JP2511410C - - Google Patents

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JP2511410C
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旭化成工業株式会社
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、全血液あるいは血漿、血清、腹水、胸水等の体液中より疾患に関連
した悪性物質を選択的に吸着、除去する体液浄化用吸着材に関する。特に全血液
等の血液細胞の共存する体液の浄化用吸着材に関する。 更に詳しくは、腎不全患者や悪性腫瘍患者の体液中に増加し、手根管症候群、
アミロイドーシス、弾発指・肩・膝関節症、皮膚掻痒症、骨障害等の原因となる
β2ミクログロブリンの吸着材に関する。 (従来の技術) 腎不全患者に血液透析が施行され、約20年の年月が経過し、手根管症候群等
の異常が顕在化してきた。近年この原因物質が透析では比較的除去し難いβ2
クログロブリンであり、その体内蓄積により各種の症状が発現することが明らか
になった。 従来このような中分子量物質の除去の目的で、血液濾過、透析濾過が用いられ
ているが、除去率が低く、有効に除去すると大量の補液を必要とする問題点を有
した。また除去率を上げるためには膜のポアーを大きくすれば良いが、ポアーが
少し大きくなると有用タンパクであるアルブミンの漏出が生じ、ポアーサイズの
制御では中分子量物質の有効な選択的除去をなし得ないのが現状である。 (本発明が解決しようとする問題点)】 本発明の目的は、上記の如き治療用高分子膜技術に基づく問題点に鑑み、一般
的に普及可能であり、中分子量物質、特にβ2ミクログロブリンを高い効率で選
択的に吸着し、非特異的吸着、特にアルブミンの吸着が少なく、更に補液を必要
とせず、微粒子発生等の安全性の問題もなく滅菌操作も簡単に行うことができ、
全血あるいは血漿等の体液浄化あるいは再生用に適した吸着材を提供しようとす
るものであり、特に全血液等の血液細胞の共存する体液の浄化用吸着材を提供し
ようとするものである。 (問題点を解決するための手段) 本発明者らは、上記目的に添って鋭意研究した結果、特定の水不溶性材料と血
液適合性重合体との少なくとも二層構造からなる吸着材が血小板等の血栓性物質
の粘着、活性化を抑制し、かつβ2ミクログロブリンを選択的に、しかも驚くほ
ど高い効率で吸着することを見出し、更に水不溶性材料は、接触角が少なくとも
20度以上のものが、β2ミクログロブリンを選択的に、しかも高い効率で吸着
することがわかり、本発明を完成するに至った。 即ち、本発明は、平均孔径が45Åから1000Å、且つ接触角が少なくとも
20度以上である有機高分子系材料からなる水不溶性材料に血液適合性重合体を
被覆処理して少なくとも二層以上の層構造としたことを特徴とする、水不溶性材
料の層にβ2ミクログロブリンが到達可能な層構造を有する体液浄化用β2ミクロ
グロブリンの吸着材であり、血液適合性重合体が含窒素塩基性官能基を有する重
合体である体液浄化用β2ミクログロブリンの吸着材である。 本発明でいうβ2ミクログロブリンとは、通常臨床検査において酵素免疫法等
で測定されるβ2ミクログロブリンであるが、より詳しくは以下の物性値を有す
る。 沈降定数 1.6S 部分比容積 0.72〜0.73ml/g 分子量 11000〜12000 窒素含量 16〜17% 本発明の対象とするβ2ミクログロブリンそのもの、及び他のタンパクとの複 合体を含み、β2ミクログロブリンのアミノ酸配列の一部変異したものも含むも
のである。 本発明でいう接触角とは、水中における固体表面上の空気泡の接触角であり、
W.C.Hamilton.J.Colloid Interface Sci
.,40,219−222(1972)[ダブル・シー・ハミルトン・ジャーナ
ル・オブ・コロイド・インターフェイス・サイエンス、40,219−222(
1972)]、J.D.Andrade,J.Polym.Sci.Polym
.Symp.,66,313−336(1979)[ジエー・デー・アンドレー
