JP2521229B2 - 大腸崩壊性組成物及びその製造法 - Google Patents

大腸崩壊性組成物及びその製造法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、経口投与した製剤を小
腸を通過させ大腸まで搬送するための小腸通過性大腸崩
壊性組成物に関する。本発明の組成物は、小腸において
は崩壊せずそのまま通過し、大腸において崩壊し選択的
に薬物を放出する大腸崩壊性錠剤または顆粒剤を得るた
めの被覆材として用いられる。
【0002】
【従来の技術】インシュリン等のポリペプタイド製剤
は、胃酸や小腸内プロテアーゼによって容易に分解失活
するために経口投与は困難であり、現在注射によって患
者体内へ投与されている。しかしながら、注射は特に定
期的な投与を必要とする場合、患者に多大の苦痛を強い
るため、錠剤やカプセル製剤のような形態で経口投与す
ることが望まれている。一方、近年になりプロテアーゼ
活性が低く、製剤の移動が少ない大腸が、ポリペプタイ
ド系薬物の吸収部位として好適であることが明らかとな
り、薬物を胃酸や小腸内プロテアーゼから保護し、大腸
まで搬送する適切な手段によって大腸崩壊性の製剤とす
ることにより、ポリペプタイド製剤の経口投与化が可能
となることが示唆されている。このような大腸崩壊性製
剤は、潰瘍性大腸炎等の大腸疾患のターゲッティング治
療薬においても有効であり、これにより極力少量の投与
においても作用部位である大腸での必要薬物濃度が確保
でき、副作用を著しく軽減することができるものと期待
されている。
【0003】こうした状況下、大腸崩壊性製剤を調製す
るための幾つかの方法が提案されている。そのひとつは
アゾ系ポリマーを使用するものであり、アゾ結合が大腸
内の微生物の作用によって分解されることに着目し、ア
ゾ架橋ポリマーや主鎖骨格中にアゾ基を有するポリウレ
タンにより錠剤を被覆するものである。しかしながら、
この材料は完全な化学合成物であるので、大腸内での分
解による生成物の安全性を十分に確認する必要がある。
また、他の方法として、製剤中に高吸水性物質を添加
し、これが経時的に吸水膨潤して、大腸に達した時点で
崩壊させようとする方法が検討されているが、経口投与
した製剤の消化管内の移動速度は種々の条件等により著
しく変化するため、確実性のある方法とは言えない。
【0004】さらにまた、天然物由来のキチンの通常7
0モル%以上の部分脱アセチル化キチンであるキトサン
を利用する方法として、キトサンからなるカプセルの表
面をpHが5以上の液に可溶な重合体、いわゆる腸溶性
材料で被覆する大腸崩壊性硬質カプセル(特開平4−4
1422)や、固形製剤上にキトサンおよび腸溶性材料
を被覆する大腸内放出固形製剤(特開平4−6933)
が開示されている。これらの技術は、キトサンが通常弱
アルカリ性を示す小腸内では溶解せず、多くの微生物が
存在する大腸では、微生物が産生するリゾチーム等の酵
素や有機酸の作用により崩壊する性質を利用したもので
あり、大腸での選択崩壊性が高く、また、キトサンは既
に食品添加物として使用されているように安全性の点で
も問題がなく、大腸崩壊性製剤を調製する方法として極
めて有用な技術といえる。しかしながら、上記大腸崩壊
性硬質カプセルの技術は錠剤や顆粒剤等への適用はでき
ず、その形態はあくまでカプセル製剤に限定されるもの
である。また、大腸内放出性固形製剤の場合、キトサン
が水には溶解しないため、固形製剤にキトサンをコート
するにあたってはキトサンを酸水溶液に溶解する必要が
あるが、コート後にこの酸を完全に除去することは事実
上難しく、キトサン膜中に酸が残存することは避けられ
ない。このことは、キトサン皮膜の耐水性を低下させる
とともに、酸による薬物の化学変化により製剤本来の薬
理効果を失わせるという問題がある。
【0005】ところで、キトサンの溶解に使用する酸に
よる種々の弊害を解決するものとして、キトサンの構成
単位であるN−アセチル−D−グルコサミンとD−グル
コサミンがランダムに分布した非晶性で水溶性のキトサ
ンが知られている(特開昭53−47479)。しかし
ながら、これをそのまま大腸崩壊性の材料とした場合に
は、耐水性がなく小腸において溶解するため目的は達成
できない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
背景を考慮し、小腸通過性大腸崩壊性のキトサンの特性
を生かしながら、キトサンのように酸を用いることなく
酸による弊害のない材料を提供しようとするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、微細セルロースと、水
