JP2525308B2 - 多孔質セルロ―ス球状粒子の製造方法 - Google Patents

多孔質セルロ―ス球状粒子の製造方法

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JP2525308B2
JP2525308B2 JP4098965A JP9896592A JP2525308B2 JP 2525308 B2 JP2525308 B2 JP 2525308B2 JP 4098965 A JP4098965 A JP 4098965A JP 9896592 A JP9896592 A JP 9896592A JP 2525308 B2 JP2525308 B2 JP 2525308B2
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spherical particles
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多孔質セルロース球状
粒子の新規な製造方法に関し、特に、各種物質の分離精
製に使用できる親水性ゲルとしての多孔質セルロース大
型球状粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ゲル濾過法(分子サイズの差によって物
質を分別する方法)は、各種物質の精製、脱塩等の広い
分野で利用されている。ゲル濾過法は、水溶液中並びに
有機溶媒中で応用でき、また、どのような分子量の化合
物に対しても適用でき、実験室的のみならず工業的規模
でも広く利用されている。
【0003】従来、かかるゲル濾過法に用いられるゲル
として多糖類から得られる親水性ゲルが有り、これに
は、デキストランゲル〔J. Porath, P. Flodin, Natur
e, 183,1657 (1959)参照〕、アガロースゲル〔A. Polso
n, Biophys. Acta, 50, 565 (1961)参照〕、セルロース
ゲル〔H. Determann, H. Rehner, Th. Wieland, Makrom
ol. Chem., 114, 263 (1968)、本里義明,松本和秋,平
山忠一,日化,1981, 1883、及び本里義明,松本和秋,
平山忠一,日化,1984, 722 、特公昭55-39565号公報、
特開昭56-24429号公報、特開昭56-24430号公報参照〕等
があり、最近はプルランゲル〔本里義明,伊原博隆,朋
田崇志,平山忠一,日化,1986, 1187参照〕、グルコマ
ンナンゲル〔本里義明,伊原博隆,中村貢,芝眞砂代,
平山忠一,日化,1988, 722 参照〕が報告されている。
【0004】これらの中で、前者は蛋白質、核酸、ビー
ルス等の生体物質の分離精製を含む広い分野で使用され
ている。後者の二つは、排除限界分子量も大きく、耐圧
性においても優れており、被分離物質との特異的な相互
作用が殆ど無い。これらも従来の親水性ゲルと同様に応
用できると考えられる。
【0005】これらの親水性ゲルの中で、セルロースゲ
ルは、(1)物理的強度が大きい、(2)蛋白質の吸着
が少ない(デキストランゲル等は、或る種の蛋白質を吸
着する)、(3)膨潤及び収縮に対して安定である、
(4)有機溶媒に対して安定である等の利点を有する。
【0006】上記文献〔本里義明,松本和秋,平山忠
一,日化,1981, 1883、及び本里義明,松本和秋,平山
忠一,日化,1984, 722 、特公昭55-39565号公報、特開
昭56-24429号公報、特開昭56-24430号公報〕には、セル
ロースエステル(三酢酸セルロース)のジクロロメタン
等の溶液からセルロースエステルの球状粒子を造り、こ
れを鹸化することによるセルロース球状粒子の調製法が
記載されている。しかし、この方法で調製されるセルロ
ース球状粒子は、球状粒子化の際に単独の希釈剤を用い
るだけでは、高い耐圧性を示すものの、排除限界分子量
がおよそ80000であるというのが限界であった。
【0007】また、三酢酸セルロースをジクロロメタン
に溶解して、大きな粒径を有するセルロースゲルの調製
を試みたが、大きな粒径とすると軟らかい球状粒子しか
得られなかった。これは、ジクロロメタンに対する三酢
酸セルロースの溶解の最高濃度が約5.7重量%と、溶
液濃度を高くすることが出来ないことが原因と考えられ
る。
【0008】本発明は、かかる従来技術の問題点を解決
せんとしてなされたもので、排除限界分子量が大きく、
また、得られるセルロース球状粒子の粒径が大きな多孔
質セルロース球状粒子の製造方法を提供せんとするもの
である。
【0009】
【問題を解決するための手段】 本発明によれば、
A)塩素化炭化水素と炭素数4以下のアルコールの混合
溶媒に二酢酸セルロースを溶解させた二酢酸セルロース
