JP2520763B2 - 水溶性メチン化合物および該化合物を含むハロゲン化銀写真乳剤 - Google Patents

水溶性メチン化合物および該化合物を含むハロゲン化銀写真乳剤

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JP2520763B2 JP2103108A JP10310890A JP2520763B2 JP 2520763 B2 JP2520763 B2 JP 2520763B2 JP 2103108 A JP2103108 A JP 2103108A JP 10310890 A JP10310890 A JP 10310890A JP 2520763 B2 JP2520763 B2 JP 2520763B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は有機溶剤の使用およびその他の可溶化に必要
な添加剤を添加する必要のない、水に可溶な一般式
(I)で表わされるメチン化合物に関する。
また分光増感したハロゲン化銀写真乳剤にあたり、一
般式(I)で表わされる分光増感色素を添加する際に有
機溶剤および/又は可溶化に必要な添加剤を使用するこ
となく一般式(I)で表わされる化合物が水溶液として
添加されていることを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤
に関する。
(従来の技術) 写真感光材料の製造にとって、分光増感技術すなわち
感光材料の感光波長域を可視域さらには赤外域まで充分
に長波長光に感光させるよう拡大せしめる方法がよく知
られている。
分光増感色素がハロゲン化銀写真乳剤に添加される場
合、添加される条件の変化によってハロゲン化銀微結晶
表面における吸着状態が著しく異り、これが写真作用例
えばカブリ作用、感度、分光感度分布、減感作用、感度
の安定性などに重大な影響を与える。このことはシー.
イー.ケー.ミース(C.E.K.Mees)著、ザ セオリー
オブ ザ フォトグラフィック プロセス(The Theory
of the Photographic Process)第2版(1954年マクミ
ラン社刊)の第12章430頁から500頁に詳しく記載されて
いる。
一般に、ハロゲン化銀写真乳剤の分光増感色素の多く
は実質的に水に不溶である。このため、分光増感色素を
ハロゲン化銀写真乳剤に添加するために通常用いられて
いる方法は、第1に水に自由に混合できる有機溶剤、例
えばアセトン、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、メチルセロソルブやピリジンなどに色素を溶解させ
て、乳剤に添加する方法である。この有機溶剤に一部水
を混合して添加する場合もある。特公昭44−23389号公
報に記載されている如く、アミジニウムイオン発色団を
有する増感色素に強酸を加えてプロトン化して水溶液と
して添加する方法、また特公昭44−22948号公報に記載
されている如く、実質的に水に不溶性の増感色素を揮発
性溶剤のコロイドに添加混合し、それを加熱して溶剤を
除去することによって親水コロイド中に色素を分散させ
る方法がある。
しかしながら、これらの方法は多くの欠陥をもってい
る。まず通常用いられている、水に自由に混合できる有
機溶剤に溶解して添加する方法は、用いる有機溶剤が共
存する塗布助剤の界面活性を低下させたり、バインダー
を凝固させたり、またカラー感材の場合には共存するカ
プラーを固塊したりするので、高速塗布例えば1分間当
り100m以上の塗布を著しく困難にする。他方、添加され
たとき、用いられている有機溶剤が直ちに水に混合する
ため増感色素がハロゲン化銀結晶に吸着する以前にバイ
ンダーに吸着してしまったり、それ自身凝集してしまっ
たりするために弱い分光感度しか与えないことがある。
また有機溶剤を用いる方法は防爆上の点で好ましくな
い。次に特公昭44−23389号公報に記載されている方法
では水溶液を強酸性にするため、色素の安定性の点で好
ましくない場合が多い。また特公昭44−22948号公報に
記載の親水コロイド中に色素を分散させる方法は、有機
溶剤を必要とし、したがって前記有機溶剤を用いる場合
と同様の欠点がある。
このような方法に代って、有機溶媒を用いることな
く、水溶液系にて写真用添加剤を湿潤剤や分散剤の存在
下で分散し調製し得られた写真用添加剤の水系分散物
を、ハロゲン化銀乳剤に添加する方法が試みられてお
り、例えば次のようなものが知られている。
すなわち、特開昭52−110012号には、増感剤を一定の
表面張力を有した分散剤(界面活性剤)の存在下、水性
相中にて粉砕し、得られた水性分散体から水分を除去、
乾燥した後に、そのままハロゲン化銀乳剤に添加する
か、または水ないしゼラチン水溶液に分散した後ハロゲ
ン化銀乳剤に添加するという方法が記載されている。
また、特開昭53−102733号には、次のような方法が記
載されている。すなわち、写真用微粒添加剤、ソルビト
ールなどの分散剤およびゼラチンなどの結合剤からなる
均質混合物を(ペースト状混合物)を調製し、それをヌ
ードル化し温風乾燥し粒状物とする。得られた粒状物を
写真用水性コロイド被覆用組成物に添加する。
更に、米国特許第4,006,025号明細書には、分光増感
剤を水と混合してスラリーにし、界面活性剤の存在下で
温度を40〜50℃に上げてホモジナイジングまたはミリン
グして分光増感剤を水中に均一分散し、得られた分散物
をハロゲン化銀乳剤に添加する方法が記載されている。
しかしながら、これらの添加方法は、いずれも有機溶
媒を使わずに水系で分光増感剤などの写真用添加剤を分
散する方法ではあるが、実用上次の様な問題点があっ
た。すなわち、水性分散体を凍結乾燥などによって粉末
化するため、分光増感剤などの写真用添加剤のハロゲン
化銀への吸着所要時間が長くなり、そのため短時間内に
所望の写真感度が得られず、更に、かかる乳剤を塗布し
ても析出物等にもとづく塗布故障が発生しやすい。ま
た、写真用添加剤を分散する時に湿潤剤ないし分散剤を
用いるために、ハロゲン化銀乳剤中に存在する乳化物の
破壊を起こしたり、ハロゲン化銀乳剤の高速塗布化に伴
