JP2524391B2 - 能動型サスペンション - Google Patents

能動型サスペンション

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JP2524391B2
JP2524391B2 JP1020137A JP2013789A JP2524391B2 JP 2524391 B2 JP2524391 B2 JP 2524391B2 JP 1020137 A JP1020137 A JP 1020137A JP 2013789 A JP2013789 A JP 2013789A JP 2524391 B2 JP2524391 B2 JP 2524391B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、能動型サスペンションに係り、とくに、
車体の上下方向の姿勢変動を抑制するようにした能動型
サスペンションに関する。
〔従来の技術〕
従来の能動型サスペンションとしては、例えば特開昭
62−289420号公報に記載されているものがある。
この公報記載の能動型サスペンションの内、その一態
様にあっては、各輪に配した流体圧シリンダと、この流
体圧シリンダの作動圧を指令値に応じて夫々制御する、
ソレノイド操作形の圧力制御弁と、車体の各車輪の略直
上部における上下加速度を夫々検出する上下加速度検出
手段と、上記各位置における上下速度を検出する上下速
度検出手段とを有し、当該夫々の検出手段による各上下
加速度検出値及び各上下速度検出値に対応した前記指令
値を演算する制御手段を具備している。そして、車体の
ロール,ピッチ,バウンス等に伴って検出される上下加
速度及び上下速度に応じた姿勢制御を各輪毎に行ってい
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、上記従来の能動型サスペンションにお
ける圧力制御弁は、その出力圧を制御するスプールの位
置を、ソレノイドの推力によって制御する、ソレノイド
操作形であったため、加速度センサや増幅器,積分器な
どを含むコントローラを搭載して、ソレノイドに推力発
生のための電流指令値を与える必要があるとともに、セ
ンサ,コントローラ,及び圧力制御弁間の信号送受のた
めの車体内の配線の引き回しを伴い、配線作業が多くな
る等のことから、部品コスト及び組立コストが増大し、
サスペンション全体がかなり高価になるという未解決の
問題があった。
また、車体内の上記配線の引き回しを伴うので、断線
や配線の緩みなどに起因した指令値の急変を伴う確率が
高くなっていた。
この発明は、このような従来の未解決の問題に着目し
てなされたもので、圧力制御弁を駆動する構成を簡略化
して、サスペンションの製造コストの低減を図るととも
に、断線などの配線不良によって制御不能になるという
事態を無くすることを、その解決しようとする課題とし
ている。
〔課題を解決するための手段〕
上記課題を解決するために、車体と車輪との間に介挿
した流体圧アクチュエータと、この流体圧アクチュエー
タの作動圧を制御するとともに前記車体に取り付けた圧
力制御弁とを備え、車体の上下方向の揺動に応じて前記
圧力制御弁を駆動させるようにした能動型サスペンショ
ンにおいて、マスと減衰要素との直列結合を含み且つ振
動方向が前記車体の上下方向に一致する振動系を前記車
体側に設け、この振動系と前記圧力制御弁の調圧部材と
を、前記振動系に発生する力が前記調圧部材の付勢力と
なるように連結する等の構成を採っている。
〔作用〕
この発明では、車両が例えば凹凸の無い良路を一定速
度で直進走行している場合には、車体に上下方向の振動
が生じることもない。このため、振動系のマスと車体,
即ち圧力制御弁の調圧部材との間の離間量が一定であ
り、調圧部材の位置が変化しないから、流体圧アクチュ
エータの作動圧が一定値に維持され、車体は所定のフラ
ットな姿勢を保持する。
また、車両がうねり路や大悪路などを走行することに
より、車体が上下方向に揺動すると、これに伴って圧力
制御弁及び振動系も上下方向に揺動する。このとき、マ
