JP2511954Y2 - 保冷搬送容器 - Google Patents

保冷搬送容器

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JP2511954Y2
JP2511954Y2 JP2447991U JP2447991U JP2511954Y2 JP 2511954 Y2 JP2511954 Y2 JP 2511954Y2 JP 2447991 U JP2447991 U JP 2447991U JP 2447991 U JP2447991 U JP 2447991U JP 2511954 Y2 JP2511954 Y2 JP 2511954Y2
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武男 神野
隆 東野
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、薬剤などの物品を保冷
状態において搬送するための容器に関するものである。
【0002】各種の薬剤を搬送するときは、それらの薬
剤が変質するのを防ぐため、過度の高温や低温になるの
を防止する必要がある。例えばコラーゲンは、一般的に
0℃以下では変質して白化することがあり、また25℃
以上になると変質して薬効が低下する恐れがあると言わ
れている。
【0003】従って0〜25℃の範囲に保持する必要が
あるが、一般に航空機などで輸送するときは、貨物室内
の温度は5〜30℃になり、若干高めである。しかも
み降ろしに際しては日光などによりさらに高温に曝され
ることが少くなく、保冷しつつ過度の温度変化を阻止し
ながら搬送しなければならない。
【0004】また保冷すると言っても過度に冷却しては
ならないのであって、外部の平均的雰囲気温度より5℃
程度低い温度で、搬送に要する期間(通常5〜7日間程
度)に亙って、温度変化を来さないようにする必要があ
る。
【0005】
【従来の技術】このため従来コラーゲンなどを搬送する
ときは、発泡ポリスチレンなどの断熱材料の箱に、その
内部を一部仕切ってドライアイスを入れ、その他の部分
に薬剤の箱を詰めていた。
【0006】
【考案が解決しようとする問題点】しかしながらこの構
造では、ドライアイスから生じた冷気が箱の内部に均等
に行き渡らず、ドライアイスに近い部分は過度に冷却さ
れ、遠い部分は冷却が不十分で、温度が上り過ぎる。し
かもドライアイスの気化速度が早く、充分長期に亙って
効果を持続することができない。
【0007】そのため相当数のコラーゲンを搬送して
も、そのうちのいくつかは変質し、使用不能になること
が避けられない。高価なコラーゲンを無駄にするのは極
めて不経済であり、変質することなく安全に搬送するこ
とのできる容器が求められていたのである。
【0008】本考案はかかる事情に鑑みなされたもので
あって、コラーゲンなどの薬剤を安定して搬送すること
のできる、保冷搬送容器を提供することを目的とするも
のである。
【0009】
【問題点を解決する手段】而して本考案は、断熱材料よ
りなる箱内に複数の断熱容器を収容し、当該断熱容器の
一又は少数にドライアイス又は氷などの冷剤を入れ、他
の断熱容器に搬送物を収容すると共に、当該搬送物の周
囲に熱緩衝材を配置したことを特徴とするものである。
【0010】以下本考案を図面に従って具体的に説明す
る。図1は本考案の保冷搬送容器の一例を示すものであ
って、1は発泡ポリスチレンなどの断熱材料よりなる箱
であり、該箱1内に複数のまほうびんなどの断熱容器2
が収容されている。図1においては箱1内に十五個の断
熱容器2が収容されている。
【0011】断熱容器2を図2及び図3に基いて説明す
る。各断熱容器2はステンレス製のまほうびんであっ
て、その本体3と蓋4とよりなっている。
【0012】前記十五個の断熱容器2のうちの少数(図
1においては二個)の断熱容器2aには、図3に示すよ
うに冷剤としてのドライアイス5が入れられている。そ
してこの断熱容器2a においては、ドライアイス5が気
化して生じた冷気を放出するために、蓋4に小孔6を穿
設して通気性を持たせている。
【0013】また他の断熱容器2b には、図2に示すよ
