JP2526935Y2 - 入浴用移乗台付き浴室 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、高齢者、身障者などが
入浴する際、身体が不自由でも湯舟に入り易くするた
め、浴槽内に入る前に、一旦座ることができるようにし
た移乗台の付設されている浴室の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】これまでも、浴槽に入浴用移乗台として
の腰掛けを付設しておき、高齢者は、この腰かけに座っ
た状態から、本人または介護者が足を上げ、身を回動さ
せるといった挙動で入浴を容易にし、また、浴槽から出
るにもこの腰掛けを有効に利用し得るようにしたもの
が、既に提案されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし、上記従来例に
よるときは、確かに高齢者等にとって使い勝手が良くな
るが、前記の腰掛けが洗い場等のスペースを、それだけ
占有してしまうこととなり、しかも健常者にとっては、
このような腰掛けは邪魔となってしまうことになる。

【０００４】本考案は、上記従来例の欠陥に鑑み、上記
の腰掛けを浴槽の適所に回動自在なるよう枢着して、必
要時だけ腰掛けとして用い、使用しないときは、これを
浴槽のエプロンとして活用可能とし、これにより高齢者
や身障者だけでなく、健常者にとっても不都合なく、か
つ洗い場等のスペースを狭くしてしまわないようにする
のが、その目的である。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案は、上記の目的を
達成するため、浴室の床面に載設された浴槽にあって、
その一開口側縁部が、上記床面における洗い場側に臨装
され、当該開口側縁部に座兼エプロン板の基端部を枢着
して、当該座兼エプロン板が浴槽の洗い場側である側面
を隠蔽する垂下状態から、洗い場側に延出して前記開口
側縁部と同高位程度にて略水平状態となるまで回動自在
となし、この座兼エプロン板には、これを洗い場に略水
平状態にて支持自在であり、かつ前記の垂下状態で座兼
エプロン板と浴槽の側面間に収納可能とした折畳脚杆が
付設されていることを特徴とする入浴用移乗台付き浴室
を提供しようとしている。

【０００６】

【作用】健常者の入浴に際しては、折畳脚杆を座兼エプ
ロン板の裏面側へ折り畳んだ状態として、当該座兼エプ
ロン板を垂下状態となるよう回動させれば、当該座兼エ
プロン板は、浴槽の開口側縁部から鉛直状に縦装され、
当該浴槽の洗い場側である側面を閉覆したエプロンとし
ての効用を果たすこととなる。

【０００７】従って、上記の状態から座兼エプロン板の
下部を持って上向きに回動させ、前記の折畳脚杆を起立
状態にして、当該折畳脚杆を洗い場上に立置させれば、
座兼エプロン板は、浴槽の開口側縁部と同高位程度にし
て略水平状態に保持されるから、この座兼エプロン板に
座った状態から高齢者等が入浴できることとなる。もち
ろん健常者が当該座兼エプロン板に座って、例えばシャ
ワーをあびるといったことも可能となる。

【０００８】

【実施例】本考案を図示の実施例によって詳記すれば、
浴室１の床面２は、防水パンによって形成されており、
その一側である浴槽載置部２ａに既知の如く浴槽３が載
設されており、これによって、浴槽３の開口側縁部３ａ
を有する一側面３ｂが、防水パンにおける洗い場２ｂ側
に臨装され、図中２ｃは浴槽載置部２ａと洗い場２ｂと
を連設している仕切り部を示している。

【０００９】上記開口側縁部３ａと、座兼エプロン板４
の立下りとなっている基端部４ａとが、ヒンジ５によっ
て枢着され、当該ヒンジ５の枢着ピン５ａが、開口側縁
部３ａにおける外側垂下部３ｃの下端に配設されてお
り、当該外側垂下部３ｃの高さと、上記した基端部４ａ
の立下り長さとが略等長に形成されている。

【００１０】さらに、上記の座兼エプロン板４の裏面４
ｂ側には折畳脚杆６が折り畳み自在なるよう設けられて
おり、図１の（Ｂ）に示されているように、座兼エプロ
ン板４をヒンジ５によって回動することで垂下状態とす
れば、折畳脚杆６は、浴槽３の一側面３ｂと座兼エプロ
ン板４との間にあって、折り畳み状態で収納されること
となり、従って、当該座兼エプロン板４は、浴槽３の一
側面３ｂを隠蔽して、所謂エプロンとしての機能を果た
すこととなる。

