JP2518933B2 - 新規コリンオキシダ―ゼおよびその製法 - Google Patents

新規コリンオキシダ―ゼおよびその製法

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JP2518933B2 JP1220034A JP22003489A JP2518933B2 JP 2518933 B2 JP2518933 B2 JP 2518933B2 JP 1220034 A JP1220034 A JP 1220034A JP 22003489 A JP22003489 A JP 22003489A JP 2518933 B2 JP2518933 B2 JP 2518933B2
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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は化学分析や臨床検査などに用いられる酵素と
して重要な、新規コリンオキシダーゼおよびその製法に
関する。本酵素は、化学分析においてはコリンの定量分
析、臨床検査においては、血清中のコリンエステラーゼ
の測定、およびホスホリパーゼDと組み合わせて使用す
ることにより、リン脂質の測定等にひろく用いられる。
従来の技術 コリンオキシダーゼ(E.C.1.1.3.17)はアースロバク
ター属細菌(特公昭60−4716号、60−46953号)、アル
カリゲネス属細菌(特開昭54−17182号)、ブレビバク
テリウム属細菌(特開昭53−66492号)、コリネバクテ
リウム属細菌(特開昭54−23191号)、アスペルギルス
属糸状菌(特開昭53−52687号)、シリンドロカーボン
属糸状菌、フサリウム属糸状菌、ジベラ属糸状菌(特開
昭54−35284号)、ペニシリウム属糸状菌(特開昭56−9
2787号)、ストレプトマイセス属放線菌(特開昭57−13
2880号)により生産されることが知られている。
アースロバクター属細菌由来のコリンオキシダーゼ
は、分子量84,000、熱安定性は40℃付近まで安定でかつ
反応至適温度は40℃である(特公昭60−4716号)。アル
カリゲネス属細菌由来のコリンオキシダーゼは、分子量
95,000、熱安定性は37℃以下であり反応至適温度は40℃
である(特開昭54−17182号)。ブレビバクテリウム属
細菌由来のコリンオキシダーゼは、分子量97,000で、熱
安定性は45℃,30分で安定、50℃で失活しかつ反応至適
温度は20から35℃である(特開昭53−66492号)。アス
ペルギルス属糸状菌由来のコリンオキシダーゼは熱安定
性については、35℃まで安定であるが40℃では急速に失
活する(特開昭53−52687号)。コリネバクテリウム属
細菌由来酵素の熱安定性の記載はないが、反応至適温度
は20℃から35℃である。シリンドロカーボン属、フサリ
ウム属、ジベラ属糸状菌由来酵素は熱安定性の記載はな
いが、反応至適温度は35℃である(特開昭54−35284
号)。ペニシリウム属糸状菌由来酵素は、その安定性は
pH7から9の範囲で25℃、1時間で安定であるにすぎな
い(特開昭56−92787号)。またストレプトマイセス属
菌由来酵素の生産菌としては、ストレプトマイセス・ニ
グリファシエンスのみが知られ、該酵素の熱安定性は、
30℃まで安定であり、40℃で失活する。さらに該生産菌
の生育温度は37℃以下である(特開昭57−132880号)。
発明が解決しようとする課題 従来公知のコリンオキシダーゼは、分子量が84,000か
ら97,000の範囲にあり、熱安定性はせいぜい40℃まで
か、または45℃30分まで安定であるが50℃では急速に失
活する。また反応至適温度はすべて40℃以下である。
すなわち、従来のコリンオキシターゼは熱安定性にお
とるという欠点を有していた。
課題を解決するための手段 臨床検査または化学分析等で酵素を使用する場合に、
熱安定性および反応至適温度が高いものほど有利に使用
できる。一般に酵素は、他の化学物質に比較して不安定
である点に問題があり、その主たる原因は高温による熱
変性にあるとされている(酵素研究法、赤堀四郎編、第
1巻245−246頁、朝倉書店、1955年)。有利に使用でき
るとは、酵素を長期間使用するに当たって、長期に保存
が可能であるとか、酵素を固定化して繰り返し再使用す
る場合に、長期間の使用に耐えうることを意味してい
る。また反応至適温度が高いことも高温で酵素を使用し
うるという点で有利である。本発明者等は熱安定性の優
れたかつ反応至適温度の高いコリンオキシダーゼを開発
すべく、該酵素を産生する微生物を鋭意検索した結果、
45℃以上で生育しうる放線菌が目的とするコリンオキシ
ダーゼを産生することを見出し、更に、該酵素を単離、
精製して研究を重ね、本発明を完成するに至った。即
ち、本発明は (1)pH7〜9(トリス−塩酸緩衝液)において50℃で
安定な新規熱安定性コリンオキシダーゼに関し、特に、
本発明のコリンオキシダーゼの代表的なものは以下の理
化学的性質を有する (a)至適pH:7.5〜9(トリス−塩酸緩衝液)の間にあ
る (b)安定pH範囲:7〜9(トリス−塩酸緩衝液) (c)等電点:4.5〜5.5(キャリア・アンホライトを用
いる電気泳動法) (d)分子量:50,000〜95,000 (TSK−gel を用いるゲルろ過法) 6×104±5×103(SDS法) (e)至適温度:40〜55℃(トリス−塩酸緩衝液)の間
にある (f)熱安定性:pH7〜9において50℃で安定(トリス−
塩酸緩衝液) また、 (2)コリンオキシダーゼを生産する能力を有し、かつ
45℃以上で生育しうる放射菌を培地に培養し、その培養
物から該コリンオキシダーゼを採取することを特徴とす
るコリンオキシダーゼの製法に関する。
本発明において使用される放線菌としては、コリンオ
キシダーゼを生産する能力を有し、かつ45℃以上で生育
しうるものならいずれでもよく、たとえばストレプトマ
イセス属、サーモアクチノマイセス属またはサッカロポ
リスポラ属に属する放線菌が挙げられる。更に具体的に
は、ストレプトマイセス・サーモルテウス・亜種・フス
クス(Streptomyces thermoluteus subsp.fuscus)C
−19(IFO 14770,FERM BP−2007)、ストレプトマイ
セス・サーモルテウス・亜種・フスクス(Streptomyces
thermoluteus subsp.fuscus)IFO 14270、ストレプト
マイセス・サーモフィラス(Streptomyces thermophilu
s)IFO 13370、サーモアクチノマイセス・モノスポラ
ス(Thermoactinomyces monosporus)IFO 14050、サッ
カロポリスポラ・ヒルスタ(Saccharopolyspora hirsut
a)ATCC 27876、サッカロポリスポラ・ヒルスタ ATCC
20501およびサッカロポリスポラ・ヒルスタ IFO 13
919などが挙げられる。上記のIFO番号は、財団法人発酵
研究所(IFO)における受託番号を、またFERMBP番号
は、通商産業省工業技術院微生物工業研究所(FRI)に
おける受託番号を、ATCC番号はジ・アメリカン・タイプ
・カルチャー・コレクション(THE AMERICAN TYPE CULT
URE COLLECTION)における受託番号をそれぞれ示す。ス
トレプトマイセス・サーモルテウス・亜種・フスクスC
−19は、IFOに昭和63年7月25日から、またFRIにブダペ
スト条約に基づき昭和63年8月20日からそれぞれ寄託さ
れている。また他の株については、IFO発行リスト・オ
ブ・カルチャーズ(LIST OF CULTURES)第18版,Vol.
1,(1988)またはATCC発行カタログ・オブ・バクテリア
・ファージ・アンド・rDNAベクターズ(CATALOGUE OF
BACTERIA,PHAGES AND rDNA VECTORS)第16版(198
5)に記載される公知株である。
ストレプトマイセス・サーモルテウス・亜種・フスク
ス(Streptomyces thermoluteus subsp.fuscus)C−
19株の菌学的性状は以下の通りである。
(A)形 態 肉眼的観察によると、胞子を形成した気菌糸は、「カ
ラー・ハーモニー・マニュアル」の色調表示に従うと、
グリージ・シトロン・グレー(1fe)を呈し、基生菌糸
は、ゴールデン・オリーブ(1 1/21g)を呈した。
可溶性色素は通常生成しないが、稀にライト・アンテ
ィク・ゴールド(1 1/2ic)(「カラー・ハーモニー・
マニュアル」色調表示)の色素を生成することもある。
スターチ無機塩寒天培地上で、37℃、10−15日間培養
し、顕微鏡観察した所見は次の通りである。気菌糸は、
直径0.8−1.2μm、直状または曲状もしくは波状で、単
純分岐をなして、伸長し、多数の胞子の連鎖を形成す
る。胞子の連鎖は波状または直状(RF)、ときには曲状
またはループ状(RA)を形成する。稀に1ないし2回巻
いた螺旋状のものもある。胞子は楕円型で、ときには球
形のものもあり、大きさは0.8−1.2μmないし1.0−1.8
μmであり、表面構造は平滑である。基生菌糸は単純分
岐をなして、波状または曲状に伸長し、直径0.6−0.8μ
mで、菌糸の分裂や胞子は認められない。鞭毛胞子や胞
子のうの着生も認められない。
(B)菌体成分 全菌体分析によるジアミノピメリン酸の分析は、スタ
ーチ無機塩培地で、24時間振盪培養をして採取した菌体
をベッカー(Becker)らの方法[アプライド・マイクロ
バイオロジー(Applied Microbiology)第12巻(5)42
1−423頁、1964年]に従い、実施した。その結果、LL−
ジアミノピメリン酸が検出され、メソ型は検出されなか
った。
同じ菌体試料について、細胞壁の還元糖の分析をレチ
ェバリエ・アンド・レチェバリエ(Lechevalier and
Lechevalier)の方法[インターナショナル・ジャーナ
ル・オブ・システマティック・バクテリオロジー(Inte
rnational Journal of Systematic Bacteriology)
第20巻、435−443頁、1970年]に従って実施した。還元
糖の検出は、定法のろ紙クロマトグラフィーのほかに、
液体クロマトグラフィーにより行った。液体クロマトグ
ラフィーの条件は、島津製作所(株)製、高速液体クロ
マトグラフィー装置(LC−5A型)、蛍光光度計(RT−53
0)を用いて分析化学 第32巻、E207−E210頁に記載さ
れる液体クロマトグラフィーによる還元糖の分析方法に