うに搬送物としての薬剤7を収容し、当該断熱容器2b
内において薬剤7の周囲に熱緩衝材8を配置している。
熱緩衝材8は比熱の大きい液体又はゼリー状の粘稠体を
所定量袋に入れたものであって、熱を吸収または放出し
て温度変化を押える作用を有する。
【0014】なお断熱容器2a と断熱容器2b とは、そ
れぞれ別個の専用の容器であってもよいが、同一構造の
断熱容器2を十五個用意し、そのうちの二個にドライア
イス5を入れ、他の十三個に薬剤7及び熱緩衝材8を入
れてもよい。この場合各断熱容器2は、ドライアイス5
を入れる断熱容器2a として通気性を持たせておく必要
がある。
【0015】本考案においては、箱1に収容するドライ
アイス5を入れた断熱容器2a と薬剤7を入れた断熱容
器2b との数は、箱1の有する断熱性の程度や、搬送す
る過程で予測される温度変化の程度にもよるが、全断熱
容器2の数の10〜20%程度をドライアイス5を入れ
た断熱容器2a とし、その余の断熱容器2b に薬剤を入
れて搬送するのが適当である。
【0016】また搬送過程であまり高温に曝される恐れ
がなく、且つその期間が短いような場合には、断熱容器
2a に入れる冷剤としてドライアイスに代えて氷を使用
することもでき、この場合には断熱容器2a の蓋4に穿
設した小孔6は必ずしも必要でない。
【0017】
【作用】本考案においては、薬剤7を断熱容器2b 内に
収容することにより断熱容器2b 外の温度変化の影響を
遮断すると共に、熱緩衝材8により起り得る温度変化を
も緩衝する。さらに断熱容器2b 外においては、断熱容
器2a 内にドライアイス5を入れることにより、ドライ
アイス5を徐々に気化させて箱1内に充満させ、それを
箱1の断熱性で保持することにより、箱1内を外気温よ
り若干低い温度で長時間持続させる。
【0018】すなわち箱1とドライアイス5とにより箱
1内の雰囲気温度を下げ、さらにその雰囲気温度の変化
をも断熱容器2b と熱緩衝材8とにより緩衝して、薬剤
7の温度変化を阻止するのである。
【0019】さらに詳細に説明するならば、箱1が断熱
材料よりなり且つ該箱1内において薬剤7が断熱容器2
b 内に収容されているので、当該薬剤7の温度が急激に
変化することはないが、それでも一日か二日のうちには
徐々に温度が上り、外気温に近付く。
【0020】このとき本考案においては断熱容器2a に
入れられたドライアイス5が徐々に気化し、その冷気が
小孔6から箱1内に漏出して充満して、箱1内の雰囲気
を冷却する。そして箱1内の雰囲気は箱1の壁面を通じ
て外気から供給される熱と、断熱容器2a 内のドライア
イス5から供給される冷気とにより、外気温より幾分低
い温度で平衡に達する。
【0021】そして薬剤7を入れた断熱容器2b におい
ては、当該断熱容器2b の本体3及び蓋4を通じての熱
の出入は緩慢であり、且つ断熱容器2b 内においては熱
緩衝材8により温度変化が緩衝されるため、当該断熱容
器2b 内は極めてゆっくりと箱1内の雰囲気温度に等し
くなる。
【0022】また搬送過程において一時的に外気温が変
化したときは、箱1の断熱性により箱1内の温度は外気
に遅れて変化し、且つその温度変化に伴ってドライアイ
ス5の気化速度が変化するので、箱1内の温度変化は外
気より緩慢であり且つ変化量は小さい。さらにその箱1
内の温度変化は断熱容器2b内に伝わるが、断熱容器2
bの断熱性及び熱緩衝材8の緩衝作用により、薬剤7の
温度変化はさらに小さく且つ緩慢になる。また冷剤とし
てドライアイスを使用する場合には、気化ガスを排出す
るために断熱容器2aの小孔6が不可欠であるが、冷剤
が氷であるときには、当該氷が溶解して生じた水の漏出
を防ぐために小孔6は設けるべきでない。断熱容器2は
通常の容器に比べると熱の移動が極めて緩慢であるため
に、日常生活においては事実上熱移動のない断熱性を有
するものとして取扱われるが、極めて緩慢ではあっても
熱の出入がある。そのため本願発明のように断熱性を有
する箱1内に断熱容器2aが収容された状態において
は、断熱容器2aから緩慢に漏出した冷熱が箱1内に保
持され、箱1内を冷却して外気より十分に低温に保持す
ることができる。従って密閉した断熱容器2a内に氷な
どの冷剤を収容した状態においても、当該断熱容器2a
