JP2518372B2 - 半導体装置 - Google Patents

半導体装置

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、半導体装置に関し、さらに詳しくは、バ
イポーラ集積回路において、逆方向電圧の印加により降
伏させて用いるツェナーダイオード構造の改良に係るも
のである。
〔従来の技術〕
従来例によるこの種のツェナーダイオードとして、こ
ゝでは、バイポーラ集積回路において、縦型NPNトラン
ジスタのエミッタとベースとを利用して形成されるツェ
ナーダイオード(エミッタ・ベースツェナー)の模式的
に表わした断面構成を第3図に示す。
この第3図の従来例構成において、p型シリコーン基
板1上には、エピタキシャル成長法につてn型エピタキ
シャル層2(以下,n型エピ層と呼ぶ)を堆積させ、かつ
このn型エピ層2内にボロンBなどを選択的に注入し熱
拡散してp型分離層3を形成させる。このp型分離層3
は、n型エピ層2内にそれぞれ形成される半導体素子間
の分離をなす。
また、前記p型分離層3間でのn型エピ層2内の上層
部には、中央部分にボロンイオンB+などを広く選択的に
注入し拡散してp型ベース層4を形成させ、かつこのp
型ベース層4の一部分には、ボロンBなどを選択的に注
入し拡散してp+型拡散層5を形成させる。このp+型拡散
層5は、p型ベース層4と後述する金属配線とのコンタ
クト抵抗値を低下させるために設けられる。そして、前
記p型ベース層4の他部分の上層部には、同様に砒素イ
オンAs+などを選択的に注入し拡散してn+型エミッタ層
6を形成させる。このn+型エミッタ層6は、その底面側
および側面側においてp型ベース層4との間にpn接合を
形成するためのものである。
さらに、符号10は前記p+型拡散層5およびn+型エミッ
タ層6にそれぞれ電気的に接続される各別の金属配線を
示し、9はn+型エミッタ層6の上面のうち金属配線10が
設けられていない部分に形成した酸化膜であり、11はこ
れらの金属配線10および酸化膜9上に250〜400℃下のプ
ラズマCVD法などによつて形成した耐湿性の高いプラズ
マ窒化物である。
すなわち,以上のような構成において、p型ベース層
4とn+型エミッタ層6とのpn接合により所期通りのツェ
ナーダイオードを形成するのである。
なお、同第3図中,符号13は逆降伏を発生する領域で
ある。
またこゝで、第4図には、前記ツェナーダイオード構
造でのp型ベース層4とn+型エミッタ層6との深さ方向
における不純物プロファイルを示してあつて、NDはn+
エミッタ層6におけるドナー濃度、NAはp型ベース層4
におけるアクセプタ濃度であり、第5図には、同上ツェ
ナーダイオードの電流I−電圧V特性を示し、第6図に
は、同上ツェナーダイオードでの逆方向電圧印加時間に
対する降伏電圧VZの経時変化を示してあつて、ツェナー
ダイオードを逆方向降伏状態で使用し続けた場合,逆方
向降伏電圧が上昇してゆく状態を表わしている。
一般的に、この種のバイポーラ集積回路内に設けられ
るツェナーダイオードでは、通常の場合,縦型NPNトラ
ンジスタでのエミッタをカソード(n+型エミッタ層6に
対応)とし、そのベースをアノード(p型ベース層4に
対応)として、これらのアノードとカソード間に逆方向
電圧(カソードの電位をアノードの電位より高くとる)
を印加させたときの降伏電圧特性(第5図)を利用する
ことにより、これを定電圧回路とかサージ保護回路など
として用いるものである。
こゝで、前記構成による従来のツェナーダイオードに
おいては、第4図に示すような不純物プロファイルを有
しており、その降伏電圧VZがベース濃度の高い領域でほ
ゞ決められることから、この従来例構成の場合,Si−SiO
2の界面付近の領域13で降伏現象を生ずるものと言え
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、前記した構成による従来のツェナーダ
