JP2515861B2 - テ―プカセット - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、例えばビデオテープレコーダなどのような
記録再生装置に用いられるテープカセットに係り、特に
テープカセットの未使用時に、内部に収納したリールの
回転を抑止するためのリールロック機構を備えたテープ
カセットに関するものである。

〔従来の技術〕

従来、ビデオテープレコーダ等の記録再生装置で用い
るテープカセットには、その非使用時に振動や衝撃等に
よって、内部を収納した各リールがテープの繰出し方向
に回転し、テープが不測に弛むことでテープとテープカ
セットとの接触によりテープを損傷することのないよ
う、各リールの回転を規制するため、各リールの一方の
フランジ外周に歯部を設け、その歯部と係合するストッ
パ部材を設けている。そして、テープカセットがビデオ
テープレコーダの所定位置に装着されることで、ビデオ
テープレコーダに具備された機構により、ストッパ部材
が移動することで各リールのフランジ外周の歯部との係
合を解除し所定の動作が可能となるようになっている。

上記したリールロック機構は公知で各種提案がなされ
ており、例えば特開昭62−270082号公報等にその構成が
開示されている。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記従来技術は、テープカセットの非使用時におい
て、通常状態では問題なく各リールの回転規制が可能で
ある。しかしながか、例えばテープカセットに落下等に
よって過大な衝撃力が加わった時、各リールのフランジ
外周に設けた歯部が破損する虞がある点については何等
配慮がなされていなかった。従って、テープカセットの
落下等によってフランジの歯部に破損が生じると、各リ
ールの回転規制が不充分となり、テープの損傷を招来す
るという問題があった。

本発明は上記の点に鑑みなされたもので、その目的と
するところは、テープカセットの落下等による過大な衝
撃力が、テープカセットに加わった場合でも、各リール
の回転を規制するための各リールのフランジ外周に設け
た歯部の破損が生じないテープカセットを提供すること
にある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明の上記した目的は、テープカセット筐体内のリ
ール収納部に一対のリールを回転可能に収納し、該一対
のリールの上、下フランジのいずれか一方の外周にリー
ルロック用の歯部をそれぞれ形成すると共に、前記テー
プカセット筐体内に前記各リールの歯部とそれぞれ係合
・離脱可能なストッパ部材を設け、該ストッパ部材が前
記歯部に係合した状態では前記各リールの回転が阻止さ
れるようになされたことを前提とするテープカセットに
おいて、前記各リールにおける前記歯部をもつフランジ
の外周と前記リール収納部の側面との間の距離が、前記
歯部をもたないフランジの外周とリール収納部の側面と
の間の距離よりも大きく設定され、歯部をもつフランジ
の外周がリール収納部の側面と接触不能とすることによ
って達成される。

〔作用〕

すなわち、歯部をもつフランジの外径を、歯部をもた
ないフランジの外径よりも小さくしたり、歯部をもつフ
ランジと歯部をもたないフランジとが同外径である場
合、歯部をもつフランジを収納する部位の穴径を、歯部
をもたないフランジを収納する部位の穴径よりも大きく
することで、テープカセットが落下する等してテープカ
セットに過大な力が加っても、歯部のないフランジが前
記リール収納部の側面と当接することで、歯部をもつフ
ランジの外周がリール収納部の側面と衝合することは常
に回避される。従って、テープカセットが落下する等し
て過大な衝撃力が加っても、歯部をもつフランジはリー
ル収納部の側面とは常に非接触状態を維持され、歯部が
破損することは確実に防止される。

〔実施例〕

以下、本発明を図示した実施例によって説明する。

第１図は本発明の１実施例に係るテープカセットの断
面図、第２図（ａ）は該実施例で用いられるリールの１
例を示す平面図、同図（ｂ）は該実施例で用いられるリ
ールの変形例を示す平面図、第３図はテープカセットの
一部を切欠いて示した平面図、第４図および第５図は各
々本発明の他の実施例に係るテープカセットを示す断面
図である。

第１図において、１は、上ハーフ２および下ハーフ３
等で構成されたテープカセット筐体、４は磁気テープ、
10および20はリール、30および31はリール押えバネであ
り、上ハーフ２および下ハーフ３を嵌合・一体化して形
成したテープカセット筐体１内には、上ハーフ２および
下ハーフ３のリール収納部2a,3aに左右１対のリール10,
20が収納され、各リール10,20はリール押えバネ30,31に
より図示下方に押圧されている。

また、各リール10,20は、リールハブ10d,20dと、該リ
ールハブ10d,20dの下部に設けられ、テープカセットの
非使用時に各リール10,20の回転を規制するために使用
する歯部10c,20cを形成した第１のフランジ10a,20aと、
リールハブ10d,20dの上部に設けられ、リール押えバネ3
0,31と係合する凸部10f,20fを具備した第２のフランジ1
0b,20b等で構成され、中央部に磁気テープ４が巻回され
ている。

