JP2514457Y2 - 施肥播種機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、例えばトラクター等の
後部に耕耘機を取り付け、この耕耘機と共に施肥あるい
は播種を行うのに適した施肥播種機に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、トラクター等の後部にロータリー
式の耕耘機を取り付け、耕耘機によって耕作を行いなが
ら同時に施肥や播種を行う装置が、例えば実開昭６０−
１３３７１８号公報、実開昭５８−１０３８１５号公報
または特開昭６２−２３９９０７号公報等によって知ら
れている。これらの従来の施肥播種機では、施肥や播種
を耕耘機による耕耘と同時に行うため、肥料や種子を耕
耘機のロータリーの前方に撒かなければならない。その
ため、肥料や種子を収納するホッパーを耕耘機のロータ
リーの近傍上方に配置する必要がある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来の施肥播種機においては、そのホッパーを耕耘機の
ロータリーの近傍の上方に配置しなければならないこと
から、その位置が制約を受ける。より具体的には、耕耘
機の前部にあって、高い位置に配置しなければならな
い。そのため、ホッパーに肥料や種子を補充したり交換
するときに、高い位置まで肥料や種子を持ち上げなけれ
ばならず、しかも耕耘機や施肥播種機の他の部分が邪魔
になって、補充や交換の作業性がきわめて悪い。特に、
農業従事者の高年齢化が進んでいるのに伴い、これらの
作業性の低下は深刻な問題である。

【０００４】そこで本考案は、上記の従来の課題に鑑
み、トラクター等に後部に取り付けられる耕耘機のロー
タリーの前方に肥料や種子を撒くことができ、なお且つ
ホッパーを耕耘機の後部の比較的低い位置に取り付ける
ことが可能とし、それにより肥料や種子の補充や交換が
容易な施肥播種機を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】すなわち、本考案による
施肥播種機は、肥料あるいは種子を収納するホッパー３
１と、施肥播種機の移動速度に対応して上記ホッパー３
１内の肥料あるいは種子を繰り出す繰出機構３２と、上
記繰出機構３２から繰り出された肥料あるいは種子を排
出する排出部３２３とを有するものにおいて、搬送空気
流を送出するブロワー３４２と、このブロワー３４２で
発生した搬送空気を通す搬送チューブ３３とを備え、上
記ホッパー３１及び繰出機構３２を施肥播種機の後部に
配置すると共に、この繰出機構３２の排出部３２３を上
記搬送チューブ３３の途中の上部に接続すると共に、搬
送チューブ３３の排出端部３３４を、上記ホッパー３１
及び繰出機構３２より前方にあるロータリー２１の前下
方に向けて配置したことを特徴とする。

【０００６】

【作用】上記の本考案による施肥播種機では、その後部
にあるホッパー３１内から繰出機構３２によって排出さ
れる肥料や種子が、まず搬送チューブ３３の途中に落し
込まれる。この搬送チューブ３３では、先端の排出端部
３３４に向けてブロワー３４２から送られる搬送空気が
流れているので、搬送チューブ３３の途中に落し込まれ
た肥料や種子は、同チューブ３３の中を通り、ロータリ
ー２１の前方にある排出端部３３４から排出され、地面
に撒かれる。従って、肥料や種子はロータリー２１の前
方に先行して撒かれる。このように、本考案による装置
では、肥料や種子をホッパー３１から搬送チューブ３３
の途中に落し込み、その肥料や種子を搬送空気により同
搬送チューブ３３を通して搬送し、ロータリー２１の前
方にある排出端部３３４に送り、下方に向けて排出する
ようにしたので、肥料や種子を収納するホッパー３１と
繰出機構３２とを施肥播種機の後部に置いても、なおか
つそこから離れたロータリー２１の前方に肥料や種子を
撒くことができる。このため、ホッパー３１への肥料や
種子の補充や交換がしやすくなり、肥料や種子の補充や
交換作業を容易に行うことが出来るのでその作業効率が
向上する。

【０００７】

【実施例】以下、本考案の実施例について、添付の図面
を参照しながら詳細に説明する。図２に本考案の実施例
である施肥播種機を備えたトラクターが示されており、
図において、トラクター１０の後部に、いわゆるロータ
リー式の耕耘機２０が取り付けられている。さらに、こ
の耕耘機２０の後部の比較的低い位置にホッパー３１を
備えた施肥播種機３０が取り付けられている。

【０００８】さらに詳細に説明すると、図３において、
トラクター１０の後方に突き出したリンク機構１１に
は、その回転によって土壌を掘り起こすためのロータリ
ー２１を備えた耕耘機２０が取り付けられ、トラクター
１０により牽引されながら地面を耕耘する。また、トラ
クター１０の後方から延びるシリンダー１２が耕耘機２
０の「Ｌ」字状のヒンジ２２に連結されており、このシ
リンダー１２の伸縮によって耕耘機２０全体が上下に移
動されるようになっている。