溶性キトサンとからなる組成物が水中で崩壊せず、キト
サンの有する大腸崩壊性を維持することができることを
見出して、本発明を完成するに至った。すなわち、本発
明は、(1)微細セルロースと、微細セルロースに対し
20〜200重量%の脱アセチル化度が40〜60モル
%である水溶性キトサンからなることを特徴とする小腸
を通過し大腸で崩壊する組成物、(2)脱アセチル化度
が95モル%以上であるキトサンの酸溶液に、アルコー
ルで希釈した無水酢酸を添加し、脱アセチル化度が40
〜60モル%までN−アセチル化することを特徴とする
水溶性キトサンの製造法、に関する。
【0008】本発明における水溶性キトサンは、水溶性
の部分脱アセチル化キチンであって、N−アセチル−D
−グルコサミンとD−グルコサミンを構成成分とし、脱
アセチル化度、すなわちD−グルコサミン単位の含量が
40〜60モル%であり、2つの構成単位がランダムに
分布した非晶性のものをいう。脱アセチル化度が40%
未満あるいは60%を越えると、キトサンは結晶性とな
り、水に溶解しなくなる。キトサンは、一般的にはカ
ニ、エビ等の甲殻類の外殻を粉砕し、炭酸カルシウムや
蛋白質を除去して得たフレーク状のキチンを、濃アルカ
リ処理により脱アセチル化することによって得られる
が、このような不均一系の脱アセチル化では、N−アセ
チル−D−グルコサミンとD−グルコサミンがブロック
状に分布するため結晶性となり、このものは鉱酸や有機
酸の水溶液には溶解するものの、水のみで溶解するもの
は得られない。
【0009】本発明で使用する水溶性のキトサンの調製
法には特に限定はないが、例えば高度に脱アセチル化し
たキトサンを酸溶液に溶解した溶液に、無水酢酸を添加
して脱アセチル化度が40〜60モル%までN−アセチ
ル化し、その後反応生成物を分離精製することによって
得ることができる。反応物の脱アセチル化度は無水酢酸
の添加量により容易に制御することができる。この方法
において、N−アセチル化する原料キチンの脱アセチル
化度は95モル%以上、より好ましくは98モル%以上
が良く、これより低い場合には生成したキトサン中にN
−アセチル−D−グルコサミンがブロック状で残存し水
溶性が低下する。さらに本発明では、この方法において
無水酢酸をアルコールの存在下、望ましくはアルコール
で希釈して添加することが有効である。工業的に水溶性
キトサンを調製する場合、そのコストを考慮すると極力
高濃度で反応させることが望まれるが、粘稠なキチン溶
液に無水酢酸を直接添加すると、無水酢酸が溶液全体に
拡散する前に不均一にN−アセチル化反応が進行し、そ
の結果N−アセチル−D−グルコサミンがブロック状に
導入され水溶性が発現しない。アルコールによる希釈
は、無水酢酸添加時のN−アセチル化反応を抑制し、こ
の問題を解決するとともに、キトサンのアミノ基のプロ
トン化を抑え、N−アセチル化反応の効率を高めるため
に有効である。使用するアルコールとしては、メタノー
ル、エタノール、2−プロパノール等があげられるが、
メタノールが特に好適である。
【0010】水溶性キトサンを得る他の方法として、キ
チンを比較的温度の低い濃アルカリに分散、溶解してア
ルカリキチン水溶液を調製し、これを熟成して所定の脱
アセチル化度になるまで脱アセチル化反応を進行させ、
その後生成物を分離精製する方法が知られている。しか
しながら、この方法では脱アセチル化度を反応時間によ
り制御するため、わずかな条件の違いにより脱アセチル
化度が所望の範囲から外れることが多く、再現性の点で
高度に脱アセチル化したキチンをN−アセチル化する前
記方法が好ましい。水溶性を示すキチンとしては、本発
明で使用する水溶性キトサン以外にも、例えばグリコー
ルキチンやカルボキシメチルキチン等の水溶性キチン誘
導体が多く知られているが、これらは天然高分子である
キチンが本来有する官能基以外のものを導入したもので
あり、安全性の点で本発明の水溶性キトサンが優れてい
る。
【0011】本発明のもうひとつの成分である微細セル
ロースは、水溶性キトサン中に混合分散させることによ
り、この組成物を水で不溶化、すなわち小腸内での溶解
を防止する特性を与えるものである。微細セルロースの
添加によっても、キトサンが本来有する大腸での崩壊性
は失われないため、この組成物は小腸通過性大腸崩壊性
材料として使用できる。微細セルロースの添加により水
溶性キトサンが水不溶化する機構は詳細には明らかでは
ないが、微細セルロース中の水酸基や僅かに存在するカ
ルボニル基等の官能基とキトサン中のアミノ基の間に化
学結合が生じて複合化することによるものと考えられ
