JP2520297Y2 - ダイカスト製品の仕上げ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、ダイカスト製品の最終仕上げ加工、即ち鋳
造時に製品の周縁や鋳抜き穴等の開口縁に生じた鋳ばり
（小ばり）を取り除く仕上げトリミング、或いはネジ切
り等を行なう最終仕上げ加工の前に行なわれる一連の仕
上げに係る仕上げ装置に関し、詳しくは鋳造取出された
直後の製品からランナー部を含む押湯部分（ビスケッ
ト）や湯溜り部分等の大ばりを取り除くトリミング作業
から製品を常温まで下げる冷却、そして水切り、移送ま
で行なう仕上げ装置に関するものである。

〈従来の技術及びその問題点〉 従来、仕上げ装置は鋳造取出された直後のダイカスト
製品から大ばりを取り除くトリミング装置、このトリミ
ング装置から送られてきた製品を常温まで冷却する冷却
装置、この冷却装置から送られてきた製品をストックす
る製品ストックシューターで、冷却後の製品の水切りを
作業者が手作業で行なっていた。

然るに、上記従来の装置では大ばり取り作業から製品
ストックシューターへ製品を送る作業は全て自動化され
てはいたものの、冷却された製品の水切りを行なうに
は、製品ストックシューターに送られてきた製品を作業
者がハンドガン等を用いて全て一つずつ持ちながら行な
わなければならず、そのために、作業者が付き切りとな
らざる得ず、作業者に多大な労力を掛けると共に、ひい
ては作業能率の低下を招くという不具合が生じ、その改
善を多分に残していた。

〈考案が解決しようとする課題〉 本考案はこの様な従来の不具合に鑑み、大ばりが取り
除かれて送られてきたダイカスト製品を常温まで下げる
冷却と同時にその水切りまで行なう、即ち大ばり取りか
ら冷却、水切りまでの全工程の自動化を図った仕上げ装
置を提供することである。

〈課題を達成するための手段〉 上記技術的課題を達成する本考案の仕上げ装置は、ダ
イカスト製品の大ばり取りを行なうトリミング装置、該
トリミング装置から送られてきた製品の冷却及びその水
切りを行なうと共に水切り後、製品を製品ストックシュ
ーターへと送る冷却兼水切り装置からなり、該冷却兼水
切り装置を、メッシュ状のバケットと、水槽を設けた基
台の上方に該バケットを昇降自在に支持配備する昇降機
構と、この昇降機構に昇降支持枠を取付けて回転自在に
支持配備した該バケットを、その開口部が前記トリミン
グ装置側と製品ストックシューター側に対向する様に正
逆回転させる前記昇降支持枠に取付配備した反転機構と
から構成してなることを特徴とする。

〈作用〉 而して、上記した本考案の技術的手段によれば、鋳造
取出された直後のトリミング装置で大ばり取りされた製
品が、該トリミング装置から隣接せる冷却兼水切り装置
に送られ該装置の開口部をトリミング装置側に向けて開
口対向せしめたメッシュ状のバケット内に挿入される
と、該装置の昇降機構によりバケットと共に製品は水槽
内に降下浸漬されると共にバケット共に上昇されて水槽
から取出された後、反転機構によるバケットの製品スト
ックシューター側への回転により、該シューター側へ向
いた開口部から製品ストックシューターに送られる。こ
のバケットの回転動作によって製品の鋳抜き穴、凹み等
の溜り水や付着水は製品から切られる。

〈実施例〉 本考案の実施の一例を図面に基づいて以下説明する。

第１図は本実施例の仕上げ装置Ａの全体のレイアウト
を示す概略平面図であり、縦形プレス式のトリミング装
置１、冷却兼水切り装置２、製品ストックシューター３
からなり、不図示のダイカストマシンの製品取出し装置
による製品Ｂの取出し場所に順番に近接配設され、製品
取出し装置によって取り出された鋳造直後の製品Ｂがト
リミング装置１から冷却兼水切り装置２、該装着２から
製品ストックシューター３へと自動化移送される。