ド・ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス・ポリマー・シンポジウム、66
,313−336(1979)]で示された原理及び方法にしたがい、測定した
接触角をいう。従来よく知られている空気中における固体表面上の液滴の接触角
測定法は、親水性材料は、時間の経過とともに接触角の値が変化し、材料の物性
値としては採用しにくい。また、試料は、シート及びフィルム状等の成形物を作
製し、接触角の測定温度は25℃とし、10回以上測定し、その平均値を材料の
接触角の値とした。 本発明の吸着材において水不溶性材料の接触角は、β2ミクログロブリンとの
吸着親和性より20度以上である必要があり、かつ微粒子の発生を防止し全血浄
化用吸着材とするため、接触角が少なくとも20度以上である水不溶性材料に血
液適合性重合体を被覆処理することにより、接触角が少なくとも20度以上であ
る水不溶性材料と血液適合性重合体との少なくとも二層構造からなる体液浄化用
β2ミクログロブリンの吸着材にする必要がある。 本発明の水不溶性材料の接触角は、水不溶性材料とβ2ミクログロブリンの疎
水性部分との間に働く疎水性相互作用力等の吸着親和性より20度以上である必
要があり、より好ましい接触角の範囲は30度〜95度であり、更に好ましくは
、40度〜85度である。20度以下では、疎水性の程度は低くなり、β2ミク
ログロブリンとの間に働く疎水性相互作用力等の吸着親和性は弱くなり、β2
クログロブリンの吸着効率は低くなる。また、95度以上になると血液適合性材
料との相溶性が低下したり、使用時での水漏れが低下する。 本発明でいう接触角が20度以上の水不溶性材料としては、水系液体中で固体 状であり、前記で示した方法で測定した接触角が20度以上であれば、無機系材
料、有機高分子系材料を問わず一応使用出来るが、血液浄化材料としての溶出物
等の安全性や成形加工性面より、有機高分子化合物が好ましいので、本発明では
有機高分子材料からなる水不溶性材料に限定する。このような例としては、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン等のオレフィン系化合
物の重合体並びに共重合体、ポリスチレン、ポリメタクリレートエステル、ポリ
アクリレートエステル等のビニル系化合物の重合体並びに共重合体、ナイロン6
,66等のポリアミド系重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル
系重合体等を例示することができる。 この中で、ビニル系化合物の重合体及び共重合体がより好ましい。このような
例としては、スチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン
系化合物の重合体、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート
、プロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系化合物の重
合体及び上記化合物とジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸ジエステル、メタ
クリロニトリル、ビニルピロリドン、メタアクリル酸エステル等のビニル系化合
物との共重合体を例示することができる。 この中で、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロ
ピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系化合物の重合体及
び上記ビニル化合物との共重合体がより好ましく用いられる。 更に、(メタ)アクリル酸エステル系化合物の重合体及び上記ビニル化合物と
の共重合体で有り、(メタ)アクリル酸エステルを70重量%以上含有するもの
、特にメチルメタアクリレートを70重量%以上含有するものが、本発明の水不
溶性材料としては、より好ましい結果を与える。 またこれらの有機高分子材料に、1級、2級、3級、4級の窒素原子を導入し
たアニオン交換体は、β2ミクログロブリンとの親和性が増加し、好ましく用い
られる。 水不溶性材料の形状としては、球状、粒状、膜状、中空糸状、糸状等いずれも
