JP2506479B2 - 白色酸化ビスマス組成物 - Google Patents

白色酸化ビスマス組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 血管カテーテル等の医療器具に像影材として使用され
る酸化ビスマスに関する。
〔従来の技術〕
近年、X線透視下で用いられる心臓カテーテル等の医
療器具は、テフロン、ポリウレタン等と像影材としての
硫酸バリウムとを混練し、成形し、作成していたが、像
影材として硫酸バリウムを使用する際には、一定の像影
効果を得るために樹脂量に対し、40〜60重量%の硫酸バ
リウムを加える必要がある。そうすると樹脂の特性が極
めて悪化して医療器具として使用に耐えないものという
欠点があつた。
このような状況下で、実際には像影効果を犠牲にし、
樹脂特性が一定値以上となる範囲内で硫酸バリウムを添
加していた。
上記欠点を解消すべく、酸化ビスマスを主とするビス
マス化合物を硫酸バリウムの代用とする方法が提案さ
れ、採用されている。これは、ビスマス化合物の像影効
果が硫酸バリウムの2倍強となるからである。しかし、
従来の酸化ビスマスは黄色であり、医療器具として好ま
れる青色等に着色して使用すると、得られる製品器具の
色が濁るという問題がある。これを避けるために白色ビ
スマス化合物であるオキシ塩化ビスマス、次炭酸ビスマ
ス、次硫酸ビスマス等を使用しようとすると、これらの
ビスマス化合物は樹脂との混練時の加熱により分解し、
着色したり、ガスが発生したりするばかりでなく、得ら
れた製品を使用しようとすると、人体に有害な酸等の溶
出の可能性が高い等の問題がある。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は上記問題点のない微粒白色酸化ビスマス組成
物を提供することを課題とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者は白色酸化ビスマスの製造方法を種々検討し
た結果、酸化ビスマスに硫黄根を一定量合有させること
により所定の目的を達成出来る酸化ビスマス組成物を得
ることを見出し本発明に至つた。
即ち、上記課題を解決する本発明の白色酸化ビスマス
組成物は、平均粒径が0.5〜10μmであり、実験式(BiO
X・(3−2X)SO4で示され、xが1.08≦x≦1.36で
あり、白色度が93以上、黄色度が11以下である。尚、白
色度はJIS Z 8720、8722、8729に従い測定するものであ
り、黄色度はJIS K 7103に従い測定するものである。
〔作用〕
本発明の組成物において、平均粒径を10μm以下とす
るのは、樹脂との混練に際して均一に分散させ、良好な
成形体の作成を可能ならしめる為であり、又0.5μm以
上とするのは、0.5μm未満では酸化ビスマスの触媒活
性が強くなり樹脂との混練時に樹脂を分解し、該分解生
成物と酸化ビスマスとが反応して着色を起こすからであ
る。又、xを1.08≦x≦1.36とするのは、白色度を93以
上、黄色度を11以下として樹脂との混練時の着色を防止
するためである。
本発明の組成物のX線回折パターンによれば、非晶質
の物質の存在を示唆する高いバツクグランドの中に微弱
なβ−Bi2O3のピークが確認出来るのみであり、β−Bi2
O3がオレンジ色を示すのに対し、本組成物の白色度が高
いことから、本組成物は非晶質のビスマス化合物を主成
分とし、該化合物とβ−Bi2O3との混合物と推定され
る。本組成物の熱天秤分析の結果によれば、室温より60
0℃までの範囲内では減量は僅かであり、熱的安定性に
極めて優れている。
又、本発明組成物の一例の化学分析値が、Bi81.7,O1
4.6,S3.34各重量%(以下%)の組成からなるものは、
上述の結果と合わせて考えると、x=1.13の(BiOX
・(3−2X)SO4となり、Bi2O326.0,(BiO)2SO474各%
からなる組成物と推定される。
本発明の組成物を作成するに際しては、例えば、酸化
ビスマスを硝酸に溶解し、得た硝酸ビスマス溶液に、該
溶液中のビスマスに対して0.16〜0.47当量の硫酸を添加
し、アンモニアでpH7〜9に中和して沈殿を得、該沈殿
を分離し乾燥し、500℃で焙焼しても良く、硝酸ビスマ
ス溶液をアンモニアでpH7〜9に中和して得た殿物に該
殿物中のビスマスに対して0.16〜0.47当量の硫酸を添加
しても良く、硫酸の代用として過硫酸アンモニウムを用
