすることによっ
て得ることができる。
前記リチウム−炭素結合を有するブタジエン系重合体
としては、例えば有機リチウム触媒を用いて炭化水素溶
媒中で重合した前記一般式の中のD1に相当する活性ブタ
ジエン系重合体又は、D1に相当するブタジエン系重合体
を適当な溶剤に溶解した溶液中で、該ブタジエン系重合
体に有機リチウム触媒を反応させる方法によりリチウム
を付加させた活性ブタジエン系重合体をあげることがで
きる。
D1に相当するブタジエン系重合体は好ましくはムーニ
ー粘度が10〜100であり、カップリング後の重合体の加
工性を重視する場合は低い方が好ましく、強度、弾性等
の性能を重視する場合は高い方が好ましい。特に好まし
くは30〜80の範囲である。
本発明において用いられる有機リチウム触媒として
は、少なくとも1個以上のリチウム原子を結合した炭化
水素であり、例えばエチルリチウム、プロピルリチウ
ム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert
−ブチルリチウム、フェニルリチウム、プロペニルリチ
ウム、ヘキシルリチウム、1,4−ジリチオ−n−ブタ
ン、1,3−ジ(2−リチオ−2ヘキシル)ベンゼンなど
をあげることができ、特に好ましくはn−ブチルリチウ
ム、sec−ブチルリチウムである。この有機リチウム触
媒は1種のみならず2種以上の混合物としても用いられ
る。有機リチウム触媒の使用量は、生成重合体の所望分
子量にもよるが、通常、単量体100g当り0.1〜5ミリモ
ル、好ましくは0.3〜3ミリモルである。
本発明において重合に用いられる炭化水素溶媒として
はn−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘ
キサン、n−ヘプタン、iso−オクタン、シクロヘキサ
ン、メチルシクロペンタン、ベンゼン、トルエン等をあ
げることができ、特に好ましい溶媒はn−ヘキサン、n
−ヘプタン、シクロヘキサンである。これらの炭化水素
溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いて
もよく、通常、これは単量体1重量部当り1〜20重量部
の量で用いられる。
本発明に用いられるジグリシジルアミノ基を含有する
多官能化合物は、次の一般式であらわされる化合物であ
る。
式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基又は活性水素を
持たない有機基、又はケイ素化合物であって、炭素数1
〜20の炭化水素基又は活性水素を持たない有機基として
は、アルキル、アルキレン、シクロアルキル、アリー
ル、アリーレン基などと、その他に分子中に−OH,−SH,
−NH等の活性水素を持たない有機基である。この場合、
1分子中に2個以上のアミノ基を含有する場合は、アミ
ノ基の間隔が、炭素数にして12個以内であることが好ま
しい。
Rの具体的例としては、CH3−, CH3CH2−,CH3(CH2)2−, CH3(CH2)3−,CH3(CH2)5−, CH3(CH2)9−,(CH3)2CH−, CH2=CH−,CH2=CH−CH2−, −CH2−,−CH2−,−CH2−,CH2 3CH2 5,CH2 6 などがあげられる。又、ケイ素化合物としては、アルキ
ル置換ケイ素、アルコキシ置換ケイ素、アリール置換ケ
イ素などを含み、具体的には、 などがある。
上記の構造のうち好適には、シクロヘキシル環又はフ
ェニル、ナフチル等の芳香環を含んだ構造であり、 があげられる。
また、前記一般式においてlは1以上の整数である。
好ましくはlが1〜4であり、更に好ましくは2であ
る。
上記の特定の多官能化合物以外では、重合体の活性リ
チウム末端と多官能化合物の反応率が低かったり、均一
にカップリングしなかったり、或いはカップリングした
重合体の鎖が切れやすかったりするといった問題があ
り、本発明に用いられる加工性並びに強度、弾性などの
性能が改良された優れた特徴を有するブタジエン系重合
体は得られない。
本発明に用いられる特定の多官能化合物としては、具
体的には、例えば次の化学構造式を有するテトラグリシ
ジルメタキシレンジアミン、 等がある。
これらの特定の多官能性化合物を活性ブタジエン系重
合体と反応させて、カップリングしたブタジエン系重合
体を得る際、活性ジエン系重合体1モルに対し該多官能
化合物のグリシジル基を0.1〜5当量、好ましくは0.5〜
1.5当量、更に好ましくは0.75〜1.2当量反応させる。カ
ップリング剤が、この範囲外の場合、低い場合も高い場
合も直鎖状の重合体が増加し、本発明の特徴である加工
性と強度バランスがとれたブタジエン系重合体は得られ
ない。