用いられるが、球状、粒状等の粒子状は、膜状、中空状、糸状の形態よりは、同
一容積カラムに水不溶性材料を充填した場合、血液と接触する面積が大きくな り、β2ミクログロブリン除去する効率が上がる等の理由により、好ましく用い
られる。 更に、水不溶性材料が粒子状にあっては、その粒子経が25〜2500μであ
るものが、本発明の水不溶性材料として、より好ましい結果を与える。粒子径が
25μより小さいと、粒子と粒子との間隔が小となり、全血浄化に用いる場合に
は、血小板等が付着し、詰まりやすくなり、2500μより大きいと、血小板等
は付着しにくいが、血液と接触する面積は小となり、β2ミクログロブリン除去
する効率が下がるため、好ましくない。 更に、粒子径が50〜2000μであるものが、本発明の水不溶性材料として
、より好ましい結果を与え、粒子径が250〜1500μは特に好ましい結果を
与える。 水不溶性材料の表面及び内部構造は特に限定されないが、β2ミクログロブリ
ンに接触する実質的な表面積を大きくできるという理由により多孔質構造が好ま
しい。多孔質構造を有する水不溶性材料の表面積とは、窒素ガスを用いたBET
(例えば接触工学講座−4、接触基礎測定法、触媒学会編、地人書館、50頁か
ら58頁)により測定される値をいうが、10m2/g以上が好ましく、かつ細
孔の平均孔径が20Åから2000Åの範囲にあることが好ましい。細孔の平均
孔径とは、水銀圧入法(同69頁から73頁)により得られる水銀圧入曲線から
計算によって求められる。表面積は大きいほどβ2ミクログロブリンの吸着効率
が良くなるのであるが、孔径を保ち、かつ構造的に多孔質構造を保てる機械的強
度を持つ範囲でなければならない。 また、10m2/g以下では吸着材として能力が足りない。また平均孔径が2
0Åより小さくなると、β2ミクログロブリンの吸着が極端に悪くなる。即ち、
孔径が小さくなると、多孔性物質の表面積自体は大きくなる傾向にあるが、β2
ミクログロブリンが多孔性材料の細孔内部まで入れなくなるため、β2ミクログ
ロブリンに対する実質的な表面積が極端に小さくなってしまい、β2ミクログロ
ブリンの吸着が悪くなる。逆に孔径が2000Åより大きくなると、β2ミクロ
グロブリンは細孔内部まで入れるが、多孔性材料の表面積が小さくなるため、や
はりβ2ミクログロブリンの吸着効率が悪くなる。 これに対して平均孔径が20Åから2000Åの範囲では、β2ミクログロブ
リンが細孔内部まで自由に入ることができ、β2ミクログロブリンが吸着可能な
実質表面積も充分大きいため、β2ミクログロブリンの特異的、効率的吸着が可
能となる。 ここで、表面積と平均孔径の範囲は、表面積が10m2/g以上であり、かつ
平均孔径が20Åから2000Åであるが、より好ましくは表面積が55m2
g以上であり、かつ平均孔径が45Åから1000Åの範囲である。更に望まし
くは、表面積が100m2/g以上であり、かつ平均孔径が100Åから500
Åの範囲である。 従って、本発明では使用する水不溶性材料の平均孔径を45Åから1000Å
の範囲に限定する。 本発明で言う血液適合性重合体とは、一般に公知の血液適合性材料すべてが含
まれるが、微粒子の発生の防止、即ち水不溶性材料への被覆のし易さと安全性、
滅菌性より(メタ)アクリル酸エステル系重合体、アクリルアミド系重合体、ポ
リビニルピロリドン系重合体、ポリビニルアルコール系重合体、エチレン−ビニ
ルアルコール系重合体、エチレン−酢酸ビニル系重合体、硝酸セルロース、及び
ゼラチン等を例示することができる。 微粒子の発生を防止し、血液適合性を一段と向上させ、更にβ2ミクログロブ
リンとの親和性を向上させる目的で、血液適合性重合体として特に含窒素塩基性
官能基を有する重合体が好ましく用いられる。 本発明で言う「含窒素塩基性官能基」とは、酸性水溶液中で窒素原子上に陽電
荷を有し、陽イオンとなり得る官能基である。このような官能基としては、第1
級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、第4級アンモニウム基及びピリ
ジル基、イミダゾリニル基等の含窒素芳香環基等が挙げられる。従って、本発明
