JP2512905Y2 - スパイラル型エレメントおよびそれを用いたスパイラル型モジュ―ル - Google Patents

スパイラル型エレメントおよびそれを用いたスパイラル型モジュ―ル

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JP2512905Y2 JP1989117362U JP11736289U JP2512905Y2 JP 2512905 Y2 JP2512905 Y2 JP 2512905Y2 JP 1989117362 U JP1989117362 U JP 1989117362U JP 11736289 U JP11736289 U JP 11736289U JP 2512905 Y2 JP2512905 Y2 JP 2512905Y2
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Description

【考案の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本考案は、原液中の有用物質や有害物質の分離回収や
精製、原液の清浄化等に有用なスパイラル型エレメント
およびそれを用いたスパイラル型モジュールに関する。
[従来の技術と考案が解決しようとする課題] 近年、気体や液体等の原液を分離精製する選択透過膜
が広く利用されている。この選択透過膜のモジュールと
して、平板型モジュール、チューブ型モジュールや、膜
面積が大きく、処理能力の高い中空糸型モジュールやス
パイラル型モジュールが知られている。
第8図は従来のスパイラル型モジュールを示す概略断
面図であり、該モジュールは、中空管(41)と、この中
空管(41)に穿設された多数の孔(42)と、中空管(4
1)の周囲に、メッシュ状のスペーサ(43)を介して、
スパイラル状に巻回された袋状分離膜(44)とを有して
いる。袋状分離膜(44)は、2枚の分離膜の巻回終端部
及び両側端部が閉塞され、かつ始端部で中空管(41)と
連通されて構成されており、該袋状分離膜(44)内には
トリコット等のスペーサ(45)が配されている。上記メ
ッシュ状のスペーサ(43)と、袋状分離膜(44)と、ト
リコット等のスペーサ(45)とで、スパイラル型エレメ
ント(46)を構成している。
メッシュ状のスペーサ(43)は、第9図(A)に示さ
れるように、縦糸(43a)及び横糸(43b)のうち一方の
糸が、一方の側に面した状態で他方の糸に固着された組
織や、第9図(B)示されるように、縦糸(43c)と横
糸(43d)とが編成された平編み組織を有している。上
記構成のスパイラル型エレメント(45)は、通常環状空
間(48)が形成された状態で、ハウジング(47)内に収
容保持されている。
なお、ハウジング(47)の一方の蓋体には、原液を供
給する供給管(49)が設けられ、他方の蓋体には流出管
(50)が設けられている。流出管(50)からは、供給管
(49)から供給される原液のうち袋状分離膜(44)間を
通過した濃縮液が流出し、中空管(41)の開口端部から
は、供給管(49)からの原液のうち袋状分離膜(44)を
透過した透過液が流出する。
そして、スパイラル型エレメント(46)のうち供給側
の端部には、断面V字状の環状封止部材(51)が配設さ
れ、前記環状空間(48)を封止している。
この構造のモジュールによると、上記環状封止部材
(51)により、供給管(49)から供給される原液が、環
状空間(48)に流入するのを阻止できる。
しかしながら、上記モジュールでは、袋状分離膜(4
4)間を通過した濃縮液が、上記環状空間(48)に滞留
する。環状空間に濃縮液が滞留すると、細菌が繁殖する
だけでなく、回収効率が低下する。
上記の点に鑑み、種々の構造のモジュールが提案され
ている。例えば、米国特許第4064052号には、環状空間
に少量の原液を流通させるため、上記と同様に配設され
た環状封止部材に小孔を穿設したモジュールが提案され
ている。しかしながら、このモジュールでは、小孔を通
じて原液が流通するので、処理効率が低下する。
また小孔が穿設されていない環状封止部材を、上記ス
パイラル型エレメントの両端部に配し、環状空間の両端
を環状封止部材で封止することも考えられる。しかしな
