JP2504333Y2

JP2504333Y2 - 歯科矯正用具

Info

Publication number: JP2504333Y2
Application number: JP1990066028U
Authority: JP
Inventors: 不二夫三浦
Original assignee: Tomy Co Ltd
Current assignee: Tomy Co Ltd
Priority date: 1990-06-25
Filing date: 1990-06-25
Publication date: 1996-07-10
Anticipated expiration: 2005-06-25
Also published as: US5167500A; JPH0425712U

Description

【考案の詳細な説明】「産業上の利用分野」本考案は、歯科矯正の領域において、患者の歯列弓或
いは上顎骨の拡大や、歯槽性の歯の移動などに使用され
る歯科矯正用具の改良に関するものである。

「従来の技術」従来のこの種矯正用具は、第４図に示す如く、左右２
本のガイド棒３に一対のベース体１・２を接離可能に支
持して、該各ベース体１・２の中央部に、逆向きのネジ
面が形成されたネジ棒４を螺合して、該ネジ棒４の操作
部4aを工具５を介して回転させることにより、上記一対
のベース体１・２をガイド棒３上で離間又は接近できる
構成となっている。

そして、この矯正用具を上顎骨の拡大治療に使用する
場合には、第５図Ａに示す如く、固定式拡大装置６の各
連結アーム6aに上記一対のベース体１・２をロウ付けし
た状態を得て、該拡大装置６の基部6b側を歯Ｔ面に接着
剤又はバンド（図示せず）を介して固定した後、ネジ棒
４を工具５を介して所定方向に回転させて、各ベース体
１・２を離間する方向に移動させれば、斯る移動により
得られる矯正力で、患者の歯列弓を拡大したり正中口蓋
縫合を離開させて、上顎骨を拡大することが可能とな
る。

又、歯槽性の歯T1の移動治療に使用する場合には、同
図Ｂに示す如く、可撤式床装置７の固定側床部7aと移動
側床部7b間に、上記一対のベース体１・２を埋入連結し
て、固定側床部7aを正常な歯T2側にクラスプ８を介して
固定し、移動側床部7bを治療を要する歯T1にクラスプ８
を介して固定した後、上記と同様に、矯正用具のネジ棒
４を所定方向に回転させて、各ベース体１・２を離間す
る方向に移動させれば、斯る移動により得られる矯正力
で、歯T1を所定方向に移動させることが可能となる。

「考案が解決しようとする課題」然し乍ら、斯る従来の歯科矯正用具にあっては、上顎
骨を拡大する場合でも歯を移動させる場合でも、その矯
正力をネジ棒４の回転に伴うベース体１の移動で得よう
としているため、治療過程で、上顎骨の拡大や歯の移動
が進んだ場合には、その都度、必要な矯正力を得るため
に、ネジ棒４を頻繁に回転させて、一対のベース体１・
２を徐々に離間させなければならないので、矯正治療が
徒に煩雑となってしまう問題点を有することは勿論であ
るが、この矯正力の調整は、あくまでも、ネジ棒４の回
転を伴うベース体１・２の移動で行わなければならない
ので、調整が力よりは寧ろ変位として与えられるため、
理想的な矯正力が得られないと言う大きな問題点を有し
ている。

しかも、この矯正力の調整は、常に専門の矯正医が病
院において行うものではなく、病院外で、患者又はその
保護者が行わなければならないことも多々あるので、こ
の場合には、上記問題点が一層顕著となる。

従って、従来の歯科矯正用具を使用した場合には、ネ
ジ棒４の回転操作により、一対のベース体１・２を機械
的に移動して、変位として作用させる関係で、力の調節
が全くできないため、治療の開始時点は勿論のこと、そ
の後の矯正力の調整時点でも、患者に耐え切れない痛み
を与えてしまうこととなる。

「課題を解決するための手段」而して、本考案の歯科矯正用具は、斯る従来の課題を
有効に解決するために開発されたもので、ガイド手段を
介して接離可能に支持された一対のベース体を備え、該
一対のベース体間に超弾性コイルスプリングを装着し、
接離する上記一対のベース体を介して、超弾性コイルス
プリングのばね圧を、歯又は顎骨に矯正力として伝達す
る構成を採用した。