ない塗布故障の増加などの悪影響を生じさせ、更に、製
造されたハロゲン化銀感光材料の密着性が悪くなり、製
品として好ましいことではなかった。その後も特開昭58
−105141号に見られるような改良法も研究されたが製造
に大くの労力を必要とするわりに所望の写真性能を得る
ことができないという問題は解決されていない。
また近年、特開昭62−215261号で開示されたように有
機溶剤や強酸を用いることなく分光増感色素を水溶液に
する手段として、シクロデキストリンおよびそのエーテ
ル誘導体を共存させる方法もある。
この方法は従来水には実質的に不溶であった分光増感
色素を水に対しいくぶん可溶にしてハロゲン化銀写真乳
剤を調製する。しかしながら、この方法では高価なシク
ロデキストリン誘導体を使用するためコストアップにな
るばかりでなく、写真的には必要のないシクロデキスト
リン誘導体の添加が、写真性に種々の影響(感度低下な
ど)を与え、また、膜質の劣化も引き起こすなど解決す
べき問題点も多く残している。
(発明が解決しようとする課題) このように一般に実質的に水に不溶である分光増感色
素を水溶化して添加することは写真感光材料の製造にと
っては重要な課題である。特にカチオン性シアニン色素
は一般に水への溶解度が低いものが多い。水溶性を増す
ために、分子内に水溶性基、特に解離性の水溶性基(例
えば、スルホン酸基、リン酸基)の導入がしばしば行な
われて来たが、水溶性の向上が計られたとしても、化合
物の性質が全く違うために、目的とする写真性が得られ
ない。したがって実質的にカチオン性シアニン色素の水
系での添加は困難であった。
カチオン性シアニン色素に属する化合物の中にメチン
鎖上に4−チアゾリジノン環、5−チアゾリジノン環、
4−イミダゾリジノン環、5−イミダゾリジノン環、4
−オキサゾリジノン環、5−オキサゾリジノン環、4−
ジチオラノン環を有する色素がある。それらの色素は、
ハロゲン化銀写真乳剤の分光増感剤として有用であり、
よく用いられている。しかし、それらの水に対する溶解
性は非常に低いため、使用にあたっては前記のような問
題があり、ハロゲン化銀写真乳剤の製造上都合が悪かっ
た。
従ってこれまでに前述のように非常に多くの研究が成
されて来たのだが水系での分光増感色素の添加方法は、
未だ未解決であるといっても過言ではない。
本発明の目的は水可溶な一般式(I)で示す新規メチ
ン化合物を提供し、更に該化合物の水溶液を添加するこ
とによるハロゲン化銀写真乳剤を提供することである。
(課題を解決するための手段) 本発明の一般式〔I〕で示す新規メチン化合物を用い
ることにより前記の目的が解決された。
式中、 Z1、Z2はそれぞれシアニン色素で通常用いられる5員
環及び/又は6員環の含窒素複素環を形成するに必要な
非金属原子群を表わす。
R1、R2はそれぞれアルキル基を表わす。Q1とQ2は組み
合わせることにより、4−チアゾリジノン環、5−チア
ゾリジノン環、4−イミダゾリジノン環、4−オキサゾ
リジノン環、5−オキサゾリジノン環、5−イミダゾリ
ジノン環または4−ジチオラノン環を形成するに必要な
原子群を表わす。
L1、L2、L3、L4、L5はそれぞれメチン基を表わす。
Rは水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基を
表わす。
mは1又は2を表わす。好ましくはmは1である。
i、hはそれぞれ0又は1を表わす。
lは1、または2を表わす。
j、kはそれぞれ0、1、2又は3を表わし、好まし
くは0、1、2である。j+kの合計は好ましくは3以
下、さらに好ましくは0、1、2である。
次に一般式〔I〕について以下に詳しく述べる。
R1、R2で表わされるアルキル基はここでは環状アルキ
ル基、不飽和アルキル基、分枝アルキル基の他に置換ア
ルキル基をも含む。
R1およびR2は、炭素数18以下の無置換アルキル基(例
えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペン
チル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデ
シル基など)が好ましい。環状アルキル基としてはシク
ロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基な
どが挙げられる。
また、不飽和アルキル基としてビニル基、ビニルメチ
ル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、3−ヘキセニ
ル基などが挙げられる。
更に分枝アルキル基としては、イソブチル基、4−メ
チルペンチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられ
る。
または置換アルキル基{好ましくは、置換基としては
カルボキシル基、シアノ基、ハロゲン原子(例えばフッ
素原子、塩素原子、臭素原子)、ヒドロキシル基、炭素
数8以下のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカ
ルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボ
ニル基、ベンジルオキシカルボニル基など)、炭素数8
以下のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、
ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基など)、炭素数
10以下の単環式のアリールオキシ基(例えばフェノキシ
基、p−トリルオキシ基など)、炭素数8以下のアシル
オキシ基(例えばアセチルオキシ基、プロピオニルオキ
シ基など)、炭素数8以下のアシル基(例えばアセチル
基、プロピオニル基、ベンゾイル基、メシル基など)、
カルバモイル基(例えばカルバモイル基、N,N−ジメチ
ルカルバモイル基、モルホリノカルボニル基、ピペリジ
ノカルボニル基など)、スルファモイル基(例えばスル
ファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、モル
ホリノスルホニル基、ピペリジノスルホニル基など)、
