JP2520631B2 - 多段プレスの熱圧制御方法 - Google Patents

多段プレスの熱圧制御方法

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JP2520631B2
JP2520631B2 JP62088387A JP8838787A JP2520631B2 JP 2520631 B2 JP2520631 B2 JP 2520631B2 JP 62088387 A JP62088387 A JP 62088387A JP 8838787 A JP8838787 A JP 8838787A JP 2520631 B2 JP2520631 B2 JP 2520631B2
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、上下方向、若しくは左右方向に複数段の熱
板が開閉自在に配設された多段プレスにおいて、供給さ
れる合板材料の種類、特にその縦横サイズ、材厚に加
え、合板材料を構成する個々のベニヤ単板の樹種の相
異、各ベニヤ単板に塗布される接着剤の種別等に応じ
て、加圧開始から加圧終了に至るまでの熱圧制御方法に
関するものである。
「従来の技術」 従来より、その上下面に接着剤が塗布されたベニヤ単
板を、繊維方向を直交させて複数枚積層した後、仮圧締
した合板材料を多段プレスの各段の熱板間にて加熱加圧
するに際しては、合板材料の縦横サイズから求められた
面積に応じて、油圧シリンダの吐出圧力を制御してい
た。またこの時、熱板間へ供給される合板材料は、複数
種の縦横サイズを有しているので、合板材料の単位面積
当りの加圧力が等しくなる様に、油圧シリンダへのポン
プによる吐出圧力をその都度変更していた。
通常、合板材料の単位圧力gと、ポンプの吐出圧力P
の関係は、 によって求められる。
ただし、上式において、Wは総圧縮力(kg)、Aは合
板材料の面積(cm2)、Sはシリンダの面積、dはシリ
ンダの内径、nはシリンダの本数である。尚、シリンダ
の面積S、シリンダの内径d、シリンダの本数nは、当
初設置された多段プレスにおいては不変であり、一定の
定数となるので、合板材料の面積が変化すれば、上式か
らポンプの吐出圧力を変更することによって、合板材料
の最適面圧を求めて加圧制御を行うことになる。
即ち、上式が設定されている演算部による演算結果に
基づいて、ポンプによって油圧シリンダへ圧油が給送さ
れ、また、その吐出圧力を調整すべく、リリーフ弁を介
して、ポンプの吐出圧力を変更し、合板材料を最適面圧
にて加圧制御することになる。
「発明が解決しようとする問題点」 しかしながら、上式からの計算結果により得られた油
圧シリンダの加圧制御は、合板材料の面積に基づく平面
的な要素のみで決定されている。従って、合板材料の加
圧制御に関するもう一方の要素である立体方向の材厚の
大小については考慮されていない。このため、熱板間に
供給された合板材料を構成する各ベニヤ単板を介して接
着剤層を加熱し、加熱によって接着剤が硬化する時間を
正確に規制していなかった。
また、ベニヤ単板間に塗布される熱硬化性樹脂接着剤
には、尿素系、フェノール系、メラミン系等にその種別
が大別されており、これにミキシングされる硬化剤、水
分、増量剤の量、比率も多岐に亙っている。さらに、ベ
ニヤレースにて切削される原木樹種の相異によって、ベ
ニヤ単板の初期含水率、或いは暴れ、捻り、硬軟等の性
状が異なることになる。
従って、各合板工場において生産される合板は、前記
各要素が微妙に絡み合い、一律の加熱加圧条件で制御す
ることは困難であり、特に、未利用の原木樹種、接着剤
種の変更等によっては、各合板工場にて蓄積したデータ
のみでは的確な制御は期し得ないことになる。
しかして、多段プレスの各熱板間において加熱加圧さ
れる合板材料を、その縦横サイズを上記式へ算入して得
られる吐出圧力によって一律に制御することは、上記記
載した多の要素を無視することになり、加熱加圧後の合
板材料には、接着不良、パンク、強度不足等の欠陥が発
生し易い原因となっていた。
「問題点を解決するための手段」 本発明は叙上に鑑み、開閉自在とされ、相互に隣接す
る複数段の熱板間にて加熱加圧される合板材料を、その
縦横サイズ、材厚、接着剤種、単板樹種が異なる組合せ
に対応して、複数種の加熱加圧条件となる類型をコンピ
ュータ内に予めプログラム化して組み込み、熱板間に供
給される合板材料の縦横サイズ、材厚、接着剤種、単板
