JP2509420B2 - セラミック型を用いた鍛造型 - Google Patents

セラミック型を用いた鍛造型

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JP2509420B2 JP4200311A JP20031192A JP2509420B2 JP 2509420 B2 JP2509420 B2 JP 2509420B2 JP 4200311 A JP4200311 A JP 4200311A JP 20031192 A JP20031192 A JP 20031192A JP 2509420 B2 JP2509420 B2 JP 2509420B2
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竜雄 小板橋
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はセラミック型を用いた鍛
造型に関する。
【0002】
【従来の技術】熱間鍛造加工あるいは冷間鍛造加工では
鍛造型に被加工材を高圧で加圧することによって所定形
状に成形する。したがって、加工用の型材には高強度で
耐摩耗性を有するダイス鋼などが使用されている。な
お、熱間鍛造は冷間鍛造にくらべてプレス力は小さくて
すむが、被加工材を高温に熱して加工するから、鍛造型
に熱応力が加わり、したがって耐熱性、耐熱衝撃性を有
する材料が使用される。
【0003】ところで、近年は鍛造加工が困難な種々の
材料を扱うようになってきたことから、製品によっては
従来の鍛造型では鍛造加工が困難であったり、鍛造型の
寿命が短くなるといった問題が生じている。また、熱間
鍛造加工では加工を繰り返すとともに型表面にヒートク
ラックが発生、成長し、型の表面が徐々に荒れていくた
め一定回数加工したところで型交換せざるを得ず、型交
換の段取り工程が生産性を下げる原因になる。また、高
温時の型材料の強度が低下しないように鍛造型を冷却す
ることも必要である。また、熱間鍛造では被加工材を高
温に熱して加工するから被加工材が型に焼き付きやす
く、このため離型剤を用いるが、この離型剤が加工の際
に周囲に飛散して作業環境を悪化させるという問題点が
あった。
【0004】そこで、上記の鍛造加工における問題点を
解消する方法として、金属材料によって型を製作するか
わりに、セラミックを材料として鍛造型を製作する方法
が検討された(素形材1986-5,p.11 〜16) 。図6は自動
車エンジンバルブを熱間鍛造によって製造する鍛造型に
セラミック材を用いて加工する従来例を示す。図6(a)
は鍛造型に被加工材5をセットした状態、図6(b) は鍛
造する状態、図6(c) は製品6を取り出す状態を示す。
【0005】この加工で用いている鍛造型は図のように
プレスの際に被加工材5が当接するセラミック製のセラ
ミックインサート7とこのセラミックインサート7を収
納する金属ケース8から成っている。金属ケース8は鍛
造加工の際にセラミックインサート7が破壊されないよ
うに設けたもので、焼きばめによってセラミックインサ
ート7に圧縮応力を加えながら嵌入して支持している。
セラミックは圧縮応力に対しては強いのに対して、引っ
張り応力には弱いことから、できるだけセラミックイン
サート7に圧縮応力を加えることによってセラミックイ
ンサート7が破壊されないようにするためである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】セラミックは耐熱性、
耐摩耗性にすぐれるとともに、被加工材と焼き付きにく
いことから熱間鍛造の際でも離型剤が不要であるといっ
た利点を有するが、性質的に脆いことから鍛造加工用の
型のようにきわめて大きな力が加わるものに使用する場
合には、所要の強度および耐久性を満足するよう設計し
なければならない。鍛造加工用の型に用いるセラミック
としては破壊靱性の高いセラミックが好適であるが、高
強度のセラミックであっても破壊靱性では一般に用いら
れているダイス鋼よりも劣っている。したがって、セラ
ミック材を鍛造型として使用する場合にはセラミックの
強度を十分に引き出せるよう設計しなければならない。
【0007】上述した従来例は金属ケース8でセラミッ
クインサート7を締め付け支持することによって鍛造型
として使用したものであるが、鍛造試験結果は27ショ