炭素数10以下のアリール基(例えばフェニル基、4−ク
ロルフェニル基、4−メチルフェニル基、α−ナフチル
基など)で置換された炭素数18以下のアルキル基}が好
ましい。
Z1、Z2は5員、6員の含窒素複素環を形成するに必要
な非金属原子群を表わし、その環は例えばチアゾール核
(例えばチアゾール、4−メチルチアゾール、4−フェ
ニルチアゾール、5−メチルチアゾール、5−フェニル
チアゾール、4,5−ジメチルチアゾール、4,5−ジフェニ
ルチアゾール、4,(2−チエニル)チアゾール等)、ベ
ンゾチアゾール核(例えばベンゾチアゾール、4−クロ
ロベンゾチアゾール、5−クロロベンゾチアゾール、6
−クロロベンゾチアゾール、7−クロロベンゾチアゾー
ル、4−メチルベンゾチアゾール、5−メチルベンゾチ
アゾール、6−メチルベンゾチアゾール、5,6−ジメチ
ルベンゾチアゾール、5−ブロモベンゾチアゾール、6
−ブロモベンゾチアゾール、5−ヨードベンゾチアゾー
ル、5−トリフルオロメチルベンゾチアゾール、5−フ
ェニルベンゾチアゾール、4−メトキシベンゾチアゾー
ル、5−メトキシベンゾチアゾール、6−メトキシベン
ゾチアゾール、5−カルボキシベンゾチアゾール、5−
シアノベンゾチアゾール、5−フルオロベンゾチアゾー
ル、5−エトキシベンゾチアゾール、テトラヒドロベン
ゾチアゾール、5,6−ジメトキシベンゾチアゾール、5
−ヒドロキシベンゾチアゾール、6−ヒドロキシベンゾ
チアゾール、5,6−ジヒドロキシベンゾチアゾール
等)、ナフトチアゾール核(例えばナフト−〔1,2−
d〕チアゾール、ナフト〔2,1−d〕チアゾール、ナフ
ト〔2,3−d〕チアゾール、5−メトキシナフト〔2,1−
d〕チアゾール、5−エトキシナフト〔2,1−d〕チア
ゾール、8−メトキシナフト〔1,2−d〕チアゾール、
7−メトキシナフト〔1,2−d〕チアゾール、8,9−ジヒ
ドロナフト〔1,2−d〕チアゾール等)、オキサゾール
核(例えば4−メチルオキサゾール、5−メチルオキサ
ゾール、4−フェニルオキサゾール、4,5−ジフェニル
オキサゾール、4−エチルオキサゾール、4,5−ジメチ
ルオキサゾール、5−フェニルオキサゾール等)、ベン
ゾオキサゾール核(例えばベンゾオキサゾール、5−ク
ロロベンゾオキサゾール、5−メチルベンゾオキサゾー
ル、5−フェニルベンゾオキサゾール、6−メチルベン
ゾオキサゾール、5,6−ジメチルベンゾオキサゾール、
4,6−ジメチルベンゾオキサゾール、5−メトキシベン
ゾオキサゾール、5−エトキシベンゾオキサゾール、5
−フルオロベゾオキサゾール、6−メトキシベンゾオキ
サゾール、5−ヒドロキシベンゾオキサゾール、6−ヒ
ドロキシベンゾオキサゾール等)、ナフトオキサゾール
核(例えばナフト〔1,2−d〕オキサゾール、ナフト
〔2,1−d〕オキサゾール、ナフト〔2,3−d〕オキサゾ
ール等)、セレナゾール核(例えばセレナゾール、4−
メチルセレナゾール、4−フェニルセレナゾール、4,5
−ジフェニルセレナゾール等)、ヘンゾセレナゾール核
(例えばベンゾセレナゾール、5−クロロベンゾセレナ
ゾール、5−メチルベンゾセレナゾール、5−メトキシ
ベンゾセレナゾール、5−フェニルベンゾセレナゾール
等)、ナフトセレナゾール核(例えばナフト〔1,2−
d〕セレナゾール、ナフト〔2,1−d〕セレナゾール、
ナフト〔2,3−d〕セレナゾール等)、テルラゾール核
(例えばベンゾテルラゾール、5−メチルベンゾテルラ
ゾール、5,6−ジメチルベンゾテルラゾール、ナフト
〔1,2−d〕テルラゾール、ナフト〔2,1−d〕テルラゾ
ール、ナフト〔2,3−d〕テルラゾール、6−メトキシ
ナフト〔1,2−d〕テルラゾール等)、チアゾリン核
(例えばチアゾリン、4−メチルチアゾリン、4−フェ
ニルチアゾリン等)、オキサゾリン核(例えば5,5−ジ
メチルオキサゾリン等)、イソオキサゾール核(例えば
5−メチルイソオキサゾール等)、ベンゾイソオキサゾ
ール核(例えばベンゾイソオキサゾール等)、3,3−ジ
アルキルインドレニン核(例えば3,3−ジメチルインド
レニン、3,3,5−トリメチルインドレニン、5−クロロ
−3,3−ジメチルインドレニン、5−エトキシカルボニ
ル−3,3−ジメチルインドレニン、4,5−ベンゾ−3,3−
ジメチルインドレニン、6,7−ベンゾ−3,3−ジメチルイ
ンドレニン等)、2−ピリジン核(例えばピリジン、5
−メチルピリジン等)、4−ピリジン核(例えばピリジ
ン等)、2−キノリン核(例えば6−エトキシキノリ
ン、6−エチルキノリン、6−クロロキノリン、8−フ
ルオロキノリン等)、4−キノリン核(例えば8−メチ
ルキノリン、8−フルオロキノリン、6−クロロキノリ
ン等)、1−イソキノリン核(例えばイソキノリンな
ど)、ナフチリジン核(例えば7−メチル−1,8−ナフ
チリジン、8−メチル−1,5−ナフチリジン等)、テト
ラゾール核(例えばメチルテトラゾール、エチルテトラ
ゾール、フェニルテトラゾール等)、イミダゾ〔4,5−
b〕キノキサリン核(例えば1−エチルイミダゾ〔4,5
−b〕キノキサリン、1−メチルイミダゾ〔4,5−b〕
キノキサリン、1−フェニルイミダゾ〔4,5−b〕キノ
キサリン、1−(2−メトキシエチル)イミダゾ〔4,5
−b〕キノキサリン、6−クロロ−1−ブチルイミダゾ
〔4,5−b〕キノキサリン等)、4,9−ジオキソ−4,9−
ジヒドロナフト〔2,3−d〕イミダゾール核(例えば1
−ブチル−4,9−ジオキソナフト〔2,3−d〕イミダゾー
ル、1−(2−メチルプロピル)−4,9−ジオキソナフ
ト〔2,3−d〕イミダゾール等)等が好ましい。
L1、L2、L3、L4、L5それぞれはメチン基(ここでは置
換メチン基及びメチン鎖上に環を形成する場合も含む)
を表わし、置換基としては炭素数1〜4のアルキル基
(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基な
ど)、炭素数6〜10のアリール基(例えばフェニル基、
2−カルボキシフェニル基、4−メチルフェニル基、2
−クロロフェニル基など)、炭素数1〜9の置換アルキ
ル基(例えばクロロメチル基、ベンジル基、2−フェニ
ルエチル基、3−フェニルプロピル基、メトキシエチル