樹種の各変数と合致する類型が存在していればプログラ
ム内より取り出し、不存在であれば各変数に近似する複
数個の類型をプログラム内より取り出して合成類型を作
成すると共に、この合成類型を新たな類型としてプログ
ラム内に登録可能とし、次いで、前記類型若しくは合成
類型の加熱加圧条件に基づいて制御し、多段プレスの諸
元に配置された検出器からの検出値をコンピュータ内へ
フィードバックし、この検出値と前記条件が合致若しく
は近似するように、熱板温度、シリンダの吐出圧力、熱
圧時間を制御し、合板材料が有する各要素に応じて、そ
の加熱加圧条件を綿密に規制したものである。
「実施例」 以下、本発明の一実施例を添付図面に基づいて説明す
る。
まず、本発明に採用される多段プレスの概要を第7図
乃至第8図に基づいて説明する。
即ち、第7図に示す縦型の多段プレス1とは、支柱2
を介して上フレーム3と下フレーム4を上下に一定間隔
を置いて対設し、下フレーム4に設置された油圧シリン
ダ5のラム6によって、可動盤7を昇降自在とし、この
可動盤7と上フレーム3間に等間隔を置いて熱板8を複
数段配設したものであり、これら熱板8間に合板材料9
を挿入載置した後、可動盤7を上昇させて最下部に位置
する熱板8から、その上の熱板8を合板材料9を介して
順次押し上げてプレス閉鎖し、合板材料9を加熱加圧す
るものである。
また、第8図に示す横型の多段プレス10とは、上横梁
11と下横梁12を介して左フレーム13と右フレーム14が左
右に対設され、右フレーム14に設けられた油圧シリンダ
15のラム16によって可動盤17を左右方向に往復動自在と
し、また一方、左フレーム13と可動盤17の間には、上横
梁11に設置された軌条18に、上部両側から移動部材19を
突出させた熱板20が複数段吊持され、各段の熱板20と可
動盤17の四隅部には、ブラケット21と規制具22が各々一
組として配置された搬送コンベヤ23によって、合板材料
9をほぼ直立状態に搬送して各段の熱板20間へ介挿し、
可動盤17の往動に伴って、熱板20を順次左方向へ縮閉さ
せてプレス閉鎖状態とし、加熱加圧される合板材料9に
対する加圧力のバラツキ、厚み減り等を防止したもので
ある。
これら縦型或いは横型の多段プレス1,10の油圧シリン
ダ5,15には、通常、オイルタンク24からモータ25を介し
て駆動される可変吐出ポンプ26によって圧油が給送され
ており、また、その吐出圧力を調整すべく、圧力調整を
可能としたリリース27弁が配管途上に設置されて成る油
圧制御回路28を構成している。
一方、コンピュータ29内には合板材料9の各要素が設
定されている。これらの要素は、第1に合板材料9の縦
横サイズ30であり、この縦横サイズ30から、前記記載し
た式によって当該合板材料9の単位面積当りの加圧力を
求めるものである。また、第2の要素として合板材料9
の材厚31、第3の要素として合板材料9を構成すべく、
ベニヤ単板間に塗布されている接着剤種32、第4の要素
としてベニヤ単板の性状を左右する単板樹種33が設定さ
れている。
前記第2乃至第4の要素は、熱板8,20温度と加熱加圧
する時間に、重大な関わりを持っており、各合板工場に
おいて任意に決定し、調整し、分別して採用し得べきも
のである。即ち、材厚31においては、各合板工場の実態
において生産する製品の種類に基づいて決定され、少な
くともその製品の種類に応じた材厚31分を設定しておく
ものである。次いで、接着剤種32においては、例えば、
尿素系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂等を使
用する各樹脂自体の相異に加え、各樹脂にミキシングす
る硬化剤、水分、小麦粉や大豆粉等の増量剤の混合比率
に応じて調整され、また特に、生産時の雰囲気温度に応
じて、硬化剤、水分、増量剤等の微調整の係数を設定し
ている。さらに、単板樹種33においては、ベニヤレース
にて切削される原木樹種の相異によって発生する、ベニ
ヤ単板の初期含水率、或いは暴れ、捻り、硬軟等の性状
を等級づけて分別している。
従って、合板材料9はその縦横サイズ30を入力するこ
とにより、前記式に基づいて得られた最適の加圧力が算
出され、また材厚31、接着剤種32、単板樹種33の各要素
に応じて、これらの要素の特性から得られた過去のデー
タによって、一旦得られた単位面積当りの加圧力に対し
ての補正したり、加圧力を経時的に減圧してその減圧毎
に滞留する水分を大気へ放出したり、加熱温度を調整し