従い実施した。その結果、リボース、グルコース、ガラ
クトースが検出される。
(C)培養的性状 下記の培地を用い、37℃、21日間の培養をしたのち
に、観察した。培養物の性状はつぎに示すとおりであっ
て、色調の表示は「カラー・ハーモニー・マニュアル」
に従った。
(C−1)シュクロース・硝酸塩寒天培地 生育:中程度、ホワイト(a) 気菌糸:中程度、ホワイト(a) 可溶化色素:生じない (C−2)グルコース・アスパラギン寒天培地 生育:良好、ホワイト(a) 気菌糸:良好、ホワイト(a) 可溶性色素:ゴールデン・ブラウン(3pg) (C−3)グリセリン・アスパラギン寒天培地 生育:中程度、ホワイト(a) 気菌糸:中程度、ホワイト(a) 可溶性色素:生じない (C−4)スターチ寒天培地 生育:極めて良好、グリージ・シトロン・グレー(1f
e) 気菌糸:極めて良好、ホワイトもしくはコバルト・グレ
ー(2fe) 可溶性色素:ライト・アンティク・ゴールド(1 1/2i
c) (C−5)チロシン寒天培地 生育:良好、コバート・グレー(2fe) 気菌糸:良好、ホワイト(a)もしくはグリージ・シト
ロングレー(1fe) 可溶性色素:トパズ・バタースコッチ(3ne) (C−6)栄養寒天培地 生育:中程度、コバート・グレー(2fe) 気菌糸:中程度、ホワイト(a)もしくはコバート・グ
レー(2fe) 可溶性色素:生じない (C−7)イースト・麦芽寒天培地 生育:良好、コバート・グレー(2fe) 気菌糸:良好、ホワイト(a)もしくはグリージ・シト
ロン・グレー(1fe) 可溶性色素:生じない (C−8)オートミール寒天培地 生育:極めて良好、オリーブ・グレー(1ih) 気菌糸:極めて良好、ホワイト(a)もしくはダーク・
コバート・グレー(2ih) 可溶性色素:ムスタード・オールド・ゴールド(2le) (D)生理的性状 (D−1)メラニン様色素の生成 トリプトン・イースト寒天培地で陰性。チロシン寒天
培地、ペプトン・イースト・鉄寒天培地で陽性。
(D−2)ゼラチン液化 グルコース・ペプトン・ゼラチン寒天培地で陽性。
(D−3)スターチの加水分解 スターチ無機塩寒天培地で陽性。
(D−4)脱脂乳培地 凝固せず、ペプトン化する。
(D−5)炭素源の同化性 L−アラビノース、グリセロール、D−キシロース、
D−ガラクトース、D−フルクトース、L−ラムノー
ス、イノシトール、D−マンニトール、シュクロース、
D−ラフィノース、サリシン、D−グルコースは陽性。
D−アラビノース、L−キシロース、L−ソルボー
ス、D−ソルビトール、キシリトール、D−フコース、
D−タガトースは陰性。
(D−6)生育温度 スターチ寒天培地を用いて生育温度を調べ、17−51℃
の温度範囲で生育をすることを認めた。
以上の通り、供試菌株(C−19)は分裂を生じない基
生菌糸より、多数の胞子の連鎖を持つ気菌糸を生じ、細
胞壁にL,L−ジアミノピメリン酸を含有し、構成糖とし
て、リボース、グルコース、ガラクトースを有すること
などより、ストレプトマイセス属に属するものと認めら
れる。菌糸の直径および胞子の大きさも、ストレプトマ
イセス属菌の典型的なものと認められる。
供試菌株の特徴として50℃以上の温度条件下で生育す
る。これはディベロップメント・イン・インダストリア
ル・マイクロバイオロジー(Development in Industr
ial Microbiology)第23巻、61−78頁(1982年)に記
載される定義によると、好熱性放線菌(サーモフィリッ
ク・アクチノマイセス、Thermophilic Actinomyces)に
分類される。また、胞子の連鎖は、波状または直状(R
F)、ときにはループ状または曲状(RA)、稀に1ない
し2回まいた螺旋状のものもある。胞子の表面は平滑で
あり、稀に可溶性色素を生成する。チロシン寒天培地、
ペプトン・イースト・鉄寒天培地でメラニン様色素が生
成される。硝酸塩還元性試験が陰性であること、炭素源
同化能が比較的広範囲に及ぶことなどが供試菌株の特徴
にあげられる。この様な特徴を有するストレプトマイセ
ス属菌種を、種々の文献[ディベロップメント・インダ
ストリアル・マイクロバイオロジー(Development Indu
strial Microbiology)第23巻61−78頁(1982年)、バ
ージーズ・マニュアル・オブ・ティターミネイティブ・
バクテリオロジー(Bergey's Manual of Determinat
ive Bacteriology)第8版 750−828頁、インターナ
ショナル・ジャーナル・オブ・システマティク・バクテ
リオロジー(International Journal of Systematic
Bacteriology)第18巻 69−189頁]より検索すれ
ば、ストレプトマイセス・エウリサーマス(Streptomyc
es eurythermus)が類似菌として挙げられる。一方、
アクタ・ミクロビオロジカ・シニカ(Acta Microbiolo
gica Sinica)第21巻 414頁(1981年)に記載されて
いるストレプトマイセス・サーモルテウス・亜種・フス
クス(Streptomyces thermoluteus subsp.fuscus)も
類似菌として挙げることができる。
さらに、財団法人・発酵研究所保存のストレプトマイ
セス属に属し、好熱性または耐熱性のものより下記の菌
株を選び、供試菌と比較対照した。ストレプトマイセス
・サーモブルガリス(Streptomyces thermovulgaris)I
FO 12383,13089、ストレプトマイセス・サーモビオラ
セウス(Streptomyces thermoviolaceus)IFO 13473,
13905,12382,13387、ストレプトマイセス・サーモディ
アスタティクス(Streptomyces thermodiastaticus)I
FO 13468、ストレプトマイセス・サーモフィラス(Str
eptomyces thermophilus)IFO 12381,13370、ストレプ
トマイセス・サーモトレランス(Streptomyces thermo
tolerans)IFO 13088、ストレプトマイセス・サーモリ
ラシヌス(Streptomyces thermolilacinus)IFO 1427
4、ストレプトマイセス・サーモルテウス(Streptomyce
s thermoluteus)IFO 14269、ストレプトマイセス・サ
ーモルテウス・亜種・フスクス(Streptomyces thermol
uteus subsp.fuscus)IFO 14270、ストレプトマイセス
・サーモアトロビリディス(Streptomyces thermoatrov
iridis)IFO 14276、ストレプトマイセス・サーモカス
タネウス(Streptomyces thermocastaneus)IFO 1427
5、ストレプトマイセス・サーモコエルレセンス(Strep
tomyces thermocoerulecens)IFO 14273、ストレプト
マイセス・サーモシアネオマカラタス(Streptomyces
thermocyaneomaculatus)IFO 14272、ストレプトマイ
セス・サーモシシネオビオラセウス(Streptomyces th
ermocycineovilaceus)IFO 14271、ストレプトマイセ
ス・マクロスポラス(Streptomyces macrosporus)IFO
14748,14750、ストレプトマイセス・メガスポラス(Str
eptomyces megasporus)IFO 14749、ストレプトマイ
セス・マクロスポレウス(Streptomyces macrosporeu
s)IFO 1279、ストレプトマイセス・エウリサーマス(S
treptomyces eurythermus)IFO 12764、ストレプトマ
イセス・フラディエ(Streptomyces fradiae)IFO 37
18。
即ち、供試菌株(C−19)と、これらのIFO保存株
を、グルコース・アスパラギン寒天培地、スターチ寒天
培地およびイースト・麦芽寒天培地に胞子を寒天表面上
に塗布する方法で植菌し、28、37、45℃の3水準の培養
温度条件下で、各々21日間培養して、その間に生育した
菌糸および胞子の色調を比較観察した。供試菌と色調が
類似するものとして、ストレプトマイセス・エウリサー
マス(Streptomyces eurythermus)IFO 12764および
ストレプトマイセス・サーモルテウス・亜種・フスクス
(Streptomyces thermoluteus subsp.fuscus)IFO 142
70が選択された。これら2株と供試菌株はさらに詳細に
比較した。
即ち、以下の第1表に示すように供試菌を含むこれら
3株は、グルコース・アスパラギン寒天培地およびスタ
ーチ寒天培地における生育・気菌糸の色調において完全
に一致することを認めた。また気菌糸の分岐形態および
基生菌糸の形態もほとんど一致する。これら3株は、胞
子の表面構造が完全に一致し、大きさもほとんど一致す
ることを認めた。寒天培地上における可溶性色素の生成
に関しては、若干の差異が認められた。グルコース・ア
スパラギン寒天培地における可溶性色素の生成について
は、IFO 14270はこれを生成せず、他の2株はこれを生
成する。スターチ寒天培地における可溶性色素の生成に
ついては、IFO 12764がこれを生成せず、他の2株が生
成することを認めた。イースト・麦芽寒天培地における
生育、気菌糸、可溶性色素に関しての性状はこの3株に
おいて若干の差異が認められた。
生育温度範囲についてはこの3株において、ほとんど
差異が認められなかった。ゼラチン液化、スターチ加水
分解、脱脂牛乳培地における性状、チロシン寒天培地、
ペプトン・イースト・鉄寒天培地、トリブトン・イース
ト寒天培地におけるメラニン様色素の生成の有無、硝酸
塩の還元性、これらの試験に基づく性状は、この3株で
完全に一致した。
炭素源の同化性の試験については、L−アラビノー
ス、D−キシロース、D−グルコース、D−フルクトー
ス、シュクロース、イノシトール、L−ラムノース、D
−ラフィノース、D−マンニットについて実施したとこ
ろ、供試菌株とIFO 14270の性状は完全に一致した。IF
O 12764についてはほとんどの炭素源の同化性につい
て、他の2株と一致するものの、イノシトール、L−ラ
ムノースについては異なる結果を示した。即ち、IFO 1
2764はこれらの炭素源の同化性を示さないが、他の2株
は同化性を示した。また、コリンオキシダーゼの生産性
については、供試菌とIFO 14270に生産性が認められ、