【００１１】上記の垂下状態にある座兼エプロン板４
は、その状態を固定した方が望ましいため、図１（Ｂ）
では、前記防水パンの仕切り部２ｃに設けた係止受金７
ａに、座兼エプロン板４の先端部にあって、裏面側に設
けた係止金具７ｂを着脱自在に係止できるようにしてあ
る。図１（Ａ）と図２にあって示されている８は、浴槽
３の側面３ｂの一側傍にあって設けられた固定式エプロ
ンを示しており、垂下状態の座兼エプロン板４は、上記
の固定式エプロン８と面一の状態となっている。

【００１２】上記の垂下状態にある座兼エプロン板４に
つき、その下部を持って、これを手前側に回動させれ
ば、図１（Ａ）に示されているように、座兼エプロン板
４は洗い場２ｂ側へ延出して略水平状態となり、かつ、
この際座兼エプロン板４の上面と、開口側縁部３ａの上
面とが略同高位となるようにするのがよく、もちろん多
少の高低差があっても実用上支障はない。

【００１３】上記のような回動操作に際し、前記の折畳
脚杆６を折畳状態から起立状態とするのであるが、図示
例にあっては、当該折畳脚杆６は基部６ａと、止ピン６
ｂにて、これに回動自在なるよう枢着した脚体６ｃとか
らなっており、この脚体６ｃを回動させて基部６ａと直
線状態とすることで、当該直線状態は、止ピン６ｂによ
って着脱自在に保持されるようになっている。

【００１４】上記起立状態とした脚体６ｃを洗い場２ｂ
に載置させれば、上記座兼エプロン板４が、前記の如き
水平状態に保持され、この際、図示例では開口側縁部３
ａにおける外側垂下部３ｃに座兼エプロン板４の基端部
４ａが押当することとなり、当該座兼エプロン板４に座
ることができる。

【００１５】従って、浴槽３から横向きに延出され、そ
の状態が保持された座兼エプロン板４に高齢者等が、先
ず座った後、ゆっくりと足を上げ身体の向きを変換して
入浴することができ、浴槽３から出るときも、当該座兼
エプロン板４を用いて洗い場に下り立つことができる。

【００１６】

【考案の効果】本考案は以上のようにして構成すること
ができるので、座兼エプロン板により座とエプロンを兼
用させるので、素材の消費量を増大させることなく、当
該座兼エプロン板は浴槽の開口側縁部に枢着したので、
これら両者を同高位に保持し易くなり、しかも折畳脚杆
を収納するため特設構成部を要せず、浴槽と座兼エプロ
ン板との空間が活用可能となる。かくして、この座兼エ
プロン板を垂下状態とすることで、これをエプロンとし
て活用でき、しかも、通常の浴室と同じく健常者に全く
不自由を与えないこととなり、高齢者等の使用に際して
は、座兼エプロン板の回動を折畳脚杆の操作によって、
移乗台としての使用が可能となり健常者と身障者との両
者に満足を与えることができると共に、浴室のスペース
を有効に利用して、大きな座兼エプロン板の使用が可能
となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る入浴用移乗台付き浴室の要部を示
し、（Ａ）は座兼エプロン板の使用状態における一部切
欠の斜視図で、（Ｂ）は同上座兼エプロン板の不使用状
態における縦断正面図である。

【図２】同上浴室の座兼エプロン板不使用状態を示す一
部切欠の斜視図である。

【図３】同上浴室の座兼エプロン板使用状態を示す縦断
正面図である。

【符号の説明】

１ 浴室 ２ 床面 ２ｂ 洗い場 ３ 浴槽 ３ａ 開口側縁部 ３ｂ 浴槽の側面 ４ 座兼エプロン板 ４ａ 基端部 ６ 折畳脚杆

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 浴室の床面に載設された浴槽にあって、
   その一開口側縁部が、上記床面における洗い場側に臨装
   され、当該開口側縁部に座兼エプロン板の基端部を枢着
   して、当該座兼エプロン板が浴槽の洗い場側である側面
   を隠蔽する垂下状態から、洗い場側に延出して前記開口
   側縁部と同高位程度にて略水平状態となるまで回動自在
   となし、この座兼エプロン板には、これを洗い場に略水
   平状態にて支持自在であり、かつ前記の垂下状態で座兼
   エプロン板と浴槽の側面間に収納可能とした折畳脚杆が
   付設されていることを特徴とする入浴用移乗台付き浴
   室。