トリミング装置１、製品ストックシューター３及びト
リミング装置１と冷却兼水切り装置２との間に設備され
該装置２に製品Ｂを受け渡す製品受渡し機構４にあって
は、周知の構造でありその詳しい説明は省略する。

上記冷却兼水切り装置２は、冷却用の水槽５を設置装
備せる基台６の上方に昇降自在で且つ回転自在に配備す
るバケット2a、このバケット2aを吊着保持させる昇降機
構2b及び正逆回転させる反転機構2cからなる。

バケット2aは、棒材等を用いて前面を開口した箱形メ
ッシュ状に形成すると共に、その上下面のいずれか一面
を、前面開口部2a′側に向けて漸次下り傾斜状に傾斜さ
せた傾斜面７としてなり、その両側面には上記昇降機構
2bに昇降支持枠2dを介して回転自在に支持させる枢軸８
を取付ける。

昇降機構2bは、基台６上に立設した支柱９の上端間に
固着装備した天板10上の略中央部分に立設配備した油圧
又はエアー式のシリンダ11であり、このシリンダ11のロ
ッド先端に門形状に形成した昇降支持枠2dを連結支持さ
せると共に、この昇降支持枠2dの両側垂下板12間にバケ
ット2aを回転自在に取付けるものである。尚、13はバケ
ット2aの昇降時における移動を案内する天板10にガイド
ブッシュ14を介して貫通状に設けたガイド軸である。

バケット2aを正逆回転させる反転機構2cは、シリンダ
15、このシリンダ15のロッド先端に軸芯延長線上に沿え
て連結装備するラック16、バケット2aの枢軸８に固着装
備し該ラック16に噛合連繋させるピニオンギア17からな
り、前記シリンダ15を昇降支持枠2dより固着垂設せしめ
た取付台18上に立設配備し、そのロッド先端に取付けた
ラック16を下方においてバケット2aの枢軸８に取付けた
ピニオンギア17に連繋させてシリンダ15の作動によって
バケット2aを正逆回転させるものである。

尚、このシリンダ15のロッド後退限においてバケット
2aの開口部2a′がトリミング装置１側を向いて対向する
様に、そしてロッド前進限（ストロック限）においては
製品ストックシューター３側を向いて対向する様にラッ
ク16に対するピニオンギア17の噛合せを調整するものと
し、更に開口部2a′がトリミング装置１側を向いて対向
した時にバケット2aの上下一面の傾斜面７が上面とな
り、製品ストックシューター３側を向いて対向した時に
は下面となって製品Ｂがシューター３に滑り落ちる様に
バケット2aを昇降支持枠2dの垂下板12間に装着する。

次に、以下の如き構成した本実施例の仕上げ装置Ａの
動作（作用）を説明すると、ダイカストマシンにて鋳造
され製品取出し装置によって取り出された鋳造直後の製
品Ｂがトリミング装置１にセットされ、該装置１にて大
ばりが取り除かれると該製品Ｂは押上げシリンダ19によ
る移送板20の傾動により製品受渡し機構４の受け板21に
送られ受渡しシリンダ22の下降作動による該受け板21の
冷却兼水切り装置２側への傾動により滑り落ちて該装置
２のバケット2a内に送られる（第２図参照）。バケット
２内に製品Ｂが挿入されると昇降機構2bが作動を開始し
てバケット2aを降下せしめて該バケット2aと共に製品Ｂ
を水槽５内に降下浸漬させる（第５図イの状態）。

そして、一定時間経過後、製品Ｂはバケット2aと共に
上昇されて水槽５から取り出され、昇降機構2bの上昇停
止に追従する反転機構2cの作動、反転シリンダ15の作動
開始によりまずバケット2aは90°回転せしめられてその
姿勢が一定時間保持される（第５図ロの状態）。この
間、製品Ｂの鋳抜き穴や凹み等の溜り水は当該部分から
流れ落ちて下方の水槽５に戻される。一定時間経過後、
反転シリンダ15の作動開始によりバケット2aは更に90°
回転（当初の姿勢から180°回転）せしめられながら製
品Ｂの水切りを行ない、前面開口部2a′を製品ストック
シューター３側へと対向せしめる（第５図ハの状態）。

