JP2521098B2 - 大豆食品の製造方法 - Google Patents

大豆食品の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、大豆食品、特に予めその組織を破壊して
おき、その後、加工処理をすることが出来る大豆食品の
製造方法に関する。
(技術背景) よく知られているように、大豆種子中には、大豆油の
構成成分であるリノール酸やリノレイン酸などの不飽和
脂肪酸の酸化を促進する酵素リポキシゲナーゼが多量に
含まれている。これらの酵素の作用は非常に強く、脱
皮、脱胚軸、あるいは破砕、粉砕等の処理により物理的
損傷を受け、大豆組織の破壊が生じ、酵素と大豆油と空
気中の酸素が混合、接触されるような条件の下では乾燥
種子でさえ酸化が生じるが、水分の存在下ではより活性
が強くなる。生成した酸化物ヒドロペルオキシドはさら
に分解して中鎖アルデヒドやアルコール類等を生じ、こ
れらが青くさい大豆臭や苦み等の不快な味覚となるた
め、大豆油製造や大豆蛋白食品を製造する上で大きな問
題となっている。
このような大豆食品の代表例である豆乳、豆腐の従来
の製造工程は以下のようである。
上記の工程においても、磨砕前の失活処理は、通常90
℃程度の高温蒸気を15〜30秒間吹き付けることにより行
っている。これは脱皮による大豆組織破壊後に含水率を
高めるので、なるべく早く酵素の失活処理をすることに
よってそれによる酸化や不快臭発生を低く抑えようとす
ると共に、その後の磨砕による酸化や不快臭発生を低く
抑えようとするためである。この失活処理の時間的制約
は、例えば豆腐屋は早朝から仕事を始める職業の代表と
されているように、大豆食品の製造に他に見られない不
利な制約を課するものであった。
また、上記の失活処理の条件は、煮豆臭を生じないた
めの限界であるが、これだけでは不充分で、磨磨後の加
熱が不可欠である。
さらに、この従来方法では、酵素失活のための加熱処
理条件がかなり強いため、屡々、煮豆臭の発生や固形分
抽出率の著しい低下等が見られた。また、大豆蛋白質の
抽出率を向上させるためには、アルカリを加えて抽出す
る方法も採用されていた。しかし、この方法ではアルカ
リ臭が発生したり、有害であると言われている物質リジ
ノアラニンを生成する可能性もあり、問題が少なくな
い。
加熱処理をより温和な条件で行えば上記の問題は解決
するが、リポキシゲナーゼに由来する青豆臭をはじめと
する種々の臭成分が生成され、これもまた粗製豆乳の品
質を低下させる原因となる。
これに対してはより温和な条件で酵素の失活処理を行
い、発生した臭成分は種々の香料でマスキングするとい
うような対応がなされていた。
また、豆乳にあっては、蛋白含有率を高くすると、ど
うしても青臭みに由来する不快臭が強くなるため、香料
を使わない場合は固形物含有率を低くしなければなら
ず、豆乳が水っぽい等の欠点を生じていた。
(この発明が解決しようとする問題点) 豆乳、豆腐等の大豆製品にあっては、磨砕前の失活処
理による大豆蛋白の品質低下を避けることが望ましい。
その上、おから、みじんの分離を60℃以下で行えば、サ
ポニン等の収斂味成分がおから等に移行し、いわゆる生
絞り豆乳、豆腐と呼ばれる風味の良い製品が得られるこ
とが知られている。このため※印の失活処理は、分離後
*印の時期に行うことが望ましい。しかし、この分離を
行うには磨砕から2〜3分の時間を要し、この間にリポ
シキゲナーゼの作用により上記のような問題を避けるこ
とが出来ない。
この発明は、上記の欠点を含まないと共に、組織破壊
後、次の加工工程までの時間を自由に取り得る大豆の加
工方法を得ようとするものである。
(問題を解決するための手段) この発明においては、大豆食品を製造するにあたり、
リポキシゲナーゼ2及び3を同時に欠失する大豆を、水
分含有量が20%以下の状態で大豆組織を破壊し、その組
織を破壊した大豆を原料とし、適宜の時間経過後、その
