JP2507876B2 - 精密トルク発生機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、電流に比例した比較的小さいトルクを発生
する精密トルク発生機に関するものである。

［従来の技術］ 従来、トルク発生機としては、各種の構成を有するも
のが知られているが、比較的小さくて精密なトルクの発
生には適していない。

例えば、何等かのばね材料の変形によってトルクを発
生し、それによって発生したトルクを検出制御する方法
は、本質的なトルク発生機でないため、トルク発生の応
答性に問題があり、またばね材料の非線形性を考慮しな
くてはならない。

また、誘導モータの原理を用いる方法は、回転磁場と
出力回転数の変化の補正、ロータの抵抗値が温度によっ
て変化することの補正が必要であり、精密なトルク発生
を期待できない。さらに、通常のモータによるトルク発
生は、回転位置によるトルク変動が避けられない。

［発明が解決しようとする課題］ 本発明の技術的課題は、トルク出力を取り出す作動軸
の回転の速度や１回転中の回転角度にかかわらず、常に
電流に比例した正確なトルクを発生するようにした精密
トルク発生機を提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 上記課題を解決するため、本発明の精密トルク発生機
は、モータにより回転駆動される主軸と、トルク出力を
取り出す作動軸とを備え、上記主軸と作動軸に、電流に
比例した磁場を発生させるコイルと、そのコイルによる
磁場によりトルクを発生する磁石とをそれぞれ取付ける
と共に、両軸の相対的な回転角度を検出する回転検出器
を取付け、これらの検出器を、上記モータの回転角度を
制御する制御装置に接続し、上記制御装置に、上記検出
器出力に基づいて、主軸と作動軸の相対位置が一定にな
るように上記モータの回転角度を制御することにより、
主軸を作動軸に追従回転させる機能をもたせることによ
って構成される。

［作用］ 発生トルクに応じた電流をコイルに流すと、その電流
に比例して発生する磁場により作動軸にトルクを発生
し、それが出力される。その際、回転検出器において検
出された主軸と作動軸の回転角度の相対位置、即ち磁石
とコイルの位置関係が、制御装置を介して主軸を回転さ
せるところのモータにフィードバックされ、磁石とコイ
ルの位置関係を一定に保つように、トルクによって回転
する作動軸に主軸が追従するように回転せしめられる。

その結果、回転の速度や１回転中の回転角度にかかわ
らず、常に電流に比例した正確なトルクを発生させるこ
とが可能になる。

［実施例］ 第１図及び第２図は、本発明に係る精密トルク発生機
の実施例を示している。

この精密トルク発生機は、ステッピングモータ１によ
り回転駆動される主軸２と、トルク出力を取り出す作動
軸３とを同一の軸線上に備え、上記主軸２に設けた支持
枠４には、電流に比例した磁場を発生させるための複数
のコイル５がその内周に取付けられ、また作動軸３には
上記コイル５に対向する位置に磁石６が取付けられてい
る。第２図は、この磁石６と上記コイル５との位置的関
係を示すものである。

上記磁石６が取付けられた作動軸３は、主軸２のコイ
ル５に電流を流したときに、その電流に比例して発生す
る磁場によってトルクを発生するが、この発生トルクを
一定にするため、上記精密トルク発生機においては、作
動軸３に対する主軸２の位置が常に一定に保たれるよう
に位置制御を行っている。

この位置制御を行うためには、まず、主軸２と作動軸
３の回転角度の相対位置を検出する必要があり、そのた
め、主軸２及び作動軸３には、それぞれ回転検出器とし
てロータリエンコーダ７及び８が取付けられ、これらの
ロータリエンコーダ7,8と接続された制御装置９におい
て、それらの角度差から主軸２及び作動軸３の相対回転
角度を検出し、両者の相対位置が一定、即ち磁石６とコ
イル５の関係が常に一定になるようにステッピングモー
タ１を制御し、それによって主軸２の回転角度を制御す
るように構成している。

上記構成を有する精密トルク発生機においては、コイ
ル５に電流を流すと、その電流に比例して発生する磁場
により作動軸３にトルクを発生し、その際作動軸が回転
すれば、ロータリエンコーダ7,8において検出された磁
石６とコイル５の回転角度の相対位置の変化がパルス状
の信号として得られるため、その信号でステッピングモ
ータ１を駆動することにより、磁石６とコイル５の位置
関係のフィードバックを行っている。

従って、作動軸３にトルクが作用した場合、作動軸３
のみがトルクによって回転することが可能であり、主軸
２はその作動軸３に追従して回転することになる。

主軸２と作動軸３との相対的な回転角度制御の方法と
しては、上述したように、ロータリエンコーダによって
位置検出し、ステッピングモータ１で主軸２の回転位置
制御を行う方法の外に、位置検出を差動トランスなどの
変位検出器で行う方法、位置制御にサーボモータを使用
する方法などがある。

また、磁石６の極数は少ない方が主軸２の位置制御の
精度に対して有利であるが、図示の実施例では、地磁気
等の外部磁場の影響を避けるため４極の構造を採用して
いる。

このような精密トルク発生機は、比較的小さくて正確
なトルクを発生させる必要がある場合に適し、例えば、
トルク制御方式の精密粘度計等として用いるのに好適で
あるが、さらに、トルク校正用の装置等への適用も大い
に期待することができる。

［発明の効果］ 本発明の精密トルク発生機によれば、作動軸に発生す
るトルクが、磁石の強さとコイルに流れる電流に比例し
て決まり、そして電流値は精密に与えることができるの
で、極めて精密なトルクを発生することができる。さら
に、主軸から作動軸に対しては、このトルクのみが伝わ
っているため、作動軸を自由な回転に対しても、主軸と
作動軸の位置関係を固定する制御系の能力の範囲で、常
に正しいトルクを発生することが可能である。また、磁
石及び電流を弱くすれば、作動軸を支える軸受等の能力
の範囲で任意に微小なトルクを発生させることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の精密トルク発生機の実施例の一部を破
断して示す構成図、第２図は上記実施例におけるコイル
と磁石の位置関係を示す横断面図である。 １……モータ、２……主軸、３……作動軸、５……コイ
ル、６……磁石、９……制御装置。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】モータにより回転駆動される主軸と、トル
   ク出力を取り出す作動軸とを備え、上記主軸と作動軸
   に、電流に比例した磁場を発生させるコイルと、そのコ
   イルによる磁場によりトルクを発生する磁石とをそれぞ
   れ取付けると共に、両軸の相対的な回転角度を検出する
   回転検出器を取付け、これらの検出器を、上記モータの
   回転角度を制御する制御装置に接続し、上記制御装置
   に、上記検出器出力に基づいて、主軸と作動軸の相対位
   置が一定になるように上記モータの回転角度を制御する
   ことにより、主軸を作動軸に追従回転させる機能をもた
   せたことを特徴とする精密トルク発生機。