溶液、B)エステルと炭素数5以上のアルコールのアル
コール系希釈剤およびC)水性媒質をそれぞれ作成し、
上記A)二酢酸セルロース溶液にB)希釈剤を混合し混
合溶液とし、この混合溶液をC)水性媒質中に懸濁させ
て、液滴を形成し、次いでこの液滴中の塩素化炭化水素
を蒸発除去することを特徴とする二酢酸セルロース球状
粒子の製造方法が提供される。
【0010】この段階で調整される二酢酸セルロース球
状粒子は、上記のような希釈剤を含むか含まない多孔質
状態であり、場合によっては、このまま又は残余の水酸
基を利用して変成や架橋反応した形態でゲル濾過用等の
ゲルとして使用できる可能性が有り、また、各種物質の
分離精製に使用できるセルロースゲル球状粒子を製造す
るに当たっての中間体と考えることができる。
【0011】従って、本発明によれば、また、かかる中
間体としての上記方法により得られた希釈剤の少なくと
も一部を含む二酢酸セルロース球状粒子を鹸化し、該二
酢酸セルロース球状粒子から前記希釈剤を除去すること
を特徴とする多孔質セルロース球状粒子の製造方法が提
供される。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】二酢酸セルロースとしては、リンターパル
プ、木材パルプ等を酢酸及び/又は無水酢酸で酢化し、
更に部分鹸化してグルコース単位中の3水酸基のアセチ
ル置換度を約2(1.8〜2.5)としたものが一般に
用いられる。
【0014】二酢酸セルロースは、先ず、後述する水性
媒質より沸点の低い塩素化炭化水素とアルコールの混合
物からなる混合溶媒成分に溶解するのが通常である。か
かる混合溶媒成分としては、二酢酸セルロースを溶解す
ることができるならば、いかなる二種成分の組み合わせ
であってもよく、各種成分が二成分以上の組み合わせで
あってもよい。
【0015】上記塩素化炭化水素としては、例えば、ジ
クロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエ
タン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、それら
の混合物を挙げることができる。上記アルコールとして
は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、
ブタノール等を挙げることができる。更に、少量のアセ
トンやニトロメタン等の有機溶媒を添加することもでき
る。
【0016】混合溶媒成分の典型例として、ジクロロメ
タンに比較的少量のエタノールを加えた混合溶媒を使用
できる。この混合溶媒溶液のみから調製した場合、得ら
れるセルロースゲルは弾力性のある大きな粒子である
が、多孔質化するために希釈剤として脂肪族アルコール
類を加えて球状粒子化すると、更に大きな粒子ができる
傾向が強いことが分かった。また、塩素化炭化水素とア
ルコールの混合溶媒中のアルコールの量は、3〜40容
量%が好ましく、さらに10〜20容量%がより好まし
い。
【0017】希釈剤は、基本的には二酢酸セルロースの
非溶媒であり、適当な組成比では上記混合溶剤成分との
混合液が二酢酸セルロースの溶媒となるものである。希
釈剤としては、アルコール系希釈剤或いはエステルとア
ルコールとを含む二種成分系混合希釈剤(エステルが二
酢酸セルロースを溶解する場合もあるが、混合希釈剤と
しては基本的には二酢酸セルロースの非溶媒である)を
用い、これを、上記混合溶媒成分に溶解した二酢酸セル
ロース溶液に加えるのが一般的である。
【0018】アルコール系希釈剤としては、例えば、脂
肪族の直鎖状又は分枝状アルコールを用いることができ
るが、比較的大きな排除限界分子量を有するゲル球状粒
子を造りたい場合は、直鎖状アルコールが好ましい。か
かるアルコール系希釈剤の具体例としては、エタノー
ル、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタ
ノール、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカ
ノール、1−ドデカノール、それらの混合物等を挙げる
ことができる。
【0019】二種成分系混合希釈剤のアルコールとして
は、上記のようなものを用いればよい。二種成分系混合
希釈剤のエステルの具体例としては、蟻酸メチル、蟻酸
エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチ
ル、プロピオン酸エチル、三酢酸グリセロール、二酢酸
グリセロール、モノ酢酸グリセロール、三酪酸グリセロ
ール、1,2−ジアセトキシエタン、フタル酸ジメチ
ル、琥珀酸ジエチル等を挙げることができる。この混合
希釈剤の場合、エステル/アルコールの容量比は、0.