水分含有量を20%以上に調整した後、60℃以上の温度で
加熱による失活処理等の酵素の作用を停止させる処理を
行うことを特徴とする。
ただし、上記の水分含有量を20%以上にする調整後
は、次式で示される時間T以内に、上記の酵素の作用を
停止させる処理を行うことが必要である。
logT=log2+(K+1)/2 K=(60−θ)/10 但しθは大豆の処理温度(℃)を示す。
(作用) 普通の大豆種子は前記リポキシゲナーゼとして少なく
ともL−1,L−2およびL−3の3種類を有している。
これらの酵素の性質はそれぞれ、L−1は遊離脂肪酸に
はよく作用するが、トリグリセリド等の中性脂肪酸には
作用しにくい。また、これらの基質に対しアルカリ側で
は強い活性を示すが、中性付近では活性が低い。さら
に、L−2、L−3と比較して熱に比較的安定である。
L−2は加熱により失活しやすいが、L−1、L−3に
比べて、アラキドン酸に対する活性が遥かに高い。また
トリグリセリドなど、中性脂肪にもよく作用する。ま
た、L−3はL−2と同様加熱により失活しやすく、リ
ノール酸等の遊離脂肪酸およびリノール酸エステルやト
リグリセリドなどの中性脂肪にも比較的良く作用する等
の特性を有していることが知られている。
リポキシゲナーゼが青豆臭を発生させるためには、基
質と酸素と酵素が混在し、しかもリポシキナーゼが酵素
活性を有している必要があるが、リポキシゲナーゼは、
未破壊の大豆組織中にあっては、脂質(大豆油)や酸素
とは分離されているか、或いは酵素が不活性な状態にあ
るものと考えられ、何れにしても大豆組織が破壊されな
い限りはリポキシゲナーゼによる青豆臭は発生しない。
従って、リポキシゲナーゼの作用による青豆臭発生の問
題は、リポキシゲナーゼが活性を有する状態で大豆組織
が破壊されたときにのみ引き起こされることとなる。
一方、大豆は水分含量が20〜25%を超すと急激に生理
活性が増大することが本発明者等によって確かめられ
た。従来、リポキシゲナーゼによる大豆製品の酸化や不
快臭発生を低く抑えるために、主として水分含量を10%
程度にまで下げた丸大豆を、子葉組織の損傷を出来るだ
け抑えながら脱皮し、その後、水分含量を25%以上に調
整しながら加熱することによって酵素失活処理する方法
が行われてきたのは、このためと解釈される。
最近、前記のような大豆の青臭みや苦味に関与してい
るリポキシゲナーゼL−1、L−2、L−3の欠失大豆
を得ようとする試みがなされている。
本発明者等は、これまで、複数のリポキシゲナーゼを
欠失する変異体を得る目的で、既知のリポキシゲナーゼ
L−1、L−2、L−3の各欠失大豆の交配により、既
にL−1・L−3同時欠失大豆およびL−2・L−3同
時欠失大豆を得ている(日本食品工業学会誌第31巻第11
号 1984年11月)。この内L−2・L−3同時欠失大豆
は、官能検査の結果実質上青臭みが全く無くなるという
顕著な抑臭効果を示し、大豆の食品としての利用価値を
大幅に高めるものであることが確認され、各種の官能検
査もこれを裏づけている。(特願昭59-176732号) L−2・L−3同時欠失大豆を用いた場合の大豆組織
破壊後の放置条件と不快臭発生の関係について、官能検
査により得られた結果を次表に示す。
表1はL−2・L−3同時欠失大豆(水分含量13%)
を粉砕後、そのまま各温度に放置した場合の不快臭の発
生状況を普通大豆と比べた結果を示している。普通大豆
の場合、大豆の粉砕と同時に青豆臭が発生し、しかも数
時間後には酸化臭も発生するが、L−2・L−3同時欠
失大豆では、20℃、40℃のいずれの場合も、1ケ月を経
過しても青豆臭、酸化臭その他の不快臭の発生は全く見
られなかった。
この結果はL−2・L−3同時欠失大豆を用いる場合
には、水分含量が低く、生理的に不活性な状態では組織
を破壊しても不快臭の発生までにはかなりの時間がかか
るので、通常の大豆食品の製造工程では、不快臭の発生
