JP2511553B2 - 全稈投入型コンバインの穀稈搬送部構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、刈取装置により刈取られた穀桿をオーガに
よって横方向に沿って寄せ集め、掻込み部において前記
オーガに連なって設けられる回転ドラムから径方向外方
に突出する掻込爪により穀桿をフィードコンベアへ送り
込むよう構成してある全桿投入型コンバインの穀桿搬送
部構造に関する。

〔従来の技術〕

上記穀桿搬送部構造において、従来では、例えば、実
開昭61−125230号公報に示されているように、前記掻込
爪は回転ドラムの回転軸芯から偏芯した軸芯の周りで回
転自在に設けて、回転ドラムから出退自在に貫通突出す
る棒材で構成して、回転ドラムの前方側位置で大きく突
出して充分な掻込み作用を為し、かつ、後方側では突出
量を少なくさせて、フィードコンベアとの干渉を防止す
るよう構成してあった。

〔発明が解決しようとする課題〕

ところが、上記従来構造においては、前記掻込爪は棒
材であって、かつ、横方向軸芯周りで回転するものであ
るから、刈取穀桿がその掻込み作用部において、例えば
機体前後方向に沿って真直ぐな姿勢で搬入された場合に
は、前記掻込爪による掻込み作用が充分為されず、穀桿
が滞留してしまい、穀桿が塊状に堆積したとき一気にフ
ィードコンベアに向けて送り込まれることがあり、穀粒
性能が低下するおそれがあった。

特に、刈幅が比較的短く、掻込爪による掻込み作用部
がオーガの横一側単部に配設される形態のものにおいて
は、上記した弊害が特に顕著となるものであった。

そこで、この点を解決し得るものとして従来、実開昭
62−128728号公報に開示されたもののように、掻き込み
作用部にも穀桿を横向きに強制的に姿勢変更できるよう
スクリュー体を設けた構造のものが提案されている。

しかしながら、この従来構造のものにあっては、通常
のスクリューのようにねじり状態で板体をドラムに巻き
付けた姿勢で取りつけており、そのため、板体をねじり
形状に変形させてから組付ける等、製作上手間がかかる
という不具合点を有している。

本発明は、上記不具合点を解消することを目的として
いる。

〔課題を解決するための手段〕

本発明にかかる全桿投入型コンバインの穀桿搬送部構
造は、刈取装置により刈取られた穀桿をオーガによって
横方向に沿って寄せ集め、掻込み部において前記オーガ
による穀桿送り方向の下手側に連なって設けられる回転
ドラムから径方向外方に突出する掻込爪により穀桿をフ
ィードコンベアへ送り込むよう構成してある全桿投入型
コンバインの穀桿搬送部構造であって、前記回転ドラム
の前記掻込爪の設置域における外周部に前記掻込爪より
も背低で周縁が部分円弧状の平板によって構成された案
内部材を、回転ドラムの回転方向に対して、前記オーガ
に設けた穀桿横送り用のスクリューの螺旋の傾斜とは逆
向きの傾斜方向に沿う姿勢で立設してあることを特徴構
成とする。

〔作 用〕

オーガによって横送りされた刈取穀桿が掻込み部にお
いて掻込爪の回転方向と同方向に沿う姿勢となっても、
前記案内部材により回転ドラムの回転軸芯に対して斜め
方向に沿って案内されて姿勢変更して掻込爪の回転方向
と交差する方向になるので、掻込爪により掻込み作用を
有効に受けることになる。しかも、案内部材は掻込爪よ
りも背が低く構成されているから、フィードコンベアと
掻込爪の外端軌跡とを可及的に近接させることができ
る。その上、案内部材は、周縁が部分円弧状である平板
を、回転ドラムの回転方向に対して、オーガに設けた穀
桿横送り用のスクリューの螺旋の傾斜とは逆向きの傾斜
方向に沿う姿勢で回転ドラム外周面に立設してあるか
ら、スクリューを構成するように捩じらなくても良いの
で、案内部材そのものの構成、ならびに、ドラムへの取
付作業が簡易なものとなる。又、案内部材は、上記立設
姿勢により、オーガによる穀桿送り方向での上手側箇所
では回転ドラムの法線方向に対して径方向外側ほど回転
方向上手側に向けて倒れ姿勢となり、穀桿に対する作用
開始側端部において緩やかな案内作用を果たし、オーガ
による穀桿送り方向での下手側箇所となる作用終了側端
部に位置するほど、径方向外側が回転方向下手側に向け
て倒れる姿勢となって案内作用が大となるようにして、
穀桿姿勢をより確実に横向きにして掻込爪と穀桿とが交
差するようにでき、その交差により掻込爪で穀桿が確実
性高くフィードコンベアへ送り込まれることになる。

〔発明の効果〕

従って、本発明によれば、合理的構造改良によって、
穀桿の円滑な横向きへの姿勢変更を行えて、掻込爪によ
るフィードコンベアの送り込み作用を阻害することな
く、穀桿の掻込み部における滞留を阻止することができ
る。そして、このことにより、穀桿が塊り状になって脱
穀部に送り込まれるといった不都合を回避できて、脱粒
性能の安定化が図れる。また、案内部材を平板とするこ
とによって、その製作加工ならびに組付け加工作業が簡
易なものとなった。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。

