JP2519484B2 - ポリオレフィン系樹脂用感温変色性カラ―マスタ―バッチの製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂用感温変色性カラ―マスタ―バッチの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、温度変化に鋭敏に反応して、色彩が可逆的
に変化する機能を施した熱可逆変色性樹脂成型品の製造
法に関するものである。
[従来の技術] ポリオレフィン系樹脂は、価格の比較的安価なこと、
射出成型,押出成型,中空成型,真空成型等の多種の成
型方法に適用できること等により、きわめて広範多岐に
亘る製品を生み出している。
しかしながら、その色彩に関しては、一般の染顔料に
よる着色で単調なため、高度の商品価値を具有するに至
らなかった。
ところで、近年、各種の感温変色性物質、とりわけ色
彩の着色力に特に優れた電子供与性呈色色素、電子受容
性物質及び溶媒の3成分混合物を配合したインキにて、
紙、布、皮革等に所望の図柄模様を施し、外界の温度変
化にて色彩を可逆的に変退色させる方法が、よく知られ
るに至り、ポリオレフィン系樹脂成型加工品の着色に際
しても、かかる感温変色性物質を用いて感温変色性機能
を有する成型物を得る試みは、その製品に予想させる多
大の産業利用性に鑑み、斯界の関心の的となっている。
[発明が解決しようとする問題点] しかしながら、例えば特大公昭51−44706号公報、特
開昭57−76072号公報に開示された3成分混合物を、ポ
リオレフィン系樹脂中に熔融混練すると、成型時の加
熱、加圧条件により、これら3成分のいづれかが昇華、
蒸発等により系外に飛散し、その結果、感温変色性機能
を喪失してしまい、あるいは、加工条件の工夫等により
成型物となしたとしても、経日変化により3成分がブル
ーミング現象を呈してオレフィン樹脂表面に析出してし
まい、これら3成分を樹脂中に安定に保持させることは
実際上不可能であった。さらにこれら3成分を公知の微
小カプセルに内包した後、ポリオレフィン系樹脂に熔融
混練した場合、成型時の過酷な条件により該カプセルが
ことごとく破壊され、前記の場合同様、感温変色性機能
を喪失してしまう。又、3成分中の溶媒を分子量400以
上のアルコール性水酸基含有カルボン酸エステル化合物
としてブルーミング現象を防ぎ安定化を図るとする特開
昭50−75640号公報開示のポリオレフィン組成物は、感
温変色の感度が鈍く、従って用途が制限され、満足すべ
きものは得られていない。
[問題点を解決するための手段] 本発明者等は、ポリオレフィン系樹脂成型品に感温変
色性物質を有効に付与させることに就き、種々研究を重
ねた結果、本出願人が特公昭62−28990号公報で開示し
た感温変色性粒状物(電子供与性呈色性色素類,電子受
容性物質及び溶媒の3成分を非熱可塑性樹脂中に共存内
包化せる粒状物を、更に親水性高分子化合物で表面被覆
させて成るもの)を、さらに成型時の機械的混練による
破壊より保護し、ワックス中に熔融分散してペレット状
となしたものは、ポリオレフィン樹脂用の感温変色性カ
ラーマスターバッチとして成型時における高温,高圧に
耐え、安定でしかも感温変色性感度に優れた成型品の得
られることを見出し、以て本発明を完成したのである。
本発明方法に用いる感温変色性粒状物を構成するとこ
ろの電子供与性呈色色素類としては、3・3′ジメトキ
シフルオラン(黄)、3クロル・6フェニルアミノフル
オラン(黄橙)、3ジエチルアミノ・6メチル・7クロ
ルフルオラン(朱)、3ジエチル・7・8ベンゾフルオ
ラン(桃)、3・3′・3″トリス(P−ジメチルアミ
ノフェニル)フタリド(青紫)、3・3′ビス(P−ジ
メチルアミノフェニル)・7フェニルアミノフルオラン
(黒)等の如き置換フェニルメタン及びフルオラン類、
並びに各種のインドリルフタリド類、あるいはスピロピ
ラン、クマリン類などが挙げられ、本発明方法ではこれ
らの1種又は2種以上配合して用いる。
次に、前記電子供与性呈色色素類と結合して顕色せし
める電子受容性物質としては、P−フェニルフェノー
ル、ビスフェノールA、クレゾール、レゾルシン、クロ
ログリシン、フェノール樹脂オリゴマー、βナフトール
等の如きフェノール類及びこれらの金属塩、アンモニウ
ム塩、5クロルベンゾトリアゾール、4ラウリルアミノ
スルフォベンゾトリアゾール、5ブチルベンゾトリアゾ
ール、ジベンゾトリアゾール、2オキシベンゾトリアゾ