ットでセラミックインサートが破壊するものとなった。
この実験ではセラミック型が短寿命で終わった理由とし
て、鍛造加工時に金属ケースが開口してセラミックイン
サートの拘束力が弱まったことが挙げられており、締め
型を2重にして拘束力を増す方法などが検討されてい
る。本発明者は前述したようにセラミック材が種々の利
点を有することから、鍛造加工用の型材としてセラミッ
ク材を使用することについて研究を行い、セラミック型
の破壊を効果的に防止することができ、十分な耐久性を
有して実際の鍛造加工に好適に使用し得る鍛造型を得る
ことができた。本発明は、セラミック材を利用した鍛造
型として好適に使用することのできるセラミック型を用
いた鍛造型を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため次の構成を備える。すなわち、被加工材を加工
する型部分をセラミック型とし、該セラミック型を締め
型により締め付けて支持したセラミック型を用いた鍛造
型において、前記セラミック型としてセラミック材によ
る一体成形品を使用し、該セラミック型を、鍛造加工の
に該セラミック型を締め付け支持するに必要な最小の
締め付け力により前記締め型に圧入して支持し該締め
型で支持した前記セラミック型の型合わせ面を締め型の
当接面よりも後退させて設けたことを特徴とする。ま
た、前記締め型による前記セラミック型の締めしろ率を
0.05%〜0.25%としたことを特徴とする。
た、上型および下型にそれぞれ締め型によりセラミック
型を支持した鍛造型を使用し、前記上型および下型に装
着したセラミック型の一方の外形寸法を他方のセラミッ
ク型の外形寸法よりも大きく設定するとともに、鍛造加
工時に前記締め型が当接した際に前記セラミック型の端
面が相互に当接しないようセラミック型の型面を形成し
たことを特徴とする。また、前記締め型にセラミック型
を挿填して装着する収納凹部を設け、セラミック型を交
換して共通に使用可能としたことを特徴とする
【0009】
【発明の概要】本発明に係るセラミック型を用いた鍛造
型は、被加工材を加工するセラミック型を締め型で締め
つけて支持するが、締め型によってセラミック型をどの
ように締め付けて支持するかは鍛造加工の際にセラミッ
ク型が破壊されないようにするためにきわめて重要な要
素である。すなわち、本発明に係るセラミック型を用い
た鍛造型ではセラミック型を過度に強く締め付けず、あ
る程度緩めに締め付けて支持することを特徴とする。す
なわち、セラミック型を固く締め付けて支持した場合に
は鍛造加工の際にかえってセラミック型を破壊させる応
力が強く作用し、セラミック型の保護に適当でないから
である。また、セラミック型を支持する締め型は鍛造加
工の際に締め型に作用する衝撃力を締め型で吸収し、セ
ラミック型に余分な荷重が加わらないようにするのがよ
い。そのためには締め型をある程度大きく設計するのが
よい。
【0010】また、鍛造加工の際にはセラミック型に直
接的にプレスによる衝撃力を作用させず、被加工材に対
する加圧力のみをセラミック型に作用させるようにする
のがよい。そのため、たとえば締め型の型合わせ面より
もセラミック型の型面を後退させ、鍛造加工の際に上型
と下型が衝突してもセラミック型が他方の型面に当接し
ないように逃がして衝突を避けるようにするのがよい。
また、上型と下型にともにセラミック型を装着した場合
には、セラミック型が対向する締め型に当接しないよう
一方のセラミック型の型面を締め型の型合わせ面よりも
後退させるとともに、他方のセラミック型の外径寸法を
一方のセラミック型よりも小さく設定するのがよい。こ
のようにセラミック型と締め型との複合型を構成するこ
とによって、セラミック材が圧縮応力に強く、引っ張り
応力には比較的脆いという性質を効果的に補強してセラ
ミックを利用した鍛造型として有効に使用することが可
能になる。
【0011】なお、セラミック型を使用する場合には鍛
造加工の際に鍛造型にどのような加圧力が作用するかを
知る必要がある。本発明者は図4に示すような測定方法
によって鍛造加工時に鍛造型に加わる加圧力を測定し
た。図4で10はスクリュープレス、11は鍛造型、1
2は鍛造型11を固定支持するための治具、13は被加
工材である。鍛造型11に作用する加圧力はロードセル
14上に鍛造型11を支持し、ロードセルアンプ、FF
Tアナライザ等を用いて測定した。図5は測定結果を示