がら、環状封止部材が断面V字状であるため、装脱着時
に、環状封止部材のうち挿入方向の端部がハウジングに
引掛る。従って、スパイラル型エレメントの交換時に環
状封止部材を装脱着するのが困難である。
さらには、上記いずれのモジュールも、スパイラル型
エレメントとハウジングとの間に環状空間が存在する。
この環状空間は、原液処理空間として有効に利用できな
いので、ハウジング内の空間利用率が小さくなり、原液
処理効率が低下する。
従って、本考案の目的は、装脱着が容易であり、環状
空間を形成することなく、ハウジング内の空間を有効に
利用できるスパイラル型エレメントを提供することにあ
る。
また本考案の他の目的は、スパイラル型エレメントの
装脱着が容易であると共に、環状空間を形成することな
く、ハウジング内の空間を有効に利用でき、原液処理効
率の高いスパイラル型モジュールを提供することにあ
る。
[課題を解決するための手段および作用] 本考案は、スパイラル状に巻回された袋状分離膜と、
該袋状分離膜間に介在するスペーサとを有するエレメン
トであって、上記スペーサが、一方の袋状分離膜と接触
可能な接触部と、他方の袋状分離膜と接触可能な接触部
と、両接触部間に非直線部とを有し、厚み方向に弾性変
形するスパイラル型エレメントにより、上記課題を解決
するものである。
上記構成のスパイラル型エレメントは、袋状分離膜間
に介在する特定形状のスペーサの厚み方向の弾性変形を
利用して、環状空間を形成することなく、ハウジング内
に容易に装脱着できる。
また本考案は、孔が穿設された中空管と、該中空管
に、スパイラル状に巻回された上記スパイラル型エレメ
ントと、該スパイラル型エレメントを環状空間を形成す
ることなく収容するハウジングとを有するスパイラル型
モジュールにより、上記課題を解決するものである。
上記構成のスパイラル型モジュールは、分離膜間に介
在する特定形状のスペーサが厚み方向に弾性変形するの
で、スペーサの弾性変形を利用して、ハウジングに容易
に装脱着できる。またハウジング内に装着した状態で
は、厚み方向に弾性変形するスペーサにより、スパイラ
ル型エレメントがハウジング方向に押圧され、スパイラ
ル型エレメントの外周面とハウジングとが密着する。従
って、従来のように、環状封止部材によることなく、ス
パイラル型エレメント自体でハウジングとの間を封止で
きると共に、環状空間を形成することなく、ハウジング
内の全空間を原液処理空間として有効に利用できる。
[実施例] 以下に、添付図面に基づいて本考案をより詳細に説明
する。
第1図は本考案の一実施例を示す概略断面図であり、
第2図(A)はスパイラル型エレメントの展開状態を示
す断面斜視図、同図(B)はスペーサの断面図である。
この例では、スパイラル型モジュールとして、前記と
同様に巻回終端部及び両側端部が閉塞された袋状分離膜
(4)が用いられている。すなわち、このモジュール
は、周壁に多数の孔(2)が穿設された中空管(1)
と、この中空管(1)の周囲に、厚み方向に弾性変形す
るスペーサ(3)を介して、巻回始端部からスパイラル
状に巻回された袋状分離膜(4)とを有している。
上記袋状分離膜(4)間に原液を供給するため、上記
スペーサ(3)は、袋状分離膜(4)の間にあって原液
及び濃縮液の流路を確保する。袋状分離膜(4)の内部
には、トリコット等のスペーサ(5)が配され、分離膜
(4)を透過した透過液の流路を確保する。上記スペー
サ(3)と、袋状分離膜(4)と、トリコット等のスペ
ーサ(5)とで、スパイラル型エレメント(6)を構成
している。
そして、袋状分離膜(4)の間に介在するスペーサ
(3)は、厚み方向に弾性変形可能である。この例で
は、スペーサ(3)は、第2図に示されるように、フィ
ルム又はシートが、くびれ部を有する波形に成形されて
いると共に、横方向の変位を伴わなくとも厚み方向に変
位できる構造により、厚み方向に弾性変形する。
上記構造のスペーサ(3)を介して、スペーサ(5)
が内在する袋状分離膜(4)を中空管(1)に巻回し
て、スパイラル型エレメント(6)を構成すると共に、
該スパイラル型エレメント(6)をハウジング(7)内
に装着すると、厚み方向に弾性変形可能なスペーサ
(3)の弾性力により、スパイラル型エレメント(6)