ール、5カルボエトキシベンゾトリアゾール等の如きベ
ンゾトリアゾール類及びこれらの金属塩、アンモニウム
塩等が挙げられ、これらの単独または2種以上を配合し
て用いる。
次に、本発明方法に係る前記電子供与性呈色色素類及
び之に対応する電子受容性物質の両者と共存する構成物
たる溶媒は、沸点が150℃以上のものが好適であり、先
ずオクチルアルコール、ミリシルアルコール、ステアリ
ルアルコール、ゲラニオール等のアルコール類、ステア
リン酸ラウリル、パルミチン酸グリセライド等のエステ
ル類、ベンジリデンアニリン、ベンジリデンラウリルア
ミン等のアゾメチン類、アセトアマイド、ステアリン酸
アマイド等のアマイド類などが挙げられ、該溶媒類は熱
可逆変色性粒状物の変色温度を決定する。
而して如上の3成分は、非熱可塑性樹脂、例えば、ポ
リエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、エ
ポキシ樹脂等を壁膜物質として、界面重合法、in site
重合法等にて共存封入せる粒状物となし、更に該粒状物
を水中に懸濁させ、親水性高分子化合物なるポリビニル
アルコール、ポリアクリル酸、ゼラチン、メチルセルロ
ース、アルギン酸等を用いて、該粒状物の表面被覆をす
る。
本発明方法において、前記感温変色性粒状物を熔融分
散、ペレット化、カラーマスターバッチ化させるワック
ス類としては、パラフィンワックス、ミクロクリスタリ
ンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワ
ックス、蜜ろう、モンタンワックス、無水ラノリン、カ
ルノバワックス等、熔融粘度が低くオレフィン系樹脂と
の相溶性に優れたものが望ましい。
尚、前記粒状物中及びカラーマスターバッチ中に、通
常の薬剤、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、染料、
顔料、蛍光増白剤、金属石鹸、界面活性剤、撥水剤、等
を配合しても、本発明の要旨を逸脱するものでない。
[実施例] 次に本発明の具体的実施例を挙げる。
(実施例1) デモールN(界面活性剤、花王(株))1重量部(以
下、重量部を部と略す)を含む水100部を90℃に加熱
し、これにクリスタルバイオレツトラクトン(電子供与
性呈色色素)1部、ビスフェノールA(電子受容性物
質)1部、ベンゾトリアゾール(電子受容性物質)1
部、及びラウリルアルコール(溶媒:沸点約255℃)20
部からなる溶融混合物を撹拌下添加し、平均粒径が約5
μmとなるように乳化させた。同撹拌下、メラミン−ホ
ルマリンの初期縮合物の30%水溶液15部を加え、次いで
10%塩化アンモニウム水溶液を3部加え、同温度(90
℃)で2時間撹拌し、ろ過、水洗を繰り返し、非熱可塑
性樹脂中に前記混合物を共存内包化せる粒状物A約25部
を得た。
得られた粒状物Aを3%ポリビニルアルコール水溶液
100部中に分散し、これに、10%カルボキシメチルセル
ロース水溶液60部を加え、強撹拌下10%塩化カルシウム
水溶液15部を徐々に滴下させ、30分間更に撹拌し、ろ過
した後、乾燥させると親水性高分子化合物(カルボキシ
メチルセルロース)で表面被覆された、平均粒径約6μ
mの感温変色性粒状物B約30部が得られた。
斯くして得られた粒状物B20部、サンワックス151P
(低分子量ポリエチレン、三洋化成工業社製)50部、ス
ミカセンG801(ポリエチレン樹脂、住友化学工業社製)
30部、チヌビン328(紫外線吸収剤、Geigy社製)0.2部
をV型タンブラーにて混合した後、水中カット方式のペ
レット製造装置にて溶融分散させることによりペレット
化し、感温変色性カラーマスターバッチを得る。該マス
ターバッチ10部PinkPP−049(ドライカラー、大日精化
社製)0.1部、ショーレックスM113(ポリエチレン樹
脂、昭和油化社製)90部をタンブルミキサーにて混合
後、中空成型機にて通常の条件で冷水筒を製造した。該
冷水筒の飲料水を満たし、冷蔵庫に保管する。内容物が
13℃以下になると、ブルー色を呈し、それ以上の温度で
はピンク色を呈した。すなわち内容物の冷却状態が一見
で認識できるものとなった。該変化は何度でも可逆的に
反復できるものであった。
(実施例2) クロミックカラーS−17イエロー(感温変色性粒状
物、松井色素化学工業所社製)30部、ビスコールTS200
(低分子量ポリプロピレン、三洋化成工業社製)50部、
ノーブレンAX961(ポリプロピレン樹脂、住友化学工業
