JP2520706Y2 - 全稈投入型コンバインにおける刈取前処理装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、引起し装置によって引起された複数条の植
立穀稈の株元側部分を切断する刈取装置を設けるととも
に、前記刈取装置の上方で後方に向けて穀稈を搬送する
複数条の縦搬送装置を設け、その縦搬送装置の後方に、
これら縦搬送装置によって搬送されて来た穀稈を刈幅中
央部に寄せて後方の脱穀装置に投入するオーガ式横送り
装置を設け、前記オーガ式横送り装置を、ドラム外周面
に設けた左右のオーガラセン爪と、穀稈の集積箇所に、
前記ドラムの回転軸芯に対して偏芯した偏芯軸周りで回
転される掻込みフィンガーとから構成し、かつ、このフ
ィンガーは、その回転軌跡がオーガラセン爪の前方側で
は大きく突出し、後方に至るほどオーガラセン爪の外周
軌跡に近づくように、ドラム外周面に対する掻込みフィ
ンガー先端の突出量を増減すべく構成されている全稈投
入型コンバインにおける刈取前処理装置に関する。

〔従来の技術〕

従来、上記構成の全稈投入型コンバインにおける刈取
前処理装置のオーガ式横送り装置は、第５図に示す如
く、その掻込みフィンガー（5b）が、左右両側のオーガ
ラセン爪（5a），（5a′）よりも前方に突出して回転す
るようになっているため、つまり、ドラムの前方側で大
きく突出して充分な掻込み作用をなし、後方側で突出量
を小さくしてフィーダとの干渉を防止するようになって
いるため、両サイドのオーガラセン爪と縦搬送装置
（４），（４′）との間に隙間（ｌ）が形成されてい
る。

〔考案が解決しようとする課題〕

前記縦搬送装置（４），（４′）によって搬送されて
来た穀稈は、縦搬送装置（４），（４′）の搬送に伴う
放出力や後続穀稈の押し込み力によって、立ち姿勢で後
方のオーガ式横搬送装置（５）に受け渡されることとな
るが、中には、縦搬送装置（４），（４′）の連れ回り
により前記隙間に横倒れする穀稈がある。前記掻込みフ
ィンガー（5b）近傍の両サイドの縦搬送装置（４′），
（４′）によって搬送されて来た穀稈の内で縦搬送装置
（４′），（４′）の連れ回りにより横倒れ穀稈は、オ
ーガラセン爪（5a），（5a′）よりも前方に突出して回
転する掻込みフィンガー（5b）によって素早く掻込まれ
ることとなるが、遠い縦搬送装置（４）の横倒れ穀稈
は、縦搬送装置（４）とオーガラセン爪（5a）との隙間
に横倒れし、穀稈を連続して搬送するためにラセンピッ
チが細かく設定されているラセン爪間に横たわり、ラセ
ン爪による横送り作用を受け難くなって横搬送を阻害す
る欠点があった。

そこで、前記隙間を無くすべく縦搬送装置（４′），
（４′）全体をオーガ式横送り装置（５）に近接させる
と、掻込みフィンガー（5b）近傍の両サイドの縦搬送装
置（４′），（４′）が掻込みフィンガー（5b）に接触
する虞れが生じ、それを避ける為に、掻込みフィンガー
（5b）から遠い縦搬送装置（４）のみを後方に長く延出
して、オーガラセン爪（5a）に充分接近するまで穀稈を
搬送するようにすると、一般に、終端側から入力される
縦搬送装置（４），（４′）の、前記掻込みフィンガー
（5b）から遠い縦搬送装置（４）に対する伝動構造が他
の縦搬送装置（４′）に対する伝動構造と前後方向で位
置がズレて、縦搬送装置に対する入力用の伝動軸の角度
が変化して、そこだけ、入力用伝動軸の突出角が異なる
伝動ケースを用いたりしなければならず、コスト高を招
く不都合がある。