スの自重と減衰要素のダンパー作用によってマスの振動
が遅れるため、その振動系で発生した力を付勢力として
受ける調圧部材は弁ハウジング(即ち車体)の振動に対
して所定の相対遅れをもって振動し、流体圧アクチュエ
ータの作動圧を調整する。したがって、マスの質量と減
衰要素の減衰定数を適宜に設定しておくことにより、バ
ネ上共振域付近の比較的低周波の上下振動に対して、流
体圧アクチュエータの作動圧による力を圧力制御弁の上
下速度に比例した力,つまり減衰力として発揮し、上下
振動を抑えることができる。
さらに、車両がロール運動やピッチ運動を生じたとき
にも、車体の上下方向の振動成分があるので、上述と同
様の制御がなされる。
〔実施例〕
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
(第1実施例) 第1図乃至第5図は第1実施例を示す図である。
第1図において、10FL,10FRは前輪、10RL,10RRは後
輪、12は車輪側部材、14は車体側部材、16は能動型サス
ペンションを夫々示す。
この内、能動型サスペンション16は、各車輪10FL〜10
RR位置で車輪側部材12及び車体側部材14間に夫々介挿さ
れた油圧シリンダ18FL〜18RR(流体圧アクチュエータ)
及びコイルスプリング19FL〜19RRと、この油圧シリンダ
18FL〜18RRの作動圧を個別に制御する圧力制御部20FL〜
20RRと、この油圧系のポンプ,オイルタンク等を装備し
た油圧源22と、この油圧源22と圧力制御部20FL,20FR及
び20RL,20RRとの間に介挿した蓄圧用の高圧側アキュム
レータ26,26とを具備している。
油圧シリンダ18FL〜18RRの夫々は、そのシリンダチュ
ーブ18aが車体側部材14に、またピストンロッド18bが車
輪側部材12に夫々取り付けられ、シリンダチューブ18a
内にはピストン18cに隔設されたシリンダ室Lが形成さ
れている。このシリンダ室Lは、絞り弁33を介して油圧
振動吸収用の低圧側アキュムレータ34に連通している。
なお、各コイルスプリング19FL〜19RRは、比較的小さい
バネ定数のものであって車体の静荷重を支持している。
また、圧力制御部20FL〜20RRは、車輪10FL〜10RRの略
直上部の車体に夫々設けてあり、第2図に示すように、
圧力制御弁38と、この圧力制御弁38内に収容された後述
するスプールを駆動するスプール駆動部40とを備えてい
る。圧力制御弁38及びスプール駆動部40は、軸方向に相
互に直結され、それらの駆動方向(軸方向)が車体の上
下方向に一致するように配設されている。
圧力制御弁38は、円筒状の弁ハウジング42を有し、こ
の弁ハウジング42の軸方向内部に穿設した挿通孔42aに
スプール44(調圧部材)及びロッド45が摺動可能に配設
され、スプール44及びロッド45がオフセット用のスプリ
ング46により軸方向に連結されている。弁ハウジング42
には、夫々、前記挿通孔42aに連通する供給ポート42i,
出力ポート42s及び戻りポート42rが形成されており、こ
の内、供給ポート42i,戻りポート42rが配管47,48を介し
て油圧源22の作動油供給側,戻り側に接続されており、
残りの出力ポート42sが配管49を介して油圧シリンダ18F
L(〜18RR)のシリンダ室Lに接続されている。さら
に、戻りポート42rはドレン通路42e,42fを介して前記ス
プール44の下端及び上端に連通している。
また、スプール44は、供給ポート42iに対向するラン
ド44a及び戻りポート42rに対向するランド44bを有する
とともに、両ランド44a,44bよりも小径のランド44cを上
端部に有しており、このランド44cは前記挿通孔42aを縮
径した部分に摺動可能に挿入してある。そして、ランド
44cとランド44aとの間に圧力制御室Cが形成されてお
り、この圧力制御室Cはフィードバック通路42gを介し
て出力ポート42sに連通している。
さらに、スプール駆動部40は、前記弁ハウジング42の
下端部外周に一体に固着した有底状のハウジング50と、
ハウジング50内にあって前記圧力制御弁38のロッド45の
下端側とハウジング50の底部との間に直列に剛結したダ