基など)、炭素数1〜6のアルコキシ基(例えばメトキ
シ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基な
ど)、炭素数6〜12のアリールオキシ基(例えばフェノ
キシ基、4−クロロフェノキシ基、4−メチルフェノキ
シ基、ナフトキシ基など)が好ましい。またL1、L2
L3、L4、L5の置換基同士が連結し、メチン鎖上に5員環
または6員環を形成するのも好ましい。
またL1、L2の置換基とR1が、そして/またはL3、L4
L5の置換基とR2が連結して5員環または6員環を形成す
るのも好ましい。
Rで表わされるアルキル基は、環状アルキル基、不飽
和アルキル基、分枝アルキル基の他、置換アルキリ基も
含む。無置換アルキル基としては炭素数22以下が好まし
く例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
ペンチル基、ヘプチル基、ウンデカニル基、ヘプタデカ
ニル基、ヘンエイコサニル基、などであり、さらには環
状アルキル基としてシクロプロピル基、シクロペンチル
基、シクロヘキシル基、デカヒドロナフチル基、コレス
タニル基なども挙げられる。
また不飽和アルキル基として1−プロペニル基、ビニ
ル基、8−ヘプタデセニル基、3−シクロヘキセニル
基、1,3−ヘプタジエニル基なども挙げられる。
更に分枝アルキル基として2−メチルプロピル基、4
−メチルペンチル基、2−エチルヘキシル基なども挙げ
られる。
アルキル部分の炭素数22以下の置換アルキル基が好ま
しく、置換基としてはカルボキシル基、シアノ基、ハロ
ゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、
ヒドロキシル基、炭素数8以下のアルコキシカルボニル
基(例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル
基、フェノキシカルボニル基、ベンジルオキシルカルボ
ニル基など)、炭素数8以下のアルコキシ基(例えばメ
トキシ基、エトキシ基、ベンジルオキシ基、フェネチル
オキシ基など)、炭素数10以下の単環式のアリールオキ
シ基(例えばフェノキシ基、p−トリルオキシ基な
ど)、炭素数8以下のアシルオキシ基(例えばアセチル
オキシ基、プロピオニルオキシ基など)、炭素数10以下
のアシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、ベン
ゾイル基、ナフトイル基、メシル基など)、カルバモイ
ル基(例えばカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモ
イル基、モルホリノカルボニル基、ピペリジノカルボニ
ル基など)、スルファモイル基(例えばスルファモイル
基、N,N−ジメチルスルファモイル基、モルホリノスル
ホニル基、ピペリジノスルホニル基など)、炭素数10以
下のアリール基(例えばフェニル基、4−クロルフェニ
ル基、4−メチルフェニル基、α−ナフチル基など)、
置換又は無置換アミノ基(例えばアミノ基、ジメチルア
ミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、アニリ
ノ基、N−メチルアニリノ基、ナフチルアミノ基な
ど)、ヘテロ環基(例えばピリミジニル基、インドリル
基、テロラアザインデニル基など)が好ましく、前記の
置換基で置換された炭素数18以下のアルキル基がさらに
好ましい。
Rで表わされるアリール基は置換アリール基も含む。
炭素数6〜18の無置換または置換アリール基(例えばフ
ェニル基、カルボキシフェニル基、トリル基、クロロフ
ェニル基、ヒドロキシフェニル基、ナフチル基、メトキ
シフェニル基、ジメトキシフェニル基、3,4−メチレン
ジオキシフェニル基、アミノフェニル基)が好ましい。
Rで表わされる複素環基は5〜7員環基が好ましい
が、5、6員環がさらに好ましい。置換又は無置換の5
〜7員複素環基は例えばピロロ基、ピリジル基、キノリ
ノ基、チオフェニル基、アクリジニル基、2,4−ジヒド
ロキシピリミジン−6−イル基などが好ましく、これら
の環には更にR1、R2において述べた置換基が置換してい
てもよい。
(写真系以外の産業上の利用分野) 本発明の化合物は、その水溶性に特徴があり、写真感
光材料以外でも広い用途に利用可能である。例えばこの
色素は写真以外の分野での水溶性の増感色素として利用
できるばかりでなく、染料として砕木パルプ及び漂白亜
硫酸パルプからの混合物ならびに純粋なパルプを染色
し、実際上完全に染着する。
更には、水溶性であることから医薬、生化学検査用染
料としての利用にも十分適応する。
以下に本発明の一般式〔I〕で表わされる化合物の具
体例を記すが、これのみに限定されるものではない。
次に本発明による化合物の実施例を以下に詳細に説明
する。
本発明の化合物の一般式〔I〕で表わされる増感色素
の色素部(カウンターアニオンR−COO を含まない部
分)の合成はF.M.ヘイマー(F.M.Hamer)著“ザ・ケミ
ストリー・オブ・ヘテロサイクリック・コンパウンズ
(The Chemistry of Heterocyclic Compounds)"Vol 18
(1964)15章,F.M.ヘイマー(F.M.Hamer)著、“ヘテロ
サイクリック・コンパウンズ−シアニン・ダイズ・アン
ド・リレーテッド・コンパウンズ(Heterocyclic Compo
unds−Cyanine Dyes and Related Compounds)”第4
章、第5章、第6章、第86〜119頁、ジョン・ワイリー
・アンド・サンズ(John Wiley and Sons)社刊(1964
年)、D.M.スターマー(D.M.Sturmer)著、ヘテロサイ
クリック・コンパウンズ−スペシャル・トピックス・イ
ン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic
Compounds−Special Topics in Heterocyclic Chemist
ry)”第8章、第482〜515頁、ジョン・ワイリー・アン
ド・サンズ刊(1977年)などの記載の方法に基づいて容