IFO 12764には認められなかった。
これら3株は形態、生育状況、その性状については良
く類似していると判断される。生理的性状については、
3株の間に若干の相違点が認められた。即ち、供試菌株
は、IFO 14270と試験に供されたすべての項目におい
て、完全に一致したが、IFO 12764とは、イノシトー
ル、L−ラムノースの同化性およびコリンオキシダーゼ
の生産性において異なる結果を示した。
以上の事実を勘案し、供試菌C−19は、IFO 12764お
よびIFO 14270とよく類似していると考えられるが、前
記に示した生理的性状の試験において、IFO 14270に極
めて類似していると判断される。従って、供試菌をスト
レプトマイセス・サーモルテウス・亜種・フスクス(St
reptomyces thermoluteus subsp.fuscus)と同定するの
が妥当であり、供試菌をストレプトマイセス・サーモル
テウス・亜種・フスクス(Streptomyces thermoluteus
subsp.fuscus)C−19と称することにした。
本発明において前記放線菌を培養して耐熱性コリンオ
キシダーゼを蓄積させるには、通常の静置培養、振盪培
養、通気攪拌培養あるいは固体培養などを行うことで達
成されるが、とりわけ通気攪拌培養が望ましい。用いる
培地は、使用される微生物の生育しうる通気の組成のも
ので良く、炭素源には炭水化物(例、グルコース、ラク
トース、マルトース、シュークロース等)、油脂(大豆
油、コーンオイル等)、脂肪酸(ステアリン酸等)、有
機酸(コハク酸、乳酸、酢酸等)あるいはアルコール類
(グリセリン、エチレングリコール、エタノール等)な
どのなかから資化しうるものを適宜選択し、単独または
混合して使用される。また窒素源には例えばペプトン、
大豆粉、綿実粉、コーンスティープリカー、酵母エキ
ス、麦芽エキス、肉エキス、ホエー、カゼイン等の有機
窒素源のほか、硫安、塩安、硝安、燐安などの無機窒素
源が必要に応じて、適宜混合してまたは単独で用いられ
る。培地には炭素源、窒素源のほか、生育や酵素形成に
必要なミネラル、アミノ酸あるいはビタミンなどの必須
因子や促進因子を添加するのが良い。更に耐熱性コリン
オキシダーゼを誘導するためにコリンあるいはコリン誘
導体などの誘導因子を添加することもある。培養中のpH
および泡の管理の目的で、苛性アルカリ液、炭酸ナトリ
ウム、炭酸カルシウムなどのカルシウム塩類を適宜補添
したり、消泡剤の添加も有効である。
培養の温度は、用いる微生物に応じてその生育に適し
た温度を選択すれば良く、通常15℃ないし70℃、好まし
くは25℃ないし60℃で培養するのが有利である。また培
養時間は、用いる微生物の生育および耐熱性コリンオキ
シダーゼの生成に十分な時間で続行されるが、通常1日
ないし7日を要する。
このようにして培養することにより、耐熱性コリンオ
キシダーゼは、通常、微生物菌体に蓄積されるので培養
液から遠心分離、沈降分離、凝集分離、多孔性膜や高分
子膜、セラミック膜等によるろ過などの方法によって生
菌体を集菌し、これを凍結融解処理、磨砕処理、超音波
処理、加圧せん断処理、浸透圧処理、細胞膜の溶解処
理、界面活性剤処理等の方法を単独もしくは組み合わせ
て破砕し、害酵素を可溶化して、粗酵素液をプロタミン
処理、塩析、有機溶媒処理、界面活性剤処理、等電点沈
澱、電気泳動、イオン交換クロマトグラフィー、疎水ク
ロマトグラフィー、ゲルろ過、アフィニティークロマト
グラフィー、晶出などの通常の酵素の精製手段を適宜組
み合わせることによって、蛋白として単一な酵素標品を
採取することができる。かくして得られる、本発明のコ
リンオキシダーゼの酵素化学的および理化学的性質は次
の通りである。
(1)作 用 コリンを酸化してベタインアルデヒドとし、ベタイン
アルデヒドを酸化してベタインとする。コリンの場合に
は、1モルのコリンより1モルのベタインアルデヒドお
よび1モルの過酸化水素を生成し、更にこの1モルのベ
タインアルデヒドより、1モルのベタインおよび1モル
の過酸化水素を生成する。即ち、1モルのコリンより1
モルのベタインおよび2モルの過酸化水素を生成する。
またベタインアルデヒドの場合には、1モルのベタイン
アルデヒドより1モルのベタインと1モルの過酸化水素
を生成する。
(2)酵素活性測定法 0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)100mlに2.1gの塩化
コリンを溶解して得られる2.1%塩化コリン溶液を97m
l、1.0%4−アミノアンチピリン水溶液を1.0ml、1.0%
フェノール水溶液2.1mlの3者の溶液を混合する。これ
に、パーキオキシダーゼ(西洋わさび製、100単位/mg、
タイプI、シグマ社、米国)5.0mgを溶解させて反応混
液とする。反応混液3.0mlをキュベット(d=1.0cm)に
より、37℃で5分間予備加温した後、自記分光光度計
(UV−260型、島津製作所(株))を用いて37℃中、500
nmの吸光度変化を記録し、初期直線部分から1分当たり
の吸光度変化を求め(ΔA/min)酵素活性を下式により
求めた。
酵素活性(U/ml)=ΔA/min×10.17×希釈倍数 (3)基質特異性 前記の活性測定法に基づき、その反応液中の塩化コリ
ンの代わりに第2表に示す種々の基質を用いて、コリン
に対する相対活性を求めた。酵素は、後記する実施例1
で得られた酵素標品を用いた。
第2表から明らかなように、本酵素は、コリンおよび
ベタインアルデヒドに高い活性を示す。
(4)至適pH クエン酸−リン酸二カリウム緩衝液(pH4−7)、リ
ン酸−水酸化カリウム緩衝液(pH6−8)、トリス−塩
酸緩衝液(pH7−9)、グリシン−水酸化ナトリウム(p
H9−11)を用いて、後記実施例1で得られたコリンオキ
シダーゼのコリンに対する酵素活性を測定した。得られ
た結果を第1図に示す。第1図に示すように、至適pHは
7.5から9の間にある。
(5)pH安定性 クエン酸−リン酸二カリウム緩衝液(pH4−7)、リ
ン酸−水酸化カリウム緩衝液(pH6−8)、トリス−塩
酸緩衝液(pH7−9)、グリシン−水酸化ナトリウム(p
H9−11)を用いて、この緩衝液1.2mlに実施例1で得ら
れたコリンオキシダーゼ50μ(濃度8U/ml)を加え、3
7℃にて2時間放置後、0.5Mトリス−塩酸緩衝液(pH8.
0)0.5mlを加えてpHを調整した後に、前記の酵素活性測
定法により残存活性を測定した。第2図から明らかなよ
うに本酵素はpH7−9の間で安定である。
(6)至適温度 実施例1で得られた精製酵素標品を用いて、各温度条
件で酵素活性を測定した。第3図にその結果を示す。第
3図からみて、本酵素の至適温度は、40−55℃の間にあ
ると認められる。
(7)熱安定性 後記実施例1、3、5、6で得られたコリンオキシダ
ーゼ(0.5U/ml)を含有する0.05Mトリス−塩酸緩衝液
(pH7.5)を15分間各温度で加熱処理し、該酵素の残存
活性を測定した。結果を第4図に示す。本発明の酵素は
50℃以上で安定であることが明らかである。次に50℃、
2時間の温度処理条件下で、実施例1、3、5および6
で得られた本発明のコリンオキシダーゼ標品(0.5U/ml,
0.05Mトリス塩酸緩衝液pH7.5)と市販の酵素標品(アル
カリゲネス属細菌由来コリンオキシダーゼ、シグマ社製
およびアースロバクター属細菌由来コリンオキシダー
ゼ、東洋醸造(株)製)(0.5U/ml,0.05Mトリス塩酸緩
衝液,pH7.5)の熱安定性を調べ、第5図にその結果を示
した。本発明のコリンオキシダーゼは、50℃で安定であ
り、従来のコリンオキシダーゼは50℃で速やかに失活し
た。
(8)阻害剤 種々の物質を前記(2)項に示した酵素活性測定時に
使用される反応混液に添加して、阻害効果を調べた。結
果を第3表に示した。
(9)分子量測定 実施例1で得られたコリンオキシダーゼ標品の分子量
を下記の方法で測定した。
(a) TSKgel G3000SW(内径7.5mm×60cm)(東ソー
(株))をカラムとして用い、東ソー(株)製高速液体
クロマトグラフィー装置(コンピューターコントロール
エクセレントポンプCCPE型、UV検出器:UV−8000型)を
用いて、50mMリン酸カリウムナトリウム緩衝液(pH7.
0)、0.2MNaClを展開液として、流速0.5ml/minの条件で
分子ふるい高速液体クロマトグラフィーによって本酵素
の分子量を測定した。「タンパク質・ペプチドの高速液
体クロマトグラフィー」、203−213頁(化学増刊102、1
984年)]試料の保持時間は41.4分であった。標準試料
として、酵母グルタミン酸脱水素酵素(分子量290K)、
豚心筋乳酸脱水素酵素(分子量142K)、酵母エノラーゼ
(分子量67K)、酵母アデニレートキナーゼ(分子量32
K)、馬心筋チトクロームC(分子量12.4K)を用いたと
ころ、本法による本酵素の分子量は約54,000であった。
(b) TSKgel G2000SW×L(内径7.8mm×30cm)をカ
ラムとして用い、前記と同じ装置により、6N塩酸グアニ
ジン、1mMEDTA、−2Na、10mMリン酸緩衝液(pH6.5)を
展開液として流速0.3ml/minの条件で、塩酸グアニジン
処理により変性タンパク質ゲルろ過法によって分子量を
測定した。「タンパク質・ペプチドの高速液体クロマト
グラフィー」、241−251頁(化学増刊102、1984年)]
試料の保持時間は23.8分で分子量は約60,000であった。
(c) ネーチュア(Nature)227巻、680頁(1970年)
に記載されている不連続緩衝液系のポリアクリルアミド
電気泳動法に準じて、本酵素の分子量を測定した。試料
を0.0625Mトリス−塩酸緩衝液(pH6.8)、2%SDS、10
%グリセロール、5%メルカプトエタノールを含む溶液
中で100℃、5分間処理したのち、SDS−PAGプレート10/
20(84×90×1.0mm,第一化学薬品(株)製)を用い、0.
025Mトリス、0.1%SDS、0.192Mグリシンを含む溶液(pH
8.4)を電気泳動緩衝液として、60mA、60分の条件で電
気泳動を行なった。標準試料として、ホスホリラーゼb
(分子量94000)、牛血清アルブミン(分子量67000)、
卵白アルブミン(分子量43000)、カルボニックアンヒ
ドラーゼ(分子量30000)、トリプシンインヒビター
(分子量20100)、α−ラクトアルブミン(分子量1440
0)を用いて測定した結果、本酵素の分子量は約64,000
と測定された。
(10)等電点 アンホラインポリアクリルアミドゲルプレート(pH4.