社製)20部、ブルーPP−038(ドライカラー、大日精化
社製)0.4部をV型タンブラーにて混合した後、水中カ
ット方式のペレット製造装置にてペレット化し、感温変
色性カラーマスターバッチを製造した。該マスターバッ
チ10部、ノーブレンY101(ポリプロピレン樹脂、住友化
学工業社製)90部をタンブルミキサーで混合後、射出成
型機にて通常の条件でコップを成型加工した。該コップ
は25℃室温中では青色を呈し、10℃の冷水を注ぐと緑色
を呈した。この変化は何度でも可逆的に反復できるもの
であった。
(実施例3) クロミックカラーS−35ピンク(感温変色性粒状物、
松井色素化学工業所社製)25部、カルナバワックス40
部、ショーレックスM251(ポリエチレン樹脂、昭和油化
社製)35部をV型タンブラーで混合し、水中カット方式
のペレット製造装置にてペレット化し、感温変色性カラ
ーマスターバッチを製造した。該マスターバッチ30部、
エバテートH4011(エチレン酢ビ共重合樹脂、住友化学
工業社製)70部、セルマイCAP(アゾジカルボンアミド
系発泡剤、三協化成社製)7部、カヤレンF(有機過酸
化物系架橋剤、日本化薬社製)1.5部、ステアリン酸0.5
部をミキシングロールを用い、温度80〜90℃にて混練し
シート状にしたものをモールドに入れハイドリッププレ
スにて温度170℃,面圧200kg/cm2の条件で30分間加熱後
プレスを解圧すると架橋発泡されたEUA発泡体が得られ
た。該発泡体は室温ではピンク色を呈し、40℃の温水に
つけると、無色となった。この変化は何度でも可逆的に
反復できるものであった。
(実施例4) クロミックカラーS−27ブルー(感温変色性粒状物、
松井色素化学工業所社製)10部、ビスコール330−P
(低分子量ポリプロピレン樹脂、三洋化成工業社製)50
部、ノーブレンAZ961(ポリプロピレン樹脂、住友化学
工業社製)40部をV型タンブラーにて混合した後、撹拌
羽根を取り付けたステンレス製2重釜中で140℃にて加
熱熔融する。該熔融物をテーブル式フレーカーにて冷
却、フレーク状物を製造した。かくして得た感温変色性
カラーマスターバッチ25部、ノーブレンFL6315G(ポリ
プロピレン樹脂、住友化学工業社製)75部、ピンクPP−
049(ドライカラー、大日精化社製)0.2部をタンブルミ
キサーにて混合する。該混合物を押出機にて厚さ50μm
のフィルムを製造した。該フィルムは25℃以下の温度で
は青色を呈し、温度の上昇に伴って徐々に変化し、30℃
では美しいピンク色を呈した。かつ、該変化は何度も可
逆的に反復できるものであった。
(実施例5) クロミックカラーS−35バーミリオン(感温変色性粒
状物、松井色素化学工業所社製)20部、モンタンワック
ス40部、ノーブレンAX901(ポリプロピレン樹脂,住友
化学工業社製)40部、イエローPP020(ドライカラー、
大日精化社製)0.2部をV型タンブラーにて混合した
後、水中カット方式のペレット製造装置にてペレット化
し感温変色性カラーマスターバッチを製造した。該マス
ターバッチ5部、ノーブレンAW564(ポリプロピレン樹
脂、住友化学工業社製)95部をタンブルミキサーにて混
合後、射出成型機にて通常の条件で風呂おけを製造し
た。該風呂おけは室温では朱色を呈し、40℃の温水にて
黄色に変化した。該変色は何度でも可逆的に反復できる
ものであった。
(実施例6) 実施例4における感温変色性カラーマスタバッチ10
部、ノーブレンY10190部をタンブルミキサーにて混合
後、射出成型機にて通常の条件で歯刷子の柄を成型加工
した後歯刷子となした。該歯刷子は25℃の室温では青色
を呈し、手にもって約3分間歯を磨いた後は体温によっ
て歯刷子の柄の部分が無色に変化した。該変化は何度で
も可逆的に反復できるものであった。
(実施例7) クロミックカラーS−17ピンク(感温変色性粒状物、
松井色素化学工業所社製)30部、サンパックス151P(低
分子量ポリエチレン樹脂、三洋化成工業社製)70部、白
色顔料2部、チヌビン328(紫外線吸収剤、Geigy社製)
0.5部をV型タンブラーにて混合後、撹拌羽根を取り付
けたステンレス製二重釜中で加熱熔融する。ついで、該
熔融物を冷却装置を取り付けたエンドレスのスチールベ
ルト上に排出し、冷却板状となったものを粉砕し、感温
変色性マスターバッチを製造した。該マスターバッチ10
部、スタフレンE704(ポリエチレン樹脂、日本石油化学
