JP2504290Y2 - ヒンジ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 この考案は、スピーカ外付け形テレビや，折畳み式デ
ィスプレイを有するラップトップパソコン，ワープロな
どに好適なヒンジ装置に関する。

《従来の技術》 例えば、最近のテレビジョンシステムでは、いわゆる
サラウンドシステムの採用や、音質の向上などもあっ
て、その再生音の高品位化を図るため、通常の内蔵型の
小型スピーカでは対応し切れなくなり、このため、大型
テレビなどでは、従来のオーディオシステムに用いられ
るスピーカに匹敵する大型スピーカをキャビネットの両
側部に独立して設ける方式が採用されてきたが、これら
はいずれもが固定式，或いは半固定式にキャビネットに
取付けられていた。

しかし、この種のスピーカを外付けしたテレビでは、
音声多重方式における音像定位や、設置場所などの関係
で、スピーカの折畳み格納状態から、正面配置状態まで
の角度変化をもたらすことが望まれる。

したがって、この種のテレビではスピーカをキャビネ
ットにヒンジ装置を介して回動自在に取付けることが望
ましい。

《考案が解決しようとする課題》 このような用途に用いられるヒンジ装置に要求される
条件は、容易に回動操作ができ、またある設定角度で容
易に動かないこと、回動時に軋み音などが発生しないこ
とである。

しかしながら、これらは相反する条件であって、ヒン
ジ装置の回動トルクを大きく設定した場合には、摩擦力
が大となるため、回りにくく、軋み音が出易くなり、逆
に回動トルクを小さく設定した場合には少しの外力でも
角度が変化し易く、設定が狂う原因となる。

この考案は以上の問題を解決するものであって、その
目的は、一定のトルクで回動操作でき、ある角度で停止
した状態で外力が加わっても容易に角度のずれを生ずる
ことがなく、しかも回動操作時の摩擦接触による軋み音
の発生のないヒンジ装置を提供するものである。

《課題を解決するための手段》 前記目的を達成するため、この考案のヒンジ装置は、
一対のヒンジつぼを形成した合成樹脂製の蝶番片と、各
ヒンジつぼ間に同軸上に配置される中間ヒンジつぼを有
し、かつ前記蝶番片とは材質の異なる合成樹脂製の可動
片と、各ヒンジつぼの中心孔を貫通し、その先端を前記
一対のヒンジつぼの一方に形成されたタッピング穴にね
じ込み固定されるタッピングスクリュー兼用のヒンジピ
ンと、該ヒンジピンの外周にあって、ヒンジピンの頭部
と他方のヒンジつぼの上部に形成された溝間に圧縮状態
に介在されるトルク出し用の圧縮コイルスプリングを備
えたことを特徴とするものである。

《作用》 以上の構成によれば、蝶番片と可動片の樹脂材質は異
なるため、両者の摺動接触面の摩擦抵抗は少なく、軋み
音の発生がなく、滑らかな回動操作特性を得られる。

また、回動時のトルクはスプリングのバネ圧に対応し
たトルクを有することができ、停止時にはそのトルクに
応じた角度位置に保持されることになるほか、ヒンジピ
ンのネジの緩みがなく、設定トルクに安定に保持出来
る。

《実施例》 以下、この考案の一実施例を図面を用いて詳細に説明
する。

第１図ないし第３図において、１は固定部品側にビス
などを介して固定されるプレート状の蝶番片、２はこの
蝶番片１に回動可能に接合し、かつ可動部品側に取付け
られる可動片である。

蝶番片１の一側部には上下一対のヒンジつぼ3,4が一
体化されている。

また可動片２の一側部には前記各ヒンジつぼ３の中間
に入り込んで同一軸線上に配列される中間ヒンジつぼ５
が一体化され、また他側部側には物品固定用のボス部６
が一体に突設されている。

そしてこれら各ヒンジつぼ3,4,5はタッピングスクリ
ューを兼用したヒンジ軸７によって回動可能に連結され
る。

なお、前記蝶番片１の材質はナイロンであり、その中
央裏面側には薄肉部８が形成され、中央を支点として折
曲げ可能となっている。

また、前記各ヒンジつぼ3,4の中間ヒンジつぼ５に対
する接合部にはボス部3a,4aが突設され、これに対応し
て中間ヒンジつぼ５の両側はこれを受け入れる凹部5aが
形成されており、第４図（ａ），（ｂ）に示すように、
蝶番片１を折曲げ、各ヒンジつぼ3,4同志の間隔を拡げ
た状態で中間ヒンジつぼ５をその間に押し入れ、次いで
蝶番片１を平板状の元状態に戻すことによって、各ヒン
ジつぼ3,4は中間ヒンジつぼ５を嵌合状態で回動可能に
挾持し、接触面積を増すとともに、回動操作時のがたつ
きを防止している。