す。グラフAは被加工材を用いない空打ちの場合、Bは
被加工材としてSUH11 を用いた場合、CはSUH35 を用い
た場合である。
【0012】被加工材をセットしない空打ちの場合には
約15msecの間に120tf まで上昇して衝撃荷重が加わるの
に対し、被加工材を加工する場合には最大荷重が68tfで
空打ち時の60%〜70%まで減少した。また、被加工材を
加工する場合には68msec以前から荷重が加わりはじめ、
比較的緩やかに増加することがわかる。また、SUH11とS
UH35 を比較すると、加工性の悪いSUH35 の方が加圧力
が低くなっており、加工エネルギーの吸収が大きいこと
がわかる。この試験結果によると被加工材を鍛造する場
合、鍛造型にかかる荷重は最大荷重に達するまでに徐々
に増加し、衝撃力にはならないことがわかる。通常の鍛
造加工では加圧力の調整が困難なフリクションプレスを
用いており、加工時に上型と下型が衝突することが避け
られない。したがって、セラミック型を用いる場合は被
加工材に対する加圧力についてはセラミック型で受け、
上型と下型が衝突する際の衝撃力はセラミック型以外の
締め型で受けることによってセラミック型への衝撃力を
少なくすることが可能である。また、この結果はセラミ
ック型を締め型で補強支持することによって鍛造加工に
使用可能であることを示す。
【0013】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基
づいて詳細に説明する。図1は本発明に係るセラミック
型を用いた鍛造型の一実施例の断面図を示す。この鍛造
型は自動車エンジンバルブの製造に使用する型として製
作したもので、下型16および上型18を示す。下型1
6はセラミック製のインサートブロック20とこのイン
サートブロック20を支持する締め型22とから成る。
インサートブロック20および締め型22の中央部には
透孔が貫設され、インサートブロック20の上面にはバ
ルブ形状に合わせた皿状の凹部が形成される。
【0014】図2にインサートブロック20を拡大して
示す。締め型22にはインサートブロック20を収納す
る収納凹部が形成され、インサートブロック20はこの
収納凹部内に挿填して支持される。インサートブロック
20の上面は図のように締め型22の型合わせ面よりも
やや低位に設定し、鍛造加工の際にインサートブロック
20に上型がじかに当接しないようにしている。上型1
8は上記締め型22と同じようにセラミック製の上型イ
ンサートブロック24を締め型26で支持し、上記イン
サートブロック20に対向させて上型インサートブロッ
ク24を配置する。
【0015】鍛造加工の際には上型と下型が衝突して各
々の型に大きな荷重が加わる。上記のインサートブロッ
ク20および上型インサートブロック24はともにセラ
ミック製であるからじかに鍛造加工の際の衝撃力が作用
しないようにするのがよい。そのため、実施例の鍛造型
では下型16のインサートブロック20の上面を型合わ
せ面よりも下げ、上型18の上型インサートブロック2
4についてはその外形寸法をインサートブロック20よ
りもやや小形に設定した。これによって、上型インサー
トブロック24も下型16の締め型22に当接しないよ
うにすることができる。
【0016】鍛造試験ではいくつかのセラミック材を用
いて実際にインサートブロックを形成し、締め型による
締め付け条件等を変えて鍛造試験を行った。試験で用い
たインサートブロック20の標準寸法は外径40mm、厚
さ20mm、透孔径6.2mm、上面の凹部径27.4mmで
あり、締め型22は外径100mmである。なお、以下の
試験例で使用したセラミック材のSi3N4 の特性値を次に
示す。 嵩密度 3点曲げ強さ 破壊靱性値 硬度 Si3N4 3.17 g/cm3 55.7 kgf/mm2 4.8 MPam1/2 HV1500
【0017】〔試験例1〕酸化アルミニウム(Al2O3)製
のインサートブロックをサンプルとし、インサートブロ
ックに対する締め付けを行わずにインサートブロックに
被加工材を介して荷重をかけた場合の破壊形態を観察し
た。試験では1000℃に熱した被加工材を室温と1000℃に
熱したインサートブロックに挿入し室温で圧縮した。試
験の結果は、10tfの荷重を負荷するまでに、室温のもの
と1000℃に加熱したものの両方とも破壊された。破壊形