イオードでは、Si−SiO2の界面付近の領域13で降伏現象
を生じているために、そのSi−SiO2界面に対してあるダ
メージを与えた状態で、第6図に示すように、電圧を印
加し続けた場合,その影響によつて降伏電圧VZが徐々に
上昇すると云う問題点がある。
こゝで、第6図は、前記ツェナーダイオードに直流電
圧8Vを印加し、電流密度100μA/μm2の電流を継続して
流したときの降伏電圧VZの経時変化を示すものであつ
て、この場合のプラズマ窒化膜10中の水素濃度は、約5
×1022cm-3程度であるものと推定される。
ところで、この第6図に示されている降伏電圧VZの経
時変化についてのメカニズムは、未だ解明されるに至つ
ていないが、これが印加電圧,電流密度,ベースの表面
濃度,およびプラズマ窒化膜中での水素濃度などに依存
することが判明しており、これらの各点からして、次の
ようなモデルが考えられる。
つまり、この従来例構成によるツェナーダイオードに
おいては、エミッタ(n+型エミッタ層6に対応)・ベー
ス(p型ベース層4に対応)接合に対して、逆方向に印
加さる高電界により、電子および正孔が移動し、この高
エネルギーを得た電子および正孔(以下,ホットキャリ
アと呼ぶ)が酸化膜9に注入される。こゝで、プラズマ
窒化膜11は、素子保護効果が大きいことから、集積回路
の最終パシベーション膜として欠かせない絶縁膜である
が、一方で、膜中に多量の水素を含んでいるために、そ
の膜形成後,比較的低温の熱処理によるのみで、膜中に
含まれている水素が酸化膜9の領域にまで拡散されるこ
とになり、この拡散された水素と、前記した酸化膜9中
に注入されるホットキャリアとの間に次式の反応を生ず
る。
e-+h++H2→2H そして、この注入される電子と正孔との結合エネルギ
ーが、同式のようにH2分子の係合(H−Hの結合エネル
ギーは、約4.5eVである)を切る働きをなし、かつこの
ようにして解離されたH原子が、Si−SiO2の界面で、 SiH+H→Si+H2 なる反応によつて、界面準位となるSi(3価のSi)を
発生する。なおこの場合,SiはSi−SiO2界面における基
準側のシリコンである。
すなわち,このようにホットキャリアの注入によつて
アクセプタ型の界面準位が発生すると、エミッタ(n+
エミッタ層6に対応)・ベース(p型ベース層4に対
応)接合でのSi−SiO2の界面付近の電界が緩和され、第
6図に見られるように、その降伏電圧Vzが高くなるので
ある。
この発明は、従来のこのような問題点を解消するため
になされたもので、その目的とするところは、pn接合上
に形成される酸化膜とかプラズマ窒化膜などの他の層構
成によつて特性上の影響を受けることなく、安定な定電
圧を得られるようにした,この種の半導体装置,こゝで
は、ツェナーダイオードを提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
前記目的を達成するために、この発明に係る半導体装
置は、p型の第1の半導体装置と、この第1の半導体層
の上層部に拡散形成されたn型の第2の半導体層と、前
記第1の半導体層内での第2の半導体層の側面上部に拡
散形成されて、この第2の半導体層よりも不純物濃度を
充分に低くしたn型不純物を含む第3の半導体層と、同
様に前記第2の半導体層の側面上部に拡散形成されて、
前記第2の半導体層よりも不純物濃度を充分に低くし、
かつ前記第3の半導体層とは異なるn型不純物を含ん
で、この第3の半導体層よりも高濃度で拡散深さを浅く
した第4の半導体層とを、少なくとも備えて構成したも
のである。
〔作用〕
すなわち,この発明においては、p型の第1の半導体
層内でのn型の第2の半導体層の側面上部に、第2の半
導体層よりも不純物濃度を充分に低くしたn型不純物を
含む第3の半導体層を拡散形成させると共に、同様に第
2の半導体層の側面上部に、第2の半導体層よりも不純
物濃度を充分に低くし、かつ第3の半導体層とは異なる
n型不純物を含み、この第の半導体層よりも拡散深さを