は、ハウジング(7)と密着した状態で収容保持され、
従来のように環状空間が形成されない。従って、原液が
環状空間に滞留する虞がないばかりか、環状封止部材で
環状空間を封止する必要がなく、ハウジング(7)内の
空間を有効に利用でき、スパイラル型エレメント(6)
による原液の処理効率を高めることができる。なお、ス
パイラル型エレメント(6)のハウジング(7)内への
装着は、若干巻き締めたスパイラル型エレメント(6)
を、滑性を有するフィルム等で被包した状態で、ハウジ
ング(7)内に挿入し、滑性を有するフィルムを抜き出
すことにより、行なうことができる。
またスパイラル型エレメント(6)がスペーサ(3)
の弾性により保持されているので、ハウジング(7)か
らスパイラル型エレメント(6)を脱着するのも容易で
ある。
上記ハウジング(7)は、中空筒状のハウジング本体
(7a)と、該ハウジング本体(7a)の両側開口部を閉塞
する蓋体(7b)(7c)とで構成されている。
ハウジング(7)の一方の蓋体(7b)には、原液を供
給する供給管(8)が設けられ、他方の蓋体(7c)には
流出管(9)が設けられている。この流出管(9)から
は、供給管(8)から供給された原液のうち、袋状分離
膜(4)間を通過した濃縮液が流出する。また中空管
(1)の開口端部からは、供給管(8)から供給された
の原液のうち、袋状分離膜(4)を透過した透過液が中
空管(1)の孔(2)を通じて流出する。
なお、分離膜は、例えば、袋状分離膜内に中空管を収
容してくるみ、袋状分離膜内と中空管の中空部とを、孔
を介して連通させた状態で、袋状分離膜を中空管にスパ
イラル状に巻回してもよい。より具体的には、第3図
(A)に示されるように、袋状分離膜(14a)の内部に
トリコット等のスペーサ(15)を配し、かつ袋状分離膜
(14a)内に中空管(11)を収容して、厚み方向に弾性
変形可能なスペーサ(13)を介して袋状分離膜(14a)
の一辺を中空管(11)に巻回したり、第3図(B)に示
さるように、袋状分離膜(14b)内に中空管(11)を収
容して、厚み方向に弾性変形可能なスペーサ(13)を介
して、袋状分離膜(14b)の二辺を中空管(11)に巻回
することにより、袋状分離膜(14a)(14b)内と、中空
管(11)の中空部とを、孔(12)を介して連通させても
よい。
また厚み方向に弾性変形可能なスペーサは、通常の弾
性金属、弾性プラスチックや、形状記憶合金、形状記憶
性高分子などの形状記憶性材料で形成することができ
る。スペーサを形状記憶性材料で形成する場合、その変
態温度を原液処理時の温度に設定すると、原液処理時に
は、スペーサの厚みを拡大でき、形状記憶性材料の弾性
を利用して、スパイラル型エレメントをハウジングに緊
密に密着させた状態で保持できる。また一方、原液を処
理しないときには、スペーサを形状記憶性材料の変態温
度未満に冷却することにより、スペーサを厚み方向に縮
小させることができるので、スパイラル型エレメントを
ハウジングから容易に脱着できる。例えば、原液を低温
で処理する用途の場合には、高温側の変態温度で厚みが
減少した形態を記憶させ、低温側の変態温度で厚みが増
大した形態を記憶させることにより、低温使用時にエレ
メント外周とハウジング内周とを密着させた状態とする
こともできる。このように、形状記憶性材料は、複数の
変態温度、例えば、低温及び高温の双方で形状を記憶
し、可逆的に変形するものであってもよく、1つの変態
温度で変形するものであってもよい。
スパイラル型エレメントのうちコルゲート類似形状の
フィルム状スペーサは、一方の袋状分離膜と接触可能な
接触部と、他方の袋状分離膜と接触可能な接触部と、両
接触部間に非直線部とを有し、厚み方向に弾性変形する
ものであれば特に制限されず、例えば、第4図〜第6図
に示すスペーサが好ましい。第4図(A)(B)(C)
〜第6図は、それぞれ本考案のスパイラル型エレメント
の要部を示す概略断面図である。第4図(A)(B)
(C)に示す例では、スパイラル状に巻回された袋状分
離膜の間に介在するスペーサ(23a)(23b)(23c)
は、一方の袋状分離膜(24a)との接点と他方の袋状分
離膜(24b)との接点との間に、変曲点の数、または折
曲点か曲り角で分割された辺の数が少なくとも3つ存在