1〜10が好ましい。
【0020】一般に、希釈剤量の増加と共に排除限界分
子量は高くなる傾向を示す。しかし、希釈剤はもともと
二酢酸セルロースの非溶媒であるから、この量が多過ぎ
ると二酢酸セルロースが沈澱してくるので、希釈剤の使
用量は上限がある。この上限は、混合溶媒成分の組成や
希釈剤の種類・組成により異なる。炭素数の多いアルコ
ールを希釈剤又は希釈剤成分として使用すると、より少
ない量でも二酢酸セルロースの沈澱を生じ易くなる。こ
のため塩素化炭化水素とアルコールの混合溶媒/希釈剤
の容量比は、0.3〜10が好ましい。
【0021】一般に、アルコール単独を希釈剤として使
用するより、アルコールとエステルとの混合希釈剤を使
用した方が、排除限界分子量が大きくなる傾向が有る。
これは、アルコールとエステルの混合希釈剤系の方が、
会合の進行に有効に働き、二酢酸セルロースに大きな孔
を生じさせるものと考えられる。
【0022】混合希釈剤におけるエステル成分として、
分子量の大きなエステルを使用した場合、排除限界分子
量が著しく大きくなる。
【0023】二酢酸セルロースの混合溶媒溶液を液滴状
に懸濁させるための水性媒質としては、水自体でも可能
であるが、一般的には、ゼラチン、ポリビニルアルコー
ル、カルボキシメチルセルロース等の分散剤を含む水溶
液が用いられる。分散剤濃度は、例えば、水溶液に対し
約2〜10重量%であるのが好適である。分散剤等を沈
澱させない程度に、塩化ナトリウム等の不純物が水溶液
中に溶存していても構わない。
【0024】生成する二酢酸セルロース球状粒子の粒径
は、初めの混合溶媒溶液中の二酢酸セルロース濃度、懸
濁媒体としての水性媒質中の分散剤濃度、及び攪拌速度
等に依存する。
【0025】特に粒径の大きい二酢酸セルロース球状粒
子を造りたい場合には、例えば、丸底フラスコ中、10
0〜160r.p.m.の攪拌速度として、水性媒質中に二酢
酸セルロース混合溶媒溶液を懸濁させ、液滴を形成させ
ればよい。なお、多孔質化は、球状化の際に希釈剤が会
合を起こし、二酢酸セルロースから相分離することによ
って生じると理解されている。
【0026】同じ希釈剤を用いて得られるセルロース球
状粒子は、粒径が小さくなるほど、排除限界分子量が大
きくなる。この理由は次のように考えられる。
【0027】粒状化の初期段階では液滴の大きさの違い
殆ど関係無く液滴の組成は実質的に同一であるが、時間
の経過と共に小さい粒子では溶媒の気化が早く、溶媒濃
度が早く小さくなり、そのため希釈剤の会合が早めに起
こり、粒子化は短時間に終了することとなる。これに対
し、大きい粒子では溶媒の気化に時間が掛かり、希釈剤
の会合が徐々に起こり、粒子化に長時間を要する。かか
る違いが粒子内の希釈剤の会合状態に影響を与え、粒子
の大小による排除限界分子量の相違に導くものと考えら
れる。
【0028】次に、形成された液滴中の塩素化炭化水素
を懸濁液中で蒸発除去する。その際の温度は、15℃以
上且つ塩素化炭化水素の沸点以下、好ましくは塩素化炭
化水素の沸点より2℃低い温度以下とするのが好適であ
