JP2513579Y2 - 負荷時タップ切換装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は負荷時タップ切換装置に
係わり、切換開閉器またはタップ選択開閉器を収納した
容器と活線浄油機との間の配管に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】負荷時タップ切換装置の切換開閉器やタ
ップ選択開閉器などの電流の開閉を司どる開閉器は、電
流開閉するときに発生するアークを容易に消滅させるた
めに、絶縁油が満たされた容器に収容されている。通
常、容器に絶縁油を充満させた電気機器においては、充
填された絶縁油の温度変化にともなう容積変化による容
器内の圧力変化を抑制するために、容器の上方にコンサ
ベータが設けられ、容器とコンサベータは配管にて連通
されているものであり、本願考案についても同様の構成
で、容器に絶縁油が充満されており温度変化により絶縁
油の体積変化が生じてもタップ切換開閉器またはタップ
選択開閉器は常に絶縁油中に浸漬されるようになってい
る。また、タップ切換開閉器またはタップ選択開閉器を
収容した容器とコンサベータを連通させるコンサベータ
配管の途中には油流保護リレーを設けている。これは、
タップ切換開閉器またはタップ選択開閉器の電流遮断の
失敗や、タップ間の絶縁破壊が生じた場合に、異常なア
ークが発生するが、その異常アークのエネルギにより、
絶縁油が分解し、ガス化して容器内圧力が上昇すると、
容器からコンサベータへ異常な油流が発生するが、この
油流により油流保護リレーを動作させて異常を検知する
ため設けられている。負荷時タップ切換装置は変圧器本
体に付属し、変圧器は電力系統に接続され、電力系統の
電圧に合せて、上記変圧器の巻線のタップの切換を行う
ものであるが、負荷時タップ切換装置はタップ切換毎に
アークが発生し、絶縁油が分解して汚損し、絶縁耐力が
低下していくので、高電圧変圧器に使用される負荷時タ
ップ切換装置においては、通常、フィルターとポンプで
構成する活線浄油機を付設し、この活線浄油機によっ
て、１日１回程度容器内の絶縁油を濾過して浄化し、電
気的絶縁性能の低下を防ぐように運転されている。負荷
時タップ切換装置の活線浄油機による絶縁油の濾過系路
は、切換開閉器またはタップ選択開閉器を収容した容器
の下方に配置された活線浄油機の給油口と前記容器の底
部とを排油管で連通させ、前記活線浄油機の吐出口と前
記容器の頭部とを給油管で連通させた経路とし、容器の
底部より汚損した絶縁油を吸出し、活線浄油機のフィル
タで濾過し、給油管により容器の頭部に返す系路で浄化
して絶縁油の電気絶縁特性の低下を防いで運転が継続さ
れている。このような構成の負荷時タップ切換装置にお
いて、万一活線浄油機のフィルタまたはポンプ、あるい
は前記容器頭部より下方に位置する排油管または給油管
等に漏油が発生した場合に、前記容器に充填されている
絶縁油が流出し、切換開閉器またはタップ選択開閉器が
露出するとアークが消滅せず、タップ間絶縁耐力の低下
による短絡等の事故に至る可能性がある。

【０００３】万一の活線浄油機及び配管の漏油があった
場合でも絶縁耐力を確保するにはアーク遮断性能、絶縁
性能が必要な切換開閉器またはタップ選択開閉器の周囲
の絶縁油まで抜けないように配慮する必要があるが、そ
の方法として公開実用新案公報昭60−42718 号に示され
たように、排油管の先端を容器の底部に挿入し、容器頂
部より取り出し活線浄油機に連通するように排油管を配
管し、該排油管の容器頂部より取り出した部分と、コン
サベータあるいはコンサベータと容器を連通するコンサ
ベータ配管との間を排油管の内径より十分小さな内径の
細管で連通した構成としたもの、あるいは公告実用新案
公報平３−11868 号に示されたように排油管を容器の底
部より、容器頭部の位置まで立上げて逆Ｕ字状として活
線浄油機に至る系路で連通し、給油管は活線浄油機より
容器頭部に連通する配管とし、排油管の逆Ｕ字状の頂部
と、給油管とを、排油管の内径より十分小さい内径の細
管で連通させた構成が示されている。このように構成す
ることにより活線浄油機、排油管、あるいは給油管に漏
油が発生して、油面が排油管の逆Ｕ字状の頂部まで低下
したとき、細管により油面上の気体が排油管に侵入しサ
イフォン効果を解消してそれ以上の漏油を防止して切換
開閉器またはタップ選択開閉器部分の絶縁耐力が確保さ
れるものである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】上記の従来提案されて
いる負荷時タップ切換装置では以下のような問題点があ
った。公開実用新案公報昭60−42718 号に示された構成
では、排油管とコンサベータとの間を細管で連通してい
るため、前記容器とコンサベータとの間はコンサベータ
配管で側路する構成となり、開示されていないが通常コ
ンサベータ配管の途中に設けられている油流リレーを側
路することになり油流保護リレーの動作特性に悪影響を
及ぼす欠点がある。また、公告実用新案公報平３−1186
8 号に示された構成では活線浄油機で濾過された絶縁油
が給油管より細管をとおって排油管に吸引されて流入す
ることとなり、浄化されたばかりの絶縁油が、再度活線
浄油機に返送され、浄油効率が低下する欠点を有する。