前記可動片２の材質はポリアセタールであり、両者の
材質の相違によって、各ヒンジつぼ3,4,5同士の接触部
の摩擦抵抗は小さなものとなり、スムーズな回動操作が
可能となっている。

上部側ヒンジつぼ３および中間ヒンジつぼ５に形成さ
れた貫通孔3b,5bの内径は、第５図に示すように、前記
ヒンジ軸７のネジ山外周より大きく、下部側ヒンジつぼ
４の内径は小さく設定され、ここをタッピング穴4bとし
ている。

さらに、上部側ヒンジつぼ３の上部側には前記貫通孔
3bと同心上の凹部3cが形成されている。

前記ヒンジ軸７の頭部7aの下部にはワッシャ９が介在
され、この下部において、ヒンジ軸７の外周にはスプリ
ング10が介在されている。

このスプリング10の外径は前記凹部3cより小さく設定
されている。

したがって、ヒンジ軸７を各貫通孔3b,5bを貫通し、
ヒンジ４つぼ側のタッピング穴4bに捩じ込んだ状態で
は、前記スプリング10が凹部3cの内部に位置し、その撓
み量に応じて各ヒンジつぼ3,4,5間を圧縮し、このバネ
圧によって所要の回動トルクを得られる。

また、第２図中符号11,12はそれぞれヒンジつぼ3,4お
よび可動片２に設けられた回動角度規制用のストッパ片
であって、この実施例では、可動片２を蝶番片１に折畳
んだ状態から、これを90°回動させた状態で各ストッパ
片11,12同士が係合してそれ以上の回動を規制するよう
にしている。

なお、ストッパ片11,12の形成位置に応じて蝶番片１
に対する可動片２の回動規制角度は自由に設定できる。

また、可動片２側も前記蝶番片１と同様にプレート状
その他取付け部分の形状に応じて種々の形状とすること
ができる。さらに実施例ではワッシャ９を介在させてい
るが、トラスネジなどの頭部の広いネジを用いた場合に
は不用である。

以上のシヒンジ装置は、スピーカ別体型のテレビに好
適であり、例えば蝶番片１を図示しないキャビネット側
に固定するとともに、可動片２に設けたボス部６を同じ
く図示しないスピーカボックス側に設けた取付け部に嵌
合し、裏面からタッピングスクリューなどを捩じ込んで
スピーカボックスに固定することができる。

このような場合、スピーカボックスの重量が重い場合
であってもスプリング10のバネ圧を適宜調整すること
で、ヒンジ装置は適宜の回動角度位置にスピーカを保持
し、外力を加えないかぎりはその位置に保持されること
になる。

さらに、前述のスピーカ別体型テレビのほか、例え
ば、ディスプレイ開閉式のラップトップ型パソコン，ワ
ープロなど所定の傾斜角度を保持する必要のある機器の
ためのヒンジ装置としても用いることができる。

《考案の効果》 以上実施例によって詳細に説明したように、この考案
にかかるヒンジ装置にあっては、蝶番片と可動片の樹脂
材質は異なるため、両者の摺動接触面の摩擦抵抗は少な
く、軋み音の発生がなく、滑らかな回動操作特性を得ら
れる。

また、回動時のトルクはスプリングのバネ圧に対応し
たトルクを有することができ、停止時にはそのトルクに
応じた角度位置に保持されることになるほか、ヒンジピ
ンのネジの緩みがなく、設定トルクに安定に保持出来
る。

したがって、この考案のヒンジ装置は、スピーカ別体
型のテレビ、ディスプレイ開閉式のラップトップパソコ
ン，ワープロなど、機器の角度を自由に変えられ、しか
も外力が加わらないかぎり一定の傾斜角度に機器を保持
するもの一般のヒンジ装置として好適である。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係るヒンジ装置の平面図、第２図は
同側面図、第３図は同背面図、第４図（ａ），（ｂ）は
組立前および組立後の斜視図、第５図は第３図のＶ−Ｖ
線断面図である。 １……蝶番片 ２……可動片 3,4……ヒンジつぼ ５……中間ヒンジつぼ 3b,5b……貫通孔 4b……タッピング穴 3c……凹部 ７……ヒンジ軸 10……圧縮コイルスプリング

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】一対のヒンジつぼを形成した合成樹脂製の
   蝶番片と、各ヒンジつぼ間に同軸上に配置される中間ヒ
   ンジつぼを有し、かつ前記蝶番片とは材質の異なる合成
   樹脂製の可動片と、各ヒンジつぼの中心孔を貫通し、そ
   の先端を前記一対のヒンジつぼの一方に形成されたタッ
   ピング穴にねじ込み固定されるタッピングスクリュー兼
   用のヒンジピンと、該ヒンジピンの外周にあって、ヒン
   ジピンの頭部と他方のヒンジつぼの上部に形成された溝
   間に圧縮状態に介在されるトルク出し用の圧縮コイルス
   プリングを備えたことを特徴とするヒンジ装置。