る。そして、得られた二酢酸セルロース球状粒子は、希
釈剤の大部分を含有しており、更に鹸化と希釈剤の除去
を行うと、多孔質セルロースゲルとなるのである。
【0029】鹸化は常法により行うことができ、通常
は、5〜10重量%の苛性アルカリ水溶液を用いて、室
温〜50℃の温度で、攪拌下に行う。
【0030】鹸化時間を短縮するために、必要に応じ
て、上記のようにして得られた固体状の二酢酸セルロー
ス球状粒子を、例えば、エタノール及び/又はメタノー
ル等の低沸点アルコールの40〜90重量%水溶液を用
いて膨潤させた後、鹸化を行ってもよい。この場合、二
酢酸セルロース球状粒子をアルコール水溶液から分離
後、鹸化浴に投入するか、或いは二酢酸セルロース球状
粒子を含むアルコール水溶液に苛性アルカリを添加して
もよい。
【0031】苛性アルカリとしては、苛性ソーダ又は苛
性カリが好ましく、その使用量は、二酢酸セルロースを
鹸化するに必要な理論量の約1.2〜1.5倍が好まし
い。
【0032】鹸化終了後、セルロース球状粒子を塩酸、
酢酸等の酸で中和すると、洗浄等の後処理を容易に行う
ことができる。
【0033】鹸化時に大部分の希釈剤が球状粒子から分
離してくるが、これを完全に除去するために得られたセ
ルロース球状粒子をメタノール、エタノール、イソプロ
パノール、アセトン等の親水性有機溶剤又はこれらの含
水溶液で洗浄・抽出するのが好ましい。
【0034】
【作用】本発明の「懸濁粒子化法」では、懸濁初期段階
においては二酢酸セルロースと溶媒と希釈剤は均一に分
子分散状に溶解している。時間の経過と共に溶媒が気化
し段々少なくなり、粒子内では希釈剤の会合が始まり時
間の経過と共に会合度合いが進み、最終段階では溶媒が
殆ど無くなり、多孔質粒子化が終わる。その後、鹸化と
脱希釈剤が行われる。
【0035】本発明では、原料として二酢酸セルロース
を使用することにより、高濃度の溶液を調製することが
でき、そのため大きな粒径の球状粒子を調製することが
できる。引き続き得られた二酢酸セルロース球状粒子を
鹸化することにより多孔質セルロース大型球状粒子(直
径:100〜3000μm)を造ることができる。
【0036】二酢酸セルロースに対して相溶性のエステ
ルと非相溶性の1−オクタノールのようなアルコールを
使用した混合希釈剤を用いる場合は、二酢酸セルロース
に対して非相溶性のアルコール単独の希釈剤を用いた場
合より、エステルの存在により多孔質化が容易に行われ
る。
【0037】
【実施例】以下、本発明を比較例と対比しつつ具体的に
説明するが、本発明は実施例に限定されるものでは無
い。
【0038】下記実施例の表中、略記号は、それぞれ下
記の意味を表す。 Mlim :排除限界分子量 Sd :膨潤度(湿潤ゲル床−ml/乾燥ゲル−g) Wr :保有水量(H2O −g/乾燥ゲル−g) Sv :比膨潤容積(湿潤ゲル床−ml/乾燥ゲル床−m
l) Bd :嵩高度(乾燥ゲル床−ml/乾燥ゲル−g)
【0039】また、排除限界分子量(Mlim )は、下記
の方法により求めた。調製したゲル球状粒子を内径0.