易に合成することができる。
これらの文献により合成した場合のカウンターアニオ
ンは数多く知られている。
具体的に無機陰イオンあるいは有機陰イオンのいずれ
であってもよく、例えばハロゲン陰イオン(例えば弗素
イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン)、置
換アリールスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスル
ホン酸イオン、p−クロルベンゼンスルホン酸イオ
ン)、アリールジスルホン酸イオン(例えば1,3−ベン
ゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン
酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン)、ア
ルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン)、硫酸イ
オン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフ
ルオロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、トリフルオロ
メタンスルホン酸イオンが挙げられる。
したがって本発明による化合物の合成は、これら既知
の色素部とカウンターアニオン部とで構成される増感色
素を用いたところから説明する。
つまり本発明の化合物はイオン交換によりカウンター
アニオンとして有機カルボン酸アニオンを導入すること
により合成する。
次にカウンターイオンを有機カルボン酸アニオンに交
換する方法について説明する。
本発明の化合物は次の3つの方法を用いて交換した。
(1)有機カルボン酸銀塩と色素のハライドとを用いる
方法 上記スキームに示す如く、ハロゲンアニオン(I
Br 、Cl )を有する分光増感色素(Dye )を原料に
用いて、これをメタノール、エタノール、クロロホルム
等の溶媒に溶解し、この溶液に交換したい有機カルボン
酸の銀塩を等モル以上添加し、暗所、室温下で撹拌す
る。
一定時間(化合物、溶媒等により異なるが数分〜数時
間)撹拌後、生成したハロゲン化銀をセライトにて濾過
する。濾液に再度有機カルボン酸銀塩を添加し、撹拌、
濾過を繰り返す。これは交換を完全に進行させるため
で、通常3回以内の交換で完全に有機カルボン酸アニオ
ンを有する色素となる。
最後の濾液は、室温、暗所にて数時間静置した後、再
びセライト、又はショートシリカゲルのカラムで濾過
し、溶媒を減圧下留去する。
残渣を適当な溶媒を用いて、再結晶又は再沈殿を行い
目的とする化合物を単離する。
なお化合物によってはアニオン交換反応時、多少分解
するものもあり、この場合、再結晶、シリカゲルカラム
クロマトグラフィー等を用いて精製する必要が生じる。
また有機カルボン酸アニオン化した色素を水が存在す
る条件で長時間放置したり、熱をかけると分解し易いの
で注意を要する。
また用いる有機カルボン酸銀については市販されてい
るものも数多くあり、市販されていないものについても
文献既知であり容易に調整できる。
参考となる公知例としては、例えば米国特許第3,457,
075号、同第3,549,379号、同第3,785,830号、同第3,93
3,507号、同第4,009,039号及び英国特許第1,230,642号
各明細書、又は特開昭50−93139号、同50−99719号、同
51−22431号、同52−141222号及び同53−36224号等が挙
げられる。
(2)有機カルボン酸アルカリ金属塩を用いる方法 交換したい有機カルボン酸のアルカリ金属塩とシリカ
ゲルと混合し、通常のカラムクロマトグラフィーと同様
にカラムにつめる。
これに他のカウンターイオンを有する色素をチャージ
し、ゆっくりと溶媒(通常クロロホルム−メタノール
等)で展開する。交換は化合物、量、溶媒によって異な
るが、大過剰の有機カルボン酸のアルカリ金属塩を用い
て、数時間かけて展開すれば、1〜2度で完全に交換す
る。展開液にも有機カルボン酸のアルカリ金属塩を溶解
しておけば更に効率よく交換する。
留出した色素留分の溶媒を減圧下留去し、残渣にクロ
ロホルム(メタノールを加える場合もある)を加え、色
素を溶解後濾過する。
濾液をドライアップし、セファデックスカラムを用い
て混在する有機カルボン酸のアルカリ金属塩と完全に分
離する。得られた有機カルボン酸アニオンを有する色素
は、再結晶又は再沈により精製する。
(3)有機カルボン酸バリウム塩と色素の硫酸イオンを
用いる方法 色素硫酸根をメタノール等の溶媒に溶解し、これに室
温下、有機カルボン酸のバリウム塩を等モル以上添加
し、激しく撹拌する。
生成した硫酸バリウムを濾過し、濾液に再度有機カル
ボン酸のバリウム塩を添加し、再び激しく撹拌する。こ
の溶液をセライト又はシリカゲルのショートカラムで濾
過し、濾液の溶媒を減圧下留去した後、残渣に適当な溶
媒を用いて再沈殿又は再結晶を行い、目的とする化合物
を単離する。
以上(1)〜(3)の方法により目的の有機カルボン
酸塩に交換可能である。どの方法を選ぶかは原料となる
色素の構造、カウンターイオンの種類、溶解性、安定性
等によるが、一般に(1)の方法が良い場合が多い。
有機カルボン酸塩との交換の確認は、主にマススペク
トル(Fab.Mass−ネガ)を用いて、原料のカウンターア
ニオンがないこと、目的とする有機カルボン酸アニオン
があることで確認した(原料のカウンターアニオンがハ
ロゲンの場合、バイルスタイン試験(炎色反応)も併用
した)。
また1H−NMRを用い、有機カルボン酸アニオンの色素
に対する相対量比も確認した。
更に絶対純度は元素分析、また交換前との色素との可
視吸収の分子吸光係数との比較により行なった。
(実施例) 次に具体的に合成法を説明する。
実施例1 化合物53の合成(方法(1)) 化合物A2gをクロロホルム−メタノール(1:1)混
合溶媒1に溶解し、一度濾過する。濾液に酢酸銀2.5g
(4.37当量)を粉体添加し、反応容器を遮光し、室温に
て2時間撹拌した。反応混合物を減圧にて濾過し、生成
したヨウ化銀を除いた。この濾液に更に酢酸銀1.5g(2.