ンパー(減衰要素)52,マス53,及びばね54の振動系とに
より構成している。ここで、ばね54は、マス53の静荷重
(質量m′)を支持するもので、そのバネ定数は小さい
値に設定している。また、ダンパー52の減衰係数C′は
適宜な値に設定している。
ここで、マス53がばね54によって静止して支持されて
おり、これによって、スプリング46を介してスプール44
に伝えられる押圧力と、圧力制御室Cの圧力とが釣り合
っており、油圧シリンダ18FL(〜18RR)のシリンダ室L
に、スプリング46の押圧力に相当する所定圧力が与えら
れているとする。このときは、圧力制御弁38,即ちスプ
ール44とマス53との間の距離は変わらない。
この状態で、例えば車両がバウンスし、車体とマス53
との上下変位量に差が生じると、スプール44の位置が変
わる。仮に、スプール44が第2図に示す閉塞位置(各ポ
ートが遮断位置)から同図中の上方に相対的に移動した
場合、その移動量に応じた通路面積で供給ポート42i及
び出力ポート42s間が連通し且つ戻りポート42r及び出力
ポート42s間が遮断される。これにより、油圧源22から
の供給圧が油圧シリンダ18FL(〜18RR)のシリンダ室L
に与えられ、作動圧が上昇する。この作動圧はフィード
バック通路42gを介して圧力制御室Cに導かれるから、
該作動圧の上昇に伴って圧力制御室Cの圧力も上昇し、
スプール44を下方に押し返しつつ作動圧を増大して、ス
プリング46を通して伝わる付勢力と圧力制御室Cの圧力
とが釣り合う位置(図中の閉塞位置)で調圧が終了す
る。
反対に、スプール44が図中の閉塞位置から下方に相対
的に移動した場合は、その移動量に応じた通路面積で出
力ポート42s及び戻りポート42r間が連通し、且つ、供給
ポート42i及び出力ポート42s間が遮断される。これによ
って、油圧シリンダ18FL(〜18RR)の作動圧が油圧源22
のオイルタンクに戻され、これに伴って圧力制御室Cの
圧力が低下する。これにより、スプール44が上方に移動
し、前述したようにスプール44に作用する上下端の力が
均衡する閉塞位置となるまで調圧動作が行われる。
さらに、上述の如くスプール44の上下端に作用する力
が均衡しており、スプール44が図中の閉塞位置にあると
する。この状態で、路面側からバネ上共振域付近(1Hz
付近)の比較的低周波である上向きの振動入力があった
とする。これにより、シリンダ室Lの圧力が上昇するか
ら、圧力制御弁38の圧力制御室Cの圧力が上昇し、スプ
ール44に対する上下方向の力のバランスが崩れ、スプー
ル44が下方に移動する。つまり、出力ポート42s及び戻
りポート42r間のみが連通し、作動油がオイルタンクに
戻され、前記振動入力が吸収される。したがって、路面
からの振動が車体側に伝達されるのを抑制することがで
きる。
上記振動入力が反対に下向きであるときは、シリンダ
室Lの圧力が低下するから、スプール44は上述とは反対
に上方に移動し、出力ポート42s及び供給ポート42i間の
みが連通し、シリンダ室Lに油圧源22よりライン圧が供
給される。これによって、シリンダ室Lの圧力が上昇
し、車体側への振動伝達を抑制する。
次に、上記実施例の全体動作を説明する。
いま、車両が凹凸の無い良路を一定速度で直進走行し
ているとする。この走行状態では、車体が揺動すること
はないので、振動系のマス53はスプリング54により静止
状態で所定位置に支持されている。つまり、各圧力制御
弁38のスプール44は前内の如く所定の閉塞位置にあり、
油圧シリンダ18FL(〜18RR)のシリンダ室Lは所定圧と
なり、所定車高値のフラットな車体姿勢が維持される。
この走行状態から、車両は低周波の大振幅が連続する
うねり路や大悪路などを通過すると、路面側からバネ上
共振域付近(1Hz付近)の比較的低周波である上向き又
は下向きの振動が入力する。これにより、かかる走行初
期には、油圧シリンダ18FL〜18RRのシリンダ室Lの圧力
が上昇又は減少し、この圧力変動量に応じて各圧力制御
弁38のスプール44が前述の如く上下方向に移動し、圧力
制御弁38を介して油圧源22との間で作動油を流通させて