て最適な温度並びに時間、若しくは両者の相関関係に基
づいて作成された複数種の加熱加圧条件の類型34をプロ
グラム35化して備えている。
次にこのプログラム35例を、仮に縦横サイズ30を同一
とした場合に、材厚31、接着剤種32、単板樹種33の3要
素が各々変化する類型34を、第2図乃至第5図に示す実
施例に基づいて説明する。
まず、第2図に示す類型24においては、材厚31が比較
的薄く、接着剤種32並びに単板樹種33の等級が上位であ
る場合を示している。尚、この類型34中、便宜上、圧力
変数を7kg/cm2、温度変数を120℃、加圧調圧時間を60秒
としている。
第3図に示す類型34においては、第2図に示す類型34
に比して、特に接着剤種32の等級が下位となった場合を
示している。尚、この類型34中、圧力変数は7kg/cm2
変わらず、温度変数は115℃となり、加圧調圧時間が70
秒と長くなる。
次に、第4図に示す類型34においては、第2図に示す
類型34に比して、特に単板樹種33が軟らかくなった場合
を示している。尚、この類型34中、圧力変数が6kg/cm2
となり、温度変数は120℃と変わらず、加圧調圧時間も6
0秒のままである。
さらに、第5図に示す類型34においては、第2図に示
す類型34に比して、特に材厚31が厚くなった場合を示し
ており、その加圧段階を2段階としたものである。即
ち、第1段加圧の圧力変数を7kg/cm2、温度変数を120℃
として、240秒の加圧調圧後に一旦3kg/cm2まで減圧し、
この減圧した状態で40秒間だけ、その圧力を保持したも
のである。尚、材厚31の増加に応じて、その加圧段階を
複数段階として、減圧する毎に減圧した圧力を保持、或
いは調圧する時間を逓減する類型34も可能である。
また、このプログラム35内には、前記各要素、即ち、
縦横サイズ30、材厚31、接着剤種32、単板樹種33の各要
素に合致した類型34が存在していない場合、これらの要
素に近似する複数種の類型34を取り出し、これらの類型
34群から近似する部分を抽出して、第6図に示すような
合成類型36を作成する合成部37が設置されている。この
第6図に示す合成類型36は、既存の2個の類型34を抽出
して各圧力変数、圧力1と圧力2、並びに各温度変数、
温度1と温度2を、合成部37にて合成圧力、合成温度に
作成したものである。さらに、この合成部37によって作
成された合成類型36が、当該合板材料9を加熱加圧する
条件に適合していたと判断された場合、既存の類型34群
内への登録を可能としている。
このプログラム35内の各類型34、或いは合成類型36に
設定された変数のうち、経時変化における圧力変数は逐
次変換された信号によって吐出圧力を制御することにな
り、またこの時、経時変化における温度変数に基づい
て、前記熱板8,20の入側へ蒸気を供給し、出側よりドレ
ンを排出している各蒸気ヘッダ38に設置された温度調節
器39によって制御される。
一方、縦型、横型の多段プレス1,10の各諸元には、作
動中の各値を把握する検出器が配置されており、プログ
ラム35内に組み込まれた類型34の各変数と対比させてい
る。即ち、前記油圧シリンダ5,15に対する吐出圧力は、
圧力検出器40によって常時検出されており、この圧力の
検出値41は逐次比較部42へフィードバックされることに
なる。また同様に、前記熱板8,20の出側から蒸気ヘッダ
38へのドレン温度を温度検出器43によって常時検出し、
この温度の検出値44を逐次前記比較部42へフィードバッ
クしている。次いで、各検出値41,44は前記比較部42内
において、前記コンピュータ29から送信されている任意
の類型34、或いは合成類型36による経時点の各変数と逐
次比較され、その比較結果が相異する場合には、類型3
4、或いは合成類型36による経時点の各変数と合致する
ように、リリーフ弁27によって油圧シリンダ5,15に対す
る吐出圧力を調整したり、温度調節器39によって蒸気ヘ
ッダ38からの熱板8,20への蒸気の流量を制御するもので
ある。
しかして、コンピュータ29内に、例えば始業に際して
接着剤をミキシングする時に接着剤種32を、またベニヤ
レースにおいて原木を切削する際、単板樹種33の各等級
を、予め入力しておいて、縦型或いは横型の多段プレス
1,10の熱板8,20間へ合板材料9が供給される時、その縦
横サイズ30、材厚31をローダ側に配置した光電管、リミ
ットスイッチ等の検出器、或いは手動によってコンピュ
ータ29内へ入力すれば、合板材料9はこれらの入力値に