62当量)を添加し、室温下遮光条件にて1時間撹拌し、
セライト濾過した。
濾液の溶媒を40℃以下で減圧下留去し、溶媒量が約1/
3になったところで室温下1時間静置後、再びセライト
濾過した。濾液の溶媒を40℃以下で減圧下留去し、残渣
を30mlのメタノールに溶解した。これにエーテル300ml
を滴下し、析出した結晶を濾取し、酢酸エチルエステル
で洗浄後乾燥し、茶色粉体1.70g(収率96%)(m.p.169
〜174℃)を得た。
実施例2 化合物53の合成(方法(2)) シリカゲル(フラッシュカラム用230−400メッシュ、
メルク社製)300gに酢酸ナトリウム30gを加え、均一に
なるまでよく混合する。ガラス製カラムに先に同シリカ
ゲル200gをクロロホルム−メタノール(5:1)混合溶媒
で充てんし、この上に先に調整した酢酸ナトリウムを含
むシリカゲルをつめた。更にその上部に酢酸ナトリウム
10g、その上に海砂を載せてカラムを調整した。
化合物B1gをクロロホルム−メタノール(10:1)に
溶解し、このカラムにチャージし、クロロホルム−メタ
ノール(5:1〜4:1)展開溶媒にて約4時間かけて色素成
分を留去させた。
色素留分の溶媒を減圧下40℃以下で留去し、残渣にク
ロロホルムを加えて撹拌溶解し、濾過した。濾液を40℃
以下で濃縮し、セファデックス(LH−20、ファルマシア
製)カラム(クロロホルム−メタノール(1:1))に付
し、クロロホルム−メタノール(1:1)混合溶媒にて展
開し、色素留分を得た。これを減圧下、40℃以下で溶媒
留去し、残渣を20mlのメタノールに溶解し、これにエー
テル200mlを滴下し、析出した結晶を濾取し、乾燥し
た。茶色粉体0.45g(収率55%)(m.p.165〜173℃)を
得た。
実施例3 化合物53の合成(方法(3)) 化合物C2gをクロロホロム−メタノール(1:3)混
合溶媒1に溶解し、一度濾過した。濾液に室温下酢酸
バリウム2g(2.2当量)を粉体添加し、室温下メカニカ
ルスターラーを用いて2時間激しく撹拌した。反応混合
物を濾過後、濾液に再び酢酸バリウム1gを添加し、室温
下1時間撹拌後、減圧下40℃以下で溶媒を留去し、約3
倍に濃縮して室温にて1時間静置した。
この溶液をセライト濾過し、濾液の溶媒を減圧下留去
した後、更にクロロホルムに溶解し、シリカゲル50gの
ショートカラムを通した後、濃縮乾固し、残渣にメタノ
ール20mlを加えて溶解し、これにエーテル200mlを滴下
し、析出した結晶を濾取した。
茶色粉体1.5g(収率81%)(m.p.164〜172℃) 実施例4 化合物128の合成(方法(1)) 化合物D2.0gをメタノール800ml、クロロホロム200
mlに加熱溶解後、一度濾過し、濾液に酢酸銀2gを添加
し、室温にて2時間撹拌した。反応混合物を濾過後、濾
液に更に酢酸銀1gを添加し、室温にて1時間撹拌した。
濾過後、濾液の溶媒を減圧下40℃以下で留去し、残渣に
酢酸エチルエステル200mlを加え、結晶を粉砕撹拌し、
一度結晶を濾取した。この結晶をメタノール200mlに溶
解し、セライト濾過した後、減圧下約5倍に濃縮し、こ
れに酢酸エチルエステルを加えて晶析した。析出した結
晶を濾取し、酢酸エチルエステルにて洗い乾燥し、1.4g
の黄色粉体を得た。(収率80%)(m.p.140〜145℃) 実施例5 化合物25の合成(方法(1)) 化合物E2gをクロロホルム−メタノール(1:2)混
合溶媒3に加熱溶解し、濾過した。濾液に酢酸銀4gを
加え室温にて遮光条件下5時間撹拌した。反応混合物を
セライトにて濾過後、濾液の溶媒を減圧下、50℃以下で
濃縮し、約500mlにし、室温にて1時間静置し、再びセ
ライトにて濾過した。濾液を40℃以下で濃縮乾固し、残
渣にメタノール50mlを加えて溶解したところに酢酸エチ
ルエステル300mlを加え、晶析した。析出した結晶を濾
取し、エーテル、酢酸エチルエステルにて洗浄した後、
乾燥し、茶色粉体1.8g(収率99%)(m.p.185〜190℃)
を得た。 化合物E 実施例6 化合物32の合成(方法(1)) 化合物F1gをクロロホルム−メタノール(1:2)混
合溶媒1.2に加熱溶解し、濾過した。濾液に安息香酸
銀2gを加え、室温にて遮光条件下3時間撹拌した後、濾
過し、濾液に安息香酸銀2gを加え、再び室温下1時間撹
拌し、濾過した。濾液を減圧下40℃以下で4倍に濃縮
し、これに安息香酸銀1gを加え、室温下1時間撹拌した
後に1時間静置し、セライトにて2度濾過した。濾液を
減圧下濃縮乾固し、メタノール20mlに溶解し、200mlの
酢酸エチルエステルを加え晶析した。結晶を濾取し、酢
酸エチルエステルで洗浄し乾燥した。
茶色結晶0.81g(収率89%)(m.p.196−203℃) 化合物F 実施例7 化合物31の合成(方法(1)) 化合物G1.5gをクロロホルム−メタノール(1:2)
混合溶媒2に加熱溶解し濾過後、ラウリン酸銀2.0gを
添加し、室温にて1時間撹拌した後、濾過した。濾液を
減圧下40℃以下にて約4倍に濃縮し、ラウリル酸銀1.5g
を添加し、室温にて1時間撹拌した後、1時間静置し、
セライトにて濾過した。濾液を濃縮後、クロロホルム−
メタノール(4:1)混合溶媒にてシリカゲル50gのショー
トカラムを通し、色素留分を減圧下40℃以下にて濃縮乾
固した。残渣にエタノール−クロロホルム(3:1)20ml
を加えて溶解後、エーテル300mlを加えて晶析した。析