【０００９】また、この耕耘機２０の後部には、取付ア
ーム２３が設けられ、その先端には、進行方向に対して
傾斜して覆土輪２４が回転可能に取り付けられている。
そして、このアーム２３を取り付けた耕耘機２０のフレ
ーム２５に前記の施肥播種機３０が、取付部３５によっ
て後方側に固定されている。また、図中の符号２６は上
記ロータリー２１の周囲を取り囲むように設けられたカ
バーを、符号２７は上記ロータリー２１を回転駆動する
ために駆動機構を、符号２８は施肥播種機３０の動作を
制御するための制御用チェーンを示している。

【００１０】この施肥播種機３０は、図１に示されるよ
うに、内部に肥料あるいは種子１００を収納するホッパ
ー３１が設けられている。このホッパー３１は、図４
（ａ）及び（ｂ）に示すように、外形が略方形状で、そ
の下面に複数（この実施例では２個）の漏斗状部３１
１、３１１を形成し、上方の開口部に蓋部３１２を回動
可能に取り付けたものである。この実施例では、この様
なホッパー３１を２個、並列に配置している。

【００１１】このホッパー３１の漏斗状部３１１の排出
口には、施肥播種機の移動速度、すなわち、トラクター
１０の移動速度に対応して、上記ホッパー１０内に収納
する肥料あるいは種子１００を繰り出すための繰出機構
３２が設けられている。この繰出機構３２は、例えばプ
ラスチック等により形成され、図１に示されたように、
円筒形の表面に等間隔で複数の凹部３２１、３２１…
（図示の実施例では４個）を設けたローラ３２２を備
え、さらに、その下方には漏斗状の排出部３２３が設け
られている。このローラ３２２は、図には示されてはい
ないが、トラクター１０と共に移動する車輪に連結され
た回転機構、あるいはトラクターの走行速度に比例した
回転速度で回転する電動機等によって回転され、施肥播
種機の移動速度に対応して回転する。そのため、上記ロ
ーラ３２２の外周の凹部３２１、３２１…を介して下方
へ繰り出される肥料あるいは種子１００の量は、トラク
ターの走行速度に比例する。

【００１２】図１及び図５の符号３２４、３２４は、上
記繰出機構３２のハウジング３２３の一部に取り付けら
れ、上記のローラ３２２の外周に接触するブラシを示し
ており、このブラシ３２４、３２４は、上記ローラ３２
２の外周の凹部３２１、３２１…に収納される肥料や種
子１００を均す。図５に示すように、このブラシ３２
４、３２４の一方は、ハウジング３２３に矢印方向に摺
動可能に設けられ、ネジ３２６によって固定されるよう
になっている。すなわち、ネジ３２６を緩めてこのブラ
シ３２４を図５において右方向に移動させることによ
り、例えば機械停止後に、ホッパー３１を取り外し、繰
出機構３２の内部を掃除する時など、その中に残った肥
料や種子を簡単に排出することができ、便利である。図
１に施肥播種機３０の取付部３５の詳細が示されてい
る。この取付部３５は、略「コ」の字状の固定金具３５
１を有し、この固定金具３５１はピン等によって耕耘機
２０の後方に延びたフレーム２５に固定され、これによ
り施肥播種機３０が耕耘機２０の後部に取り付けられ
る。また、この固定金具３５１の下方に脚部３５２が設
けられており、その図示された連結機構により上記フレ
ーム２５の上下の移動により簡単に脱着できる構造とな
っている。

【００１３】さらに、上記の繰出機構３２の排出部３２
３は下方に延長しているが、この排出部３２３はその直
下において搬送チューブ３３の途中の上部に接続されて
いる。すなわち、図５に示すように、搬送チューブ３３
の途中にはＴ字管３３１が設けられており、その上方に
延びた管が、排出部３２３の下端部に設けられた固定用
フック３３２、３３２…によって脱着可能に取り付けら
れている。そして、この搬送チューブ３３の基端（図中
の右方側）は、図１に示すように、エアタンク３４の排
気口３４１に取り付けられている。

【００１４】上記のエアタンク３４は、例えばプラスチ
ックを中空の方形状に形成したものであり、図１に示さ
れるように、その一側面には、設けられる搬送チューブ
３３の本数に対応する数の（この実施例では４個１）複
数の排出口３４１が設けられている。また、図４に示す
ように、エアタンク３４の略中央中にブロワー３４２と
このブロワー３４２を回転駆動するためのモーター３４
３が設けられている。このモーター３４３によりブロワ
ー３４２を回転させ、エアタンク３４の中空室内に空気
を送り込み、その後、上記の複数の排出口３４１から搬
送空気を送り出す。図４の矢印は搬送空気の流れを示し
ている。