5cm、長さ30cmのジャケット付きカラム(粒径の
大きいゲル球状粒子は、内径1.6cm、長さ40cm
のジャケット付きカラム)に充填し、試料の注入量は2
5μl(大きいカラムの場合、500μl)、溶出液に
蒸留水を用い、流速は12〜30ml/h、上昇法で溶
出した。試料としては、既知の種々の数平均分子量(4
500000、2000000、1200000、57
0000、270000、160000、85000、
45000、21000、9800、3900、147
0、600、194、106、及び62)のポリ(オキ
シエチレン)を使用した。
【0040】溶出試料の定量は、示差屈折計(Waters A
ssociate製、Model 401 )を用いて行った。得られた溶
出曲線のピークの溶出量とその試料の分子量の関係から
較正曲線を求めた。この較正曲線の中央の直線部分をV
o(ゲル床間隙容積)の値まで外挿して排除限界分子量
(Mlim )とした。
【0041】膨潤度は、次のようにして求めた。調製し
た球状粒子に充分な量の水を加え、6時間以上静置し、
得られたゲルの「容量」を測定する。次いで、ゲルを取
り出して乾燥した後、「重量」を測定する。膨潤度は、
容量(ml)/重量(g)として求められる。
【0042】実施例1及び比較例1 12gの二酢酸セルロース〔試薬1級、和光純薬(株)
製〕を80mlのジクロロメタンとエタノール20mlの混
合溶媒に溶解し、9重量%濃度の二酢酸セルロース溶液
を調製した。
【0043】この溶液にアルコール系希釈剤を加え、得
られた混合溶液を丸底フラスコ中の約5重量%濃度のゼ
ラチン含有水性媒質400mlに加え、100〜160r.
p.m.の攪拌速度で攪拌しつつ、得られた懸濁液を35℃
まで加熱し、同温度で攪拌を続けて、懸濁粒子中に含ま
れるジクロロメタンを蒸発・除去した。
【0044】濾過後、得られた二酢酸セルロース球状粒
子中に含まれるアルコール系希釈剤をメタノールで洗浄
した。その後、メタノール10容量%を含有する2モル
/リットル濃度の水酸化ナトリウム水溶液250ml中
で、二酢酸セルロース球状粒子を鹸化した。
【0045】上述のような手順に従い、希釈剤の種類と
添加量を変えて、各セルロースゲル球状粒子の調製を行
った。得られたセルロースゲル球状粒子の物性を表1に
示す。なお、比較のため、希釈剤を使用しないで調製し
たセルロースゲル球状粒子の諸性質も表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】希釈剤を用いないで得られたセルロースゲ
ルNo.1の排除限界分子量(Mlim )が、900であ
るから、どの希釈剤を用いて得られたセルロースゲルも
多孔質化されていることが分かる。また、同じ希釈剤を
用いて得られたセルロースゲルでは、粒径が小さくなる
ほど、排除限界分子量(Mlim )が大きくなることが分
かる。
【0048】また、排除限界分子量(Mlim )が高くな
れば、膨潤度(Sd )と保有水量(Wr )の値も高くな
るが、粒径の大きさにはそれ程影響されないようであ
る。保有水量は、水に膨潤させたゲルを濾別し、その一
定量の重量を秤り乾燥器で乾燥後再び重量を秤り乾燥ゲ
ルg当りの保有水量を求めた。
【0049】セルロースゲルNo.7〜13を比較すれ
ば分かるように、希釈剤の増加と共に排除限界分子量
(Mlim )は高くなる傾向を示す。
【0050】希釈剤として使用した脂肪族アルコールの
アルキル鎖炭素数と得られるセルロースゲル球状粒子の
排除限界分子量(Mlim )との関係を見ると、直鎖アル
コールのアルキル炭素数が6〜10の場合に排除限界分
子量(Mlim )が大きくなり、特に、1−ヘプタノール
と1−オクタノールの場合に排除限界分子量(Mlim)
が大きい。
【0051】実施例2及び比較例2 実施例1及び比較例1とほぼ同様に二酢酸セルロースを
80mlのジクロロメタンとエタノール20mlの混合溶媒
に溶解し、12重量%濃度の二酢酸セルロース溶液を調
製した。