出した結晶を濾取し、エーテルで洗浄し、乾燥した。
茶色粉体0.85g(収率51%)(m.p.123〜150℃) 実施例8 化合物38の合成(方法(1)) 化合物G 1.0gをクロロホルム−メタノール(1:1)混
合溶媒2に溶解し、濾過後、乳酸銀3gを粉体添加し、
遮光条件下室温にて一晩激しく撹拌した。
反応混合物を濾過後、乳酸銀3gを添加し、減圧下40℃
以下にて約4倍に濃縮し、遮光条件下室温にて5時間撹
拌した。反応混合物をセライトにて濾過後、減圧下濃縮
乾固し、酢酸エチルエステルで洗浄した。結晶をクロロ
ホルムに溶解し、シリカゲルフラッシュカラムにてクロ
ロホルム−メタノール(7:1〜4:1)展開溶媒を用い、精
製した。色素留分を集め、濾過後濃縮し、残渣を少量の
メタノールに溶解し、酢酸エチルエステルを加えて晶析
した。析出した結晶を濾取し、エーテルにて洗い、乾燥
した。
茶色結晶0.75g(収率77%)(m.p.178〜190℃) 実施例9 化合物52の合成(方法(1)) 化合物H1.5gをクロロホルム−メタノール(1:1)
混合溶媒1に加熱溶解し、濾過後、酢酸銀3gを粉体添
加し、30℃にて5時間遮光条件下で撹拌した。濾過後、
濾液に酢酸銀1.5gを加え、室温にて2時間撹拌した。濾
過後、溶媒を減圧下40℃以下にて留去し、残渣を酢酸エ
チルエステルで洗い、クロロホルム−メタノール(1:
1)混合溶媒300mlに溶解しセライト濾過した。濾液を濃
縮乾固し、メタノール20mlを加えて溶解し、これに酢酸
エチルエステル300mlを加えて晶析した。析出結晶を濾
取し、エーテル洗浄して乾燥し、茶色結晶1.3g(収率97
%)(m.p.177〜182℃)を得た。
また先に化合物の同定の一般的方法について述べた
が、具体的に化合物52について詳述する。
・Massスペクトル(Fab.Nega.)マトリックスTEA I 127完全消失 OCOCH3 59 ・バイルスタイン試験(炎色反応) 陰性 ・Massスペクトル(Fab.Posi.)マトリックスTEA 494(M−OCOCH31H−NMR(400MHz;DMSO−d6・元素分析 (C28H31O3N3S3・3H2O) C H N S calcd. 55.36 6.14 6.91 15.83 found. 55.37 6.05 6.73 16.01 ・UV−VISスペクトル(メタノール) λmax562nm(ε=8.17×104) 以上本発明の化合物の合成実施例について述べたが、
これ以外の化合物も同様な方法で容易に合成できた。
以下にその合成法((1)〜(3))および紫外可視
吸収スペクトルの最大吸収波長(λmax)とその分子吸
光係数(ε)を示す。
次に本発明による化合物の溶媒への溶解性について説
明する。一般のカチオン性シアニン色素、特に本発明の
化合物の色素部分であるロダシアニン色素の水への溶解
度が低いことは前述した。本発明の化合物はこの性質を
色素部分は全く変化させずにカウンターアニオンを有機
カルボキシレートアニオンにすることにより驚くほど改
良したものである。
そのいくつかについて正確に溶解度を測定したので詳
述する(表1)。
溶解度の測定は、37℃インキュベーターで12時間溶解
後、ミクロフィルター(0.45μポアサイズ)にて濾過
後、メタノールで稀釈し、可視吸収を用いて求めた。
(表1)に記載の化合物の溶解度データから判るよう
にアニオン部を有機カルボキシレートアニオン化した本
発明の化合物は、驚くほど大きな水溶性を有している。
また、(表1)以外の本発明の化合物もすべて大きな水
溶性を持っていた。更に水以外の溶媒、例えばメタノー
ル等に対してもその溶解性が著しく向上することから本
発明の化合物の写真系への添加はこれまでとは比較にな
らないほど容易になることが判る。
次に、他発明の化合物の写真系への利用について説明
する。
本発明の一般式〔I〕で表わされるメチン化合物は水
溶液としてハロゲン化銀乳剤へ添加できるが他にも通常
知られている方法を用いることが出来る。例えば直接乳
剤中へ分散することもできるし、またメチルアルコー
ル、エチルアルコール、メチルセロソルブ、2,2,3,3−
テトラヒドロフルオロプロパノール等の溶媒の単独もし
くは混合溶媒に溶解して乳剤へ添加することも出来る。
本発明に用いられる増感色素は米国特許第3,485,634
号に記載されている超音波振動を用いて溶解してもよ
い。その他に本発明の増感色素を溶解、あるいは分散し
て乳剤中に添加する方法として、米国特許第3,482,981
号、同3,585,195号、同3,469,987号、同3,425,835号、
同3,342,605号、英国特許第1,271,329号、同1,038,029
号、同1,121,174号、米国特許第3,660,101号、同3,658,
546号に記載の方法を用いることができる。
本発明に用いられる一般式〔I〕で表わされる化合物
はハロゲン化銀1モル当り5×10-7モル〜5×10-3
ル、好ましくは5×10-6モル〜2×10-6モル、特に好ま
しくは1×10-5モル〜1×10-3モルの割合でハロゲン化
銀写真乳剤中に含有される。
本発明の写真乳剤にはハロゲン化銀として、臭化銀、
沃臭化銀、沃塩臭化銀、塩臭化銀および塩化銀のいずれ
を用いてもよい。好ましいハロゲン化銀は臭化銀、塩臭
化銀、沃塩化銀、または沃塩臭化銀である。
ハロゲン化銀粒子の晶相、ハロゲン化銀の粒子径、ハ