で用いられる含窒素塩基性官能基を有する重合体としては、例えば、ビニルアミ
ン;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジ
ン、4−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−エチルイミダゾール、N−ビニ
ル−2−メチルイミダゾール等の含窒素芳香族化合物のビニル誘導体;ジメチル
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリ レート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノ−
2−ヒドロキシプロイル(メタ)アクリレート等のアクリル酸及びメタアクリル
酸誘導体;N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリル酸アミド、N−ジエチル
アミノエチル(メタ)アクリル酸アミド等のアクリル酸アミド及びメタアクリル
酸アミド誘導体;p−ジメチルアミノメチルスチレン、p−ジエチルアミノエチ
ルスチレン等のスチレン誘導体;及び上記ビニル化合物をハロゲン化アルキル等
によって4級アンモニウム塩とした誘導体等を含有する重合体が挙げられる。 この中で特に好ましいのは、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジ
エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、p−ジメチルアミノメチルスチレン
、p−ジエチルアミノエチルスチレン等を含有する重合体が挙げられる。 更に、本発明で言う含窒素塩基性官能基を有する重合体は、ビニル化合物と含
窒素塩基性官能基を有する単量体との共重合体が好ましく、その窒素含量は、0
.05〜3.5重量%であることが好ましい。更に、窒素含量が0.1〜2.5
重量%であると、より好ましい結果を与える。ここで言う窒素含量とは、上記官
能基中の窒素原子の全重合体中における重量%である。 ここで言うビニル化合物としては、5−ヒドロキシエチルメタアクリレート、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ
)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド
、N−メチル(メタ)アクリルアミド等のアミド類、N−ビニルピロリドン、酢
酸ビニル、スチレン等が挙げられる。 更に、ビニル化合物と含窒素塩基性官能基を有する単量体との共重合体として
は、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体等があるが、グラ
フト共重合体、ブロック共重合体は、100A〜100μ平均長のミクロドメイ
ン構造を有するものがその血液適合性より好ましい。 更に、上記のビニル化合物と含窒素塩基性官能基を有する単量体との共重合体
は、ランダム共重合体であるのが共重合体製造の難易、二層構造の安定性、血液
適合性の点より最も好ましい。 本発明で言う二層構造とは、本発明の水不溶性材料に、一般に公知の方法で血
液適合性重合体を被覆処理し、一層目が水不溶性材料で二層目が血液適合性重合 体である構造を言う。二層目以上は、更に同種又は異種の血液適合性重合体を被
覆処理することにより、多層構造とすることができる。この様な構造とすること
により、水不溶性材料の微粒子の発生を防止でき、溶出物等の安全性の問題がな
くなる。血液適合性重合体を選択することにより、微粒子の発生を防止し、血液
適合性を向上させ、更にβ2ミクログロビリンとの親和性を向上させることがで
きる。更には、多層構造とすることにより、より微粒子の発生を防止し、より血
液適合性を向上させ、更にアルブミン等の有用蛋白を吸着することなくβ2ミク
ログロビリンとの親和性をより向上させることが出来るが、β2ミクログロビリ
ンの到達可能な層構造にしなければならない。 以下、(1)水不溶性材料の製造方法、(2)血液適合性重合体の製造方法、
(3)上記の水不溶性材料と血液適合性重合体との少なくとも二層構造からなる
吸着材の製造方法、条件等について例示するが、本発明は、この例示に限定され
