JP2518533Y2 - リウマチ麻痺状況体験装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （イ）産業上の利用分野 本発明は老化と共に発生する種々の病気のうちでリウ
マチにかかった場合における麻痺状態で、住宅内におけ
る歩行や日常生活が、如何に困難となるかを体験する為
の装置である。

（ロ）従来技術 居住者がリウマチによる麻痺障害状態となって発生す
る住宅構造の問題点を、設計者に伝達するには、その設
計者の身近にリウマチ麻痺障害者がいない場合には、な
かなか理解出来ないのである。

従来は、主に過去のデータや経験から、あるいはリウ
マチによる麻痺障害者本人からヒアリングで得た情報に
基づいて、リウマチ麻痺障害者に合った住宅を設計する
という作業が行われていたのである。

（ハ）考案が解決しようとする問題点 しかし、設計者にとって、図面、写真或いはヒアリン
グにより、リウマチによる麻痺障害者が困っている点を
聞かされたとしても、健常者である設計者にはなかなか
理解出来ず、積極的な問題解決意識を持つことが出来な
いのである。

本考案は、このような場合に、設計者がまず直接にリ
ウマチによる麻痺状況体験者になって、実際の住宅の不
具合点を身を持って体験し、住む人の身になった住宅設
計が出来るように構成したものである。

（ニ）問題を解決するための手段 本考案の解決すべき課題は以上の如くであり、次に該
課題を解決する手段を説明する。

健常者の手首を拘束する手首関節拘束装具２と、膝の
動きを拘束する膝関節拘束装具１と、足首の動きを拘束
する足首関節拘束装具３を設け、該各装具を健常者の身
体に装着固定し、該各装具を装着した状態で移動する生
活空間を設けたものである。

（ホ）実施例 本考案の解決すべき課題及び解決する手段は以上の如
くであり、次に添付の図面に示した実施例の構成を説明
する。

第１図は滑り床と段差と手摺りの体験空間をリウマチ
麻痺状況体験者が歩行する状態を示す斜視図、第２図は
リウマチ麻痺障害者用のトイレと浴室を構成した体験空
間に於けるリウマチ麻痺状況体験者の動きを示す斜視
図、第３図はリウマチ麻痺状況体験装具を付けた状態の
健常者の図面、第４図は膝関節拘束装具１の斜視図、第
５図は足首関節拘束装具３の斜視図、第６図は手首関節
拘束装具２の斜視図である。

リウマチは、成人リウマチの方が多く、どうしても老
年において罹る病気である。このリウマチに罹ると、身
体の全ての関節が炎症を生じ、関節の動きが困難となる
のである。

軽い場合には、歩行困難となるが、更に病気が進展す
ると、全身が麻痺して歩行も困難となるのである。軽い
麻痺の間にリハビリを行い、更にリウマチが進展するの
を阻止する必要がある。

そして、リウマチによる麻痺障害者には、次のような
生活上の問題点が発生するのである。

上り框の高さが高いと上がれなくなり、手摺りが無い
と歩行が困難であり、床が滑る場合には転倒の危険性が
あり、敷居のような段差があっても超え難くなり、入浴
行為や便器への腰掛け行為が困難となり、ハンドルやレ
バーの操作が困難となるのである。

本考案は、このようなリウマチにかかった場合におけ
るリハビリを可能とする体験空間を設け、この体験空間
において、リウマチ麻痺者がどのような歩行や動きをす
るのかを、健常者である設計者や住宅建設者に知らせる
為の装置である。

このようにリウマチ麻痺状況の場合には、次のような
典型的な運動麻痺が発生するのである。

まず、膝関節が自由に動かず、膝角度の屈曲可変角度
を90度以内に制限するのである。即ち、膝を伸ばした状
態から90度までしか折り曲げることが出来ず、それ以上
の折り曲げは不可能な状態に膝関節拘束装具１により拘
束するのである。

また、手首関節が自由に動かず、本実施例では右手首
をぐるぐる廻すことが出来ないように手首関節拘束装具
２により拘束するのである。

また、足首関節が自由に動かないように、両足首を90
度の位置に固定し、その位置から動けないように固定す
るのである。

この状態では、歩行に必要な各部が自由に動かないの
で、不便の状態での移動しか出来なくなるのである。

このようなリウマチ麻痺の状態を、健常者に対して作
りだす為に、本考案は、リウマチ麻痺状況体験装具であ
る膝関節拘束装具１と手首関節拘束装具２と足首関節拘
束装具３を装着させるのである。

該３組の拘束装具は、それぞれの健常者の関節を、膝
関節拘束装具１は膝は90度までしか曲がらないように
し、手首関節拘束装具２は手首の旋回を不可能とし、足
首関節拘束装具３は足首を90度の状態で固定するのであ
る。