【０００５】本考案は、上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、通常、コンサベータ配管に設け
られている油流保護リレーの動作特性に影響を及ぼさ
ず、また浄化された直後の絶縁油が活線浄油機へ返送さ
れることがなく、かつ、活線浄油機及び浄油ルートを形
成する配管に漏油があっても、容器内の絶縁油の油面が
安全なレベル以下となる前に、絶縁油の流出を停止する
負荷時タップ切換器を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案に係わる負荷時タ
ップ切換装置は、排油管の容器の頭部の高さに位置する
頂部と、コンサベータ配管の油流保護リレーを設けた部
分より容器側の部分または容器の頭部壁とを排油管の内
径より十分小さな内径の細管で連通したものである。

【０００７】

【作用】本考案による負荷時タップ切換装置では、排油
管の容器の頭部の高さに位置する部分とコンサベータ配
管の油流保護リレーを設けた部分より、容器に連通する
部分、または、容器の頭部壁とを連通させたことによ
り、負荷時タップ切換器の動作中に異常なアークが発生
して、容器内部の圧力が上昇して、絶縁油がコンサベー
タへ流れ込み、この時に油流保護リレーが動作し、異常
を検知するものであるが、従来のように油流リレーを側
路する細管がないため動作特性に影響をおよぼすような
ことはない。また、浄化された絶縁油の一部が一度も使
用されずに戻るようなこともない。

【０００８】

【実施例】実施例１． 以下、この考案の実施例を図に基づいて説明する。図１
は、この考案の一実施例の負荷時タップ切換装置の構成
を示す断面図である。図において、１は切換開閉器、２
は切換開閉器１の開閉接点部分、３は切換開閉器１、お
よび切換開閉器１の開閉接点部分を収容し、絶縁油４が
収容されている容器、５は活線浄油機、６は容器３の底
部と活線浄油機の吸入口とを連通する排油管で、容器３
の底部より、容器の頭部の高さに位置する頂部61を経由
して、活線浄油機５の吸入口に至る系路で配管されてい
る。７は活線浄油機５の吐出口と容器３の頭部とを連通
し、浄化された絶縁油４を容器３へ戻す給油管である。
８は容器３の上方に設けられたコンサベータ、９は容器
３の頭部とコンサベータ８を連通させるコンサベータ配
管であり、途中に、容器３内で異常なアークが発生し絶
縁油４が分解してガス化して圧力上昇し、コンサベータ
８側へ油流が発生したときにこれを検出して異常を検知
するための油流保護リレー10が設けられている。11は排
油管６の容器３の頭部の高さに位置する逆Ｕ字状の頂部
61と、コンサベータ配管９の油流保護リレー10より容器
３側との間を接続する部分とを連通させる細管である。
12は容器３が取付けられている変圧器タンク、13はコン
サベータ８のガススペース部分の呼吸するときに湿気を
除去するブリーザ、14はコンサベータ８とブリーザ13を
連通させるブリーザ配管である。

【０００９】活線浄油機５は通常１日１回運転し、容器
３内の絶縁油４を浄化するように管理されている。活線
浄油機５は、図示しないがポンプとフィルタで構成され
ており、運転指令を受けるとポンプが回転し、容器３内
の絶縁油４が排油管６により容器３の底部より吸引され
フィルタに送られ、浄化されて、給油管７より容器３の
頭部より容器３内へ戻る循環系路で浄化され、一定時間
運転後ポンプは停止して１回の浄化が完了する。容器３
内の絶縁油を浄化する活線浄油機５を含む配管系統にお
いて漏油が発生した場合に、油面が細管11が露出するま
で流出することとなるが、油面が細管11が露出するまで
低下すると、ブリーザ14から吸入される大気が細管11よ
り排油管６の頂部61に入り込み、排油管のサイフォン効
果がなくなって漏油が停止する。このように活線浄油機
５を含む配管系統に漏油が発生しても切換開閉器または
タップ選択開閉器が気中に露出することがなく、遮断失
敗や、タップ短絡等の事故を防止することができる。

【００１０】実施例２． 実施例１では、細管11を排油管６とコンサベータ配管９
との間に接続するようにしたが、排油管９と容器３の頭
部壁とを排油管６の内径より十分小さな細管11で連通さ
せても同様の効果を奏することはいうまでもない。

【００１１】

【考案の効果】この考案による負荷時タップ切換装置で
は、万一漏油が発生しても切換開閉器またはタップ選択
開閉器が露出するまで油面が低下することがなくなり、
遮断失敗やタップ間短絡等の事故を防止することができ
るものであり、また、排油管と給油管とを細管で連通し
た従来方法のように、浄油されたばかりの絶縁油が一度
も使用されないまま再度活線浄油機に流入するようなこ
ともない。さらに、油流保護リレーが細管で側路されて
いないので油流リレーの動作特性に影響を及ぼすような
こともない。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１はこの考案による一実施例の負荷時タップ
切換装置の構成を示す断面図である。

【符号の説明】

１ 切換開閉器 ２ 切換開閉器の接点部分 ３ 容器 ４ 絶縁油 ５ 活線浄油機 ６ 排油管 ７ 給油管 ８ コンサベータ ９ コンサベータ配管 10 油流保護リレー 11 細管

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 切換開閉器または、タップ選択器を収容
   し、絶縁油を充填した容器と、該容器の上方に配置した
   コンサベータと、前記容器と前記コンサベータとの間を
   途中に油流保護リレーを介して連通させたコンサベータ
   配管と、前記容器の下方に配置された活線浄油機と、該
   活線浄油機の吐出口と前記容器の頭部とを連通する給油
   管と、前記活線浄油機の給油口より、前記容器の頭部の
   高さを経由して容器の底部に至る経路で連通する排油管
   を備え、該排油管の前記容器の頭部の高さに位置する頂
   部と、前記コンサベータ配管の油流保護リレーを設けた
   部分より前記容器側の部分又は容器の頭部とを、前記排
   油管の内径より十分小さな内径の細管で連通したことを
   特徴とする負荷時タップ切換装置。