本発明に用いられるゴム用伸展油としては、粘度比重
恒数が0.85以下、クルツ分析法によるアロマ炭素含有量
が10%以下、蒸発量が0.3%以下のものである。
粘度比重恒数が0.85を越えると、氷結路面での制動性
能が劣り、好ましくは0.82未満である。一方、粘度比重
恒数が低いとゴムとの相溶性が低下してブリードしやす
くなるが、ゴムの構造、特に結合スチレン量によって、
ブリードしやすさが影響され、一般的には0.79以上が好
ましい。なお、粘度比重恒数(V.G.C)は次の式で示さ
れる。
ただしG=60゜Fにおける油の比重 V1=210°Fにおける油の粘度 (セイボルトユニバーサル粘度) クルツ分析法によるアロマ炭素含有量が10%を越える
と、氷結路面での制御性能が劣り好ましくない。より好
ましくは5%以下である。
蒸発量が0.3%を越えると、加硫ゴム中のオイルが夏
場は揮発しやすい為、経時的に硬さが増しひいては氷結
路面での制動性能の低下をきたすなど耐久性が劣る。よ
り好ましくは0.2%以下である。
本発明において蒸発量はASTM D−972−56方法で163℃
3時間後の加熱減量の測定によって行なった。
本発明において、ゴム用伸展油は、ゴム成分100重量
部当り20〜100重量部配合される。ゴム用伸展油が20重
量部未満では、加硫後のゴムが硬い為、氷結した路面で
の制動性能が劣る。また、配合時にゴム用伸展油を加え
る場合にも、追加のゴム用伸展油の量が多くなり、通常
のバンバリーやロールで混練して配合する場合、均一に
配合するのは多大な時間を要し好ましくない。ゴム用伸
展油が100重量部を越える場合は強度や弾性が低下し好
ましくない。ゴム用伸展油の配合量としては好ましくは
37.5〜80重量部である。
本発明の好ましい実施態様として、前に述べた特定の
ブタジエン系重合体のムーニー粘度、ML1+4(100℃)は
80〜200が好ましい。ムーニー粘度が80未満では、多量
のゴム用伸展油を配合した場合、粘度が下りすぎて取扱
いが困難となるほか、加硫ゴムの強度や弾性が劣る。ま
たムーニー粘度が200を越えると加工しにくくなり、多
量のオイルを配合して加工を行なったとしても、強度や
弾性が低下して好ましくない。ブタジエン系重合体のム
ーニー粘度は100〜180がより好ましい。
本発明において、前述の特定のブタジエン系重合体
に、特定のゴム用伸展油を特定量配合してなるブタジエ
ン系重合体ゴム組成物は、ムーニー粘度,ML1+4(100
℃)が20〜90が好ましい。20未満では、コールドフロー
したり、粘着したりしやすく、90を越えると配合時のト
ルクが過大になるなど、いずれにしても加工しにくくな
る。より好ましくは30〜70である。
本発明において、特定のブタジエン系重合体に、特定
のゴム用伸展油を特定量配合する方法としては、ブタジ
エン系重合体のカップリング後の溶液に、安定剤(酸化
防止剤)とともにゴム用伸展油を加え、混合した溶液
を、通常のスチームストリッピングなどの方法により仕
上げして、ベール状等に成形される方法が好ましい。
本発明のブタジエン系重合体ゴム組成物は、通常タイ
ヤ用途に用いられる方法で、バンバリー、ロール、ニー
ダーなどにより、単独または他のゴムとのブレンドでカ
ーボンブラックを配合し、その際、必要に応じて追加の
伸展油が加えられ、加硫剤を配合、加硫される。その
際、本発明の特定のブタジエン系重合体が、ゴム成分中
に30重量%以上含まれることが好ましい。また、本発明
のブタジエン系重合体とともにブレンドして用いられる
ゴムとしては、天然ゴム、合成ポリイソプレン、スチレ
ン−ブタジエン系重合ゴム、ポリブタジエンなどであ
る。
また、配合の際に追加して加えられる伸展油として
は、本発明の組成物に用いられる範囲の特定のゴム用伸
展油が好ましい。
本発明のブタジエン系重合体ゴム組成物を用いカーボ
ンブラック、加硫剤等を配合し、加硫されたゴムは、氷
結路面での制動性能を発揮させる為には、室温(23℃)
での硬さ(JIS−A)が63以下が好ましく、特にスタッ
ドレスタイヤにおいてはより好ましくは60以下である。
また、−30℃での硬さ(JIS−A)は80以下が好まし
く、特にスタッドレスタイヤにおいてはより好ましくは
70以下である。
〔実施例〕
以下、若干の実施例により、本発明の具体的実施態様
を示すが、これらは本発明の趣旨をより具体的に説明す
るためのものであって、本発明をこれらの実施例に限定
するものでないことはいうまでもない。
実施例1−1 内容積10lで、縦対横の長さの比(L/D)が4である、
ステンレス鋼製攪拌機及びジャケットを備えた反応器を
2基直列に接続し、単量体として1,3ブタジエンを用
い、触媒としてn−ブチルリチウムを単量体100g当り0.