浅くした第4の半導体層を拡散形成させたので、第3の
半導体層によつて、第1,第2の各半導体層の接合部での
表面近傍の電界を緩和でき、また、第4の半導体層によ
つて、トラップされたホットキャリアによる第3の半導
体層での表面抵抗の増加を軽減し得るのである。
〔実 施 例〕
以下、この発明に係る半導体装置の一実施例につき、
第1図および第2図を参照して詳細に説明する。
第1図はこの実施例によるツェナーダイオードを適用
した半導体装置の概要構成を模式的に示す断面図であ
り、この第1図の実施例構成において、前記した第3図
の従来例構成と同一符号は同一または相当部分を示して
いる。
すなわち,この第1図実施例構成においても、p型シ
リコン基板1上には、エピタキシャル成長法によりn型
エピ層2を堆積させ、かつこのn型エピ層2内にボロン
Bなどを選択的に注入し熱拡散して、このn型エピ層2
内での半導体素子間の分離をなすためのp型分離層3を
形成させてある。
また、前記p型分離層3でのn型エピ層2の上層中央
部分には、ボロンイオンB+などを広く選択的に注入し拡
散して、p型ベース層4を形成させてあり、このp型ベ
ース層4の一部分に、ボロンBなどを選択的に注入し拡
散して、コンタクト抵抗値を低下させるためのp+型拡散
層5を形成させ、かつ他の部分の上層部に、砒素イオン
As+などを選択的に注入し拡散して、p型ベース層4と
の間にpn接合を形成するところの,n+型エミッタ層6を
形成させると共に、このn+型エミッタ層6の両側面上部
にあつて、同n+型エミッタ層6よりもドナー濃度NDを充
分に低くしたn-型拡散層7,8を、それぞれにn型不純物
としての燐,砒素のイオン注入と拡散処理とで形成さ
せ、これらのp型ベース層4とn-型拡散層7,8を含むn+
型エミッタ層6とのpn接合によつてツェナーダイオード
を構成させるのである。
そして、前記p+型拡散層5およびn+型エミッタ層6に
対しては、それぞれ各別に金属配線10を電気的に接続さ
せてあり、かつ同n+型エミッタ層6の上面のうち金属配
線10が設けられていない部分に酸化膜9を形成させ、さ
らに、これらの金属配線10および酸化膜9上にあつて25
0〜400℃下のプラズマCVD法により耐湿性の高いプラズ
マ窒化膜11を形成させたものである。
また、第2図は前記ツェナーダイオード構造でのp型
ベース層4,n+型エミッタ層6,および合成された各n-型拡
散層7,8での深さ方向における不純物プロファイルを示
すもので、同図中,ND1はn+型エミッタ層6におけるドナ
ー濃度、NAはp型ベース層4におけるアクセプタ濃度、
ND2は合成された各n-他拡散層7,8におけるドナー濃度で
あり、かつその深さについては、酸化膜9の直下を“0"
としている。
従つて、この第1図実施例構成においては、第2図に
示されているように、各n-型拡散層7,8における合成さ
れたドナー濃度ND2を、n+型エミッタ層6におけるドナ
ー濃度ND1よりも充分低濃度に設定してあるために、こ
ゝでのツェナーダイオードに逆方向電圧を印加した場
合,エミッタ(n+型エミッタ層6に対応)・ベース(p
型ベース層4に対応)接合面にあつて、最も高い電界が
かけられるのは、第1図中での領域12の部分となり、こ
の部分,すなわちバルク内で、最初に逆降伏が発生する
ことになる。
そしてこのために、前記した如く、プラズマ窒化膜11
中に含まれている水素が、酸化膜9の領域に拡散されて
いても、この酸化膜9中へのホットキャリアの注入が抑
制され、このツェナーダイオードの逆方向降伏電圧VZ
の影響が小さくなり、同逆方向降伏電圧VZがプラズマ窒
化膜11中での水素濃度によつて変化するような惧れを完
全に解消できる。すなわち,これを換言すると、最終保
護膜として水素を多量に含むプラズマ窒化膜11を用いて
も、ツェナーダイオードの定電圧特性を確実に維持し得
るのである。
また、一方、ホットキャリアは、ある確率で酸化膜9
内に注入されて不純物に燐を用いたn-型拡散層7の表面
