JP2518842B2 - 高温薬液移送用圧縮空気駆動二連ダイヤフラムポンプ - Google Patents

高温薬液移送用圧縮空気駆動二連ダイヤフラムポンプ

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Description

【発明の詳細な説明】 〔概 要〕 高温薬液移送用圧縮空気駆動二連ダイヤフラムポンプ
であって、PFA樹脂で形成されたアウタチャンバーの吸
入弁装置及び吐出弁装置の周囲及びポンプ室の外側をPP
S,PEEK通の補強樹脂で一体形成したことと、2個のダイ
ヤフラムを連結している摺動軸及びダイヤフラムを駆動
する圧縮空気制御装置の弁制御ピストンをセラミックス
で形成したことにより、高温時における弁装置の変形に
よる吐出能力の低下の防止と、移送する薬液の汚染を防
止可能とする。
〔産業上の利用分野〕
本発明は半導体装置の製造工程で用いられる高温薬液
の移送用に用いられる圧縮空気駆動の二連ダイヤフラム
ポンプに関するものである。
〔従来の技術〕
従来の高温薬液移送用圧縮空気駆動二連ダイヤフラム
ポンプの断面図(第4図のIII−III線における)を第3
図に示し、第3図のIV−IV線における断面図を第4図に
示す。これはPFA,PTFE等の弗素樹脂製のインナチャンバ
ー1とアウタチャンバー2と吸入接続管3と圧力接続管
4とがPPS樹脂製の補強材5と共に結合され、インナチ
ャンバー1とアウタチャンバー2との間に形成された2
つのチャンバー室6にはインナチャンバー1を貫通する
摺動軸7で連結された2つのダイヤフラム装置8,8′が
設けられ、該ダイヤフラム装置のダイヤフラム8aによっ
てチャンバー室6はそれぞれ空気室9とポンプ室10に分
割され、該ポンプ室10はアウタチャンバー2に設けられ
た吸気弁装置11と吐出弁装置12に通じ、さらに2つの吸
気弁装置11は吸入接続管3に連通し、2つの吐出弁装置
12は圧力接続管4に連通している。またインナチャンバ
ー1にはダイヤフラム装置8,8′を駆動するための弁制
御ピストン13の図示なき圧縮流体エネルギー蓄積装置を
有する圧縮空気制御装置14が設けられている。そしてこ
の圧縮空気制御装置14により2つの空気室9を交互に圧
縮空気を送りダイヤフラム装置8,8′を駆動して薬液を
吸入接続管3から吸入し圧力接続管4から吐出するよう
になっている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
上記従来の高温薬液移送用圧縮空気駆動二連ダイヤフ
ラムポンプでは、イ移送薬液を150℃に加温して同ポン
プ移送後20℃に冷却するヒートサイクルを加えた場合、
アウタチャンバー2を構成する弗素樹脂(PTFE)の熱膨
張率が1×10-4以上あり、弁装置11,12を収納するアウ
タチャンバー2の熱変形が生じシール能力が低下して自
吸能力が50%以下に低下し吐出流量も50%以下となる。
またアウタチャンバー2と接続管3,4及びダイヤフラム8
aとのシール部がリークして薬液が漏洩する。これはPPS
樹脂の補強材5の厚さを厚くしても解決できない。ロ2
つのダイヤフラム装置8,8′を連結する金属製の摺動軸
7が2つの空気室9間をシールする目的のエラストマー
と常に摺動しているため、エラストマーが摩耗してゴミ
を発生し且つ摺動抵抗が増加する。また温度が上昇する
ことによっても熱変形により摺動抵抗は増加する。ハ弁
制御ピストン13は金属製であり、シールの目的でエラス
トマーやエコノール樹脂リングと組合わせた構造になっ
ているため熱膨張により摺動抵抗を増加し、また摩耗に
よっても摺動抵抗が増加する。なお前記ロハの摺動抵抗
は約500万回往復動するとポンプを駆動する力以上にな
り、ポンプが停止する。半導体素子製造工程は連続操業
であり、少なくとも無給油で150日(250往復/分の場合
5400万往復動)連続運転できる必要がある。また作業環
境を油分やエラストマー金属摩耗粉で汚染しないため発
塵を最少限にする必要がある。ニ硝酸ガスは弗素樹脂を