振動入力を吸収し、バウンスを抑制する。このとき、上
記低周波の振動入力は、その流量変化が大きいので、低
圧側アキュムレータ34は直ぐに潰され又は空になり、当
該振動入力の吸収には殆ど関与しない。
しかし、うねり路や大悪路での走行が進み、上述した
スプール移動による吸収作用によって振動入力を吸収で
きなくなると、車体側も上下動する。これにより、圧力
制御部20FL〜20RRが上下動するが、この上下動に対し
て、振動系のマス53はその自重及びダンパー52の制動作
用により元の位置に止まろうとし、遅れて変位する。つ
まり、圧力制御弁38とマス53との変位量の差により、ス
プール44は弁ハウジング42の振動に対して所定の相対遅
れをもって振動する。このため、例えば、圧力制御部20
FL〜20RRが上方向に移動した場合、スプリング46の押圧
力が油圧制御室Cの油圧による力よりも弱められてスプ
ール44が弁ハウジング42に対して下方に移動し、出力ポ
ート42s及び戻りポート42r間のみが連通される。反対
に、圧力制御部20FL〜20RRが下方向に移動した場合、ス
プリング46の押圧力が強められてスプール44が弁ハウジ
ンク42に対して上方に移動し、供給ポート42i及び出力
ポート42s間のみが連通される。このため、前述した如
く作動油が油圧源22及びシリンダ室Lの間で流通し、調
圧作用が行われる。
この調圧作用を、第3図乃至第5図に基づき定量的に
説明する。
第3図は、圧力制御部20FL(〜20RR)を模式的に示し
たものである。同図において、マス53を支持するばね54
は弱いとして無視し、圧力制御部20FL(〜20RR)は車体
に固定されているとすると、運動方程式は、 m′=C′(−) …(1) となり、圧力制御弁38の上下変位yとマス53の上下変位
zとの間の伝達関数は、 となる。sはラプラス演算子である。振動系がスプール
44に与える力Fは、 F=C′(−) …(3) であるからとFとの間の伝達関数は、 となる。この第(4)式のゲイン|F/|,位相に対する
周波数特性は夫々第4図(a),(b)に示すようであ
る。
そこで、圧力制御弁38に力Fを与えてから油圧シリン
ダ18FL(〜18RR)が力F′を出すときの油圧の伝達特性
の遅れを1次遅れで近似できるとすると、 となる。ここで、KVはゲイン定数,TVは時定数である。
そこで、質量m′及び減衰定数C′の値を適宜に設定
すればよい。この設定例を示すと、いま、アクチュエー
タの減衰定数としてa〔kgf/(m/s)〕だけ必要である
とする。ゲイン|F′/F|の値は、ピストン18cの面積と圧
力制御弁38の挿通孔42aの通路面積の比で決まるので、
ピストン直径をb,通路直径をcとすると、|F′/F|=b2/
c2となり、|F′/|は、ac2/b2だけ必要となる。
一方、バネ上質量をm〔kgf〕,ばね定数をk〔kgf/m
m〕とすると、バネ上共振点は、f0=(1/2π)・(kg/
m)1/2となる。
そこで、このバネ上共振点f0において、前記ゲイン
「ac2/b2」を保持し、位相が零となるように、即ち、そ
の周波数特性が第5図(a),(b)となるように、
m′及びc′を各輪毎に設定する。
これによって、油圧シリンダ18FL(〜18RR)はバネ上
共振周波数域の振動入力に対して、車体の絶対速度に応
じた力を発生し、その振動入力を減衰させる。このた
め、連続するうねり路を走行するような場合でも、車体
の上下振動が能動的に減衰・抑制され、フワフワと振動
することもなく、ほぼフラットな姿勢が保持されるか
ら、良好な乗り心地が得られる。
さらに、車両が細かな凹凸のある不整路を通過し、路
面側から車両にバネ下共振域(5〜10Hz前後)相当の振
動入力があったとする。この振動入力により、油圧シリ
ンダ18FL(〜18RR)のシリンダ室Lの圧力が変動する
が、これに伴う流量変化は小さいので、低圧側アキュム
レータ34がその変動を吸収するとともに、絞り弁33が減
衰力を発生する。したがって、車体側へ伝達される振動
を抑制し、ゴツゴツ感を減らして、良好な乗り心地を保
つ。
一方、車両を旋回走行に移行させることにより、車両