なお、テープカセットをビデオテープレコーダ内に装
着し、所定の動作を行なうために、下ケース３には、各
リール10,20のリールハブ10d,20dの底部に対応する部分
にはこれを露出するための穴5,6が設けられ、ビデオテ
ープレコーダ内の機構がリールハブ10d,20dの穴部10e,2
0eと係合して所定の動作を行なうのは周知の通りであ
る。

ところで、該実施例においては、各リール10,20の第
１のフランジ10aの外径D1と第２のフランジ20aの外径D2
との寸法を、D1＜D2の関係にあるよう構成している。す
なわち、非使用時における各リール10,20の回転を規制
するために使用する歯部10c,20cを設けた第１のフラン
ジ10a,20aの外径D1が、第２のフランジ10b,20bの外径D2
より小さく設定し、第１のフランジ10a,20aの外周とリ
ール収納部の側面との間の距離を、第２のフランジ10b,
20bの外周とリール収納部の側面との間の距離よりも大
きく設定している。

したがって、テープカセット筐体１を落下した時等、
過大な衝撃力が加わった時には、従来は第１および第２
のフランジ径が同等であったため、歯部がリール収納部
の側面と衝突することで、リールの回転を規制するため
の強度的に弱い歯部が破損して適切なリール回転規制が
できなくなり磁気テープの損傷を発生させてしまうこと
に対し、該実施例では、歯部10c,20cのない第２のフラ
ンジ10b,20bの外径が大きいため、上ハーフ２および下
ハーフ３のリール収納部2a,3aの側面2b,3bに対して、第
２のフランジ10b,20bが上ケース２のリール収納部2aの
側面2bと衝突するが、各リール10,20の回転を規制する
ための歯部10c,20cを設けた第１のフランジ10a,20aは下
ケース３のリール収納部3aの側面3bとは常に非接触状態
を維持されるため（接触不能であるため）、各リール1
0,20の第１のフランジ10a,20aに設けた歯部10c,20cが破
損することはない。よって、信頼性に優れた各リール1
0,20の回転ロック機構をもつテープカセットを得ること
ができる。

第２図（ａ）は該実施例で用いられるリール10,20の
１例を示しており、同図に示すように、リール10,20の
第２のフランジ10b,20bの外径D2が、リール10,20の回転
を規制するために使用する歯部10c,20cを外周部全域に
設けた第１のフランジ10a,20aの外径D1に対し、全周に
わたって大きくなるように、第２のフランジ10b,20bを
円板形状のものにしてある。また、第２図（ｂ）はリー
ル10,20の変形例を示しており、同図に示したように、
第２のフランジ10b,20bの外周の一部、例えば４つの等
間隔の突出領域のみを径大としてあり、この場合でも第
２図（ａ）の形状と略同等の効果を奏することができる
が、強度的には第２のフランジ10b,20bは第２図（ａ）
で示す形状のものが優れている。

第３図は、第１図のテープカセットの平面図で、各リ
ール10,20の回転を抑止するためのロック機構を示すた
め、上ハーフ２の一部を切欠いて示してある。

第３図に示すように、テープカセット筐体１内には、
各リール10,20の回転を規制するため、各リール10,20の
第１のフランジ10a,20aに設けた歯部10c,20cと係合する
爪25,25をもつストッパ片15が、図示上下方向に摺動自
在に設けられており、バネによって爪25,25が歯部10c,2
0cと係合する方向に常時付勢されている。そして、テー
プカセットの非使用時には、上記バネの付勢力によって
ストッパ片15の爪25,25は各リール10,20の回転を抑止し
た状態にある。ここで、ストッパ片15は、下部の第１の
フランジ10a,20aの歯部10c,20cのみと係合すればよいた
め、高さ寸法は小さくてよく、第２のフランジ10b,20b
と干渉することはないようになっている。なお、第３図
において、50は、テープカセットの非使用時に開口部40
を閉鎖し、ごみ・ほこり等の侵入を防止するためのフタ
である。

なおまた、テープカセットがビデオテープレコーダ等
の所定位置に装着されることにより、下ハーフ３に設け
た穴部７に挿入されるピン等により、ストッパ片15をス
ライドさせ、爪25,25を各リール10,20の第１のフランジ
10a,20aの歯部10c,20cから離すことで各リール10,20が
回転可能となり、ビデオテープレコーダにおける所定の
動作が行なわれることは周知の通りである。

第４図および第５図は、本発明の他の実施例をそれぞ
れ示したテープカセットの断面図である。第４図示の実
施例および第５図示の実施例は、前記した実施例では各
リール10,20のフランジ外径を異ならせることにより、
各リール10,20の回転規制を行なうための歯部10c,20cの
破損を防止したものに対し、この２つの実施例では、各
リール10,20のフランジ外径が同一の場合において歯部1
0c,20cの破損を防止する構成をそれぞれ示している。

初めに第４図について説明する。

基本構成は第１図〜第３図に示す実施例とほぼ同等で
あるが、相違点は、各リール10,20における第１のフラ
ンジ10a,20aの外径D1と第２のフランジ10b,20bの外径D2
が同等寸法である点と、上ハーフ２のリール収納部2aの
収納穴径A2と下ハーフ３のリール収納部3aの収納穴径A1
がA1＞A2の関係になっていることである。