060gの割り合い(phm)で、アレン化合物として1,2−ブ
タジエンを触媒1モル当り0.65モルを用いて連続重合を
行わせた。
単量体は20重量%のn−ヘキサン溶液とし、単量体、
触媒等すべて反応器底部から、平均滞留時間が45分間に
なるように、定量ポンプで供給した。1基目において内
温が115℃になるようにジャケットでコントロールし
た。1基目の出口の重合率をガスクロマトグラフィーで
測定し、ブタジエン重合率99%をえた。ムーニー粘度
(ML−I)をムーニー粘度計で測定し、ML1+4(100℃)
45であった。
更に重合体溶液を2基目に連続的に導入し、2基目に
おいてテトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシク
ロヘキサン0.0515phm(フィード触媒に対し0.6当量)を
連続的に添加し、内温を100℃になるようにコントロー
ルして、カップリング反応を行わせた。2基目の出口か
ら出た重合体溶液は、酸化防止剤として2,4−ジタ−シ
ャリーブチル−p−クレゾールを添加し、粘度比重恒数
(VGC)0.8046、アロマ炭素含有量3.0%、蒸発量0.05%
であるパラフィン油を50phr(ゴム100重量部当りの重量
部)添加した後、スチームストリッピングにより脱溶媒
を行ない110℃熱ロールで乾燥することにより油展重合
体を得た。
油展前にサンプリングしたカップリング反応後のポリ
マーのムーニー粘度(ML−C)はML1+4(100℃)150で
あり、油展重合体のムーニー粘度(OEML)はML1+4(100
℃)41であった。
得られた重合体の分子量及び分子量分布はGPCより、
標準ポリスチレンの検量線を用いて計算し、w=55
万、w/n=2.2を得た。また、GPCの曲線は分子量分
布が1山であることを示していた。DSCによって測定さ
れるガラス転移温度は−95℃であった。
次に、得られた油展重合体(ゴム組成物)を用いて、
第2表に示す配合で、内容量1.7lの試験用バンバリーミ
キサーを使用してASTM−D−3403−75の標準配合混合手
順の方法Bによって配合物を得、これらを加硫し各物性
を測定した。測定は以下に示す方法で行った。
(1)引張強度;JIS−K−6301に従った。
(2)反発弾性;JIS−K−6301によりリュブケ法、但
し、70℃における反発弾性は試料を70℃オープン中で1
時間余熱後、素早く取り出して測定。
(3)グッドリッチ発熱;グッドリッチフレクソメータ
ーを使用し、荷重24ポンド、変位0.225インチ、スター
ト50℃、回転数1800rpmの条件で試験を行い、20分後の
上昇温度差を表した。
(4)ウェット・スキッド抵抗;スタンレー・ロンドン
のポータブル・スキッドテスターを使用し、路面として
セーフティ・ウォーク(3M製)を使用してASTM−E−80
8−74の方法に従い測定した。標準組成物の測定値を100
とした指数で表示した。
(5)ロール加工性;試験用6インチロールを使用し、
ロールへの巻つき性、操作のしやすさで測定。ロール温
度60℃、回転比1:1.2、Aが最良でDが最悪。バギング
する場合およ粘着が激しく操作が困難な場合をDとし
た。
(6)耐摩耗性;ピコ摩耗試験機を用いて測定。標準組
成物を100とした指数を表示。
(7)低温硬さ試験;−10℃,−30℃,−50℃でのJIS
−A硬さを表示。
(8)耐熱耐久性試験;100℃×96hrのオーブン加熱後の
油の蒸発減量%を示した。
各物性は第3表に示す。
実施例1−2〜1−4及び比較例1−1〜1−5 第1表に示した方法で行なった他は、実施例1−1と
同様な方法で行ない、得られたポリマーの分析値は第1
表に示した。
同様に、第2表に示した配合で実施例1−1と同様に
物性の測定を示した。結果を第3表に示した。
第3表の結果から、本発明の実施例はいずれも加工
性、強度、反発弾性、低発熱性、耐摩耗性、低温硬さ、
耐熱耐久性のバランスが優れ、タイヤトレッド用のゴム
組成物として優れていることが明らかである。
比較例1−1は本発明外のカップリング剤を用いて製
造したゴムを用いたものであって、強度、反発弾性、発
熱性、耐摩耗性などが劣っている。比較例1−2はカッ
プリング剤を用いない本発明外のゴムを用いたものであ
って、特に加工性が劣り、実用上問題である。比較例1