0−6.5、LKB社製)を用い、等電点電気泳動を行った。
等電点は約4.5であった。
(11)電気泳動 0.0625Mトリス−塩酸緩衝液(pH6.8)、15%グリセロ
ールからなる溶液で実施例1で得られたコリンオキシダ
ーゼを処理したのち、濃度勾配アクリルアミドゲル、PA
Gプレート4/15(84×90×1.0mm、第一化学薬品(株))
を用い、0.025Mトリス、0.192Mグリシンからなる溶液
(pH8.4)を泳動用緩衝液として、30mA、60分の条件で
電気泳動をした。第6図に示したように、試料タンパク
質は単一バンドを示した。
(12)吸収スペクトル 実施例1で得られたコリンオキシダーゼ標品を0.05M
トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)に0.25mg/ml及び10mg/ml
の濃度になるように溶解し、それぞれ自記分光光度計
(UV−260型、島津製作所(株))を用いて、吸収スペ
クトルを測定した。得られた結果を第7図および第8図
にそれぞれ示す。275nm,370nm,453nm付近に極大を有
し、480nm付近に肩を示すことから本酵素はフラビン酵
素であると推察される。
実施例 以下に実施例をもって、本発明の内容をより具体的に
説明するが、これは本発明を例示するものに過ぎず、本
発明の範囲を限定するものではない。なお培地組成にお
ける「%」は特に規定しない限り、「%(w/v)」を示
す。
実施例1 酵母エキス(大五栄養化学(株))0.4%、麦芽エキ
ス(ディフコ・ラボラトリーズ社、米国)1.0%、デキ
ストリン1.0%、コーン、スティープ・リカー1.0%、塩
化コリン1.0%からなる培地500mlを20%水酸化ナトリウ
ム水溶液を滴下してpH6.5に調整した。これに炭酸カル
シウム2.5gを加えて混合した後、2容坂口フラスコに
注入して、120℃、20分の条件で蒸気滅菌をした。これ
にストレプトマイセス・サーモルテウス・亜種・フスク
スC−19(IFO 14770,FERM BP−2007)の斜面培養物
を接種したのち、28℃、48時間往復振盪培養機上(80sp
m)で培養した。
次に200容発酵槽に80の水道水を入れ、デキスト
リン1.2kg、プロフロ(商品名、トレーダー・オイル
社、米国)1.2kg、コーン・スティープ・リカー2.4kg、
塩化コリン2.4kg、リン酸二カリウム120g、硫酸マグネ
シウム24g、アクトコール(消泡剤、武田薬品工業
(株))240gを仕込み、よく混合して仕込み成分を溶解
したのち、20%水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、pH
を6.5に調整した。つぎに100rpmの条件で攪拌しなが
ら、120℃、20分の条件で蒸気滅菌をした。滅菌水を加
えることにより、培地の液量を120になるように調整
後、37℃まで冷却した。この培地に前記の坂口フラスコ
培養物(500ml)を接種し、通気2/3VVM(単位容量当た
りの毎分の通気容量)、内圧1.0kg/cm2ゲージ、攪拌回
転数190rpmの条件で、37℃、30時間培養した。
かくして得られた培養液(約105)をシャープレス
超遠心分離機(AS−16V型、シャープレス・コーポレー
ション、米国)を用い、13000×gの条件で遠心分離
し、4.28kgの湿菌体を得た。これに0.05Mトリス−塩酸
緩衝液(pH7.5)30を加え十分に攪拌をして菌体を懸
濁させた後、ホモジナイザー(LAB16.51型、ラニー(RA
NNIE)社、デンマーク)を用いて、750バール、12分、
最高温度38.5℃の条件で菌体を破砕した。得られた菌体
破砕液を再び連続遠心分離機を用いて、13000×gの条
件で遠心分離して固形分を除去して遠心上清液を得た。
固形分は前記の緩衝液15に懸濁し、よく混合したのち
遠心分離して上清液を得た。この上清液と前記の遠心上
清液を合わせて、34の菌体抽出液を得た。菌体抽出液
34に135のエタノールを加えよく攪拌したのち、24
時間5℃の条件で静置し、タンパク室沈澱物を得た。こ
の沈澱物を上記の遠心分離機により、13000×gの条件
で分離し、凍結乾燥機(FD−1型、東京理化器械
(株))で50Pa、24時間の条件で乾燥し、400gの乾燥標
品を得た。乾燥標品を4の前記の緩衝液に溶解させ
た。冷却遠心分離機(CR26H型、日立製作所)を用い、5
000×g,5℃、20分の条件でこの溶解液を遠心分離して不
溶物を除き、上清液3960mlを得た。これに硫酸アンモニ
ウム2508gを徐々に溶解させ酵素タンパク質を塩析し
た。14時間5℃の条件で静置した後、再び冷却遠心分離
機により、5000×g、5℃、30分の条件で遠心分離し、
塩析物267gを得た。塩析物を500mlの前記緩衝液に溶解
したものをセファデックスG−25カラム(内径33mm×30
0cm、ファルマシア社、米国)に通液して、前記緩衝液
により溶出し、脱塩を目的としたゲルろ過を行った。得
られた活性画分900mlをDEAEセルロファインA−500カラ
ム(内径30mm×50cm、生化学工業(株))に吸着させ、
前記緩衝液3で洗浄したのち、0.1MNaCl、0.05Mトリ
ス−塩酸緩衝液(pH7.5)で溶出した。活性画分500mlを
集め、これに硫酸アンモニウム120gを溶解させ、前記緩
衝液を加えて液量を600mlに合わせた。疎水クロマトカ
ラム(ブチルトヨパール650C、内径30mm×50cm、東ソー
(株))に吸着させ、20%から0%まで硫酸アンモニウ
ムを含有する0.05Mトリス−塩酸緩衝液によるイオン濃
度勾配クロマトグラフィーを実施した。活性画分300ml
を集め、これに硫酸アンモニウム90gを溶解させて塩析
をした。冷却遠心分離機により、5000×g、20分、5℃
の条件で遠心分離をして得られた塩析物を、さらにセフ
ァデックスG−25カラムで脱塩した。このようにして得
られた活性画分をDEAEセルロファインA−500カラム
(内径30mm×50cm、生化学工業(株))に吸着させ、0.
1MNaCl、0.05Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で溶出し
た。活性画分(360ml)を10の蒸留水に5℃で透析
し、透析液を凍結乾燥機(FD−1型、東京理化器械
(株))により30Paの条件で凍結乾燥してコリンオキシ
ダーゼの乾燥標品250mgを得た。
各精製工程におけるコリンオキシダーゼの全活性、全
タンパク質量、比活性を、上記第4表に示した。活性の
測定方法は前記の方法で、タンパク質の測定はBCAタン
パク質測定法[アナリティカル・バイオケミストリー
(Analytycal Biochemistry)、第150巻、76−85頁、19
85年]に従って実施した。得られた酵素精製標品は、前
記の電気泳動法により、単一タンパク質のバンドを示す
ものであった。
実施例2 酵母エキス(大五栄養化学(株))0.4%、麦芽エキ
ス(ディフコ・ラボラトリーズ社、米国)1.0%、デキ
ストリン1.0%、コーン・スティープ・リカー1.0%から
なる培地500mlを20%水酸化ナトリウム水溶液を滴下し
てpH6.5に調整した。これに炭酸カルシウム2.5gを加え
て混合した後、2容坂口フラスコに注入して、120
℃、20分の条件で蒸気滅菌した。これにストレプトマイ
セス・サーモルテウス・亜種・フスクスC−19(IFO 1
4770,FERM BP−2007)の斜面培養物を接種したのち、2
8℃、48時間往復振盪培養機上(80spm)で培養した。20
0容発酵槽に80の水道水を入れ、デキストリン1.2k
g、プロフロ(商品名、トレーダー・オイル社、米国)
1.2kg、コーン・スティープ・リカー2.4kg、カゼイン1.
2kg、リン酸二カリウム120g、硫酸マグネシウム24g、ア
クトコール240gを仕込み、よく混合して仕込み成分を溶
解したのち、20%水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、
pHを6.5に調整した。次に100rpmの条件で攪拌しなが
ら、120℃、20分の条件で蒸気滅菌をした。滅菌水を加
え培地の液量を120になるように調整後、37℃まで冷
却した。この培地に前記の坂口フラスコ培養物(500m
l)を接種し、通気2/3VVM(単位容量当たりの毎分の通
気容量)、内圧1.0kg/cm2ゲージ、攪拌回転数190rpm
で、37℃、30時間培養した。
かくして得られた培養液(約108)をシャープレス
超遠心分離機(AS−16V型、シャープレス・コーポレー
ション、米国)を用い、13000×gの条件で遠心分離
し、3.98kgの湿菌体を得た。これに0.05Mトリス−塩酸
緩衝液(pH7.5)30を加え十分に攪拌をして菌体を懸
濁させた後、ホモジナイザー(LAB16.51型ラニー(RANN
IE)社、デンマーク)を用いて、750バール、12分、最
高温度38.5℃の条件で菌体を破砕した。得られた菌体破
砕液を再び連続遠心分離機を用いて、13000×gの条件
で遠心分離して固形分を除去して遠心上清液を得た。固
形分は前記の緩衝液15に懸濁し、よく混合したのち遠
心分離して上清液を得た。この上清液と前記の遠心上清
液を合わせて得られた菌体抽出液33に134のエタノ
ールを加えよく攪拌したのち、24時間5℃の条件で静置
し、タンパク質沈澱物を得た。この沈澱物は上記の遠心
分離機により、13000×gの条件で採取し、凍結乾燥機
(FD−1型、東京理化器械(株))50Pa、24時間の条件
で乾燥し、351gの乾燥標品を得た。この乾燥標品を4
の前記の緩衝液に溶解させた後、冷却遠心分離機(CR26
H型、日立製作所)を用い、5000×g、5℃、20分の条
件でこの溶解液を遠心分離して不溶物を除き、上清液39
40mlを得た。これに硫酸アンモニウム2500gを徐々に溶
解させ、酵素タンパク質を塩析した。14時間5℃の条件
で静置した後、再び冷却遠心分離機により、5000×g、
5℃30分の条件で遠心分離し、塩析物229gを得た。塩析
物を500mlの前記緩衝液に溶解後、セファデックスG−2
5カラム(内径33mm×300cm、ファルマシア社、米国)に
通液して、前記緩衝液により溶出し、脱塩した。得られ
た活性画分750mlをDEAEセルロファインA−500カラム
(内径30mm×50cm、生化学工業(株))に吸着させ、前
記緩衝液3で洗浄し、0.1MNaCl、0.05Mトリス−塩酸
緩衝液(pH7.5)で溶出した。活性画分480mlを集め、こ
れに硫酸アンモニウム120gを溶解させ、前記緩衝液を加
えて液量を600mlに調整した。疎水クロマトカラム(ブ
チルトヨパール650C、内径30mm×50cm、東ソー(株))
に吸着させ、20%から0%まで硫酸アンモニウムを含有