【0052】この溶液に1−オクタノールとエステルと
の二種成分系混合希釈剤を加え、得られた混合溶液を丸
底フラスコ中の約5重量%濃度のゼラチン含有水性媒質
400mlに加え、100〜160r.p.m.の攪拌速度で攪
拌しつつ、得られた懸濁液を35℃まで加熱し、同温度
で攪拌を続けて、懸濁粒子中に含まれるジクロロメタン
を蒸発・除去した。
【0053】濾過後、得られた二酢酸セルロース球状粒
子中に含まれるアルコール系希釈剤をメタノールで洗浄
した。その後、メタノール10容量%を含有する2モル
/リットル濃度の水酸化ナトリウム水溶液250ml中
で、二酢酸セルロース球状粒子を鹸化した。
【0054】上述のような手順に従い、希釈剤中のエス
テルの種類と希釈剤両成分の添加量を変えて、各セルロ
ースゲル球状粒子の調製を行った。得られたセルロース
ゲル球状粒子の諸性質を表2及び表3に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】表2のセルロースゲルNo.1〜3が表3
のセルロースゲルNo.14〜16より明らかに排除限
界分子量(Mlim )が減少している。これは、主に二酢
酸セルロース濃度が高い混合溶媒溶液を使用したためと
考えられる(ただし、混合希釈剤を用いて得られる多孔
質セルロースゲル球状粒子の強度を高めるためには、初
めの溶液の二酢酸セルロース濃度は高い方が良いと考え
られる)。
【0058】1−オクタノールを用いないでエステル単
独を希釈剤として使用した場合、二酢酸セルロース球状
粒子は一般に得られ難いが、粒子化したものでも、表2
のゲルNo.4と表3のゲルNo.15、23及び28
に見られるように排除限界分子量(Mlim )が小さい。
【0059】表2及び表3を見れば明らかなように、一
般に、1−オクタノール単独を希釈剤として使用するよ
り、1−オクタノールとエステルの混合希釈剤を使用し
た方が、排除限界分子量(Mlim )が大きくなる傾向が
有る。
【0060】また、表2及び表3より、1−オクタノー
ルとエステルの両成分とも、使用量を増加することによ
り、得られるセルロースゲル球状粒子の排除限界分子量
(Mlim )は高くなることが分かる。この結果より、1
−オクタノールとエステルの添加は、相乗効果的に二酢
酸セルロース、延いてはセルロースゲルの多孔質化を促
進するものと考えられえる。
【0061】1−オクタノールとの混合希釈剤のエステ
ル成分として三酢酸グリセロールを使用して調製した粒
径74〜297μm、297〜500μm、500〜1
000μm、500〜1700μmのセルロースゲルN
o.19〜22は、それぞれ排除限界分子量(Mlim )
が2000000、520000、270000、15
0000の多孔質球状粒子であった。
【0062】同様に顕著な多孔質化の効果の有るエステ
ルは、表2と表3を見れば分かるように、1,2−ジア
セトキシエタン、フタル酸ジメチル、二酢酸グリセロー
ル、琥珀酸ジエチルであった。この結果から、エステル
としては、比較的分子量が大きく、沸点の高いものがセ
ルロースゲルの排除限界分子量(Mlim )を大きくする
のに効果的であると考えられる。
【0063】比較的高い排除限界分子量(Mlim )を有
する多孔質セルロースゲル球状粒子の比膨潤容積(Sv
)と嵩高度(Bd )を測定した結果を表2と表3に示
した。比膨潤容積は、乾燥ゲル1gを小型メスシリンダ
ーに入れ容積を測り水を加えて6時間以上経過した後、
膨潤容積を測りその比をとって測定した。また、嵩高度
は、乾燥ゲル1g当りの容積として測定した。
【0064】1−オクタノールと三酢酸グリセロール、
二酢酸グリセロール又は1,2−ジアトキシエタンとの
混合希釈剤を用いて得られたセルロースゲルの場合、混
合希釈剤の添加量が多くなる程、比膨潤容積(Sv )が
小さく、嵩高度(Bd )が大きい値を示している。これ
は、得られたセルロースゲルが「永久多孔型ゲル」に近
いことを示している。