「作用」依って、本考案にあっては、予め所望の荷重に設定さ
れた超弾性コイルスプリングを、一対のベース体間に装
着して、上顎骨の拡大治療や歯槽性の歯の移動治療等に
使用すれば、離間方向又は接近方向に移動した一対のベ
ース体を介して、超弾性コイルスプリングのばね圧が歯
や顎骨に伝達されることとなるが、斯る治療過程におい
て、例えば上顎骨の拡大や歯の移動が進んでも、コイル
スプリングが有する超弾性によって、歯に対しては、常
に一定の矯正力を継続して伝達することが可能となるの
で、従来の如く、治療過程において矯正力を調整する必
要が全くなくなるばかりか、常に理想的な矯正力の下
で、上顎骨の拡大治療や歯の移動治療等を継続して行う
ことが可能となるので、患者に耐え切れない痛みを与え
ることも完全に解消できることとなる。

「実施例」以下、本考案を図示する実施例に基づいて詳述すれ
ば、第一実施例に係る歯科矯正用具は、従来と異なり、
超弾性コイルスプリングを利用することに着目して開発
されたもので、当該第一実施例は、この超弾性コイルス
プリングに、Ni−Ti系合金線材等から成形された圧縮コ
イルスプリングを用いたものである。

これを具体的に説明すると、第１図Ａ・Ｂに示す如
く、一対のベース体11・12を両側に筒部を有する略Ｈ字
状に成形して、該一方のベース体11の一側筒部11aに上
記超弾性圧縮コイルスプリング13Aを保持する保持棒14
を固着するものとし、該保持棒14の先端部を他方のベー
ス体12の対応する一側筒部12aに嵌入して、該筒部12a内
に設けられたストッパー部（図示せず）に保持棒14の先
端拡大頭部14aを係止させることにより、他方のベース
体12が保持棒14から抜け外れることを防止すると共に、
一方と他方のベース体11・12の他側筒部11b・12b内にガ
イド棒15を嵌入して、該ガイド棒15と上記保持棒14のガ
イド作用で、一方のベース体11に対して他方のベース体
12を接離可能に支持する構成となしている。

依って、第一実施例の歯科矯正用具を上顎骨の拡大治
療に使用する場合には、具体的に図示しないが、超弾性
圧縮コイルスプリング13Aのばね圧に抗して、一対のベ
ース体11・12を治具等で接近させた状態にセットして、
第２図Ａに示す如く、従来と同様に、固定式拡大装置16
の連結アーム16aに上記一対のベース体11・12をロウ付
けして、該拡大装置16の基部16b側を歯Ｔ面に接着剤又
はバンド（図示せず）を介して固定した後、上記治具等
を取り除けば、超弾性圧縮コイルスプリング13Aのばね
圧で、他方のベース体12がガイド棒15と保持棒14上を一
方のベース体11から離間する方向に移動して、スプリン
グ13Aのばね圧を両側の歯Ｔ・Ｔに矯正力として確実に
伝達するので、これにより、患者の上顎骨を拡大するこ
とが可能となる。

また、歯槽性の歯T1の移動治療に使用する場合には、
同図Ｂに示す如く、可撤式床装置17の固定側床部17aと
移動側床部17b間に、上記一対のベース体11・12を埋入
連結して、固定側床部17aを正常な歯T2にクラスプ18を
介して固定し、移動側床部17bを治療を要する歯T1にク
ラスプ18を介して固定した後、上記と同様に、治具等を
矯正用具側から取り除けば、超弾性圧縮コイルスプリン
グ13Aのばね圧で、他方のベース体12がガイド棒15と保
持棒14上を離間方向に移動して、スプリング13Aのばね
圧を歯T1に矯正力として確実に伝達するので、これによ
り、患者の歯T1を所定方向に移動させることが可能とな
る。尚、この場合には、移動させる歯T1は１本に限るこ
となく、複数本であっても良い。

しかし、第一実施例にあっては、従来のネジ棒に代え
て、超弾性圧縮コイルスプリング13Aを利用しているの
で、治療過程で、例え上顎骨の拡大や歯の移動が進んで
も、超弾性の発現域では、常に一定の矯正力を歯側に継
続して与えることが可能となるので、従来の如く、治療
過程において、頻繁に矯正力を調整する必要が全くなく
なる。

しかも、本実施例にあっては、圧縮コイルスプリング
13Aの荷重を予め所望の値に設定しておくだけで、常に
理想的な矯正力を歯側に伝達することが可能となるの
で、上顎骨の拡大治療や歯の移動治療においては、治療
の開始時点でもその後の矯正力の調整時点でも、患者に
耐え切れない痛みを与える心配も全くなくなる。