態はともに径方向にクラックが生じてインサートブロッ
クが3 〜4 分割して割れるものとなった。これは、圧縮
時に周方向に引っ張り応力が作用したためとおもわれ
る。
【0018】この試験結果はインサートブロックをフリ
ー状態にして大きな加圧力を加えると、それが周方向の
引っ張り応力として作用し、インサートブロックを破壊
に至らせることを示す。したがって、インサートブロッ
クに加圧力が作用した際にこれを破壊から防ぐためには
インサートブロックに締め付け力を作用させて保護する
ことが必要になる。
【0019】〔試験例2〕インサートブロックとしてSi
3N4 製のサンプルを用い、インサートブロックの外側を
2重に締め型で締めつけて鍛造加工試験を行った。イン
サートブロックと内側の締め型との締めしろを0.1mm 、
内側の締め型と外側の締め型との締めしろを0.2mm とし
て焼きばめによって組み立てた。内側の締め型の外径は
64mm、外側の締め型の外径は120mm である。また、上型
としては64mm径のダイス鋼を用いた。インサートブロッ
クのサンプルとしては30mm径、40mm径の2種類のサンプ
ルを用いた。
【0020】試験結果は、30mm径のサンプルおよび40mm
径のサンプルとも、1回の鍛造試験で破壊に至った。図
3は試験後のサンプルの破壊形態のスケッチ図である。
図示した例は30mm径のサンプルのものであるが、図のよ
うにインサートブロックの上面で外周側部分に破断Pが
生じた。この破断Pはかなり大きなもので周方向のほぼ
全体にわたって生じた。また、40mm径のサンプルについ
ても同様な破断が生じた。30mm径のサンプルでセラミッ
クの破断まで至ったのは焼きばめ量が大きかったこと、
上型と下型が衝突した際に締め型が変形してインサート
ブロック20に過大な応力が生じたためとおもわれる。
【0021】この試験結果はインサートブロックを強く
締め付けて保持する方法はインサートブロックの破壊防
止には必ずしも適当ではないことを示唆する。すなわ
ち、前述した金属ケース8によってセラミックインサー
ト7を支持するよう構成した従来例では金属ケース8に
よる締め付け力を大きくすることが検討されているが、
上記試験結果は締め型による締め付け力は必ずしも大き
いほど良いとはいえないことを示すものと考えられる。
【0022】〔試験例3〕インサートブロックとしてSi
3N4 製のサンプルを用い、締め型22を図1に示すよう
に1段とし、締め型22とインサートブロック20との
締めしろを 0.1mm 、 0.06mm 、 0.02mm、 0mm の4種類としてインサートブロック(30mm 径、40mm径)
を締め型に焼きばめしたサンプルについて鍛造加工試験
を行った。上記の締めしろは室温での締めしろである。
また、鍛造加工は被加工材の温度を約1000℃とした熱間
鍛造で、この場合の鍛造型温度は室温である。被加工材
としてはSUH11 、SUH3、SUH35 を用いた。なお、上型は
前述した鍛造型の標準寸法の100mm で、上型インサート
ブロックとしてセラミックを用いた。上型インサートブ
ロックは下型のインサートブロックの径サイズ30mm、40
mmよりも1mm 程度小さくした。鍛造は離型剤を用いずに
行った。
【0023】試験結果は、締めしろが0.1mm 、0.06mm、
0.02mmのサンプルについてはいずれの被加工材も数十回
鍛造加工した後でもサンプルに変化は生じなかった。こ
の後さらに、被加工材温度を700 ℃〜800 ℃まで下げて
温間鍛造を数回試みたが、この試験でも破壊に至らなか
った。このように、これらサンプルについてはインサー
トブロックの破壊が好適に抑えられ鍛造加工に有効に使
用可能であることがわかった。また、締めしろ0mm のサ
ンプルについては熱間鍛造で同様に数十回の加工に耐え
たが、SUH35 の被加工材について700 ℃〜800 ℃の温間
鍛造を試みたところ、径方向に試験例1と同様なクラッ
クが生じた。SUH35 は上記の被加工材のうちもっとも加
工性が悪い材料であり、温間鍛造の際に円周方向の応力
が増大したことによってクラックが生じたものと考えら
れる。
【0024】〔試験例4〕試験例3で用いたと同じSi3N
4 製のインサートブロックを用い、締め型を1段とし、
締め型とインサートブロックとの締めしろを室温の状態
で 0.06mm として焼きばめしたサンプルについて連続鍛