する0.05Mトリス−塩酸緩衝液によるイオン濃度勾配ク
ロマトグラフィーを実施した。得られた活性画分300ml
に硫酸アンモニウム90gを溶解させて塩析し、冷却遠心
分離機により、5000×g、20分、5℃の条件で遠心分離
をして塩析物を得た。これをさらに、セファデックスG
−25カラムにより脱塩し得られた活性画分をDEAEセルロ
ファインA−500カラム(内径30mm×50cm、生化学工業
(株))に吸着させ、0.1MNaCl、0.05Mトリス−塩酸緩
衝液(pH7.5)で溶出した。活性画分(157ml)を10の
蒸留水に5℃で透析し、透析液を凍結乾燥機(FD−1
型、東京理化器械(株))により30Paの条件で凍結乾燥
をしてコリンオキシダーゼの乾燥標品79mgを得た。得ら
れた乾燥標品の比活性は、8.55u/mgであった。前記の電
気泳動法により、単一タンパク質のバンドを示すもので
あった。
実施例3 酵母エキス(大五栄養化学(株))0.4%、麦芽エキ
ス(ディフコ・ラボラトリーズ社、米国)1.0%、デキ
ストリン1.0%、コーン・スティープ・リカー1.0%、塩
化コリン1.0%からなる培地500mlを20%水酸化ナトリウ
ム水溶液を滴下してpH6.5に調整した。これに炭酸カル
シウム2.5gを加えて混合した後、2容坂口フラスコに
注入して、120℃、20分の条件で蒸気滅菌をした。これ
にストレプトマイセス・サーモルテウス・亜種・フスク
スIFO 14270の斜面培養物を接種したのち、28℃、48時
間往復振盪培養機上(80spm)で培養した。
次に200容発酵槽に80の水道水を入れ、デキスト
リン1.2kg、プロフロ(商品名、トレーダー・オイル
社、米国)1.2kg、コーン・スティープ・リカー2.4kg、
塩化コリン2.4kg、リン酸二カリウム120g、硫酸マグネ
シウム24g、アクトコール240gを仕込み、よく混合して
仕込み成分を溶解したのち、20%水酸化ナトリウム水溶
液を滴下して、pHを6.5に調整した。次に100rpmの条件
で攪拌しながら、120℃、20分の条件で蒸気滅菌をし
た。滅菌水を加えることにより、培地の液量を120に
なるように調整し、37℃まで冷却した。この培地に前記
の坂口フラスコ培養物(500ml)を接種し、通気2/3VVM
(単位容量当たりの毎分の通気容量)、内圧1.0kg/cm2
ゲージ、攪拌回転数190rpmで、37℃、120時間培養し
た。
かくして得られた培養液(約105)をシャープレス
超遠心分離機(AS−16V型、シャープレス・コーポレー
ション、米国)を用い、13000×gの条件で遠心分離し
て、4.03kgの湿菌体を得た。これに0.05Mトリス−塩酸
緩衝液(pH7.5)30を加え十分に攪拌して菌体を懸濁
させた後、ホモジナイザー(LAB16.51型ラニー(RANNI
E)社、デンマーク)を用いて、750バール、12分、最高
温度38.5℃の条件で菌体を破砕した。得られた菌体破砕
液を再び連続遠心分離機を用いて、13000×gの条件で
遠心分離して固形分を除去して遠心上清液を得た。固形
分は前記の緩衝液15に懸濁し、よく混合したのち同条
件で遠心分離して上清液を得た。この上清液を前記の遠
心上清液を合わせて得られた菌体抽出液34に135の
エタノールを加えよく攪拌したのち、24時間5℃の条件
で静置し、タンパク質沈澱物を得た。この沈澱物を上記
の遠心分離機により、13000×gの条件で分離し、凍結
乾燥機(FD−1型、東京理化機械(株))で50Pa、24時
間の条件で乾燥し、380gの乾燥標品を得た。この乾燥標
品を4の前記の緩衝液に溶解させた。冷却遠心分離機
(CR26H型、日立製作所)を用い、5000×g、5℃、20
分の条件でこの溶解液を遠心分離して不溶物を除き、上
清液3880mlを得た。これに硫酸アンモニウム2500gを徐
々に溶解させ、酵素タンパク質を塩析した。14時間5℃
の条件で静置した後、再び冷却遠心分離機により、5000
×g、5℃、30分の条件で遠心分離し、塩析物252gを採
取した。塩析物を500mlの前記緩衝液に溶解し、これを
セファデックスG−25カラム(内径33mm×300cm、ファ
ルマシア社、米国)に通液して、前記緩衝液により溶出
し脱塩した。活性画分900mlを得て、これをDEAEセルロ
ファインA−500カラム(内径30mm×50cm、生化学工業
(株))に吸着させ、前記緩衝液3で洗浄し、0.1MNa
Cl、0.05Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で溶出した。活
性画分500mlを集め、これに硫酸アンモニウム120gを溶
解させ、前記緩衝液を加えて液量を600mlに合わせた。
疎水クロマトカラム(ブチルトヨパール650C、内径300m
m×50cm、東ソー(株))に吸着させ、20%から0%ま
で硫酸アンモニウムを含有する0.05Mトリス−塩酸緩衝
液によるイオン濃度勾配クロマトグラフィーを実施し
た。活性画分300mlを集め、これに硫酸アンモニウム90g
を溶解させて塩析した。冷却遠心分離機により、5000×
g、20分、5℃の条件で遠心分離をして塩析物を得た。
これをさらに、セファデックスG−25カラムで脱塩し得
られた活性画分をDEAEセルロファインA−500カラム
(内径30mm×50cm、生化学工業(株))に吸着させ、0.
1MNaCl、0.05Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で溶出し
た。活性画分(260ml)を10の蒸留水に5℃で透析
し、透析液を凍結乾燥機(FD−1型、東京理化器械
(株))により30Paの条件で凍結乾燥をしてコリンオキ
シダーゼの乾燥標品180mgを得た。得られた乾燥標品の
比活性は8.81u/mgであり、前記の電気泳動法により、単
一タンパク質のバンドを示すものであった。
実施例4 酵母エキス(大五栄養化学(株))0.4%、麦芽エキ
ス(ディフコ・ラボラトリーズ社、米国)1.0%、デキ
ストリン1.0%、コーン・スティープ・リカー1.0%から
なる培地500mlを20%水酸化ナトリウム水溶液を滴下し
てpH6.5に調整した。これに炭酸カルシウム2.5gを加え
て混合した後、2容坂口フラスコに注入して、120
℃、20分の条件で蒸気滅菌をした。これにストレプトマ
イセス・サーモルテウス・亜種・フスクスIFO 14270の
斜面培養物を接種したのち、28℃、48時間往復振盪培養
機上(80spm)で培養した。200容発酵槽に80の水道
水を入れ、デキストリン1.2kg、プロフロ(商品名、ト
レーダー・オイル社、米国)1.2kg、コーン・スティー
プ・リカー2.4kg、カゼイン1.2kg、リン酸二カリウム12
0g、硫酸マグネシウム24g、アクトコール240gを仕込
み、よく混合して仕込み成分を溶解したのち、20%水酸
化ナトリウム水溶液を滴下して、pHを6.5に調整した。
次に100rpmの条件で攪拌しながら、120℃、20分の条
件で蒸気滅菌をした。滅菌水を加えることにより、培地
の液量を120になるように調整し、37℃まで冷却し
た。この培地に前記の坂口フラスコ培養物(500ml)を
接種し、通気2/3VVM(単位容量当たりの毎分の通気容
量)、内径1.0kg/cm2ゲージ、攪拌回転数190rpmで、37
℃、42時間培養した。
かくして得られた培養液(約107)をシャープレス
超遠心分離機(AS−16V型、シャープレス・コーポレー
ション、米国)を用い、13000×gの条件で遠心分離
し、3.90kgの湿菌体を得た。これに0.05Mトリス−塩酸
緩衝液(pH7.5)30を加え十分に攪拌して菌体を懸濁
させた後、ホモジナイザー(LAB16.51型ラニー(RANNI
E)社、デンマーク)を用いて、750バール、12分、最高
温度38.5℃の条件で菌体を破砕した。得られた菌体破砕
液を再び連続遠心分離機を用いて、13000×gの条件で
遠心分離して固形分を除去して遠心上清液を得た。固形
分は前記の緩衝液15に懸濁し、よく混合したのち同条
件で遠心分離して上清液を得た。この上清液を前記の遠
心上清液を合わせて得た菌体抽出液33に134のエタ
ノールを加えよく攪拌したのち、24時間5℃の条件で静
置し、タンパク質沈澱物を得た。この沈澱物を上記の遠
心分離機により、13000×gの条件で分離し、凍結乾燥
機(FD−1型、東京理化器械(株))で50Pa、24時間の
条件で乾燥し、345gの乾燥標品を得た。この乾燥標品を
4の前記の緩衝液に溶解させた。冷却遠心分離機(CR
26H型、日立製作所)を用い、5000×g、5℃、20分の
条件でこの溶解液を遠心分離して不溶物を除き、上清液
3830mlを得た。これに硫酸アンモニウム2500gを徐々に
溶解させ、酵素タンパク質を塩析した。14時間5℃の条
件で静置した後、再び冷却遠心分離機により、5000×
g、5℃、30分の条件で遠心分離し、塩析物215gを得
た。塩析物を500mlの前記緩衝液に溶解し、セファデッ
クスG−25カラム(内径33mm×300cm、ファルマシア
社、米国)に通液して、前記緩衝液により、脱塩した。
得られた活性画分750mlをDEAEセルロファインA−500カ
ラム(内径30mm×50cm、生化学工業(株))に吸着さ
せ、前記緩衝液3で洗浄し、0.1MNaCl、0.05Mトリス
−塩酸緩衝液(pH7.5)で溶出した。活性画分470mlを集
め、これに硫酸アンモニウム120gを溶解させ、前記緩衝
液を加えて液量を600mlに合わせた。疎水クロマトカラ
ム(ブチルトヨパール650C、内径30mm×50cm、東ソー
(株))に吸着させ、20%から0%まで硫酸アンモニウ
ムを含有する0.05Mトリス−塩酸緩衝液によるイオン濃
度勾配クロマトグラフィーを実施した。活性画分300ml
を集め、これに硫酸アンモニウム90gを溶解させて塩析
した。冷却遠心分離機により、5000×g、20分、5℃の
条件で遠心分離をして塩析物を得た。これをさらに、セ
ファデックスG−25カラムにより脱塩し、得られた活性
画分をDEAEセルロファインA−500カラム(内径30mm×5
0cm、生化学工業(株))に吸着させ、0.1MNaCl、0.05M
トリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で溶出した。活性画分(1
41ml)を10の蒸留水に5℃で透析し、透析液を凍結乾
燥機(FD−1型、東京理化器械(株))により30Paの条
件で凍結乾燥をしてコリンオキシダーゼの乾燥標品57mg
を得た。得られた乾燥標品の比活性は、8.51u/mgであ
り、前記の電気泳動法により、単一タンパク質のバンド
を示すものであった。
実施例5 酵母エキス(大五栄養化学(株))0.4%、麦芽エキ