第９図に示すように、駆動自在な回転リール（１）等
が備えられた刈取前処理部（２）を、刈取穀桿の全体を
扱室（３）に供給して回動する扱胴（４）によって脱穀
する脱穀部、脱穀処理物を駆動揺動選別装置（５）や、
唐箕（６）が供給する選別風等によって選別する選別
部、脱穀粒タンク（７）等が備えられたクローラ式走行
機体の前部に油圧シリンダ（８）によって上下に揺動操
作できるように連設して、全桿投入型コンバインを構成
してある。

前記刈取前処理部（２）は、穀桿が機体の進行と回転
リール（１）の掻込み作用とに刈取装置（９）に供給さ
れ、この刈取装置（９）により刈取られた穀桿がオーガ
（11）とフィードコンベア（12）により扱室（３）に搬
送供給されるよう構成してある。

詳述すると、第１図及び第２図に示すように、前記オ
ーガ（11）は、回転ドラム（13）の外周部に横送りスク
リュー（14）を付設してその駆動回動に伴って刈取られ
た穀桿を左側横一側の掻込み部（15）まで横送り搬送す
るよう構成してあり、前記掻込み部（15）においては、
オーガ（11）に連なって設けられる回転ドラム（13）か
ら径方向外方に突出する複数の掻込爪（16）により穀桿
をフィードコンベア（12）へ送り込むよう構成してあ
る。前記掻込爪（16）は、回転ドラム（13）の回転軸芯
から前方下方側に少し偏芯した軸芯の周りで回転するよ
う構成するとともに、回転ドラム（13）を出退自在に貫
通して外方突出するよう構成し、回転ドラム（13）の前
方側で大きく突出して刈取穀桿を有効に掻込み作用を為
し、かつ、後方側においては回転ドラム（13）内方に退
入して、フィードコンベア（12）との干渉を防止しなが
らフィードコンベア（12）始端部を可及的に近接させて
掻込み搬送を円滑に行えるよう構成してある。

そして、前記回転ドラム（13）の掻込爪設置域におけ
る外周部に前記掻込爪（16）よりも背低の案内部材（1
7）を回転方向に対して斜め方向に沿う姿勢で立設して
ある。詳述すると、前記案内部材（17）は、第３図及び
第４図に示すように、周縁が回転ドラム（13）の外周部
に沿う部分円弧を成す湾曲形状に成形された平板で構成
され、この平板を、前記横送りスクリュー（14）の巻き
付け向きの傾斜とは逆の向きとなる傾斜方向に沿う状態
で、かつ、偏平な姿勢のままで回転ドラム（13）の外周
部に付設してある。つまり、横送りスクリュー（14）の
ように捻り変形させることなく、平板状のままで立設固
定してある。又、この案内部材（17）は、第８図に示す
ように、回転ドラム（13）の周方向に一定ピッチをあけ
て軸芯方向に並列配備した掻込爪（16）の各列の回転方
向上手側に複数配設してある。このようにして、刈取ら
れた穀桿が機体前後方向に沿う真直ぐな姿勢となった場
合であっても、前記案内部材（17）により穀桿を横方向
に向きを変更するよう案内し、前記掻込爪（16）による
有効な掻込み作用を為すよう構成してある。

前記案内部材（17）は、上記したように、平板状に設
けられる結果、第５図ないし第７図に示すように、オー
ガ（11）による穀桿送り方向での上手側箇所では回転ド
ラム（13）の法線方向に対して径方向外側ほど回転方向
上手側に向けて倒れ姿勢となり（第５図参照）、穀桿に
対する作用開始側端部において緩やかな案内作用を果た
し、順次、前記オーガ（11）による穀桿送り方向での下
手側箇所となる作用終了側端部に位置するほど、径方向
外側が回転方向下手側に向けて倒れる姿勢となって（第
７図参照）案内作用が大となるようにして、円滑な横向
き姿勢への姿勢変更作用を行えりよう構成してある。し
かも、前記案内部材（17）は掻込爪（16）よりも背低に
設けられるので、フィードコンベア（12）の掻込み始端
部を掻込爪（16）の外端軌跡に可及的に近接させること
ができて、フィードコンベア（12）への受け渡しをスム
ーズに行うことができる。

尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にする
為に符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構
造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る全稈投入型コンバインの穀稈搬送部
構造の実施例を示し、第１図は要部の平面図、第２図は
要部の側面図、第３図は案内部材の正面図、第４図は案
内部材の斜視図、第５図ないし第７図は案内部材の縦断
側面図、第８図は案内部材の配設状態を示す展開図、第
９図はコンバインの全体側面図である。 （９）……刈取装置、（11）……オーガ、（12）……フ
ィードコンベア、（13）……回転ドラム、（15）……掻
込み部、（16）……掻込爪、（17）……案内部材。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】刈取装置（９）により刈取られた穀桿をオ
   ーガ（11）によって横方向に沿って寄せ集め、掻込み部
   （15）において前記オーガ（11）による穀桿送り方向の
   下手側に連なって設けられる回転ドラム（13）から径方
   向外方に突出する掻込爪（16）により穀桿をフィードコ
   ンベア（12）へ送り込むよう構成してある全桿投入型コ
   ンバインの穀桿搬送部構造であって、前記回転ドラム
   （13）の前記掻込爪（16）の設置域における外周部に、
   前記掻込爪（16）よりも背低で周縁が部分円弧状の平板
   によって構成された案内部材（17）を、回転ドラム（1
   3）の回転方向に対して、前記オーガ（11）に設けた穀
   桿横送り用のスクリュー（14）の螺旋の傾斜とは逆向き
   の傾斜方向に沿う姿勢で立設してある全桿投入型コンバ
   インの穀桿搬送部構造。