【００１５】他方、搬送チューブ３３の先端側は図１に
おいて左方に延長されている。すな わち、搬送チューブ
３３の先端側は、図２や図３に示すように、上記のロー
タリー２１のカバー２６の上を越えて前方へ導出され、
搬送チューブ３３の先端である排出端部３３４がロータ
リー２１の直前の位置に下方へ向けて配置されている。
図３において、符号３３３はこの搬送チューブ３３の排
出端部３３４を固定するため、上記カバーの前部分２６
ａに取り付けられた固定部材であり、その一部は前方に
傾斜されて延長され、搬送チューブ３３の排出端部３３
４から排出される肥料あるいは種子１００をロータリー
２１の直前に撒くようになっている。

【００１６】次に、以上に詳述した本考案の実施例であ
る施肥播種機の動作について説明する。まず、図１にお
いて、ホッパー３１の内部に収納され肥料あるいは種子
１００は、その漏斗状部３１１の排出口を介して、繰出
機構３２の働き、すなわち外周表面に凹部３２１、３２
１…を形成したローラ３２２の回転により、施肥播種機
の移動速度に比例して下方に繰り出される。そして、こ
の繰り出された肥料あるいは種子１００は、上記の繰出
機構３２の下方に延長して形成された排出部３２３に導
かれ、上記Ｔ字管３３１を介して、搬送チューブ３３内
に落下する。

【００１７】Ｔ字管３３１を介して搬送チューブ３３内
に落下した肥料や種子１００は、ブロワー３４２からエ
アタンク３４の排気口３４１を介して送られて来る搬送
空気により、搬送チューブ３３の排出端部３３４へと搬
送される。すなわち、図３に示すように、搬送チューブ
３３内を搬送された肥料あるいは種子１００は、ロータ
リー２１のカバー２６の上を越えてロータリー２１の直
前の位置まで搬送され、排出端部３３４から排出され、
この排出端部３３４を固定した固定部材３３３から延長
して形成された傾斜部分に当たり、ロータリー２１の直
前に撒かれる。

【００１８】このように、ホッパー３１内から繰出機構
３２によって排出される肥料や種子１００は、エアタン
ク３４から送出される搬送空気によって、搬送チューブ
３３を通り、施肥播種機の所望の位置まで搬送して撒か
れる。このため、肥料あるいは種子１００を収納するホ
ッパー３１の配置は、重力による自然落下を利用した従
来の施肥播種機ように耕耘機２０の上方だけに限られる
ことなく、比較的低い位置や施肥播種機の後部へも自由
に配置することができる。ホッパー３１の配置を低くし
たり、施肥播種機の後部に配置することは、ホッパー内
への肥料あるいは種子１００の補給や交換作業が施肥播
種機の他の部分に邪魔されることなく、低い位置で行う
ことができるため、容易となり、その作業効率が向上す
る。

【００１９】

【考案の効果】以上の説明から明かな様に、本考案によ
れば、施肥播種機のホッパー３１を耕耘機２０の後方に
配置したので、耕耘機２０の他の部材に邪魔されること
なく、ホッパー３１を比較的下の位置に配置することが
可能となることから、ホッパー内への肥料あるいは種子
の補給や交換の作業が容易となり、例えば高齢者等でも
楽に扱えるようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案になる施肥播種機の内部構造を示す断面
図である。

【図２】上記施肥播種機を取り付けたトラクターの全体
概要を示す側面図である。

【図３】上記トラクターの後部へ取り付けた耕耘機と施
肥播種機の取付構造を示す側面図である。

【図４】上記施肥播種機のホッパーの構造を示す背面及
び上面図である。

【図５】上記施肥播種機の繰出機構の詳細を示す一部断
面拡大図である。

【符号の説明】

１０ トラクター ２０ 耕耘機 ３１ ホッパー ３２ 繰出機構 ３２１ 凹部 ３２２ ローラ ３２３ 排出部 ３３ 搬送チューブ ３３１ Ｔ字管 ３４ エアタンク ３４１ 排気口 ３４２ ブロワー ３４３ モータ １００ 肥料あるいは種子

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 肥料あるいは種子を収納するホッパー
   （３１）と、施肥播種機の移動速度に対応して上記ホッ
   パー（３１）内の肥料あるいは種子を繰り出す繰出機構
   （３２）と、上記繰出機構（３２）から繰り出された肥
   料あるいは種子を排出する排出部（３２３）とを有する
   施肥播種機において、搬送空気流を送出するブロワー
   （３４２）と、このブロワー（３４２）で発生した搬送
   空気を通す搬送チューブ（３３）とを備え、上記ホッパ
   ー（３１）及び繰出機構（３２）を施肥播種機の後部に
   配置すると共に、この繰出機構（３２）の排出部（３２
   ３）を上記搬送チューブ（３３）の途中の上部に接続す
   ると共に、搬送チューブ（３３）の排出端部（３３４）
   を、上記ホッパー（３１）及び繰出機構（３２）より前
   方にあるロータリー（２１）の前下方に向けて配置した
   ことを特徴とする施肥播種機。