透過して弗素樹脂と接触する金属を侵す。特に70℃〜90
℃硝酸は、金属製の摺動軸7及び、ダイヤフラム装置8,
8′に組込まれた金属製ダイヤフラム固定具15を弗素樹
脂を透過して侵し、かつ金属元素を移送される硝酸の中
へ溶出させる。等の問題があった。
本発明はこのような点にかんがみ創作されたもので、
高温においても吐出能力が低下せず、かつ耐久性があ
り、移送する薬液を汚染しない高温薬液移送用圧縮空気
駆動二連ダイヤフラムポンプを提供することを目的とし
ている。
〔問題点を解決するための手段〕
このため本発明においては、第1図に例示するよう
に、1本の摺動軸7で連結された2つのダイヤフラム装
置8,8′と、該摺動軸7の両端にそれぞれダイヤフラム
固定具15で固定されたダイヤフラム8aでそれぞれ空気室
9とポンプ室10に分割されたチャンバー室6と、該ポン
プ室10に通ずる吸入弁装置11及び吐出弁装置12と、前記
2つの空気室9に交互に空気を送りダイヤフラム装置8,
8′を駆動する弁制御ピスト13を有する圧縮空気制御装
置14とを具備し、前記ポンプ室10,吸入弁装置11,吐出弁
装置12を含むアウタチャンバー2が弗素樹脂で形成され
た二連ダイヤフラムポンプにおいて、上記アウタチャン
バー2が吸入弁装置11及び吐出弁装置12の周囲及びポン
プ室10の外側を、前記弗素樹脂よりも熱膨張率の低い樹
脂17で補強するように一体成形され、上記摺動軸7及び
ダイヤフラム固定具15と弁制御ピストン13とがセラミッ
クスで形成されていることを特徴としている。
〔作 用〕
PFA,PTFE等の弗素樹脂で形成されたアウタチャンバー
2の吸入弁装置11及び吐出弁装置12の周囲をPPS,PEEK等
の樹脂17で補強するように一体成形したことにより高温
での弁装置の変形が少なくなり吐出能力の減少を防止可
能とする。また2つのダイヤフラムを連結する摺動軸7
及びダイヤフラム固定具15と、圧縮空気制御装置の弁制
御ピストン13とをセラミックスで形成したことにより摺
動抵抗が少なくなり摩耗粉を発生せず、且つ金属の如く
薬液に溶解することもないため薬液の汚染防止も可能と
なる。
〔実施例〕
第1図及び第2図は本発明の実施例を示す図であり、
第1図は第2図のI−I線における断面図、第2図は第
1図のII−II線における断面図である。
本実施例は、1本の摺動軸7で連結された2つのダイ
ヤフラム装置8,8′と、該ダイヤフラム装置8,8′のダイ
ヤフラム8aでそれぞれ空気室9とポンプ室10に分割され
たチャンバー室6と、該ポンプ室10に通ずる吸入弁装置
11及び吐出弁装置12と、前記2つの空気室9に交互に空
気を送りダイヤフラム装置8,8′を駆動する弁制御ピス
トン13を有する圧縮空気制御装置14とを具備されている
ことは第3図及び第4図で説明した従来例と同様であ
り、本実施例の要点は、PFA,PTFE等の弗素樹脂で形成さ
れたアウタチャンバー2を、その中に設けられている吸
入弁装置11及び吐出弁装置12の周囲と、ポンプ室10の接
液部16の弗素樹脂の肉厚を薄くし、その外側を、前記弗
素樹脂よりも熱膨張率の低い樹脂17で補強するように一
体成形したことと、ダイヤフラム装置8,8′を連結して
いる摺動軸7及びダイヤフラム固定具15と、該ダイヤフ
ラム装置8,8′を駆動するための圧縮空気制御装置14の
弁制御ピストン13とをSiC等のセラミックスで形成した
ことである。
なお、前記弗素樹脂よりも熱膨張率の低い樹脂として
はPPS,PEEK等の樹脂を用いることができる。
このように構成された本実施例は、 アウタチャンバー2の弗素樹脂の肉厚を薄くしたこ
とと、補強用樹脂を円周状に成形したことにより弗素樹
脂の熱膨張による変形をシール能力に影響しない寸法以
下に抑制でき、従って自吸能力,吐出量が安定化し効率
の低下が防止可能となる。
またアウタチャンバー2の接液部16をPTFE樹脂の切削
品からPFA樹脂の成形品に変更したことによりアウタチ
ャンバー2の樹脂量は弗素樹脂が1/5に削減でき、補強