る。本発明で使用する微細セルロースの種類には特に限
定はないが、例えば木材パルプ等のセルロース素材を、
種々の方法により粉砕あるいは叩解した微粒子あるいは
微細繊維が使用できる。ただし、上記複合化反応は微細
セルロースの表面においてのみ起きるため、小腸内での
高い膜強度を得るにはできるだけ表面積の大きな微細セ
ルロースを使用するのが好ましい。こうしたセルロース
を得る方法としては、例えばセルロース素材をセラミッ
クあるいは金属ビーズ等の媒体とともに容器内で強制撹
拌して微細粒子に湿式粉砕する方法(特開平3−163
135参照)、セルロース素材の水懸濁液を高圧で小径
オリフィスより噴出させることにより微小繊維化、いわ
ゆるミクロフィブリル化する方法(特開昭56−100
801参照)等が適用できる。
【0012】本発明の組成物における水溶性キトサンの
量は、微細セルロースに対し20〜200重量%、より
好ましくは50〜100重量%である。水溶性キトサン
が20重量%未満では、錠剤等にコートした時の被覆膜
の強度が非常に低いものとなり、一方200重量%以上
では水不溶性とならず、いずれの場合も小腸において容
易に崩壊し目的は達成できない。本発明の組成物は、粉
末、水溶液あるいはフィルム等の固形状のようないずれ
の形でもよい。本発明の組成物を被覆材として利用した
大腸崩壊性の錠剤、顆粒剤を調製するには、水溶性キト
サンの水溶液中に微細セルロースを分散させたコート液
を、パンコーティング装置や流動層コーティング装置に
よる公知の方法により、錠剤、顆粒剤表面にコートすれ
ば良い。コート液には必要により、グリセリン等の可塑
剤や小腸内での強度を高めるためにタルク、シリカ等の
無機フィラーを添加することができる。また、被覆層の
厚みは50〜200μmとするのが好ましい。錠剤や顆
粒剤上に形成した皮膜は、上述した水溶性キトサンと微
細セルロースとの複合化反応により、通常弱アルカリ性
あるいは中性を示す小腸内では皮膜強度を維持し、腸内
プロテアーゼから薬物を保護、あるいは製剤中の薬物の
放出を防止する。そして、大腸に達した後は、大腸内の
嫌気性細菌が産生する酢酸、乳酸等の有機酸、あるいは
リゾチーム等の酵素の作用により組成物の皮膜は崩壊
し、製剤中の薬物を大腸内に放出する。したがって、こ
のような組成物の大腸崩壊性は、各種pHの緩衝液中で
の皮膜の崩壊試験において酸性条件下で特異的に崩壊す
ること、あるいは腸内細菌培養液中で崩壊することによ
り確認することができる。
【0013】上記の通り本発明の組成物で被覆した錠
剤、顆粒剤は、さらにその表面に耐胃酸性を付与するた
めに、従来より広く使用されている各種の腸溶性材料で
被覆して大腸崩壊性経口製剤は完成する。腸溶性材料と
しては、メタアクリル酸メタアクリル酸メチル共重合
体、メタアクリル酸アクリル酸エチル共重合体、ヒドロ
キシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネー
ト、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、
カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセテ
ートフタレート、セラック等を例示できる。本発明によ
る組成物は、大腸崩壊性の錠剤や顆粒剤の被覆材として
利用するのがもっとも有効であるが、錠剤や顆粒剤の賦
形材、硬質カプセル材料として使用することも可能であ
る。
【0014】以下に実施例を示し、本発明をより具体的
に説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0015】
【実施例1】重量平均分子量が63000、脱アセチル
化度が99モル%のキトサン8gを、5重量%の酢酸水
溶液80gに溶解し、さらにそこにメタノール57gを
添加して粘稠で均質な溶液を調製した。この溶液に、撹
拌下でメタノール40mlで希釈した無水酢酸3.5gを
滴下し、室温において3時間N−アセチル化反応を行っ
た。次に反応液を多量のアセトン中に投入して水溶性キ
トサンを析出させ、これを濾過により分離後メタノール
で十分に洗浄し真空乾燥した。得られた水溶性キトサン
の脱アセチル化度は52%であり、良好な水溶性を有し
ていた。次に、この水溶性キトサンの4%水溶液90g
と、レーザ回折法によって測定した平均粒径が3.5μ
m、濃度が12.5%の微細セルロース分散液(旭化成工業
社製、セルクリームMF−35)60gをよく混合し、
コート液を調製した。
【0016】このコート液を、1錠あたり模擬薬物とし
てビタミンAを1000I.U.含有した径8mm、重
