JP2523300Y2 - 球技用ボールのための人工皮革パネル - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、サッカーボール等球技
用ボールのための人工皮革パネルに関する。

【０００２】

【従来の技術】サッカーボール等球技用ボールは、所謂
縫いボールと貼りボールの２種類に大別できる。縫いボ
ールとは、表面層を形成する複数枚の皮革パネル同士が
縫い合わされた構造のボールをいい、他方貼りボールと
は、同様の複数枚の皮革パネルがボール基体に貼り合わ
された構造のボールをいう。

【０００３】本考案は、上述の縫いボールの改良に関す
るものである。尚、本考案において、表面層を構成する
人工皮革パネルとは、本来の人工皮革パネルに合成皮革
パネルを含む概念として使用している。即ち、通常人工
皮革とは、非常に微細な連続気孔を有する合成樹脂表皮
層と、三次元交絡構造をもつ連続した気孔のある不織布
とから構成されたものをいい、また合成皮革とは、天然
皮革の銀面層に相当する合成樹脂表皮層と、網状層に相
当する織布又は気孔を多数含む合成樹脂層にて構成され
るものをいうが、両構造ともに本考案における人工皮革
に含まれるものとする。

【０００４】図３は、サッカーボールの外観を示し、そ
の断面は図２に示す如き人工皮革パネル１の縫い合わせ
構造よりなる。皮革パネル１は外側から合成樹脂表皮層
２、不織布層３、発泡層４、布層５，６，７よりなり、
これらはラテックスゴム糊等により接着されている。８
は、隣接する皮革パネル１，１同士を縫い合わせる糸、
９は、球に縫い合わされた皮革パネル１，１…内に収容
された球形中空体のゴム製チューブであり、バルブ（図
示せず）を介して圧搾空気が封入される。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】図２に示すように、発
泡層４を皮革パネルのバッキング材料として使用する
と、蹴球時の感触が軟らかく、又足に食い込み、コント
ロールがし易い等サッカーボールの皮革パネルとして適
している。しかしながら、かかる皮革パネルを使用した
サッカーボールは、石やコーナーポスト等の鋭角部分に
衝突した際に、破れ易いという問題がある。即ち図２に
Ａにて示す如く、表皮層２及び不織布３が破れた場合、
その下の層である発泡層４が機械的に極めて弱いため
に、この破れが簡単に拡大していき、ボールの寿命を短
くしてしまうことが多い。更に、発泡層による重量アッ
プ分、バッキング布を削減する必要があることから、強
度が低下し、耐久性（使用により、ボールが大きくな
る）が悪化するという問題がある。

【０００６】本考案は、このような問題を解決し、ボー
ルの感触の軟らかさを保つと同時に耐久性をも向上させ
たものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本考案は、圧搾空気が封
入される球形中空体のゴム製チューブ、該チューブを被
覆して形成された複数枚の人工皮革パネルを縫い合わせ
てなる表面層を具備してなる球技用ボールのための人工
皮革パネルであって、該人工皮革パネルは、外側から合
成樹脂表皮層、不織布層、単層又は複数層の布層、合成
樹脂又はゴムよりなる弾力性を有する発泡層、単層又は
複数層の布層を接着積層してなるものである。また本考
案は、圧搾空気が封入される球形中空体のゴム製チュー
ブ、該チューブを被覆して形成された複数枚の人工皮革
パネルを縫い合わせてなる表面層を具備してなる球技用
ボールのための人工皮革パネルであって、該人工皮革パ
ネルは、外側から合成樹脂表皮層、単層又は複数層の布
層、合成樹脂又はゴムよりなる弾力性を有する発泡層、
単層又は複数層の布層を接着積層してなるものである。

【０００８】

【実施例】図１は、本考案一実施例を示し、人工皮革パ
ネル１０は、外側からウレタン樹脂等耐摩耗性を有する
合成樹脂表皮層２、不織布層３、綿布、ポリエステル、
綿混紡布、ポリエステル布等よりなる２枚の布層１１，
１２、ＥＰＤＭ、天然ゴム、クロロプレンゴム等のゴム
又はウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、酢酸ビニ
ル等の合成樹脂よりなる弾力性を有する発泡層１４、前
述の布と同様の２枚の布層１５，１６の積層構造よりな
り、合成樹脂表皮層２及び不織布層３よりなる従来の人
工皮革に、バッキング材として上記部分がそれぞれラテ
ックスゴム糊等により接着されてなる。８は隣接する皮
革パネル１０，１０同士を縫い合わせる糸、９はブチル
ゴムよりなる前述のチューブである。尚、上記布層１
１，１２、１５，１６は各２枚ずつとしたが、これらは
単層とすることができる。

【０００９】かかる構造であれば、ボールに鋭角的衝撃
が加わり、Ａにて示すように合成樹脂表皮層２及び不織
布層３が破れたとしても、その下層の布層１１，１２が
強靱であるために、これより下層に破れが拡がることは
ない。即ち、発泡層１４は、この布層１１，１２にて保
護される。

【００１０】

【表１】

【００１１】表１は、従来例と、本考案一実施例に係る
パネルの構成要素の重量及び厚さを示し、実施例の方が
軽いことが分かる。また、バッキング布層も従来例３
層、実施例４層とすることができ、強度の向上を図るこ
とができる。Ｆ５サイズサッカーボールのパネル部分の
総重量は、２８６ｇないし３８８ｇであり、ボール規格
に合致している。尚、ボール全重量は、３９６ｇないし
４５３ｇ、そのうちチューブが５５ｇないし１００ｇ、
縫糸が１０ｇである。

【００１２】

【考案の効果】本考案によれば、ボールの感触を軟らか
くするためにバッキング材として用いられる発泡層の表
面を布層にて被覆し、これを保護するから、仮に表皮層
に破れを生じても、これが発泡層にまで到達することは
殆どない。それ故、多少の破れを生じてもボールの機能
に影響はなく、その耐久性を一段と向上させることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案一実施例断面図である。

【図２】従来例を説明するための断面図である。

【図３】サッカーボールの外観を示す正面図である。

【符号の説明】

１，１０ 人工皮革パネル ２ 合成樹脂表皮層 ３ 不織布層 ４，１４，２４ 発泡層 ５，６，７，１１，１２，１５，１６ 布層 ８ 糸 ９ チューブ

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 圧搾空気が封入される球形中空体のゴム
   製チューブ、該チューブを被覆して形成された複数枚の
   人工皮革パネルを縫い合わせてなる表面層を具備してな
   る球技用ボールのための人工皮革パネルであって、該人
   工皮革パネルは、外側から合成樹脂表皮層、不織布層、
   単層又は複数層の布層、合成樹脂又はゴムよりなる弾力
   性を有する発泡層、単層又は複数層の布層を接着積層し
   てなることを特徴とする球技用ボールのための人工皮革
   パネル。