いても良い。この理由は、酸化ビスマスの硫酸塩への転
換は定量的に起きるからである。尚、ビスマス濃度は高
いほど生産性が向上する為高くすることが望ましいが、
アンモニアで中和する以前に何等かの沈殿が発生すると
充分な製品が得られないため、中和前の溶液中のビスマ
ス濃度は溶解度内に維持されていなければならない。
〔実施例〕
実施例1 試薬1級の酸化ビスマス(和光純薬製)100gを、62%
硝酸144mlに溶解し、次いで該溶液に純水500mlと、試薬
1級の98%硫酸(和光純薬製)10.7gを添加し、25%ア
ンモニア水でpH7.0に中和した。生成した白色の沈殿を
乾燥して大気中500℃で4時間焙焼して105gの白色の酸
化ビスマス組成物を得た。組成分析の結果この生成物は
x=1.30の(BiOX・(3−2X)SO4であつた。
この組成物の白色度と黄色度とを、東京電色製デジタ
ルカーラーメーターTC−360Uで求めたところ、それぞれ
96,9.8であり、コールターカウンター社製TA−II型を用
いて測定した平均粒径は1μmであり、X線回折結果よ
り不定比化合物であるβ−Bi2O3の存在が認められた。
又、この組成物を試料として熱分析を行なつたところ減
量は極めて微量であつた。
実施例2 試薬1級の酸化ビスマス(和光純薬製)100gを、62%
硝酸144mlに溶解し、次いで該溶液に純水500mlを添加
し、25%アンモニア水でpH7.0に中和した。生成した白
色の沈殿を、試薬1級の98%硫酸(和光純薬製)10.7g
を純水200mlに添加して得た硫酸溶液に添加し、80℃で
2時間撹拌し、次いで沈殿を濾別し関して白色沈殿を得
た。この沈殿を乾燥後、大気中500℃で2時間焙焼して1
03gの白色の酸化ビスマス組成物を得た。組成分析の結
果この生成物はx=1.35の(BiOX・(3−2X)SO4
であつた。
この組成物の白色度と黄色度とを、東京電色製デジタ
ルカーラーメーターTC−360Uで求めたところ、それぞれ
93,10.9であり、コールターカウンター社製TA−II型を
用いて測定した平均粒径は2μmであり、X線回折結果
より不定比化合物であるβ−Bi2O3の存在が認められ
た。
実施例3 試薬1級の酸化ビスマス(和光純薬製)100gを、62%
硝酸144mlに溶解し、次いで該溶液に純水500mlを添加
し、試薬1級の過硫酸アンモニウム(和光純薬製)58.7
gを添加し、80℃に維持しつつ25%アンモニア水でpH7.0
に中和した。その後2時間80℃に保持し、生成した褐色
の沈殿を濾別し、乾燥し大気中500℃で4時間焙焼して1
09gの白色の酸化ビスマス組成物を得た。組成分析の結
果この生成物はx=1.10の(BiOX・(3−2X)SO4
であつた。
この組成物の白色度と黄色度とを、東京電色製デジタ
ルカラーメーターTC−360Uで求めたところ、それぞれ9
6,9.6であり、コールターカウンター社製TA−II型を用
いて測定した平均粒径は5μmであり、X線回折結果よ
り不定比化合物であるβ−Bi2O3の存在が認められた。
比較例 試薬1級の酸化ビスマス(和光純薬製)100gを、62%
硝酸144mlに溶解し、次いで該溶液に純水500mlを添加
し、25%アンモニア水でpH7.0に中和した。生成した白
色の沈殿を濾別し、乾燥して大気中500℃で4時間焙焼
して99gの酸化ビスマスを得た。
この組成物の白色度と黄色度とを、東京電色製デジタ
ルカラーメーターTC−360Uで求めたところ、それぞれ8
6,23.1であり、コールターカウンター社製TA−II型を用
いて測定した平均粒径は5μmであり、化学分析値はBi
89.6重量%,残部0からなり、SO-は検出しなかつた。
又、X線回折結果よりα−Bi2O3であつた。
〔発明の効果〕
本発明の白色酸化ビスマス組成物は白色度が93以上、
黄色度が11以下であり、且つ分解温度が高いため、樹脂
との混練温度でも分解せず、血管カテーテル等の医療器
具用像影材として最適である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均粒径が0.5〜10μmであり、実験式(B
    iOX・(3−2X)SO4で示され、xが1.08≦x≦1.36
    であり、白色度が93以上、黄色度が11以下であることを
    特徴とする白色酸化ビスマス組成物。
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