量200mgの錠剤に、平均膜厚が150μmとなるよ
うに均一にコートした。こうして得た錠剤を、蒸留水、
日本薬局方崩壊試験法第2液およびpHが4〜8の各種
緩衝液(0.1N−酢酸−0.1M−酢酸ナトリウム)
に投入し、120分撹拌してその崩壊性を調べた。その
結果、蒸留水、薬局方第2液およびpHが6.5以上の
緩衝液では、錠剤はその形状を維持し、顕著なビタミン
Aの放出は認められず、一方、pHが6以下の緩衝液で
は錠剤は崩壊し、同時に試験液中へビタミンAが放出さ
れた。
【0017】また、同じ錠剤の大腸内細菌による崩壊試
験を実施した。試験細菌にはヒト大腸における優先菌種
であるBacteroides vulgatus IFO 14291を用い、この菌
のシステイン・チオグリコール酸含有生理食塩水培養液
に錠剤を投入し、37℃にて4時間嫌気条件下で振盪し
た結果、錠剤の崩壊およびビタミンAの放出が確認され
た。以上により、本実施例の水溶性キトサンと微細セル
ロースとからなる組成物が、小腸通過性大腸崩壊性であ
ることが明らかとなった。
【0018】
【実施例2】繊維径が0.5μm以下に微細に叩解した
ミクロフィブリルセルロース(ダイセル化学工業社製、
セリッシュKY100−S)の 1.5%水懸濁液に、実施
例1で調製した水溶性キトサンの7%水溶液を、セルロ
ースに対し0〜300重量%になるように均一に混合分
散させた液をガラス板上に流延、乾燥して、厚みが50
μmのフィルムを作成した。
【0019】このフィルムの小片を蒸留水、日本薬局方
崩壊試験法第2液およびpHが5〜8の各種緩衝液
(0.1N−酢酸−0.1M−酢酸ナトリウム)の入っ
た試験管に投入し、120分間振盪してフィルムの崩壊
を調べた。その結果、表1に示すように水溶性キトサン
がセルロースに対し20〜200重量%の範囲ではpH
が6.5以上では崩壊せず、6以下では崩壊した。ま
た、上記と同じフィルムを、実施例1と同様にBacteroi
des vulgatus培養液中に投入し、37℃にて4時間嫌気
条件下で振盪した結果、どの組成のフィルムも崩壊し、
大腸崩壊性であることが確認された。
【0020】
【表1】
【0021】
【実施例3】重量平均分子量が約70000であり、種
々の脱アセチル化度を有するキトサンを、5重量%の酢
酸水溶液10%濃度で溶解し、さらにその溶液にメタノ
ールを添加して6%に希釈した。この溶液に撹拌下で、
キトサンのアミノ基に対し50〜90モル%の無水酢酸
を、その10倍量のメタノールで希釈して滴下し、室温
において3時間N−アセチル化反応を行った。また、無
水酢酸をメタノールで希釈しないで添加する方法によっ
ても同様な反応を行った。この反応液より実施例1と同
様の方法によりキトサンを分離精製し、その脱アセチル
化度を測定するとともに、蒸留水への溶解性の試験をし
た。その結果、表2に示すように、脱アセチル化度が9
5%以上のキトサンをN−アセチル化した場合、得られ
る脱アセチル化度が40〜60モル%であるキトサンは
水溶性を示し、同範囲の脱アセチル化度であっても、出
発原料の脱アセチル化度が95モル%未満では水溶性は
発現しないことが明らかになった。また、本実施例のよ
うに比較的高濃度でのN−アセチル化反応では、無水酢
酸を添加する際にメタノールで希釈することが有効であ
ることがわかった。
【0022】
【表2】
【0023】
【発明の効果】本発明の組成物は、錠剤や顆粒剤の被覆
膜として使用した場合、小腸内では皮膜としての特性を
維持して薬物を保護し、大腸に到達後は腸内細菌の作用
により毒性を示すことなく容易に崩壊し、大腸内に選択
的に薬物を放出することができる。また、被覆のための
コート液の調製には水のみを使用するため、薬物の化学
変化を誘発する恐れがない。こうした特性により、本発
明の組成物はインシュリン等のポリペプタイド経口製剤
や潰瘍性大腸炎等の大腸疾患の治療薬の調製に有利に使
用することができる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微細セルロースと、微細セルロースに対
    し20〜200重量%の脱アセチル化度が40〜60モ
    ル%である水溶性キトサンからなることを特徴とする小
    腸を通過し大腸で崩壊する組成物。
  2. 【請求項2】 脱アセチル化度が95モル%以上である
    キトサンの酸溶液に、アルコールで希釈した無水酢酸を
    添加し、脱アセチル化度が40〜60モル%までN−ア
    セチル化することを特徴とする水溶性キトサンの製造
    法。
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