ないのはもちろんである。 (1)水不溶性材料の製造方法 本発明の水不溶性材料の製造方法は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重
合等の一般的に公知の方法であり、市販の単量体を購入し、添加剤、重合開始剤
及び単量体を溶解あるいは懸濁、乳化する溶媒と共に、それぞれの重合体の製造
方法で行われる。例えば、スチレン〜ジビニルベンゼン共重合体では、スチレン
、エチルベンゼン、ジビニルベンゼン及びトルエン、オクタノール及びAIBN
(アゾビスイソブチロニトリル)共存化のもとで攪拌することにより、球径50
〜1000μ程度の多孔質粒子を作ることが出来る。また、懸濁重合系でのラジ
カル重合によっても、各種粒子径、孔径の粒子を作ることができる。 (2)血液適合性重合体の製造方法 本発明の重合体を製造するのに特に制限はなく、単量体によるラジカル重合、
アニオン重合などを初めとする付加重合、開環重合、脱ハロゲン化水素による重
合、縮合反応などを用いることができる。更には、ポリマー反応による方法も採
用できる。例えば、所定の原料ポリマーに既知の方法でアミノ化したり、あるい
は必要によりヒドロキシル基を導入したりすることができる。グラフトポリマー
を製造する場合には、マクロマーと他のモノマーの共重合によって得ることもで きるし、高分子原料にグラフト反応を行うことも可能である。 (3)上記の水不溶性材料と血液適合性重合体との少なくとも二層構造からなる
吸着材の製造方法及び条件 スプレー法、浸漬法等公知の被覆方法すべてが用いられる。ここでは、浸漬法
の詳細を説明する。 予め血液適合性重合体を重合体の溶媒に溶解した溶液を作製する。重合体の溶
媒は、重合体を均一に溶解せしめ、水不溶性材料面への重合体の含浸又は塗布を
容易にする溶媒であり、本発明においては、基本的には、上記重合体を溶解しう
る溶媒であれば、全て利用可能である。適当な溶媒は除去のしやすさ、微量に残
留した場合の安全性等を考慮して選択しなければならない。本発明では、このよ
うな溶媒として、メタノール、エタノール等の低級アルコール、アセトン及びジ
メチルホルムアミドならびにこれらと水との混合物が好ましい。 この溶液に各種球径の水不溶性材料を窒素雰囲気下で室温の下、約5分間浸漬
した後(時々攪拌する)グラスフィルター上で過剰の溶液を吸引除去してから、
送入窒素ガス量と吸引窒素ガス量のバランスをとりながら20分間グラスフィル
ター上で窒素乾燥する。次いで、真空乾燥機の中で、室温、755mmHg以上
の条件で24時間乾燥する。 二層以上の吸着材を作製する場合は、上記の操作で作製された水不溶性材料と
血液適合性重合体との二層構造からなる吸着剤を水不溶性材料として、上記で示
された操作を繰り返すことによって達成される。ここで使用される血液適合性重
合体は、二層目で使用された血液適合性重合体と同種でも異種でも使用すること
が出来る。 以下に本発明の全血浄化用β2ミクログロブリンの吸着剤の使用方法について
例示するが、本発明は、この例示に限定されないものはもちろんである。 本発明の吸着材は単独で使用してもよく、また他の吸着材と混合もしくは積層
して使用しても良い。他の吸着材としては吸着型人工腎臓に用いられる活性炭等
を例示することができる。これにより吸着材の相乗効果によるより広範な臨床効
果が期待できる。吸着材容積は、体外循環に用いる場合、50〜600ml程度
が適当である。 本発明の吸着材を体外循環で用いる場合には、大略次の二通りの方法がある。
一つには、体内から取り出した血液を直接該装置に通過させ、浄化する方法であ
り、他の一つは体内から取り出した血液を遠心分離器もしくは膜型血漿分離器を
使用して、血漿成分と血球成分とに分離した後、血漿成分を該装置に通過させ、
浄化した後、血球成分と合わせて体内にもどす方法である。本発明の吸着材は、
直接血液浄化法に特に好適に用いられる。 また、血液もしくは血漿の通過速度については、該吸着材の吸着能率が非常に
高いため、吸着材の粒度を粗くすることができ、また充填度を低くできるので、
吸着材層の形状の如何にかかわりなく、高い通過速度を与えることができる。そ
