JP2506910B2 - 光記録媒体の前処理方法 - Google Patents

光記録媒体の前処理方法

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JP2506910B2
JP2506910B2 JP63068561A JP6856188A JP2506910B2 JP 2506910 B2 JP2506910 B2 JP 2506910B2 JP 63068561 A JP63068561 A JP 63068561A JP 6856188 A JP6856188 A JP 6856188A JP 2506910 B2 JP2506910 B2 JP 2506910B2
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和夫 井上
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、繰返し記録を行なう光記録媒体への前処理
方法に関するものである。
従来の技術 繰返し記録が行なえる光記録媒体のうち、信号記録層
を結晶状態からアモルファス状態へ、あるいはその逆方
向へ可逆的に変化せしめて、その2つの状態の記録層の
光学的性質の差を例えば光の反射率の差の信号として読
み出す、いわゆる相変化型の光ディスクを一例として第
7図において説明する。
光ディスク1は、透光性の基板2,情報担体層3,接着層
4,保護板5から構成された公知の構造である。情報媒体
層3は、誘電体層6及び7,記録層8,反射層9より構成さ
れている。誘電体層6及び7,反射層9は繰返し記録時に
受ける熱作用に対する耐久性向上や、光の干渉により信
号出力を増大させるために形成されている。
記録層8は、通常真空蒸着やスパッタリング等の非平
衡プロセスで形成されるのでアモルファス状態となるの
が普通である。
第7図に示す構造において、記録層8がアモルファス
状態では、光学的性質を表わす屈折率nと消衰係数R共
に小さいので基板2側すなわち記録・再生側から見た反
射率が著しく小さくなり、フォーカスやトラッキングを
かけることが困難となる。
したがって、記録層8をアモルファス状態から結晶状
態へ変化させてn,R共に大きくしてフォーカスやトラッ
キングが安定してかかるように反射率を大きくするいわ
ゆる前処理が必要となる。
従来の前処理方法の一例を特開昭60−106031号公報に
おいて第8図,第9図に基づき説明する。第8図の例は
連続発光するレーザ光を光学系で収束させると共に細長
い形状Aのスポットに形成して、その短かい方が光ディ
スクのトラック進行方向になるよう相対的に走査して照
射し、レーザ光の熱で記録層8を結晶化するものであ
る。
第9図の例は前記形状Aのスポットに先行してより細
くてパワー密度の高い形状Bスポットを走査してスポッ
トBにて強く加熱した後、形状Aのスポットで結晶化す
るものであり、形状Bのスポットも連続発光するレーザ
光から形成される。
相変化型光ディスクへのレーザ光照射による繰返し記
録方法は情報担体層3の性質に応じて、通常次の2つの
方法が使い分けされる。
第1の方法は該当トラックの記録層8をまず低パワー
のレーザ光で結晶化してそのトラックに記録されていた
信号を消した後、例えば0と1からなる記録信号のうち
1を高パワーのレーザ光でアモルファス化して記録する
方法である。
第2の方法は該当トラックに記録信号のうち0を前記
と同様に低パワーのレーザ光で結晶化させつつ1を高パ
ワーのレーザ光でアモルファス化して新しい信号を記録
しつつ旧信号を消していく。いわゆるオーバライト方法
である。
いずれの方法においても情報担体層3には結晶化とア
モルファス化のための熱が繰返し作用することになる。
ここで従来の方法で前処理された光ディスクに最初に
信号記録されたトラックの記録層8の結晶化部の状態を
C1,アモルファス化部の状態をA1とし、n回繰返し記録
された後のそれぞれの状態をCn,Anとする。繰返し熱作
用を受けることによって記録層8の原子や分子の結合状
態や構造あるいは転位等の欠陥状態がエネルギのより低
い状態、すなわち安定な状態に向って変化する。その変
化は記録層8だけでなく同様に熱作用を受ける誘電体層
6,7にも発生する。
そうすると記録層8,誘電体層6,7共に光学的性質が変
化し、それによってディスクの反射率や再生信号振幅が
変化して信号処理系の振幅マージンが小さくなりエラー
発生の確率が高くなるという問題が発生する。
前記変化の度合はn=10〜20までは比較的大きく、そ
れ以降はゆるやかになる傾向があるので10〜20回の繰返
し記録に相当する熱作用すなわち安定化熱作用を前処理
の工程で与えることができれば上記の問題を解決するこ
とができる。
発明が解決しようとする課題 ところが従来の方法で上記熱作用を与えるためには同
一トラックを10〜20回繰返し走査する必要があるので長
時間を要するという問題があった。
そこで、本発明は短時間で安定化熱作用を与えること
ができる光記録媒体の前処理方法を提供しようとするも
のである。
課題を解決するための手段 そして上記課題を解決するため本発明は、電磁波の強
度に変調をかけて光記録媒体の情報担体層に照射するも
のである。
作 用 本発明は上記した方法により、強度変調によって繰返
し記録に相当する熱作用を、多数回の繰返し走査なしで
与えることができる。
その結果、短時間で前処理が可能となる。
実施例 以下、本発明の一実施例を添付図面に基づいて説明す
る。
第1図は本発明の一実施例を示す図で、(a)は従来
例の第8図と同様にレーザスポット20の形状を示してい
る。(b)はレーザスポット20のトラック進行方向の光
強度の分布を示す図で、光強度P1〜P2の間がアモルファ
ス化に必要な値で、P3〜P4の間が結晶化に必要な値であ
る。Sはレーザスポット20のトラック進行方向の長さで
ある。レーザ光強度分布がHレベルにある時、レーザ光