合致した類型34から、最適の加熱加圧条件にて加熱加圧
されるものであり、また仮に、合致した類型34が存在し
ていない場合には、これらの要素に近似する複数種の類
型34を取り出し、これらの類型34群から近似する部分を
抽出して合成類型36を作成して加熱加圧するものであ
り、当該合板材料9は十分な加熱加圧制御を享受してい
るのであれば、合成類型36を新たな類型34としてプログ
ラム35化し、類型34の蓄積を図るものである。
「効果」 以上のように本発明によれば、開閉自在とされ、相互
に隣接する複数段の熱板間にて加熱加圧される合板材料
を、その縦横サイズ、材厚、接着剤種、単板樹種が異な
る組合せに対応して、複数種の加熱加圧条件となる類型
をコンピュータ内に予めプログラム化して組み込み、熱
板間に供給される合板材料の縦横サイズ、材厚、接着剤
種、単板樹種の各変数と合致する類型が存在していれば
プログラム内より取り出し、不存在であれば各変数に近
似する複数個の類型をプログラム内より取り出して合成
類型を作成すると共に、この合成類型を新たな類型とし
てプログラム内に登録可能とし、次いで、前記類型若し
くは合成類型の加熱加圧条件に基づいて制御し、多段プ
レスの諸元に配置された検出器からの検出値をコンピュ
ータ内へフィードバックし、この検出値と前記条件が合
致若しくは近似するように、熱板温度、シリンダの吐出
圧力、熱圧時間を制御するので、前記記載した従来方法
の如き、油圧シリンダの加圧制御を合板材料の面積に基
づく平面的な要素のみで決定していたのに対し、合板材
料の材厚の大小に基づく要素、また、ベニヤ単板間に塗
布される熱硬化性樹脂接着剤の種別、この種別に伴う硬
化剤、水分、増量剤の割合、さらには、ベニヤ単板の性
状を加熱加圧条件の要素に加え、加熱による接着剤が硬
化する時間を各要素に基づき総合的に決定し、加熱温度
と加圧時間を相関的に決定することができ、良好なプレ
ス制御を期し得るものである。
さらに、合致した類型が存在していない場合には、近
似する複数種の類型より、自動学習的に合成類型を作成
して加熱加圧することができ、また必要であれば、合成
類型を新たな類型としてプログラム化して、次回の加熱
加圧制御に幅広く対応できるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の概略を示すブロック線図、
第2図はプログラムの類型の一実施例を示す類型図、第
3図乃至第5図は第2図の他の実施例を示す類型図、第
6図はプログラムの合成類型の一実施例を示す合成類型
図、第7図は本発明の制御に使用される縦型の多段プレ
スの一実施例を示す概略側面図、第8図は本発明の制御
に使用される横型の多段プレスの一実施例を示す一部切
欠き側面図 1……縦型の多段プレス、8,20……熱板、 9……合板材料、10……横型の多段プレス、 29……コンピュータ、30……縦横サイズ、 31……材厚、32……接着剤種、 33……単板樹種、34……類型、 35……プログラム、36……合成類型、 37……合成部、38……蒸気ヘッダ、 39……温度調節器、40……圧力検出器、 41,44……検出値、42……比較部、 43……温度検出器、

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】開閉自在とされ、相互に隣接する複数段の
    熱板間にて加熱加圧される合板材料を、その縦横サイ
    ズ、材厚、接着剤種、単板樹種が異なる組合せに対応し
    て、複数種の加熱加圧条件となる類型をコンピュータ内
    に予めプログラム化して組み込み、熱板間に供給される
    合板材料の縦横サイズ、材厚、接着剤種、単板樹種の各
    変数と合致する類型が存在していればプログラム内より
    取り出し、不存在であれば各変数に近似する複数個の類
    型をプログラム内より取り出して合成類型を作成すると
    共に、この合成類型を新たな類型としてプログラム内に
    登録可能とし、次いで、前記類型若しくは合成類型の加
    熱加圧条件に基づいて制御し、多段プレスの諸元に配置
    された検出器からの検出値をコンピュータ内へフィード
    バックし、この検出値と前記条件が合致若しくは近似す
    るように、熱板温度、シリンダの吐出圧力、熱圧時間を
    制御することを特徴とする多段プレスの熱圧制御方法。
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