したがって、テープカセット筐体１に落下等で過大な
衝撃力が加わった場合、各リール10,20と上，下ハーフ
2,3とは、各リール10,20の第２のフランジ10b,20bと上
ハーフ２のリール収納部2aの側面2bとが衝突するのみ
で、各リール10,20の回転を規制するために使用する歯
部10c,20cを設けた第１のフランジ10a,20aと、下ハーフ
３のリール収納部3aの側面3bとは、非接触状態を維持さ
れるため、この場合も第１のフランジ10a,20aに設けた
歯部の破損は確実に防止される。

次に第５図について説明する。

基本的には第４図と同様であるが、テープカセット筐
体１における各リール10,20のリール収納部3aが、下ハ
ーフ３からの壁3dのみで構成されている点が異なってい
る。すなわち、下ハーフ３の壁3dは、各リール10,20に
おける第１のフランジ10a,20aに対応する収納部径A1
と、第２のフランジ10b,20bに対応する収納部径A2とを
もち、これがA1＞A2の関係となるよう構成されている。
よって、テープカセット筐体１に過大な衝撃力が加わっ
ても、各リール10,20は第２のフランジが壁3dと衝突す
るのみで、各リール10,20の回転を規制する歯部10c,20c
を設けた第１のフランジ10a,20aは非接触状態を維持さ
れ、歯部10c,20cを破損させることはない。なお、下ハ
ーフ３に設けた壁3dは可撓性を持っており、衝撃力を緩
和することが可能である。また本実施例では、下ハーフ
３の壁3dの下方に凹部3eを形成し、この凹部3eに係合す
るように上ハーフ２の側面2dに凸部2eを設けることによ
り、テープカセット筐体１の組立て時に上，下ハーフ2,
3の嵌合時、一時的な仮止めを行なうことができ、組立
性の向上を図ることも可能である。

〔発明の効果〕

以上述べたように、本発明のテープカセットによれ
ば、テープカセットの非使用時に各リールの回転を規制
するために使用する歯部を設けた第１のフランジを、テ
ープカセットに振動および衝撃が加わっても破損しない
ように常にリール収納部の側面と非接触状態を維持する
よう構成しているので、テープカセットに落下等による
過大な衝撃力が加っても各リールの第１フランジに設け
た歯部を破損することがないため、各リールロックに対
し大幅な信頼性向上を可能とするテープカセットを提供
でき、その価値は顕著である。

【図面の簡単な説明】

図面の何れも本発明の実施例に係り、第１図は本発明の
１実施例に係るテープカセットの断面図、第２図（ａ）
は該実施例で用いられるリールの１例を示す平面図、同
図（ｂ）は該実施例で用いられるリールの変形例を示す
平面図、第３図はテープカセットの一部を切欠いて示し
た平面図、第４図および第５図は各々本発明の他の実施
例に係るテープカセットを示す断面図である。 １……テープカセット筐体、２……上ハーフ、３……下
ハーフ、2a,3a……リール収納部、４……磁気テープ、1
0,20……リール、10a,20a……第１のフランジ、10b,20b
……第２のフランジ、10c,20c……歯部。

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】テープカセット筐体（１）内のリール収納
   部（2a,3a）に一対のリール（10,20）を回転可能に収納
   し、該一対のリール（10,20）の上，下フランジ（10a,1
   0b,20a,20b）のいずれか一方の外周にリールロック用の
   歯部（10c,20c）をそれぞれ形成すると共に、前記テー
   プカセット筐体（１）内に前記各リール（10,20）の歯
   部（10c,20c）とそれぞれ係合・離脱可能なストッパ部
   材（15）を設け、該ストッパ部材（15）が前記歯部（10
   c,20c）に係合した状態では前記各リール（10,20）の回
   転が阻止されるようになされたテープカセットにおい
   て、 前記各リール（10,20）における前記歯部（10c,20c）を
   もつフランジ（10a,20a）の外周と、 前記リール収納部（2a,3a）の側面との間の距離が、 前記歯部（10c,20c）をもたないフランジ（10b,20b）の
   外周と、 リール収納部（2a,3a）の側面との間の距離よりも大き
   く設定され、 歯部（10c,20c）をもつフランジ（10a,20a）の外周がリ
   ール収納部（2a,3a）の側面と接触不能とされたことを
   特徴とするテープカセット。
2. 【請求項２】請求項１記載において、 前記歯部（10c,20c）をもつフランジ（10a,20a）の外径
   をD1とし、 前記歯部（10c,20c）をもたないフランジ（10b,20b）の
   外径をD2としたとき、 D1＜D2の関係となるように構成したことを特徴とするテ
   ープカセット。
3. 【請求項３】請求項１記載において、 前記歯部（10c,20c）をもつフランジ（10a,20a）に対応
   した前記リール収納部（3a）の穴径をA1とし、 前記歯部（10c,20c）をもたないフランジ（10b,20b）に
   対応した前記リール収納部（2a）の穴径をA2としたと
   き、 A1＞A2の関係となるように構成したことを特徴とするテ
   ープカセット。