このように各部を固定すると、殆ど身体全体が動き難
くなるのである。

該状態で、第２図の如く、体験空間に設けたトイレ４
や浴槽５に於ける移動や生活が出来るかを体験するので
ある。また車椅子６に乗って移動しながら、住宅内に於
ける車椅子生活の不具合を体験するのである。また移動
式トイレ15により排便する際の状況を体験するのであ
る。

また第１図に示す如く、体験空間には、トイレ４や浴
槽５や車椅子６の他に、手摺り移動の練習が出来る手摺
り７や、住宅内の敷居９のような段差や、上り框10のよ
うな大きな段差も構成されており、畳の部屋とフローリ
ングの部屋の間の段差11も構成されているので、このよ
うな段差をどのように歩行出来るかを体験するのであ
る。

また、リビングや和室等において、フローリングや畳
がどれほど滑り易いものであり、またリウマチ麻痺障害
者や老化した人にとって、危険なものであるかを、滑り
比較床８を設けて、この上を歩くことにより体験すべく
構成しているのである。

該滑り比較床８には、１メートル四方毎に、異なる材
質の床面が構成されており、タイル床や、フローリング
床や、リノリユウム床や、畳等の比較が出来るように構
成しているのである。

故に、前記床の上を歩行することにより、滑り比較を
することも出来るし、また車椅子６に乗って、車椅子生
活にとってどのような床が最も安全であるかを検討する
ことも出来るのである。

また第４図において、膝関節拘束装具１は、硬質合成
樹脂により構成した上部拘束装具部1bと下部拘束装具部
1dとを、枢支部1aにより枢結しており、該枢支部1aにお
いて上部拘束装具部1bと下部拘束装具部1dが折れ曲がる
のであるが、90度以上の折れ曲がりが出来ないように、
枢支部1aにおいて固定しているのである。

そして、前記膝関節拘束装具１は、上部拘束装具部1b
と下部拘束装具部1dの部分を締結バンド部1cにより膝の
部分に固定するのである。該締結バンド部1cはマジック
テープにより簡単に脱着可能としている。

第５図は、足首関節拘束装具３を示している。該足首
関節拘束装具３は、リウマチ麻痺者の足首が90度の膝関
節拘束装具１で曲がらなくなるので、この状態で90度に
固定する役目をするのである。即ち、硬質合成樹脂によ
り構成した直角拘束装具部3bと、締結バンド部3aにより
構成している。

また第６図においては、手首関節拘束装具２を説明す
る。該手首関節拘束装具２は、リウマチ麻痺者の手首が
旋回不可能となる点を体験するものであり、硬質合成樹
脂により構成した拘束装具部2bと締結バンド部2aによい
構成されている。

（ヘ）考案の効果 本考案は以上の如く構成したので、次のような効果を
奏するものである。

第１に、住宅設計者や住宅セールスマンが、本考案の
リウマチ麻痺状況体験装置により、実際にリウマチ麻痺
になった状態を体験することにより、老齢者に対して住
宅を推薦する場合において、使う人の立場になってアド
バイスを行うことが出来るのである。これにより、健常
者でありながらリウマチ麻痺障害者と同じレベルで住宅
設計に参加することが可能となり、障害者が住んだ場合
にも、健常者が住んだ場合にも安全で住み心地の良い住
宅を提供すること出来るのである。

第２に、膝関節拘束装具１と手首関節拘束装具２と足
首関節拘束装具３を装着するだけで、リウマチ麻痺状態
が作れ、該状態で体験空間を歩行や移動することによ
り、種々の生活状態を体験可能としたので、短時間で誰
でも簡単にリウマチ麻痺障害者体験が可能となったので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は滑り床と段差と手摺りの体験空間をリウマチ麻
痺状況体験者が歩行する状態を示す斜視図、第２図はリ
ウマチ麻痺障害者用のトイレと浴室を構成した体験空間
に於けるリウマチ麻痺状況体験者の動きを示す斜視図、
第３図はリウマチ麻痺状況体験装具を付けた状態の健常
者の図面、第４図は膝関節拘束装具１の斜視図、第５図
は足首関節拘束装具３の斜視図、第６図は手首関節拘束
装具２の斜視図である。 １……膝関節拘束装具 ２……手首関節拘束装具 ３……足首関節拘束装具 ４……トイレ ５……浴槽 ６……車椅子

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】健常者の手首を拘束する手首関節拘束装具
   ２と、膝の動きを拘束する膝関節拘束装具１と、足首の
   動きを拘束する足首関節拘束装具３を設け、該各装具を
   健常者の身体に装着固定し、該各装具を装着した状態で
   移動する生活空間を設けたことを特徴とするリウマチ麻
   痺状況体験装置。