する。また第5図に示す例では、一方の袋状分離膜(24
a)と他方の袋状分離膜(24b)に対して垂直な線分が、
フィルム状スペーサ(23d)(23e)と少なくとも3点で
交わるような線分が存在する。なお、第5図(A)に示
すスペーサ(23d)も、前記第4図に示す例と同じく、
変曲点の数、または折曲点か曲り角で分割された辺の数
が少なくとも3つ存在する。さらに、第6図に示す例で
は、フィルム状スペーサ(23f)の接線と、分離膜(24
a)(24b)との角度が、分離膜(24a)(24b)に近付く
につれて、増大する。
スペーサの形態は、フィルム又はシート状に限らず、
一方の袋状分離膜と接触可能な接触部と、他方の袋状分
離膜と接触可能な接触部と、両接触部間に非直線部とを
有し、厚み方向に弾性変形可能なメッシュ状であっても
よく、このメッシュ状スペーサにあっては、パイル部を
有するのが好ましい。例えば、第7図(A)(B)に示
されるように、スペーサ(33)は、厚み方向の少なくと
も一方の側に形成されたループ部(33a)を有するメッ
シュ状編み組織、基部で交差したループ部(33b)を有
するパイル編み組織を有していてもよい。
なお、スペーサは少なくとも厚み方向に弾性変形する
限り、弾性変形に伴い、斜め方向に弾性変形してもよ
い。
さらには、スパイラル型エレメント(6)の外周面
は、ハウジング(7)との対応箇所に凹凸部等の係止部
を形成してもよい。
[考案の効果] 以上のように、本考案のスパイラル型エレメントによ
れば、袋状分離膜間に介在するスペーサが特定の形状を
有し、厚み方向に弾性変形するので、装脱着が容易であ
り、環状空間を形成することなく、ハウジング内の空間
を有効に利用できる。
また本考案のスパイラル型モジュールによれば、スパ
イラル型エレメントが、袋状分離膜間に介在し、かつ厚
み方向に弾性変形する特定形状のスペーサを有している
ので、スパイラル型エレメントを容易に装脱着できる。
また環状空間が形成されないので、ハウジングの空間を
有効に利用でき、原液を効率よく処理できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案の一実施例を示す概略断面図、第2図
(A)はスパイラル型エレメントの展開状態を示す断面
斜視図、同図(B)はスペーサの断面図、 第3図(A)(B)はそれぞれスパイラル型エレメント
の巻回状態を示す概略断面図、 第4図(A)(B)(C)〜第6図は、それぞれ、本考
案の他のスパイラル型エレメントの要部を示す概略断面
図、 第7図(A)(B)は、それぞれ、スペーサの他の例を
示す概略図、 第8図は従来のスパイラル型モジュールを示す概略断面
図、 第9図は従来のスペーサの組織を示す概略図である。 (1)(11)……中空管、(2)(12)……孔、(3)
(13)(23a)(23b)(23c)(23d)(23e)(23f)
(33)……スペーサ、(4)(14a)(14b)(24a)(2
4b)……分離膜、(6)……スパイラル型エレメント、
(7)……ハウジング

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】スパイラル状に巻回された袋状分離膜と、
    該袋状分離膜間に介在するスペーサとを有するエレメン
    トであって、上記スペーサが、一方の袋状分離膜と接触
    可能な接触部と、他方の袋状分離膜と接触可能な接触部
    と、両接触部間に非直線部とを有し、厚み方向に弾性変
    形することを特徴とするスパイラル型エレメント。
  2. 【請求項2】孔が穿設された中空管と、該中空管に、ス
    パイラル状に巻回された請求項1記載のスパイラル型エ
    レメントと、該スパイラル型エレメントを環状空間を形
    成することなく収容するハウジングとを有することを特
    徴とするスパイラル型モジュール。
JP1989117362U 1989-10-04 1989-10-04 スパイラル型エレメントおよびそれを用いたスパイラル型モジュ―ル Expired - Lifetime JP2512905Y2 (ja)

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