ス(ディフコ・ラボラトリーズ社、米国)1.0%、デキ
ストリン1.0%、コーン・スティープ・リカー1.0%、塩
化コリン1.0%からなる培地500mlを20%水酸化ナトリウ
ム水溶液を滴下してpH6.5に調整した。これに炭酸カル
シウム2.5gを加えて混合した後、2坂口フラスコに注
入して、120℃、20分の条件で蒸気滅菌した。これにサ
ーモアクチノマイセス・モノスポラスIFO 14050の斜面
培養物を接種したのち、43℃、48時間往復振盪培養機上
(80spm)で培養した。200容発酵槽に80の水道水を
入れ、デキストリン6kg、プロフロ(商品名、トレーダ
ー・オイル社、米国)1.2kg、コーン・スティープ・リ
カー2.4kg、カゼイン1.2kg、塩化コリン2.4kg、リン酸
二カリウム120g、硫酸マグネシウム24g、アクトコール2
40gを仕込み、よく混合して仕込み成分を溶解したの
ち、20%水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、pHを6.5
に調整した。次に100rpmの条件で攪拌しながら、120
℃、20分の条件で蒸気滅菌をした。滅菌水を加えること
により、培地の液量を120になるように調整後、43℃
まで冷却した。この培地に前記の坂口フラスコ培養物
(500ml)を接種し、通気2/3VVM(単位容量当たりの毎
分の通気容量)、内圧1.0kg/cm2ゲージ、攪拌回転数190
rpmで、43℃、90時間培養した。
かくして得られた培養液(約105)をシャープレス
超遠心分離機(AS−16V型、シャープレス・コーポレー
ション、米国)を用い、13000×gの条件で遠心分離
し、3.82kgの湿菌体を得た。これに0.05Mトリス−塩酸
緩衝液(pH7.5)30を加え十分に攪拌して菌体を懸濁
させた後、ホモジナイザー(LAB16.51型ラニー(RANNI
E)社、デンマーク)を用いて、750バール、12分、最高
温度38.5℃の条件で菌体を破砕した。得られた菌体破砕
液を再び連続遠心分離機を用いて、13000×gの条件で
遠心分離して固形分を除去して遠心上清液を得た。固形
分は前記の緩衝液15に懸濁し、よく混合したのち遠心
分離して上清液を得た。この上清液を前記の遠心上清液
を合わせて得られた菌体抽出液29に135のエタノー
ルを加えよく攪拌したのち、24時間5℃の条件で静置
し、タンパク質沈澱物を得た。この沈澱物を上記の連続
遠心分離機により、13000×gの条件で分離し、凍結乾
燥機(FD−1型、東京理化器械(株))で50Pa、24時間
の条件で乾燥し、310gの粗酵素標品を得た。本粗酵素標
品は、前記のコリンオキシダーゼ活性測定法に従って酵
素活性を測定した結果、比活性は0.05u/mgであった。本
酵素の熱安定性については、第4図および5図に示し
た。
実施例6 酵母エキス(大五栄養化学(株))0.4%、麦芽エキ
ス(ディフコ・ラボラトリーズ社、米国)1.0%、デキ
ストリン1.0%、コーン・スティープ・リカー1.0%、塩
化コリン1.0%からなる培地500mlに20%水酸化ナトリウ
ム水溶液を滴下してpH6.5に調整した。これに炭酸カル
シウム2.5gを加えて混合した後、2容坂口フラスコに
注入して、120℃、20分の条件で蒸気滅菌した。これに
ストレプトマイセス・サーモフィラスIFO 13370の斜面
培養物を接種したのち、28℃、48時間往復振盪培養機上
(80spm)で培養した。200容発酵槽に80の水道水を
入れ、デキストリン6kg、プロフロ(商品名、トレーダ
ー・オイル社、米国)1.2kg、コーン・スティープ・リ
カー2.4kg、カゼイン1.2kg、塩化コリン2.4kg、リン酸
二カリウム120g、硫酸マグネシウム24g、アクトコール2
40gを仕込み、よく混合して仕込み成分を溶解したの
ち、20%水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、pHを6.5
に調整した。つぎに100rpmの条件で攪拌しながら、120
℃、20分の条件で蒸気滅菌した。滅菌水を加え培地の液
量を120になるように調整後、37℃まで冷却した。こ
の培地に前記の坂口フラスコ培養物(500ml)を接種
し、通気2/3VVM(単位容量当たりの毎分の通気容量)、
内圧1.0kg/cm2ゲージ、攪拌回転数190rpmで、37℃、90
時間培養した。
かくして得られた培養液(約105)をシャープレス
超遠心分離機(AS−16V型、シャープレス・コーポレー
ション、米国)を用い、13000×gの条件で遠心分離し
3.42kgの湿菌体を得た。これに0.05Mトリス−塩酸緩衝
液(pH7.5)30を加え十分に攪拌して菌体を懸濁させ
た後、ホモジナイザー(LAB16.51型ラニー(RANNIE)
社、デンマーク)を用いて、750バール、12分、最高温
度38.5℃の条件で菌体を破砕した。得られた菌体破砕液
を連続遠心分離機を用いて、13000×g条件で遠心分離
して固形分を除去して遠心上清液を得た。固形分は前記
の緩衝液15に懸濁し、よく混合したのち遠心分離して
上清液を得た。この上清液と前記の遠心上清液を合わせ
て得られた菌体抽出液30に135のエタノールを加え
よく攪拌したのち、24時間5℃の条件で静置し、タンパ
ク質沈澱物を得た。この沈澱物を上記の連続遠心分離機
により、13000×gの条件で分離し、凍結乾燥機(FD−
1型、東京理化器械(株))で50Pa、24時間の条件で乾
燥し、310gを粗酵素標品を得た。本粗酵素標品は、前記
のコリンオキシダーゼ活性測定法に従って酵素活性を測
定した結果、比活性は0.16u/mgであった。本酵素の熱安
定性を第4および5図に示した。
実施例7 酵母エキス(大五栄養化学(株))0.4%、麦芽エキ
ス(ディフコ・ラボラトリーズ社、米国)1.0%、デキ
ストリン1.0%、コーン・スティープ・リカー1.0%、塩
化コリン1.0%からなる培地500mlを20%水酸化ナトリウ
ム水溶液を滴下してpH6.5に調整した。これに炭酸カル
シウム2.5gを加えて混合した後、2容坂口フラスコに
注入して、120℃、20分の条件で蒸気滅菌をした。これ
にサッカロポリスポラ・ヒルスタ ATCC 27876の斜面
培養物を接種したのち、37℃、30時間往復振盪培養機上
(80spm)で培養した。200容発酵槽に80の水道水を
入れ、デキストリン6kg、プロフロ(商品名、トレーダ
ー・オイル社、米国)1.2kg、コーン・スティープ・リ
カー2.4kg、カゼイン1.2kg、塩化コリン2.4kg、りん酸
二カリウム120g、硫酸マグネシウム24g、アクトコール2
40gを仕込み、よく混合して仕込み成分を溶解したの
ち、20%水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、pHを6.5
に調整した。次に100rpmの条件で攪拌しながら、120
℃、20分の条件で蒸気滅菌をした。滅菌水を加えること
により、培地の液量を120になるように調整し、37℃
まで冷却した。この培地に前記の坂口フラスコ培養物
(500ml)を接種し、通気2/3VVM(単位容量当たりの毎
分の通気容量)、内圧1.0kg/cm2ゲージ、攪拌回転数190
rpmで、37℃、30時間培養した。
かくして得られた培養液(約105)をシャープレス
超遠心分離機(AS−16V型、シャープレス・コーポレー
ション、米国)を用い、13000×gの条件で遠心分離
し、4.02kgの湿菌体を得た。これを30の0.05Mトリス
−塩酸緩衝液(pH7.5)に懸濁したのち、50容の攪拌
およびジャケット付き反応槽に入れさらに結晶塩化リゾ
チーム(ナガセ生化学工業株式会社製)を100g加えて攪
拌、溶解させた。これを37℃、2時間の条件で攪拌する
ことにより菌体の細胞壁を溶解させる。この菌体細胞壁
溶解液を再び連続遠心分離機を用いて、13000×gの条
件で遠心分離して固形分を除去して遠心上清液を得た。
固形分は前記の緩衝液15に懸濁し、よく混合したのち
遠心分離して上清液を得た。この上清液を前記の遠心上
清液を合わせて、31の菌体抽出液を得た。菌体抽出液
31に135のエタノールを加えよく攪拌したのち、24
時間5℃の条件で静置し、タンパク質沈澱物を得た。こ
の沈澱物を上記の連続遠心分離機により、13000×gの
条件で分離し、凍結乾燥機(FD−1型、東京理化器械
(株))で50Pa、24時間の条件で乾燥し、387gの粗酵素
標品を得た。本粗酵素標品は、前記のコリンオキシダー
ゼ活性測定法に従って酵素活性を測定した結果、比活性
は0.43u/mgであった。本酵素の熱安定性については、第
5および9図に示した。
実施例8 酵母エキス(大五栄養化学(株))0.4%、麦芽エキ
ス(ディフコ・ラボラトリーズ社、米国)1.0%、デキ
ストリン1.0%、コーン・スティープ・リカー1.0%、塩
化コリン1.0%(百分率、重量/容量)からなる培地500
mlを20%水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpH6.5に調
整した。これに炭酸カルシウム2.5gを加えて混合した
後、2容坂口フラスコに注入して、120℃、20分の条
件で蒸気滅菌をした。これにサッカロポリスポラ・ヒル
スタ ATCC 20501の斜面培養物を接種したのち、37
℃、30時間往復振盪培養機上(80spm)で培養した。200
容発酵槽に80の水道水を入れ、デキストリン6kg、
プロフロ(商品名、トレーダー・オイル社、米国)1.2k
g、コーン・スティープ・リカー2.4kg、カゼイン1.2k
g、塩化コリン2.4kg、りん酸二カリウム120g、硫酸マグ
ネシウム24g、アクトコール240gを仕込み、よく混合し
て仕込み成分を溶解したのち、20%水酸化ナトリウム水
溶液を滴下して、pHを6.5に調整した。つぎに100rpmの
条件で攪拌しながら、120℃、20分の条件で蒸気滅菌を
した。滅菌水を加えることにより、培地の液量を120
になるように調整し、37℃まで冷却した。この培地に前
記の坂口フラスコ培養物(500ml)を接種し、通気2/3VV
M(単位容量当たりの毎分の通気容量)、内圧1.0kg/cm2
ゲージ、攪拌回転数190rpmで、37℃、90時間培養した。
かくして得られた培養液(約105)をシャープレス
超遠心分離機(AS−16V型、シャープレス・コーポレー
ション、米国)を用い、13000×gの条件で遠心分離し
3.91kgの湿菌体を得た。これを30の0.05Mトリス−塩
酸緩衝液(pH7.5)に懸濁したのち、50容の攪拌およ
びジャケット付き反応槽に入れさらに結晶塩化リゾチー
ム(ナガセ生化学工業株式会社製)を100g加えて攪拌、
溶解させる。これを37℃、2時間の条件で攪拌すること