から冷熱を徐々に漏出させて箱1内を低温に保持し、さ
らに断熱容器2bの断熱性及び、熱緩衝剤8の緩衝作用
により、薬剤7を低温に保持し且つ温度変化を抑制しつ
つ運搬することができる。
【0023】
【考案の効果】従って本考案によれば、コラーゲンなど
の薬剤を搬送する場合に、長時間に及ぶ搬送過程におい
て温度を一定に保ち、高温や低温による変質を防ぐこと
ができ、高価な薬剤を安全に搬送することができるので
ある。
【0024】
【実施例】次に本考案の実施例について説明する。発泡
ポリスチレンで内法がたて60cm、よこ102cm、高さ
50cm、肉厚6cmの箱1を製作し、当該箱1内に断熱容
器2としての容量4.7l のステンレスまほうびん十五
個を収容した。なお各ステンレスまほうびんの蓋には小
孔6を穿設し、通気性を持たせた。
【0025】そしてそのステンレスまほうびんのうち二
個には、それぞれ4.1kgのドライアイスを入れ、他の
十三個には、それぞれコラーゲン剤の小箱八箱を収容
し、当該小箱とステンレスまほうびんの内面との間に
は、20℃に温度調節した熱緩衝材8をそれぞれ1.5
kg詰めた。
【0026】この状態で30℃の雰囲気中に放置して、
箱1内及び各断熱容器2内の温度を測定した。
【0027】その結果、箱1内及び各断熱容器2b 内の
温度は、20℃から徐々に低下し、約5日後に最も低く
なり、その温度は約15〜16℃であった。ドライアイ
ス5を入れた断熱容器2a に近い位置も遠い位置におい
ても、温度のばらつきはほとんどなく、また断熱容器2
b の内外の温度差も小さかった。
【0028】途中で雰囲気温度を3時間に亙って40℃
に上昇させたところ、その間箱1内の温度は約20℃に
上昇したものの、断熱容器2b 内の温度の変化は測定で
きなかった。また雰囲気温度を30℃に低下させると、
箱1内の温度も数時間で元の温度に戻った。
【0029】試験開始後5日を経過すると、ドライアイ
スの気化が遅くなって温度は徐々に上昇したが、7日間
は25℃未満に保持されており、コラーゲン剤が変質す
ることはなかった。
【0030】従来使用されていた、内法がたて32cm、
よこ44cm、高さ31cm、厚さ6cmの発泡ポリスチレン
の箱に、その一部を仕切って7kgのドライアイスを入
れ、その余の部分にコラーゲン剤の小箱を詰めて30℃
の雰囲気中に置いたところ、ドライアイスに近い位置の
コラーゲン剤は半日後に−7℃にまで過冷却された。ド
ライアイスから遠い位置のコラーゲン剤は約7℃で保持
されていたが、4日後にはドライアイスが消失し、その
半日後にはコラーゲン剤も25℃を超えた。その後コラ
ーゲン剤を取出したところ、大半のものが変質を来して
いた。
【0031】また前記実施例のものを5℃の雰囲気中に
放置したところ、断熱容器2b 内の温度は約0〜2℃で
安定しており、10日放置した間にも、0℃未満になる
ことはなかった。
【0032】従って本考案によれば、5〜30℃の雰囲
気中において、7日以上の期間に亙って薬剤を0〜25
℃に保持することができ、またその間に一時的に高温又
は低温に曝されてもその影響を受けることがなく、薬剤
を変質することのない安全な温度条件に保持して搬送す
ることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本考案の保冷搬送容器の斜視図
【図2】 本考案における搬送物を入れた断熱容器の中
央縦断面図
【図3】 本考案における冷剤を入れた断熱容器の中央
縦断面図 1……箱 2……断熱容器 5……ドライアイス 6……小孔 7……搬送物(薬剤) 8……熱緩衝材

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 断熱材料よりなる箱(1)内に複数の断
    熱容器(2)を収容し、当該断熱容器の一又は少数(2
    a )にドライアイス又は氷などの冷剤(5)を入れ、他
    の断熱容器(2b )に搬送物(7)を収容すると共に、
    当該搬送物(7)の周囲に熱緩衝材(8)を配置したこ
    とを特徴とする、保冷搬送容器
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