造加工により耐久性を調べた。鍛造加工条件は被加工材
の温度を約1000℃とした熱間鍛造である。被加工材はSU
H3で、離型剤は用いなかった。常温で鍛造加工を開始
し、250回前後鍛造加工したところでインサートブロ
ックの径方向に試験例1と同様なクラックが発生した。
【0025】熱間鍛造加工で連続加工を行う場合は被加
工材が高温であることから徐々にセラミック型を用いた
鍛造型の温度が上昇する。上記試験においても締め型は
室温から最終的におよそ200℃まで上昇した。上記の
試験結果はセラミックを鍛造型に用いた例として相当回
数まで鍛造加工できたものであるが、250回前後でイ
ンサートブロックにクラックが発生した理由としては、
セラミックと鉄の熱膨張率が異なることから鍛造型の温
度が室温から徐々に上昇したことにより締め型によるセ
ラミック型の締め付け作用が弱まり、セラミック型を保
持する作用が有効に作用しなくなったためと考えられ
る。このように、締め型の締めしろを設定する場合は、
鍛造加工を行っている際の実際の鍛造型温度を基準にし
てセラミック型に所定の締付け力が作用するよう決める
べきである。
【0026】以上の試験結果を総合すると、セラミック
型を締め型によって支持して鍛造型とする場合には、以
下のような点に留意して設計するのがよい。すなわち、
セラミック型についてはダイス鋼等の締め型を用いて締
め付け支持し、これによって鍛造時に破壊しないよう保
持するが、締め型の締め付け力を過度に大きく設定しな
いのがよい。締め型によってセラミック型を強く締め付
けると、鍛造加工時にかえってセラミック型を破壊する
ように応力が作用しセラミック型を傷めることになるか
らである。試験例3における締めしろ0.1mm 、0.06mm、
0.02mmを締めしろ率(締めしろ量をセラミック型の大き
さで割った値)に換算すると0.05%〜0.25%である。本
実施例のセラミック型を用いた鍛造型はこれらの比較的
小さな締めしろ率で有効であることが特徴である。
【0027】また、締め型については、鍛造加工時に直
接的に衝撃力が作用し、被加工材を加工するに要する以
上の大きな荷重が加わるから、この余分な応力を締め型
で吸収してセラミック型になるべく作用しないようにす
るのがよい。そのためには、締め型をある程度大形にす
るのが効果的である。なお、実際に鍛造加工に使用でき
る一定の耐久性を有する鍛造型を得るには、セラミック
型に用いるセラミック材の強度その他の材質的特性、お
よびセラミック型を支持する締め型の強度および形状、
およびセラミック型の形状並びにセラミック型を支持す
る際の締め量、鍛造加工の際の加工方法等、種々の条件
を適当に設定する必要がある。また、上記実施例におい
てはセラミック型を締め型で焼きばめして締め付け支持
したが、セラミック型を締め付け支持する方法は焼きば
め法に限らず、たとえば油圧を用いる方法や鋳込みによ
る方法等が利用できる。
【0028】上記のように構成したセラミック型と締め
型による鍛造型を用いて鍛造加工を行う場合は、セラミ
ック型の特性によって次のような種々の利点がある。 セラミック型は耐熱性、耐摩耗性に優れるから、熱
間鍛造のように高温で鍛造加工する場合でも熱衝撃によ
ってヒートクラック等が発生せず、鍛造加工中の型面を
常に良好な状態に維持することができる。 ダイス鋼による鍛造型のように徐々にヒートクラッ
クが増大して製品の品質が徐々に悪化するということが
なく、クラックが入ったりして使用不能になるまでは一
定品質の製品を製造することができる。 従来のダイス鋼の場合には鍛造型の適切な交換時期
がわかりにくいがセラミック型の場合にはクラックがは
いる等によって使用不能時点をはっきり知ることができ
る。これによって、鍛造型の型交換時期を誤るといった
ことをなくすことができる。 セラミック型は被加工材との焼き付きが少なく離型
性が良いから、離型剤を使用する必要がなくなる。これ
によって作業環境を良好にすることができる。 型交換の場合にはインサートブロックのみを交換す
ればよい。従来、重量のある鍛造型全体を交換していた
ことと比べて、型交換の際の取扱い、鍛造型の取扱いが
きわめて容易になる。 締め型とインサートブロックのサイズを共通化して
おくことにより、締め型に対してはインサートブロック
のみを交換して締め型を共通使用して繰り返し使用する
ことができる。インサートブロックを交換する際には締
め型を加熱するだけでセラミックのインサートブロック