により菌体の細胞壁を溶解させる。この菌体細胞壁溶解
液を再び連続遠心分離機を用いて、13000×gの条件で
遠心分離して固形分を除去して遠心上清液を得た。固形
分は前記の緩衝液15に懸濁し、よく混合したのち遠心
分離して上清液を得た。この上清液を前記の遠心上清液
を合わせて、30の菌体抽出液を得た。菌体抽出液30
に135のエタノールを加えよく攪拌したのち、24時間
5℃の条件で静置し、タンパク質沈澱物を得た。この沈
澱物を上記の連続遠心分離機により、13000×gの条件
で分離し、凍結乾燥機(FD−1型、東京理化器械
(株))で50Pa、24時間の条件で乾燥し、330gの粗酵素
標品を得た。本粗酵素標品は、前記のコリンオキシダー
ゼ活性測定法に従って酵素活性を測定した結果、比活性
は0.12u/mgであった。本酵素の熱安定性については、第
5および9図に示した。
実施例9 酵母エキス(大五栄養化学(株))0.4%、麦芽エキ
ス(ディフコ・ラボラトリーズ社、米国)1.0%、デキ
ストリン1.0%、コーン・スティープ・リカー1.0%、塩
化コリン1.0%(百分率、重量/容量)からなる培地500
mlを20%水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpH6.5に調
整した。これに炭酸カルシウム2.5gを加えて混合した
後、2容坂口フラスコに注入して、120℃、20分の条
件で蒸気滅菌をした。これにサッカロポリスポラ・ヒル
スタ IFO 13919の斜面培養物を接種したのち、37℃、
30時間往復振盪培養機上(80spm)で培養した。200容
発酵槽に80の水道水を入れ、デキストリン6kg、プロ
フロ(商品名、トレーダー・オイル社、米国)1.2kg、
コーン・スティープ・リカー2.4kg、カゼイン1.2kg、塩
化コリン2.4kg、りん酸二カリウム120g、硫酸マグネシ
ウム24g、アクトコール240gを仕込み、よく混合して仕
込み成分を溶解したのち、20%水酸化ナトリウム水溶液
を滴下して、pHを6.5に調整した。つぎに100rpmの条件
で攪拌しながら、120℃、20分の条件で蒸気滅菌をし
た。滅菌水を加えることにより、培地の液量を120に
なるように調整し、37℃まで冷却した。この培地に前記
の坂口フラスコ培養物(500ml)を接種し、通気2/3VVM
(単位容量当たりの毎分の通気容量)、内圧1.0kg/cm2
ゲージ、攪拌回転数190rpmで、37℃、90時間培養した。
かくして得られた培養液(約105)をシャープレス
超遠心分離機(AS−16V型、シャープレス・コーポレー
ション、米国)を用い、13000×gの条件で遠心分離
し、3.95kgの湿菌体を得た。これを30の0.05Mトリス
−塩酸緩衝液(pH7.5)に懸濁したのち、50容の攪拌
およびジャケット付き反応槽に入れさらに結晶塩化リゾ
チーム(ナガセ生化学工業株式会社製)を100g加えて攪
拌、溶解させた。これを37℃、2時間の条件で攪拌する
ことにより菌体の細胞壁を溶解させる。この菌体細胞壁
溶解液を再び連続遠心分離機を用いて、13000×gの条
件で遠心分離して固形分を除去して遠心上清液を得た。
固形分は前記の緩衝液15に懸濁し、よく混合したのち
遠心分離して上清液を得た。この上清液と前記の遠心上
清液を合わせて、30の菌体抽出液を得た。菌体抽出液
30に135のエタノールを加えよく攪拌したのち、24
時間5℃の条件で静置し、タンパク質沈澱物を得た。こ
の沈澱物を上記の連続遠心分離機により、13000×gの
条件で分離し、凍結乾燥機(FD−1型、東京理化器械
(株))で50Pa、24時間の条件で乾燥し、338gの粗酵素
標品を得た。本粗酵素標品は、前記のコリンオキシダー
ゼ活性測定法に従って酵素活性を測定した結果、比活性
は0.35u/mgであった。本酵素の熱安定性については、第
5および9図に示した。
実施例10 実施例5で得られた粗酵素300gを4の前記の緩衝液
に溶解させた。冷却遠心分離機(CR26H型、日立製作
所)を用い、5000×g、5℃、20分の条件でこの溶解液
を遠心分離して不溶物を除き、上清液3960mlを得た。こ
れに硫酸アンモニウム2508gを徐々に溶解させる方法に
より、酵素タンパク質を塩析した。14時間5℃の条件で
静置した後、再び冷却遠心分離し、塩析物200gを得た。
塩析物を500mlの前記緩衝液に溶解し、これをセファデ
ックスG−25カラム(内径33mm×300cm、ファルマシア
社、米国)に通液して、前記緩衝液により溶出し、脱塩
を目的としたゲルろ過を行った。活性画分900mlを得
て、これをDEAEセルロファインA−500カラム(内径30m
m×50cm、生化学工業(株))に吸着させ、前記緩衝液
3で洗浄したのち、0.1MNaCl、0.05Mトリス−塩酸緩
衝液(pH7.5)で溶出した。活性画分500mlを集め、これ
に硫酸アンモニウム120gを溶解させ、前記緩衝液を加え
て液量を600mlに合わせた。疎水クロマトグラフィー
(ブチルトヨパール650C、内径30mm×50cm、東ソー
(株))に吸着させ、20%から0%まで硫酸アンモニウ
ムを含有する0.05Mトリス−塩酸緩衝液によるイオン濃
度勾配クロマトグラフィーを実施した。活性画分300ml
を集め、これに硫酸アンモニウム90gを溶解させて塩析
をした。冷却遠心分離機により、5000×g、20分、5℃
の条件で遠心分離をして塩析物を得た。これをさらに、
セファデックスG−25カラムで脱塩をした。このように
して得られた活性画分をDEAEセルロファインA−500カ
ラム(内径30mm×50cm、生化学工業(株))に吸着さ
せ、0.1MNaCl、0.05Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で溶
出した。活性画分(300ml)に硫酸アンモニウム72gを溶
解させ、前記緩衝液を加えて、360mlとして、疎水クロ
マトグラフィー(ブチルトヨパール650C、内径30mm×50
cm、東ソー(株))に吸着させ、20%から0%まで硫酸
アンモニウムを含有する0.05Mトリス−塩酸緩衝液によ
るイオン濃度勾配クロマトグラフィーを実施した。活性
画分200mlを集め、これに硫酸アンモニウム60gを溶解さ
せて塩析をした。冷却遠心分離機により、5000×g、20
分、5℃の条件で遠心分離をして塩析物を得た。これを
さらに、セファデックスG−25カラムで脱塩をした。こ
のようにして得られた活性画分をDEAEセルロファインA
−500カラム(内径300mm×50cm、生化学工業(株))に
吸着させ、0.1MNaCl、0.05Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.
5)で溶出した。活性画分(250ml)を10の蒸留水に5
℃で透析し、透析液を凍結乾燥機(FD−1型、東京理化
器械(株))により30Paの条件で凍結乾燥をしてコリン
オキシダーゼの乾燥標品75mgを得た。
各精製工程におけるコリンオキシダーゼの全活性、全
タンパク質量、比活性は、上記の第5表に示した。活性
の測定方法は前記の方法で、タンパク質の測定はBCAタ
ンパク質測定法(アナリティカル・バイオケミストリ
ー、第150巻、76−85頁、1985年)に従って実施した。
得られた酵素精製標品は、前記の電気泳動法により、単
一タンパク質のバンドを示すものであった。
実施例11 実施例7で得られた粗酵素標品350gを4の前記の緩
衝液に溶解させた。冷却遠心分離機(CR26H型、日立製
作所)を用い、5000×g、5℃、20分の条件でこの溶解
液を遠心分離して不溶物を除き、上清液3940mlを得た。
これに硫酸アンモニウム2500gを徐々に溶解させる方法
により、酵素タンパク質を塩析した。14時間5℃の条件
で静置した後、再び冷却遠心分離機により、5000×g、
5分、30分の条件で遠心分離し、塩析物230gを得た。塩
析物を500mlの前記緩衝液に溶解し、これをセファデッ
クスG−25カラム(内径33mm×300cm、ファルマシア
社、米国)に通液して、前記緩衝液により溶出し、脱塩
をした。活性画分800mlを得て、これをDEAEセルロファ
インA−500カラム(内径30mm×50cm、生化学工業
(株))に吸着させ、前記緩衝液3で洗浄し、0.1MNaC
l、0.05Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で溶出した。活
性画分500mlを集め、これに硫酸アンモニウム120gを溶
解させ、前記緩衝液を加えて液量を600mlに合わせた。
疎水クロマトグラフィー(ブチルトヨパール650C、内径
30mm×50cm、東ソー(株))に吸着させ、20%から0%
まで硫酸アンモニウムを含有する0.05Mトリス−塩酸緩
衝液によるイオン濃度勾配クロマトグラフィーを実施し
た。活性画分300mlを集め、これに硫酸アンモニウム90g
を溶解させて塩析した。冷却遠心分離機により、5000×
g、20分、5℃の条件で遠心分離をして塩析物を得た。
これをさらに、セファデックスG−25カラムにより脱塩
をした。このようにして得られた活性画分をDEAEセルロ
ファインA−500カラム(内径30mm×50cm、生化学工業
(株))に吸着させ、0.1MNaCl、0.05Mトリス−塩酸緩
衝液(pH7.5)で溶出した。活性画分(300ml)を10の
蒸留水に5℃で透析し、透析液を凍結乾燥機(FD−1
型、東京理化器械(株))により30Paの条件で連結乾燥
をしてコリンオキシダーゼの乾燥標品132mgを得た。得
られた乾燥標品の比活性は、8.95u/mgであった。前記の
電気泳動法により、単一タンパク質のバンドを示すもの
であった。
各精製工程におけるコリンオキシダーゼの全活性、全
タンパク質量、比活性は、前記の第6表に示した。活性
の測定方法は前記の方法で、タンパク質の測定はBCAタ
ンパク質測定法(アナリティカル・バイオケミストリ
ー、第150巻、76−85頁、1985年)に従って実施した。
得られた酵素精製標品は、前記の電気泳動法により、単
一タンパク質のバンドを示すものであった。
実施例12 実施例10で得られたサーモアクチノマイセス・モノス
ポラス(IFO 14050)由来の精製酵素標品(以下、T標
品と略称する)および実施例11で得られたサッカロポリ
スポラ・ヒルスタ(ATCC 27876)由来の精製酵素標品
(以下、S標品と略称する)について、酵素の性質を調
べた。
基質特異性 コリン、ベタインアルデヒド、N−メチルアミノエタ
ノール、ジメチルアミノエタノール、モノエタノールア
ミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンにつ
いて、前記(2)のコリンエステラーゼ活性測定法に基