本考案は、簡単な構造改良により、オーガドラム表面
からの突出量を変化させて、オーガ前方側における掻込
み性能の良好なオーガ式横送り装置を用いながら、穀稈
の横倒れに伴う弊害を回避できるようにすることを目的
とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成する為の本考案の特徴構成は、引起し
装置によって引起された複数条の植立穀稈の株元側部分
を切断する刈取装置を設けるとともに、前記刈取装置の
上方で後方に向けて穀稈を搬送する複数条の縦搬送装置
を設け、その縦搬送装置の後方に、これら縦搬送装置に
よって搬送されて来た穀稈を刈幅中央部に寄せて後方の
脱穀装置に投入するオーガ式横送り装置を設け、前記オ
ーガ式横送り装置を、ドラム外周面に設けた左右のオー
ガラセン爪と、穀稈の集積箇所に、前記ドラムの回転軸
芯に対して偏芯した偏芯軸周りで回転される掻込みフィ
ンガーとから構成し、かつ、このフィンガーは、その回
転軌跡がオーガラセン爪の前方側では大きく突出し、後
方に至るほどオーガラセン爪の外周軌跡に近づくよう
に、ドラム外周面に対する掻込みフィンガー先端の突出
量を増減すべく構成されている全稈投入型コンバインに
おいて、前記横送り装置の掻込みフィンガーから遠い縦
搬送装置の後方に、穀稈の横倒れを阻止して、後方の横
送り装置のオーガラセン爪に向けて穀稈を案内するガイ
ドを固定配備した点にあり、斯かる構成から次の作用、
効果を奏する。

〔作用〕

第２図に示す如く、掻込みフィンガー（5b）から遠い
縦搬送装置（４）の穀稈は、終端に到ると、横倒れしよ
うとしてもガイド（23）により、後方のオーガラセン爪
（5a）側に案内され、縦搬送装置（４）の終端とオーガ
ラセン爪との隙間に倒れ込むことがない。

〔考案の効果〕

上記構成の結果、ガイドを設ける簡単な構造により、
掻込みフィンガーから遠い縦搬送装置の終端とオーガラ
セン爪との隙間に穀稈が倒れ込むことを抑制して、円滑
な搬送を行うことができるようになった。

〔実施例〕

第１図及び第２図に示すように、倒伏穀稈を引起す６
条の引起し装置（１）、引起された植立穀稈の株元を切
断する第１刈取装置（２）、刈取り穀稈を縦姿勢のまま
後方へ搬送する縦搬送装置（４），（４′）、縦搬送装
置（４），（４′）で搬送される穀稈の穂先部下方部位
を切断すべく第１刈取装置（２）の上方後方に位置する
第２刈取装置（３）、刈取った穂先部分を左右幅方向の
一箇所に集めるオーガ式横送り装置（５）、集められた
穂先穀稈を軸流型脱穀装置（６）に投入すべく搬送する
供給搬送装置としてのフィーダ（７）を装備して、脱穀
負荷の軽減を図るために選別を必要とする穂先部だけを
脱穀装置に投入する全稈投入型コンバインの刈取前処理
装置を構成してある。

次に縦搬送装置（４），（４′）に付いて説明する。
この縦搬送装置（４），（４′）は株元挾持搬送装置
（８）と穂先係止搬送装置（９）とから形成され、前記
引起し装置（１）による三つの引起し経路、各々に対し
て、左右一対の株元挾搬送装置（８）と一つの穂先係止
搬送装置（９）とが一組となて装備されている。第３図
に示す如く、前記株元挾持搬送装置（８）は、駆動スプ
ロケット（10）、テンションスプロケット（11）、及
び、二つのガイドスプロケット（12），（12）並びにこ
れらスプロケットに巻回されたチェーン（13）からな
り、前記チェーン（13）に案内ガイド（14）との協働で
搬送穀稈を挾持する挾持突起（13a）が突設してある。
そして、この挾持突起（13a）による穀稈搬送経路は前
後向きに設定されている。

前記穂先係止搬送装置（９）は、駆動スプロケット
（15）とテンションスプロケット（16）との間にチェー
ン（17）を巻回し、そのチェーン（17）に起伏爪（17
a）を取付けて構成されている。図中（18）は起伏爪（1
7a）を倒伏姿勢に案内する弾性案内体である。

これら穂先係止搬送装置（９）と株元挾持搬送装置
（８）とは上下に位置し、単一の縦向き六角駆動軸（1
9）に駆動スプロケット（15），（10）を取付け、一体
的に駆動されている。第１図に示すように、この六角駆
動軸（19）への伝動構造は、左右刈幅方向に張設した横
向き伝動軸（20）より縦向き伝動軸（21）を分岐すると
ともに、前記縦向き伝動軸（21）をベベルギヤ伝動機構
（22）を介して前記六角駆動軸（19）に伝動する構造で
ある。この六角駆動軸（19）に伝達された動力は、穂先
係止搬送装置（９）の駆動スプロケット（15）及び株元
挾持搬送装置（８）の駆動スプロケット（10）に伝達さ
れ、両チェーン（17），（13）を駆動する。