横方向に加速度が生じて、車体がロールしたとする。こ
のロールに伴って、外輪側の車体は下方に変位する成分
を有し、内輪側の車体は上方に変位する成分を有する。
したがって、このロール運動においても、前述した上下
方向の振動の場合と同様の調圧作用が実施されるので、
バネ上共振域相当の上下変位成分に対しては減衰力が効
いて、ロールを吸収させる。また、ハードコーナリング
などによる上下速度の大きいロールの場合、前述したス
プール44の相対遅れをもった移動によって、外輪側のシ
リンダ室Lの作動圧が高められ、且つ、内輪側のそれが
減少させられるので、内外輪でロールに抗するアンチロ
ールモーメントが発生し、ロールが抑制される。
また、急加速,急制動に伴うスカット,ノーズダイブ
が生じた場合でも、車両の前後において上述のロール制
御と同様の調圧制御によって、アンチピッチ効果を得
る。
(第2実施例) 次に、この発明の第2実施例を第6図に基づき説明す
る。ここで、第1実施例と同一又は同等の構成要素に
は、同一の符号を用い、その説明を省略又は簡略化する
(このことは後述する第3実施例でも同様とする)。
この第2実施例は、第1実施例における振動系を圧力
制御弁38のスプール44の軸方向上端部に連結したもので
あり、供給ポート42i及び戻りポート42rを除いて、第1
実施例の圧力制御部20FL〜20RRの構成を第6図のように
上下反対にしている。また、油圧シリンダ18FL〜18RRで
は、シリンダチューブ18aをバネ下側に、ピストンロッ
ド18bをバネ上側に連結し、シリンダ室Lを下方に有し
ている。
この第2実施例によっても、第1実施例と同じ作用効
果を得るほか、振動系の設置位置に対するレイアウトの
自由度が増すという効果がある。
(第3実施例) 次に、この発明の第3実施例を第7図に基づき説明す
る。
前述した第1実施例では、ダンパー52を介して伝えら
れる力Fによりスプール44を直接駆動していたが、本実
施例では図示のように、力Fによりパイロット弁60を駆
動させるようにしたものである。つまり、スプール44の
下方には、挿通孔42aの一部として油圧室Dが形成さ
れ、この油圧室Dは、該室Dの軸方向下部に形成された
細孔42jを介して弁室42kに連通している。また、油圧室
Dには供給配管47を介して油圧源22よりライン圧が与え
られ、弁室42kが戻り配管48を介して油圧源22のオイル
タンクに接続されている。さらに、前記弁室42kには、
ポペット形のパイロット弁60が介挿され、弁60の先端部
が前記細孔42jに挿入される程度に応じて細孔42jを供給
側から戻り側に流れる流量を絞り、油圧室Dの圧力を調
整し得るようになっている。
一方、前記ダンパー52のピストンロッド52aは、弁ハ
ウジング42の下端部より前記弁室42kに上下動自在に挿
入され、パイロット弁60の下端部に直結されている。ま
た、パイロット弁60と弁室42kの底面との間には、オフ
セット圧を与えるスプリング62を設けている。その他
は、第1実施例と同一になっている。
このため、圧力制御弁38及びマス53が例えば上方へ移
動する力を受けると、パイロット弁60を上昇させる力F
が遅れて発生するため、一時的に油圧室Dのパイロット
圧が油圧制御室Cの圧力より弱められ、スプール44が弁
ハウジングに対して下方に移動する。これにより、出力
ポート42s及び戻りポート42rが連通し、シリンダ室Lの
圧力が下げられるなど、前記各実施例と同様の圧力制御
が実施される。
したがって、本実施例における作用効果は前記各実施
例と同等のものが得られるほか、油圧シリンダ18FL〜18
RRの発生する力は、パイロット圧をつくる細孔42jとシ
リンダ室Lの面積比に応じて増幅された値となるので、
第1,2実施例の場合に比べて振動系がスプール44に与え
る力Fは小さくて済み、その分、振動系を小形に形成で
きるという利点がある。
なお、前記各実施例においては、各輪10FL〜10RRに対
応する車体位置に圧力制御部20FL〜20RRを夫々設置する
としたが、この発明は必ずしもこれに限定されることな
く、例えば車両の重心位置などに前述した圧力制御部を