この時、バケット2aの周囲、例えば昇降機構2bのシリ
ンダ11を支える４隅の支柱９等に反転シリンダ15の作動
開始初期時から作動終了時、即ちバケット2aを90°回転
させた後更に90°回転させる作動終了時までの第５図ロ
の保持姿勢を含む反転シリンダ15の作動と連動させたエ
アーブローガンを装備して置けば、バケット2aの回転と
共にエアーブローにより水切りが行なわれ、一層効果的
になる。

バケット2aの前面開口部2a′が製品ストックシュータ
ー３側に向けて対向せしめると、製品Ｂの挿入時に上面
としていたバケット2aの傾斜面７は下面となり、水切り
された製品Ｂは滑り落ちてシューター３に送られストッ
クされる。

そして、水切りされた製品Ｂがバケット2a内から滑り
落ちると、該バケット2aは反転機構2cより回転せしめら
れてその開口部2a′をトリミング装置１に向けて対向せ
しめ、次の製品Ｂが送られてくるまで待機する。

以後、上述した動作にてばり取りされた製品Ｂの冷
却、水切りを行い、水切りされた製品Ｂを製品ストック
シューター３へと送る。

尚、上述したトリミング装置１、製品受渡し機構４、
冷却兼水切り装置２それら個々動作及び連係動作は全て
リミットスイッチ等の検知器や制御部のタイマー等を用
いて電気的制御のもとで自動化されている。

〈考案の効果〉 本考案ダイカスト製品の仕上げ製品は叙上の如く構成
してなるから、下記の作用効果を奏する。

鋳造取出された直後のダイカスト製品は、トリミング
装置により大ばりが取り除かれた後、隣接する冷却兼水
切り装置へ送られると共に該装置のバケットの昇降と回
転により冷却、水切りされて製品ストックシューターへ
と送られる。

従って、本考案の仕上げ装置によれば、ダイカスト製
品の大ばり取りから冷却、水切り作業までの各工程全て
が自動化され、作業者の労力軽減、作業能率の向上を図
り得、しかも、冷却用の水槽上において製品を挿入した
バケットの回転動作により水切りを行なうことから、製
品の鋳抜き穴、凹み等の溜り水や付着水は水槽に戻さ
れ、周囲を汚すことはない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案ダイカスト製品の水切り装置の全体レイ
アウトを示す概略平面図、第２図は同正面図、第３図は
冷却兼水切り装置の側面図、第４図は第３図のIV-IV線
拡大図、第５図イ，ロ，ハは冷却兼水切り装置の冷却か
ら水切りまでの動作過程を示す正面図である。 尚、図中 A:仕上げ装置、B:製品 1:トリミング装置、2:冷却兼水切り装置 2a:バケット、2b:昇降機構 2c:反転機構、2d:昇降支持枠 3:製品ストックシューター 5:水槽、6:基台

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ダイカスト製品の大ばり取りを行なうトリ
   ミング装置、該トリミング装置から送られてきた製品の
   冷却及びその水切りを行なうと共に水切り後、製品を製
   品ストックシューターへと送る冷却兼水切り装置からな
   り、該冷却兼水切り装置を、メッシュ状のバケットと、
   水槽を設けた基台の上方に該バケットを昇降自在に支持
   配備する昇降機構と、この昇降機構に昇降支持枠を取付
   けて回転自在に支持配備した該バケットを、その開口部
   が前記トリミング装置側と製品ストックシューター側に
   対向する様に正逆回転させる前記昇降支持枠に取付配備
   した反転機構とから構成してなることを特徴とするダイ
   カスト製品の仕上げ装置。