第２図に示す如く、前記オーガ式横送り装置（５）は
刈幅一杯に亘って横向き回転ドラム（5A）を架設すると
ともに、その周面に前記フィーダ（７）の取入口に向か
って穀稈を搬送する為の左右のオーガラセン爪（5a），
（5a′）を形成するとともに、穀稈の集積箇所に、前記
回転ドラム軸に対して偏心した偏心軸周りで回転し、ド
ラム外周面に対して出退する掻込みフィンガー（5b）を
設け、前記オーガラセン爪（５），（５′）より前方に
突出して回転する掻込みフィンガー（5b）で左右のオー
ガラセン爪（5a），（5a′）によって集積された穀稈を
前記フィーダ（７）の取入口に掻込む構成を採ってい
る。

そして、前記横送り装置（５）の掻込みフィンガー
（5b）から遠い縦搬送装置（４）の後方に、穀稈の横倒
れを阻止して、後方のオーガラセン爪（5a）に向けて穀
稈を案内するガイド（23）を固定配備してある。

上記構成によれば、倒伏穀稈を引起し装置（１）で引
起し乍ら、その引起し穀稈の株元を第１刈取装置（２）
で刈取り、穀稈は切断されると同時に株元挾持搬送装置
（８）と穂先係止搬送装置（９）とからなる縦搬送装置
（４）で縦姿勢に保持され、その縦姿勢に保持された状
態で第１刈取装置（２）より後方の第２刈取装置（３）
により穂先部より下方部位が切断され、そして、前記第
２刈取装置（３）により下方部位が切断された穂先穀稈
は、更に縦搬送装置（４）によって後方に搬送され、縦
搬送装置（４）の終端に至った穂先穀稈は、縦搬送装置
（４）の搬送に伴う放出力や後続穀稈の押し込み力によ
って、下端が搬送デッキ（24）に支持され乍ら後方のオ
ーガ式横搬送装置（５）に立ち姿勢で受け渡されること
となる。斯る場合、縦搬送装置（４）の連れ回りにより
前記隙間に横倒れしようとする穀稈は、前記ガイド（2
3）によるガイド作用により横倒れが阻止され、立ち姿
勢で後方のオーガ式横送り装置（５）に受け渡されるこ
ととなる。

尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対照を便
利にする為に符号を記すが、該記入により本考案は添付
図面の構造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面の第１乃至第４図は本考案に係る全稈投入型コンバ
インにおける刈取前処理装置の実施例を示し、第１図は
コンバイン前部の縦断側面図、第２図は同、横断平面
図、第３図は縦搬送装置の分解平面図、第４図はコンバ
イン全体の側面図、第５図は従来構造を示す要部の横断
平面図である。 （１）……引起し装置、（２）……第１刈取装置、
（３）……第２刈取装置、（４），（４′）……縦搬送
装置、（５）……オーガ式横送り装置、（5a）……オー
ガラセン爪、（5b）……掻込みフィンガー、（６）……
脱穀装置、（23）……ガイド。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】引起し装置（１）によって引起された複数
   条の植立穀稈の株元側部分を切断する刈取装置（２）を
   設けるとともに、前記刈取装置（２）の上方で後方に向
   けて穀稈を搬送する複数条の縦搬送装置（４），
   （４′）を設け、その縦搬送装置（４），（４′）の後
   方に、これら縦搬送装置（４），（４′）によって搬送
   されて来た穀稈を刈幅中央部に寄せて後方の脱穀装置
   （６）に投入するオーガ式横送り装置（５）を設け、前
   記オーガ式横送り装置（５）を、ドラム（5A）外周面に
   設けた左右のオーガラセン爪（５），（５′）と、穀稈
   の集積箇所に、前記ドラム（5A）の回転軸芯に対して偏
   芯した偏芯軸周りで回転される掻込みフィンガー（5b）
   とから構成し、かつ、このフィンガー（5b）は、その回
   転軌跡がオーガラセン爪（５），（５′）の前方側では
   大きく突出し、後方に至るほどオーガラセン爪（５），
   （５′）の外周軌跡に近づくように、ドラム外周面に対
   する掻込みフィンガー（5b）先端の突出量を増減すべく
   構成されている全稈投入型コンバインにおける刈取前処
   理装置において、前記横送り装置（５）の掻込みフィン
   ガー（5b）から遠い縦搬送装置（４）の後方に、穀稈の
   横倒れを阻止して、後方の横送り装置（５）のオーガラ
   セン爪（5a）に向けて穀稈を案内するガイド（23）を固
   定配備してある全稈投入型コンバインにおける刈取前処
   理装置。