のため多量の体液処理をすることができる。 血液及び血漿等の体液の通液方法としては、臨床上の必要に応じ、あるいは設
備の装置状況に応じて、連続的に通液しても良いし、また断続的に通液使用して
も良い。 本発明の吸着材は、以上述べてきたように、体液中のβ2ミクログロブリンを
高い効率かつ特異的に吸着除去し、簡便かつ安全である。 本発明は、自己血液、血漿等の体液を浄化、再生する一般的な用法に使用可能
であり、腎不全、悪性腫瘍等において体液中に蓄積するβ2ミクログロブリンの
吸着、除去に有効かつ安全、確実に使用できるものである。 (実施例) 次に実施例により本発明を更に詳細に述べる。 実施例1 水不溶性材料として、ナイロン6/6、ポリメチルメタアクリレート、ポリス
チレン、ポリエチレンのシート(厚み200μ)を作製し、水中における空気泡
の接触角を測定した。次に2−ヒドロキシエチルメタアクリレートの重合体(A
ldrich(アルドリッチ)社製)の2%wt/Vメタノール溶液を作製し、
この溶液100mlに対し、上述のシート(20cm×10cmを3mm×3m
mに切断する)を5min浸漬した後(時々攪拌する)、グラスフィルター上で
過剰の溶液を吸引除去してから、送入窒素ガス量と吸引窒素ガス量のバランスを
とりながら20分間グラスフィルター上で窒素乾燥する。次いで、真空乾燥 機の中で、室温、755mmHg以上の条件で24時間乾燥した。この操作によ
り、吸着材が作製される。 次に、健康人の血漿3mlに対し、前述で作製した吸着材を混合後、37℃で
1時間振盪し、前後の血漿中のβ2ミクログロブリンとアルブミンを定量した。
β2ミクログロブリンはRIA法、アルブミンはBCG法を用いた。 表−1に37℃で1時間振盪前後の血漿中のβ2ミクログロブリン、アルブミ
ンの定量結果を示し、表−2に使用した材料の概略を示した。 実施例2 水不溶性材料として、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート(実施例1
と同一)を用い、血液適合性材料として2−ヒドロキシエチルメアクリレートと
ジエチルアミノエチルメタアクリレートとのランダム共重合体(2−ヒドロキシ
エチルメタアクリレートの含有量90mol%)と2−ヒドロキシエチルメタア
クリレートとN,N′−ジエチル−N−(4−ビニルフェネチル)エチレンジア
ミンとのグラフト共重合体(2−ヒドロキシエチルメタアクリレートの含有量9
5mol%)を用いた以外は、実施例1と同様な方法で吸着材を得た。 評価結果を表−3に、使用した材料の概略を表−4に示す。 実施例3 水不溶性材料としてメチルメタアクリレート〜ジビニルベンゼン共重合体(8
0:20重量%)、スチレン〜ジビニルベンゼン共重合体(80:20重量%)
の各々のシート及び420〜800μの粒子を作製し、水中における空気泡の接
触角を測定した。次に2−ヒドロキシエチルメタアクリレートの2%wt/ Vメタノール溶液を作製し、この溶液100mlに対し、上述の粒子35mlを
5min浸漬した後(時々攪拌する)、グラスフィルター上で過剰の溶液を吸引
除去してから、送入窒素ガス量と吸引窒素ガス量のバランスをとりながら20分
間グラスフィルター上で窒素乾燥する。次いで、真空乾燥機の中で、室温、75
5mmHg以上の条件で24時間乾燥した。この操作により、吸着材が作製され
る。 次に、腎不全患者血漿と吸着材を6:1の容積比で混合後、37℃で1時間振
盪し、前後の血漿中でβ2ミクログロブリンとアルブミンを定量した。β2ミクロ
グロブリンはRIA法、アルブミンはBCG法を用いた。 評価結果を表−5に、使用した材料の概略を表−6に示す。 次に、血液適合性の評価として、血小板通過性の評価を行った。評価方法を以
下に述べ、その結果を表−7に示す。 血小板通過性の評価 A)評価用カラムの作製 先に、作製した吸着材を直径5mmφ、長さ10mmの円筒形カラムに、真空
度200〜300mmHgの吸引下で生理食塩水を流しながら充填する(カラム
の入口、出口には80メッシュのポリエステルメッシュがとりつけてある)。次
いで、16時間静置する。 B)人血の通液及び血小板通過性の算出 上記の評価用カラム(カラム内容量0.2ml)に、0.1ml/minの速