社製)90部をタンブルミキサーにて混合後、押出機にて
通常の条件により直径5mmのチューブを製造し、同時に2
0cm毎にカットして感温変色性ストローを製造した。該
ストローは25℃室温では無色であるが、15℃以下の冷水
中につけるとピンク色を呈した。該変化は何度でも可逆
的に反復できるものであった。
(比較例1) 実施例1で用いた粒状物B20部に換えて、親水性高分
子化合物で表面被覆されていない粒状物A20部を用いる
ことを除き、他は全て実施例1と同様にしてカラーマス
ターバッチを得た。
斯くして得られたカラーマスターバッチは、その製造
時の溶融混練時において、粒状物Aが破壊され、所望の
感温変色特性を全く示さないものとなっていた。
従って、このカラーマスターバッチを用いて、実施例
1と同様にして得た冷水筒においても、温度による変色
現象が全く観察されず、一様に青味を帯びたピンク色を
示す、商品価値の乏しいものであった。
(比較例2) 実施例1で用いたラウリルアルコール(沸点約255
℃)20部に換えて、ブタノール(沸点約117℃)20部を
用いることを除き、他は全て実施例1と同様にしてカラ
ーマスターバッチを得た。
斯くして得られたカラーマスターバッチは、その製造
時の溶融混練時において、ブタノールの気化に基づく内
部体積の膨張により粒状物が破壊され、所望の感温変色
特性を全く示さないものとなっていた。
従って、このカラーマスターバッチを用いて、実施例
1と同様にして得た冷水筒においても、温度による変色
現象が全く観察されず、一様に淡紫色を示す、商品価値
の乏しいものであった。
(比較例3) 実施例1で用いたサンワックス151P:50部、スミカセ
ンG801:30部を、スミカセンG801:80部に置き換える以
外、他は全て実施例1と同様にしてカラーマスターバッ
チを得た。
斯くして得られたカラーマスターバッチは、その製造
時の溶融混練時において、溶融粘度が高くなる為粒状物
Bが破壊され、所望の感温変色特性を全く示さないもの
となっていた。
従って、このカラーマスターバッチを用いて、実施例
1と同様にして得た冷水筒においても、温度による変色
現象が全く観察されず、一様に青味を帯びたピンク色を
示す、商品価値の乏しいものであった。
実施例8〜14 実施例1で用いたサンワックス151P(平均分子量:200
0)50部に換えて以下の表1に列挙したワックス50部を
それぞれ用いることを除き、他は全て実施例1と同様に
して感温変色性カラーマスターバッチを得た。
斯くして得られたマスターバッチをそれぞれ用いて、
実施例1と同様にして、各冷水筒を得たところ、該冷水
筒は何れの実施例においても、実施例1と同様の感温変
色特性を示した。
[発明の効果] (a)価格の比較的安価なこと、射出成型、押出成型、
中空成型、真空成型等の各種の成型方法に適用できるこ
と等により極めて広範多岐に亘る製品を生み出している
ポリオレフィン系樹脂が、従来一般の染顔料による着色
のみが一般に実施せられ、ためにポリオレフィン系樹脂
に高度の商品価値を付加することが出来なかったのに対
して、本発明方法により感温変色性機能が付与せられる
こととなり、その産業利用性は多大である。
(b)多種多様の色彩の顕色と消色とが可逆的に自在で
ある。
(c)比較的簡単な工程により、割合安価に実施するこ
とができ、その点において産業利用性を増大せしめる所
以となる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−217264(JP,A) 特開 昭60−96622(JP,A) 特開 昭56−20053(JP,A) 特開 昭58−32671(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電子供与性呈色色素類、電子受容性物質及
    び沸点150℃以上である溶媒の3成分を非熱可塑性樹脂
    中に共存内包化させる粒状物を更に親水性高分子化合物
    で表面被覆させて成る感温変色性粒状物を、さらにワッ
    クス中に熔融分散してなる、ポリオレフィン系樹脂用感
    温変色性カラーマスターバッチの製造方法。
JP62274785A 1987-10-29 1987-10-29 ポリオレフィン系樹脂用感温変色性カラ―マスタ―バッチの製造方法 Expired - Lifetime JP2519484B2 (ja)

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