【0065】一方、1−オクタノールとフタル酸ジメチ
ルとの混合希釈剤を用いて得られたセルロースゲルは、
比膨潤容積(Sv )が大きく、嵩高度(Bd )が小さい
ことから、「膨潤多孔型ゲル」であると考えられる。
【0066】エステルとして1,2−ジアセトキシエタ
ンを用いて得られたセルロースゲルは、排除限界分子量
(Mlim )が高い割に膨潤度及び比膨潤容積の値が比較
的小さい。これらのセルロースゲルのうちセルロースゲ
ルNo.29(Mlim :2800000)とNo.30
(Mlim :500000)をそれぞれカラムに充填し、
流速と圧力損失の関係を調べたが、いづれのセルロース
ゲルも充分耐圧性が在ることが分かった。
【0067】
【発明の効果】本発明の方法によれば、条件を選ぶこと
により、得られるセルロース球状粒子の排除限界分子量
や粒径を広い範囲でかなり自由に変えることができる。
従って、所望により、排除限界分子量が大きいセルロー
ス球状粒子を造ることもでき、また、粒径の大きなセル
ロース球状粒子を造ることもできる。
【0068】本発明の方法により得られる多孔質セルロ
ース球状粒子は、ゲルクロマトグラフィーばかりでな
く、セルロースイオン交換体の中間原料として、カラム
充填用の固定化酵素の支持体として、アフィニティーク
ロマトグラフィー用担体として、更にその他の用途に使
用することができる。本発明は、これらの用途において
要求される種々のセルロース密度又は排除限界分子量の
多孔質セルロース球状粒子を簡単且つ経済的に提供し得
る点で、工業上極めて有用である。
【0069】また、本発明の方法で得られる粒径の大き
い多孔質セルロースゲル球状粒子は、工業的に大量に取
り扱う場合の水系充填剤として有用である。
【0070】更に、多孔質セルロースゲル球状粒子の中
間体としての二酢酸セルロース球状粒子は、そのままで
も、あるいは変成又は架橋してから、同様の用途に使用
できる可能性も在る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 1/12 LAE C08L 1/12 LAE (72)発明者 石橋 博明 千葉県習志野市津田沼2丁目11番19 (56)参考文献 特開 昭60−155245(JP,A) 特開 昭56−24429(JP,A) 特開 昭50−90664(JP,A) 特開 昭62−267339(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 A)塩素化炭化水素と炭素数4以下の
    アルコールの混合溶媒に二酢酸セルロースを溶解させた
    二酢酸セルロース溶液、B)エステルと炭素数5以上の
    アルコールのアルコール系希釈剤およびC)水性媒質を
    それぞれ作成し、上記A)二酢酸セルロース溶液にB)
    希釈剤を混合し混合溶液とし、この混合溶液をC)水性
    媒質中に懸濁させて、液滴を形成し、次いでこの液滴中
    の塩素化炭化水素を蒸発除去することを特徴とする二酢
    酸セルロース球状粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】 混合溶媒がジクロールメタンとエタノ
    ールの混合物であることを特徴とする請求項1の二酢酸
    セルロース球状粒子の製造方法。
  3. 【請求項3】 C)水性媒質が分散剤を2〜10重量
    %含んだ水溶液であることを特徴とする請求項1ないし
    2の二酢酸セルロース球状粒子の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3記載の方法により得
    られた、希釈剤の少なくとも一部を含む前記二酢酸セル
    ロース球状粒子を鹸化し、鹸化されたセルロース球状粒
    子から前記希釈剤を除去することを特徴とする多孔質セ
    ルロース球状粒子の製造方法。
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