を問題にすることなく、随時に脱皮や粉砕等の組織破壊
処理をすることが出来ることを意味している。予備的な
実験においては、この問題の生じない保存期間は、1年
以上に及ぶことが認められている。
表2は水分含量を10%にしたL−2・L−3同時欠失
大豆を粉砕し、種々の湿度条件において、30℃、12時間
放置した後の不快臭発生の有無を示したものである。
この結果は、水分含量が低い状態で大豆組織を破壊し
てもそのままでは不快臭の発生はないが、水分含量が20
%以上になると不快臭が発生することを示している。す
なわち、L−2・L−3同時欠失大豆をを用いた場合に
は不快臭の発生は、大豆食品製造工程の加水後から加熱
処理までの段階で起ることが明らかになった。
この表は、L−2・L−3同時欠失大豆を粉砕後、そ
の10gを各温度の水100mlに加え、各温度で所定の時間放
置した後、不快臭の有無を調べた結果を示している。す
なわち、55℃では10秒間の放置によって不快臭の発生が
見られたのに対し、40℃では30秒、20℃では5分まで不
快臭は発生しなかった。また、60℃より高温の場合は、
始めから不快臭の発生は見られなかった。この結果は、
L−2・L−3同時欠失大豆は60℃以下では酵素活性が
残存しており、青豆臭等の不快臭を発生させるが、それ
以上の温度で加熱処理することで酵素失活が起こり、不
快臭の発生が抑えられたことを示している。また一方、
60℃以下では温度の低い方が不快臭発生までに要する時
間が長いことも示している。従って、L−2・L−3同
時欠失大豆を用いた場合は、加水温度が60℃以下でも、
酵素失活処理を行うまでの時間を適宜に選択することに
よってリポキシゲナーゼL−1の存在の有無に拘らず青
豆臭等の不快臭発生の問題がないか或いは極く僅かに抑
えることが出来ることが判った。
上記の温度と時間の関係を図に示す。図中の実線は、
上記の logT=log2+(K+1)/2 K=(60−θ)/10 の式に従ったlog曲線を示し、この式が温度と時間の関
係の近似式として成り立つことを示している。
(実施例) 実施例1 飲料豆乳の製造(その1) 水分含量を11%以下に調整したL−2・L−3同時欠
失生大豆を脱皮・脱胚軸後、微粉砕した。この生大豆粉
末は、室温で1ケ月間以上放置しても青豆臭、酸化臭等
の不快臭の発生が無いため、予め製造、貯蔵し、或いは
購入保存が可能である。
62℃の温水に上記の生大豆粉末を加えながら攪拌し、
約5分間大豆蛋白を溶出させてからオカラを分離し、固
形分濃度12%の大豆抽出液(粗製豆乳)を、原料大豆粉
末60kg当たり330リットル得た。この大豆抽出液は青豆
臭は勿論、不快臭も全くなく、しかも甘味の強いもので
あった。
この方法によって得られた大豆抽出液は、微生物やト
リプシンインヒビター等の高温でも安定な生理活性物質
が残存しているため、130℃で15秒間の加熱滅菌処理を
して、こくのある風味豊な無調整飲料豆乳が得られた。
実施例2 飲料豆乳の製造(その2) 常温の水に、実施例1と同様の方法によって製造した
L−2・L−3同時欠失生大豆粉末を加え攪拌後、100
℃で5分間加熱処理し、オカラを分離して固形分濃度12
%の豆乳を原料大豆60kg当たり320リットル得た。この
方法によって得られた豆乳は、青豆臭は勿論、豆腐臭や
他の不快臭も全くなく、しかも甘味の強いものであり、
そのまま飲料豆乳に供することが出来るものであった。
実施例3 飲料豆乳の製造(その3) 18℃の水に実施例1と同様の方法によって製造したL
−2・L−3同期欠失生大豆粉末を加えて約5分間攪拌
し、大豆蛋白を溶出させてからオカラを分離し、直ちに
130℃、15秒間の加熱滅菌処理を行った。この間、加水
から加熱終了までの間は約5分間であった。
この方法によって得られた豆乳は、青豆臭、不快臭が
無いばかりでなく、渋味、収斂味等の不快味も無く、し
かも甘味の強い、牛乳にも似た風味を有するものであっ
た。