を簡単に取り出すことができる。
【0029】上記実施例では自動車のエンジンバルブを
鍛造加工する例について説明したが、本発明に係るセラ
ミック型を用いた鍛造型は鍛造加工によって製造する各
種製品に同様に使用することが可能である。また、セラ
ミック型の耐久性、離型性等の特徴を生かすことによ
り、上記熱間鍛造に限らず、温間鍛造、冷間鍛造等に対
しても有効に使用することが可能である。
【0030】
【発明の効果】本発明に係るセラミック型を用いた鍛造
型によれば、上述したように、鍛造加工の際にセラミッ
ク型が破壊されることを効果的に防止することができセ
ラミックの特性を効果的に生かした有用な鍛造型として
提供することができる。被加工材の加工型部分にセラミ
ック型を用いることにより、一定の良好な品質で鍛造加
工することができ、熱間鍛造加工の際に離型剤が不要に
なって作業環境を改善する等の利点を得ることができ
る。また、型交換ではセラミック型のみの交換ですみ交
換作業が容易である、締め型を共通使用できる等の著効
を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】鍛造型の一実施例を示す断面図である。
【図2】鍛造型のインサートブロック部分を示す断面図
である。
【図3】鍛造試験で鍛造型が破断した様子を示す説明図
である。
【図4】鍛造型に加わる加圧力の測定方法を示す説明図
である。
【図5】鍛造型に作用する加圧力の測定結果を示すグラ
フである。
【図6】セラミック型を用いた従来の鍛造型による鍛造
方法を示す説明図である。
【符号の説明】 5 被加工材 7 セラミックインサート 8 金属ケース 10 スクリュープレス 11 型 16 下型 18 上型 20 インサートブロック 22、26 締め型 24 上型インサートブロック
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂田 良二 長野市平柴1503−17 (72)発明者 山本 潤一 長野市箱清水1519−5 (72)発明者 小板橋 竜雄 長野市大字中越99−3 パークタウン北 長野B−202 (72)発明者 工藤 誠一 長野市若里南市677−5 若里職員宿舎 (56)参考文献 特開 昭59−174243(JP,A) 特開 昭61−46339(JP,A) 特開 昭62−234633(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被加工材を加工する型部分をセラミック
    型とし、該セラミック型を締め型により締め付けて支持
    したセラミック型を用いた鍛造型において、前記セラミック型としてセラミック材による一体成形品
    を使用し、 該セラミック型を、 鍛造加工の際に該セラミック型を締
    め付け支持するに必要な最小の締め付け力により前記締
    め型に圧入して支持し該締め型で支持した前記セラミック型の型合わせ面を締
    め型の当接面よりも後退させて設けた ことを特徴とする
    セラミック型を用いた鍛造型。
  2. 【請求項2】 前記締め型による前記セラミック型の締
    めしろ率を0.05%〜0.25%としたことを特徴と
    する請求項1記載のセラミック型を用いた鍛造型。
  3. 【請求項3】 上型および下型にそれぞれ締め型により
    セラミック型を支持した鍛造型を使用し、前記上型およ
    び下型に装着したセラミック型の一方の外形寸法を他方
    のセラミック型の外形寸法よりも大きく設定するととも
    に、鍛造加工時に前記締め型が当接した際に前記セラミ
    ック型の端面が相互に当接しないようセラミック型の型
    面を形成したことを特徴とする請求項1または2記載の
    セラミック型を用いた鍛造型。
  4. 【請求項4】 締め型にセラミック型を挿填して装着す
    収納凹部を設け、セラミック型を交換して共通に使用
    可能としたことを特徴とする請求項1、2または3記載
    のセラミック型を用いた鍛造型。
JP4200311A 1992-07-04 1992-07-04 セラミック型を用いた鍛造型 Expired - Fee Related JP2509420B2 (ja)

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