スポット20の中央部の長さl1の強度はアモルファス化レ
ベルにあり、端部長さl2は結晶化レベルにある。レーザ
光強度分布がLレベルにある時、レーザスポット20の中
央部の長さl1の強度は結晶化レベルにある。
第1図(c)はレーザ光強度を周期Tで前記Hレベル
とLレベルに変調することを示す図で、結晶化に要する
時間はアモルファス化のそれよりも長いのでLレベルの
時間を長くしてある。変調は図示しないが、公知の例え
ばEO変調器等で容易に行なうことができる。
ここでレーザスポット20の相対走査速度V=10m/sレ
ーザ光強度の変調周期を十分アモルファス化と結晶化が
行なわれるよう余裕をみてT=2μs,情報担体層3と安
定化させるに必要なアモルファス化と結晶化すなわち前
記HレベルとLレベルの繰返し回数をこれも十分余裕を
みてn=100回としても、レーザスポット20の長さl1は l1(mm)=V(m/s)×T(μs)×n×10-3=2mm となる。l2はl1の1/10もあれば十分にレーザスポット20
通過後の記録層8を結晶化することができる。上記l1,l
2共に容易に実現できる寸法である。
以上の方法により1回レーザ光を走査するだけで十分
安定化熱作用を与えることができるのできわめて短時間
に前処理を行なうことができる。
次に本発明の他の実施例について説明する。
第2図はレーザスポット20と同様にレーザ光強度変調
を行なうレーザスポット21を、一定のLレベル強度の結
晶化専用レーザスポット22に先行させて走査する方法を
示す図である。
第1図の結晶化用l2部のように変調に伴なって強度が
変動すると、記録層8の性質によっては結晶化部に変調
周期に対応するムラが残り、若干のノイズが発生するこ
とがあるが、第2図の構成ではそのようなことはなく多
様な性質の記録層に対応することができる。
また高出力のレーザ光源あるいは光源があり、基板2
の耐熱性が良ければ第1図,第2図のように小面積のレ
ーザスポットを走査する必要はなく、光ディスクの全面
積に亘って前記光を第3図に示すように変調をかけて照
射すればよい。
以上記録層8に熱エネルギを与える方法として光を例
にあげて述べてきたが、光に限るものでなく、光もその
中に含まれるが記録層8に限らず情報担体層3に吸収さ
れる電磁波であればよい。
情報担体層3に吸収されてヒステリシス損失,渦電流
損失,誘電体損失のうち少なくとも1つの損失を生じて
情報担体層3を加熱できる周波数の電磁波を与えてやれ
ばよい。
その電磁波の周波数が一般的にヒステリシス損失や渦
電流損失を生じさせる数百Hz〜数MHzであれば、例えば
第4図に示すように、光ディスク1に高周波電源25を接
続したコイル26を近接させて与えることができる。また
その中でも高い方の周波数であれば、第5図に示すよう
に電極板27,28で光ディスク1をはさんで与えることが
できる。
誘電体損失が支配的となるマイクロ波であれば、第6
図に示すように導波管29で光ディスクまで導いてやれば
よい。
以上第4図〜第6図の例で述べたように、光よりも波
長の長い電磁波においても光において述べた第1図のよ
うにも第2図のようにもエネルギを与えることができ、
また走査するのではなく前記したように全面積に亘って
第3図に示すように変調をかけて与えることができる。
また、光ディスクは相変化型に限らず光磁気型であっ
てもよい。光磁気ディスクへの前処理の目的は記録層8
を結晶化したりアモルファス化したりすることではな
く、通常はアモルファス状態のままで繰返し記録される
時に情報担体層が受ける熱作用と等価な作用を与えて相
変化型と同様に記録層や誘電体層を安定化させることに
あり、それによって反射率や再生信号振幅を安定化させ
ることができる。
発明の効果 本発明は、電磁波の強度に変調をかけて、光記録媒体
の情報担体層に照射することによって光記録媒体の前処
理を行なうので繰返し記録に相当する熱作用を多数回の
繰返し走査なしで与えることができる。
その結果、短時間で前処理を行なうことが可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)は本発明の一実施例の光記録媒体の前処理
方法を示すレーザスポットの形状図、第1図(b)はレ
ーザ光強度の分布を示す特性図、第1図(c)はレーザ
光強度を変調することを示す波形図、第2図(a)は本
発明の他の実施例のレーザスポット形状と配置を示す状
態図、第2図(b)はレーザ光強度の分布図、第3図は
その他の実施例の光強度の変調を示す波形図、第4図〜
第6図はそれぞれその他の実施例の要部斜視図、第7図
は光ディスクの構造を示す断面図、第8図は従来例を説
明するためのレーザスポットの形状図、第9図はその他
の従来例を説明するためのレーザスポット形状と配置を
示す状態図である。 1……光ディスク、2……基板、3……情報担体層、20
……レーザスポット。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電磁波の強度に変調をかけて、光記録媒体
    の情報担体層に照射してなる光記録媒体の前処理方法。
  2. 【請求項2】光記録媒体の情報担体層に電磁波を相対的
    に走査して照射してなる請求項1に記載の光記録媒体の
    前処理方法。
  3. 【請求項3】電磁波は光である請求項1に記載の光記録
    媒体の前処理方法。
  4. 【請求項4】電磁波の周波数を情報担体層にヒステリシ
    ス損失,渦電流損失,誘電体損失のうちの少なくとも1
    つの損失を生じせしめる周波数としてなる請求項1に記
    載の光記録媒体の前処理方法。
  5. 【請求項5】電磁波の強度に変調をかけた第1の電磁波
    と変調をかけない第2の電磁波とを、前記第1の電磁波
    を先行せしめて光記録媒体の情報担体層に相対的に走査
    して照射してなる光記録媒体の前処理方法。
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