実施例4 豆乳からの豆腐の製造 従来法により得られた飲料豆乳は、リポキシゲナーゼ
を失活させるために強い加熱を必要としたため、大豆蛋
白質の機能性喪失は著しいものであった。従って、従来
法による飲料豆乳から豆腐、油揚げ、がんもどき等の大
豆加工食品を製造しようとしても、物性(品質)の著し
く低下した製品しか製造出来なかった。しかし、この発
明により蛋白質の機能性を失っていない豆乳が容易に得
られるため、各種の大豆加工食品の原料として利用する
ことが出来る。さらに、この豆乳は青豆臭及びそれに起
因する様々な不快臭を有していないため、これらの食品
は従来の製品とはまったく異なる風味を有する。従っ
て、L−2・3欠失大豆を利用することにより、豆乳の
みでなく、大豆加工食品の利用分野を大きく拡げること
が出来るものである。
実施例1ないし実施例3で得られた大豆抽出液あるい
は豆乳を用い、常法により豆腐を製造した。この豆腐は
いわゆる豆腐臭と呼ばれる豆腐独特の香は無く、従来の
伝統的な豆腐の調理法は勿論、ソース、マヨネーズ、、
ケチャップ等、従来の豆腐では相性の悪かった味付けの
料理にも非常に良く合うものであった。その他、油揚
げ、がんもどき等の伝統的大豆加工食品の製造のために
利用した場合にも、従来製品のような豆腐臭は無く、そ
の結果、全く新しい風味の伝統食品を製造出来た。これ
により、伝統食品の新しい用途とその応用の途が大きく
開けた。
実施例5 乳酸発酵豆乳の製造 実施例1により得られた滅菌豆乳に、乳酸菌(Strept
ococcus sojalactis)スタータを添加して豆乳ヨーグル
トを製造した。従来の製品に比べて保水力があり、しか
も滑らかなカードを形成し、著しい品質の向上が認めら
れた。また風味が一層向上した。
また、この乳酸発酵豆乳を原料に大豆チーズ等を製造
した場合も、従来製品に比べ、風味の大幅な改善が見ら
れた。
実施例6 豆乳アイスクリームの製造 牛乳を原料とした一般のアイスクリームは、糖や動物
性脂肪(牛脂肪)が多いため、最近では肥満や心臓病の
予防の意味からも、豆乳(大豆)を原料とした純植物性
アイスクリームの需要が大幅に増えてきている。しか
し、従来の豆乳アイスは、大豆臭発生と、その問題に起
因する大豆蛋白の機能性喪失という問題により、どうし
ても固形分濃度の高いおいしいものを作ることが出来な
かった。この発明によれば、実施例3により得られた固
形分濃度10%の滅菌豆乳に、糖類、植物性油脂、安定剤
等の副資材を加え、常法に従って豆乳アイスを製造し
た。
この方法によって得られた豆乳アイスは、大豆固形分
濃度が8%であったが、不快臭は全く無く、さっぱりと
したおいしいものであった。
実施例7 酸沈殿豆乳の製造 酵素の作用を停止させるための処理は、上記のような
熱処理による方法だけでなく、従来知られている凍結に
よる方法、酸、アルカリ処理による方法、攪拌等による
酵素の高次構造の破壊処理による方法等が何れも利用可
能である。
その一例として酸処理によるものを次に示す。
18℃の水に実施例1と同様の方法によって製造したL
−2・3同時欠失生大豆粉末を攪拌しながら加え、連続
的に大豆固形物の抽出(オカラの分離)を行った。この
間、抽出操作は約5分間であった。得られた豆乳に塩酸
を加えてpH4〜4.5に調整し、大豆淡白の沈殿を得た。こ
の上澄み液を捨て、24時間常温で貯蔵後、体積が元に復
するまでの水を加えたのち、炭酸ナトリュウムで中和
し、直ちに130℃、15秒間の加熱滅菌処理を行った。。
この方法によって得られた豆乳は、実施例3で得られた
豆乳と同様の勝れたものであった。その上、上澄み液を
捨てることにより、保存ないし輸送しなければならない
豆乳の体積は大幅に減少し、流通に便利なものとなっ
た。
実施例8 ひき割り納豆の製造 近年、小粒の大豆によって製造された納豆の評価が高
いが、小粒の大豆が入手しにくいため、大粒の大豆を予
めひき割って納豆粒を小さくしたものがひきわり納豆と