材を成形したことによりリブによる補強が可能となりア
ウタチャンバー2全体でも約半分に削減可能となる。
摺動軸7及びダイヤフラム装置8,8′の中のダイヤ
フラム固定具15をセラミック化したことにより高温薬液
を連続循環移送した時に生ずる薬液中への金属溶出を防
止することができる。
摺動軸7及び弁制御ピストン13をセラミック化した
ことにより、摺動とシールを兼ね備えた形状とすること
ができ、シールを目的としたエラストマーやエコノール
を不用とし、運動によって生ずるエラストマー摺動摩耗
粉等の異物の発生を防止でき、また熱膨張による摺動抵
抗の変化もなくなり、耐摩性も向上したため、寿命は無
給油で従来の10倍以上の1億回往復以上が可能となっ
た。
〔発明の効果〕
以上述べてきたように、本発明によれば、アウタチャ
ンバーをPPS,PEEK等の樹脂で補強するように一体成形し
たことと、ダイヤフラム装置を連結する摺動軸及びダイ
ヤフラム固定具と圧縮空気制御装置の弁制御ピストンを
セラミック化したことにより、効率の低下を防止し、高
温薬液を汚染することなく、且つ長寿命とすることがで
き実用的には極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は本発明の実施例を示す図、 第3図及び第4図は従来の高温薬液移送用圧縮空気駆動
二連ダイヤフラムポンプを示す図である。 第1図,第2図において、 1はインナチャンバー、 2はアウタチャンバー、 3は吸入接続管、4は圧力接続管、 6はチャンバー室、7は摺動軸、 8,8′はダイヤフラム装置、 8aはダイヤフラム、9は空気室、 10はポンプ室、11は吸入弁装置、 12は吐出弁装置、13は弁制御ピストン、 14は圧縮空気制御装置、 15はダイヤフラム固定具、 16はアウタチャンバーの接液部、 17はアウタチャンバーを形成した弗素樹脂よりも熱膨張
率の低い樹脂(PPS,PEEK等の樹脂)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小川 力 川崎市中原区上小田中1015番地 富士通 株式会社内 (72)発明者 庭山 信夫 川崎市中原区上小田中1015番地 富士通 株式会社内 (72)発明者 藤江 信夫 川崎市中原区上小田中1015番地 富士通 株式会社内 (56)参考文献 特開 昭50−79802(JP,A) 実開 昭61−179378(JP,U) 実開 昭49−62506(JP,U) 実公 昭59−19831(JP,Y2) 実公 昭58−51481(JP,Y2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1本の摺動軸(7)で連結された2つのダ
    イヤフラム装置(8,8′)と、該摺動軸(7)の両端に
    それぞれダイヤフラム固定具(15)で固定されたダイヤ
    フラム(8a)でそれぞれ空気室(9)とポンプ室(10)
    に分割されたチャンバー室(6)と、該ポンプ室(10)
    に通ずる吸入弁装置(11)及び吐出弁装置(12)と、前
    記2つの空気室(9)に交互に空気を送りダイヤフラム
    装置(8,8′)を駆動する弁制御ピストン(13)を有す
    る圧縮空気制御装置(14)とを具備し、前記ポンプ室
    (10)、吸入弁装置(11)、吐出弁装置(12)を含むア
    ウタチャンバー(2)が弗素樹脂で形成された二連ダイ
    ヤフラムポンプにおいて、 上記アウタチャンバー(2)が吸入弁装置(11)及び吐
    出弁装置(12)の周囲及びポンプ室(10)の外側を、前
    記弗素樹脂よりも熱膨張率の低い樹脂(17)で補強する
    ように一体成形され、上記摺動軸(7)及びダイヤフラ
    ム固定具(15)と弁制御ピストン(13)とがセラミック
    スで形成されていることを特徴とした高温薬液移送用圧
    縮空気駆動二連ダイヤフラムポンプ。
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