−3〜1−5は本発明外のオイルを用いたものであっ
て、耐熱耐久性、低温硬さなどに問題がある。
実施例2−1 内容積10lで、縦対横の長さの比(L/D)が4である、
ステンレス鋼製攪拌機及びジャケットを備えた反応器を
2基直列に接続し、単量体として1,3ブタジエンとスチ
レン(92/8重量比)、溶媒としてn−ヘキサン、触媒と
してnブチルリチウムを単量体100g当り0.065gの割合い
(phm)で、アレン化合物として1,2−ブタジエンを触媒
1モル当り0.5モルを用いて連続共重合を行わせた。単
量体は22重量%のn−ヘキサン溶液とし、1,2ブタジエ
ンを混合した1,3−ブタジエン溶液は、1:2:7の比率に分
け、それぞれ反応器の底部から縦の長さの2/3の位置、1
/3の位置及び底部位置から、また他の物質はすべて底部
から、平均滞留時間が40分間になるように、定量ポンプ
で供給した。1基目において内温が120℃になるように
ジャケットでコントロールした。1基目の出口の重合率
をガスクロマトグラフィーで測定としたところ、ブタジ
エン重合率は99%スチレン重合率は0.85%であった。
ムーニー粘度(ML−I)をムーニー粘度計で測定した
ところ、ML1+4(100℃)45であった。
次にこの重合体溶液を2基目に連続的に導入し、2基
目においてテトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチル
シクロヘキサン0.05phm(フィード触媒に対し0.55当
量)を連続的に添加し、内温を100℃になるようにコン
トロールして、カップリング反応を行わせた。
2基目の出口から出た重合体溶液は、酸化防止剤とし
て2,4−ジターシャリ−ブチル−p−クレゾールを添加
し、所定のオイルを37.5phr添加した後、スチームスト
リッピングにより脱溶媒を行い、110℃熱ロールで乾燥
することにより油展重合体を得た。
油展前にサンプリングしたカップリング反応後のポリ
マーのムーニー粘度(ML−C)はML1+4(100℃)110で
あり、油展重合体のムーニー粘度(OEML)はML1+4(100
℃)43であった。
得られたポリマーの結合スチレン量とブタジエン部分
の1,2−ビニル含量はハンプトンの方法で赤外分光光度
計を用いて測定し、結合スチレン8重量%、ブタジエン
部分の1,2−ビニル含量11%を得た。分子量及び分子量
分布はGPCを用いて標準ポリスチレンの重合体の検量線
を用いて計算し、w=51万、w/n=2.1を得た。
また、GPCの曲線は分子量分布が1山であることを示し
ていた。
重合体中のスチレンのブロック率は、結合スチレン量
に対し3%であった。
DSCによって測定されるガラス転移温度は−87℃であ
った。
次に、得られた油展重合体(ゴム組成物)を用いて、
第5表に示す配合で、実施例1と同様に加硫し、各物性
を測定した。結果を第6表に示す。
実施例2−2 内容積10lで、縦対横の長さの比(L/D)が4である、
ステンレス鋼製攪拌機及びジャケットを備えた反応器を
2基直列に接続し、単量体として1,3ブタジエンとスチ
レン(85/15重量比)、溶媒としてn−ヘキサン、触媒
としてnブチルリチウムを単量体100g当り0.033gの割合
い(phm)で、極性化合物としてテトラメチルエチレン
ジアミンを単量体100g当り0.035gの割合い(phm)で、
アレン化合物として1,2−ブタジエンを触媒1モル当り
0.05モルを用いて連続重合を行わせた。単量体は20重量
%のn−ヘキサン溶液とし、1,2ブタジエンを混合した
1,3−ブタジエン溶液は、2:8の比率に分け、それぞれ反
応器の底部から縦の長さ2/3の位置、及び底部位置か
ら、また他の物質はすべて底部から、平均滞留時間が40
分間になるように、定量ポンプで供給した。1基目にお
いて内温が100℃になるようにジャケットでコントロー
ルした。1基目の出口の重合率をガスクロマトグラフィ
ーで測定したところ、ブタジエン重合率は99%、スチレ
ン重合率は97%であった。
ムーニー粘度(ML−I)をムーニー粘度計で測定した
ところ、ML1+4(120℃)85であった。
次にこの重合体溶液を2基目に連続的に導入し、2基
目においてテトラグリシジル−メタキシレンジアミンを
フィード触媒に対し0.3当量を連続的に添加し、内温を1