一個設け、これにより、各輪位置のシリンダ室の圧力を
調整し、バウンスを吸収・抑制する構造としてもよい。
また、前記各実施例では、圧力制御部20FL〜20RRとし
て圧力制御弁38及びスプール駆動部40を一体に形成した
場合を説明したが、両者が車体に固設されているなら
ば、別体であってもよい。
さらに、圧力制御弁38は横置き形とし、スプール駆動
部40のみを上下方向に立設し、ダンパー52のピストンロ
ッドに連結した部材をガイドを介してスプールに連結
し、振動系で発生する力Fを損失なくスプールに伝える
構造とすれば、圧力制御部全体の軸方向の長さが短くな
り、設計の自由度も増す。
〔発明の効果〕
以上説明したように、この発明は、圧力制御弁の調圧
部材に、マスと減衰要素との直列結合を含む振動系を、
車体の上下方向に一致させて連結するとしたため、車体
の上下方向の揺動に応じて振動系が遅れをもって振動し
て調圧部材に直接に付勢力を与え、その調圧位置を制御
できるので、圧力制御弁及び振動系を一体として、上下
方向の振動に応じた流体圧アクチュエータの作動圧の制
御を行うことができ、従来のように電気的な指令値によ
り調圧部材を駆動する電子制御の場合に比べて、製造コ
ストを大幅に下げることができ、安価なサスペンション
を提供することができるとともに、指令電気信号を形
成,付与するための配線が無くなるので、配線があるこ
とに伴う断線などのフェイル発生が無くなり、信頼性が
向上するという効果がある。
また、とくに、請求項(2)記載の発明では、狭い車
体にあって、振動系を設置する際の設計の自由度が増す
という効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の第1実施例を示す構成図、第2図は
第1実施例の圧力制御部を示す概略断面図、第3図は第
1実施例の振動系を示す模式図、第4図(a)(b)及
び第5図(a)(b)は夫々第1実施例の動作を説明す
る周波数特性図、第6図はこの発明の第2実施例を示す
構成図、第7図はこの発明の第3実施例を示す構成図で
ある。 図中、12は車輪側部材、14は車体側部材、16は能動型サ
スペンション、18FL〜18RRは流体圧アクチュエータとし
ての油圧シリンダ、20FL〜20RRは圧力制御部、38は圧力
制御弁、40はスプール駆動部、44は調圧部材としてのス
プール、52は減衰要素としてのダンパー、53はマスであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤津 洋介 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社内 (72)発明者 藤村 至 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社内 (56)参考文献 特開 昭49−3312(JP,A) 特開 昭62−289420(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車体と車輪との間に介挿した流体圧アクチ
    ュエータと、この流体圧アクチュエータの作動圧を制御
    するとともに前記車体に取り付けた圧力制御弁とを備
    え、車体の上下方向の揺動に応じて前記圧力制御弁を駆
    動させるようにした能動型サスペンションにおいて、 マスと減衰要素との直列結合を含み且つ振動方向が前記
    車体の上下方向に一致する振動系を前記車体側に設け、
    この振動系と前記圧力制御弁の調圧部材とを、前記振動
    系に発生する力が前記調圧部材の付勢力となるように連
    結したことを特徴とする能動型サスペンション。
  2. 【請求項2】前記調圧部材は、圧力制御弁のスプールで
    あって、該スプールの移動方向が前記車体の上下方向と
    なるように当該圧力制御弁を前記車体に取り付けるとと
    もに、前記スプールの上端又は下端に前記振動系を連結
    した請求項(1)記載の能動型サスペンション。
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