づき調べたが、コリン、ベタインアルデヒド、ジメチル
アミノエタノールに反応性を示し、第2表に示した結果
とほぼ同じ結果が得られた。
至適pH クエン酸−リン酸二カリウム緩衝液(pH4−7)、リ
ン酸−水酸化カリウム緩衝液(pH6−8)、トリス−塩
酸緩衝液(pH7−9)、グリシン−水酸化ナトリウム(p
H9−11)、ホウ酸−炭酸ソーダ(pH9−10)を用いて前
記(4)と同様に、T標品およびS標品の至適pHを求め
た。第10図にT標品、第11図にS標品における結果を示
した。
pH安定性 クエン酸−リン酸二カリウム緩衝液(pH4−7)、リ
ン酸−水酸化カリウム緩衝液(pH6−8)、トリス−塩
酸緩衝液(pH7−9)、グリシン−水酸化ナトリウム(p
H9−11)、ホウ酸−炭酸ソーダ(pH9−10)を用いて前
記(5)と同様に、T標品およびS標品のpH安定性を求
めた。第12図にT標品、第13図にS標品における結果を
示した。
至適温度 前記(6)同様に測定した。第14図にT標品、第15図
にS標品における結果を示した。
熱安定性 T標品およびS標品につき、前記(7)と同様にコリ
ンオキシダーゼ(0.5U/ml)を含有する0.05Mトリス−塩
酸緩衝液(pH7.5)を15分間各温度で加熱処理し、該酵
素の残存活性を測定した。T標品は第4図における実施
例5粗酵素標品(○印)、S標品は第9図におけるもの
と一致した。
阻害剤 前記(8)と同様に第3表に示した金属塩の阻害効果
を調べたが、T標品およびS標品もともに第3表とほぼ
同等の結果が得られた。
分子量測定 前記(9)(a)と同様に、TSKgel G3000SW(内径
7.5mm×60cm)(東ソー(株))をカラムとして用い、
東ソー(株)製高速液体クロマトグラフィー装置(コン
ピューターコントロールエクセレントポンプCCPE型、UV
検出器:UV−8000型)を用いて、50mMりん酸カリウムナ
トリウム緩衝液(pH7.0)、0.2MNaClを展開液として、
流速0.5ml/minの条件で分子ふるい高速液体クロマトグ
ラフィーによる本酵素の分子量測定法「タンパク質・ペ
プチドの高速液体クロマトグラフィー」、203−213頁
(化学増刊102、1984年)]を実施した。試料の保持時
間は41.4分であった。標準試料として、酵母グルタミン
酸脱水素酵素(分子量290K)、豚心筋乳酸脱水素酵素
(分子量142K)、酵母エノラーゼ(分子量67K)、酵母
アデニレートキナーゼ(分子量32K)、馬心筋チトクロ
ームC(分子量12.4K)を用いて、本法によるT標品の
分子量は約64,000と測定し、S標品は約93,000であっ
た。
つぎに前記(9)(c)と同様に、ネーチュア(Natu
re)227巻、680頁(1970年)に記載されている不連続緩
衝液系のポリアクリルアミド電気泳動法に準じて、本酵
素の分子量測定を実施した。試料を0.0625Mトリス−塩
酸緩衝液(pH6.8)、2%SDS、10%グリセロール、5%
メルカプトエタノールを含む溶液中で100℃、5分間処
理したのち、SDS−PAGプレート10/20(84×90×1.0mm,
第一化学薬品(株)製)を用い、0.025Mトリス、0.1%S
DS、0.192Mグリシンを含む溶液(pH8.4)を電気泳動緩
衝液として、60mA、60分の条件で電気泳動をした。標準
試料として、ホスホリラーゼb(分子量94000)、牛血
清アルブミン(分子量67000)、卵白アルブミン(分子
量43000)、カルボニックアンヒドラーゼ(分子量3000
0)、トリプシンインヒビター(分子量20100)α−ラク
トアルブミン(分子量14400)を用いて測定した結果、
T標品の分子量は約6×104、S標品は約6×104と測定
された。
等電点 前記(10)と同様に、LKBアンホラインポリアクリル
アミドゲルプレート(pH4.0−6.5)を用い、等電点電気
泳動を行った。T標品の等電点は約4.8、S標品の等電
点は約5.5であった。
電気泳動 前記(11)と同様に、0.0625Mトリス−塩酸緩衝液(p
H6.8)、15%グリセロールからなる溶液で試料タンパク
質を処理したのち、濃度勾配アクリルアミドゲル、PAG
プレート4/15(84×90×1.0mm、第一化学薬品(株))
を用い、0.025Mトリス、0.192Mグリシンからなる溶液
(pH8.4)を泳動用緩衝液として、30mA、60分の条件で
電気泳動をした。T標品、S標品ともに試料タンパク質
は単一バンドを示した。
発明の効果 本発明のコリンオキシダーゼは、従来のコリンオキシ
ダーゼに比較して、熱安定性に優れており、化学分析,
臨床検査の分野で実用的に利用性の高いコリンオキシダ
ーゼである。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1で得られたコリンオキシダーゼの各pH
におけるコリンに対する酵素活性を示すグラフである。
第2図は実施例1で得られたコリンオキシダーゼの各pH
における残存活性を示すグラフである。第3図は実施例
1で得られたコリンオキシダーゼの各温度における酵素
活性を示すグラフである。第4図は実施例1、3、5、
6で得られたコリンオキシダーゼを種々の温度において
15分間の熱処理をした後の残存活性を示すグラフであ
る。図中●印は実施例1、○印は実施例5、□印は実施
例3、△印は実施例6で得られた各酵素標品を用いたと
きの残存活性を示す。4個の印が図中で重複した場合は
●印で示す。第5図は50℃における処理時間に対する熱
安定性を示すグラフである。図中●印は実施例1、3、
5、6、7、8および9で得られたコリンオキシダーゼ
の残存活性(4検体ともに同様に残存活性を示した)、
▲印は既存のコリンオキシダーゼ(アルカリゲネス属細
菌由来のコリンオキシダーゼ、シグマ社、米国、および
アースロバクター属細菌由来のコリンオキシダーゼ、東
洋醸造(株))の残存活性(2検体ともに同様の残存活
性を示した)を示す。第6図は実施例1で得られたコリ
ンオキシダーゼの濃度勾配ポリアクリルアミド電気泳動
の模式的泳動パターンである。第7図は実施例1で得ら
れた酵素標品(0.25mg/ml、0.05Mトリス−塩酸緩衝液、
pH8.0)の吸収スペクトル、第8図は、同じく10mg/mlに
おける吸収スペクトルである。第9図は、実施例7、8
および9で得られたコリンオキシダーゼを種々の温度に
おいて15分間熱処理した後の残存活性を示すグラフであ
る。第10図および第11図は、各々、実施例10および11で
得られたコリンオキシダーゼの各pHにおける酵素活性を
示すグラフである。第12図および第13図、各々、実施例
10および11で得られたコリンオキシダーゼの各pHにおけ
る残存活性を示すグラフである。第14図および第15図
は、各々、実施例10および11で得られたコリンオキシダ
ーゼの各温度における酵素活性を示すグラフである。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】つぎの理化学的性質を有する熱安定性コリ
    ンオキシダーゼ。 作用:コリンを酸化してベタインアルデヒドとし、ベタ
    インアルデヒドを酸化してベタインとする。 基質特異性:コリンおよびベタインアルデヒドに対して
    活性を有する。 熱安定性:pH7〜9(トリス−塩酸緩衝液)において50℃
    で安定である。 至適pH:pH7.5〜9(トリス−塩酸緩衝液)。 至適温度:40〜55℃(トリス−塩酸緩衝液)。 等電点:pH4.5〜5.5(キャリア・アンホライト使用電気
    泳動)。 分子量:TSK−gel を用いるゲルろ過法(化学増刊102、
    203−213頁および241−251頁、1984年記載の方法によ
    り、分子量290Kの酵母グルタミン酸脱水素酵素、分子量
    142Kの豚心筋乳酸脱水素酵素、分子量67Kの酵母エノラ
    ーゼ、分子量32Kの酵母アデニレートキナーゼ、分子量1
    2.4Kの馬心筋チトクロームCを標準試料とする)で測定
    した場合、50,000〜95,000、SDS法(ネーチュア227巻、
    680頁、1970年記載の方法により、分子量94000のホスホ
    リラーゼ、分子量67000の牛血清アルブミン、分子量430
    00の卵白アルブミン、分子量30000のカルボニックアン
    ヒドラーゼ、分子量20100のトリプシンインヒビター、
    分子量14400のα−ラクトアルブミンを標準試料とす
    る)で測定した場合、6×104±5×103
  2. 【請求項2】コリンオキシダーゼを生産する能力を有
    し、かつ45℃以上で生育しうる放線菌を培地に培養し、
    その培養物から該コリンオキシダーゼを採取することか
    らなるつぎの理化学的性質を有する熱安定性コリンオキ
    シダーゼの製法。 作用:コリンを酸化してベタインアルデヒドとし、ベタ
    インアルデヒドを酸化してベタインとする。 基質特異性:コリンおよびベタインアルデヒドに対して
    活性を有する。 熱安定性:pH7〜9(トリス−塩酸緩衝液)において50℃
    で安定である。 至適pH:pH7.5〜9(トリス−塩酸緩衝液)。 至適温度:40〜55℃(トリス−塩酸緩衝液)。 等電点:pH4.5〜5.5(キャリア・アンホライト使用電気
    泳動)。 分子量:TSK−gel を用いるゲルろ過法(化学増刊102、
    203−213頁および241−251頁、1984年記載の方法によ
    り、分子量290Kの酵母グルタミン酸脱水素酵素、分子量
    142Kの豚心筋乳酸脱水素酵素、分子量67Kの酵母エノラ
    ーゼ、分子量32Kの酵母アデニレートキナーゼ、分子量1
    2.4Kの馬心筋チトクロームCを標準試料とする)で測定
    した場合、50,000〜95,000、SDS法(ネーチュア227巻、
    680頁、1970年記載の方法により、分子量94000のホスホ
    リラーゼ、分子量67000の牛血清アルブミン、分子量430
    00の卵白アルブミン、分子量30000のカルボニックアン
    ヒドラーゼ、分子量20100のトリプシンインヒビター、
    分子量14400のα−ラクトアルブミンを標準試料とす
    る)で測定した場合、6×104±5×103
  3. 【請求項3】該放線菌がストレプトマイセス属菌である
    請求項(2)の製法。
  4. 【請求項4】該放線菌がサーモアクチノマイセス属菌で
    ある請求項(2)の製法。
  5. 【請求項5】該放線菌がサッカロポリスポラ属菌である
    請求項(2)の製法。
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