JP2523633Y2 - マグネットロール用マグネット部材 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はマグネットロール用マグネット部材に関し、
更に詳しくは製造が容易で且つ安価なマグネットロール
を提供するためのマグネット部材に関する。

本考案のマグネット部材は、電子複写機やプリンター
等の現像装置やクリーニング装置等に広く利用される。

〔従来技術と問題点〕

従来、この種のマグネット部材は、ゴムマグネット又
は樹脂マグネットを用いたものとしては、第４図に示
す如く射出成形法によるもの、第５図に示す如く、断
面が多角形のマグネットをシャフトに貼り付けたもの、
及び第６図に示す如く円筒状のマグネットにシャフト
を挿入したものが使用されている。

しかし乍ら、の場合において、第４図（Ａ）で矢示
した部分をゲートとする場合にはマグネット（12）のゲ
ートから遠い部分（斜線部分）が冷却に因り長手方向の
磁束密度バラツキ（以下、単に磁束密度バラツキと称
す）が発生し、また第４図（Ｂ）の如く２点ゲートの場
合にはマグネット（12）の該ゲート付近の磁束密度バラ
ツキが避けられない。またの場合には、例えば第５図
に４極貼付の場合を示したが、シャフト（11）へのマグ
ネット（12a）〜（12d）の貼付位置のズレがしばしば発
生し（同図では（2a）がズレている）、表面磁界角度の
バラツキを惹き起こすばかりでなく、作業が煩雑で生産
性が低い。更ににあっては、マグネット（12）へのシ
ャフト（11）の挿入作業性に難があり、これを克服せん
として孔（13）の径を大きくするとマグネット部材の芯
ブレが大きくなり、逆に径を小さ目とすれば上記挿入作
業性が低下するばかりでなく、無理矢理挿入する結果、
孔（13）の内面をシャフト（11）が削り取って生じる削
りカスの処理に手間を要する上、フレキシブル磁石によ
ってはマグネットの表面にデコボコを生じ、磁束密度バ
ラツキを惹き起こす。またシャフト及びマグネットをそ
れぞれ切断した後挿入接着するので作業性が悪い。

以上、要するに、シャフトとマグネットとからなる従
来のマグネット部材はいずれのタイプも種々の問題を有
しており、高度の精度及び接着等の技術を要するため、
そのコストダウンには自ら制限がある。

本考案はかかる実情に鑑み、容易に製造でき且つ安価
なマグネットロール用のマグネット部材を提供すること
を目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

即ち、本考案は、円柱状マグネットの中央部に金属又
は合成樹脂からなる線状物又はテープ状物を挿入固定し
たことを特徴とするマグネットロール用マグネット部材
を内容とするものである。

〔実施例〕

本考案の実施態様を示す図面に基づいて説明すると、
第１図に示す本考案に用いられるマグネット部材（１）
は、円柱状マグネット（２）の中央部に線状体（３）が
挿入固定されてなる。

第２図は本考案に用いられるマグネット部材（１）の
他の実施態様を示し、円柱状マグネット（２）の中央部
にテープ状体（４）が挿入固定されてなる。

第３図は、本考案に用いられるマグネット部材（１）
の更に他の実施態様を示し、円柱状マグネット（２）の
中央部付近に２本の線状体（３）が挿入固定されてな
る。

本考案に用いられる線状体（３）としては、引張強度
の大きい素材からなり、例えばピアノ線等の金属、ガラ
ス繊維、その他の無機繊維等で強化したエンジニアリン
グプラスチック等の合成樹脂が好適で、またテープ状体
（４）も同じく引張強度の大きい素材、即ち、ステンレ
ス鋼等の金属や液晶ポリマー、その他の高配合、高結晶
樹脂等の合成樹脂が好適である。線状体（３）、テープ
状体（４）の円柱状マグネット（２）への挿入固定は、
円柱状マグネットのインサート押出成形する、断面が半
円状のマグネット片２個の間にこれらを挿入した後、接
着剤等により貼り合わせる等の方法によりなされる。

接着剤としては、酢ビ−塩ビ共重合体、アクリル、ポ
リビニルエーテル、シアノアクリレート系等の熱可塑性
樹脂系接着剤、エポキシ、フェノール等の熱硬化性樹脂
系接着剤、ゴム系接着剤が挙げられる。

本考案に使用されるマグネット材料としては公知の樹
脂又はゴムが用いられ、例えばエチレン−酢酸ビニル共
重合体、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、
塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩素
化ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイ
ド、ポリカーボネート、シリコーン系ゴム、NBR、SBR等
が単独又は混合して用いられ、また、本考案に使用され
る磁性粉としてはマグネトプラムバイト型のSr又はBaフ
ェライト等のフェライト系及びSm-Co系合金、Nd-Fe-B等
の希土類系、Al-Ni-Co系磁性粉が好適である。磁性粉の
含率は50〜70体積％が好適である。添加剤としては公知
のものがその目的に応じて用いられる。即ち、磁性粉の
分散性については使用する樹脂に応じて適当な表面処理
剤が用いられ、例えばシラン系カップリング剤、チタネ
ート系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリ
ング剤、高級脂肪酸及びその金属塩、フォスフォン酸エ
ステル等がこれに含まれる。また安定性向上剤、抗酸化
剤、紫外線吸収剤、滑剤等の添加剤もその目的に応じ
て、また樹脂との関連に応じて適宜使用される。

上記の如くして得られた本考案のマグネット部材は、
その外側にスリーブを回転自在に取り付けた後、線状体
（３）又はテープ状体（４）を両端部で緊張状態に支持
してマグネットロールとされる。

〔作用・効果〕

叙上の通り、本考案によれば従来のマグネット部材に
見られる如き、シャフトに関する高度の精度や接着にお
ける高度の技術は要求されず、またこれらに由来するト
ラブルから開放されるため、製造が容易で且つ安価なマ
グネットロールの提供が可能となる。

更に、従来のシャフトを用いたマグネットロールに比
べ、軽量化及び小型化が実現される。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は、それぞれ本考案の実施態様を示す
斜視図、第４図（Ａ）、（Ｂ）、第５図及び第６図は、
それぞれ従来のマグネットロール用のマグネット部材を
示す概要図である。 １……マグネット部材 ２……円柱状マグネット ３……線状体 ４……テープ状体 11……シャフト 12、12a〜12d……マグネット 13……孔

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】円柱状マグネットの中央部に金属又は合成
   樹脂からなる線状物又はテープ状物を挿入固定したこと
   を特徴とするマグネットロール用マグネット部材。