度で20分間、ヘパリン加生食(1unit/ml;ヘパリン濃度)をシリンジ
型マイクロポンプで流す。次いで、人の末梢血(15unit/ml;ヘパリン
濃度)を室温(20℃)で、0.1ml/minの速度で流す。カラム内生食が
カラム出口より押し出された時点をサンプリングの0時間として、カラム出口よ
りエチレンジアミン四酢酸=ナトリウム入りのサンプルビンで血液のサンプリン
グを行う。サンプリングを終了した後、2時間以内なBRECHER−CRON KITE法で、カラム人工及びカラム出口の血小板Vと形態変化を測定した。 実施例4 血液適合性材料として、2−ヒドロキシエチルメアクリレートとジエチルアミ
ノエチルメタアクリレートとのランダム共重合体(2−ヒドロキシエチルの含有
量70mol%)と2−ヒドロキシエチルメタアクリレートとN,N′−ジエチ
ル−N−(4−ビニルフェネチル)エチレンジアミンとのグラフト共重合体(2
−ヒドロキシエチルメタアクリレートの含有量95mol%)を用いた以外は、
実施例3と同様な方法で吸着材を得た。 評価結果を表−8、表−9に示す。 又、実施例3〜4の全試料について、カラム入口、出口側での血液中での血小
板形態変化を顕微鏡で観察したが、カラム入口、出口側での血小板の形態変化は
、ほとんど見受けられなかった。 参考例 水不溶性材料としてアルミニウム箔を用いたほかは、実施例1と同様にして、
2−ヒドロキシエチルメタクリレート重合体層を形成した吸着材を得た。なお、
アルミニウム箔は20cm×10cmのものを3cm×3cmに切断して使用し
た。又、アルミニウム箔の接触角の測定は、実施例1と同様にして行った。 次に健康人血を用いてβ2ミクログロブリンとアルブミンの吸着実験を行っ た。この時、アルブミンの定量をネフェロメトリー法としたほかは、実施例1と
同様にして行った。 結果は、表9−2に示す。処理前後で血漿中のβ2ミクログロブリンは減少し
吸着が生じているが、アルブミンの濃度の変化は僅かであって、β2ミクログロ
ブリンが選択的に吸着除去されている。 比較例1 吸着材として、血液適合性材料を被覆せずに、実施例3で使用したメチルメタ
アクリレート〜ジビニルベンゼン共重合体粒子とスチレン〜ジビニルベンゼン共
重合体粒子を用い、実施例3と同様な方法で評価した。評価結果を表−10,1
1に示す。 【表−1】 【表−2】 【表−3】 【表−4】 【表−5】 【表−6】【表−7】 【表−8】【表−9】 【表−9−2】 【表−10】【表−11】 (発明の効果) 以上の説明から明らかなように、平均孔径が45Åから1000Å、且つ接触
角が20度以上である有機高分子系材料からなる水不溶性材料と血液適合性重合
体との少なくとも二層構造からなる吸着材が血小板等の血栓性物質の粘着、活性
化を抑制し、かつ全血あるいは血漿等の体液中のアルブミン等の有用蛋白を除去
することなく、β2ミクログロブリンを選択的に、しかも驚くほど高い効率で吸
着除去することがわかる。本発明の吸着剤は、特に血小板等の血栓性物質の粘着
、活性化が少なく、微粒子、溶出物等の安全性の問題がない為、より安全でかつ
簡便に全血での体外循環治療に使用出来る。 そのため、自己血液、血漿等の体液を浄化、再生する一般的な用法に使用可能
であり、腎不全、悪性腫瘍等において体液中に蓄積するβ2ミクログロブリンの
吸着、除去に有効かつ安全、確実に使用できるものである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 平均孔径が45Åから1000Å、且つ接触角が少なくとも20
    度以上である有機高分子系材料からなる水不溶性材料に血液適合性重合体を被覆
    処理して少なくとも二層以上の層構造としたことを特徴とする、水不溶性材料の
    層にβ2ミクログロブリンが到達可能な層構造を有する体液浄化用β2ミクログロ
    ブリンの吸着材。 【請求項2】 血液適合性重合体が含窒素塩基性官能基を有する重合体であるこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の体液浄化用β2ミクログロブリンの
    吸着材。

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