抵抗が増加し、これによつて逆方向電流がやゝ低下する
が、こゝでは、このn-型拡散層7の内部にあつて不純物
に砒素を用いたn-型拡散層8を設けているために、この
ような酸化膜9にホットキャリアがトラップされた場合
に生ずるところの,n-型拡散層7での表面抵抗の増加を
格段に軽減し得るのである。
なお、前記各実施例においては、エミッタ・ベースツ
ェナー構造について述べたが、その他の,例えば、p+
散層5・エミッタツェナー構造などの組み合わせであつ
てもよく、同様な作用,効果が得られる。
〔発明の効果〕
以上詳述したように、この発明によれば、p型の第1
の半導体層内でのn型の第2の半導体層の側面上部に、
第2の半導体層よりも不純物濃度を充分に低くしたn型
不純物を含む第3の半導体層を拡散形成させると共に、
同様に第2の半導体層の側面上部に、第2の半導体層よ
りも不純物濃度を充分に低くし、かつ第3の半導体層と
は異なるn型不純物を含んで、この第3の半導体層より
も拡散深さを浅くした第4の半導体層を拡散形成させた
から、第3の半導体層によつては、第1,第2の各半導体
層の接合部での表面近傍の電界を緩和でき、また、第4
の半導体層によつては、トラップされたホットキャリア
による第3の半導体層での表面抵抗の増加を軽減し得る
のであり、結果的には、第1,第2の半導体層上に形成さ
れるところの,酸化膜およびプラズマ窒化膜などの他の
層構造によつて特性上の影響を受ける惧れがなくなり、
安定したツェナー電圧を得ることができ、しかも構造的
にも比較的簡単で容易に実施し得るなどの優れた特長を
有するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例によるツェナーダイオード
を適用した半導体装置の概要構成を模式的に示す断面
図、第2図は同上ツェナーダイオード構造でのp型ベー
ス層,n+エミッタ層,および合成された各n-型拡散層で
の深さ方向における不純物プロファイルを示すグラフで
あり、また、第3図は従来例によるツェナーダイオード
を適用した半導体装置の概要構成を模式的に示す断面
図、第4図は同上ツェナーダイオード構造でのp型ベー
ス層,およびn+エミッタ層での深さ方向における不純物
プロファイルを示すグラフ、第5図は同上ツェナーダイ
オードの電流−電圧特性図、第6図は同上ツェナーダイ
オードでの逆方向電圧印加時間に対する降伏電圧の経時
変化を示すグラフである。 1……p型シリコン基板、2……n型エピタキシャル
層、3……p型分離層、4……p型ベース層(p型の第
1の半導体層)、5……p+型拡散層、6……n+型エミッ
タ層(n型の第2の半導体層)、7……n-型拡散層(n
型の第3の半導体層)、8……n-型拡散層(n型の第4
の半導体層)、9……酸化膜、10……金属配線、11……
プラズマ窒化膜、12……逆降伏を発生する領域。 ND1……n+型エミッタ層のドナー濃度、NA……p型ベー
ス層のアクセプタ濃度、ND2……合成された各n-型拡散
層のドナー濃度。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】p型の第1の半導体層と、この第1の半導
    体層の上層部に拡散形成されたn型の第2の半導体層
    と、前記第1の半導体層内での第2の半導体層の側面上
    部に拡散形成されて、この第2の半導体層よりも不純物
    濃度を充分に低くしたn型不純物を含む第3の半導体層
    と、同様に前記第2の半導体層の側面上部に拡散形成さ
    れて、前記第2の半導体層よりも不純物濃度を充分に低
    くし、かつ前記第3の半導体層とは異なるn型不純物を
    含んで、この第3の半導体層よりも高濃度で拡散深さを
    浅くした第4の半導体層とを、少なくとも備えて構成し
    たことを特徴とする半導体装置。
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