次に、本考案の第二実施例を説明すると、該実施例に
係る歯科矯正用具は、超弾性コイルスプリングに、Ni−
Ti系合金線材等から成形された引張コイルスプリング13
Bを用いたもので、具体的には、第３図に示す如く、一
対のベース体11・12の両側筒部11a・11b・12a・12bに２
本のガイド棒15を夫々嵌入して、上記第一実施例と同様
に、一方のベース体11に対して他方のベース体12を接離
可能に支持し、該各ベース体11・12の中央部に上記超弾
性引張コイルスプリング13Bを装着する構成となしたも
のである。

依って、この第二実施例の矯正用具にあっては、超弾
性引張コイルスプリング13Bの装着により、第一実施例
とは異なり、上顎骨の縮小治療と歯の逆移動治療が可能
となる訳であるが、この場合にあっても、引張コイルス
プリング13Bの超弾性から得られるばね圧が、一対のベ
ース体11・12を介して歯側に確実に伝達されて、常に一
定の矯正力を継続して与えることが可能となるので、や
はり、従来の如く、治療過程において、頻繁に矯正力を
調整する必要が全くなくなるばかりか、常に理想的な矯
正力の下で、上顎骨の縮小治療や歯の移動治療等を行う
ことが可能となるので、患者に耐え切れない痛みを与え
ることも解消できることとなる。

尚、この第二実施例のものを固定式縮小装置や可撤式
床装置にセットする場合には、第一実施例とは逆に、図
示する如く、一対のベース体11・12を引張コイルスプリ
ング13Bのばね圧に抗して治具等（図示せず）で離間す
る状態にセットして、上記各装置に組み込んで、治療開
始時に、該治具等を矯正用具から取り除けば、引張コイ
ルスプリング13Bのばね圧を直ちに歯側に伝達できるこ
ととなる。

又、一対のベース体11・12を接離可能に支持するガイ
ド構造は、上記各実施例のものに限定されるものではな
く、本考案の精神に反しない限り、その他公知のガイド
手段を用いることも可能であることは言うまでもない。

「考案の効果」以上の如く、本考案は、一対のベース体間に超弾性コ
イルスプリングを装着し、接離する一対のベース体を介
して、超弾性コイルスプリングのばね圧を、歯又は顎骨
に矯正力として伝達することを特徴とするものであるか
ら、例え治療過程で、上顎骨の拡大や歯の移動が進んで
も、コイルスプリングの超弾性を有効に利用して、常に
一定の矯正力を歯や顎骨に継続して与えることが可能と
なるので、従来の如く、治療過程において、頻繁に矯正
力を調整する必要が全くなくなる。

しかも、コイルスプリングの荷重を予め設定しておく
だけで、常に理想的な矯正力を歯や顎骨に伝達すること
が可能となるので、上顎骨の拡大治療や歯の移動治療等
においては、患者に耐え切れない痛みを与える心配も全
くなくなる。

【図面の簡単な説明】

第１図Ａは本考案の第一実施例に係る歯科矯正用具を一
部分解して示す斜視図、同図Ｂは同矯正用具の組立状態
を示す斜視図、第２図Ａは同矯正用具を使用した上顎骨
の拡大治療の一例を示す説明図、同図Ｂは歯の移動治療
の一例を示す説明図、第３図は第二実施例に係る歯科矯
正用具を示す斜視図、第４図は従来の歯科矯正用具を示
す斜視図、第５図Ａは同矯正用具を使用した上顎骨の拡
大治療の一例を示す説明図、同図Ｂは歯の移動治療の一
例を示す説明図である。 11・12……ベース体、13A……超弾性圧縮コイルスプリ
ング（超弾性コイルスプリング）、13B……超弾性引張
コイルスプリング（超弾性コイルスプリング）、14……
保持棒、15……ガイド棒、16……固定式拡大装置、16a
……連結アーム、16b……基部、17……可撤式床装置、1
7a……固定側床部、17b……移動側床部、Ｔ・T1・T2…
…歯。

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】ガイド手段を介して接離可能に支持された
一対のベース体を備え、該一対のベース体間に超弾性コ
イルスプリングを装着し、接離する上記一対のベース体
を介して、超弾性コイルスプリングのばね圧を、歯又は
顎骨に矯正力として伝達するように構成したことを特徴
とする歯科矯正用具。