して出回っている。しかし、納豆の製造業者は小規模業
者が多く、ひき割り設備を持つ者は極めて少ない。この
ため、ひき割り作業を外注するものが殆どである。しか
し、ひき割った大豆は1日か2日で酸化臭を生じ、ひき
割り納豆の風味を損ねると共に、ひき割り後の水分調整
のための浸漬により、蛋白質の喪失等の問題が生じてい
た。
この実施例においては、水分含量を11%以下に乾燥し
たL−2・L−3同時欠失生大豆をハンマー・ミルで約
1/8に粉砕し、風を送って皮を吹き飛ばし、除去した。
このひき割り大豆を10日間保存後、水に浸漬することな
く、70℃の蒸気で10分間蒸した後、常法により納豆を製
造した。その結果、従来のひき割り納豆に見られたよう
な風味が悪い、アンモニア臭が出やすい等の問題を生じ
ない、極めて品質のよいひき割り納豆を得ることが出来
た。
(発明の効果) この発明の大豆食品の製造方法によれば、上記のよう
に、大豆食品の製造工程中に、蛋白質の機能喪失をもた
らすような過酷な条件での加熱工程を含まず、製造工程
を簡略にし、エネルギーの浪費を防ぐだけでなく、大豆
蛋白の変性を生ぜず、その利用効率を高め、しかも、サ
ポニン等の収斂味成分が食品中に移行するのを防ぎ、俗
にいう生絞り豆乳、豆腐という風味の良い製品を容易に
得ることが出来るだけでなく、その風味の改善によって
伝統食品だけでなく、乳酸発酵食品、植物性アイスクリ
ーム等、従来とは異なる利用形態も可能になる等、従来
その例を見ない顕著な効果を奏するものである。
その上、水分含量の低い状態で予め生大豆粉末等の組
織を破壊した状態で保存しておくことが出来るので、例
えば、粉末の場合には単に水を加えるだけで、従来の原
料大豆の浸漬、失活処理、磨砕の諸工程を経たものと同
様のものを得ることが出来、この組織を破壊した生大豆
自体を食品製造原料として流通経路に乗せることが出来
ることとあいまって、大豆食品製造工程に革命的な変化
をもたらすものである。
上記の生大豆粉末からの蛋白質の抽出時間は、大豆粉
末の粒度により異なり、例えば200メッシュのように微
粉砕すれば抽出時間は約1分程度と短くなるが、分離し
た豆乳にミジンが混入するのを避けることが難しくな
る。逆に、大豆を粉砕せず、0.1mm程度の厚さにスイラ
スすれば、蛋白質の抽出には若干の時間を要するが、分
離した豆乳にオカラやミジンが混入する恐れはなく、風
味のよい大豆食品を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
図は、L−2・3同時欠失大豆の組織破壊後、酸化によ
る破壊臭発生までの時間と温度の関係を示すグラフであ
る。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リポキシゲナーゼ2及び3を同時に欠失す
    る大豆を原料とし、水分含有量が20%以下の状態で大豆
    組織を破壊し、その水分含有量を20%以上に調整した
    後、60℃以上の温度で加熱による失活処理を行うことを
    特徴とする大豆食品の製造方法
  2. 【請求項2】リポキシゲナーゼ2及び3を同時に欠失す
    る大豆を、その水分含有量が20%以下の状態で大豆組織
    を破壊したことを特徴とする食品用の原料大豆
  3. 【請求項3】リポキシゲナーゼ2及び3を同時に欠失す
    る大豆を原料とし、その水分含有量が20%以下の状態で
    大豆組織を破壊し、その後、上記の組織を破壊した大豆
    の水分含有量を20%以上に調整し、該調整後、次式で示
    される時間T以内に、酵素の作用を停止させる処理を行
    うことを特徴とする大豆食品の製造方法 logT=log2+(K+1)/2 K=(60−θ)/10 但しθは大豆の処理温度(℃)を示す。
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