00℃になるようにコントロールして、カップリング反応
を行わせた。
2基目の出口から出た重合体溶液は、酸化防止剤とし
て2,4−ジターシャリ−ブチル−p−クレゾールを添加
し、所定のオイルを37.5phr添加した後、スチームスト
リッピングにより脱溶媒を行い、110℃熱ロールで乾燥
することにより油展重合体を得た。
油展前にサンプリングしたカップリング反応後のポリマ
ーのムーニー粘度(ML−C)はML1+4(120℃)125であ
り、油展重合体のムーニー粘度(OEML)はML1+4(100
℃)58であった。
得られたポリマーの結合スチレン量とブタジエン部分
の1,2−ビニル含量はハンプトンの方法で赤外分光光度
計を用いて測定し、結合スチレン15重量%、ブタジエン
部分の1,2−ビニル含量20%を得た。分子量及び分子量
分布はGPCを用いて標準ポリスチレンの重合体の検量線
を用いて計算し、w=62万、w/n=2.2を得た。
また、GPCの曲線は分子量分布が1山であることを示し
ていた。オゾン分解物のGPCより求めた単離スチレンは
全スチレンに対して63重量%であり、長鎖ブロックスチ
レンは0.5重量%であった。
DSCによって測定されるガラス転移温度は−74℃であ
った。
次に、得られた油展重合体(ゴム組成物)を用いて、
第5表に示す配合で、実施例1と同様に加硫し、各物性
を測定した。結果を第6表に示す。
実施例2−3及び比較例2−1 モノマー組成比、触媒量、極性物質量、カップリング
剤等を変更した以外は実施例2−1と同様にして、第4
表に示す油展重合体(ゴム組成物)を得た。次に実施例
2−1と同様に加硫し、各物性を測定した。結果を第6
表に示す。
第6表の結果から、本発明の実施例はいずれも加工
性、強度、反発弾性、低発熱性、耐摩耗性、ウェットス
キッド性、低温硬さ、耐熱耐久性のバランスが優れタイ
ヤトレッド用のゴム組成物として優れていることが明ら
かである。
比較例2−1は重合体のTgが高く本発明外のものであ
って、特に低温硬さが劣る他、反発弾性、発熱性、耐摩
耗性が劣っている。
〔発明の効果〕
本発明の特定の多官能性化合物によってカップリング
されたブタジエン系重合体と特定のゴム用伸展油からな
るブタジエン系重合体ゴム組成物は、上記のように、加
工性、強度、弾性、低発熱性、氷結路面での摩擦抵抗
性、耐久性などのすべてのバランスが優れ、スタッドレ
スタイヤ、オールシーズンタイヤなどのトレッド材料な
どに極めて好適に用いられるものであり、その工業的意
義は大きい。
第2表 ポリブタジエンゴム 75 重量部 (ゴム成分として) 天然ゴム 25 〃 カーボンブラック N339 80 〃 オイル 50 〃 (油展重合体に含まれるオイルを含む) 亜鉛華 3 〃 ステアリン酸 2 〃 酸化防止剤 810N 1 〃 加硫促進剤 NS 1.5 〃 硫黄 2.0 〃 第5表 ポリマー(ゴム成分として) 100 重量部 カーボンブラック N339 67.5 〃 オイル 37.5 〃 亜鉛華 3 〃 ステアリン酸 1 〃 酸化防止剤 810N 1 〃 加硫促進剤 NS 1.38 重量部 硫黄 1.75 〃

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】a).次の一般式であらわされ、ゲル・パ
    ーミエーション・クロマトグラフによって測定される重
    量平均分子量が50,000〜1,000,000、示差走査熱量計に
    よって測定されるガラス転移温度が−50℃〜−100℃で
    あるブタジエン系重合体に、 (式中、D1はブタジエン系重合体を示し、R1は炭素数1
    〜20の活性水素を持たない有機基、又はケイ素化合物を
    示し、mは0又は1〜4の整数であり、nは0又は1〜
    4の整数であるが、n=0の場合にmは1以上であり、
    m=0の場合にnは2以上であり、m+n≦4であ
    る。) b).粘度比重恒数が0.85以下、クルツ分析法によるア
    ロマ炭素含有量が10%以下、蒸発量が0.3%以下である
    ゴム用伸展油を、ゴム成分100重量部あたり20〜100重量
    部配合してなるタイヤ用に好適なブタジエン系重合体ゴ
    ム組成物。
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