ロゲン化銀乳剤の調製法、化学増感法などについては特
開昭62−269949号公報の(6)頁左上欄5行目の「本発
明の」から同公報の(7)頁左下欄3行目「よい。」ま
での記載を適用できる。さらにハロゲン化銀写真乳剤に
関連するカブリ防止剤、安定剤、感材の寸度安定剤、ポ
リアルキレンオキシド化合物の感材への適用、カラー・
カプラー、塗布助剤、帯電防止、スベリ性改良、乳化分
散、接着防止のための界面活性剤、硬幕剤、色カブリ防
止剤、保護コロイド、さらに露光方法、ハロゲン化銀乳
剤が用いられる感材用途、さらに感光材料の写真処理な
どについては特開昭62−269949号公報の(10)頁左上欄
15行目から(12)頁の左下欄14行目までの記載を適用で
きる。
さらにネオン・ヘリウムレーザー用感材に本発明の写
真乳材を用いることが好ましい。
(ハロゲン化銀写真乳材の実施例) 実施例10 純臭化銀から成り、立方体の結晶形をもつ{粒子全表
面積に対する〔1,0,0〕面の面積比は92%であった}ハ
ロゲン化銀乳剤を調整し硫黄増感処理をした。この乳剤
に含まれるハロゲン化銀粒子の平均直径は0.68μmであ
り、乳剤1kg中には0.74モルのハロゲン化銀が含有され
た。この乳剤を各1kgずつポットに秤取し第1表〜第2
表に示すように一般式(I)で表わされる化合物の水溶
液を添加し40℃のもとで混合撹拌した。比較のためカウ
ンターイオンをヨージドの比較化合物1および2を同様
に水に分散して添加した。
更に4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラ
ザインデンを0.1g/乳剤1kg、2,4−ジクロロ−6−ヒド
ロキシ−1,3,5−トリアジンソーダを0.1g/乳剤1kg、更
にデドシルベンゼンスルホン酸ソーダを0.1g/乳剤1kg、
順次加えた後ポリエチレンテレフタレートフィルムベー
ス上に塗布して写真感光材料を得た。
これらの試料夫々に黄色フィルター(富士写真フイル
ム社製SC−50)または赤色フィルター(富士写真フイル
ム社製SC−60)を用いてタングステン光(5400゜K)で
5秒間、光楔露光した。
他方、2666゜Kのタングステン光源をもつ回折格子型
分光写真機を用いてスペクトログラムを得、増感極大を
測定した。
露光後、下記の組成の現像液を用いて20℃で4分間現
像した。現像処理したフィルムを富士写真フィルム社製
の濃度計を用いて濃度測定し、分光増感度即ち黄色フィ
ルター感度(Sy)或いは赤色フィルター感度(SR)とハ
ロゲン化銀固有感光域の感度(SB)とカブリとを求め
た。感度を決定した光学濃度の基準点は[カブリ+0.
2]の点である。
現像液の組成 水 700 ml メトール 3.1g 無水亜硫酸ナトリウム 45 g ハイドロキノン 12 g 炭酸ナトリウム(一水塩) 79 g 臭化カリウム 1.9g 水を加えて 1とする 使用に際して水2容を加えて使用液とする。
得られた結果を第1表と第2表に示す。
第1表及び第2表からも明らかなように本発明の化合
物は水溶液で添加可能であり、ハロゲン化銀写真感光材
料用の増感色素として優れた特性を有することが理解出
来るであろう。
また比較例として使用した比較化合物1及び比較化合
物2は水に対する溶解性が低く、水に分散した状態で添
加すると、所望の分光感度が得られないことも明らかで
ある。
(発明の効果) 本発明のメチン化合物はカウンターアニオンとして有
機カルボン酸を有するので従来にない驚くべき水溶性を
有する。従って、この増感色素の水溶液は容易に調整可
能であり、これを水溶液の形で使用できる。
とくにメチン化合物の水溶液を用いてハロゲン化銀写
真乳剤に添加することにより例えば高濃度の溶液の調製
ができハロゲン化銀の分光増感が有利に行なえる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−11736(JP,A) 特開 昭55−161233(JP,A) 特開 昭59−6262(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式〔I〕で表わされる水溶性メチ
    ン化合物 式中、 Z1、Z2はそれぞれシアニン色素で通常用いられる5員環
    及び/又は6員環の含窒素複素環を形成するに必要な非
    金属原子群を表わす。 R1、R2はそれぞれアルキル基を表わす。Q1とQ2は組み合
    わせることにより、4−チアゾリジノン環、5−チアゾ
    リジノン環、4−イミダゾリジノン環、4−オキサゾリ
    ジノン環、5−オキサゾリジノン環、5−イミダゾリジ
    ノン環または4−ジチオラノン環を形成するに必要な原
    子群を表わす。 L1、L2、L3、L4、L5はそれぞれメチン基を表わす。 Rは水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基を表
    わす。 mは1又は2を表わす。 i、hはそれぞれ0または1を表わす。 lは1、または2を表わす。 j、kはそれぞれ0、1、2又は3を表わす。
  2. 【請求項2】請求項第1項記載の一般式(I)で示され
    た水溶性メチン化合物を含み、該化合物が水溶液として
    添加されていることを特徴とするハロゲン化銀写真乳
    剤。
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